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特開2024-78996クレーン制御システムおよびクレーン制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078996
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】クレーン制御システムおよびクレーン制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20240604BHJP
   B65F 9/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B66C13/48 B
B65F9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191674
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】串岡 清則
【テーマコード(参考)】
3E025
3F204
【Fターム(参考)】
3E025AA07
3E025DC06
3E025DE03
3E025EA01
3F204AA02
3F204BA09
3F204CA01
3F204DA04
3F204DA09
3F204DB04
3F204DC06
3F204DE10
(57)【要約】
【課題】ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御する。
【解決手段】ごみとともにごみピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出部11と、位置検出部11により検出された複数のマーカの位置に基づいて、ごみピット内を区分した各区画におけるごみの撹拌状態を認識する撹拌状態認識部20と、撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を表示する表示部30と、操作者の指示に基づいて、ごみピットに貯留されるごみを第1区画で掴み、第1区画で掴んだごみを第2区画で落下させるようにクレーンを制御するごみクレーン制御部40と、を備えるごみクレーン制御システム100を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御システムであって、
前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出部と、
前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識部と、
前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態を表示する表示部と、
操作者の指示に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を第1区画で掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御部と、を備えるクレーン制御システム。
【請求項2】
前記位置検出部は、前記マーカに記憶された前記被焼却物の特性に対応付けられた識別情報を読み取り可能であり、
前記撹拌状態認識部は、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置および前記位置検出部で読み取られた前記識別情報に基づいて、前記被焼却物の前記特性に対応付けて前記ピット内の各区画における前記被焼却物の前記撹拌状態を認識し、
前記表示部は、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態を前記特性に対応付けて表示する請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項3】
ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御システムであって、
前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出部と、
前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識部と、
前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を掴む第1区画と前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を落下させる第2区画とを決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記決定部により決定された前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御部と、を備えるクレーン制御システム。
【請求項4】
前記位置検出部は、前記マーカに記憶された前記被焼却物の特性に対応付けられた識別情報を読み取り可能であり、
前記撹拌状態認識部は、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置および前記位置検出部で読み取られた前記識別情報に基づいて、前記被焼却物の前記特性に対応付けて前記ピット内の各区画における前記被焼却物の前記撹拌状態を認識し、
前記決定部は、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態に基づいて、前記特性に対応付けて前記第1区画と前記第2区画とをそれぞれ決定し、
前記制御部は、
前記被焼却物の前記特性が第1種類である場合は、前記第1種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記第1種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御し、
前記被焼却物の前記特性が第2種類である場合は、前記第2種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記第2種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する請求項3に記載のクレーン制御システム。
【請求項5】
前記特性は、前記被焼却物の単位重量当たりの発熱量である請求項2または請求項4に記載のクレーン制御システム。
【請求項6】
前記特性は、前記被焼却物に含まれる腐食性物質の含有率である請求項2または請求項4に記載のクレーン制御システム。
【請求項7】
前記マーカは、RFIDタグであり、
前記位置検出部は、前記RFIDタグから送信される電波強度に基づいて複数の前記マーカの位置をそれぞれ検出する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクレーン制御システム。
【請求項8】
ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御方法であって、
