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特開2024-78986酸化セルロース及びセルロースナノファイバーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078986
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】酸化セルロース及びセルロースナノファイバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 15/02 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
C08B15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191650
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】田村 直之
(72)【発明者】
【氏名】中山 武史
(72)【発明者】
【氏名】金野 晴男
【テーマコード(参考)】
4C090
【Fターム(参考)】
4C090AA05
4C090BA34
4C090BB02
4C090BB12
4C090BB52
4C090CA34
4C090DA28
(57)【要約】
【課題】酸化セルロース中のカルボキシ基量を効率的に増大させることができる酸化セルロースの製造方法を提供する。
【解決手段】セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いてセルロース原料を酸化する工程を含む酸化セルロースの製造方法において、酸化剤として低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いてセルロース原料を酸化する工程を含む酸化セルロースの製造方法において、
前記酸化剤が、低食塩次亜塩素酸ナトリウムの水溶液である、上記製造方法。
【請求項2】
低食塩次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に含まれる塩化ナトリウムの濃度が、4質量%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セルロース原料を酸化する工程において、セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、酸化剤とを含む反応系における反応開始時の塩化ナトリウムの濃度が、0.6質量%以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の製造方法を行うことにより酸化セルロースを製造すること、及び
得られた酸化セルロースを解繊すること、
を含む、セルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の製造方法により製造された、カルボキシ基量が1.3mmol/g以上であり、かつ濾水度が560ml以上である、酸化セルロース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化セルロースの製造方法に関する。また、この酸化セルロースを用いてセルロースナノファイバーを製造する方法、及び同製造方法により得られた酸化セルロースも提供する。
【背景技術】
【0002】
セルロース系原料を触媒量の2,2,6,6-テトラメチル-1-ピぺリジン-N-オキシラジカル(TEMPO)と安価な酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で処理すると、セルロースのミクロフィブリルの表面にカルボキシ基を効率よく導入することができ、このカルボキシ基を導入したセルロース原料(酸化セルロース)は、水中でミキサーなどの簡単な機械処理を行なうことにより、高粘度で透明なセルロースナノファイバー水分散液へと調製することができることが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液には、一般に、有効塩素濃度12質量%を基準として反応副生成物である塩化ナトリウムを10質量%程度含有している汎用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、塩化ナトリウム濃度が4質量%以下の低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液とがある(特許文献2)。次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は、一般に水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを吸収させて製造される。
【0004】
2NaOH+Cl→NaClO+NaCl+HO (式A)
上記式Aで製造された汎用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液には、反応副生成物である塩化ナトリウムが含まれている。この次亜塩素酸ナトリウム水溶液を冷却して塩化ナトリウムを析出させ、析出した塩化ナトリウム(食塩)を除去することで、低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造することができる(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-1728号公報
