IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本トーカンパッケージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-包装用箱及びブランク 図1
  • 特開-包装用箱及びブランク 図2
  • 特開-包装用箱及びブランク 図3
  • 特開-包装用箱及びブランク 図4
  • 特開-包装用箱及びブランク 図5
  • 特開-包装用箱及びブランク 図6
  • 特開-包装用箱及びブランク 図7
  • 特開-包装用箱及びブランク 図8
  • 特開-包装用箱及びブランク 図9
  • 特開-包装用箱及びブランク 図10
  • 特開-包装用箱及びブランク 図11
  • 特開-包装用箱及びブランク 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078953
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】包装用箱及びブランク
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20240604BHJP
   B65D 5/20 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
B65D5/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191597
(22)【出願日】2022-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 令和4年5月25日 公開場所 株式会社横浜リテラ(神奈川県横浜市戸塚区) 〔刊行物等〕 公開日 令和4年5月31日 公開場所 株式会社スタープロセス(神奈川県横浜市戸塚区) 〔刊行物等〕 公開日 令和4年7月12日 公開場所 トーヨーエキスプレス株式会社(神奈川県大和市)
(71)【出願人】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】上原 克司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB16
3E060BA05
3E060BB03
3E060BC02
3E060BC04
3E060CG12
3E060CG23
3E060DA25
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】 包装用箱の第1天面部と第2天面部とを仮留めする際の作業性を向上する。
【解決手段】 矩形状の底面部と、底面部から起立する一対の第1側面部及び一対の第2側面部と、一対の第1側面部それぞれの上側辺に設けられた第1天面部及び第2天面部と、を備え、第1天面部には、略矩形の凸片部が形成され、第2天面部の凸片部に対応する位置には切り欠き部が形成され、第1天面部の幅方向の寸法と、第2天面部の第1側面部と接続された辺から切り欠き部までの最短距離と、の合計は、第2側面部の寸法よりも大きく、第1天面部の凸片部が切り欠き部を介して第2天面部の下側に入り込み、第1天面部の凸片部以外の部分が第2天面部の下側には入り込まないことにより、第1天面部と第2天面部とが係合し、凸片部の2つの角部がR形状とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底面部と、
前記底面部の第1方向に延びる二辺から起立する一対の第1側面部と、
前記底面部の前記第1方向に直交する第2方向に延びる二辺から起立する一対の第2側面部と、
前記一対の第1側面部それぞれの上側辺に設けられた第1天面部及び第2天面部と、を備え、
前記第1天面部の、前記第1側面部に接続された辺とは反対側の端部には、略矩形の凸片部が形成され、
前記第2天面部の、前記第1側面部に接続された辺とは反対側の端部の前記凸片部に対応する位置には切り欠き部が形成され、
前記第1天面部の前記第1方向に直交する幅方向の寸法と、前記第2天面部の前記第1側面部に接続された辺と前記切り欠き部との間の最短距離と、の合計は、前記第2側面部の前記第2方向の寸法よりも大きく、
前記第1天面部の前記凸片部が前記切り欠き部を介して前記第2天面部の下側に入り込み、前記第1天面部の前記凸片部以外の部分が前記第2天面部の下側には入り込まないことにより、前記第1天面部と前記第2天面部とが係合し、
前記凸片部の2つの角部がR形状とされている、
ことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記凸片部の前記R形状とされた前記2つの角部の間の部分は、円弧形状である、ことを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記切り欠き部は、前記第2天面部の前記第1側面部に接続された辺とは反対側の端部近傍の第1空隙部と、前記第1空隙部と連通し、前記第1空隙部よりも前記第1側面部に接続された辺側に位置する第2空隙部と、を形成し、
前記第1空隙部の前記第1方向の寸法は、前記第2空隙部の前記第1方向の寸法よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記一対の第2側面部それぞれの上側辺に設けられた一対のフラップ部を備え、
前記第1天面部の前記第1方向の一端部から前記凸片部までの寸法と、前記第1天面部の前記第1方向の他端部から前記凸片部までの寸法は、前記フラップ部の前記第1方向の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記切り欠き部のうち、前記第2天面部の前記第1側面部に接続された辺側の縁部は、円弧形状部分と、前記円弧形状部分の両側に接続された前記第1方向に延びる直線形状部分と、を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の包装用箱。
