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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078928
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240604BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240604BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240604BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240604BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240604BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240604BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 130
H02J3/38 120
H02J3/00 180
H02J3/00 170
H02J13/00 311R
H02J7/35 K
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191552
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】304016974
【氏名又は名称】株式会社アンカー
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】小野口 愛奈
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC06
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA02
5G064DA11
5G066AA02
5G066AA03
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G066KA06
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA04
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)を利用した再生可能エネルギー発電設備と蓄電池とを備えた電力管理システム。
【解決手段】火力発電所、原子力発電所、水力発電所、揚水発電所、等の従来型発電設備による発電、電力供給及び、太陽光発電、風力発電、地熱発電、等の再生可能エネルギー発電設備よる発電、電力供給と、工場、会社、店舗、住宅、等で電力を使用する負荷設備での電力需要との間の調整に、日本国中に広く存在する蓄電設備(蓄電池)からの放電及び、前記蓄電設備(蓄電池)への充電を組み込み、更に、前記蓄電設備(蓄電池)がこのように利用されることに対して、前記蓄電設備(蓄電池)の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられる電力管理システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象になっている複数の負荷設備のそれぞれにおける将来の所定の時間単位毎の電力需要である単位負荷設備電力需要予測を算出するとともに、複数の前記負荷設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎の電力需要である負荷設備総電力需要予測を算出する電力需要予測算出手段と、
前記電力需要予測算出手段が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点における、将来の前記所定の時間単位毎に、管理対象になっている複数の従来型発電設備のそれぞれで予定されている発電量である単位従来型発電設備発電量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎に予定されている発電量の総体である従来型発電設備総発電量予測を算出する従来型発電設備発電量予測算出手段と、
前記電力需要予測算出手段が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点における、将来の前記所定の時間単位毎に管理対象になっている複数の再生可能エネルギー発電設備のそれぞれで発電される発電量である単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測を算出するとともに、複数の前記再生可能エネルギー発電設備の全体で将来の前記所定の時間単位毎に発電される発電量の総体である再生可能エネルギー発電設備総発電量予測を算出する再生可能エネルギー発電予測算出手段と、
前記電力需要予測算出手段が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点における、管理対象になっている複数の蓄電設備それぞれにおける放電可能量及び充電可能量に関する情報に基づいて、将来の前記所定の時間単位毎における、複数の蓄電設備それぞれにおける放電可能量及び充電可能量を単位充放電可能量予測として算出するとともに、複数の前記蓄電設備の全体での放電可能量及び充電可能量を総充放電可能量予測として算出する充放電可能量算出手段と、
前記負荷設備総電力需要予測、前記従来型発電設備総発電量予測、前記再生可能エネルギー発電設備総発電量予測及び、前記総充放可能量予測に基づいて、将来の前記所定の時間単位毎に、複数の前記蓄電設備から複数の前記負荷設備に対して供給される電力量の全体である総放電量を総放電量予測として算出し、または、複数の前記再生可能エネルギー発電設備から複数の前記蓄電設備に対して供給される電力量の全体である総充電量を総充電量予測として算出する充放電量算出手段と
を備えている電力管理システム。
【請求項2】
前記総放電量に応じて複数の前記蓄電設備を所有している複数の蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金の総額である総放電料金を算出し、または、前記総充電量に応じて複数の前記蓄電設備所有者に対して課金される充電料金の総額である総充電料金を算出する充放電料金算出手段を更に備えている