【特許文献2】特開2015-124110号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】12-3. 次亜塩素酸ナトリウムについて 基礎講座 技術情報・便利ツール 株式会社タクミナ(tacmina.co.jp),[online],[令和4年11月2日検索],インターネット <URL:https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/279/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化セルロースにおいて、カルボキシ基量を増大させる方法としては、(1)酸化反応時の温度を上げる、(2)酸化剤の添加量を増やす、(3)触媒であるTEMPOの量を増やす、等の方法が考えられる。このうち、(1)及び(2)では反応効率を高めることでカルボキシ基の導入量を増大することができるが、得られた酸化セルロースを解繊して酸化セルロースのナノファイバーとした際に、セルロースナノファイバーの粘度が低下するという問題があった。また、(3)も反応効率を高めることができるが、触媒量は増加させない方がコスト等の観点からは好ましい。
【0008】
本願発明は、酸化セルロースにおけるカルボキシ基量を効率的に増大させることができる新たな製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いてセルロース原料を酸化する工程を含む酸化セルロースの製造方法において、酸化剤として、一般に用いられる食塩(塩化ナトリウム)の含有量が高い次亜塩素酸ナトリウム水溶液ではなく、低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いることにより、高いカルボキシ基量を短時間でセルロースに導入させることができ、かつ、得られた酸化セルロースを解繊してセルロースナノファイバーとした際の粘度を高く維持できることを見出した。さらに、こうして得られた酸化セルロースは、カルボキシ基の導入量を高くした場合であっても、高い濾水度を有することを見出した。一般に、酸化セルロースは、カルボキシ基量を増大させると、濾水度が低下する傾向がある。これに対し、上記の製法で得られた酸化セルロースは、高いカルボキシ基量と高い濾水度とを両立することができ、高いカルボキシ基量とした場合でも脱水が行いやすいという利点を有していた。本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
[1]セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いてセルロース原料を酸化する工程を含む酸化セルロースの製造方法において、
前記酸化剤が、低食塩次亜塩素酸ナトリウムの水溶液である、上記製造方法。
[2]低食塩次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に含まれる塩化ナトリウムの濃度が、4質量%以下である、[1]に記載の方法。
[3]前記セルロース原料を酸化する工程において、セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、酸化剤とを含む反応系における反応開始時の塩化ナトリウムの濃度が、0.6質量%以下である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4][1]又は[2]に記載の製造方法を行うことにより酸化セルロースを製造すること、及び
得られた酸化セルロースを解繊すること、
を含む、セルロースナノファイバーの製造方法。
[5][1]又は[2]に記載の製造方法により製造された、カルボキシ基量が1.3mmol/g以上であり、かつ濾水度が560ml以上である、酸化セルロース。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、高いカルボキシ基量を短時間で効率よくセルロースに導入させることができる。また、得られた酸化セルロースを解繊してセルロースナノファイバーとした際の粘度を高く維持することができる。さらに、こうして得られた酸化セルロースは、カルボキシ基の導入量を高くした場合であっても、高い濾水度を有しており、脱水が行いやすく生産性が高いという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、酸化セルロースの製造方法に関する。より詳細には、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いてセルロース原料を酸化することにより酸化セルロースを製造する方法において、酸化剤として、汎用される通常の次亜塩素酸ナトリウム水溶液ではなく、低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いる方法に関する。
【0012】
(セルロース原料)
酸化セルロースの原料となるセルロースの種類は、特に限定されない。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。本発明では、これらのセルロースのいずれも、原料として用いることができる。
【0013】
天然セルロースとしては、晒パルプまたは未晒パルプ(晒木材パルプまたは未晒木材パルプ);リンター、精製リンター;酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等が例示される。晒パルプ又は未晒パルプの原料は特に限定されず、例えば、木材、木綿、わら、竹、麻、ジュート、ケナフ等が挙げられる。また、晒パルプ又は未晒パルプの製造方法も特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいはその中間で二つを組み合せた方法でもよい。製造方法により分類される晒パルプ又は未晒パルプとしては例えば、メカニカルパルプ(サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕木パルプ)、ケミカルパルプ(針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)等の亜硫酸パルプ、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)等のクラフトパルプ)等が挙げられる。さらに、製紙用パルプの他に溶解パルプを用いてもよい。溶解パルプとは、化学的に精製されたパルプであり、主として薬品に溶解して使用され、人造繊維、セロハンなどの主原料となる。
