(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078936
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プレス装置及びプレス調整方法
(51)【国際特許分類】
B30B 15/06 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B30B15/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191566
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】三橋 信晃
(72)【発明者】
【氏名】李 征
【テーマコード(参考)】
4E088
【Fターム(参考)】
4E088AB04
4E088DA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エアバネの圧力を容易に調整できるプレス装置及びプレス調整方法を提供する。
【解決手段】プレス装置は、スライド7と、エアバネ300と、調整部400と、検知部500とを備える。スライド7は、金型21が取付けられる。エアバネ300は、スライド7を支持する。調整部400は、エアバネ7の圧力を調整する。検知部500は、調整部400がエアバネ300の圧力を調整した際に、スライド7が移動し始めたか否かを検知する。プレス装置は、検知部500の検知結果に基づいて、エアバネ300の圧力を決定する決定部を更に備えてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が取付けられるスライドと、
前記スライドを支持するエアバネと、
前記エアバネの圧力を調整する調整部と、
前記調整部が前記エアバネの圧力を調整した際に、前記スライドが移動し始めたか否かを検知する検知部と
を備える、プレス装置。
【請求項2】
前記検知部の検知結果に基づいて、前記エアバネの圧力を決定する決定部を更に備える、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記金型の重量を推定する推定部と、
前記金型の重量に基づいて、前記エアバネの圧力を設定する設定部と
を備える、請求項2に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記検知部は、レーザ変位センサである、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項5】
4個の前記エアバネと、
2個の前記検知部と
を備え、
前記調整部は、前記4個のエアバネの圧力を調整し、
前記2個の検知部の内の一方の検知部は、前記スライドの一端部が移動し始めたか否かを検知し、
前記2個の検知部の内の他方の検知部は、前記スライドの他端部が移動し始めたか否かを検知する、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項6】
前記調整部が前記エアバネの圧力を上昇させた際に、前記検知部は前記スライドが移動し始めたか否かを検知する、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項7】
スライドに金型を取付けるか又は取外す取付取外ステップと、
前記スライドを支持するエアバネの圧力を調整する調整ステップと、
前記調整ステップを実行した際に、前記スライドが移動し始めたか否かを検知する検知ステップと
を含む、プレス調整方法。
【請求項8】
前記検知ステップの検知結果に基づいて、前記エアバネの圧力を決定する決定ステップを更に含む、請求項7に記載のプレス調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレス装置及びプレス調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械は、スライドと、歪センサと、制御装置とを備える(例えば、特許文献1)。スライドは、金型が取付けられる。歪センサは、金型がスライドに取付けられた際の歪量を検出する。制御装置は、所定重量の金型がスライドに取付けられた際の歪量を予め記憶する。制御装置は、予め記憶された歪量と歪センサで検出された歪量とに基づいて、バランサのバランス圧を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプレス機械は、所定重量の金型がスライドに取付けられた際の歪量を予め記憶する必要があった。そのため、所定重量の金型をスライドに取付け、制御装置に歪量を記憶させる手間がかかった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアバネの圧力を容易に調整できるプレス装置及びプレス調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的なプレス装置は、スライドと、エアバネと、調整部と、検知部とを備える。前記スライドは、金型が取付けられる。前記エアバネは、前記スライドを支持する。前記調整部は、前記エアバネの圧力を調整する。前記検知部は、前記調整部が前記エアバネの圧力を調整した際に、前記スライドが移動し始めたか否かを検知する。
【0007】
