(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078938
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】給電制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240604BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240604BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20240604BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
H02J1/00 304H
H02H7/20 A
H02H3/087
H02J1/00 309Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191571
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】谷中 裕太
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5G165
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB03
5G004BA04
5G004EA01
5G053AA01
5G053BA01
5G053CA01
5G053EC01
5G053EC03
5G053EC05
5G053FA05
5G165BB04
5G165DA01
5G165EA02
5G165FA01
5G165FA05
5G165GA04
5G165HA07
5G165LA02
5G165NA05
(57)【要約】
【課題】追加又は交換される新たな車載機の閾値が、自装置の遮断部の閾値よりも大きい場合であっても適宜対応できる給電制御装置を提供する。
【解決手段】車載機300,300Aに対する給電制御を行う車両用の給電制御装置100であって、遮断閾値を超える電流が車載機300,300Aに流れることを遮断する遮断部S1~Snを複数備え、複数の遮断部S1~Snには前記遮断閾値が異なる遮断部S3~S4が含まれ、前記複数の遮断部S1~Snのうち一群S3~S4が新規接続される新規車載機300Aに接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機に対する給電制御を行う車両用の給電制御装置であって、
遮断閾値を超える電流が前記車載機に流れることを遮断する遮断部を複数備え、
前記複数の遮断部には前記遮断閾値が異なる遮断部が含まれ、
前記複数の遮断部のうち一群が新規接続される新規車載機に接続される給電制御装置。
【請求項2】
前記一群の遮断部の前記遮断閾値の和は、前記新規車載機に応じて定まる車載機閾値と同じである請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記一群の遮断部は、前記遮断閾値が異なる遮断部を含む請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記一群の遮断部は、前記遮断閾値が同じである請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記一群の遮断部の夫々は並列に前記新規車載機と接続されている請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記一群の各遮断部は開閉が制御される半導体スイッチであり、
各半導体スイッチは、前記新規車載機に応じて定まる車載機閾値によって設定される前記遮断閾値に基づいて開閉が切り替わる請求項1から5のいずれか一項に記載の給電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両に装着される給電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、電源と車載機との間に給電制御装置が介在しており、前記電源からの電力供給を各車載機に分配している。
【0003】
一方、特許文献1には、電源と負荷との間に介在する負荷制御装置であって、電源からの線を複数に分岐させて、必要に応じて複数の分岐線を介して負荷との接続を行う負荷制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気機器を含む車載機は、閾値以上の過電流が流れた場合、誤作動又は破壊が生じるおそれがあることから、車載機に閾値以上の過電流が流れそうな場合、通電を遮断する遮断部が用いられる。例えば、遮断部は、電源及び車載機を繋ぐ電力配線に設けられ、閾値以上の電流が流れる場合、斯かる電力配線をオフにする機能をなす。
【0006】