請求項1記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記充放電量算出手段は、更に、前記蓄電設備のそれぞれから放電される単位放電量または前記蓄電設備のそれぞれに充電される単位充電量を算出する請求項2記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記充放電料金算出手段は、更に、前記単位放電量に応じて、前記単位放電量が算出された前記蓄電設備を所有している前記蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金である単位放電料金を算出し、又は、前記単位充電量に応じて、前記単位充電量が算出された前記蓄電設備を所有している前記蓄電設備所有者に対して課金される充電料金である単位充電料金を算出する
請求項3記載の電力管理システム。
【請求項5】
単位充電料金の単価である単位充電料金単価よりも、単位放電料金の単価である単位放電料金単価の方が高額に設定されている請求項4記載の電力管理システム。
【請求項6】
将来の前記所定の時間単位毎に複数の前記従来型発電設備のそれぞれで許容できる発電低減量である単位従来型発電設備許容発電低減量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎に許容できる発電低減量の総体である従来型発電設備総許容発電低減量予測を算出する従来型発電設備許容発電低減量予測算出手段と、
将来の前記所定の時間単位毎に複数の前記従来型発電設備のそれぞれで許容できる発電増加量である単位従来型発電設備許容発電増加量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎に許容できる発電増加量の総体である従来型発電設備総許容発電増加量予測を算出する従来型発電設備許容発電増加量算出手段と
をさらに備えていて、
充放電量算出手段は、総放電量予測または総充電量予測の算出を行う際に、前記従来型発電設備総許容発電低減量予測及び、前記従来型発電設備総許容発電増加量予測を参照する
請求項1記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)を利用した再生可能エネルギー発電設備と蓄電池とを備えた電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)を利用した再生可能エネルギー発電設備と蓄電池とを備えた電力管理システムについては従来から種々の手案が行われている。
【0003】
例えば、複数の需要家に対応する電力管理システムとしてTEMS(Town Energy Management System)や、CEMS(Community Energy Management System)などと呼ばれるものが知られているが、太陽光発電設備の発電電力に対して負荷電力が小さい状況となって太陽光発電設備の発電電力に余剰電力が生じる場合、蓄電池に余剰電力を充電することで余剰電力を有効に利用可能であるが、蓄電池に充電できないときには、例えば、余剰電力を系統電源に流入できずに消失させる等により、太陽光発電設備の発電電力を有効に利用できないことになる。
【0004】
そこで、特許文献1には、再生可能エネルギーを利用した発電装置を備える需要家施設を含む複数の需要家施設を対象とする電力管理システムにおいて、発電装置による発電電力の有効利用が促進されるようにすることを目的とする電力管理システムが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、再生可能エネルギーによる発電電力の予測値と電力需要の予測値との差分に基づく余剰電力の予測値に基づき電力の託送計画を策定するとともに、前記余剰電力の予測値と実際値との比較結果と、蓄電池の充電率との比較結果とに基づき、水素の製造および貯蔵量と、前記蓄電池の充電量と、燃料電池の発電量とを制御する制御部を備える電源システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6192531号公報
【特許文献2】特許第7134043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日、日本国内では、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、揚水発電所、等の従来型発電設備と、太陽光発電、風力発電、地熱発電、等の再生可能エネルギー発電設備とが並行して稼働しており、これらの発電設備からの電力供給と、工場、会社、店舗、住宅、等で電力を使用する負荷設備での電力需要とが電力市場で調整されながら電力供給、電力使用が行われている。
【0008】
太陽光発電設備や、風力発電設備、等の再生可能エネルギー発電設備では発電のタイミングを自然条件に委ねることが多く、電力需要に対して再生可能エネルギー発電設備での発電が多い場合には、再生可能エネルギー発電設備の稼働を停止する、再生可能エネルギー発電設備で発電した電力を破棄する、等の対応が必要になっている。
【0009】
そこで、蓄電池、等の蓄電設備を再生可能エネルギー発電設備に対して併設しておき、再生可能エネルギー発電設備で発電した電力を一時的に蓄電設備に蓄電し、必要に応じて、蓄電設備から放電して負荷設備での電力需要に供給する、等の取り組みが行われている。
【0010】
日本ではこれから電気自動車が普及することが見込まれている。電気自動車には蓄電設備(蓄電池)が配備されていることから、日本でこれから電気自動車が普及するにつれて、日本国中に広く蓄電設備(蓄電池)が存在することになる。
【0011】
電気自動車が普及するにつれて日本国中に広く存在することになる蓄電設備(蓄電池)、すなわち、電気自動車に配備されている蓄電設備(蓄電池)を、電力市場での上述した電力供給、電力需要の調整に活用できるようになれば有利である。
【0012】
電気自動車を使用している者、あるいは、電気自動車の所有者は、日本国中に広く普及する電気自動車に配備されている蓄電設備(蓄電池)の使用者、所有者でもあることから、電気自動車に配備されている蓄電設備(蓄電池)が上述したように活用されることに応じて、電気自動車の使用者、所有者に何らかの経済的な利益が与えられるようになれば、電気自動車の普及にとって有利なことになると考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、揚水発電所、等の従来型発電設備による発電、電力供給及び、太陽光発電、風力発電、地熱発電、等の再生可能エネルギー発電設備よる発電、電力供給と、工場、会社、店舗、住宅、等で電力を使用する負荷設備での電力需要との間の調整に、日本国中に広く存在する蓄電設備(蓄電池)からの放電及び、前記蓄電設備(蓄電池)への充電を組み込み、更に、前記蓄電設備(蓄電池)がこのように利用されることに対して、前記蓄電設備(蓄電池)の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられる電力管理システムを提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明が提案する電力管理システムは、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