本開示の例示的なプレス調整方法は、取付取外ステップと、調整ステップと、検知ステップとを含む。前記取付取外ステップでは、スライドに金型を取付けるか又は取外す。前記調整ステップでは、前記スライドを支持するエアバネの圧力を調整する。前記検知ステップでは、前記調整ステップを実行した際に、前記スライドが移動し始めたか否かを検知する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、エアバネの圧力を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態のプレス装置の模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るプレス装置の拡大断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るエアバネの断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る検知部の検知結果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るプレス装置のプレス調整方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書では、理解の容易のため、互いに直交する第1方向Z、第2方向X及び第3方向Yを適宜記載している。ここでは、プレス装置の下面から上面に向かう方向を「第1方向Z」と称する。また、第1方向Zに対して直交する方向を「第2方向X」と称する。更に、第1方向Z及び第2方向Xに対して直交する方向を「第3方向Y」と称する。
【0011】
また、第1方向Zの一方側の方向を「第1方向一方側(+Z方向)」、他方側の方向を「第1方向他方側(-Z方向)」と称する。第2方向Xの一方側の方向を「第2方向一方側(+X方向)」、他方側の方向を「第2方向他方側(-X方向)」と称する。そして、第3方向Yの一方側の方向を「第3方向一方側(+Y方向)」、他方側の方向を「第3方向他方側(-Y方向)」と称する。
【0012】
また、本願では、便宜上、第1方向Zを上下方向として説明する場合がある。例えば、第1方向Zの一方側(+Z方向)は上方向を示し、第1方向Zの他方側(-Z方向)は下方向を示す。ただし、上下方向、上方向及び下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義するのにすぎず、本開示に係るプレス装置の使用時の向きを限定しない。なお、本明細書において「直交する方向」とは、厳密な意味での直交を表すのではなく、例えば本開示における効果を奏する程度に直交である場合を含む。
【0013】
まず、
図1を参照して、例示的な実施形態のプレス装置10を説明する。
図1は、例示的な実施形態のプレス装置10の模式図である。
図1に示すように、プレス装置10は、フレーム3と、スライド7と、ボルスタ11とを備える。プレス装置10は、対象物(不図示)を加工する。対象物は、例えば、金属製である。
【0014】
フレーム3は、クラウン31と、複数のコラム33と、ベッド35とを備える。例えば、フレーム3は、4本のコラム33を備える。クラウン31は、ベッド35の上方に配置される。ベッド35は、床面に設置される。複数のコラム33は、クラウン31とベッド35との間に配置される。複数のコラム33はクラウン31を支持する。ただし、フレーム3は、クラウン31と、複数のコラム33と、ベッド35とが分かれずに一体となった構造でもよい。
【0015】
スライド7及びボルスタ11は、クラウン31とベッド35との間に配置される。ボルスタ11はベッド35に配置される。具体的には、ボルスタ11はベッド35の上面35aに配置される。
【0016】
ボルスタ11には、下型23が取り付けられることが可能である。具体的には、ボルスタ11の上面11aに、下型23が取り付けられることが可能である。
【0017】
ここで
図2を参照して、スライド7と上型21とについて説明する。
図2は、プレス装置10の拡大断面図である。
図2に示すように、プレス装置10は、複数のエアバネ300と、調整部400と、複数の検知部500とを更に備える。
【0018】
スライド7には、上型21が取り付けられる。上型21は、「金型」の一例である。具体的には、スライド7の下面7aに、上型21が取り付けられることが可能である。
【0019】
続けて
図2及び
図3を参照して、エアバネ300について説明する。
図3は、エアバネ300の断面図である。
図2及び
図3に示すように、複数のエアバネ300の各々は、スライド7を支持する。
【0020】
複数のエアバネ300は、例えば4個のエアバネ300A~300Dである。
図2では、エアバネ300A及びエアバネ300Bのみを示す。エアバネ300C及びエアバネ300Dは、
図2に示す面と反対側(第3方向Yの一方側)の面に配置される。
【0021】
複数のエアバネ300の各々は、上板体301と、下板体302と、弾性体303とを備える。上板体301は、下板体302の上方に配置される。弾性体303は、上板体301と下板体302との間に配置される。
【0022】
上板体301は、スライド7に取り付けられている。エアバネ300A及びエアバネ300Cの各々の上板体301は、スライド7の第2方向Xの他方側に取り付けられている。エアバネ300B及びエアバネ300Dの各々の上板体301は、スライド7の第2方向Xの一方側に取り付けられている。下板体302は、例えば、スライド7を保持する保持機構に取り付けられている。
