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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078937
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/36 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A47K10/36 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191570
(22)【出願日】2022-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】522352133
【氏名又は名称】株式会社ハウスママ福岡
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 耕治
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で、容易にロールペーパーを引き出してカットすることができる新規なロールペーパーホルダーを提供する。
【解決手段】ロールペーパーAを回転自在に支持するロールペーパー支持部14と、ロールペーパー支持部14の上方に設けられ、その後端が回動自在に支持されると共に、その前端に切断刃22を有する上蓋16と、上蓋16の前方部の下方にロールペーパーAを挿通可能な間隔を空けて設けられ、上昇時に上蓋16の下面に当接して、上蓋16との間に介在するロールペーパーAの先部を挟持して保持し、下降時に上蓋16の下面から離隔して、上蓋16との間に介在するロールペーパーAを引き出し可能にする、上下動可能な押さえ部材24を具備する、ロールペーパー保持部18とを備えるロールペーパーホルダー1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールペーパーを回転自在に支持するロールペーパー支持部と、
前記ロールペーパー支持部の上方に設けられ、その後端が回動自在に支持されると共に、その前端に切断刃を有する上蓋と、
前記上蓋の前方部の下方にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられ、上昇時に前記上蓋の下面に当接して、該上蓋との間に介在するロールペーパーの先部を挟持して保持し、下降時に前記上蓋の下面から離隔して、該上蓋との間に介在するロールペーパーを引き出し可能にする、上下動可能な押さえ部材を具備する、ロールペーパー保持部と、
を備えたロールペーパーホルダーであって、
前記ロールペーパー保持部の押さえ部材を上昇させた際、前記ロールペーパーの先部が前記押さえ部材により挟持されて、該ロールペーパーの先端部が、少なくとも前記ロールペーパー保持部の前方かつ前記上蓋の切断刃近傍に残存した状態となり、
前記ロールペーパー保持部の押さえ部材を下降させた際、前記ロールペーパーの先部が前記押さえ部材の挟持から解放され、該ロールペーパーが引き出し可能な状態となる
ことを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
前記押さえ部材が、前記上蓋の側方から突出した上下動操作部を備えていることを特徴とする請求項1記載のロールペーパーホルダー。
【請求項3】
前記押さえ部材が、その後端を支点として回動自在な板状部材であることを特徴とする請求項1又は2記載のロールペーパーホルダー。
【請求項4】
前記ロールペーパー保持部は、前記上蓋下方の左右の一方に押さえ部材を備えると共に、該押さえ部材と所定間隔を空けて前記上蓋下方の左右の他方に設けられた支持部材を備えており、
前記支持部材が、前記上蓋との間にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられた上下動しない不動の板状部材であることを特徴とする請求項3記載のロールペーパーホルダー。
【請求項5】
前記押さえ部材が、ロールペーパーを引き出し方向に回転可能な補助ローラを備えていることを特徴とする請求項3記載のロールペーパーホルダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーなどのロールペーパーを保持するロールペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレットペーパーを容易に引き出してカットするために工夫された種々のロールペーパーホルダーが提案されている。
【0003】