、揚水発電所、等の従来型発電設備による発電、電力供給及び、太陽光発電、風力発電、地熱発電、等の再生可能エネルギー発電設備よる発電、電力供給と、工場、会社、店舗、住宅、等で電力を使用する負荷設備での電力需要との間の調整に、電気自動車に配備されている蓄電池、等、日本国中に広く存在する蓄電設備(蓄電池)からの放電及び、前記蓄電設備(蓄電池)への充電を組み込み、再生可能エネルギー発電設備よる発電での電力が余剰になったときに、これを前記蓄電設備(蓄電池)における充電可能範囲内で前記蓄電設備(蓄電池)に充電し、一方、従来型発電設備による予定していた発電による電力及び、並行して発電が行われている再生可能エネルギー発電設備よる発電での電力によっても電力需要を賄えないときに、前記蓄電設備(蓄電池)における放電可能範囲内で前記蓄電設備(蓄電池)から放電させて前記電力需要に供給することにし、更に、前記蓄電設備(蓄電池)が前述のように活用されることに対して、前記蓄電設備(蓄電池)の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられる電力管理システムである。
【0015】
前記蓄電設備(蓄電池)が前述のように活用されることに対して、前記蓄電設備(蓄電池)の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられる形態としては、前記蓄電設備(蓄電池)への前述した充電によって前記使用者・所有者に対して課金される充電料金の単価よりも、前記蓄電設備(蓄電池)からの前述した放電によって前記使用者・所有者に対して支払われる放電料金の単価を高額にする形態を採用することができる。
【0016】
このような本願発明は以下のように例示することができる。
[1]
管理対象になっている複数の負荷設備のそれぞれにおける将来の所定の時間単位毎の電力需要である単位負荷設備電力需要予測を算出するとともに、複数の前記負荷設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎の電力需要である負荷設備総電力需要予測を算出する電力需要予測算出手段と、
前記電力需要予測算出手段が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点における、将来の前記所定の時間単位毎に、管理対象になっている複数の従来型発電設備のそれぞれで予定されている発電量である単位従来型発電設備発電量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎に予定されている発電量の総体である従来型発電設備総発電量予測を算出する従来型発電設備発電量予測算出手段と、
前記電力需要予測算出手段が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点における、将来の前記所定の時間単位毎に管理対象になっている複数の再生可能エネルギー発電設備のそれぞれで発電される発電量である単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測を算出するとともに、複数の前記再生可能エネルギー発電設備の全体で将来の前記所定の時間単位毎に発電される発電量の総体である再生可能エネルギー発電設備総発電量予測を算出する再生可能エネルギー発電量予測算出手段と、
前記電力需要予測算出手段が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点における、管理対象になっている複数の蓄電設備それぞれにおける放電可能量及び充電可能量に関する情報に基づいて、将来の前記所定の時間単位毎における、複数の蓄電設備それぞれにおける放電可能量及び充電可能量を単位充放電可能量予測として算出するとともに、複数の前記蓄電設備の全体での放電可能量及び充電可能量を総充放電可能量予測として算出する充放電可能量算出手段と、
前記負荷設備総電力需要予測、前記従来型発電設備総発電量予測、前記再生可能エネルギー発電設備総発電量予測及び、前記総充放可能量予測に基づいて、将来の前記所定の時間単位毎に、複数の前記蓄電設備から複数の前記負荷設備に対して供給される電力量の全体である総放電量を総放電量予測として算出し、または、複数の前記再生可能エネルギー発電設備から複数の前記蓄電設備に対して供給される電力量の全体である総充電量を総充電量予測として算出する充放電量算出手段と
を備えている電力管理システム。
【0017】
[2]
前記総放電量に応じて複数の前記蓄電設備を所有している複数の蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金の総額である総放電料金を算出し、または、前記総充電量に応じて複数の前記蓄電設備所有者に対して課金される充電料金の総額である総充電料金を算出する充放電料金算出手段を更に備えている[1]の電力管理システム。
【0018】
[3]
前記充放電量算出手段は、前記蓄電設備のそれぞれから放電される単位放電量または前記蓄電設備のそれぞれに充電される単位充電量を算出する[1]又は[2]の電力管理システム。
【0019】
[4]
前記充放電料金算出手段は、更に、前記単位放電量に応じて、前記単位放電量が算出された前記蓄電設備を所有している前記蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金である単位放電料金を算出し、又は、前記単位充電量に応じて、前記単位充電量が算出された前記蓄電設備を所有している前記蓄電設備所有者に対して課金される充電料金である単位充電料金を算出する[3]の電力管理システム。
【0020】
[5]
単位充電料金の単価である単位充電料金単価よりも、単位放電料金の単価である単位放電料金単価の方が高額に設定されている[4]の電力管理システム。
【0021】
[6]
将来の前記所定の時間単位毎に複数の前記従来型発電設備のそれぞれで許容できる発電低減量である単位従来型発電設備許容発電低減量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎に許容できる発電低減量の総体である従来型発電設備総許容発電低減量予測を算出する従来型発電設備許容発電低減量予測算出手段と、
将来の前記所定の時間単位毎に複数の前記従来型発電設備のそれぞれで許容できる発電増加量である単位従来型発電設備許容発電増加量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備の全体での将来の前記所定の時間単位毎に許容できる発電増加量の総体である従来型発電設備総許容発電増加量予測を算出する従来型発電設備許容発電増加量算出手段と
をさらに備えていて、