【0014】
再生セルロースとしては、セルロースを銅アンモニア溶液、セルロースザンテート溶液、モルフォリン誘導体など何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸されたものが例示される。
微細セルロースとしては、上記天然セルロースや再生セルロースをはじめとする、セルロース系素材を、解重合処理(例えば、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等)して得られるものや、前記セルロース系素材を、機械的に処理して得られるものが例示される。
【0015】
(N-オキシル化合物)
N-オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、下記一般式(式1)で示される物質が挙げられる。
【0016】
【化1】
【0017】
(式1中、R~Rは同一又は異なる炭素数1~4 程度のアルキル基を示す。)
式1で表される化合物のうち、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-オキシラジカル(TEMPO)及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-オキシラジカル(4-ヒドロキシTEMPO)を発生する化合物が好ましい。また、下記式2~4のいずれかで表されるN-オキシル化合物のラジカル、すなわち、4-ヒドロキシTEMPOの水酸基をアルコールでエーテル化、またはカルボン酸若しくはスルホン酸でエステル化し、適度な疎水性を付与した4-ヒドロキシTEMPO誘導体は、安価であり、かつ均一な酸化セルロースを得ることができるため、好ましい。
【0018】
【化2】
【0019】
(式2~4中、Rは炭素数4 以下の直鎖又は分岐状炭素鎖である。)
さらに、下記式5で表されるN-オキシル化合物のラジカル、すなわち、アザアダマンタン型ニトロキシラジカルは、短時間で、均一な酸化セルロースを製造できるため、好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
(式5中、R及びRは、同一又は異なる水素又はC~Cの直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を示す。)
N-オキシル化合物の使用量は、セルロース原料の酸化を促進できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.001~5mmol、好ましくは0.01~1mmol、さらに好ましくは0.01~0.5mmol程度を用いることができる。また、反応系に対し、0.02~0.5mmol/L程度がよい。
【0022】
(臭化物またはヨウ化物)
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
【0023】
(酸化剤)
セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いてセルロース原料を酸化することにより酸化セルロースを製造する方法においては、酸化剤として、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムがよく用いられる。次亜塩素酸ナトリウムは、通常は水溶液の状態で供給されており、水溶液中には、反応副生成物である塩化ナトリウムが含まれている。汎用される工業用グレードの次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、通常は有効塩素が11~12質量%程度であり、残留する塩化ナトリウム量は10質量%程度である。これに対し、医薬用や食品添加物、合成殺菌料として用いられる低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、冷却することで水溶液中に残留する塩化ナトリウム(食塩)を析出させ取り除くことにより、塩化ナトリウムの濃度が4質量%以下に低減されている。
【0024】
本発明では、酸化剤として、汎用される工業用グレードの次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度11~12質量%程度、塩化ナトリウム濃度10質量%程度)ではなく、低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いることにより、高いカルボキシ基量を短時間でセルロースに導入させることができ、かつ、得られた酸化セルロースを解繊してセルロースナノファイバーとした際の粘度を高く維持できることを見出した。
【0025】
本発明で用いる低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液(「低食塩次亜」とも呼ぶ。)としては、有効塩素濃度が5質量%以上であり、食塩(塩化ナトリウム、NaCl)濃度が4質量%以下であるものを用いることが好ましい。そのような低食塩次亜は、市販されている。有効塩素濃度は、好ましくは6質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。また、塩化ナトリウム濃度は、好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。有効塩素濃度の上限値は特に限定されないが、例えば、20質量%以下である。塩化ナトリウム濃度の下限値も特に限定されず、食塩が0%であってもよく、例えば0.1質量%以上、あるいは0.5質量%以上であってもよい。
