(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078931
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】オムツ及びオムツに用いられる交換パック
(51)【国際特許分類】
A61F 5/44 20060101AFI20240604BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240604BHJP
A61F 13/505 20060101ALI20240604BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240604BHJP
A61F 13/495 20060101ALI20240604BHJP
A61F 13/66 20060101ALI20240604BHJP
A61F 5/452 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61F5/44 H
A61F13/15 130
A61F13/505 100
A61F13/15 142
A61F13/53 200
A61F13/495
A61F13/66
A61F5/452
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191556
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】521012164
【氏名又は名称】株式会社スリージョイビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】菰田 正治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 厚子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英忠
(72)【発明者】
【氏名】藤井 昌彦
【テーマコード(参考)】
3B200
4C098
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA17
3B200BA01
3B200BA04
3B200BA06
3B200BB24
3B200CA12
3B200CA13
3B200CB01
3B200CB11
3B200DA13
3B200DB05
3B200DB27
3B200DE01
3B200DE03
4C098AA09
4C098CC10
4C098CC14
4C098CC29
4C098CC31
4C098CD01
4C098CE07
4C098CE15
4C098CE17
(57)【要約】
【課題】臀筋の代替機能部分を含めてオムツの基本的な部分を全て洗濯可能とする。
【解決手段】布製の縦布体100と、布製のバンド部170と、を具備し、前記縦布体は、前記縦布体100が人体に装着されたときに、前記人体の尻穴部に対向する位置に有底穴部110を有しており、前記縦布体100が人体に装着されたときに、前記縦布体100内の前記人体の臀部に対向する位置に洗濯可能なクッションにより構成される代用臀筋120が内蔵されて設けられており、前記クッションを含めた前記縦布体100と前記バンド部170とが洗濯可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の腹部から股部及び臀部を介して背中側の腰部までを被覆する布製の縦布体と、
前記背中側の腰部に対応する前記縦布体の部位の両サイドから外側へ突出するバンド部であって、前記縦布体が人体の腹部から股部及び臀部を介して背中側の腰部までを被覆する状態となったときに、前記人体の腹部に対応する前記縦布体を表面から包み込むように着脱可能に固定する布製のバンド部と、
を具備し、
前記縦布体は、
前記縦布体が人体に装着されたときに、前記人体の尻穴部に対向する位置に有底穴部を有しており、
前記縦布体が人体に装着されたときに、前記縦布体内の前記人体の臀部に対向する位置に洗濯可能なクッションにより構成される代用臀筋が内蔵されて設けられており、
前記クッションを含めた前記縦布体と前記バンド部とが洗濯可能であることを特徴とするオムツ。
【請求項2】
前記縦布体に重ねて使用する前記縦布体より僅かに小さい内装シートを備えることを特徴とする請求項1に記載のオムツ。
【請求項3】
前記縦布体と前記内装シートは多層構造であり、最も内側は水透過性の布であり、最も外側は水が漏れ難い防水性の布であることを特徴とする請求項2に記載のオムツ。
【請求項4】
前記内装シートは、前記縦布体の有底穴部の内に適合挿入される防水袋体を備えることを特徴とする請求項2に記載のオムツ。
【請求項5】