前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識工程と、
前記撹拌状態認識工程が認識する前記各区画の前記撹拌状態を表示する表示工程と、
操作者の指示に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を第1区画で掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御工程と、を備えるクレーン制御方法。
【請求項9】
ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御方法であって、
前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識工程と、
前記撹拌状態認識工程が認識する前記各区画の前記撹拌状態に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を掴む第1区画と前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を落下させる第2区画とを決定する決定工程と、
前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御工程と、を備えるクレーン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレーン制御システムおよびクレーン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物焼却施設に設置されるごみピットには、複数のごみ収集車が各地から取集したごみが投入される。ごみピットに投入されるごみは、それぞれ単位重量あたりの発熱量が異なるが、焼却炉に投入されるごみの発熱量に変動があると焼却炉の燃焼性能に悪影響を及ぼす可能性がある。そして、ごみピットに設置されるクレーンにより、ごみピットを区分した複数の区画のいずれか1つからごみを掴み、掴んだごみを他の区画あるいは同じ区画に落下させることによりごみを撹拌して各区画におけるごみの発熱量の差を低減する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ごみピットの区画毎に、ごみ高さと撹拌度合からごみ動作の必要性の高さを示す指標値を算出し、算出した指標値を用いてごみを掴む位置をいずれの区画とするかを決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6659474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ごみピットの各区画の撹拌度合としてごみが搬入された後の累積の撹拌回数を用いている。しかしながら、ごみピットに投入されたごみが複数の区画のごみの発熱量の差の少なさは、必ずしも累積の撹拌回数に比例しない。例えば、累積の撹拌回数が多い区画であっても、他の区画よりに比べてごみの発熱量が大きいあるいは小さいという偏った状態が維持される場合もある。この場合、焼却炉に投入されるごみの発熱量に変動が生じてしまい、焼却炉の燃焼性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することが可能なクレーン制御システムおよびクレーン制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係るクレーン制御システムは、ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御システムであって、前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識部と、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態を表示する表示部と、操作者の指示に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を第1区画で掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御部と、を備える。
【0008】
本開示に係るクレーン制御方法は、ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御方法であって、前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出工程と、前記位置検出工程により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識工程と、前記撹拌状態認識工程が認識する前記各区画の前記撹拌状態を表示する表示工程と、操作者の指示に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を第1区画で掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することが可能なクレーン制御システムおよびクレーン制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係るごみピットの斜視図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るごみクレーン制御システムを示す概略構成図である。
図3図1に示すごみピットの縦断面図であり、ごみとともに複数のマーカが投入された直後の状態の一例を示す。
図4図1に示すごみピットの縦断面図であり、ごみとともに複数のマーカが投入された後にクレーンにより撹拌された状態の一例を示す。
図5】本開示の第1実施形態に係るごみクレーン制御方法を示すフローチャートである。
図6】ごみピットが配置される三次元空間上のYZ平面の各区画におけるマーカの位置を示す図である。
図7図6に示すマーカの位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。
図8】ごみピットが配置される三次元空間上のXY平面の各区画におけるマーカの位置を示す図である。
図9図8に示すマーカの位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。
図10】Z5の区画におけるマーカの撹拌状態の一例を示す表示画面である。
図11】本開示の第2実施形態において、ごみピットを上方からみた図であり、ごみとともに複数のマーカが投入された直後の状態の一例を示す。
図12】本開示の第2実施形態において、ごみピットを上方からみた図であり、ごみとともに複数のマーカが投入された後にクレーンにより撹拌された状態の一例を示す。
図13】本開示の第2実施形態に係るごみクレーン制御方法を示すフローチャートである。
図14】マーカのXY平面上の位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。
図15】マーカのYZ平面上の位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。