【0026】
低食塩次亜における塩化ナトリウムの濃度は、市販品であれば通常はラベルに濃度が記載されており、また、例えば、以下の方法で測定することもできる:
(1)全塩化ナトリウム(次亜塩素酸ナトリウム+塩化ナトリウム)濃度の測定
まず、次亜塩素酸ナトリウム水溶液試料における全塩化ナトリウム濃度を以下の手順で測定する。試料0.5mlを採取し、イオン交換水を50ml加える。3%過酸化水素を5ml加え、次亜塩素酸ナトリウムを塩化ナトリウムに分解する。白金指示電極と比較電極を浸漬し、0.1mol/L硝酸標準液で滴定を行ないpH2~3とする。0.2mol/L硝酸銀標準液で滴定を行う。硝酸銀標準液の滴定量(ml)に対する電位変化(mV)から電位変化曲線を作成し、当量点付近の電位変化から硝酸銀滴定の終点(Vml)を求める。次式に従って、全塩化ナトリウム濃度(A)を算出する:
A=0.4×V
(2)有効塩素濃度の測定
次に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液試料における有効塩素濃度を以下の手順で測定する。試料を10倍希釈し、そのうち5mlを取り分け、イオン交換水を25ml加える。10%KI水溶液10mlを加える。攪拌しながら硫酸を加えて酸性にする。0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液で脱色するまで滴定する(滴定量:Vml)。次式より有効塩素濃度(B)を算出する:
B=0.1×V
(3)塩化ナトリウム濃度の測定
(1)、(2)で求めた値を用いて、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の塩化ナトリウム濃度を次式により算出する:
塩化ナトリウム濃度(質量%)=(A-B)×58.44÷(1000×ρ)×100
ρ:次亜塩素酸ナトリウム水溶液比重。
【0027】
低食塩次亜の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、有効塩素濃度として、0.5~500mmolが好ましく、0.5~50mmolがより好ましく、1~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが最も好ましい。また、例えば、N-オキシル化合物1molに対して2~500molが好ましい。有効塩素濃度は、市販品の低食塩次亜を用いる場合にはラベルに記載された濃度から算出することができ、また、ヨードメトリー法を用いて測定することもできる。
【0028】
また、セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、酸化剤と、溶媒である水とを含む酸化反応の反応系において、反応開始時の塩化ナトリウムの濃度が0.6質量%以下となるような量で酸化剤としての低食塩次亜を用いることが好ましい。後述するように、酸化反応の進行に伴い反応系のpHが低下するため、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して反応系のpHを調整する。「反応開始時の塩化ナトリウムの濃度」とは、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加する前の反応系における塩化ナトリウムの濃度をいう。反応系における塩化ナトリウムの濃度はより好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以下である。下限値は特に限定されない。反応系における塩化ナトリウムの濃度は、上述した低食塩次亜における塩化ナトリウムの濃度の求め方と同様にして求めることができる。
【0029】
(セルロース原料の酸化)
N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物も敷くはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いてセルロース原料を酸化することができる。酸化反応における溶媒は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシ基(-COOH)またはカルボキシレート基(-COO)とを有する酸化セルロースを得ることができる。反応系におけるセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
【0030】
セルロースの酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4~40℃が好ましく、また15~30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシ基が生成するため、反応系のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応系のpHを8~12、好ましくは10~11程度に維持することが好ましい。酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5~6時間、例えば、0.5~4時間程度である。
【0031】
