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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078935
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ロータ及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/278 20220101AFI20240604BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191565
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】北垣 宏
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GA02
5H601GA40
5H601GC04
5H601GC12
5H601GD03
5H601GD09
5H601KK21
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB03
5H622PP10
5H622PP19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易に製造できるロータ及びモータを提供する。
【解決手段】ロータ20は、ロータコア21と、複数の磁石22とを備える。ロータコア21は、第1面211と、所定方向Zで第1面211と対向する第2面と、第1面211と第2面との間に配置された筒状の外周面と、外周面に配置され、円周方向CLに間隔を空けて並べられた複数の突起224とを備える。複数の磁石22と複数の突起224とは、外周面に円周方向CLに交互に配置される。複数の突起224の各々は、第1面211と第2面との間の一部に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアと、
複数の磁石と
を備え、
前記ロータコアは、
第1面と、
所定方向で前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面との間に配置された筒状の外周面と、
前記外周面に配置され、円周方向に間隔を空けて並べられた複数の突起と
を備え、
前記複数の磁石と前記複数の突起とは、前記外周面に前記円周方向に交互に配置され、
前記複数の突起の各々は、前記第1面と前記第2面との間の一部に配置される、ロータ。
【請求項2】
前記複数の突起の各々は、前記第1面と前記第2面との間の中央部に配置される、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記ロータコアは、
第1基板と、
前記所定方向に前記第1基板に積層された第2基板と
を備え、
前記第1基板は、前記複数の突起を備え、
前記第2基板は、前記突起を備えない、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータコアは、複数の溝を更に備え、
前記複数の溝は、
前記外周面に配置され、
前記所定方向に延びており、
前記円周方向において前記複数の突起の各々の両側に配置される、請求項1に記載のロータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のロータと、
ステータと、
を備える、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータ及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石電動機は、回転子と、固定子とを備える(例えば、特許文献1)。回転子は、回転子鉄心と、複数の永久磁石とを備える。回転子鉄心の外周面には、回転軸方向に上面から下面まで延びた複数の突起が設けられている。突起は、隣り合う永久磁石の間に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-197948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回転子鉄心のようなロータコアには、複数の突起が回転軸方向に上面から下面まで延びている。そのため、ロータコアの外周面に複数の永久磁石を接着する際に、ロータコアの外周面の突起の間の各々に、接着剤を塗布する必要があった。その結果、回転子を容易に製造できなかった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に製造できるロータ及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的なロータは、ロータコアと、複数の磁石とを備える。前記ロータコアは、第1面と、所定方向で前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面との間に配置された筒状の外周面と、前記外周面に配置され、円周方向に間隔を空けて並べられた複数の突起とを備える。前記複数の磁石と前記複数の突起とは、前記外周面に前記円周方向に交互に配置される。前記複数の突起の各々は、前記第1面と前記第2面との間の一部に配置される。
【0007】
本開示の例示的なモータは、上記のロータと、ステータとを備える。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、ロータを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のモータの全体断面図である。
図2図2は、本実施形態に係るロータの全体斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るロータコアの全体斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る第1基板の平面図である。
図5図5は、本実施形態に係る第2基板の平面図である。
図6図6は、本実施形態に係る回転塗布装置の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書では、理解の容易のため、互いに直交する第1方向Z、第2方向X及び第3方向Yを適宜記載している。ここでは、ロータコアの下面から上面に向かう方向を「第1方向Z」と称する。「第1方向Z」は「所定方向」の一例である。また、第1方向Zに対して直交する方向を「第2方向X」と称する。更に、第1方向Z及び第2方向Xに対して直交する方向を「第3方向Y」と称する。