【請求項6】
前記第1天面部には、前記凸片部が複数形成され、前記第2天面部には、前記切り欠き部が複数形成されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の包装用箱。
【請求項7】
前記第1天面部を前記第2天面部の上に重ね、前記凸片部に下方向の押圧力が加わると、前記凸片部と前記第2天面部の前記切り欠き部を形成する縁部との間に間隙が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【請求項8】
前記第1天面部と前記第2天面部が係合している状態で前記凸片部近傍に下方向の押圧力が加わると、前記凸片部と前記第2天面部の前記切り欠き部を形成する縁部との間に間隙が形成される、ことを特徴とする請求項7に記載の包装用箱。
【請求項9】
請求項1に記載の包装用箱を形成するブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、包装用箱及びブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等の内容物を収容する包装用箱には、一対の上蓋片(天面部)を有する観音開きタイプのものがある。このような包装用箱を使用する場合、包装用箱の中の空間に内容物を入れた後、一対の上蓋片を閉じることにより、包装用箱の空間を閉鎖する。そして、閉じられた一対の上蓋片の近接する縁部同士を粘着テープで止めて、包装用箱を封緘する。
【0003】
上記のような観音開きタイプの包装用箱の場合、粘着テープを用いて一対の上蓋片をきれいに貼着(封緘)するには、一対の上蓋片を手で押さえながら粘着テープを扱わなければならず、難しいものであった。これに対し、包装用箱に粘着テープをきれいに貼付するための技術として、引用文献1、2等に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006‐96405号公報
【特許文献2】実用新案登録第3213645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、粘着テープに空気が入りやすくなり、粘着力が低下するおそれがあるとともに、操作性がさほど良くない。また、上記特許文献2に記載の技術を用いても、一対の上蓋片それぞれに設けられた差込片と係合凹部とを係合させる際に、差込片と係合凹部とが引っ掛かってしまい、作業性が然程良くない可能性がある。
【0006】
本発明は、第1天面部と第2天面部とを係合させて仮留めする際の作業性を向上することが可能な包装用箱及びブランクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示の態様によれば、包装用箱は、矩形状の底面部と、前記底面部の第1方向に延びる二辺から起立する一対の第1側面部と、前記底面部の前記第1方向に直交する第2方向に延びる二辺から起立する一対の第2側面部と、前記一対の第1側面部それぞれの上側辺に設けられた第1天面部及び第2天面部と、を備え、前記第1天面部の、前記第1側面部に接続された辺とは反対側の端部には、略矩形の凸片部が形成され、前記第2天面部の、前記第1側面部に接続された辺とは反対側の端部の前記凸片部に対応する位置には切り欠き部が形成され、前記第1天面部の前記第1方向に直交する幅方向の寸法と、前記第2天面部の前記第1側面部に接続された辺と前記切り欠き部との間の最短距離と、の合計は、前記第2側面部の前記第2方向の寸法よりも大きく、前記第1天面部の前記凸片部が前記切り欠き部を介して前記第2天面部の下側に入り込み、前記第1天面部の前記凸片部以外の部分が前記第2天面部の下側には入り込まないことにより、前記第1天面部と前記第2天面部とが係合し、前記凸片部の2つの角部がR形状とされている。
【0008】
第2の開示の態様によれば、ブランクは、上記包装用箱を形成するブランクである。
【発明の効果】
【0009】
第1天面部と第2天面部とを係合させて仮留めする際の作業性を向上することが可能な包装用箱及びブランクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る包装用箱の斜視図である。
図2】一実施形態に係る包装用箱のブランクを示す平面図である。
図3図1の包装用箱の第1天面部を開き、図1とは異なる方向から包装用箱を見た状態を示す斜視図である。
図4図4(a)は、第1天面部の凸片部を拡大して示す図であり、図4(b)は、第2天面部の切り欠き部を拡大して示す図である。
図5図5(a)は、第1天面部の寸法例を示す図であり、図5(b)は、第2天面部の寸法例を示す図である。
図6図6(a)、図6(b)は、第1天面部と第2天面部の係合方法(仮留め方法)を説明するための図(その1)である。
図7図7(a)、図7(b)は、第1天面部と第2天面部の係合方法(仮留め方法)を説明するための図(その2)である。
図8図8(a)、図8(b)は、第1天面部と第2天面部の係合方法(仮留め方法)を説明するための図(その3)である。
図9】第1天面部と第2天面部の係合方法(仮留め方法)を説明するための図(その4)である。
図10図10(a)は、図9の二点鎖線円Bの部分を拡大して示す図であり、図10(b)は、図10(a)のA-A線断面図である。
図11図11は、第1天面部と第2天面部を係合できない状態を示す図である。
図12】仮留め(ロック)の解除方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る包装用箱200について、図1図12に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1図3は、一実施形態に係る包装用箱200を示す斜視図であり、図2は包装用箱200を形成するブランク100を示す平面図である。なお、図3は、図1の包装用箱200の第1天面部16Aを開き、図1とは異なる方向から包装用箱200を見た状態を示す斜視図である。