このようなロールペーパーホルダーとしては、例えば、壁面に取り付けられる背板と、背板の左右両側から前方に突出した左右1対の側板とを連設し、背板と側板とで囲まれる空間部にロール紙が配設可能な保持部材を設け、空間部に被せ蓋が出入り可能に、左右側板上部の対向する位置には被せ蓋の左右両端部に設けた軸が回動自在に取り付けられたロールペーパーホルダーにおいて、被せ蓋が前後スライド可能に、左右側板の上部には前後方向に延びる摺動溝を設け、摺動溝には軸が摺動自在に取り付けられ、軸には後方に付勢する付勢手段を設け、被せ蓋の後方移動に伴ってロール紙がロール紙引き出し方向とは逆方向に回転することを防止するために、背板には復元部材の復元により斜め上方に傾斜して配設される支持部材を取り付け、支持部材の先端には上方に膨出する側視円弧状の彎曲面よりなる支持片を揺動可能に設け、支持片上面がロール紙最外層外周面に当接状態を保持するようにしたロールペーパーホルダーが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-218131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のロールペーパーホルダーなどの従来のロールペーパーホルダーは、切断後のロールペーパーの切り口(先端部)がロールペーパー本体の表面に付着して掴みにくいという問題や、上蓋を上げてロールペーパーを引き出そうとすると、その反動やロールペーパーに触れることで巻き戻りが生じ、ロールペーパーの先端部を探すのに手間がかかるという問題があった。そのため、必ずしもロールペーパーを容易に引き出してカットすることができるものではなかった。また、その構造が複雑であるため、製造コストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、簡易な構造で、容易にロールペーパーを引き出してカットすることができる新規なロールペーパーホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、上蓋の前方部の下方に設けられた上下動可能な押さえ部材により、上昇時に上蓋との間にロールペーパーの先部を挟持して保持し、下降時に上蓋の下面から離隔させて、ロールペーパーを引き出し可能にする構成とすることにより、上蓋を上げてロールペーパーを引き出す際に生じるロールペーパーの先端部の巻き戻しが防止されると共に、ロールペーパー保持部の前方かつ上蓋の切断刃近傍に残存するロールペーパーの先端部を手がかり(掴み代)として、ロールペーパーを容易に引き出してカットすることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]ロールペーパーを回転自在に支持するロールペーパー支持部と、
前記ロールペーパー支持部の上方に設けられ、その後端が回動自在に支持されると共に、その前端に切断刃を有する上蓋と、
前記上蓋の前方部の下方にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられ、上昇時に前記上蓋の下面に当接して、該上蓋との間に介在するロールペーパーの先部を挟持して保持し、下降時に前記上蓋の下面から離隔して、該上蓋との間に介在するロールペーパーを引き出し可能にする、上下動可能な押さえ部材を具備する、ロールペーパー保持部と、
を備えたロールペーパーホルダーであって、
前記ロールペーパー保持部の押さえ部材を上昇させた際、前記ロールペーパーの先部が前記押さえ部材により挟持されて、該ロールペーパーの先端部が、少なくとも前記ロールペーパー保持部の前方かつ前記上蓋の切断刃近傍に残存した状態となり、
前記ロールペーパー保持部の押さえ部材を下降させた際、前記ロールペーパーの先部が前記押さえ部材の挟持から解放され、該ロールペーパーが引き出し可能な状態となる
ことを特徴とするロールペーパーホルダー。
[2]前記押さえ部材が、前記上蓋の側方から突出した上下動操作部を備えていることを特徴とする上記[1]記載のロールペーパーホルダー。
[3]前記押さえ部材が、その後端を支点として回動自在な板状部材であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のロールペーパーホルダー。
[4]前記ロールペーパー保持部は、前記上蓋下方の左右の一方に押さえ部材を備えると共に、該押さえ部材と所定間隔を空けて前記上蓋下方の左右の他方に設けられた支持部材を備えており、
前記支持部材が、前記上蓋との間にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられた上下動しない不動の板状部材であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載のロールペーパーホルダー。