例えば、前記負荷制御装置に新たな車載機が追加的に接続される、又は、既に接続されていた車載機が新たな車載機に交換される場合が想定できる。しかし、追加又は交換された新たな車載機に応じて定まる車載機側閾値が、斯かる車載機に対応する遮断部の遮断部側閾値よりも大きい場合があり得る。このような場合、遮断部は上述した本来の機能が出来なくなるという問題があった。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、このような問題については考慮しておらず、解決できない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、追加又は交換される新たな車載機の閾値が、自装置の遮断部の閾値よりも大きい場合であっても適宜対応できる給電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態に係る給電制御装置は、車載機に対する給電制御を行う車両用の給電制御装置であって、遮断閾値を超える電流が前記車載機に流れることを遮断する遮断部を複数備え、前記複数の遮断部には前記遮断閾値が異なる遮断部が含まれ、前記複数の遮断部のうち一群が新規接続される新規車載機に接続される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、追加又は交換される新たな車載機の閾値が、自装置の遮断部の閾値よりも大きい場合であっても対応可能な給電制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る給電制御装置が装着された車両の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る給電制御装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る給電制御装置の空き電力配線に新規車載機が接続される場合を示す機能ブロック図である。
【
図4】実施形態2に係る給電制御装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の実施形態に係る給電制御装置は、車載機に対する給電制御を行う車両用の給電制御装置であって、遮断閾値を超える電流が前記車載機に流れることを遮断する遮断部を複数備え、前記複数の遮断部には前記遮断閾値が異なる遮断部が含まれ、前記複数の遮断部のうち一群が新規接続される新規車載機に接続される。
【0014】
本実施形態にあっては、前記複数の遮断部のうち一群が前記新規車載機に接続されることによって、追加又は交換される前記新規車載機の閾値(車載機閾値)が、給電制御装置の各遮断部の遮断閾値よりも大きい場合であっても対応できる。
【0015】
(2)本開示の実施形態に係る給電制御装置は、前記一群の遮断部の前記遮断閾値の和は、前記新規車載機に応じて定まる車載機閾値と同じである。
【0016】
本実施形態にあっては、前記新規車載機に接続される前記一群の遮断部の前記遮断閾値の和が前記新規車載機に係る車載機閾値と同じであるので、車載機閾値を超える電流が前記新規車載機に流れることを遮断できる。
【0017】
(3)本開示の実施形態に係る給電制御装置は、前記一群の遮断部は、前記遮断閾値が異なる遮断部を含む。
【0018】
本実施形態にあっては、前記新規車載機に接続される前記一群の遮断部の遮断閾値が相違するものの、前記遮断閾値の和が前記新規車載機に係る車載機閾値と等しいので、車載機閾値を超える電流が前記新規車載機に流れることを遮断できる。
【0019】
(4)本開示の実施形態に係る給電制御装置は、前記一群の遮断部は、前記遮断閾値が同じである。
【0020】
本実施形態にあっては、前記新規車載機に接続される前記一群の遮断部の遮断閾値が同じであって、前記遮断閾値の和が前記新規車載機に係る車載機閾値と等しいので、車載機閾値を超える電流が前記新規車載機に流れることを遮断できる。
【0021】
(5)本開示の実施形態に係る給電制御装置は、前記一群の遮断部の夫々は並列に前記新規車載機と接続されている。
【0022】
本実施形態にあっては、前記一群の遮断部の夫々は、並列に前記新規車載機と接続されており、夫々の遮断閾値を超える電流が前記新規車載機に流れることを遮断する。従って、車載機閾値を超える電流が前記新規車載機に流れることを遮断できる。
【0023】
(6)本開示の実施形態に係る給電制御装置は、前記一群の各遮断部は開閉が制御される半導体スイッチであり、各半導体スイッチは、前記新規車載機に応じて定まる車載機閾値によって設定される前記遮断閾値に基づいて開閉が切り替わる。
【0024】
本実施形態にあっては、一群の半導体スイッチが前記新規車載機に接続され、前記新規車載機に係る車載機閾値に応じて夫々の遮断閾値が設定され、各遮断閾値を超える電流が前記新規車載機に流れないように開閉が制御される。従って、車載機閾値を超える電流が前記新規車載機に流れることを遮断できる。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る給電制御装置を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
図1は、実施形態1に係る給電制御装置100が装着された車両500の要部構成を示す機能ブロック図である。車両500は、複数の車載機300と、給電制御装置100と、電源200とを備えている。