【0013】
なお、本実施形態においては、図1図3に示すように、包装用箱200の長手方向をX軸方向(第1方向)、X軸方向に直交する幅方向をY軸方向(第2方向)とする。また、図1図3に示すように、包装用箱200の高さ方向をZ軸方向とする。
【0014】
包装用箱200は、図2に示すブランク100を組み立てることで形成される。ブランク100は、例えば、1枚の紙材を抜型等で打ち抜くことにより形成される。紙材としては、段ボールや板紙のような各種紙材料から選択可能であり、紙質はいかなるものであってもよい。また、紙材は、各種紙材料に種々のコーティングが施されたものであってもよいし、紙以外の樹脂等で形成されたものであってもよい。紙材としては、例えば、厚さが0.7mm~2.0mmの比較的薄い段ボールを用いることができる。具体的には、紙材として、Gフルート(厚さ0.7~1.0mm)や、Eフルート(厚さ1.7~2.0mm)などを用いることができる。このような比較的薄い段ボールを用いることで、ブランク100を折り曲げ易くなるため、組立性、梱包効率、折り曲げ性を向上できる。
【0015】
(ブランク100)
図2に示すように、ブランク100は、底面部10と、一対の第1側面部12A、12Bと、一対の第2側面部14A、14Bと、一対の天面部(第1天面部16A及び第2天面部16B)と、一対のフラップ部18A、18Bと、4つの接続片20A~20Dと、を備える。
【0016】
底面部10は、X軸方向に長い略長方形形状(略矩形状)を有する。なお、本明細書において略長方形形状(略矩形状)とは、製造誤差の範囲内で長方形形状(矩形状)であることを意味する。底面部10は、直線状の折曲線30a、30b、30c、30dによって区画されている。なお、折曲線30a~30dは、折スジと切込みが交互に形成されたリード罫線となっている。ただし、折曲線30a~30dは、リード罫線でなくてもよく、ミシン目や、ミシン目が紙材を貫通していないミシン目ハーフカット、汎用罫線等であってもよい。
【0017】
一対の第1側面部12A、12Bは、折曲線30a、30bを介して底面部10のY軸方向(第2方向)の両端に連設されている。一対の第1側面部12A,12Bは、X軸方向に長い略長方形形状を有する。一方の第1側面部12Aの折曲線30aと対向する辺(上側辺)は、直線状の折曲線32aとなっている。また、他方の第1側面部12Bの折曲線30bと対向する辺(上側辺)は、直線状の折曲線32bとなっている。折曲線32a、32bは、折曲線30a~30dと同様、リード罫線や、ミシン目、ミシン目ハーフカット、汎用罫線等である。
【0018】
一対の第2側面部14A、14Bは、折曲線30c、30dを介して底面部10のX軸方向(第1方向)の両端に連設されている。一対の第2側面部14A,14Bは、Y軸方向に長い略長方形形状を有する。一方の第2側面部14Aの折曲線30cと対向する辺(上側辺)は、直線状の折曲線32cとなっている。また、他方の第2側面部14Bの折曲線30dと対向する辺(上側辺)は、直線状の折曲線32dとなっている。折曲線32c、32dは、折曲線30a~30d、折曲線32a,32bと同様、リード罫線や、ミシン目、ミシン目ハーフカット、汎用罫線等である。
【0019】
第1天面部16Aは、折曲線32aを介して第1側面部12Aの+Y側に連設されている。第1天面部16Aの折曲線32aと反対側の端部(+Y方向端部)には、3つの凸片部36a、36b、36cが所定間隔で設けられている。各凸片部36a,36b,36cの+Y方向端部と折曲線32aとの距離、すなわち、第1天面部16AのY軸方向の寸法(幅方向の寸法)は、Haとなっている。また、凸片部36aの-X方向端部から第1天面部16Aの-X方向端部までの寸法は、L1となっており、凸片部36cの+X方向端部から第1天面部16Aの+X方向端部までの寸法も、L1となっている。
【0020】
第2天面部16Bは、折曲線32bを介して第1側面部12Bの-Y側に連設されている。第2天面部16Bの折曲線32bと反対側の端部(-Y方向端部)には、3つの切り欠き部38a、38b、38cが形成されている。3つの切り欠き部38a、38b、38cは、上述した3つの凸片部36a、36b、36cと対応する位置に設けられている。すなわち、後述するように第1天面部16Aと第2天面部16Bとが係合する際(仮留めされる際)に、凸片部36a、36b、36cそれぞれと、切り欠き部38a、38b、38cそれぞれと、が係合するようになっている。第2天面部16Bにおける第2天面部16Bの折曲線32bから切り欠き部38a、38b、38cまでのY軸方向の寸法(幅方向の寸法)、すなわち、第2天面部16Bの折曲線32bから切り欠き部38a、38b、38cまでの最短距離は、Hbとなっている。本実施形態においては、第1天面部16AのY軸方向の寸法(幅方向の寸法)Haと、第2天面部16Bの折曲線32bから切り欠き部38a、38b、38cまでの最短距離Hbの合計が、底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcよりも大きくなっている。すなわち、Ha+Hb>Hcとなっている。
【0021】
一方のフラップ部18Aは、折曲線32cを介して第2側面部14Aの-X側に連設されている。また、他方のフラップ部18Bは、折曲線32dを介して第2側面部14Bの+X側に連設されている。フラップ部18A,18Bは、Y軸方向に長い略台形形状を有する。フラップ部18A,18BのX軸方向の寸法L2は、上記寸法L1よりも小さく設定されている(L2<L1)。
【0022】
