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特開2024-78968危険領域管理方法、危険領域管理システム、及び危険領域管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078968
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】危険領域管理方法、危険領域管理システム、及び危険領域管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
A01B69/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191621
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】石川 彬
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043AB19
2B043BA02
2B043BB01
2B043BB03
2B043BB12
2B043DA17
2B043EA18
2B043EA33
2B043EB05
2B043EB15
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EC15
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE06
(57)【要約】
【課題】作業によって生じる危険領域において、作業装置の故障の発生を抑制する。
【解決手段】危険領域管理方法は、圃場500で作業を行う作業装置30の稼働情報に基づき、作業装置30による作業によって生じる危険領域650を検出することを含む。また、危険領域管理方法は、危険領域650の位置を表す領域情報を出力することを含む。危険領域650を検出することは、作業装置30により作業が行われていることを稼働情報が表すときの作業装置30の位置に基づき、危険領域650を検出することを含んでもよい。このとき、稼働情報は、作業装置30の位置と、作業装置30により作業が行われていることとを表してもよい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場で作業を行う作業装置の稼働情報に基づき、前記作業装置による作業によって生じる危険領域を検出することと、
前記危険領域の位置を表す領域情報を出力することと、
を含む危険領域管理方法。
【請求項2】
前記稼働情報は、前記作業装置の位置と、前記作業装置により作業が行われていることとを表し、
前記危険領域を検出することは、
前記作業装置により作業が行われていることを前記稼働情報が表すときの前記作業装置の位置に基づき、前記危険領域を検出すること
を含む請求項1に記載の危険領域管理方法。
【請求項3】
前記危険領域を検出することは、
前記作業装置の位置と、前記作業装置の位置に対する前記作業装置が作業を行う作業領域の相対位置とに基づき、前記危険領域を検出すること
を含む請求項1に記載の危険領域管理方法。
【請求項4】
前記作業装置の位置に対する前記作業領域の前記相対位置は、前記作業装置による作業を行う作業機械に応じて決定される
請求項3に記載の危険領域管理方法。
【請求項5】
前記危険領域は、前記作業装置による作業により形成される深溝の領域を表す
請求項1から4のいずれか1項に記載の危険領域管理方法。
【請求項6】
前記圃場における前記危険領域の位置を表す圃場画像を表示することをさらに含む
請求項1に記載の危険領域管理方法。
【請求項7】
圃場で作業を行う作業装置の稼働情報に基づき、前記作業装置による作業によって生じる危険領域を検出する領域検出部と、
前記危険領域の位置を表す領域情報を出力する出力部と、
を備える危険領域管理システム。
【請求項8】
圃場で作業を行う作業装置の稼働情報に基づき、前記作業装置による作業によって生じる危険領域を検出することと、
前記危険領域の位置を表す領域情報を出力することと、
を演算装置に実行させる危険領域管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険領域管理方法、危険領域管理システム、及び危険領域管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場で行われる作業が、後で作業を行う作業装置の故障の原因となる場合がある。
【0003】
特許文献1には、土壌と根菜とを上方に掘り上げて長芋などの根菜を収穫する根菜掘り取り機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6716155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の根菜掘り取り機は、根菜を収穫するために深い溝を形成する。この溝は、収穫後に整地されたとしても、周りの土壌よりも柔らかい領域として残る。このため、この溝に作業装置の車輪が嵌まり、後で作業を行う作業装置の故障を招く場合がある。また、整地されると、作業中に、作業者が溝を把握することが困難な場合がある。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、作業によって生じる危険領域において、作業装置の故障の発生を抑制することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による危険領域管理方法は、圃場(500)で作業を行う作業装置(30)の稼働情報に基づき、作業装置(30)による作業によって生じる危険領域(650)を検出することを含む。