図16】Z4の区画におけるマーカの撹拌状態の一例を示す表示画面である。
図17】本開示の第3実施形態に係るごみクレーン制御システムを示す概略構成図である。
図18】本開示の第3実施形態に係るごみクレーン制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の第1実施形態に係るごみクレーン制御システム100について、図面を参照して説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係るごみピット300の斜視図である。図2は、本開示の第1実施形態に係るごみクレーン制御システム100を示す概略構成図である。
【0012】
ごみクレーン制御システム100は、ごみピット300に貯留されたごみ(被焼却物)Dを撹拌するためのごみクレーン200を制御し、ごみピット300で撹拌されたごみDを焼却炉に接続したごみホッパへ投入するシステムである。ごみクレーン制御システム100は、ごみクレーン200を図1に示すX軸およびY軸で規定されるXY平面上の任意の位置に移動させる。また、ごみクレーン制御システム100は、ワイヤ210によりZ軸に沿ってバゲット220を昇降させて所定の掴み位置(第1位置)でごみDを掴み、所定の落下位置(第2位置)でごみDを落下させることにより、ごみDを撹拌する。
【0013】
図2に示すように、本実施形態のごみクレーン制御システム100は、読取部(位置検出部)10と、撹拌状態認識部20と、表示部30と、ごみクレーン制御部40と、を備える。
【0014】
読取部10は、ごみDとともにごみピット300に投入された複数のマーカMの位置をそれぞれ検出する装置である。本実施形態のマーカMは、RFIDタグである。RFIDタグは、例えば、パッシブ型であり、内部にデータ送受信用のアンテナとメモリを含むチップが内蔵されたICタグである。パッシブ型のRFIDタグは、読取部10から放射される電磁波のエネルギーによりアンテナで電力を発生させて動作する。RFIDタグは、メモリに記憶されている識別情報を含む電磁波を、アンテナを介して読取部10へ送信する。
【0015】
読取部10は、位置検出部11と、RFIDリーダ12,13,14,15と、を備える。位置検出部11は、RFIDリーダ12,13,14,15が電磁波に対してマーカMから送信される電磁波を受信し、各RFIDリーダ12,13,14,15が受信する電磁波の強度から、マーカMの三次元空間(X,Y,Z軸により画定される空間)における位置(三次元空間上の座標)を検出する。
【0016】
各マーカMから送信される電磁波に含まれる識別情報には、各マーカを特定するためのマーカ特定情報が含まれている。位置検出部11は、電磁波に含まれるマーカ特定情報から、複数のマーカMのうちのいずれのマーカMから送信された電磁波であるかを特定し、複数のマーカMのそれぞれの三次元空間における位置を検出する。
【0017】
図3は、図1に示すごみピット300の縦断面図であり、ごみDとともに複数のマーカMが投入された直後の状態の一例を示す。図4は、図1に示すごみピット300の縦断面図であり、ごみDとともに複数のマーカMが投入された後にごみクレーン200により撹拌された状態の一例を示す。図3および図4に示すように、RFIDリーダ12,13,14,15は、ごみピット300のごみDが貯留される領域の上方側に固定されている。
【0018】
図3に示すように、ごみピット300にごみとともに複数のマーカMが投入された直後は、複数のマーカMがごみDmとともに1つの領域に密集した状態となる。一方、ごみピット300にごみDとともに複数のマーカMが投入された後にごみクレーン200により撹拌された状態では、複数のマーカMと、複数のマーカMと同時にごみピット300に投入されたごみDmとが、ごみピット300内の各位置に分散する。
【0019】
撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカMの位置に基づいて、ごみピット300内を区分した各区画(後述する図6参照)におけるごみDの撹拌状態を認識する。
表示部30は、撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を表示する。
【0020】
ごみクレーン制御部40は、操作者の指示に基づいて、ごみピット300に貯留されるごみDを第1区画で掴み、第1区画で掴んだごみDを第2区画で落下させるようにごみクレーン200を制御する。
【0021】
次に、図5を参照して、本開示の第1実施形態に係るごみクレーン制御方法について説明する。図5は、本開示の第1実施形態に係るごみクレーン制御方法を示すフローチャートである。
ステップS101で、ごみ収集車からごみピット300に投入されるごみDにマーカMを混入させ、マーカMを混入させたごみDをごみピット300に投入する。
【0022】
ステップS102で、読取部10は、複数のマーカMのそれぞれの三次元空間上の位置を検出する。読取部10は、RFIDリーダ12,13,14,15から電磁波を送信し、各マーカMからの応答として送信される電磁波を受信する。各マーカMから送信される電磁波に含まれる識別情報には、各マーカMを特定するためのマーカ特定情報が含まれている。位置検出部11は、電磁波に含まれるマーカ特定情報から、複数のマーカMのうちのいずれのマーカMから送信された電磁波であるかを特定し、複数のマーカMのそれぞれの三次元空間における位置を検出する。
【0023】
ステップS103で、撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカMの位置に基づいて、ごみピット300内を区分した各区画におけるごみDの撹拌状態を認識する。
ステップS104で、表示部30は、ステップS103で撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を表示する。
【0024】
ここで、図6から図9を参照して、撹拌状態認識部20によりごみDの撹拌状態を認識する処理と、表示部30により撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を表示する処理の一例について説明する。図6は、ごみピット300が配置される三次元空間上のYZ平面の各区画におけるマーカMの位置を示す図である。図6中のY1,Y2,Y3,Y4,Y5は、Y軸方向の領域を点線の位置で区画した5つの区画を示す。また、図6中のZ1,Z2,Z3,Z4,Z5は、Z軸方向の領域を点線の位置で区画した5つの区画を示す。図6に示すように、マーカMと付随するごみDmは、YZ平面の各区画に位置している。
【0025】
図6に示す例の場合、撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカMの位置に基づいて、以下のように撹拌状態を認識する。
・(Y1,Z4),(Y2,Z4),(Y4,Z4),(Y4,Z5),(Y5,Z3)=1
・(Y3,Z4)=2
・(Y1,Z5)=10
・その他の区画=0