接続片20A、20Bは、第2側面部14AのY軸方向両端に連接されている。接続片20A、20Bと第2側面部14Aの境界部分は、直線状の折曲線34a,34bとなっている。また、接続片20C、20Dは、第2側面部14BのY軸方向両端に連接されている。接続片20C、20Dと第2側面部14Bの境界部分は、直線状の折曲線34c,34dとなっている。なお、折曲線34a~34dは、汎用罫線等である。
【0023】
(包装用箱200)
図1図3に示す包装用箱200は、上述したブランク100を組み立てることにより得られる。具体的には、ブランク100の折曲線30a~30d、32a~32d、34a~34dを谷折りにするとともに、接続片20A、20Cを第1側面部12Aに接着剤で接着し、接続片20B、20Dを第1側面部12Bに接着剤で接着することにより、包装用箱200を組み立てる。なお、接着剤としては、ホットメルト接着剤や水性エマルジョン系接着剤等を用いることができる。また、接着剤に代えて、両面テープ、ステープラ、その他の連結具等を用いて包装用箱200を組み立ててもよい。
【0024】
包装用箱200においては、図1図3に示すように、底面部10のX軸方向に延びる二辺(折曲線30a,30b)から、一対の第1側面部12A,12Bが起立した状態となっている。また、底面部10のY軸方向に延びる二辺(折曲線30c,30d)から一対の第2側面部14A,14Bが起立した状態となっている(図1では、折曲線30d、第2側面部14Bは不図示。図2参照)。また、包装用箱200においては、底面部10と、第1側面部12A,12Bと、第2側面部14A,14Bと、により、商品等の内容物を収容可能な空間SPが形成されている。包装用箱200の空間SPは、第1天面部16Aと第2天面部16Bが第1側面部12A,12Bに対して略90°折り曲げられた状態で、第1天面部16Aと第2天面部16Bによって閉塞される。
【0025】
(第1天面部16A及び第2天面部16Bについて)
次に、第1天面部16A及び第2天面部16Bの詳細について、図4図5に基づいて、その他図面を適宜参照しつつ説明する。
【0026】
前述のように、第1天面部16Aには、3つの凸片部36a~36cが形成され、第2天面部16Bには、3つの切り欠き部38a~38cが形成されている。以下、これらの凸片部36a~36c、切り欠き部38a~38cについて詳細に説明する。
【0027】
図4(a)は、第1天面部16Aの凸片部36aを拡大して示す図である。なお、図4(a)のXYZ座標系は、第1天面部16Aが空間SPを閉塞したときの座標系である。
【0028】
図4(a)に示すように、凸片部36aは、略矩形(略長方形)の形状を有する。凸片部36aのX軸方向の寸法はH0となっている。凸片部36aの2つの角部(図4(a)において破線円46aにて示す部分)は、R形状(丸みを帯びた形状)とされている。以下、破線円46aで示す角部を「角部46a」と記述する。また、凸片部36aのR形状の角部46aの間の部分(図4(a)において破線楕円46bにて示す部分)は、円弧形状となっている。以下、破線楕円46bにて示す部分を「円弧形状部分46b」と記述する。なお、凸片部36a以外の2つの凸片部36b,36cも同様の形状を有しているものとする。ただし、これに限らず、凸片部36a~36cの少なくとも1つが、図4(a)と異なる形状であってもよい。例えば、凸片部36a~36cの少なくとも1つにおいて、角部46aがR形状以外の形状(例えば直角形状)となっていてもよい。また、凸片部36a~36cの少なくとも1つにおいて、角部46a間の部分が円弧形状以外の形状(例えば直線形状)となっていてもよい。
【0029】
図4(b)は、第2天面部16Bの切り欠き部38aを拡大して示す図である。なお、図4(b)のXYZ座標系は、第2天面部16Bが空間SPを閉塞したときの座標系である。
【0030】
切り欠き部38aは、図4(b)に示すように、第1空隙部48aと、第1空隙部48aと連通する第2空隙部48bと、を形成している。第1空隙部48aのX軸方向の寸法H1は、図4(a)の寸法H0よりもX軸方向に小さく設定されている。また、第2空隙部48bのX軸方向の寸法H2は、X軸方向の寸法H1よりも大きく、寸法H0よりもX軸方向にわずかに大きく設定されている(H1<H0<H2)。
【0031】
図4(b)において、破線楕円50bにて示す部分(縁部)は、-Y方向に凹んだ円弧形状となっている。以下、破線楕円50bにて示す部分を「円弧形状部分50b」と記述する。円弧形状部分50bは、図4(a)の凸片部36aの円弧形状部分46bの形状と略一致している。また、円弧形状部分50bのX軸方向両側の部分(縁部)は、直線状となっており、破線円50aで示す角部は、略直角形状となっている。以下、破線円50aで示す角部を「角部50a」と記述する。
【0032】
なお、切り欠き部38a以外の2つの切り欠き部38b,38cも、切り欠き部38aと同様の形状を有しているものとする。ただし、これに限らず、切り欠き部38a~38cの少なくとも1つが、図4(b)と異なる形状であってもよい。例えば、切り欠き部38a~38cの少なくとも1つにおいて、角部50aが直角形状以外の形状(例えばR形状)となっていてもよい。また、切り欠き部38a~38cの少なくとも1つにおいて、角部50a間の部分が円弧形状以外の形状(例えば直線形状)となっていてもよい。
【0033】
図5(a)、図5(b)には、凸片部36aと切り欠き部38aの具体的な寸法例が示されている。なお、図5(a)、図5(b)の寸法は、大きさが260mm(X方向寸法)×190mm(Y方向寸法)×20mm(Z方向寸法)である包装用箱200における寸法の一例である。なお、同一の寸法の包装用箱200であっても、図5(a)、図5(b)以外の寸法を採用してもよい。また、包装用箱200の大きさに応じて、図5(a)、図5(b)の各寸法を適宜変更してもよい。例えば、凸片部36aのX軸方向の幅寸法H0は、包装用箱200のX軸方向の寸法の1/6程度とし、これに合わせて、その他の寸法を決定するようにしてもよい。なお、凸片部36aと切り欠き部38aとが係合した際に、凸片部36aの強度を一定以上に維持するため、凸片部36aのX軸方向の幅寸法H0は、包装用箱200のX軸方向の寸法に対し、X軸方向の寸法の1/6程度以上とすることが好ましい。
