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特開2024-78998燃料ノズルおよびガスタービンエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078998
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】燃料ノズルおよびガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/24 20060101AFI20240604BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20240604BHJP
   F23R 3/14 20060101ALI20240604BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F02C3/24 A
F02C7/232 B
F23R3/14
F23R3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191676
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】514275772
【氏名又は名称】三菱重工航空エンジン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】池田 有空
(72)【発明者】
【氏名】藤本 洋平
(57)【要約】
【課題】液体燃料の微粒化を促進してNOx等の有害排出物の生成を抑制する。
【解決手段】液体燃料を燃焼室CCに向けて噴射するノズル部10と、ノズル部10との間に燃焼用空気CAを流通させる内側流路ICを形成する内側筒部20と、内側流路ICを流通する燃焼用空気CAに旋回力を付与する内側旋回器30と、を備え、内側筒部20の内周面20aは、ノズル部10から噴射された液体燃料を付着させて液膜を形成し、内側筒部20は、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて、流路断面積が拡大せず、かつ内側筒部20の内周面20aの軸線Xに直交する断面における濡れ縁長さが長くなるように形成されている燃料ノズル100を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って配置されるとともに液体燃料を噴射孔から燃焼室に向けて噴射するノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記ノズル部の外周側に配置され、前記ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる第1流路を形成する第1筒部と、
前記第1流路に配置されるとともに前記第1流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する第1旋回器と、を備え、
前記第1筒部の内周面は、前記ノズル部から噴射された前記液体燃料を付着させて液膜を形成し、
前記第1筒部は、前記軸線に沿って前記燃焼室に近づくにつれて、流路断面積が拡大せず、かつ前記第1筒部の前記内周面の前記軸線に直交する断面における濡れ縁長さが長くなるように形成されている燃料ノズル。
【請求項2】
前記第1筒部の前記内周面は、前記軸線回りの周方向に沿って前記軸線からの距離の増加と減少を周期的に繰り返す第1凹凸形状を有し、
前記第1凹凸形状は、前記第1筒部を流通する燃焼用空気に前記軸線に対して第1旋回角を付与する形状である請求項1に記載の燃料ノズル。
【請求項3】
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1筒部の外周側に配置され、前記第1筒部との間に燃焼用空気を流通させる第2流路を形成する第2筒部を備え、
前記第1筒部の外周面は、前記周方向に沿って前記軸線からの距離の増加と減少を周期的に繰り返す第2凹凸形状を有し、
前記第2凹凸形状は、前記第2流路を流通する燃焼用空気に前記軸線に対して第2旋回角を付与する形状である請求項2に記載の燃料ノズル。
【請求項4】
前記第1筒部の前記燃焼室側の先端部において、前記第1旋回角と前記第2旋回角とが異なるように前記第1凹凸形状および前記第2凹凸形状が形成されている請求項3に記載の燃料ノズル。
【請求項5】
前記第1凹凸形状は、前記周方向に前記軸線回りを1周する間に3以上の前記距離の増加と減少の周期数を有する請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の燃料ノズル。
【請求項6】
前記第1凹凸形状は、前記軸線に沿って前記燃焼室に近づくにつれて、前記周期数が漸次増加するように形成されている請求項5に記載の燃料ノズル。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料ノズルを備える燃焼器と、
前記燃焼器が液体燃料を燃焼させることにより生成された燃焼ガスにより駆動されるタービンと、を備えるガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料ノズルおよびガスタービンエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機用エンジンの燃焼器に用いられる燃料ノズルとして、高速の気流を用いて液体燃料を微粒化させるエアブラスト式が主流となっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ノズルの先端に周方向の複数箇所に隙間が形成されたリップエクステンダーを設け、薄膜状の燃料と隙間から流入する空気とを混合させることにより液体燃料の微粒化を促進することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10317083号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の航空機用エンジンでは、NOx(窒素酸化物)に代表される有害排出物に対して厳しい規制が設けられている。燃料ノズルにおける液体燃料の微粒化が不十分な場合、燃焼器の内部における燃料濃度が不均一となって局所的に高温の燃焼ガスが生じ、NOx排出量が増加してしまう。そのため、更なる液体燃料の微粒化の促進が求められている。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、液体燃料の微粒化を促進してNOx等の有害排出物の生成を抑制することが可能な燃料ノズルおよびそれを備えたガスタービンエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る燃料ノズルは、軸線に沿って配置されるとともに液体燃料を噴射孔から燃焼室に向けて噴射するノズル部と、前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記ノズル部の外周側に配置され、前記ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる第1流路を形成する第1筒部と、前記第1流路に配置されるとともに前記第1流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する第1旋回器と、を備え、前記第1筒部の内周面は、前記ノズル部から噴射された前記液体燃料を付着させて液膜を形成し、前記第1筒部は、前記軸線に沿って前記燃焼室に近づくにつれて、流路断面積が拡大せず、かつ前記第1筒部の前記内周面の前記軸線に直交する断面における濡れ縁長さが長くなるように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、液体燃料の微粒化を促進してNOx等の有害排出物の生成を抑制することが可能な燃料ノズルおよびそれを備えたガスタービンエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る燃料ノズルを示す縦断面図である。