【0027】
電源200は、例えば、バッテリーであり、車載機300は、例えば、ルームランプ、ドライブレコーダー等の電装機器である。給電制御装置100は、電源200及び車載機300の間に介在しており、電源200から車載機300への電力供給を制御する。
【0028】
例えば、実施形態1に係る給電制御装置100は、複数の出力端子(図示せず)を備えており、各出力端子には電力配線Lが接続されている。車載機300は、電力配線Lを介して給電制御装置100に接続されている。
電源200から給電制御装置100に入力される電力は電力配線Lを介して複数の車載機300に分散供給される。この際、給電制御装置100は各車載機300及び後述する新規車載機300A(
図3)への給電を制御する。
【0029】
以下の説明では、便宜上、給電制御装置100がn個の出力端子を有する場合、即ち、給電制御装置100にn本の電力配線L(電力配線L1~Ln)が接続されている場合を例に挙げて説明する。また、以下では、電力配線L1~Lnを単に電力配線Lとも称する。
【0030】
例えば、実施形態1に係る給電制御装置100は、電力配線L1~Lnのうち、一部にのみ車載機300が接続されている。
図1では、電力配線L1~L2にのみ車載機300が接続されており、電力配線L3~Lnには車載機300が接続されておらず、電力配線L3~Lnは空き電力配線である。
【0031】
図1では、電力配線L1~L2にのみ車載機300が接続されている場合を例示しているが、これに限定されるものではない。斯かる空き電力配線Lに、新たな車載機300が接続される、又は、既に接続されていた車載機300が新たな車載機300に交換され得る。以下では、車載機300のうち、新たに追加される車載機300と、新たに交換された車載機300とを合わせて新規車載機300Aと称する。
【0032】
図2は、実施形態1に係る給電制御装置100の要部構成を示す機能ブロック図であり、
図3は、実施形態1に係る給電制御装置100の空き電力配線Lに新規車載機300Aが接続される場合を示す機能ブロック図である。
【0033】
給電制御装置100は、複数のスイッチS(遮断部)と、各スイッチSを介して車載機300への給電を制御する制御部10とを備えている。例えば、給電制御装置100は、n個のスイッチS(スイッチS1~Sn)を有している。
【0034】
スイッチSは、電源200と車載機300(新規車載機300A)との間に介在している。
詳しくは、電源200及び給電制御装置100を繋ぐ電力配線は、一端が電源200と接続され、他端は複数に分岐されてスイッチS1~Snの夫々に接続されている。また、スイッチS1~Snには電力配線L1~Lnが夫々接続されており、スイッチS1~Snは電力配線L1~Lnを介して夫々車載機300(新規車載機300A)に接続される。
【0035】
スイッチSは、例えばIPD(Intelligent Power Device)等として構成される半導体スイッチである。スイッチSは、例えばFET(Field Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を備えたIPD( Intelligent Power Device)として構成される。スイッチSは、電力配線Lを介して車載機300(新規車載機300A)への電力(電流)の供給及び遮断を行う。また、スイッチSは電流を検出して制御部10に通知する。
【0036】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成されている。制御部10は、内部バス及び複数の信号線によって各スイッチS1~Snと接続されている。
【0037】
制御部10は、ゲート信号(PWM制御信号)を各スイッチS1~Snのゲート端子に出力(印加)することによって、スイッチS1~Snの夫々を開閉させて、PWM制御を行う。即ち、スイッチSは、制御部10から入力されたPWM制御信号に応じて開閉され、これに応じてパルス電圧(電力)が車載機300(新規車載機300A)に出力される。
【0038】
図2~
図3に例示する給電制御装置100においては、スイッチS1が電力配線L1を介して一の車載機300と接続しており、スイッチS2が電力配線L2を介して他の車載機300と接続している。
【0039】
スイッチS1,S2を含むスイッチSは、対応する車載機300に過電流が流れることを遮断し、所謂ヒューズとしての機能をなす。詳しくは、上述した2つの車載機300に応じて定まる、過電流の遮断に用いられる閾値(以下、車載機閾値と称する)に基づいて、スイッチS1,S2の遮断電流値(遮断閾値)が設定され、斯かる遮断電流値を超える電流がスイッチS1,S2に流れる場合、制御部10は、スイッチS1,S2を開にする。遮断電流値は、スイッチSが車載機300(新規車載機300A)への通電を遮断する際に用いられる閾値であり、一般のヒューズにおける溶断電流値、遮断電流値等に相当する。
【0040】