【0023】
弾性体303は、第1方向Zに沿って伸縮可能である。弾性体303は、スライド7に取り付けられた上型21の重量によって伸縮する。具体的には、スライド7に取り付けられた上型21の重量が軽いときには、弾性体303は、少し縮む。一方、スライド7に取り付けられた上型21の重量が重いときには、弾性体303は、大きく縮む。
【0024】
調整部400は、エアバネ300の圧力を調整する。調整部400は、例えば電磁バルブを備える。具体的には、調整部400は、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体を供給する。
【0025】
弾性体303は、調整部400から供給された気体を収容する。具体的には、弾性体303の内部に少量の気体が収容されているときには、弾性体303は、少し伸びる。一方、弾性体303の内部に多量の気体が収容されているときには、弾性体303は、大きく伸びる。
【0026】
複数の検知部500は、例えば2個の検知部500A~500Bである。2個の検知部500の内の一方の検知部500Aは、スライド7の第2方向Xの他方側が移動し始めたか否かを検知する。2個の検知部500の内の一方の検知部500Bは、スライド7の第2方向Xの一方側が移動し始めたか否かを検知する。
【0027】
複数の検知部500の各々は、例えば、レーザ変位センサである。詳細には、複数の検知部500の各々は、クラウン31に配置されている。検知部500Aは、スライド7の第2方向Xの他方側と検知部500Aとの間の距離を検出する。一方、検知部500Bは、スライド7の第2方向Xの一方側と検知部500Bとの間の距離を検出する。その結果、複数の検知部500とスライド7との間の距離が変化したときに、複数の検知部500は、スライド7が移動し始めたことを検出する。よって、スライド7が移動し始めたか否かを、精度よく検知できる。
【0028】
複数の検知部500の各々は、調整部400がエアバネ300の圧力を調整した際に、スライド7が移動し始めたか否かを検知する。例えば、スライド7に取り付けられた上型21の重量が重いときには、弾性体303は、下方に向かって大きく縮む。調整部400は、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体を供給する。弾性体303の内部に気体が収容されていく。更に、弾性体303の内部に気体が収容されたときに、スライド7が上方に移動し始める。スライド7が移動し始めたときに、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体を供給することを停止する。
【0029】
以上、
図1~
図3を参照して説明したように、本実施形態では、スライド7が移動し始めたときの圧力にエアバネ300の圧力を調整することで、スライド7を適切に支持できる。その結果、エアバネ300の圧力を容易に調整できる。
【0030】
続けて
図4を参照して、制御装置15について説明する。
図4は、例示的な実施形態の制御装置15の機能ブロック図である。
図4に示すように、プレス装置10は、制御装置15を更に備える。
【0031】
制御装置15は、例えば、フレーム3に固定される。なお、制御装置15の位置は、特に限定されず、フレーム3から離隔していてもよい。
【0032】
制御装置15は、プレス装置10を制御する。制御装置15は、制御部151と、記憶部153と、操作表示部155とを備える。
【0033】
操作表示部155は、各種情報を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。
【0034】
記憶部153は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。具体的には、記憶部153は、半導体メモリ等の主記憶装置と、半導体メモリ、ソリッドステートドライブ、又は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを含む。記憶部153は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。コンピュータプログラムは、一例として、プレス装置10にクランクプレスを実行させるプレス実行プログラムを含む。
【0035】
制御部151は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む。例えば、制御部151は、記憶部153の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、調整部400を制御する。
【0036】
制御部151は、決定部1511を更に備える。決定部1511は、検知部500の検知結果に基づいて、エアバネ300の圧力を決定する。例えば、調整部400がエアバネ300の圧力を上昇させた際に、検知部500はスライド7が移動し始めたか否かを検知する。決定部1511は、中立圧として、スライド7が移動し始めたときのエアバネ300の圧力に決定する。なお、調整部400がエアバネ300の圧力を下降させた際に、検知部500はスライド7が移動し始めたか否かを検知してもよい。また、検知部500はスライド7が所定距離、移動したか否かを検知してもよい。そして、決定部1511は、所定距離、移動したときのエアバネ300の圧力から所定値を減算した圧力に決定してもよい。