【0034】
(第1天面部16Aと第2天面部16Bの係合方法(仮留め方法)について)
本実施形態の包装用箱200を用いて梱包を行う場合、包装用箱200の空間SP内に商品等の内容物を入れた状態で、第1天面部16Aと第2天面部16Bを係合させて仮留めし、仮留めした第1天面部16Aと第2天面部16Bを粘着テープで封緘するのが好ましい。なお、第1天面部16Aと第2天面部16Bを仮留めした状態とは、第1天面部16Aと第2天面部16Bから手を離しても第1天面部16Aと第2天面部16Bの姿勢が維持され、開かない状態を意味する。以下、第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留め方法について、図6図10に基づいて説明する。
【0035】
図6(a)~図9は、包装用箱200を平面視した状態を示す図(+Z方向から見た状態を示す図)である。なお、図6(a)~図9において、第1天面部16Aにハッチングを付して示しており、第2天面部16Bは、破線にて示している。
【0036】
図6(a)は、第1天面部16Aと第2天面部16Bが仮留めされる前の状態を示している。第1天面部16Aと第2天面部16Bを仮留めする場合、図6(a)に示すように、下側(-Z側)に第2天面部16Bを配置し、その上側(+Z側)に第1天面部16Aを配置する。この場合、前述したように、第1天面部16AのY軸方向の寸法Haと、第2天面部16Bにおける折曲線32bから切り欠き部38bまでのY軸方向の寸法(幅方向の寸法)Hbとの合計(Ha+Hb)は底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcより大きくなっている(Ha+Hb>Hc)。
【0037】
次いで、符号(1)で示す黒丸の位置近傍を指で-Z方向に押し込む。この押し込みにより、第1側面部12A及び第1天面部16Aは、折曲線30a及び折曲線32a(図1等参照)を起点に-Y方向にそれぞれ移動する。これに伴い、凸片部36bは、図6(a)に示す第2天面部16Bの(1)’部分付近を-Y方向及び-Z方向に押し込むように移動する。これにより、第2天面部16Bの(1)’部分は、凸片部36bに押圧されることで変形しつつ、-Y方向に移動する。このとき、図6(b)に示すように、折曲線32aから凸片部36bの-Y方向端部までのY軸方向の寸法Ha’と、第2天面部16Bにおける折曲線32bから切り欠き部38bまでのY軸方向の寸法Hb’との合計(Ha’+Hb’)は底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcより小さくなる(Ha’+Hb’<Hc)。なお、寸法Ha’は、折曲線32aから凸片部36bの-Y方向端部までの実寸法ではなく、Z軸方向から見たときのY軸方向に関する寸法を意味する。寸法Hb’についても同様である。このとき、凸片部36bの-Y方向端部と、第2天面部16Bの切り欠き部38bを形成する縁部との間には、間隙39が発生する。このため、凸片部36bは、間隙39から第2天面部16Bの-Z方向に入り込み、-Y方向へ移動する。また、第2天面部16Bの(1)’部分は、凸片部36bによって押されなくなるため、元の位置(+Z側)に戻ろうとする。これにより、図7(a)に示すように、第1天面部16Aの凸片部36bは、第2天面部16Bの下側に潜り込むようになっている。以上より、凸片部36bと切り欠き部38bによる第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留め(ロック)が可能となる。
【0038】
同様に、図7(a)において(2)で示す黒丸の位置近傍を指で-Z方向に押し込むと、この押し込みにより、第1側面部12A及び第1天面部16Aは、折曲線30a及び折曲線32a(図1等参照)を起点に-Y方向にそれぞれ移動する。これに伴い、凸片部36cは、図7(a)に示す第2天面部16Bの(2)’部分付近を-Y方向及び-Z方向に押し込むように移動する。これにより、第2天面部16Bの(2)’部分は、凸片部36cに押圧されることで変形しつつ、-Y方向に移動する。このとき、図7(b)に示すように、折曲線32aから凸片部36cの-Y方向端部までのY軸方向の寸法Ha’と、第2天面部16Bにおける折曲線32bから切り欠き部38cまでのY軸方向の寸法Hb’との合計(Ha’+Hb’)は底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcより小さくなる(Ha’+Hb’<Hc)。このため、凸片部36cの-Y方向端部と、第2天面部16Bの切り欠き部38cを形成する縁部との間には、間隙39が発生する。このように間隙39が発生した状態では、凸片部36cは、間隙39から第2天面部16Bの-Z方向に入り込み、-Y方向へ移動する。また、第2天面部16Bの(2)’部分は、凸片部36cによって押されなくなるため、元の位置(+Z側)に戻ろうとする。これにより、図8(a)に示すように、第1天面部16Aの凸片部36cは、第2天面部16Bの下側に潜り込むようになっている。以上より、凸片部36cと切り欠き部38cによる第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留め(ロック)が可能となる。
【0039】