充放電量算出手段は、総放電量予測または総充電量予測の算出を行う際に、前記従来型発電設備総許容発電低減量予測及び、前記従来型発電設備総許容発電増加量予測を参照する[1]~[5]のいずれかの電力管理システム。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、揚水発電所、等の従来型発電設備による発電、電力供給及び、太陽光発電、風力発電、地熱発電、等の再生可能エネルギー発電設備よる発電、電力供給と、工場、会社、店舗、住宅、等で電力を使用する負荷設備での電力需要との間の調整に、日本国中に広く存在する蓄電設備(蓄電池)からの放電及び、前記蓄電設備(蓄電池)への充電を組み込み、更に、前記蓄電設備(蓄電池)がこのように利用されることに対して、前記蓄電設備(蓄電池)の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられる電力管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明に係る電力管理システムの一実施形態の構成を説明する概念図。
図2】この発明に係る電力管理システムの一実施形態のシステム構成の一例を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の電力管理システムはコンピュータシステムによって構成されるもので、図1に概略構成を示した実施形態では、管理サーバ1と、複数の負荷設備端末3a、3b、3c、・・・、複数の従来型発電設備端末5a、5b、5c、・・・、複数の再生可能エネルギー発電設備端末7a、7b、7c、・・・・、複数の蓄電設備端末9a、9b、9c、・・・・とがネットワーク10を介して情報交信可能に接続されて構成される。
【0025】
複数の負荷設備端末3a、3b、3c、・・・は、図1図示のように、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の負荷設備2a、2b、2c、・・・のそれぞれに配備されている。
【0026】
複数の従来型発電設備端末5a、5b、5c、・・・は、図1図示のように、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の従来型発電設備4a、4b、4c、・・・のそれぞれに配備されている。
【0027】
複数の再生可能エネルギー発電設備端末7a、7b、7c、・・・・は、図1図示のように、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の再生可能エネルギー発電設備6a、6b、6c、・・・のそれぞれに配備されている。
【0028】
複数の蓄電設備端末9a、9b、9c、・・・・は、図1図示のように、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の蓄電設備8a、8b、8c、・・・のそれぞれに配備されている。
【0029】
複数の負荷設備2a、2b、2c、・・・は、例えば、工場、会社、店舗、住宅、等で電力を使用する負荷設備である。以下、本明細書、図面において、負荷設備2a、2b、2c、・・・を総称して単に「負荷設備2」と表すことがある。
【0030】
複数の従来型発電設備4a、4b、4c、・・・は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、揚水発電所、等の発電設備である。以下、本明細書、図面において、従来型発電設備4a、4b、4c、・・・を総称して単に「従来型発電設備4」と表すことがある。
【0031】
複数の再生可能エネルギー発電設備6a、6b、6c、・・・は、例えば、太陽光発電、風力発電、地熱発電、等の発電設備である。以下、本明細書、図面において、再生可能エネルギー発電設備6a、6b、6c、・・・を総称して単に「再生可能エネルギー発電設備6」と表すことがある。
【0032】
なお、水力発電所、揚水発電所を、再生可能エネルギー発電の一形態とすることもあるが、本明細書では、これらを従来型発電設備として取り扱っている。
【0033】
複数の蓄電設備8a、8b、8c、・・・は、再生可能エネルギー発電設備6に対して併設されている、等の使用形態を例示できる蓄電池、等の蓄電設備や、電気自動車に配備されている蓄電池、等の蓄電設備であって、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている蓄電設備である。これらの蓄電設備は、必要に応じて、再生可能エネルギー発電設備6で発電した電力が一時的に蓄電されたり、上述した負荷に対する一時的な電力供給、等の目的で放電が行われる、等の使われ方をする。以下、本明細書、図面において、蓄電設備8a、8b、8c、・・・を総称して単に「蓄電設備8」と表すことがある。
【0034】
図1図示の実施形態では、負荷設備2a、2b、2c、従来型発電設備4a、4b、4c、再生可能エネルギー発電設備6a、6b、6c、蓄電設備8a、8b、8cのみが図示されているが、複数の負荷設備2、複数の従来型発電設備4、複数の再生可能エネルギー発電設備6、複数の蓄電設備8は、本発明の電力管理システムによって管理される地域、エリア、例えば、北海道エリア、青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島の東北6県からなる東北エリア、東日本エリア、西日本エリアなどの管理対象エリアに存在していて、本発明の電力管理システムによって電力の需要と供給、蓄電設備への充電と、蓄電設備からの放電とが管理、調整される複数の負荷設備2、複数の従来型発電設備4、複数の再生可能エネルギー発電設備6、複数の蓄電設備8を含むものである。
【0035】
上述した、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている負荷設備2、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている従来型発電設備4、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている再生可能エネルギー発電設備6、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている蓄電設備8は、本発明の電力管理システムによって管理される上述の管理対象エリアに存在していて、本発明の電力管理システムによって電力の需要と供給、蓄電設備への充電と、蓄電設備からの放電とが管理、調整されるもので、本明細書において、単に「管理対象になっている負荷設備」、「管理対象になっている従来型発電設備」、「管理対象になっている再生可能エネルギー発電設備」、「管理対象になっている蓄電設備」と表すことがある。
【0036】