危険領域管理方法は、危険領域(650)の位置を表す領域情報を出力することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による危険領域管理システム(1000)は、領域検出部(260)と、出力部(270)とを備える。領域検出部(260)は、圃場(500)で作業を行う作業装置(30)の稼働情報に基づき、作業装置(30)による作業によって生じる危険領域(650)を検出する。出力部(270)は、危険領域(650)の位置を表す領域情報を出力する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による危険領域管理プログラム(420)は、圃場(500)で作業を行う作業装置(30)の稼働情報に基づき、作業装置(30)による作業によって生じる危険領域(650)を検出することを演算装置(120、220)に実行させる。危険領域管理プログラム(420)は、危険領域(650)の位置を表す領域情報を出力することを演算装置(120、220)に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、作業によって生じる危険領域において、作業装置の故障の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施の形態における危険領域管理システムの概略図である。
図2】一実施の形態における作業装置の軌跡と危険領域とを表す図である。
図3】一実施の形態における端末の構成を説明するための図である。
図4】一実施の形態における危険領域管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図5】一実施の形態における危険領域管理装置の構成を表す図である。
図6】一実施の形態における危険領域管理システムにより、危険領域を検出するための処理を表すフローチャートである。
図7】一実施の形態において、危険領域を検出する方法を説明するための図である。
図8】一実施の形態における危険領域管理システムが危険領域を報知する処理を表すフローチャートである。
図9】一実施の形態における端末により生成される移動経路を説明するための図である。
図10】一実施の形態における端末に表示される危険領域を表す圃場画像を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による危険領域管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、危険領域管理システム1000は、1つ以上の端末100と、危険領域管理装置200とを備える。端末100は、圃場500で作業が行われるときに、作業装置30に搭載される。例えば、第1端末100-1は第1作業装置30-1に搭載され、第2端末100-2は第2作業装置30-2に搭載される。端末100は、圃場500で作業が行われないときに外されてもよい。例えば、第1作業装置30-1が圃場500で作業が行われるときに搭載される第1端末100-1は、第2作業装置30-2が圃場500で作業が行われるときに、第2作業装置30-2に搭載されてもよい。
【0014】
第1作業装置30-1は、圃場500において作業を行い、圃場500の地面を変化させる。例えば、第1作業装置30-1は、図2に示すように、圃場500において作業を行うことで、危険領域650、例えば深溝を形成する。危険領域650は、例えば、その後に作業を行う第2作業装置30-2、例えばトラクターの故障を引き起こし得る領域を表す。例えば、第2作業装置30-2が危険領域650を走行することで、第2作業装置30-2の車輪が深溝に嵌まり、第2作業装置30-2の故障が生じる場合がある。第2作業装置30-2は、第1作業装置30-1と同じでもよく、異なってもよい。第2作業装置30-2は、例えば、地面を走行して、作業を行う。
【0015】
危険領域管理システム1000は、第1作業装置30-1の稼働情報に基づき、危険領域650を検出する。例えば、第1作業装置30-1に搭載された第1端末100-1は、圃場500において作業を行っている第1作業装置30-1の位置を測位位置610として測定する。測位位置610は、第1作業装置30-1が移動した軌道600に沿って測定される。このため、測定された時刻の順番に測位位置610を結ぶことで、軌道600が検出される。ここで、測位位置610に対して、第1作業装置30-1により危険領域650、例えば深溝が形成される領域の相対位置は、第1作業装置30-1において作業を行う作業機械に応じて決定されている。このため、危険領域管理システム1000は、測位位置610に基づき、危険領域650を検出する。
【0016】
危険領域管理システム1000は、検出された危険領域650の位置を、ユーザ、例えば後に作業を行う第2作業装置30-2の作業者に報知する。作業者は、第1作業装置30-1の後に行われた作業、例えば整地により、危険領域650の位置を把握できない場合がある。このため、ユーザは、危険領域管理システム1000から報知される危険領域650の位置を確認することで、第2作業装置30-2が危険領域650を走行することで生じる故障を抑制する。また、危険領域管理システム1000は、第2作業装置30-2が自動で走行し作業を行うとき、危険領域650において第2作業装置30-2の故障の発生を抑制するように、第2作業装置30-2の経路を決定してもよい。
【0017】
第1作業装置30-1は、溝を形成する作業機械、例えばトレンチャーを牽引するトラクターを含んでもよい。また、第1作業装置30-1は、作業機械と一体に形成され、自走して圃場500に深溝を形成するトレンチャーを含んでもよい。また、第1作業装置30-1は、プラウを牽引するトラクターを含んでもよい。