さらに、図8(a)において(3)で示す黒丸の位置近傍を指で-Z方向に押し込むと、この押し込みにより、第1側面部12A及び第1天面部16Aは、折曲線30a及び折曲線32a(図1等参照)を起点に-Y方向にそれぞれ移動する。これに伴い、凸片部36aは、図8(a)に示す第2天面部16Bの(3)’部分付近を-Y方向及び-Z方向に押し込むように移動する。これにより、第2天面部16Bの(3)’部分は、凸片部36aに押圧されることで変形しつつ、-Y方向に移動する。このとき、図8(b)に示すように、折曲線32aから凸片部36aの-Y方向端部までのY軸方向の寸法Ha’と、第2天面部16Bにおける折曲線32bから切り欠き部38aまでのY軸方向の寸法Hb’との合計(Ha’+Hb’)は底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcより小さくなる(Ha’+Hb’<Hc)。このため、凸片部36aの-Y方向端部と、第2天面部16Bの切り欠き部38aを形成する縁部との間には、間隙39が発生する。このように間隙39が発生した状態では、凸片部36aは、間隙39から第2天面部16Bの-Z方向に入り込み、-Y方向へ移動する。また、第2天面部16Bの(3)’部分は、凸片部36aによって押されなくなるため、元の位置(+Z側)に戻ろうとする。これにより、図9に示すように、第1天面部16Aの凸片部36aは、第2天面部16Bの下側に潜り込むようになっている。以上より、凸片部36aと切り欠き部38aによる第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留め(ロック)が可能となる。
【0040】
なお、仮留めの際に押す順番は、(1)部分→(2)部分→(3)部分の順に限らず、その他の順番であってもよい。また、包装用箱200内に収容する内容物の大きさや位置によっては、内容物が邪魔となり、第1天面部16Aの凸片部36a~36cのいずれかが第2天面部16Bの下側(-Z方向)に潜り込むことができず、少なくとも1箇所において仮留め(ロック)ができない場合がある。この場合には、仮留めを1か所又は2か所のみで行うこととしてもよい。それにより、包装用箱200は、内容物をどのように収納したとしても、いずれかの場所において、仮留め(ロック)をすることが可能となる。
【0041】
ここで、凸片部36a~36cを+Z側から押し込むときには、凸片部36a~36cの中央部付近は撓んで変形する。このため、凸片部36a~36cの中央付近は、切り欠き部38a~38cの縁部とほとんど干渉しない。一方、凸片部36a~36cの角部46a付近はほとんど撓まない。したがって、仮に、角部46aを直角形状とした場合には、角部46aが第2天面部16Bの角部50a近傍と干渉し、引っ掛かる可能性が高い。このように角部46aが第2天面部16Bの角部50a近傍に引っ掛かると、仮留めの作業性が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態においては、凸片部36a~36cの2つの角部46aを第2天面部16Bと干渉しにくいR形状とし、角部46aと角部50aとの間に隙間を多く取っている。これにより、凸片部36a~36cを第2天面部16Bの下側に簡易に潜り込ませることができる。
【0042】
また、本実施形態においては、図4(a)、図4(b)に示すように、凸片部36a~36cが円弧形状部分46bを有し、切り欠き部38a~38cが円弧形状部分50bを有している。これにより、凸片部36a~36cを押し込んだときに、凸片部36a~36cを第2天面部16Bの下側に潜り込ませやすくすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、切り欠き部38b(38a,38c)の円弧形状部分50bのX軸方向両側の角部50aが直角状になっており、角部50aのX軸方向に延びる部分は直線状となっている。このため、図9の二点鎖線円Bの部分を拡大して示す図10(a)に示すように、第1天面部16Aと第2天面部16Bが係合した状態において、凸片部36b(36a,36c)の角部46aと第2天面部16Bとが接触する面積が大きくなっている。これにより、係合する第1天面部16Aと第2天面部16Bの位置関係が多少ずれても、少なくとも凸片部36b(36a,36c)の角部46aの一部領域と第2天面部16Bの角部50a近傍の一部領域とが当接されることで、その係合状態が簡単に解除されないようになっている。
【0044】
また、本実施形態では、図4(b)に示すように、切り欠き部38a(38b,38c)が、X軸方向の寸法H1の第1空隙部48aと、X軸方向の寸法H2(>H1)の第2空隙部48bを形成している。図10(b)には、図10(a)のA-A線断面図が示されている。第1天面部16Aと第2天面部16Bが係合した状態では、図10(a)、図10(b)の点C近傍において、第1天面部16Aが折曲線32aを起点に平面に戻ろうとする力(弾性力)により、第2天面部16Bを下側から押す。また、第1天面部16Aと第2天面部16Bが係合した状態では、図10(a)、図10(b)の点D近傍において、第2天面部16Bが折曲線32bを起点に平面に戻ろうとする力(弾性力)により、第1天面部16Aを下側から押す。これらの作用により、第1天面部16Aと第2天面部16Bの係合状態が簡単に解除されないようになっている。
【0045】
なお、本実施形態では、図11に示すように、第1天面部16Aと第2天面部16Bを仮留めする際に、誤って、下側(-Z側)に第1天面部16Aを配置し、その上側(+Z側)に第2天面部16Bを配置すると、仮留めができなくなる。この点について説明する。
【0046】