管理サーバ1はコンピュータから構成されており、図示していないが、オペレーティングシステムや、インストールあるいはダウンロードした所定のコンピュータプログラムなどに従って、この実施形態のシステムの各種の機能が実現されるように制御を行うCPU、オペレーティングシステムや種々のコンピュータプログラムなどを記憶し、また、CPUが各制御のための処理を実行する上で必要なデータを記憶する記憶部としてのROM、CPUが処理を実行する上で必要なデータを記憶し、CPUによって情報が適宜書き換えられるワークエリアとしても利用されるRAMやハードディスク、通信インターフェース等の情報入出力部などが備えられていて、これらが必要なバスラインで接続されている構成になる。
【0037】
管理サーバ1は、クラウド上にサーバが構築されている形態にすることもできる。また、後述する各手段が分散配備されている複数のサーバコンピュータから構成されている形態にすることもできる。
【0038】
負荷設備端末3a、3b、3c、・・・、従来型発電設備端末5a、5b、5c、・・・、再生可能エネルギー発電設備端末7a、7b、7c、・・・・、蓄電設備端末9a、9b、9c、・・・・は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型端末など、一般に広く普及している汎用デバイスからなり、インターネット、等の有線や無線のネットワーク10を介してコンピュータからなる管理サーバ1との間で情報交信可能に接続され、所定のコンピュータプログラムにより、後述する種々の処理動作を実行するものである。
【0039】
以下、本明細書、図面において、負荷設備端末3a、3b、3c、・・・、従来型発電設備端末5a、5b、5c、・・・、再生可能エネルギー発電設備端末7a、7b、7c、・・・・、蓄電設備端末9a、9b、9c、・・・・を、それぞれ、総称して、単に、「負荷設備端末3」、「従来型発電設備端末5」、「再生可能エネルギー発電設備端末7」、「蓄電設備端末9」と表すことがある。
【0040】
図2は、この発明に係る電力管理システムの一実施形態のシステム構成の一例を説明するブロック図である。
【0041】
管理サーバ1は、所定のコンピュータプログラムの下で、後述する処理動作をそれぞれ実行する電力需要予測算出手段100、従来型発電設備発電量予測算出手段101、再生可能エネルギー発電量予測算出手段102、充放電可能量算出手段103、充放電量算出手段104、充放電料金算出手段105、従来型発電設備許容発電低減量予測算出手段106、従来型発電設備許容発電増加量算出手段107を備えている。
【0042】
管理サーバ1のデータベース200には、図示の実施形態では、負荷設備電力需要実績履歴データベース201、従来型発電設備発電実績履歴データベース202、再生可能エネルギー発電設備発電実績履歴データベース203、気候・環境条件実績履歴データベース204、イベント実績履歴データベース205、充電設備データベース206、充放電実績履歴データベース207、料金テーブルデータベース208、送配電線網データベース209、発電設備稼働計画データベース210、イベント計画データベース211、負荷設備総電力需要予測データベース212、従来型発電設備発電量予測データベース213、再生可能エネルギー発電設備発電量予測データベース214、充放電可能量予測データベース215、充放電量予測データベース216、充放電料金データベース217、従来型発電設備許容発電低減量予測データベース218、従来型発電設備許容発電増加量予測データベース219が備えられている。以下、本明細書、図面において、データベースを単に「DB」と表すことがある。
【0043】
負荷設備電力需要実績履歴DB201には、後述する電力需要予測算出手段100が単位負荷設備電力需要予測算出処理、負荷設備総電力需要予測算出処理を行う際に参照する、負荷設備電力需要実績履歴に関する情報が蓄積・格納されている。すなわち、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の負荷設備2のそれぞれにおける過去の所定の時間単位(例えば、2021年11月1日(月曜日)の午後1時~午後2時)での電力需要実績が履歴情報として格納されている。複数の負荷設備2のそれぞれにおける過去の所定の時間単位での電力需要実績は、例えば、前記所定の時間単位ごとに、管理サーバ1が、各負荷設備端末3から電力需要実績に関する情報を、ネットワーク10を介する、等して取得することで、負荷設備電力需要実績履歴DB201に蓄積、格納されていく。
【0044】
従来型発電設備発電実績履歴DB202には、後述する従来型発電設備発電量予測算出手段101が単位従来型発電設備発電量予測算出処理、従来型発電設備総発電量予測を算出する処理を行う際に参照する、従来型発電設備発電実績履歴に関する情報が蓄積・格納されている。すなわち、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の従来型発電設備4のそれぞれにおける過去の所定の時間単位(例えば、2021年11月1日(月曜日)の午後1時~午後2時)での発電実績が履歴情報として格納されている。複数の従来型発電設備4のそれぞれにおける過去の所定の時間単位での発電実績は、例えば、前記所定の時間単位ごとに、管理サーバ1が、各従来型発電設備端末5から発電実績に関する情報を、ネットワーク10を介する、等して取得することで、従来型発電設備発電実績履歴DB202に蓄積、格納されていく。
【0045】
再生可能エネルギー発電設備発電実績履歴DB203には、後述する再生可能エネルギー発電量予測算出手段102が単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測算出処理、再生可能エネルギー発電設備総発電量予測算出処理を行う際に参照する、再生可能エネルギー発電設備発電実績履歴に関する情報が蓄積・格納されている。すなわち、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の再生可能エネルギー発電設備6のそれぞれにおける過去の所定の時間単位(例えば、2021年11月1日(月曜日)の午後1時~午後2時)での発電実績が履歴情報として格納されている。複数の再生可能エネルギー発電設備6のそれぞれにおける過去の所定の時間単位での発電実績は、例えば、前記所定の時間単位ごとに、管理サーバ1が、各再生可能エネルギー発電設備端末7から発電実績に関する情報を、ネットワーク10を介する、等して取得することで、再生可能エネルギー発電設備発電実績履歴DB203に蓄積、格納されていく。
【0046】