ここで、(Yn,Zn)は、図6のY軸方向の区画(Y1~Y5のいずれか)と、Z軸方向の区画(Z1~Z5のいずれか)とが交差する区画に位置するマーカMの個数を示す。
【0026】
また、図6に示す例の場合、表示部30は、撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を図7に示す画面として表示する。図7は、図6に示すマーカMの位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。
【0027】
図8は、ごみピット300が配置される三次元空間上のXY平面の各区画におけるマーカMの位置を示す図である。図8中のX1,X2,X3,X4,X5は、X軸方向の領域を点線の位置で区画した5つの区画を示す。また、図8中のY1,Y2,Y3,Y4,Y5は、Y軸方向の領域を点線の位置で区画した5つの区画を示す。図8に示すように、マーカMと付随するごみDmは、XY平面の各区画に位置している。
【0028】
図8に示す例の場合、撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカMの位置に基づいて、以下のように撹拌状態を認識する。
・(Y1,X2),(Y2,X3),(Y4,X1),(Y4,X5),(Y5,X4)=1
・(Y3,X4)=2
・(Y1,X4)=11
・その他の区画=0
ここで、(Yn,Xn)は、図8のY軸方向の区画(Y1~Y5のいずれか)と、X軸方向の区画(X1~X5のいずれか)とが交差する区画に位置するマーカMの個数を示す。
【0029】
また、図8に示す例の場合、表示部30は、撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を図9に示す画面として表示する。図9は、図8に示すマーカMの位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。
【0030】
ステップS105で、操作者は、ごみクレーン200がごみピット300内の所定の区画でごみDを掴む掴み動作を実行するための操作指示を行う。ごみクレーン制御部40は、操作者の掴み動作の指示に基づいて、ごみピット300に貯留されるごみDを所定の区画(第1区画)で掴むようにごみクレーン200を制御する。
【0031】
ステップS106で、操作者は、ごみクレーン200がごみピット300内の所定の区画へごみDを落下させる落下動作を実行するための操作指示を行う。ごみクレーン制御部40は、操作者の落下動作の指示に基づいて、バゲット220が掴んだごみDを所定の区画(第2区画)に落下させるようにごみクレーン200を制御する。
【0032】
ステップS105およびステップS106において、操作者は、図7に示すYZ平面上の複数のマーカMの撹拌状態と、図8に示すXY平面上の複数のマーカMの撹拌状態とを参照し、ごみピット300の全体の撹拌状態を確認する。また、操作者は、ごみピット300の深さ方向(Z軸方向)の特定の区画(Z1~Z5のいずれか)におけるマーカMの撹拌状態を確認する。
【0033】
図10は、Z5の区画におけるマーカMの撹拌状態の一例を示す表示画面である。操作者は、図10に示す表示画面を参照し、複数のマーカMの分布が均一化されるように、例えば、Z5の深さにおいて、マーカMが10個存在するX4かつY1の区画(第1区画)でごみDを掴み、マーカMが存在しないX2かつY5の区画(第2区画)でごみDを落下させるようにごみクレーン200に対する操作を指示する。また、例えば、ある区画が十分に撹拌された撹拌状態であると操作者が認識した場合、その区画のごみDをごみクレーン200で掴み、ごみピット300において、ごみホッパへ投入するごみDを貯める区画として予め定められた区画に落下させるように、ごみクレーン200に対する操作を指示する。
【0034】
ステップS107で、操作者は、表示部30に表示される撹拌状態を確認し、ステップS101でごみ収集車からごみピット300に投入されるごみDの撹拌が完了したかどうかを判断し、YESであれば本フローチャートの処理を終了する。NOであれば、ステップS102以降の処理を再び実行する。
【0035】
以上で説明した本実施形態のごみクレーン制御システム100によれば、ごみDとともにごみピット300に投入された複数のマーカMの位置が位置検出部11によりそれぞれ検出され、検出された複数のマーカMの位置に基づいて、ごみピット300内を区分した各区画におけるごみDの撹拌状態が撹拌状態認識部20により認識される。操作者は、表示部30に表示される各区画の撹拌状態を認識した上で、ごみクレーン200を制御するための指示をする。
【0036】
そして、ごみクレーン制御部40は、操作者の指示に基づいて、ごみピット300に貯留されるごみDを所定の区画(第1区画)で掴み、掴んだごみを所定の区画(第2区画)で落下させるようにごみクレーン200を制御する。本実施形態のごみクレーン制御システム100によれば、マーカMの位置を検出することによりごみピット300内を区分した各区画におけるごみDの撹拌状態を正確に認識し、ごみDを適切に撹拌するようにごみクレーン200を制御することができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係るごみクレーン制御システム100について説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。本実施形態では、ごみピット300に投入されるごみに混入されるマーカMであるRFIDタグに、ごみDの特性に対応付けられた識別情報を記憶させておき、ごみDの特性に対応付けて表示画面に撹拌状態を表示する。
【0038】
図11は、本実施形態において、ごみピット300を上方からみた図であり、ごみDm1,Dm2とともに複数のマーカM1,M2が投入された直後の状態の一例を示す。ごみピット300の左方には、ごみ収集車(図示略)からごみDが投入される複数の投入口が配置されている。投入口は、第1投入口P1と第2投入口P2とを含む。
【0039】
図11は、第1投入口P1からごみDm1とともに複数のマーカM1が投入され、第2投入口P2からごみDm2とともに複数のマーカM2が投入された状態を示す。図12は、本実施形態において、ごみピット300を上方からみた図であり、ごみDm1,Dm2とともに複数のマーカM1,M2が投入された後にごみクレーン200により撹拌された状態の一例を示す。
【0040】
次に、図13を参照して、本開示の第2実施形態に係るごみクレーン制御方法について説明する。図13は、本開示の第2実施形態に係るごみクレーン制御方法を示すフローチャートである。
ステップS201で、ごみ収集車からごみピット300の第1投入口P1から投入されるごみDm1にマーカM1を混入させ、マーカM1を混入させたごみDm1をごみピット300に投入する。
ステップS202で、ごみ収集車からごみピット300の第2投入口P2から投入されるごみDm2にマーカM2を混入させ、マーカM2を混入させたごみDm2をごみピット300に投入する。
【0041】