図11のように第1天面部16Aと第2天面部16Bを配置し、例えば第2天面部16Bの(4)で示す黒丸の位置近傍を指で-Z方向に押し込むとする。この場合、第1天面部16AのY軸方向の寸法(幅方向の寸法)Haと、第2天面部16Bにおける折曲線32bから切り欠き部38a、38b、38cまでのY軸方向の寸法(幅方向の寸法)Hbとの合計(Ha+Hb)は底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcより大きい。このため、第2天面部16Bの(4)で示す位置を押したとしても、(4)’で示す位置においては、第2天面部16Bが第1天面部16A(凸片部36b)を-Z側に押してしまい、(5)’で示す位置においても第2天面部16Bが第1天面部16Aを押してしまう。この場合、第1天面部16Aのうち、図11において破線円60で示す部分全体が-Z側に押し込まれ、全体が下がるため、凸片部36bと切り欠き部38bは係合することができない。その他の凸片部36a,36cについても同様である。
【0047】
したがって、図11のように第1天面部16Aと第2天面部16Bを配置した場合には、第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留めはできない。
【0048】
(仮留め(ロック)解除について)
図12は、第1天面部16Aと第2天面部16Bが仮留めされた状態を+Z方向から見た図である。本実施形態においては、第1天面部16Aと第2天面部16Bが仮留めされた状態から、図12に示す第1天面部16Aの(6)、(7)、(8)付近の位置を-Z方向に押圧することで、第1側面部12A及び第1天面部16Aが、折曲線30a及び折曲線32cを起点に+Y方向に移動する。これにより、凸片部36a、36b、36cと、第2天面部16Bの切り欠き部38a、38b、38cを形成する縁部との間には、図6(b)、図7(b)、図8(b)と同様に、間隙39が形成されるようになっている。
【0049】
このように間隙39が形成された状態では、凸片部36a、36b、36cは、第2天面部16Bの-Z側に入り込んだ状態から、第2天面部16Bの+Z側に容易に移動することができるようになっている。この移動により、第1天面部16Aと第2天面部16Bとの仮留め(ロック)が解除される。
【0050】
本実施形態においては、上述したように仮留め(ロック)を容易に解除できるようになっているため、一度収容した内容物を、必要に応じて入れ替えることができる。また、内容物を入れ替えた後に、第1天面部16Aと第2天面部16Bを再度仮留め(ロック)することもできる。このように、本実施形態の包装用箱200によれば、包装用箱200内に内容物を収容する際の作業性を向上することができる。
【0051】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、包装用箱200は、略矩形状の底面部10と、底面部10から起立する一対の第1側面部12A,12Bと、底面部10から起立する一対の第2側面部14A,14Bとを備えている。また、包装用箱200は、第1側面部12A,12Bそれぞれの上側辺(折曲線32a、32b)に設けられた第1天面部16A及び第2天面部16Bを備えている。また、第1天面部16Aの幅方向の端部(図1における-Y方向端部)には、略矩形であり2つの角部がR形状とされた凸片部36a~36cが形成され、第2天面部16Bの幅方向の端部(図1における+Y方向端部)の凸片部36a~36cに対応する位置(第2天面部16B上に第1天面部16Aを重ねたときに凸片部36a~36cと重なる位置)には切り欠き部38a~38cが形成されている。また、第1天面部16Aの幅方向の寸法Haと、第2天面部16Bにおける第2天面部16Bの折曲線32bから切り欠き部38a、38b、38cまでの最短距離Hbと、の合計が、底面部10及び第2側面部14A,14BのY軸方向の寸法Hcよりも大きく設定されている。そして、第1天面部16Aの凸片部36a~36cが切り欠き部38a~38cを介して第2天面部16Bの下側に入り込み、凸片部36a~36c以外の部分が第2天面部16Bの下側には入り込まないことにより、第1天面部16Aと第2天面部16Bとが係合するようになっている。本実施形態においては、凸片部36a~36cそれぞれの2つの角部(46a)がR形状とされているため、第1天面部16Aと第2天面部16Bとが係合する際に、凸片部36a~36cが切り欠き部38a~38cを形成する第2天面部16Bの縁部と干渉しにくくなっている。これにより、凸片部36a~36cを第2天面部16Bの下側に簡易に潜り込ませることができるため、第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留めにおける作業性を向上することができる。例えば、ECサイトによる通信販売用配送箱(ポストインサイズの包装用箱など)における高さ寸法は25mm以下であることが多い。このような包装用箱では、本実施形態の凸片部36a~36c及び切り欠き部38a~38cによる係合を採用することで、包装用箱200の高さ寸法と同様の内容物を収容しても簡易に2つの天面部の仮留めを行うことができる。また、本実施形態では、凸片部36a~36c近傍を押し込むという少ないアクションで簡易に第1天面部16Aと第2天面部16Bの仮留めを行うことができる。
【0052】