【0011】
また、第1方向Zの一方側の方向を「第1方向一方側(+Z方向)」、他方側の方向を「第1方向他方側(-Z方向)」と称する。第2方向Xの一方側の方向を「第2方向一方側(+X方向)」、他方側の方向を「第2方向他方側(-X方向)」と称する。そして、第3方向Yの一方側の方向を「第3方向一方側(+Y方向)」、他方側の方向を「第3方向他方側(-Y方向)」と称する。
【0012】
また、本願では、便宜上、第1方向Zを上下方向として説明する場合がある。例えば、第1方向Zの一方側(+Z方向)は上方向を示し、第1方向Zの他方側(-Z方向)は下方向を示す。ただし、上下方向、上方向及び下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義するのにすぎず、本開示に係るロータの使用時の向きを限定しない。なお、本明細書において「直交する方向」とは、厳密な意味での直交を表すのではなく、例えば本開示における効果を奏する程度に直交である場合を含む。
【0013】
本開示の例示的な本実施形態のモータMについて説明する。図1は、本実施形態のモータMの全体断面図である。図1に示すように、モータMは、ステータ10と、ロータ20と、回転軸部30とを備える。
【0014】
ステータ10は、固定子鉄心11と、インシュレータ12と、固定子巻線13とを備える。固定子鉄心11は、複数の薄い鋼板を積層して、円筒状に形成されている。固定子鉄心11は、環状のバックヨーク部111と、複数のティース部112とを備える。複数のティース部112は、バックヨーク部111から内径側に延びる。固定子鉄心11には、インシュレータ12が一体的に形成されている。固定子巻線13は、インシュレータ12を介してティース部112に巻回されている。
【0015】
回転軸部30は、第1方向Zに沿って延びた円柱体である。ロータ20は、回転軸部30の下端部に取り付けられている。ロータ20は、ステータ10の内部に配置される。ロータ20は、第1方向Zに沿った回転軸で回転可能である。
【0016】
ここで図2を参照して、ロータ20について説明する。図2は、本実施形態に係るロータ20の全体斜視図である。図2に示すように、ロータ20は、ロータコア21と、複数の永久磁石22とを備える。
【0017】
続けて図3を参照して、ロータコア21について説明する。図3は、本実施形態に係るロータコア21の全体斜視図である。図3に示すように、ロータコア21は、第1面211と、第2面222と、筒状の外周面223と、複数の突起224とを備える。
【0018】
第1面211の形状は、略多角形状又は略円形状である。第2面222の形状は、略多角形状又は略円形状である。第2面222は、第1方向Zで第1面211と対向する。
【0019】
外周面223の形状は、略多角形の筒形状又は略円筒形状である。外周面223は、第1面211と第2面222との間に配置される。換言すれば、ロータコア21は、略多角形の柱体又は略円柱体である。
【0020】
複数の突起224の各々は、外周面223に配置される。複数の突起224の各々は、径方向に突出する。複数の突起224の各々は、略直方体である。複数の突起224は、円周方向CLに間隔を空けて並べられる。複数の突起224は、例えば10個の突起224である。
【0021】
複数の突起224の各々は、第1面211と第2面222との間の一部に配置される。具体的には、複数の突起224の各々は、第1面211と第2面222との間の中央部に配置される。複数の突起224の各々は、第1方向Zにおいて、中央部に配置される。
【0022】
詳細には、複数の突起224の各々は、第1突起224aと、第2突起224bとを備える。第1突起224aは、第1面211と第2面222との間の中央部に配置される。第2突起224bは、第2面222近傍に配置される。
【0023】
換言すれば、複数の突起224の各々は、第1面211から第2面222まで延びていない。第1面211と第2面222との間に、空洞部が存在する。その結果、外周面223は、複数に分割されていない。
【0024】
複数の永久磁石22の各々は、板状体である。複数の永久磁石22の各々の高さは、ロータコア21の高さと略同一である。複数の永久磁石22は、10個の永久磁石22である。詳細には、10個の永久磁石22は、5個の第1磁石(例えばS極)22aと、5個の第2磁石(例えばN極)22bとを備える。
【0025】
5個の第1磁石22aと5個の第2磁石22bとの各々は、外周面223に接着剤で接着されている。具体的には、5個の第1磁石22aと5個の第2磁石22bとは、円周方向CLに交互に接着されている。接着剤は、複数の永久磁石22の各々の内周面と、外周面223との間に配置される。また、接着剤は、複数の磁石22の各々の側面と、突起224の側面との間に配置される。
【0026】
ここで、複数の突起224について詳細に説明する。複数の磁石22と複数の突起224とは、外周面223に円周方向CLに交互に配置される。具体的には、10個の磁石22と10個の突起224とは、外周面223に円周方向CLに交互に配置される。複数の突起224に複数の永久磁石22の側面の中央部が当接することで、ロータコア21の外周面223に対して複数の磁石22を位置精度よく配置できる。その結果、コギングトルクを抑制できる。
【0027】
以上、図1図4を参照して説明したように、本実施形態では、外周面223は、複数に分割されていない。その結果、外周面223の全面に接着剤を容易に塗布できる。よって、ロータ20を容易に製造できる。
【0028】
ここで図4及び図5を参照して、ロータコア21について説明する。図4は、本実施形態に係る第1基板1210の平面図である。図5は、本実施形態に係る第2基板1212の平面図である。図4及び図5に示すように、ロータコア21は、第1基板1210と、第2基板1212とを備える。例えば、ロータコア21は、24枚の第1基板1210と、22枚の第2基板1212とを備える。
【0029】
まず、第1基板1210について説明する。第1基板1210は、複数の突起1224を備える。具体的には、第1基板1210は、第1面1211と、第2面1222と、筒状の外周面1223と、10個の突起1224とを備える。