【0037】
ここで、
図5を参照して、検知部500の検知結果について説明する。
図5は、検知部500の検知結果を示すグラフである。
図5(a)は、検知部500Aの検知結果を示すグラフである。
図5(b)は、検知部500Bの検知結果を示すグラフである。
図5(c)は、エアバネ300の圧力を示すグラフである。
図5(a)及び
図5(b)において、縦軸は検知部500とスライド7との間の距離を示し、横軸は時間を示す。
図5(c)において、縦軸はエアバネ300の圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0038】
図5(c)に示すように、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体が供給されることにより、エアバネ300の圧力は上昇していく。
図5(a)に示すように、時間TTまで、検知部500Aとスライド7との間の距離は変化しないが、時間TTに検知部500Aとスライド7との間の距離が変化する。
図5(b)に示すように、時間TTまで、検知部500Bとスライド7との間の距離は変化しないが、時間TTに検知部500Bとスライド7との間の距離が変化する。その結果、決定部1511は、時間TTのエアバネ300の圧力に決定する。
【0039】
以上、
図1~
図5を参照して説明したように、本実施形態では、決定部1511がエアバネ300の圧力を自動的に調整できる。また、調整部400がエアバネ300の圧力を上昇させた際に、検知部500はスライド7が移動し始めたか否かを検知するため、エアバネ300の圧力を、精度よく調整できる。
【0040】
詳細には、決定部1511は、推定部1511Aと、設定部1511Bとを備える。推定部1511Aは、検知部500の検知結果に基づいて、上型21の重量を推定する。例えば、エアバネ300の圧力を、大きく上昇させた際に、スライド7が移動し始めたときには、上型21の重量が重い。エアバネ300の圧力を、少し上昇させた際に、スライド7が移動し始めたときには、上型21の重量が軽い。設定部1511Bは、上型21の重量に基づいて、エアバネ300の圧力を設定する。
【0041】
再び
図1及び
図2を参照して、プレス装置10について詳細に説明する。プレス装置10は、スライド移動機構5と、ガイド71A~71Dとを更に備える。ただし、スライド移動機構5は、他の移動機構であってもよい。
【0042】
ガイド71A~71Dは、第1方向Zに沿って延びる。
図1では、ガイド71A及びガイド71Bのみを示す。ガイド71C及びガイド71Dは、
図1に示す面と反対側の面に配置される。ガイド71A及びガイド71Cは、スライド7より第2方向Xの他方側に配置される。ガイド71B及びガイド71Dは、スライド7より第2方向Xの一方側に配置される。
【0043】
スライド7は、スライド移動機構5の運動により、移動する。具体的には、スライド移動機構5は、回転運動を往復運動に変換して、スライド7を第1方向Zに沿って移動させる。
図1の例では、スライド移動機構5は、クランク機構によって、スライド7を第1方向Zに沿って移動させる。つまり、
図1の例では、プレス装置10はクランクプレスを実行する。
【0044】
スライド移動機構5は、クラウン31に配置される。つまり、スライド移動機構5は、スライド7の上方に配置される。そして、スライド移動機構5は、スライド7に連結される。
【0045】
具体的には、スライド移動機構5は、コネクティングロッド51と、クランク軸52と、クラッチ(不図示)と、フライホイール53と、ベルト54と、プーリ55と、モータ56と、プランジャ57とを備える。
【0046】
コネクティングロッド51の先端部は、プランジャ57を介してスライド7に連結される。一方、コネクティングロッド51の基端部は、クランク軸52に連結される。クランク軸52の軸方向の一端部は、クラッチ(不図示)を介して、フライホイール53に連結される。フライホイール53は、例えば、略円板形状又は略円柱形状を有する。ベルト54は、フライホイール53とプーリ55とに、張力のかかった状態で架け渡される。プーリ55は、略円板形状又は略円柱形状を有する。プーリ55は、モータ56の回転軸に連結される。クラッチは、クランク軸52とフライホイール53との連結状態又は連結解除状態を切り替える。本実施形態において、連結状態は、クラッチがクランク軸52とフライホイール53とを連結している状態を示す。一方、連結解除状態は、クラッチがクランク軸52とフライホイール53との連結を遮断している状態を示す。
【0047】
従って、モータ56が回転すると、プーリ55が回転する。プーリ55が回転すると、ベルト54が回転する。ベルト54が回転すると、フライホイール53が回転する。連結状態において、フライホイール53が回転すると、クランク軸52が、フライホイール53の回転にともなって回転する。一方、連結解除状態において、フライホイール53の回転力がクランク軸52に伝わらず、クランク軸52が回転しない。
【0048】