気候・環境条件実績履歴DB204には、後述する従来型発電設備発電量予測算出手段101が単位従来型発電設備発電量予測算出処理、従来型発電設備総発電量予測を算出処理を行う際及び、後述する再生可能エネルギー発電量予測算出手段102が単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測算出処理、再生可能エネルギー発電設備総発電量予測算出処理を行う際に参照する気候・環境条件データが蓄積・格納されている。例えば、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の負荷設備2の電力需要に対して影響を与える、複数の負荷設備2それぞれが所在している地域における過去の気候・環境条件実績履歴情報及び将来の気候・環境条件予測、並びに、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の再生可能エネルギー発電設備6による発電量に対して影響を与える複数の再生可能エネルギー発電設備6それぞれが所在している地域における過去の気候・環境条件実績履歴情報及び将来の気候・環境条件予測が格納されている。
【0047】
気候・環境条件実績履歴DB204に格納されているこれらの気候・環境条件に関するデータは、これらを提供する商用ウェブサイトなどから管理サーバ1が取得する、等して気候・環境条件実績履歴DB204に蓄積、格納されていく。
【0048】
イベント実績履歴DB205には、後述する電力需要予測算出手段100が単位負荷設備電力需要予測算出処理、負荷設備総電力需要予測算出処理を行う際に参照する、イベント実績履歴に関する情報が蓄積・格納されている。すなわち、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の負荷設備2が所在している地域におけるイベント(例えば、休日、お祭り、コンサート、等)の開催履歴と、当該イベントの際の該当する負荷設備2における電力需要実績に関する情報が格納されている。イベント実績履歴DB205に格納されるこのような情報は、管理サーバ1が取得した各種イベントの開催履歴情報と、負荷設備電力需要実績履歴DB201に蓄積、格納されている上述した情報とを参照して、管理サーバ1の所定の処理動作部が作成してイベント実績履歴DB205に格納、蓄積する。
【0049】
充電設備DB206には、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の蓄電設備8に関するデータが格納されている。蓄電設備8に関するデータとしては、蓄電設備8が設置されている場所、蓄電設備8が電気自動車に配備されている蓄電池である場合は当該蓄電池への充電及び当該蓄電池からの放電が行われる場所に関する情報、蓄電設備8の所有者に関する情報(例えば、この実施形態の電力管理システムの管理の下で、蓄電設備8から放電が行われたり、蓄電設備8への充電が行われる際に、放電量に応じてこの実施形態の電力管理システムの管理・運営者から支払いが行われる放電料金の支払先及び、充電量に応じてこの実施形態の電力管理システムの管理・運営者から課金が行われる充電料金の課金先になる蓄電設備8の所有者に関する情報)、各蓄電設備8における放電可能量及び充電可能量に関する情報などがある。
【0050】
蓄電設備8が設置されている場所、蓄電設備8が電気自動車に配備されている蓄電池である場合は当該蓄電池への充電及び当該蓄電池からの放電が行われる場所に関する情報、蓄電設備8の所有者に関する情報などは、各蓄電設備8がこの実施形態の電力管理システムによる管理の対象となって登録される際に管理サーバ1が取得して充電設備DB206に格納、蓄積される。
【0051】
各蓄電設備8における放電可能量及び充電可能量に関する情報は、管理サーバ1が、各蓄電設備端末9から、この情報を、ネットワーク10を介する、等して取得することで、充電設備DB206に蓄積、格納されていく。この情報取得、蓄積、格納は、例えば、上述した所定の時間単位に対応させて、各蓄電設備端末9が1時間間隔、等の時間間隔で、ネットワーク10を介して管理サーバ1へ送出される形態にすることができる。
【0052】
各蓄電設備8における放電可能量及び充電可能量に関する情報は、後述する充放電可能量算出手段103が行う単位充放電可能量予測算出処理、総充放電可能量予測算出処理の際に参照される。
【0053】
充放電実績履歴DB207には、この実施形態の電力管理システムによる管理の対象になっている複数の蓄電設備8のそれぞれにおいて、この実施形態の電力管理システムの管理の下で各蓄電設備8から放電が行われた際の放電量に関する情報、この実施形態の電力管理システムの管理の下で各蓄電設備8に充電が行われた際の充電量に関する情報が蓄積、格納されている。これらの情報は、後述する充放電可能量算出手段103が行う単位充放電可能量予測算出処理、総充放電可能量予測算出処理の際に参照される。また、これらの情報は、管理サーバ1が、各蓄電設備端末9からこれらの情報を、ネットワーク10を介する、等して取得することで、充放電実績履歴DB207に蓄積、格納されていく。
【0054】
料金テーブルDB208には、将来の所定の時間単位毎に複数の蓄電設備8から複数の負荷設備2に対して供給される電力量の全体である総放電量に応じて複数の蓄電設備8を所有している複数の蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金の総額である総放電料金を算出するために必要な放電料金の単価、複数の再生可能エネルギー発電設備4から複数の蓄電設備8に対して供給される電力量の全体である総充電量に応じて複数の蓄電設備所有者に対して課金される充電料金の総額である総充電料金を算出するために必要な充電料金の単価などに関する情報が格納されている。これらの情報は、後述する充放電料金算出手段105が行う算出処理の際に参照される。
【0055】
送配電線網DB209には、負荷設備2、従来型発電設備4、再生可能エネルギー発電設備6、蓄電設備8の間での送電用に配備されている送配電線網に関する情報が蓄積、格納されている。例えば、負荷設備2と、従来型発電設備4、再生可能エネルギー発電設備6、蓄電設備8との間の距離、各送電線により送電が行われる際の送電ロスに関する情報などが蓄積、格納されている。
【0056】
発電設備稼働計画DB210には、各従来型発電設備4及び、各再生可能エネルギー発電設備6における稼働計画、すなわち、将来に予定している発電計画に関する情報が蓄積、格納されている。管理サーバ1が、各従来型発電設備端末5及び、各再生可能エネルギー発電設備端末7からこれらの情報を、ネットワーク10を介する、等して取得することで、発電設備稼働計画データベース210に蓄積、格納されていく。
【0057】
各従来型発電設備4及び、各再生可能エネルギー発電設備6における稼働計画に変更が生じた場合には、その情報を、管理サーバ1が、各従来型発電設備端末5及び、各再生可能エネルギー発電設備端末7から、ネットワーク10を介する、等して取得することで、発電設備稼働計画DB210にて更新していく。
【0058】
イベント計画DB211には、負荷設備2が所在している地域において、電力需要に変動を生じさせる可能性が予想されるイベントの予定に関する情報が蓄積、格納されている。
【0059】
負荷設備総電力需要予測DB212には、後述する電力需要予測算出手段100によって算出された負荷設備総電力需要予測が蓄積、格納されている。