[5]前記押さえ部材が、ロールペーパーを引き出し方向に回転可能な補助ローラを備えていることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか記載のロールペーパーホルダー。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロールペーパーホルダーは、簡易な構造で、容易にロールペーパーを引き出してカットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るロールペーパーホルダーの斜視図である。
図2図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部の概略平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は押さえ部材の拡大図を示す。
図3図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー装着時の説明図である。
図4図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部の使用状態を示す概略側面図であり、(a)は押さえ部材を上昇させる前の状態を示し、(b)は押さえ部材を上昇させた状態を示し、(c)は押さえ部材を下降させた状態を示す。
図5図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部の使用状態を示す概略正面図であり、(a)は図4(a)の状態を示し、(b)は図4(b)の状態を示す。
図6図1に示すロールペーパーホルダーの使用状態を示す斜視図であり、ロールペーパーを引き出す状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のロールペーパーホルダーは、ロールペーパーを回転自在に支持するロールペーパー支持部と、ロールペーパー支持部の上方に設けられ、その後端が回動自在に支持されると共に、その前端に切断刃を有する上蓋と、上蓋の前方部の下方にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられ、上昇時に上蓋の下面に当接して、上蓋との間に介在するロールペーパーの先部を挟持して保持し、下降時に上蓋の下面から離隔して、上蓋との間に介在するロールペーパーを引き出し可能にする、上下動可能な押さえ部材を具備する、ロールペーパー保持部と、を備えたロールペーパーホルダーであって、ロールペーパー保持部の押さえ部材を上昇させた際、ロールペーパーの先部が押さえ部材により挟持されて、ロールペーパーの先端部が、少なくともロールペーパー保持部の前方かつ上蓋の切断刃近傍に残存した状態となり、ロールペーパー保持部の押さえ部材を下降させた際、ロールペーパーの先部が押さえ部材の挟持から解放され、ロールペーパーが引き出し可能な状態となることを特徴とする。
【0012】
本発明のロールペーパーホルダーは、その使用時に、ロールペーパーの先部を挟持して保持する構成であることから、上蓋を上げてロールペーパーを引き出す際に生じるロールペーパーの先端部の巻き戻しを防止することができる。また、上蓋の切断刃近傍に位置するロールペーパーの先端部を手がかり(掴み代)として、ロールペーパーを容易に引き出してカットすることができる。すなわち、本発明のロールペーパーホルダーは、ロールペーパーの先部が保持されているため、ロールペーパーの巻き戻しを防止でき、また、手がかりを有することから、ロールペーパーの先端部を探すことなく、即座に手に取ることができる。
【0013】
特に、ロールペーパーがトイレットペーパーの場合、トイレットペーパーの先端部が常に定位置にあるため、無理なく即座にトイレットペーパーを取り出すことができ、高齢者や身体が不自由な人も片手で容易に取り出すことができる。また、トイレットペーパー先端部を見つけやすくするために三角形に折り込む作業を行うことも不要となる。
【0014】
また、本発明のロールペーパーホルダーは、構成が単純であるため、大量生産が可能であると共に、製造コストを抑えることができる。また、従来の上蓋付のトイレットペーパーホルダーの構造にロールペーパー保持部を付加する構造であるため、従来の構造を活かして容易に製造することができる。
【0015】
本発明のロールペーパーホルダーに装着するロールペーパーとしては、例えば、トイレットペーパー、キッチンペーパー等を挙げることができ、トイレットペーパーが特に好ましい。
【0016】
以下、本発明のロールペーパーホルダーの構成を具体的に説明する。
[ロールペーパー支持部]
本発明のロールペーパーホルダーのロールペーパー支持部は、ロールペーパーを回転自在に支持するものである。ロールペーパー支持部は、例えば、互いに対向して所定の距離を離して配置された一対の側板部や、壁面に取り付けられる背板などに設けられている。ロールペーパー支持部としては、ロールペーパーを回転自在に支持可能であるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ロールペーパーの芯に挿通して支持する支持軸や、ロールペーパーを収容する収容部を挙げることができる。