ステップS203で、読取部10は、複数のマーカM1,M2のそれぞれの三次元空間上の位置を検出する。読取部10は、RFIDリーダ12,13,14,15から電磁波を送信し、各マーカMからの応答として送信される電磁波を受信する。各マーカM1,M2から送信される電磁波に含まれる識別情報には、各マーカM1,M2を特定するためのマーカ特定情報が含まれている。位置検出部11は、電磁波に含まれるマーカ特定情報から、複数のマーカM1,M2のうちのいずれのマーカM1,M2から送信された電磁波であるかを特定し、複数のマーカM1,M2のそれぞれの三次元空間における位置を検出する。
【0042】
ここで、ごみDm1およびごみDm2は、例えば、ごみDm1の単位重量あたりの発熱量が、ごみDm2の単位重量あたりの発熱量よりも大きいものとする。そして、マーカM1であるRFIDタグのメモリには、ごみDm1の単位重量あたりの発熱量を示す第1特性情報が記憶されているものとする。また、マーカM2であるRFIDタグのメモリには、ごみDm2の単位重量あたりの発熱量を示す第2特性情報が記憶されているものとする。
【0043】
そして、ステップS203で、読取部10は、各マーカM1から送信される電磁波に含まれる識別情報からごみDm1の単位重量あたりの発熱量を示す第1特性情報を読み取り、各マーカM2から送信される電磁波に含まれる識別情報からごみDm2の単位重量あたりの発熱量を示す第2特性情報を読み取る。
【0044】
ステップS204で、撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカM1,M2の位置とマーカM1から読み取られた第1特性情報とマーカM2から読み取られた第2特性情報とに基づいて、ごみピット300内を区分した各区画におけるごみDの撹拌状態をごみDm1,Dm2の発熱量の特性に対応付けて認識する。
ステップS205で、表示部30は、ステップS204で撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態をごみDm1,Dm2の発熱量の特性に対応付けて表示する。
【0045】
ここで、図14から図16を参照して、撹拌状態認識部20によりごみDの撹拌状態を認識し、表示部30により撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態を表示する処理の一例について説明する。図14は、マーカM1,M2のXY平面上の位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。図15は、マーカM1,M2のYZ平面上の位置に基づいて認識された撹拌状態の一例を示す表示画面である。図16は、Z1の区画におけるマーカM1,M2の撹拌状態の一例を示す表示画面である。
【0046】
図14に示す例の場合、撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカM1,M2の位置と、マーカM1から読み取られた第1特性情報と、マーカM2から読み取られた第2特性情報とに基づいて、図14の各区画に示すように撹拌状態を認識する。図14では、例えば、(Y5,X4)の区画では、上段が1であり、下段が1であると表示される。
【0047】
上段の数値はマーカM1の個数であり、下段の数値はマーカM2の個数である。図14には、マーカM1,M2の各区画に位置する個数が、それぞれ識別可能に表示される。マーカM1,M2は、それぞれ発熱量の異なるごみDm1,Dm2に対応付けられているため、XY平面において、発熱量の異なるごみDm1,Dm2の撹拌状態を区別して認識することができる。
【0048】
図15に示す例の場合、撹拌状態認識部20は、読取部10の位置検出部11により検出された複数のマーカM1,M2の位置と、マーカM1から読み取られた第1特性情報と、マーカM2から読み取られた第2特性情報とに基づいて、図15の各区画に示すように撹拌状態を認識する。図15では、例えば、(Y4,Z5)の区画では、上段が1であり、下段が0であると表示される。
【0049】
上段の数値はマーカM1の個数であり、下段の数値はマーカM2の個数である。図15には、マーカM1,M2の各区画に位置する個数が、それぞれ識別可能に表示される。マーカM1,M2は、それぞれ発熱量の異なるごみDm1,Dm2に対応付けられているため、YZ平面において、発熱量の異なるごみDm1,Dm2の撹拌状態を区別して認識することができる。
【0050】
ステップS206で、操作者は、ごみクレーン200がごみピット300内の所定の区画でごみDを掴む掴み動作を実行するための操作指示を行う。ごみクレーン制御部40は、操作者の掴み動作の指示に基づいて、ごみピット300に貯留されるごみDを所定の区画(第1区画)で掴むようにごみクレーン200を制御する。
【0051】
ステップS207で、操作者は、ごみクレーン200がごみピット300内の所定の区画へごみDを落下させる落下動作を実行するための操作指示を行う。ごみクレーン制御部40は、操作者の落下動作の指示に基づいて、バゲット220が掴んだごみDを所定の区画(第2区画)に落下させるようにごみクレーン200を制御する。
【0052】
ステップS206およびステップS207において、操作者は、図14に示すXY平面上の複数のマーカM1,M2の撹拌状態と、図15に示すYZ平面上の複数のマーカM1,M2の撹拌状態とを参照し、ごみピット300の全体の撹拌状態を確認する。また、操作者は、ごみピット300の深さ方向(Z軸方向)の特定の区画(Z1~Z5のいずれか)におけるマーカMの撹拌状態を確認する。
【0053】
図16は、Z4の区画におけるマーカMの撹拌状態の一例を示す表示画面である。操作者は、図16に示す表示画面を参照し、複数のマーカM1,M2のそれぞれの分布が均一化されるように、例えば、Z4の深さにおいて、マーカM1が3つでマーカM2が2つ存在するX4かつY1の区画(第1区画)でごみDを掴み、マーカM1,M2が存在しないX2かつY3の区画(第2区画)でごみDを落下させるようにごみクレーン200に対する操作を指示する。また、例えば、ある区画が十分に撹拌された撹拌状態であると操作者が認識した場合、その区画のごみDをごみクレーン200で掴み、ごみピット300において、ごみホッパへ投入するごみDを貯める区画として予め定められた区画に落下させるように、ごみクレーン200に対する操作を指示する。
【0054】
ステップS208で、操作者は、表示部30に表示される撹拌状態を確認し、ステップS201,S202でごみ収集車からごみピット300に投入されるごみDm1,Dm2の撹拌が完了したかどうかを判断し、YESであれば本フローチャートの処理を終了する。NOであれば、ステップS203以降の処理を再び実行する。
【0055】
以上で説明した本実施形態のごみクレーン制御システム100によれば、複数のマーカM1,M2の位置およびマーカM1,M2から読み取られた第1特性情報,第2特性情報に基づいて、ごみDm1,Dm2の特性(発熱量)に対応付けてごみピット300内の各区画におけるごみDm1,Dm2の撹拌状態が撹拌状態認識部20により認識され、表示部30が撹拌状態を特性に対応付けて表示する。