【0060】
従来型発電設備発電量予測DB213には、後述する従来型発電設備発電量予測算出手段101によって算出された単位従来型発電設備発電量予測及び、従来型発電設備総発電量予測が蓄積、格納される。
【0061】
再生可能エネルギー発電設備発電量予測DB214には、後述する再生可能エネルギー発電量予測算出手段102によって算出された単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測及び、再生可能エネルギー発電設備総発電量予測が蓄積、格納される。
【0062】
充放電可能量予測DB215には、後述する充放電可能量算出手段103によって算出された単位充放電可能量予測及び、総充放電可能量予測が蓄積、格納される。
【0063】
充放電量予測DB216には、後述する充放電量算出手段104が算出した総放電量予測または、総充電量予測が蓄積、格納される。また、後述する充放電量算出手段104が算出した単位放電量または単位充電量が蓄積、格納される。
【0064】
充放電料金DB217には、後述する充放電料金算出手段105が算出した総放電料金または、総充電料金が蓄積、格納される。また、後述する充放電料金算出手段105が算出した単位放電料金または、単位充電料金が蓄積、格納される。
【0065】
従来型発電設備許容発電低減量予測DB218には、後述する従来型発電設備許容発電低減量予測算出手段107が算出した単位従来型発電設備許容発電低減量予測及び、従来型発電設備総許容発電低減量予測が蓄積、格納される。
【0066】
従来型発電設備許容発電増加量予測DB219には、後述する従来型発電設備許容発電増加量算出手段108が算出した単位従来型発電設備許容発電増加量予測及び、従来型発電設備総許容発電増加量予測が蓄積、格納される。
【0067】
電力需要予測算出手段100は、管理対象になっている複数の負荷設備2のそれぞれにおける将来の所定の時間単位(例えば、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎の電力需要である単位負荷設備電力需要予測を算出するとともに、複数の負荷設備2の全体での将来の前記所定の時間単位(すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎の電力需要である負荷設備総電力需要予測を算出する処理を行う。算出された負荷設備総電力需要予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報(例えば、前記の場合であれば、将来の所定の時間単位(例えば、2022年12月1日 午後1時~午後2時)の前日である2022年11月30日 午後1時)に関連付けられて負荷設備総電力需要予測DB212に蓄積、格納される。
【0068】
従来型発電設備発電量予測算出手段101は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点(前記の場合は、2022年11月30日 午後1時)における、将来の前記所定の時間単位(すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎に、管理対象になっている複数の従来型発電設備4のそれぞれで予定されている発電量である単位従来型発電設備発電量予測を算出するとともに、複数の従来型発電設備4の全体での将来の前記所定の時間単位すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎に予定されている発電量の総体である従来型発電設備総発電量予測を算出する処理を行う。算出された単位従来型発電設備発電量予測及び、従来型発電設備総発電量予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報(すなわち、2022年11月30日 午後1時)に関連付けられて従来型発電設備発電量予測DB213に蓄積、格納される。
【0069】
再生可能エネルギー発電予測算出手段102は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点(前記の場合は、2022年11月30日 午後1時)における、将来の前記所定の時間単位(すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎に管理対象になっている複数の再生可能エネルギー発電設備6のそれぞれで発電される発電量である単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測を算出するとともに、複数の再生可能エネルギー発電設備6の全体で将来の前記所定の時間単位(すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎に発電される発電量の総体である再生可能エネルギー発電設備総発電量予測を算出する処理を行う。算出された単位再生可能エネルギー発電設備発電量予測及び、再生可能エネルギー発電設備総発電量予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報(すなわち、2022年11月30日 午後1時)に関連付けられて再生可能エネルギー発電設備発電量予測DB214に蓄積、格納される。
【0070】
充放電可能量算出手段103は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時点(前記の場合は、2022年11月30日 午後1時)における、管理対象になっている複数の蓄電設備8それぞれにおける放電可能量及び充電可能量に関する情報に基づいて、将来の前記所定の時間単位(すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎における、複数の蓄電設備8それぞれにおける放電可能量及び充電可能量を単位充放電可能量予測として算出するとともに、複数の蓄電設備8の全体での放電可能量及び充電可能量を総充放電可能量予測として算出する処理を行う。算出された単位充放電可能量予測及び、総充放電可能量予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報(すなわち、2022年11月30日 午後1時)に関連付けられて充放電可能量予測DB215に蓄積、格納される。
【0071】
充放電量算出手段104は、前記負荷設備総電力需要予測、前記従来型発電設備総発電量予測、前記再生可能エネルギー発電設備総発電量予測及び、前記総充放可能量予測に基づいて、将来の前記所定の時間単位(すなわち、2022年12月1日 午後1時~午後2時)毎に、複数の蓄電設備8から複数の負荷設備2に対して供給される電力量の全体である総放電量を総放電量予測として算出し、または、複数の再生可能エネルギー発電設備6から複数の前記蓄電設備8に対して供給される電力量の全体である総充電量を総充電量予測として算出する処理を行う。算出された総放電量予測または、総充電量予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報(すなわち、2022年11月30日 午後1時)に関連付けられて充放電量予測DB216に蓄積、格納される。