【0018】
(危険領域管理システムの構成)
図1に示すように、危険領域管理システム1000に含まれる端末100の構成を説明する。端末100は、図3に示すように、入出力装置110と、測位装置115と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。端末100は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0019】
測位装置115は、各時刻における自機の位置を測定することで、自機が搭載された作業装置30の位置を測定する。例えば、測位装置115は、所定の時間間隔、例えば10秒間隔で作業装置30の位置を測定する。測位装置115は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。
【0020】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、危険領域管理装置200から取得する信号を演算装置120に転送する。また、通信装置130は、演算装置120が生成した信号を危険領域管理装置200に転送する。通信装置130は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0021】
また、通信装置130は、作業装置30の状態を表す状態情報を作業装置30から受信してもよい。状態情報は、例えば作業装置30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況などを表す。また、作業装置30が作業機械を牽引する車両であるとき、状態情報は、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ角度などの情報を含んでもよい。例えば、作業機械がトレンチャーまたはプラウであるとき、ヒッチ角度は、作業機械により掘り起こす地面の深さを表す。
【0022】
記憶装置140は、状態情報と位置情報とを含む稼働情報を危険領域管理装置200に出力し、かつ、検出された危険領域650を表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム400を格納する。記憶装置140は、表示プログラム400を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム400は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0023】
演算装置120は、表示プログラム400を記憶装置140から読み出し実行して、危険領域650を表示するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0024】
演算装置120は、表示プログラム400を読み出し実行することで、図4に示すように、稼働情報取得部150と、経路生成部160と、操舵部170と、表示部180とを実現する。稼働情報取得部150は、測位装置115から位置情報を、作業装置30から状態情報を取得する。稼働情報取得部150は、取得された位置情報と状態情報とを、稼働情報として危険領域管理装置200に出力する。経路生成部160は、ユーザにより入力される情報に応じて、作業装置30が作業を行うための移動経路を生成する。操舵部170は、生成された移動経路に基づき、作業装置30を操舵するための信号を生成する。このため、作業装置30は、操舵部170の指示に基づき、圃場500内で移動する。表示部180は、圃場500における危険領域650の位置を表す領域情報を表示する。
【0025】
次に、図1に示す危険領域管理装置200の構成を説明する。危険領域管理装置200は、図5に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。危険領域管理装置200は、例えば、コンピュータである。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置210は省略されてもよい。
【0026】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、端末100から取得する情報を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を端末100に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0027】
記憶装置240は、作業装置30の作業により生じる危険領域650を検出するための様々なデータ、例えば圃場データ410と、危険領域管理プログラム420とを格納する。記憶装置240は、危険領域管理プログラム420を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。危険領域管理プログラム420は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0028】
圃場データ410は、圃場500に関する情報を格納する。例えば、圃場データ410は、圃場500の領域と、危険領域650の位置とを表す情報を格納する。
【0029】
演算装置220は、危険領域管理プログラム420を記憶装置240から読み出し実行して、危険領域650を検出するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置220は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0030】