例えば、上述の車載機300に、10Aよりも大きい電流が流れたときには誤作動又は破壊が生じるおそれがある場合、各車載機300に係る車載機閾値は10Aであり、スイッチS1,S2の遮断電流値は夫々10Aに設定され、スイッチS1又はスイッチS2に10A(遮断電流値)以上の大きい電流が流れる場合、制御部10はスイッチS1又はスイッチS2を開にし、車載機300に車載機閾値を超える過電流が流れることが遮断される。
【0041】
給電制御装置100に新規車載機300Aが接続される場合、即ち、空き電力配線Lに、新たな車載機300が接続されるか、又は、既に接続されていた車載機300が新たな車載機300に交換される場合が想定される。
【0042】
一方、新規車載機300Aに係る車載機閾値が、新規車載機300Aに接続されるスイッチSにおいて正常作動する最大の電流値、即ち許容される最大の電流値(以下、最大許容電流値)を超える場合があり得る。例えば、新規車載機300Aに係る車載機閾値が15Aであるのに対して、新規車載機300Aに接続されるスイッチSにおける最大許容電流値が10Aである場合があり得る。このような場合、スイッチSは、10A以上の電流では正しく作動しないので、上述した機能を適切に成しえなくなる。
【0043】
斯かる問題に対して実施形態1に係る給電制御装置100は対応できる。以下、説明する。以下では、
図3の如く、空き電力配線Lに新規車載機300Aが接続される場合を例に挙げて説明し、スイッチS1~Snにおける最大許容電流値が何れも10Aであるとする。
【0044】
上述の如く、新規車載機300Aに係る車載機閾値が15Aであり、新規車載機300Aに接続される各スイッチSにおける最大許容電流値が10Aである場合、実施形態1に係る給電制御装置100では、複数のスイッチSが新規車載機300Aに接続される。
【0045】
例えば、スイッチS3,S4(一群)が新規車載機300Aに接続される(
図3参照)。スイッチS3,S4は夫々が新規車載機300Aと並列に接続され、スイッチS3,S4の遮断電流値が夫々7.5Aに設定される。即ち、スイッチS3,S4の遮断電流値の和が、新規車載機300Aに係る車載機閾値と同じであるように、スイッチS3,S4の遮断電流値が設定される。これによって、新規車載機300Aに流れる電流はスイッチS3,S4に分流され、スイッチS3,S4の最大許容電流値を超えなくなる。
【0046】
以降、制御部10は、スイッチS3,S4を監視し、スイッチS3又はスイッチS4に7.5A(遮断電流値)を超える電流が流れる場合、スイッチS3又はスイッチS4を順次的に又は同時に開にする制御を行う。
【0047】
これによって、新規車載機300Aに15A(車載機閾値)を超える過電流が流れることが遮断されるので、新規車載機300Aに、遮断電流値が15AであるスイッチSが接続されている場合と同様の効果を奏する。従って、実施形態1に係る給電制御装置100は、新規車載機300Aに係る車載機閾値が各スイッチSにおける最大許容電流値よりも大きい場合でも対応できる。よって、新規車載機300Aの如何に関わることなく、給電制御装置100に想定外の新規車載機300Aが接続されるような場合であっても、適宜給電できる。
【0048】
(実施形態2)
実施形態1においては、遮断部(スイッチS)が半導体スイッチである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。実施形態2では、遮断部として一般のヒューズが用いられる。以下、詳述する。
【0049】
図4は、実施形態2に係る給電制御装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。
図4では、実施形態2に係る給電制御装置100の空き電力配線Lに新規車載機300Aが接続される場合を示しており、便宜上、新規車載機300Aを破線にて示している。
【0050】
実施形態1と同様、車両500は、複数の車載機300と、給電制御装置100と、電源200とを備えており、給電制御装置100は、電源200及び車載機300(新規車載機300A)の間に介在しており、電源200から車載機300(新規車載機300A)への電力供給を制御する。
【0051】
車載機300(新規車載機300A)は、電力配線Lを介して給電制御装置100に接続され、電源200から給電制御装置100に入力される電力は電力配線Lを介して複数の車載機300(新規車載機300A)に分散供給される。この際、給電制御装置100は各車載機300(新規車載機300A)への給電を制御する。
【0052】
図4では、電力配線L1~L2にのみ車載機300が接続されており、空き電力配線L3~Lnのうち電力配線L3~L4に、新規車載機300Aが接続される場合を例示している。
【0053】
実施形態2の給電制御装置100は、スイッチSの代わりに一般の車両用ヒューズFを備える。例えば、給電制御装置100は、n個のヒューズF(ヒューズF1~Fn)を有している。
【0054】
ヒューズFは、電源200と車載機300(新規車載機300A)との間に介在している。電源200及び給電制御装置100を繋ぐ電力配線は、一端が電源200と接続され、他端は複数に分岐されてヒューズF1~Fnの夫々に接続されている。また、ヒューズF1~Fnには電力配線L1~Lnが夫々接続されており、ヒューズF1~Fnは電力配線L1~Lnを介して夫々車載機300(新規車載機300A)に接続される。