前記縦布体の内側であって、前記縦布体を装着した状態において尿が到来する部分に配置され、尿の到来側からの尿を吸収すると共に到来側の反対側へ漏れない防水性シートを備える尿パッドを有することを特徴とする請求項1に記載のオムツ。
【請求項6】
前記縦布体内の代用臀筋の部分の厚みが18mm~40mmであることを特徴とする請求項1に記載のオムツ。
【請求項7】
前記縦布体の人体と触れる側であって、代用臀筋に対応する領域には、カテキンによる除菌効果を有する緑茶葉を含む抗菌材が包装されると共に、吸湿材が包装された抗菌剤・吸湿材包装袋が貼着されることを特徴とする請求項1に記載のオムツ。
【請求項8】
オムツに用いられる「ハット」の形状を有し、
ツバ部分が広く、吸水性と拡散性を有する合成樹脂を含む布により構成され、人の肌に接する内側の部分に位置する第1層シートと、
吸水性及び保水性を有する綿などの繊維や樹脂により構成される第2層シートと、
防水の布や合成樹脂により構成され、前記第2層シートに保水された水をオムツへ漏らすことはない第3層シートと、
により三層に構成される交換パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オムツ及びオムツに用いられる交換パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者らは、選択可能な布製のオムツ機能シートのおまる型装着便器を発明し出願した(特許文献1)。このおまる型装着便器の開発に当たっては、以下のようなオムツや便器等の問題点等を考慮した。
【0003】
まず、「差し込み型便器」については、介護者等を呼び出して便意を伝え、「差し込み型便器」を用意してもらい、腰の下に設置してもらって用を足した後に、再び介護者等を呼んで後処理及び片付けをしてもらう必要がある。従って、介護者等を呼び出すことができない人には使用することができない。
【0004】
次に、オムツのうちの布製のものにあっては、洗濯して用いれば複数回の使用が可能で経済的であるものの、洗濯と乾燥の作業が必要であり、手間と時間が必要であるという欠点を有している。
【0005】
紙製のオムツは使い捨てであり、広く用いられており、販売店における子供用オムツの売り場面積よりも大人用オムツの売り場面積が広く取られるまでになっている。しかし、紙オムツには排泄された大便を受け止めて貯めておくスペースが設けられておらず、大便が紙オムツ内において広がり装着した尻に附着してしまう場合がある。オムツ内に広がった大便は尿路感染症を発症させる虞もある。尿路感染症は、便に由来する菌が原因であることが多く、問題である。
【0006】
更に、上述したように、「腸液」のために皮膚が溶かされて赤くなり、更に湿疹ができ、そして次には、褥瘡(床ずれ)が発生する。オムツカバーは、臀部対応弾性部材と仙骨保護用弾性部材と排便筒部とカバーとを具備するものである。上記臀部対応弾性部材は、少なくとも仙骨先端の尾骨を避けて臀部と対向する位置において、仰臥及び座位状態の臀部を床側から押し上げるものである。
【0007】
オムツユニット及びオムツ外装体では、装着時にカバーが人の臀部と対向する部位において、衝撃吸収ジェル片が、カバーと人工臀筋ブロックとの間に設けられている。そこで、特許文献1においては、次のような構成を有するおまる型装着便器を提案した。
【0008】
特許文献1のおまる型装着便器は、人の臀部と着座対象物との間においてクッションの役割をなす外装体と、前記外装体の内側に設けられ人から排出された便を受けて保持する内装体とを具備するものである。
そして、上記外装体は、弾性ブロックと弾性ブロックカバーとを有する。
弾性ブロックは、中央部に、人から排出された便に対応する便対応穴を有する弾性ブロックであって、着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、前記便対応穴に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する。
弾性ブロックカバーは、前記弾性ブロックの前記便対応穴の部分において有底穴が形成されるように前記弾性ブロックを被覆する弾性ブロックカバーであって、被覆状態の前記弾性ブロックを、臀部に位置付けた状態で人に装着させる装着バンドが設けられている。
【0009】
特許文献1のおまる型装着便器における前記内装体は、通常のオムツと同様に、人の背中と腰の境界部分から股を介して腹部の臍付近までを覆うことが可能な広さと長さを有する布製のオムツ機能シートであって、前記便対応穴に収納される袋状の便受袋部が取り付けられたオムツ機能シートにより構成されている。上記便受袋部には、水解紙により構成される使い捨て便受が設けられる。このような構成によれば、臀部に加わる応力が分散され、仙骨部分に褥瘡ができ難く、また、褥瘡ができている場合に悪化を抑制する効果がある。
【0010】
特許文献2には、パッドから取り外して洗濯し、再利用できる帯部材、および当該帯部材を備えたおむつが開示されている。