演算装置220は、危険領域管理プログラム420を読み出し実行することで、図4に示すように、データ記憶部250と、領域検出部260と、出力部270とを実現する。データ記憶部250は、圃場データ410を記憶する。領域検出部260は、作業装置30の稼働情報に基づき、危険領域650を検出する。出力部270は、危険領域650の位置を表す領域情報を端末100に出力する。
【0031】
(危険領域管理システムの動作)
危険領域管理システム1000が圃場500において危険領域650を検出する方法を説明する。作業者は、作業装置30、例えば第1作業装置30-1を用いて圃場500における作業を開始するとき、第1端末100-1の入出力装置110に作業を行う圃場500を表す作業圃場情報、例えば圃場500の名称、位置などを入力するための操作を行う。第1端末100-1の演算装置120は、作業者による操作に応じて、表示プログラム400を読み出し実行する。表示プログラム400が読み出し実行されると、演算装置120は、危険領域管理方法の一部である図6に示す処理を開始する。
【0032】
ステップS110において、演算装置120により実現される稼働情報取得部150は、各時刻における第1作業装置30-1の稼働情報を取得する。例えば、稼働情報取得部150は、測位装置115により測定された位置を表す位置情報を取得する。また、稼働情報取得部150は、第1作業装置30-1の状態を表す状態情報を第1作業装置30-1から取得する。稼働情報取得部150は、取得された位置情報と状態情報とを稼働情報として危険領域管理装置200に出力する。例えば、圃場500における作業が終了したとき、作業者は作業が終了したことを表す終了情報を入出力装置110に入力する。稼働情報取得部150は、終了情報が入力されたとき、取得された稼働情報を危険領域管理装置200に出力する。稼働情報取得部150は、取得された稼働情報を、逐次、危険領域管理装置200に出力してもよい。稼働情報取得部150が出力する情報には、第1作業装置30-1により作業が行われる圃場500を表す作業圃場情報を含んでもよい。
【0033】
ステップS120において、危険領域管理装置200の領域検出部260は、第1作業装置30-1が作業を行っているときの稼働情報を抽出する。例えば、領域検出部260は、作業機械が作業を行っていることを表す状態情報に対応する稼働情報を抽出する。例えば、領域検出部260は、作業機械が降ろされていることを状態情報が表すとき、作業機械が作業を行っていると判定する。例えば、領域検出部260は、状態情報に含まれるヒッチ角度により、作業機械が降ろされていることを判定する。
【0034】
ステップS130において、領域検出部260は、第1作業装置30-1が作業を行っているときの稼働情報に基づき、圃場500における危険領域650を検出する。例えば、領域検出部260は、第1作業装置30-1が作業を行っているときの稼働情報により表される第1作業装置30-1の測位位置610を抽出する。領域検出部260は、図7に示すように、抽出された測位位置610に対応する作業領域、例えば左作業領域660と、右作業領域670とを検出する。作業領域は、第1作業装置30-1が測位位置610に存在するときに作業を行っている領域を表す。例えば測位位置610に対する作業領域の相対位置は、第1作業装置30-1に組み込まれた作業機械、または、第1作業装置30-1により牽引される作業機械に応じて予め決められている。
【0035】
図7に示す例では、第1作業装置30-1が第1測位位置610-1に存在するとき、第1左作業領域660-1と、第1右作業領域670-1とにおいて作業が行われる。また、第1作業装置30-1が第2測位位置610-2に存在するとき、第2左作業領域660-2と、第2右作業領域670-2とにおいて作業が行われる。第1作業装置30-1が第3測位位置610-3に存在するとき、第3左作業領域660-3と、第3右作業領域670-3とにおいて作業が行われる。
【0036】
領域検出部260は、対応する測位位置610が測定された時刻の順番に、検出された作業領域をつなげた領域を危険領域650として検出する。例えば、領域検出部260は、対応する測位位置610が測定された時刻の順番に、左作業領域660をつなげた領域を第1危険領域650-1として検出する。また、領域検出部260は、対応する測位位置610が測定された時刻の順番に、右作業領域670をつなげた領域を第2危険領域650-2として検出する。
【0037】
領域検出部260は、検出された危険領域650の位置を、対応する圃場500に関連付けて圃場データ410に記憶する。例えば、領域検出部260は、稼働情報に含まれる作業圃場情報に基づき、対応する圃場500を決定する。作業圃場情報は、例えば、ユーザにより入力された圃場500に関する情報を表す。
【0038】
このように、危険領域管理装置200は、作業装置30の稼働情報に基づき、作業装置30の作業により生じた危険領域650を検出する。
【0039】
次に、危険領域管理システム1000が、危険領域650の位置をユーザに報知する方法を説明する。例えば、第2作業装置30-2が自動で圃場500内を移動して作業を行うときに、危険領域管理システム1000が、危険領域650内において第2作業装置30-2の故障の発生を抑制するように、第2作業装置30-2を制御する方法を説明する。
【0040】
例えば、ユーザが、圃場500において第2作業装置30-2で作業を行うための操作を、第2作業装置30-2に搭載された第2端末100-2の入出力装置110に入力する。例えば、ユーザは、第1作業装置30-1により作物、例えばゴボウや山芋などの根菜類を収穫した後の圃場500において、第2作業装置30-2を用いて耕起を行うために、作業経路700を設定する操作を入力する。第2端末100-2の演算装置120は、ユーザによる操作が入力されると、表示プログラム400を読み出し実行する。表示プログラム400が読み出し実行されると、演算装置120は、危険領域管理方法の一部である図8に示す処理を開始する。