また、上述した通り、セルロース原料と、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、酸化剤と、溶媒である水とを含む酸化反応の反応系において、反応開始時の塩化ナトリウムの濃度は0.6質量%以下であることが好ましい。上述した通り、「反応開始時の塩化ナトリウムの濃度」とは、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加する前の反応系における塩化ナトリウムの濃度をいう。反応系における塩化ナトリウムの濃度はより好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以下である。下限値は特に限定されない。反応系における塩化ナトリウムの濃度は、上述した低食塩次亜における塩化ナトリウムの濃度の求め方と同様にして求めることができる。
【0032】
本発明の製造方法によって短時間の反応でセルロースに高い量のカルボキシ基を導入することができる理由は明らかではないが、本発明者らは、反応系における塩化ナトリウムは、酸化反応を阻害する物質である可能性があり、酸化剤として低食塩次亜を用いることで、酸化剤から反応系中に持ち込まれる塩化ナトリウムの量が低減され、酸化反応の効率が向上したのではないかと推測している。
【0033】
(酸化セルロース)
酸化セルロースとは、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物も敷くはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いてセルロース原料を酸化することにより得られた、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシ基(-COOH)(またはカルボキシレート基(-COO)、本明細書ではカルボキシ基とカルボキシレート基とを併せてカルボキシ基とも呼ぶ。)とを有するセルロースである。本発明に従い、酸化剤として汎用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いるのではなく、低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いることにより、短時間の反応でセルロースに高い量のカルボキシ基を導入することができる。
【0034】
(カルボキシ基量)
最終的に得られる酸化セルロースのカルボキシ基の量は、特に限定されないが、酸化セルロースの絶乾質量に対して、例えば0.6~3.0mmol/gが好ましく、1.0~2.0mmol/gがより好ましく、1.3~2.0mmolがより好ましい。また、1.5~2.0mmol/gであってもよいし、1.7~2.0mmol/gであってもよい。
【0035】
酸化セルロースのカルボキシ基量は、以下の方法で測定することができる:
酸化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する:
カルボキシ基量〔mmol/g酸化セルロース〕=a〔ml〕×0.05/酸化セルロース質量〔g〕。
【0036】
酸化セルロースにおけるカルボキシ基量と同酸化セルロースを後述するようにセルロースナノファイバー(CNF)としたときのカルボキシ基量は、通常、同じである。
(濾水度)
本発明者らは、本発明の製法(酸化剤として低食塩次亜を用いる方法)により、酸化セルロースのカルボキシ基量を高い値に設定した場合でも、高い濾水度を維持できることを見出した。通常は、酸化セルロースのカルボキシ基量を増大させると、それに伴い濾水度が低下する傾向がある。それに対し、酸化剤として低食塩次亜を用いた場合には、例えば1.3mmol/g以上のカルボキシ基量と、560ml以上の濾水度とを両立することができる。このように濾水度が高く、かつカルボキシ基量が多い酸化セルロースは、これまでには得られていなかった。濾水度が高いと洗浄や濃縮の際の脱水を効率よく行うことができるという利点がある。本発明の酸化セルロースのカルボキシ基量と濾水度とは、より好ましくは1.4mmol/g以上のカルボキシ基量かつ580ml以上の濾水度であり、さらに好ましくは1.5mmol/g以上のカルボキシ基量かつ600ml以上の濾水度である。
【0037】
酸化セルロースの濾水度は、以下の方法で測定することができる:
酸化セルロースに塩酸を添加してイオン交換水で良く洗浄し、カルボキシ基を-COOH型に変換した(以下、H型ともいう)酸化セルロースを準備する。前記H型の酸化セルロースを水で希釈して0.3質量%の酸化セルロースのスラリー1000mlを準備する。JISP 8121-2:2012に準じた方法で、ろ水度(カナディアンスタンダードフリーネス)を算出する。スラリーの温度を測定し、温度補正表に従って測定後の値を補正する。
【0038】
(重合度)
酸化セルロースの重合度は特に限定されない。例えば用いるセルロース原料に応じて、100~3000であってもよく、100~1000であってもよい。通常、酸化反応の進行に伴い酸化セルロースにおけるカルボキシ基量が増大すると、酸化セルロースの重合度は低下する傾向があるが、本発明の製造方法(酸化剤として低食塩次亜を用いる方法)を用いると、通常の方法(酸化剤として工業用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いる方法)に比べて、カルボキシ基量を増大させても重合度が低下しにくい傾向がある。
【0039】
酸化セルロースの重合度は、Biomacromolecules 2015, 16, 2, 675-681に記載の方法にしたがって、例えば以下の方法で測定することができる:
粘度計(キャノンフェンスケ式粘度計(粘度100用))を用いて、TAPPI法で粘度を測定し、比粘度(ηsp)を求める。その後、下記換算式をもとにして重合度(DP)を算出する。
換算式:極限粘度[η]=ηsp/{c×(1+0.28×ηsp)
[η]=0.094×(DP×162)0.67
【0040】
(結晶化度)