【0017】
ロールペーパー支持部がロールペーパーの芯に挿通して支持する支持軸の場合、ロールペーパー支持部は、例えば、側板部のそれぞれの内側に設けられた一対の支持部材であって、ロールペーパーを両側から支持するものであってもよいし、一対の側板部のいずれか一方の内側に設けられた支持部材であって、ロールペーパーを片側から支持するものであってもよいし、一対の側板部の内側に着脱可能に取り付けられる棒状の支持部材であってもよい。
【0018】
[上蓋]
本発明のロールペーパーホルダーの上蓋は、ロールペーパー支持部の上方に設けられ、その後端が回動自在に支持されると共に、その前端に切断刃を有する板状部材である。
【0019】
上蓋の形状としては、装着したロールペーパーを覆うことができるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、前後方向に延在し、その前部が下方に向かって湾曲しているものを挙げることができる。
【0020】
上蓋の材質としては、所定の使用に耐え得る剛性や耐久性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金属、プラスチック(合成樹脂)を挙げることができる。
【0021】
上蓋の大きさとしては、装着するロールペーパーの大きさ等によって適宜設定することができるが、例えば、奥行き(前後方向の長さ)80~300mmであることが好ましく、奥行き100~250mmであることがより好ましく、奥行き120~200mmであることがさらに好ましい。なお、上蓋の幅は、装着するロールペーパーの幅よりも大きいことが好ましい。
【0022】
(切断刃)
上蓋の前端には、切断刃を有している。切断刃の形状としては、ロールペーパーを切断可能であれば特に制限されるものではなく、例えば、平刃状、波型刃状、のこぎり刃状等を挙げることができ、のこぎり刃状が好ましい。切断刃の材質としては、例えば、金属、プラスチック(合成樹脂)、ゴム等を挙げることができ、安全性の点から、プラスチックやゴムが好ましい。
【0023】
切断刃の配置態様としては、地面に対して垂直(鉛直方向)に配置されていることが好ましい。これにより、切断刃が使用者の方向(前方)に向かずに、安全に使用することが可能となる。また、切断刃が使用者の反対方向(後方)に向かずに、ロールペーパーの先端部を手に取る際も安全に使用することが可能となる。
【0024】
[ロールペーパー保持部]
本発明のロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部は、上蓋の前方部の下方にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられ、上昇時に上蓋の下面に当接して、上蓋との間に介在するロールペーパーの先部を挟持して保持し、下降時に上蓋の下面から離隔して、上蓋との間に介在するロールペーパーを引き出し可能にする、上下動可能な押さえ部材を具備している。
【0025】
(押さえ部材)
押さえ部材は、上蓋の前方部の下方にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられた、上下動可能な可動式の板状部材である。なお、上蓋の前方部に設けられるとは、例えば、押さえ部材がロールペーパーの先部を押圧する押圧点が、ロールペーパー支持部に支持されるロールペーパーの中心軸(回転の軸となる部分)の位置よりも前方にあることをいう。
【0026】
押さえ部材と上蓋の下面との間隔としては、装着するロールペーパーの厚さ等によって適宜設定することができるが、2~20mmであることが好ましく、3~15mmであることがより好ましく、4~12mmであることがさらに好ましい。
【0027】
押さえ部材は、上下動可能に構成されており、上昇時に上蓋の下面に当接して、上蓋との間に介在するロールペーパーの先部を挟持して保持し、下降時に上蓋の下面から離隔して、上蓋との間に介在するロールペーパーを引き出し可能にする。押さえ部材の上下動の態様としては、例えば、押さえ部材全体が上下動する態様であってもよいし、その後端を支点に回動自在として押さえ部材の前方部が上下動する態様であってもよい。
【0028】
押さえ部材の上下動の範囲の上限は、上蓋の下面に当接する位置であり、一方、押さえ部材の上下動の範囲の下限は、装着したロールペーパーの最大径の時(未使用時)の表面に接触しない位置である。押さえ部材を下限位置に保持するため、通常、押さえ部材を支持する下限支持部材が設けられるか、回動を制限するバネ等の回動制限部材が設けられる。