【0041】
ステップS210において、演算装置120により実現される経路生成部160は、危険領域650の位置を表す領域情報を危険領域管理装置200に要求する。例えば、ユーザは、作業を行う圃場500を表す圃場情報を入出力装置110に入力する。経路生成部160は、入力された圃場情報を危険領域管理装置200に出力する。
【0042】
ステップS220において、危険領域管理装置200の出力部270は、第2端末100-2からの要求に応じて、領域情報を第2端末100-2に出力する。例えば、危険領域管理装置200は、第2端末100-2から取得される圃場情報に基づき、圃場データ410から第2作業装置30-2が作業を行う圃場500に対応する領域情報を抽出する。抽出された領域情報は、第2端末100-2に出力される。
【0043】
ステップS230において、第2端末100-2の経路生成部160は、領域情報と、ユーザにより入力される情報とに基づき、第2作業装置30-2の作業経路を生成する。例えば、経路生成部160は、ユーザによる入力される情報に応じて、危険領域650において第2作業装置30-2の故障の発生が抑制されるように作業経路を生成する。例えば、経路生成部160は、図9に示すように、危険領域650が延びる方向と交差するように作業経路700を決定する。例えば、経路生成部160は、圃場500において危険領域650を表す画像を表示する。ユーザは、危険領域650を確認し、危険領域650において第2作業装置30-2の故障の発生が抑制されるように、作業経路700における直線部分の延びる方向を決定し、決定した方向を入出力装置110に入力する。例えば、作業経路700における直線部分の延びる方向は、危険領域650の延びる方向と異なるように決定される。経路生成部160は、決定された方向に基づき、作業経路700を決定する。
【0044】
ステップS240において、表示部180は、決定された作業経路700を表す情報と、危険領域650の位置を表す領域情報とを表示する。ユーザは、危険領域650の位置と、作業経路700とを確認し、作業を開始させるための操作を第2端末100-2の入出力装置110に入力する。
【0045】
ステップS250において、操舵部170は、作業開始のための操作が入力されると、作業経路700に沿って第2作業装置30-2が移動するように、第2作業装置30-2を操舵する。このため、第2作業装置30-2は、危険領域650と交差するように移動し、危険領域650の溝に、第2作業装置30-2の車輪が嵌まることを抑制する。
【0046】
このように、危険領域管理システム1000は、第1作業装置30-1の作業により生じる危険領域650において、第2作業装置30-2の故障の発生を抑制する。
【0047】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、図6に示すステップS120において、危険領域管理装置200の領域検出部260は、第1作業装置30-1の位置情報に基づき、作業を行っているときの稼働情報を抽出してもよい。例えば、危険領域管理装置200は、図2に示すように、第1作業装置30-1の測位位置610に基づき、第1作業装置30-1の軌道600を直線状に移動する直線軌道601と、旋回を行う旋回軌道602とに分割する。例えば、領域検出部260は、測定された時刻が隣接する2つの測位位置610に基づき、各測位位置610における第1作業装置30-1の進行方向を決定する。決定された進行方向の差が閾値以下である期間が所定の期間以上続くとき、領域検出部260は、対応する測位位置610を直線軌道601に含まれる測位位置610として決定する。領域検出部260は、直線軌道601に含まれる測位位置610を表す稼働情報を、第1作業装置30-1が作業を行っているときの稼働情報として抽出する。
【0048】
また、図6に示すステップS130において、領域検出部260は、作業を行っているときの第1作業装置30-1の軌道600、例えば直線軌道601と、測位位置610に対する作業領域の相対位置とに基づき、危険領域650を検出してもよい。例えば、領域検出部260は、直線軌道601上の各点に対応する作業領域を危険領域650として検出する。例えば、領域検出部260は、測位位置610に対する作業領域の相対位置だけ、直線軌道601を移動した領域を、危険領域650として検出してもよい。
【0049】
第2作業装置30-2は、ユーザ、例えば作業者の手動により移動して作業を行ってもよい。この場合、第2端末100-2は、図10に示すように、圃場500における危険領域650の範囲を表す圃場画像800を表示する。図10に示す例において、圃場画像800は、危険領域650の位置を表す危険部分810を含む。また、圃場画像800は、第2作業装置30-2の位置を表す装置部分820を含んでもよい。装置部分820は、例えば、第2作業装置30-2の形状、例えば車輪の位置を表す。ユーザは、圃場画像800を確認することで、危険領域650の位置を把握する。また、ユーザは、装置部分820を確認することで、第2作業装置30-2の位置、例えば第2作業装置30-2の車輪の位置を把握する。このため、ユーザは、圃場画像800を確認することで、危険領域650による第2作業装置30-2の故障の発生を抑制するように、第2作業装置30-2を操作する。例えば、ユーザは、危険領域650の深溝に、第2作業装置30-2の車輪がはまらないように、第2作業装置30-2を操作する。これにより、危険領域650による第2作業装置30-2の故障の発生が抑制される。