クランク軸52に連結されたコネクティングロッド51は、クランク軸52の回転に伴って移動する。その結果、コネクティングロッド51に連結されたスライド7は、第1方向Zに沿って延びるガイド71A~71Dに沿って往復運動する。つまり、連結状態において、スライド7は、第1方向Zに沿って延びるガイド71A~71Dに沿って移動する。一方、連結解除状態において、スライド7は停止する。つまり、連結解除状態において、プレス装置10によるクランクプレスが実行されない。本実施形態において、連結解除状態を、プレス装置10の待機状態とする。
【0049】
図1では、説明の便宜のために、スライド7の上死点TD及び下死点BDを黒点によって示す。また、便宜上、スライド7の下面7aの第1方向Zの位置によって、上死点TD及び下死点BDが示される。スライド7は、ガイド71A~71Dに沿って上死点TDと下死点BDとの間を往復運動する。
【0050】
続けて
図6を参照して、プレス装置10のプレス調整方法について説明する。
図6は、プレス装置10のプレス調整方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、プレス装置10のプレス調整方法は、処理S101~処理S107を含む。プレス調整方法は、プレス装置10によって実行される。
【0051】
まず、処理S101において、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体が供給されることにより、エアバネ300の圧力は上昇していく。その結果、決定部1511は、検知部500とスライド7との間の距離が変化したときのエアバネ300の圧力に決定する(ダイハイト調節)。
【0052】
次に、処理S102において、モータ56が回転することにより、スライド7が下死点BDに配置される(プレス運転)。
【0053】
次に、処理S103において、ユーザによってスライド7から上型(金型A)21が取り外される。
【0054】
次に、処理S104において、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体が供給されることにより、エアバネ300の圧力は上昇していく。その結果、決定部1511は、検知部500とスライド7との間の距離が変化したときのエアバネ300の圧力に決定する(ダイハイト調節)。
【0055】
次に、処理S105において、ユーザによってスライド7に新たな上型(金型B)21が取り付けられる。
【0056】
次に、処理S106において、モータ56が回転することにより、スライド7が上死点TDに配置される(プレス運転)。
【0057】
次に、処理S107において、4個のエアバネ300A~300Dの弾性体303の各々の内部に気体が供給されることにより、エアバネ300の圧力は上昇していく。その結果、決定部1511は、検知部500とスライド7との間の距離が変化したときのエアバネ300の圧力に決定する(ダイハイト調節)。そして、プレス装置10のプレス方法が終了する。
【0058】
以上、
図6を参照して説明したように、本実施形態では、スライド7が移動し始めたときの圧力にエアバネ300の圧力を調整することで、スライド7を適切に支持できる。その結果、エアバネ300の圧力を容易に調整できる。
【0059】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。但し、上記実施形態は、本開示の例示にすぎず、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。実施形態の構成は、本開示の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてもよい。
【0060】
なお、本技術は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0061】
(1)金型が取付けられるスライドと、
前記スライドを支持するエアバネと、
前記エアバネの圧力を調整する調整部と、
前記調整部が前記エアバネの圧力を調整した際に、前記スライドが移動し始めたか否かを検知する検知部と
を備える、プレス装置。
【0062】
(2)前記検知部の検知結果に基づいて、前記エアバネの圧力を決定する決定部を更に備える、(1)に記載のプレス装置。
【0063】
(3)前記決定部は、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記金型の重量を推定する推定部と、
前記金型の重量に基づいて、前記エアバネの圧力を設定する設定部と
を備える、(2)に記載のプレス装置。
【0064】
(4)前記検知部は、レーザ変位センサである、(1)から(3)のいずれか1項に記載のプレス装置。
【0065】
(5)4個の前記エアバネと、
2個の前記検知部と
を備え、
前記調整部は、前記4個のエアバネの圧力を調整し、
前記2個の検知部の内の一方の検知部は、前記スライドの一端部が移動し始めたか否かを検知し、
前記2個の検知部の内の他方の検知部は、前記スライドの他端部が移動し始めたか否かを検知する、(1)から(4)のいずれか1項に記載のプレス装置。
【0066】
(6)前記調整部が前記エアバネの圧力を上昇させた際に、前記検知部は前記スライドが移動し始めたか否かを検知する、(1)から(5)のいずれか1項に記載のプレス装置。
【符号の説明】
【0067】
7・・・スライド
21・・・上型(金型)
300・・・エアバネ
400・・・調整部
500・・・検知部