酸化セルロースは、水に分散した際に繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものであることが好ましい。分散した際に繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるとは、酸化セルロースの分散体を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができるものである。また、X線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるものが好ましい。
【0041】
酸化セルロースにおけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。酸化セルロースの結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、株式会社島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10゜~30゜の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6゜の002面の回折強度と2θ=18.5゜のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c-Ia)/I002c×100
Xc:セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6゜、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5゜、アモルファス部分の回折強度。
【0042】
(セルロースナノファイバー)
上述の方法により製造された酸化セルロースを機械的に処理(解繊)することにより、酸化セルロースのナノファイバーを製造することができる(セルロースナノファイバーをCNFと呼ぶ)。CNFとは、後述するようなナノオーダーの繊維径となるように解繊されたセルロース繊維である。
【0043】
解繊を行う際には、酸化セルロースの分散体を準備する。分散媒は、水または有機溶媒、あるいはこれらの混合物を適宜選択できる。有機溶媒の種類は問わないが、例えばセルロース中の水酸基との親和性が高い極性溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等を挙げることができる。上記分散媒は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。例えば、有機溶媒を2種類以上混合する形態、水と有機溶媒を含む形態、水のみの形態などを適宜選択することができる。水のみを分散媒として用いること(すなわち、水100%)は、取扱いの容易性から好ましい。水と有機溶媒とを混合する場合の混合割合は特に限定されず、使用する有機溶媒の種類に応じて適宜混合割合を調整すればよい。
【0044】
解繊時の分散体中の酸化セルロースの濃度は、操業性を考慮すると0.01~10質量%であることが好ましい。
解繊に用いる装置は限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの分散体に強力なせん断力を印加できる装置を用いることが好ましい。効率よく解繊するには、分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。高圧または超高圧ホモジナイザーとは、ポンプにより流体を加圧して高圧にし、流路に設けた非常に繊細な間隙より噴出させることにより、粒子間の衝突、圧力差による剪断力等の総合エネルギーによって乳化、分散、解細、粉砕、及び超微細化を行う装置である。高圧ホモジナイザーでの解繊および分散処理の前に、必要に応じて高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて予備処理を施すこともできる。
【0045】
上記の解繊により、酸化CNFを得ることができる。酸化CNFは、平均繊維径が3~500nm程度、好ましくは3~150nm程度、更に好ましくは3~20nm程度の繊維である。アスペクト比は30以上、好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上である。アスペクト比の上限は限定されないが、500以下程度となる。
【0046】
酸化CNFの平均繊維径および平均繊維長は、径が20nm未満の場合は原子間力顕微鏡(AFM)、20nm以上の場合は電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析し、平均を算出することにより、測定することができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径。
【0047】
(粘度)
本発明の製法により得られた酸化CNFは、水を分散媒とする分散体とした際に、カルボキシ基量が高い場合でも、高い粘度を呈する傾向がある。通常は、カルボキシ基量を増大させると、それに伴い粘度が低下する傾向がある。一方、本発明にしたがい酸化剤として低食塩次亜を用いた場合には、同じセルロース原料を用い、酸化剤として汎用される工業用グレードの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて同じカルボキシ基量とした酸化CNFに比べて、高い粘度を維持する傾向がある。粘度の値自体は、用いるセルロース原料に応じて異なるので特に限定されない。例を挙げるとすれば、本発明の製法によって、酸化CNFを固形分1.0質量%の水分散体とし、B型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定した際に、例えば1.3mmol/g以上のカルボキシ基量と、3900mPa・s以上の粘度とを両立した酸化CNFを得ることができる。酸化CNFのカルボキシ基量と粘度とは、上述の測定条件において、より好ましくは1.4mmol/g以上のカルボキシ基量かつ4000mPa・s以上の粘度であり、さらに好ましくは1.5mmol/g以上のカルボキシ基量かつ4000mPa・s以上の粘度である。所望に応じて、1.7mmol/g以上のカルボキシ基量かつ4500mPa・s以上の粘度とすることも可能である。