【0050】
図10に示す例において、危険部分810は、危険の大きさ、例えば溝の深さに応じて、異なる表示形態、例えば色彩、模様などで表されてもよい。例えば、溝の深さが閾値より大きい危険部分810は濃い赤色で表され、溝の深さが閾値以下の危険部分810は薄い赤色で表されてもよい。ユーザは、危険部分810の表示形態を確認することで、危険領域650の危険の大きさを把握することができる。また、危険部分810は、危険の大きさに応じて、3つ以上に分類されてもよい。
【0051】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、危険領域管理装置200の一部、または、すべての処理を端末100が実行してもよい。また、端末100の一部の処理を危険領域管理装置200が実行してもよい。また、端末100は作業装置30に組み込まれていてもよい。
【0052】
図1に示す端末100は、圃場500において作業装置30が作業を行うときに、作業装置30に搭載されなくてもよい。例えば、端末100は、無線通信を用いて、作業装置30を制御してもよい。この場合、図3に示す測位装置115は、作業装置30に搭載され、測定した測位位置を表す位置情報を端末100に出力する。また、作業装置30に搭載された測位装置115は、位置情報を直接、危険領域管理装置200に出力してもよい。
【0053】
また、端末100は、作業装置30に搭載されずに、ユーザが危険領域650の位置を確認するためだけに用いてもよい。この場合、例えば、作業装置30は、稼働情報取得部150を備え、稼働情報を直接、危険領域管理装置200に出力してもよい。
【0054】
また、危険領域管理システム1000は、端末100を含まず、危険領域管理システム1000に含まれない外部端末に危険領域650を表す領域情報を出力してもよい。
【0055】
また、危険領域管理プログラム420は、表示プログラム400を含んでもよい。
【0056】
また、第2作業装置30-2は、無限軌道を有してもよい。
【0057】
(付記)
各実施の形態で記載した危険領域管理方法と、危険領域管理システムと、危険領域管理プログラムとは以下のように言うことができる。
【0058】
第1の態様に係る危険領域管理方法は、
圃場で作業を行う作業装置の稼働情報に基づき、前記作業装置による作業によって生じる危険領域を検出することと、
前記危険領域の位置を表す領域情報を出力することと、
を含む。
【0059】
第2の態様に係る危険領域管理方法は、第1の態様に係る危険領域管理方法であって、
前記稼働情報は、前記作業装置の位置と、前記作業装置により作業が行われていることとを表し、
前記危険領域を検出することは、
前記作業装置により作業が行われていることを前記稼働情報が表すときの前記作業装置の位置に基づき、前記危険領域を検出すること
を含む。
【0060】
第3の態様に係る危険領域管理方法は、第1または第2の態様に係る危険領域管理方法であって、
前記危険領域を検出することは、
前記作業装置の位置と、前記作業装置の位置に対する前記作業装置が作業を行う作業領域の相対位置とに基づき、前記危険領域を検出すること
を含む。
【0061】
第4の態様に係る危険領域管理方法は、第3の態様に係る危険領域管理方法であって、
前記作業装置の位置に対する前記作業領域の前記相対位置は、前記作業装置による作業を行う作業機械に応じて決定される。
【0062】
第5の態様に係る危険領域管理方法は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る危険領域管理方法であって、
前記危険領域は、前記作業装置による作業により形成される深溝の領域を表す。
【0063】
第6の態様に係る危険領域管理方法は、第1から第5の態様のいずれか1つに係る危険領域管理方法であって、
前記圃場における前記危険領域の位置を表す圃場画像を表示することをさらに含む。
【0064】
第7の態様に係る危険領域管理システムは、
圃場で作業を行う作業装置の稼働情報に基づき、前記作業装置による作業によって生じる危険領域を検出する領域検出部と、
前記危険領域の位置を表す領域情報を出力する出力部と、
を備える。
【0065】
第8の態様に係る危険領域管理プログラムは、
圃場で作業を行う作業装置の稼働情報に基づき、前記作業装置による作業によって生じる危険領域を検出することと、
前記危険領域の位置を表す領域情報を出力することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0066】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業装置
100 :端末
110 :入出力装置
115 :測位装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :稼働情報取得部
160 :経路生成部
170 :操舵部
180 :表示部
200 :危険領域管理装置
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :データ記憶部
260 :領域検出部
270 :出力部
400 :表示プログラム
410 :圃場データ
420 :危険領域管理プログラム
500 :圃場
600 :軌道
601 :直線軌道
602 :旋回軌道
610 :測位位置
650 :危険領域
660 :左作業領域
670 :右作業領域
700 :作業経路
800 :圃場画像
810 :危険部分
820 :装置部分
1000 :危険領域管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10