このおむつは、着用者の股間に宛がわれるパッドと、着用者の腰周りに支持される帯部材と、を備えている。帯部材は、パッドに対して、着脱可能となっている。このため、おむつの使用後には、パッドと帯部材とを分離して、パッドのみを廃棄できる。また、帯部材の帯状シートは、洗濯可能な織布により構成されている。このため、帯部材を洗濯し、洗濯後の帯部材に、新たなパッドを取り付けて、着用できるものである。
【0011】
特許文献3には、吸水機能を有するおむつを保持部から1つずつ取り外すことなく、容易に洗濯可能としたおむつ保持具およびこれを用いたおむつセットが開示されている。
この発明は、吸水機能を有するおむつと、このおむつを保持するおむつ保持具とからなるおむつセットである。おむつ保持具は、おむつを保持する保持部と、この保持部の長手方向両端部のみが固定された保持具本体とからなる。おむつ保持具は、洗濯機内で揉まれる際、その保持部の長手方向両端部のみが保持具本体に支持された状態であるため、中央部が保持具本体から離れて自在に湾曲し、保持部に保持されたおむつは、保持部から押し出され、おむつ保持具から完全に分離されて、おむつ保持具とともに洗濯されるというものである。
【0012】
更に、特許文献4には、カバーが、内側に非吸収性材料製のポケットまたはカバーフラップを有するおむつが開示されている。洗濯可能な繊維材料から形成衛生吸収パッド体は、使い捨てユニットとして使用が増大していて、繊維状の超吸収性材料をカバーに包んで形成され、このカバーは、適宜のシート材を用いて、外側が液密で、一方、内側は液体透過性ではあるが非吸収性であり、湿った状態のパッドが乾燥状態に感じられるものである。これらの製品はプラスチックを含むために廃棄システムに負担となる。この発明では、パッド部材自体が機械的および生物学的の双方で分解するように形成され、カバーは、使用後にパッド部材を取外し可能で、好ましくは便器に直接洗い流すことができるように、形成されている。おむつに関する限り、カバーは、新しいパッド部材を快適で再使用可能な繊維おむつに装着することができるように、内側に非吸収性材料製のポケットまたはカバーフラップを有する洗濯可能な繊維材料から形成することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2022-106678号公報
【特許文献2】特開2011-172793号公報
【特許文献3】特開2005-185310号公報
【特許文献4】特表平08-505073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上のようにオムツが様々提供されているものの、臀筋に代替する機能を持ち合わせたものは本願の発明者らが提供した特許文献1に記載したオムツ等である。一方、今日、SDGsが提唱されるに到り、オムツでも使い捨てよりも選択可能なものが注目されている。上記の特許文献2~4に記載のオムツは、機能的な特徴を有し、しかも洗濯可能なものとなっている。しかし、これらのオムツは一体として丸洗いできるものではなく、何らかのパーツを取り外して洗濯するものとなっている。また、水様便等の対策として、褥瘡を発生・悪化させる危惧を著しく低下させるだけでなく、汚物処理を限りなく楽に容易に衛生的に行うことが可能な、オムツに用いる交換パックの登場も期待されている。
【0015】
本発明は上記のような選択可能なオムツの現状に鑑みてなされたもので、その目的は、臀筋に代替する機能の部分を含めてオムツの基本的な部分を全て洗濯することの可能なオムツを提供することである。また、オムツに用いる交換パックの登場の期待に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態に係るオムツは、人体の腹部から股部及び臀部を介して背中側の腰部までを被覆する布製の縦布体と、前記背中側の腰部に対応する前記縦布体の部位の両サイドから外側へ突出するバンド部であって、前記縦布体が人体の腹部から股部及び臀部を介して背中側の腰部までを被覆する状態となったときに、前記人体の腹部に対応する前記縦布体を表面から包み込むように着脱可能に固定する布製のバンド部と、を具備し、前記縦布体は、前記縦布体が人体に装着されたときに、前記人体の尻穴部に対向する位置に有底穴部を有しており、前記縦布体が人体に装着されたときに、前記縦布体内の前記人体の臀部に対向する位置に洗濯可能なクッションにより構成される代用臀筋が内蔵されて設けられており、前記クッションを含めた前記縦布体と前記バンド部とが洗濯可能であることを特徴とする。
【0017】