【0048】
酸化CNFの粘度は、以下の方法で測定することができる:
CNF分散体(固形分1質量%、分散媒:水)を25℃で16時間放置した後、撹拌機を用いて3000rpmで1分間撹拌し、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.4ローター/回転数得60rpmまたは6rpmで3分後の粘度を測定する。
【実施例0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1~3>
セルロース原料として、針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)を用いた。セルロース原料500gと、TEMPO(Sigma Aldrich社)(セルロース原料に対して0.1mmol)と臭化ナトリウム(セルロース原料に対して4mmol/g)とを水溶液20Lに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に市販の低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度12質量%、塩化ナトリウム含有量4質量%以下)を有効塩素濃度でセルロース原料に対して8.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。酸化反応開始時の反応系中の塩化ナトリウム濃度は、0.5質量%以下であった。
【0050】
反応の進行に伴い系内のpHが低下したので、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。実施例1では反応開始から80分が経過した時点で反応を終了した。同様に、実施例2では100分、実施例3では120分が経過した時点で反応を終了した。反応後の混合物に塩酸を加えてpH2.4以下とした後、ガラスフィルターで濾過してパルプを分離した。再度、イオン交換水に分散させた後、塩酸を加えてpH2.5以下とし、ガラスフィルターで濾過してパルプを分離する操作を繰り返し、余分な塩や不純物を除去した。その後、パルプを十分に水洗することで余分な塩酸を洗浄し、カルボキシ基を導入したパルプ(酸化セルロース)を得た。各酸化セルロースのカルボキシ基量と重合度と濾水度を、上述した測定方法で測定した。結果を表1に示す。
【0051】
また、上記の工程で得られた各酸化セルロースを水で1.0%質量%に調整し、水酸化ナトリウムでpH8.0~8.5に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で5回解繊処理を行い、固形分1.0質量%の水を分散媒とする酸化CNFの分散体を作製した。得られた固形分1.0質量%の酸化CNFの水分散体の粘度を、上述の方法(25℃、60rpm)で測定した。結果を表1に示す。
【0052】
<比較例1~4>
低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液に代えて市販の工業用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度12質量%、塩化ナトリウム含有量10質量%)を用い、反応時間を表1に記載の時間とした以外は実施例1と同様にして酸化セルロース及び酸化CNFを製造した。酸化反応開始時の反応系中の塩化ナトリウム濃度は、1.2質量%程度であった。結果を表1に示す。
【0053】
<実施例4~6>
TEMPOの使用量をセルロース原料に対して0.025mmol/gに、臭化ナトリウムの使用量をセルロース原料に対して1.0mmol/gに、低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液を有効塩素濃度でセルロース原料に対して5.2mmol/gとなるように添加し、反応時間を表2に記載の時間とした以外は実施例1と同様にして酸化セルロース及び酸化CNFを製造した。酸化反応開始時の反応系中の塩化ナトリウム濃度は、0.3質量%以下であった。結果を表1に示す。
【0054】
<比較例5~7>
低食塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液に代えて工業用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度12質量%、塩化ナトリウム含有量10質量%)を用い、反応時間を表2に記載の時間とした以外は実施例4と同様にして酸化セルロース及び酸化CNFを製造した。酸化反応開始時の反応系中の塩化ナトリウム濃度は、0.8質量%程度であった。結果を表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1及び表2の結果より、TEMPOを用いたセルロースの酸化反応において、酸化剤として低食塩次亜を用いた実施例では、塩化ナトリウムを多く含む工業用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた比較例に比べて、短い時間でより高い量のカルボキシ基を導入することができることがわかる。また、同程度のカルボキシ基量同士で比べた場合に、実施例では、重合度と濾水度とCNF分散体とした際の粘度が、比較例に比べて高く維持される傾向があることがわかる。