【0029】
押さえ部材の配置態様としては、上蓋下方の左右方向に延設された部材であってもよいし、上蓋下方の左右の一方に設けられた態様であってもよいし、上蓋下方の左右両方に所定間隔を空けて設けられた態様であってもよい。
【0030】
ロールペーパー保持部が上蓋下方の左右の一方に押さえ部材を備える態様の場合、ロールペーパー保持部は、上蓋下方の左右の他方に、押さえ部材と所定間隔を空けて支持部材を備えていることが好ましい。支持部材は、例えば、上蓋との間にロールペーパーを挿通可能な間隔を空けて設けられた上下動しない不動の板状部材である。この態様の場合、ロールペーパーを設置する際、押さえ部材と支持部材との間の空間の指先で押さえたロールペーパーを上蓋の下面になぞるように滑らせることにより、上蓋と押さえ部材及び支持部材との間にロールペーパーを容易に挿通させることができる。また、同様に、ロールペーパーを容易に引き出すことができる。
【0031】
押さえ部材は、上蓋の側方から突出した上下動操作部を備えていることが好ましい。具体的に、例えば、上下動操作部は、押さえ部材の側部が延伸し、上蓋の側方から突出した突出片や、その基端が押さえ部材の本体部に連結され、上蓋の側方から突出すると共に上方に延びる連結部と、連結部の先端に設けられた板部を備える突出レバー等を挙げることができる。これにより、容易に押さえ部材を上下動させることができる。例えば、一対の側板部に設けられている場合や、上蓋とロールペーパーとの隙間が小さい場合など押さえ部材の本体部を直接操作することが困難な場合であっても問題なく上下動させることができる。
【0032】
押さえ部材は、ロールペーパーを引き出し方向に回転可能な補助ローラを備えていることが好ましい。補助ローラは、例えば、押さえ部材の後端の支点(回動軸)に設けることができる。これにより、ロールペーパーのスムーズな引き出しが可能となる。また、ロールペーパーへの負荷を減少させて切断(破壊)を防止できる。補助ローラの材質としては、所定の使用に耐え得る剛性や耐久性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金属、プラスチック(合成樹脂)、ガラス、ゴム、シリコン等を挙げることができ、これらを複数用いたものであってもよい。具体的に例えば、補助ローラは、プラスチック製の筒状部材と、筒状部材を覆うシリコン材とを具備するものを挙げることができる。
【0033】
押さえ部材の材質としては、所定の使用に耐え得る剛性や耐久性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金属、プラスチック(合成樹脂)等を挙げることができる。また、押さえ部材は、上蓋の下面との当接する当接部分にロールペーパーの先部への押圧を和らげ、ロールペーパーが切断されることを防止するための保護材が設けられていてもよい。
【0034】
[側板部]
本発明のロールペーパーホルダーは、互いに対向して所定の距離を離して配置された一対の側板部を備えていてもよい。側板部としては、例えば、所定の距離を離して壁面から前方に突き出して配置される一対の板状部材や、壁面に取り付けられる背板の左右両端から前方に突き出して配置される一対の板状部材を挙げることができる。
【0035】
次に、本発明のロールペーパーホルダーの使用方法(動作)について説明する。
まず、準備として、使用者は、ロールペーパーをロールペーパー支持部に装着する。続いて、上蓋を開いて(上方に回動させて)、ロールペーパーを上蓋と押さえ部材及び支持部材との間に挿通させる(図3参照)。この際、ロールペーパー保持部の押さえ部材は下限位置に保持し、押さえ部材と上蓋との間には、間隔が設けられた状態となっている。さらに、ロールペーパー先端部を前方へ引き出すことにより、ロールペーパーの先端部がロールペーパー保持部の前方かつ上蓋の切断刃近傍に位置した状態となり、ロールペーパーの装着が完了する(図4(a)参照)。この時のロールペーパーの先部は、押さえ部材及び支持部材の上に載置されており、上蓋の下面に当接していない状態である(図5(a)参照)。
【0036】
ロールペーパーを使用する際には、ロールペーパー保持部の押さえ部材を片側の手で上昇させ、ロールペーパーの先部を上蓋と押さえ部材との間に挟持させる(図4(b)参照)。ロールペーパーの先部を挟持させた状態のまま、さらに押さえ部材を上昇させ、上蓋を持ち上げる。これにより、ロールペーパーの先部が押さえ部材により挟持されて、ロールペーパーの先端部が、ロールペーパー保持部の前方かつ上蓋の切断刃近傍に残存した状態となる(図5(b)参照)。
続いて、この状態で、上蓋の切断刃近傍に残存するロールペーパーの先端部を、押さえ部材を上昇させた手と反対の手で掴む。