【0030】
第1面1211の形状は、略多角形状又は略円形状である。第2面1222の形状は、略多角形状又は略円形状である。第2面1222は、第1方向Zで第1面1211と対向する。
【0031】
外周面1223の形状は、略多角形の筒形状又は略円筒形状である。外周面1223は、第1面1211と第2面1222との間に配置される。換言すれば、第1基板1210は、略多角形の板体又は略円板体である。
【0032】
複数の突起1224の各々は、外周面1223に配置される。複数の突起1224の各々は、径方向に突出する。複数の突起1224の各々は、略直方体である。複数の突起1224は、円周方向CLに間隔を空けて並べられる。複数の突起1224は、例えば10個の突起1224である。
【0033】
続けて、第2基板1212について説明する。第2基板1212は、第1面2211と、第2面2222と、筒状の外周面2223とを備える。換言すれば、第2基板1212は、突起を備えない。
【0034】
第1面2211の形状は、略多角形状又は略円形状である。第2面2222の形状は、略多角形状又は略円形状である。第2面2222は、第1方向Zで第1面2211と対向する。
【0035】
外周面2223の形状は、略多角形の筒形状又は略円筒形状である。外周面2223は、第1面2211と第2面2222との間に配置される。換言すれば、第2基板1212は、略多角形の板体又は略円板体である。
【0036】
第1基板1210と第2基板1212とは、第1方向Zに積層される。具体的には、4枚の第1基板1210が積層され、12枚の第2基板1212が積層され、20枚の第1基板1210が積層され、10枚の第2基板1212が積層される。その結果、第1基板1210と第2基板1212を積層するだけで、ロータコア21を容易に作製できる。
【0037】
再び図3を参照して、ロータコア21について詳細に説明する。ロータコア21は、複数の溝225を更に備える。
【0038】
複数の溝225の各々は、外周面223に配置される。複数の溝225の各々は、径方向に凹む。複数の溝225は、円周方向CLに間隔を空けて並べられる。複数の溝225は、円周方向CLにおいて複数の突起224の各々の両側に配置される。複数の溝225は、例えば20個の溝225である。
【0039】
複数の溝225の各々は、第1方向Zに延びている。具体的には、複数の溝225の各々は、第1面211から第2面222まで延びている。
【0040】
ロータコア21の外周面223の全面に接着剤を塗布する際に、接着剤が溝225に配置されるため、ロータコア21の外周面223に永久磁石22を配置する際に、永久磁石22が突起224上に配置されることを抑制できる。その結果、ロータ20を容易に製造できる。
【0041】
ここで図6を参照して、ロータ20を製造する製造方法について説明する。図6は、本実施形態に係る回転塗布装置2000の全体斜視図である。図6に示すように、回転塗布装置2000は、吐出部2100と、配置部2200と、駆動部とを備える。
【0042】
配置部2200は、ロータコア21を配置する。
【0043】
吐出部2100は、接着剤を収容し、接着剤を吐出する。具体的には、ロータコア21の外周面223の一部に接着剤を吐出する。
【0044】
駆動部は、配置部2200を、第1方向Zに沿った回転軸で所定回転方向CRに回転可能である。その結果、駆動部は、配置部2200に配置されたロータコア21を、第1方向Zに沿った回転軸で所定回転方向CRに回転させる。
【0045】
詳細には、ロータコア21の外周面223の一部に接着剤を配置して、ロータコア21を回転させることで、接着剤が、第1面211と第2面222との間の空洞部を通過する。その結果、ロータコア21の外周面223の全面に接着剤が塗布される。よって、手作業でなく、回転塗布装置2000を用いてロータコア21の外周面223の全面に接着剤を容易に塗布できる。また、永久磁石22の側面と、永久磁石22より所定回転方向CRの突起224の側面とを接着できる。その結果、コギングトルクが、より抑制されたロータ20を容易に製造できる。
【0046】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。但し、上記実施形態は、本開示の例示にすぎず、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。実施形態の構成は、本開示の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてもよい。
【0047】
なお、本技術は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0048】
(1)ロータコアと、
複数の磁石と
を備え、
前記ロータコアは、
第1面と、
所定方向で前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面との間に配置された筒状の外周面と、
前記外周面に配置され、円周方向に間隔を空けて並べられた複数の突起と
を備え、
前記複数の磁石と前記複数の突起とは、前記外周面に前記円周方向に交互に配置され、
前記複数の突起の各々は、前記第1面と前記第2面との間の一部に配置される、ロータ。
【0049】
(2)前記複数の突起の各々は、前記第1面と前記第2面との間の中央部に配置される、(1)に記載のロータ。
【0050】
(3)前記ロータコアは、
第1基板と、
前記所定方向に前記第1基板に積層された第2基板と
を備え、
前記第1基板は、前記複数の突起を備え、
前記第2基板は、前記突起を備えない、(1)又は(2)に記載のロータ。
【0051】
(4)前記ロータコアは、複数の溝を更に備え、
前記複数の溝は、
前記外周面に配置され、
前記所定方向に延びており、
前記円周方向において前記複数の突起の各々の両側に配置される、(1)から(3)のいずれか1項に記載のロータ。
【0052】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載のロータと、
ステータと、
を備える、モータ。
【符号の説明】
【0053】
20・・・ロータ
21・・・ロータコア
22・・・磁石
211・・・第1面
224・・・突起
CL・・・円周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6