【0072】
充放電料金算出手段105は、前記総放電量に応じて複数の蓄電設備8を所有している複数の蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金の総額である総放電料金を算出し、または、前記総充電量に応じて複数の前記蓄電設備所有者に対して課金される充電料金の総額である総充電料金を算出する処理を行う。算出された総放電料金、または、算出された総充電料金は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報に関連付けられて充放電料金DB217に蓄積、格納される。
【0073】
充放電量算出手段104は、更に、前記蓄電設備8のそれぞれから放電される単位放電量または前記蓄電設備8のそれぞれに充電される単位充電量を算出する処理を行う。算出された単位放電量、または、算出された単位充電量は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報に関連付けられて充放電量予測DB216に蓄積、格納される。
【0074】
充放電料金算出手段105は、更に、前記単位放電量に応じて、前記単位放電量が算出された前記蓄電設備8を所有している前記蓄電設備所有者に対して支払われる放電料金である単位放電料金を算出し、又は、前記単位充電量に応じて、前記単位充電量が算出された前記蓄電設備8を所有している前記蓄電設備所有者に対して支払われる充電料金である単位充電料金を算出する処理を行う。
【0075】
算出された単位放電料金、又は、算出された単位充電料金は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報に関連付けられて充放電料金DB217に蓄積、格納される。
【0076】
単位充電料金の単価である単位充電料金単価よりも、単位放電料金の単価である単位放電料金単価の方が高額に設定されている形態にすることができる。
【0077】
この実施形態では、本発明の電力管理システムによって管理される地域、エリア、例えば、北海道エリア、青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島の東北6県からなる東北エリア、東日本エリア、西日本エリアなどの管理対象エリアに存在している複数の負荷設備2、複数の従来型発電設備4、複数の再生可能エネルギー発電設備6、複数の蓄電設備8の間で、蓄電設備への充電と蓄電設備からの放電とを伴った、電力の需要と供給の調整を行っている。
【0078】
複数の負荷設備2からの電力需要、複数の従来型発電設備4による発電、複数の再生可能エネルギー発電設備6による発電は非常に大規模なものになり、蓄電設備8も、電気自動車に配備されている蓄電池をも蓄電設備としていることから非常に大規模なものになる。
【0079】
そこで、例えば、24時間前に、24時間後における管理対象エリアでの総電力需要、管理対象エリアでの総発電量、管理対象エリアに存在している蓄電設備からの総放電可能量、総充電可能量を、上述した種々のDBに格納されている情報を参照して算出、予測し、再生可能エネルギー発電設備6よる発電での電力が余剰になったときに、これを蓄電設備8における充電可能範囲内で蓄電設備8に充電し、一方、従来型発電設備4による予定していた発電による電力及び、並行して発電が行われている再生可能エネルギー発電設備6よる発電での電力によっても電力需要を賄えないときに、蓄電設備8における放電可能範囲内で蓄電設備8から放電させて電力需要に供給することが可能になる。
【0080】
この際、蓄電設備8が前述のように活用されることに対して、蓄電設備8の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられるようにしている。
【0081】
蓄電設備8が前述のように活用されることに対して、蓄電設備8の使用者・所有者に何らかの経済的な利益が与えられる形態としては、蓄電設備8への前述した充電によって前記使用者・所有者に対して課金される充電料金の単価よりも、蓄電設備8からの前述した放電によって前記使用者・所有者に対して支払われる放電料金の単価を高額にする形態を採用しているものである。
【0082】
例えば、充電料金の単価を1kWh=30円、放電料金の単価を1kWh=50円とすることで、蓄電設備8の使用者・所有者は、自己が使用・所有している蓄電設備8が本発明の電力管理システムに組み込まれることで、経済的な利益を得ることを期待できるようになる。
【0083】
従来型発電設備許容発電低減量予測算出手段107は、将来の前記所定の時間単位毎に複数の前記従来型発電設備4のそれぞれで許容できる発電低減量である単位従来型発電設備許容発電低減量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備4の全体での将来の前記所定の時間単位毎に許容できる発電低減量の総体である従来型発電設備総許容発電低減量予測を算出する処理を行う。
【0084】
算出された単位従来型発電設備許容発電低減量予測及び、算出された従来型発電設備総許容発電低減量予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報に関連付けられて従来型発電設備許容発電低減量予測DB218に蓄積、格納される。
【0085】
従来型発電設備許容発電増加量算出手段108は、将来の前記所定の時間単位毎に複数の前記従来型発電設備4のそれぞれで許容できる発電増加量である単位従来型発電設備許容発電増加量予測を算出するとともに、複数の前記従来型発電設備4の全体での将来の前記所定の時間単位毎に許容できる発電増加量の総体である従来型発電設備総許容発電増加量予測を算出する処理を行う。
【0086】
算出された単位従来型発電設備許容発電増加量予測及び、算出された従来型発電設備総許容発電増加量予測は、電力需要予測算出手段100が前記単位負荷設備電力需要予測及び前記負荷設備総電力需要予測を算出した時間情報に関連付けられて従来型発電設備許容発電増加量予測DB219に蓄積、格納される。
【0087】
上述した充放電量算出手段104は、上述した総放電量予測または総充電量予測の算出を行う際に、前記従来型発電設備総許容発電低減量予測及び、前記従来型発電設備総許容発電増加量予測を参照する形態にすることができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態を説明したが本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
図1
図2