続いて、押さえ部材を上昇させた手を押さえ部材から離し、押さえ部材を下降させる。これにより、ロールペーパーの先部が押さえ部材の挟持から解放され、ロールペーパーが引き出し可能な状態となる(図4(c)及び図6参照)。
【0037】
上記のように、本発明のロールペーパーホルダーは、ロールペーパー保持部の押さえ部材を上昇させた際、ロールペーパーの先部が押さえ部材により挟持されて、ロールペーパーの先端部が、ロールペーパー保持部の前方かつ上蓋の切断刃近傍に残存した状態となり、ロールペーパー保持部の押さえ部材を下降させた際、ロールペーパーの先部が押さえ部材の挟持から解放され、ロールペーパーが引き出し可能な状態となることから、ロールペーパーの巻き戻しを防止でき、また、上蓋の切断刃近傍に位置するロールペーパーの先端部を手がかり(掴み代)として、ロールペーパーの先端部を指先などで容易に引き出してカットすることができる。
【0038】
以下、図面を用いて本発明のロールペーパーホルダーの一実施形態を具体的に説明するが、本発明は本実施形態に制限されるものではない。
【0039】
ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るロールペーパーホルダーの斜視図である。図2は、図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部の概略平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は押さえ部材の拡大図を示す。図3は、図1に示すロールペーパーホルダーへのロールペーパー装着時の説明図である。図4は、図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部の使用状態を示す概略側面図であり、(a)は押さえ部材を上昇させる前の状態を示し、(b)は押さえ部材を上昇させた状態を示し、(c)は押さえ部材を下降させた状態を示す。図5は、図1に示すロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部の使用状態を示す概略正面図であり、(a)は図4(a)の状態を示し、(b)は図4(b)の状態を示す。図6は、図1に示すロールペーパーホルダーの使用状態を示す斜視図であり、ロールペーパーを引き出す状態を示す。
【0040】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係るロールペーパーホルダー1は、互いに対向して配置された一対の側板部10,12と、側板部10,12の間にロールペーパーとしてのトイレットペーパーAを回転自在に支持するロールペーパー支持部14と、ロールペーパー支持部14の上方に設けられた上蓋16と、トイレットペーパーAの先部を上蓋16との間に保持するためのロールペーパー保持部18とを備えている。トイレットペーパーAは、幅110mm程度、直径120mm程度の大きさである。
【0041】
側板部10,12は、幅140mm程度、高さ160mm程度の背板の左右両端から前方に突き出して配置された最大奥行き160mm程度、最大高さ200mm程度の板状部材である。側板部10,12の上面は、前後方向に延在し、上面から前面に向かって湾曲している。また、側板部10,12の下面は、トイレットペーパーAの下部を確認できるように切欠きを形成する弧状に形成されており、側方からトイレットペーパーAの残量が容易に確認できるように構成されている。
【0042】
ロールペーパー支持部14は、トイレットペーパーAの芯に挿通して、トイレットペーパーAを回転自在に支持する支持軸である。
【0043】
上蓋16は、前後方向に延在し、その前部が下方に向かって湾曲した、幅130mm程度、奥行き140mm程度の板状部材であり、その後端が支持軸20に回動自在に支持されると共に、その前端にのこぎり刃状の切断刃22を有している。
【0044】
図2(a)に示すように、ロールペーパー保持部18は、上蓋16下方の左右の一方に押さえ部材24を備えると共に、押さえ部材24と40mm程度の間隔を空けて上蓋16下方の左右の他方に設けられた支持部材26を備えている。
【0045】
図2(b)に示すように、押さえ部材24は、上蓋16の前方部の下方にトイレットペーパーAを挿通可能な10mm程度の間隔を空けて設けられた、幅40mm程度、奥行き40mm程度の板状部材である。押さえ部材24は、その後端に設けられた支持軸28を支点として回動自在に構成され、上下動可能な可動式に構成されている。支持軸28は、上蓋16の下面に連結されたL字状部材であり、トイレットペーパーAを引き出し方向に回転可能な補助ローラ30を備えている。また、押さえ部材24は、上蓋16の下面に連結され、押さえ部材24の下方に延伸して下面を支持するL字状の支持棒32により、その中央部で支持され、回動範囲が制御されている。また、押さえ部材24は、その前方部に、上下動操作部としての突出レバー34を備えている。突出レバー34は、その基端が押さえ部材24に連結され、上蓋16の側方から突出すると共に上方に延在するL字状の棒状部36と、棒状部36の先端に設けられた半円状の板部38から構成されている。