また、本実施形態によると、凸片部36a~36cのR形状の2つの角部46a(図4(a)参照)の間の部分が、円弧形状部分46bとなっている。例えば、2つの角部46aの間の部分を直線状にした場合、第2天面部16Bの上に第1天面部16Aを配置した状態で凸片部36a~36cを上から押しても、凸片部36a~36cの先端と、第2天面部16Bの切り欠き部38a~38cを形成する縁部との間に間隙39が形成されにくいため、凸片部36a~36cが第2天面部16Bの下に入り込みにくい傾向がある。この場合、必要以上に大きな力を加えてしまうと、包装用箱200が破損するおそれがある。これに対し、本実施形態においては、2つの角部46aの間の部分を円弧形状にすることで、凸片部36a~36cが第2天面部16Bの下に入り込みやすくなっている。これにより、小さい力で第1天面部16Aと第2天面部16Bを係合させることができ、包装用箱200の破損の発生を低減することができる。また、本実施形態では、切り欠き部38a~38cが、円弧形状部分50bと、その両側の直線形状部分50aと、を有している。したがって、凸片部36a~36cの円弧形状部分46bと切り欠き部38a~38cの円弧形状部分50bによる相乗効果により、間隙39の形成が容易となり、凸片部36a~36cを第2天面部16Bの下に入り込ませやすくすることができる。また、直線形状部分50aにより、係合状態における凸片部36a~36cと第2天面部16Bとの接触面積を広くすることができるため、第1天面部16Aと第2天面部16Bの係合状態が簡単に解除されないようにすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、切り欠き部38a~38cは、X軸方向の寸法がH1である第1空隙部48aと、X軸方向の寸法がH2(>H1)である第1空隙部48aと連通する第2空隙部48bと、を形成している。これにより、第1天面部16Aと第2天面部16Bが係合した状態では、図10(a)、図10(b)の点C近傍において、第1天面部16Aが第2天面部16Bを下側から押し、点D近傍において、第2天面部16Bが第1天面部16Aを下側から押すようになっている。本実施形態では、これらの力の作用により、第1天面部16Aと第2天面部16Bの係合状態が簡単に解除されないようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、第1天面部16Aの-X方向端部から凸片部36aまでの寸法(又は第1天面部16Aの+X方向端部から凸片部36cまでの寸法)L1は、フラップ部18A,18BのX軸方向の寸法L2よりも大きくなっている。この場合、フラップ部18A,18Bが折曲線32c,32d回りに開こうとする力を大きくすることができる。これにより、凸片部36a及び凸片部36cが形成されていない包装用箱200のX軸方向両端部においてのみ、第1天面部16Aと第2天面部16Bとが上側に向けて適度な力で押すことができる。それにより、第1天面部16Aと第2天面部16Bとを係合させるために上側から押したときに、凸片部36a~36cを切り欠き部38a~38cを介して第2天面部16Bの下に確実に入り込ませやすくすることが可能となり、包装用箱200の歪み量を低減することができる。その結果、第1天面部16Aと第2天面部16Bの係合可否のばらつきを抑えることができる。なお、図5(a)、図5(b)においては、フラップ部18AのX軸方向の寸法L2が30mmであり、第1天面部16Aの-X方向端部から凸片部36aまでの寸法L1が34mmである場合について例示しているがこれに限られるものではない。例えば、フラップ部18Aが第1天面部16Aや第2天面部16Bに対して-Z側から与える+Z方向の力(反力)があまり大きくならないようにするためには、L2は、20mm以上とすることが好ましい。すなわち、寸法L1と寸法L2との差は、10~14mm程度とすることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態では、第1天面部16Aには、凸片部が3つ形成され、第2天面部16Bには、切り欠き部が3つ形成されている。例えば、包装用箱200に収容する内容物が大きかったり、内容物が空間SPの中央に収容されずに偏った位置に配置されることがある。この場合、凸片部36a~36cのすべてにおいて係合ができない可能性があるが、少なくとも1つの凸片部において係合ができれば、粘着テープを用いた包装用箱200の封緘を簡易に行うことができる。一方、第1天面部16Aと第2天面部16Bとを3か所で係合できた場合には、第1天面部16Aと第2天面部16Bとをバランスよく仮留めすることができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、3つの凸片部36a~36cそれぞれが同一寸法であり、3つの切り欠き部38a~38cそれぞれが同一寸法である場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、X軸方向の両端に位置する凸片部36a,36cの近傍にはフラップ部18A,18Bが存在しているため、凸片部36a,36cには、凸片部36bよりも大きな力がかかる。このため、凸片部36a,36cには、凸片部36bよりも高い強度が要求される。したがって、凸片部36a,36cのX軸方向の寸法を凸片部36bのX軸方向の寸法よりも大きく(例えば10mm程度大きく)してもよい。包装用箱200の中央部に内容物を収容した場合、凸片部36a,36cのみで仮留めを行うことが考えられるが、上記のような寸法を採用することで、仮留めが簡単に解除されるのを防止することができる。
【0057】
なお、上記実施形態では、包装用箱200が、3つの凸片部36a~36cと、3つの切り欠き部38a~38cを有する場合について説明したが、これに限らず、凸片部と切り欠き部の数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0058】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 底面部
12A,12B 第1側面部
14A,14B 第2側面部
16A 第1天面部
16B 第2天面部
18A,18B フラップ部
36a、36b、36c 凸片部
38a、38b、38c 切り欠き部
39 間隙
46a 角部
46b 円弧形状部分
48a 第1空隙部
48b 第2空隙部
50a 直線形状部分
50b 円弧形状部分
100 ブランク
200 包装用箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12