【0055】
ヒューズFは、例えば、ブレード型ヒューズ、低背型ヒューズ、管型ヒューズなど一般の車両用ヒューズである。即ち、ヒューズFは、固有の溶断特性に応じて、所定の溶断電流が流れる場合、溶断される。
【0056】
例えば、
図4の例示においては、ヒューズF1又はヒューズF2に溶断電流値(遮断閾値)以上に大きい電流が流れる場合、ヒューズF1又はヒューズF2が溶断され、車載機300に車載機閾値を超える過電流が流れることが遮断される。
【0057】
給電制御装置100に新規車載機300Aが接続される場合、即ち、空き電力配線Lに、新たな車載機300が接続されるか、又は、既に接続されていた車載機300が新たな車載機300に交換される場合が想定される。
【0058】
一方、新規車載機300Aに係る車載機閾値が、新規車載機300Aに接続されるヒューズFの溶断電流値を超える場合があり得る。例えば、新規車載機300Aに係る車載機閾値が15Aであるのに対して、新規車載機300Aに接続されるヒューズFにおける溶断電流値が7.5Aである場合があり得る。このような場合、ヒューズFは、ヒューズとして適切に機能できなくなる。
【0059】
斯かる問題に対して実施形態2に係る給電制御装置100は対応できる。以下、説明する。便宜上、以下では、空き電力配線Lに新規車載機300Aが接続される場合を例に挙げて説明する。
【0060】
上述の如く、新規車載機300Aに係る車載機閾値よりも、新規車載機300Aに接続される各ヒューズFの溶断電流値が小さい場合、給電制御装置100では、複数のヒューズFが新規車載機300Aと接続される。より詳しくは、各ヒューズFの溶断電流値に基づき、新規車載機300Aに応じて定まる車載機閾値にあわせて複数のヒューズFの組み合わせが新規車載機300Aと接続される。
【0061】
例えば、新規車載機300Aに応じて定められる車載機閾値が15Aである場合、溶断電流値が夫々7.5AであるヒューズF3,F4が新規車載機300Aに接続される(
図4参照)。ヒューズF3,F4の夫々が並列に新規車載機300Aと接続される。
【0062】
即ち、ヒューズF3,F4の溶断電流値の和が、新規車載機300Aに係る車載機閾値と同じである。これによって、新規車載機300Aに流れる電流はヒューズF3,F4に分流され、ヒューズF3,F4の溶断電流値を超えなくなる。
【0063】
これによって、新規車載機300Aに15A(車載機閾値)を超える過電流が流れることが遮断されるので、新規車載機300Aに、溶断電流値が15AであるヒューズFが接続されている場合と同様の効果を奏する。従って、実施形態2に係る給電制御装置100は、新規車載機300Aに係る車載機閾値が各ヒューズFにおける溶断電流値よりも大きい場合でも対応できる。よって、新規車載機300Aの如何に関わることなく、給電制御装置100に想定外の新規車載機300Aが接続されるような場合であっても、適宜給電できる。
【0064】
実施形態1では、新規車載機300Aに2つのスイッチS(スイッチS3,S4)の組み合わせが接続される場合を例に挙げて説明し、実施形態2では、新規車載機300Aに2つのヒューズF(ヒューズF3,F4)の組み合わせが接続される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、3つ以上のスイッチS又はヒューズFを組み合わせて新規車載機300Aに接続しても良い。
【0065】
また、実施形態1では、新規車載機300Aに接続されるスイッチSの組み合わせに係る各スイッチSの遮断電流値が同じである場合(何れも7.5A)を例に挙げて説明し、実施形態2では、新規車載機300Aに接続されるヒューズFの組み合わせに係る各ヒューズFの溶断電流値が同じである場合(何れも7.5A)を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。前記組み合わせに係る各スイッチSの遮断電流値は互いに異なる遮断電流値(例えば、10A及び5A)であっても良く、前記組み合わせに係る各ヒューズFの溶断電流値は互いに異なる溶断電流値(例えば、10A及び5A)であっても良い。
【0066】
更に、実施形態1では給電制御装置100がスイッチSのみを有する場合を例に挙げて説明し、実施形態2では給電制御装置100がヒューズFのみを有する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。給電制御装置100がスイッチS及びヒューズFを共に有するように構成しても良い。
【0067】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0068】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0069】
10 制御部
100 給電制御装置
200 電源
300 車載機
300A 新規車載機
500 車両
F,F1~Fn ヒューズ(遮断部)
L,L1~Ln 電力配線
S,S1~Sn スイッチ(遮断部)