本発明の実施形態に係るオムツでは、前記縦布体に重ねて使用する前記縦布体より僅かに小さい内装シートを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の実施形態に係るオムツでは、前記縦布体と前記内装シートは多層構造であり、最も内側は水透過性の布であり、最も外側は水が漏れない防水性の布であることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態に係るオムツでは、前記内装シートは、前記縦布体の有底穴の内壁に適合挿入される防水袋体を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の実施形態に係るオムツでは、前記縦布体の内側であって、前記縦布体を装着した状態において尿が到来する部分に配置され、尿の到来側からの尿を吸収すると共に到来側の反対側へ漏れない防水性シートを備える尿パッドを有することを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態に係るオムツでは、前記縦布体内の代用臀筋の部分の厚みが18mm~40mmであることを特徴とする。
【0022】
本発明の実施形態に係るオムツでは、前記縦布体の人体と触れる側であって、代用臀筋に対応する領域には、カテキンによる除菌効果を有する緑茶葉を含む抗菌材が包装されると共に、吸湿材が包装された抗菌剤・吸湿材包装袋が貼着されることを特徴とする。
【0023】
発明の実施形態に係る交換パックは、オムツに用いられる「ハット」の形状を有し、ツバ部分が広く、吸水性と拡散性を有する合成樹脂を含む布により構成され、人の肌に接する内側の部分に位置する第1層シートと、吸水性及び保水性を有する綿などの繊維や樹脂により構成される第2層シートと、防水の布や合成樹脂により構成され、前記第2層シートに保水された水をオムツへ漏らすことはない第3層シートと、により三層に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るオムツの斜視図。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るオムツの背面図。
【
図3】本発明の実施形態に係るオムツに用いられる縦長布の要部断面図。
【
図4】本発明の実施形態に係るオムツに用いられる縦長布に設けられる有底穴部の断面図。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るオムツの組立斜視図。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るオムツに用いられる内装シートの背面図。
【
図7】本発明の実施形態に係るオムツに用いられる尿パッドの斜視図。
【
図8】本発明の実施形態に係るオムツに用いられる抗菌剤・吸湿材包装袋の斜視図。
【
図9】本発明の第1の実施形態の変形例に係るオムツの斜視図。
【
図10】本発明の実施形態に係るオムツに用いられる交換パックの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係るオムツを説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1に本発明の実施形態に係るオムツ10の平面図を示し、
図2に背面図を示す。これらの図において、100は布製の縦布体であり、縦長であり、人体の腹部から股部及び臀部を介して背中側の腰部までを被覆する広さを有する。
【0026】
縦布体100における多くの部分の構成は、
図3の断面図に示すように、内側が水透過性及び拡散性のあるサラサラとした触り心地の良い布で構成された内布101である。縦布体100の外側は、水が漏れ難い防水性がある布で構成された外布102となっている。縦布体100は、内布101と外布102の間に吸水性及び保水性を有する綿状の中布103を有している。このように縦布体100は、多層構造である。縦布体100の厚みは、8mm~12mm程度が好適である。
【0027】
上記縦布体100は、上記縦布体100が人体に装着されたときに、上記人体の尻穴部に対向する位置に
図4に示す有底穴部110を有している。有底穴部110の深さは、40mm~50mm程度が好適である。有底穴部110は、概ね円筒形の穴であり、防水性シート111により構成されている。有底穴部110の入口部は、縦布体100と防水シート性111が縫い合わされてリブ112が形成されており、有底穴部110の内径より狭く構成されている。有底穴部110の底部は防水性シート111を介して外布102が存在する。この有底穴部110の内部には、予め袋状に加工された水解性シート、或いは単なるシートにより穴形状に形成された水解性シート、を保持させた状態で使用される。この水解性シートが保持された状態でオムツを使用することにより、水解性シートに大便を包んで保持させることができ、水解性シートに包まれた大便を包んだままでトイレに流すことができる。ここに、本実施形態の水解性シートは、水に触れた程度では分解することはなく、「水に流せる濡れタオル」などとして販売さているタイプの水解紙を用いて作成するものとする。
【0028】