【0046】
図2(a)に示すように、支持部材26は、上蓋16との間にトイレットペーパーAを挿通可能な10mm程度の間隔を空けて設けられた、幅40mm程度、奥行き40mm程度の板状部材である。支持部材26は、その中央部で、上蓋16の下面に連結されたL字状の固定部材40で固定され、上下動しない不動に構成されている。また、支持部材26は、その後端にトイレットペーパーAを引き出し方向に回転可能な補助ローラ30を備えている。
【0047】
次に、本発明の第一実施形態に係るロールペーパーホルダー1の使用方法(動作)の一例を説明する。
まず、準備として、使用者は、トイレットペーパーAの芯をロールペーパー支持部(支持軸)14に挿通して装着する。続いて、図3に示すように、片側の手で上蓋16を開いて(上方に回動させて)、反対側の手で、トイレットペーパーAの先端部を上方に引き出し、トイレットペーパーAを上蓋16と押さえ部材24及び支持部材26との間に挿通させる。この際、上蓋16を上げる手は、ロールペーパー保持部18の突出レバー34に触れずに、押さえ部材24と上蓋16との間には、間隔が設けられた状態となっている。さらに、押さえ部材24と支持部材26との間の空間の指先で押さえたトイレットペーパーAを上蓋16の下面になぞるように滑らせて前方へ引き出すことにより、図4(a)に示すように、トイレットペーパーAの先端部がロールペーパー保持部18の前方かつ上蓋16の切断刃22近傍に位置した状態(トイレットペーパーAを装着した状態)となる。この時のトイレットペーパーAの先部は、図5(a)に示すように、押さえ部材24及び支持部材26の上に載置されており、上蓋16の下面に当接していない状態である。
【0048】
使用する際には、図4(b)に示すように、ロールペーパー保持部18の押さえ部材24の突出レバー34の板部38に一方の手の指を掛けて上昇させ、トイレットペーパーAの先部を上蓋16と押さえ部材24との間に挟持させる。トイレットペーパーAの先部を挟持させた状態のまま、さらに押さえ部材24の突出レバー34を上昇させ、上蓋16を持ち上げる。この時のトイレットペーパーAの先部は、図5(b)に示すように、押さえ部材24側が上蓋16と押さえ部材24との間に挟持された状態となっており、一方、支持部材26側が支持部材26の上に載置され、上蓋16に下面に当接していない状態となっている。
【0049】
続いて、図4(c)及び図6に示すように、上蓋16の切断刃22近傍のトイレットペーパーAの先端部を、押さえ部材24を上昇させた手と反対の他方の手で掴み、その後、押さえ部材24の突出レバー34の板部38から一方の手を離して、押さえ部材24を下降させ、他方の手でトイレットペーパーAを所望の長さ分だけ引き出し、上蓋16の切断刃22を用いてカットする。
【0050】
上記説明した第一実施形態に係るロールペーパーホルダー1は、その使用時に、トイレットペーパーAの先部を挟持して保持する構成であることから、上蓋16を上げてトイレットペーパーAを引き出す際に生じるトイレットペーパーAの先端部の巻き戻しが防止される。また、上蓋16の切断刃22近傍に位置するトイレットペーパーAの先端部を手がかり(掴み代)として、トイレットペーパーAを容易に引き出してカットすることができる。すなわち、本発明のロールペーパーホルダー1は、トイレットペーパーAの先部が保持されているため、トイレットペーパーAの巻き戻しを防止でき、また、手がかりを有することから、トイレットペーパーAの先端部を探すことなく、即座に手に取ることができる。したがって、特に高齢者や身体が不自由な人の利用に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のロールペーパーホルダーは、トイレットペーパーホルダー等として用いることができることから、産業上有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 ロールペーパーホルダー(第1実施形態)
10 側板部
12 側板部
14 ロールペーパー支持部
16 上蓋
18 ロールペーパー保持部
20 支持軸
22 切断刃
24 押さえ部材
26 支持部材
28 支持軸
30 補助ローラ
32 支持棒
34 突出レバー(上下動操作部)
36 棒状部
38 板部
40 固定部材
A トイレットペーパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6