【0056】
操作者は、表示部30に表示される各区画の撹拌状態を特性に対応付けて認識した上で、ごみクレーン200を制御するための指示をする。本実施形態のごみクレーン制御システム100によれば、ごみDm1,Dm2の特性に対応付けてごみピット300内の各区画におけるごみDm1,Dm2の撹拌状態を認識して表示部30に表示することにより、ごみピット300内を区分した各区画におけるごみDm1,Dm2の撹拌状態を特性に対応付けて正確に認識し、ごみDm1,Dm2を適切に撹拌するようにごみクレーン200を制御することができる。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係るごみクレーン制御システム100Aについて説明する。本実施形態は、第2実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第2実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0058】
第2実施形態では、表示部30に表示されたマーカM1,M2の撹拌状態を操作者が参照し、ごみクレーン200を操作する指示を行うものであった。それに対して、本実施形態では、撹拌状態認識部20により認識された撹拌状態に基づいて、決定部50が、ごみピット300に貯留されるごみDを掴む第1区画とごみDを落下させる第2区画とを決定するものである。
【0059】
図17は、本開示の第3実施形態に係るごみクレーン制御システム100Aを示す概略構成図である。図17に示すごみクレーン制御システム100Aは、決定部50を有する点で、第2実施形態のごみクレーン制御システム100と異なる。
【0060】
決定部50は、撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態に基づいて、ごみピット300に貯留されるごみDを掴む第1区画と第1区画で掴んだごみDを落下させる第2区画とを決定する。そして、ごみクレーン制御部40は、決定部50により決定された第1区画でごみDを掴み、第1区画で掴んだごみDを決定部50により決定された第2区画で落下させるようにごみクレーン200を制御する。
【0061】
次に、図18を参照して、本開示の第3実施形態に係るごみクレーン制御方法について説明する。図18は、本開示の第3実施形態に係るごみクレーン制御方法を示すフローチャートである。なお、図18のステップS301からステップS304、ステップS308の動作は、図13のステップS201からステップS204、ステップS208の動作と同様であるため、以下での説明を省略する。
【0062】
ステップS305で、決定部50は、撹拌状態認識部20が認識する各区画の撹拌状態に基づいて、ごみDm1,Dm2の特性(発熱量)に対応付けて第1区画と第2区画とをそれぞれ決定する。決定部50は、ごみDm1に対応するマーカM1の位置を参照し、ごみDm1を撹拌するためにごみDを掴む区画(第1区画)と、ごみDを落下させる区画(第2区画)を決定する。また、決定部50は、ごみDm2に対応するマーカM2の位置を参照し、ごみDm2を撹拌するためにごみDを掴む区画(第1区画)と、ごみDを落下させる区画(第2区画)を決定する。
【0063】
ごみクレーン制御部40は、ごみDm1に対応するマーカM1の位置を参照して決定部50により決定された第1区画でごみDを掴み(S306)、ごみDm1に対応するマーカM1の位置を参照して決定部50により決定された第2区画でごみDを落下させる(S307)ように、ごみクレーン200を制御する。すなわち、ごみクレーン制御部40は、ごみDの特性が第1種類(ごみDm1に対応する種類)である場合は、第1種類に対応付けて決定部50により決定された第1区画でごみDを掴み、第1区画で掴んだごみを第1種類に対応付けて決定部50により決定された第2区画で落下させるようにごみクレーン200を制御する。
【0064】
また、ごみクレーン制御部40は、ごみDm2に対応するマーカM2の位置を参照して決定部50により決定された第1区画でごみDを掴み(S306)、ごみDm2に対応するマーカM2の位置を参照して決定部50により決定された第2区画でごみDを落下させる(S307)ように、ごみクレーン200を制御する。すなわち、ごみクレーン制御部40は、ごみDの特性が第2種類(ごみDm2に対応する種類)である場合は、第2種類に対応付けて決定部50により決定された第1区画でごみDを掴み、第1区画で掴んだごみを第1種類に対応付けて決定部50により決定された第2区画で落下させるようにごみクレーン200を制御する。
【0065】
本実施形態のごみクレーン制御システム100Aによれば、ごみDm1,Dm2とともにごみピット300に投入された複数のマーカM1,M2の位置が位置検出部11によりそれぞれ検出され、検出された複数のマーカM1,M2の位置に基づいて、ごみピット300内を区分した各区画におけるごみDm1,Dm2の撹拌状態が撹拌状態認識部20により認識される。
【0066】
各区画の撹拌状態に基づいて、ごみピット300に貯留されるごみDを掴む第1区画と、第1区画で掴んだごみDを落下させる第2区画とが決定部50により決定され、第1区画でごみDを掴み、第1区画で掴んだごみDを第2区画で落下させるようにごみクレーン制御部40によりごみクレーン200が制御される。本実施形態のごみクレーン制御システム100Aによれば、マーカM1,M2の位置を検出することによりごみピット300内を区分した各区画におけるごみDの撹拌状態を正確に認識し、操作者による指示によらずに、ごみDを適切に撹拌するようにごみクレーン200を制御することができる。
【0067】
〔他の実施形態〕
以上において、マーカMは、パッシブ型のRFIDタグとしたが、他の態様であってもよい。例えば、RFIDタグに電池を搭載したアクティブ型や、RFIDリーダからの電磁波の放射があった場合にだけ内臓の電池で動作するセミアクティブ型を採用してもよい。
【0068】
以上において、マーカMは、RFIDタグとしたが、他の態様であってもよい。例えば、音響、熱、超音波などを発するマーカMとしてもよい。この場合、ごみクレーン制御システムは、RFIDリーダに替えて、音響、熱、超音波を検知してマーカMの位置を検出することができるセンサを備えるものとする。
【0069】
以上において、ごみDの特性として発熱量を挙げたが、他の態様であってもよい。例えば、ごみDの特性は、ごみDに含まれる腐食性物質(例えば、プラスチック/塩化物)の含有率であってもよい。この場合、RFIDタグのメモリには、ごみDに含まれる腐食性物質の含有率を示す情報が記憶される。
【0070】
以上において、RFIDタグ等のマーカMは、ごみDに混入されるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、ごみDを収容するごみ袋にRFIDタグをシール等により付着させるようにしてもよい。
【0071】