上記有底穴部110の入口部を囲む位置であって、上記縦布体100が人体に装着されたときに、上記縦布体100内の上記人体の臀部に対向する位置には、洗濯可能なクッションにより構成される例えば2枚の代用臀筋120が内蔵されて設けられている。上記縦布体内の代用臀筋120の部分の厚みが概ね18mm~40mmである。代用臀筋120は、上記有底穴部110を囲むような概ね円弧に沿って、有底穴部110を囲むように何枚かのパーツから構成される。本実施形態では2枚であるが、例えば円環状の1枚でも良い。円環状の1枚の場合には、2枚の場合に別れて代用臀筋120が無い部分に対応する領域を他の領域より薄く構成すると好適である。
【0029】
代用臀筋120は、樹脂性のスプリング状構造体であり、洗濯後に脱水したときに水が残り難く、洗濯に好適な、カルファイバ(登録商標)と称される弾性体を用いることができる。この樹脂性のスプリング状構造体は、例えば特開2018-33861号に開示のものを用いることができる。
【0030】
上記縦布体100は、前述の通り全体として縦長であり、有底穴部110と代用臀筋120が設けられているメイン部分130は、平面形状が方形であり、面積が大きい部分である。メイン部分130が人体に装着されたときに背中から腰に当接する部分には、ゴム131が縫い付けられており、人体にフィットし易く構成されている。
【0031】
上記縦布体100が、人体に装着されたときに腹部付近に当接する部位は前立部140となっており、メイン部分130ほどではないが幅広に構成されている。メイン部分130と前立部140との間は、股部から下腹部へと到る幅狭部150であり、中央部は最も幅が狭く、メイン部分130乃至前立部140へ到るにつれて幅が徐々に広く構成されている。幅狭部150の幅方向の両サイドには、漏れ防止フリル160が設けられている。漏れ防止フリル160は、薄手の防水布により構成される。
【0032】
メイン部分130の両サイドにはバンド部170が設けられている。このバンド部170は、本実施形態においては、横長の上部バンド171が両サイドに一対設けられ、同じく横長の下部バンド172が一対設けられている。バンド部170は、オムツを装着したときに人体の背中側の腰部に対応する上記縦布体100の部位の両サイドから外側へ突出する。バンド部170は、上記縦布体100が人体の腹部から股部及び臀部を介して背中側の腰部までを被覆する状態となったときに、上記人体の腹部に対応する上記縦布体100を表面から包み込むように着脱可能に固定する布製のものである。着脱可能とするために、一対の上部バンド171の先端付近の内側に面ファスナー173が設けられている。面ファスナー173は、例えばフック側であり、面ファスナー173が対応する部位はループ状生地として機能する。
【0033】
本実施形態のオムツ10は、代用臀筋120であるクッション含めた上記縦布体100と上記バンド部170とが洗濯可能である。
【0034】
第2の実施形態に係るオムツ20は、正面側組立斜視図の
図5に示すように、上記縦布体100に重ねて使用する上記縦布体100より僅かに小さい内装シート200を備える。
図6は、内装シート200のみに関する裏面の平面図である。内装シート200は、代用臀筋120が設けられている領域よりやや広めの平面形状が楕円形状に形成された臀部対応部210と、前立部140に対応する前立部対応部250と、幅狭部150に対応する幅狭部対応部230とを備える。オムツ20の内部構成は、
図3に示したものと同じく、内布101と外布102と中布103とから構成されている。ただし、厚みは、オムツ10に比べて薄く構成されている。
【0035】
内装シート200の臀部対応部210には、有底穴部110に対応して防水袋体220が設けられ、防水袋体220は有底穴部110内に適合して装着される。幅狭部対応部230の幅方向の両サイドから臀部対応部210の中央部を超える付近までには、漏れ防止フリル260が設けられている。このように構成された内装シート200は、オムツカバーに対するオムツの如き機能を有し、汚れたときには内装シート200のみを取り換えて洗濯することができる。前述の通り、オムツ10も洗濯できるが、内装シート200を用いることにより、その洗濯回数を削減することができる。また、この防水袋体220には、第1の実施形態において用いた水解性シートを挿入し保持させて使用することができる。また、内装シート200を紙オムツにより構成することができる。この紙オムツにより構成する内装シート200は、様々な形式の紙オムツを用いることができるが、平面形状が四角形の紙オムツを基本とし、有底穴部110を設け、有底穴部110に対応して防水袋体220が設けられた構成とすることができる。この紙オムツにより構成する内装シート200は、排便等による使用後には廃棄することができる。
【0036】
図7には、縦布体100の内側に用いる尿パッド300の斜視図が示されている。尿パッド300は、上記縦布体100の内側であって、上記縦布体100を装着した状態において尿が到来する部分に配置され、尿の到来側からの尿を吸収すると共に到来側の反対側へ漏れることなく、内部に閉じ込めて保持する構成を備える。尿パッド300は、使い捨てであり、2乃至3回程度の通常量の排尿の度に交換することが望ましい。尿パッド300は、オムツ20に内装シート200をかさね、内装シート200の内側に設けて使用しても良い。
【0037】
図8に、縦布体100の内側に用いる抗菌剤・吸湿材包装袋400の斜視図が示されている。抗菌剤・吸湿材包装袋400は、「ソラマメ型」とでも言うような形状であり、カテキンによる除菌効果を有する緑茶葉を含む抗菌材が包装されると共に、吸湿材が包装されたものである。抗菌剤・吸湿材包装袋400は2つで使用され、上記縦布体100の人体と触れる側であって、代用臀筋120に対応する領域に貼着される。抗菌剤・吸湿材包装袋400は、オムツ10の選択のときに交換することができる。抗菌剤・吸湿材包装袋400は、内装シート200の内側に設けても良い。
【0038】
更に、オムツ10に設けた代用臀筋120の形状は、概ねソラマメ型とでも言うべき形状のものを示した。しかし、代用臀筋120の形状はこれに限定されるものではない。このソラマメ型である場合には、オムツ10を装着した患者を仰向けの状態のままベッドや台の上を移動する場合や、患者自体や介護者が寝返りをする場合に、代用臀筋120の縁が引っかかって上手く動作できない。そこで、
図9に示すように、ソラマメ型部分から上部バンド171側と下部バンド172側へ領域を伸ばした飛び出し領域171S、172Sを有する形状とすることができる。この構成の代用臀筋120を有するオムツ10によれば、代用臀筋120の縁は患者の腰部を超えて腹部にまで伸びた状態で装着されるので、オムツ10を装着した患者を仰向けの状態のままベッドや台の上を移動する場合や、患者自体や介護者が寝返りをする場合に、代用臀筋120の縁が引っかかることなく、問題なく動作させることができる。
【0039】
図10には、オムツ10の有底穴部110と内装シート200の防水袋体220に装填して使用後に交換する交換パック600の斜視図が示され、
図11には、
図10のA-A線断面図が示されている。交換パック600は、帽子の種類で言えば「ハット」の形状である。そして、ツバ610に当たる部分が広く、帽子で言う「クラウン」に相当する穴部分620の半径Rに対し、ツバ610部分の半径は2R以上であり、水様便が触れる領域をカバーしている。
【0040】
交換パック600は、三層構造とすることができ、人の肌に接する内側の部分の第1層シート651は吸水性と拡散性を有する合成樹脂を含む布により構成される。この第1層シートは水を通過させるが、逆戻りしない性質を有し、もし水様便が到来すると、水分を内部へ通過させ、固形成分は表面に張り付いた状態とすることができる。また、上記の拡散性とは、水分が横方向に広がり、第2層シート652の広い面積の領域へ到る性質を言うものとする。
【0041】
第2層シート652は、吸水性及び保水性を有する綿などの繊維や樹脂とすることができる。従って第1層シート651を通過した水分は、第2層シート652に到って吸水され保水されて外に漏れることなく、水分は留められる。このため、第1層シート651を水のみが通過し閉じ込められるから、水様便が到来しても水様便のまま留まって皮膚の爛れを発生させ、更に褥瘡を発生・悪化させる危惧を著しく低下させる。
【0042】
オムツ10の有底穴部110と内装シート200の防水袋体220に接する面は、第3層シート653とされている。第3層シート653は、防水の布や合成樹脂であり、第2層シート652に保水された水をオムツ10の有底穴部110や内装シート200の防水袋体220へ漏らすことはない。第1層シート651第2層シート652第3層シート653は縫い合わされたり接着されたりし、積層関係がズレたり破壊されたりすることはない。この交換パック600を用いることにより、褥瘡を発生・悪化させる危惧を著しく低下させるだけでなく、汚物処理を限りなく楽に容易に衛生的に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0043】
10、20 オムツ
100 縦布体
101 内布
102 外布
103 中布
110 有底穴部
111 防水性シート
112 リブ
120 代用臀筋
130 メイン部分
131 ゴム
140 前立部
150 幅狭部
160 漏れ防止フリル
170 バンド部
171 上部バンド
172 下部バンド
173 面ファスナー
200 内装シート
210 臀部対応部
220 防水袋体
230 幅狭部対応部
250 前立部対応部
260 防止フリル
300 尿パッド
400 抗菌剤・吸湿材包装袋
600 交換パック
610 ツバ
620 穴部分
651 第1層シート
652 第2層シート
653 第3層シート