以上説明した各実施形態に記載のクレーン制御システムおよびクレーン制御方法は例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るクレーン制御システムは、ピット(300)に貯留された被焼却物(D)を撹拌するためのクレーン(200)を制御し、前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカ(M)の位置をそれぞれ検出する位置検出部(10)と、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識部(20)と、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態を表示する表示部(30)と、操作者の指示に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を第1区画で掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御部(40)と、を備える。
【0072】
本開示の第1態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物とともにピットに投入された複数のマーカの位置が位置検出部によりそれぞれ検出され、検出された複数のマーカの位置に基づいて、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態が撹拌状態認識部により認識される。操作者は、表示部に表示される各区画の撹拌状態を認識した上で、クレーンを制御するための指示をする。
【0073】
そして、制御部は、操作者の指示に基づいて、ピットに貯留される被焼却物を第1区画で掴み、第1区画で掴んだ被焼却物を第2区画で落下させるようにクレーンを制御する。本開示の第1態様に係るクレーン制御システムによれば、マーカの位置を検出することによりピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0074】
本開示の第2態様に係るクレーン制御システムは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記位置検出部は、前記マーカに記憶された前記被焼却物の特性に対応付けられた識別情報を読み取り可能であり、前記撹拌状態認識部は、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置および前記位置検出部で読み取られた前記識別情報に基づいて、前記被焼却物の前記特性に対応付けて前記ピット内の各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識し、前記表示部は、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態を前記特性に対応付けて表示する。
【0075】
本開示の第2態様に係るクレーン制御システムによれば、複数のマーカの位置およびマーカから読み取られた識別情報に基づいて、被焼却物の特性に対応付けてピット内の各区画における被焼却物の撹拌状態が撹拌状態認識部により認識され、表示部が撹拌状態を特性に対応付けて表示する。操作者は、表示部に表示される各区画の撹拌状態を特性に対応付けて認識した上で、クレーンを制御するための指示をする。本開示の第2態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物の特性に対応付けてピット内の各区画における被焼却物の前記撹拌状態を認識して表示部に表示することにより、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を特性に対応付けて正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0076】
本開示の第3態様に係るクレーン制御システムは、ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御システムであって、前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識部と、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を掴む第1区画と前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を落下させる第2区画とを決定する決定部と、前記決定部により決定された前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記決定部により決定された前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御部と、を備える。
【0077】
本開示の第3態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物とともにピットに投入された複数のマーカの位置が位置検出部によりそれぞれ検出され、検出された複数のマーカの位置に基づいて、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態が撹拌状態認識部により認識される。各区画の撹拌状態に基づいて、ピットに貯留される被焼却物を掴む第1区画と、第1区画で掴んだ被焼却物を落下させる第2区画とが決定部により決定され、第1区画で被焼却物を掴み、第1区画で掴んだ被焼却物を第2区画で落下させるように制御部によりクレーンが制御される。本開示の第1態様に係るクレーン制御システムによれば、マーカの位置を検出することによりピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、操作者による指示によらずに、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0078】
本開示の第4態様に係るクレーン制御システムは、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記位置検出部は、前記マーカに記憶された前記被焼却物の特性に対応付けられた識別情報を読み取り可能であり、前記撹拌状態認識部は、前記位置検出部により検出された複数の前記マーカの位置および前記位置検出部で読み取られた前記識別情報に基づいて、前記被焼却物の前記特性に対応付けて前記ピット内の各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識し、前記決定部は、前記撹拌状態認識部が認識する前記各区画の前記撹拌状態に基づいて、前記特性に対応付けて前記第1区画と前記第2区画とをそれぞれ決定し、前記制御部は、前記被焼却物の前記特性が第1種類である場合は、前記第1種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記第1種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御し、前記被焼却物の前記特性が第2種類である場合は、前記第2種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記第2種類に対応付けて前記決定部により決定された前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する。
【0079】
本開示の第4態様に係るクレーン制御システムによれば、複数のマーカの位置およびマーカから読み取られた識別情報に基づいて、被焼却物の特性に対応付けてピット内の各区画における被焼却物の撹拌状態を撹拌状態認識部により認識し、各区画の撹拌状態に基づいて、被焼却物の特性に対応付けて第1区画と第2区画とをそれぞれ決定する。これにより、第1種類の特性の被焼却物と、第2種類の特性の被焼却物とを、それぞれ適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0080】
本開示の第5態様に係るクレーン制御システムは、第2態様または第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記特性は、前記被焼却物の単位重量当たりの発熱量である。
本開示の第5態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物の単位重量当たりの発熱量が第1種類である被焼却物と、被焼却物の単位重量当たりの発熱量が第2種類である被焼却物とを、それぞれ適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0081】
本開示の第6態様に係るクレーン制御システムは、第2態様または第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記特性は、前記被焼却物に含まれる腐食性物質の含有率である。
本開示の第6態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物の腐食性物質の含有率が第1種類である被焼却物と、被焼却物の腐食性物質の含有率が第2種類である被焼却物とを、それぞれ適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0082】
本開示の第7態様に係るクレーン制御システムは、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記マーカは、RFIDタグであり、前記位置検出部は、前記RFIDタグから送信される電波強度に基づいて複数の前記マーカの位置をそれぞれ検出する。
本開示の第7態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物とともにピットに投入されたRFIDタグから送信される電波強度に基づいて複数のマーカの位置をそれぞれ検出することにより、被焼却物の撹拌状態を正確に認識することができる。
【0083】
本開示の第8態様に係るクレーン制御方法は、ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御方法であって、前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出工程(S101)と、前記位置検出工程により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識工程(S102)と、前記撹拌状態認識工程が認識する前記各区画の前記撹拌状態を表示する表示工程(S103)と、操作者の指示に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を第1区画で掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御工程(S104,S105)と、を備える。
【0084】
本開示の第8態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物とともにピットに投入された複数のマーカの位置が位置検出工程によりそれぞれ検出され、検出された複数のマーカの位置に基づいて、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態が撹拌状態認識工程により認識される。操作者は、表示部に表示される各区画の撹拌状態を認識した上で、クレーンを制御するための指示をする。
【0085】
そして、制御工程は、操作者の指示に基づいて、ピットに貯留される被焼却物を第1区画で掴み、第1区画で掴んだ被焼却物を第2区画で落下させるようにクレーンを制御する。本開示の第8態様に係るクレーン制御方法によれば、マーカの位置を検出することによりピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【0086】
本開示の第9態様に係るクレーン制御方法は、ピットに貯留された被焼却物を撹拌するためのクレーンを制御するクレーン制御方法であって、前記被焼却物とともに前記ピットに投入された複数のマーカの位置をそれぞれ検出する位置検出工程(S303)と、前記位置検出工程により検出された複数の前記マーカの位置に基づいて、前記ピット内を区分した各区画における前記被焼却物の撹拌状態を認識する撹拌状態認識工程(S304)と、前記撹拌状態認識工程が認識する前記各区画の前記撹拌状態に基づいて、前記ピットに貯留される前記被焼却物を掴む第1区画と、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を落下させる第2区画とを決定する決定工程(S305)と、前記第1区画で前記被焼却物を掴み、前記第1区画で掴んだ前記被焼却物を前記第2区画で落下させるように前記クレーンを制御する制御工程(S306,S307)と、を備える。
【0087】
本開示の第9態様に係るクレーン制御システムによれば、被焼却物とともにピットに投入された複数のマーカの位置が位置検出工程によりそれぞれ検出され、検出された複数のマーカの位置に基づいて、ピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態が撹拌状態認識工程により認識される。各区画の撹拌状態に基づいて、ピットに貯留される被焼却物を掴む第1区画と、第1区画で掴んだ被焼却物を落下させる第2区画とが決定工程により決定され、第1区画で被焼却物を掴み、第1区画で掴んだ被焼却物を第2区画で落下させるように制御工程によりクレーンが制御される。本開示の第6態様に係るクレーン制御方法によれば、マーカの位置を検出することによりピット内を区分した各区画における被焼却物の撹拌状態を正確に認識し、被焼却物を適切に撹拌するようにクレーンを制御することができる。
【符号の説明】
【0088】
10 読取部
11 位置検出部
12,13,14,15 RFIDリーダ
20 撹拌状態認識部
30 表示部
40 ごみクレーン制御部
50 決定部
100,100A ごみクレーン制御システム
200 ごみクレーン
210 ワイヤ
220 バゲット
300 ピット
M,M1,M2 マーカ
P1 第1投入口
P2 第2投入口
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