図2図1に示す内側筒部の先端側を軸線に沿って燃焼室側からみた平面図である。
図3図2に示す内側筒部の先端側の斜視図である。
図4図1の位置X1における内側筒部および外側筒部の断面図である。
図5図1の位置X0における内側筒部の断面図である。
図6図2に示す内側筒部の先端側のA-A矢視断面図である。
図7図2に示す内側筒部の先端側の正面図である。
図8】本開示の第2実施形態の内側筒部の先端側を軸線に沿って燃焼室側からみた平面図である。
図9】本開示の第3実施形態の内側筒部の先端側を軸線に沿って燃焼室側からみた平面図である。
図10】本開示の第4実施形態の内側筒部を、内周面を上方にして展開した展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る燃料ノズル100について、図面を参照して説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る燃料ノズル100を示す縦断面図である。
【0010】
本実施形態の燃料ノズル100は、例えば、航空機等に用いられるガスタービンエンジンの燃焼器が備えるものである。本実施形態の燃料ノズル100が備えられた燃焼器を有するガスタービンエンジンは、液体燃料を燃焼させることにより燃焼器で生成された燃焼ガスにより駆動されるタービンと、タービンの駆動力によって駆動される駆動軸を備える。タービンから駆動軸に伝達された駆動力は、駆動軸に連結されたプロペラ等を回転させる動力として用いられる。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の燃料ノズル100は、ノズル部10と、内側筒部(第1筒部)20と、内側旋回器(第1旋回器)30と、外側筒部(第2筒部)40と、外側旋回器(第2旋回器)50と、を備える。
【0012】
ノズル部10は、軸線Xに沿って配置されるとともに液体燃料供給源(図示略)から供給される液体燃料を噴射孔11から内側筒部20を介して燃焼室CCへ向けて噴射する燃料ノズルである。ノズル部10は、軸線Xと交差する噴射方向IDに沿って内側筒部20の内周面20aに向けて液体燃料を噴射する。
【0013】
内側筒部20は、軸線Xに沿って筒状に形成されるとともにノズル部10の外周側に同軸に配置される筒体である。内側筒部20は、ノズル部10との間に燃焼用空気CAを流通させる内側流路ICを形成する。内側流路ICは、図1に示すX0に到達するまでは軸線X回りに環状に形成され、X0からX2に到達するまでは錐台状に形成される流路である。内側流路ICには、燃焼用空気供給源(図示略)から燃焼用空気CAが供給される。
【0014】
内側旋回器30は、内側流路ICに配置されるとともに内側流路ICを流通する燃焼用空気CAが軸線X回りに旋回する旋回力を付与する装置である。内側旋回器30は、軸線X回りの周方向に環状に配置されている。
【0015】
外側筒部40は、軸線Xに沿って筒状に形成されるとともに内側筒部20の外周側に同軸に配置される筒体である。内側筒部20は、内側筒部20との間に燃焼用空気CAを流通させる外側流路OCを形成する。外側流路OCは、軸線X回りに環状に形成される流路である。外側流路OCには、燃焼用空気供給源(図示略)から燃焼用空気CAが供給される。
【0016】
外側旋回器50は、外側流路OCに配置されるとともに外側流路OCを流通する燃焼用空気CAが軸線X回りに旋回する旋回力を付与する装置である。外側旋回器50は、軸線X回りの周方向に環状に配置されている。
【0017】
ここで、内側筒部20により液膜LFを形成して燃焼室CCに吐出される液体燃料の微粒化を促進する構成について説明する。図1に示すように、内側筒部20の内周面20aは、ノズル部10から噴射された液体燃料の一部を付着させて液膜LFを形成する。内周面20aに形成される液膜LFは、内側筒部20の燃焼室CCに面する先端部20bに向けて移動しながら漸次薄くなる。先端部20bから燃焼室CCへ吐出された液膜LFは、内側流路ICから吐出される燃焼用空気CAと外側流路OCから吐出される燃焼用空気CAとのせん断作用によって微粒化される。
【0018】
先端部20bから燃焼室CCへ吐出されて微粒化して液滴となった液体燃料は、先端部20bから遠ざかるにつれて更に液滴のサイズが小さくなり蒸発を開始する。蒸発した燃料は、燃焼用空気CAと混合して燃焼室CCを流通方向の下流側に向けて導かれる。
【0019】
次に、燃焼室CCに吐出される液体燃料の微粒化を促進するための内側筒部20の形状について説明する。図2は、図1に示す内側筒部20の先端側を軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた平面図である。図3は、図2に示す内側筒部の先端側の斜視図である。図2および図3に示すように、内側筒部20の内周面20aは、軸線X回りの周方向CDに沿って軸線Xからの距離が増加と減少を周期的に繰り返す凹凸形状(第1凹凸形状)を有する。また、内側筒部20の外周面20cは、軸線X回りの周方向CDに沿って軸線Xからの距離が増加と減少を周期的に繰り返す凹凸形状(第2凹凸形状)を有する。
【0020】
内側筒部20の先端部20bにおいて、内周面20aは、軸線Xを中心とした半径R2よりも軸線Xからの距離が長い凹部21と、軸線Xを中心とした半径R2よりも軸線Xからの距離が短い凸部22とを、周方向CDに沿って交互に配置した形状となっている。図2および図3において、谷部21aは、軸線Xからの距離が最も長くなる凹部21の位置を示す。頂部22aは、軸線Xからの距離が最も短くなる凸部22の位置を示す。
【0021】
図2および図3において、谷線VLは、内側筒部20の谷部21aの周方向CDにおける位置をプロットして形成された線である。本実施形態の内側筒部20は、略一定の板厚tを有するものであるため、内周面20aの形状と外周面20cの形状が一致したものとなる。そのため、図2および図3では、内周面20aに形成される谷線VLの位置を外周面20cに示している。谷線VLは、内側筒部20における軸線X方向の一が図1に示すX0からX1、X1からX2に進むにつれて、周方向CDに沿って移動するように形成される。
【0022】
図4は、図1の位置X1における内側筒部20および外側筒部40の断面図である。内側筒部20の位置X1における内周面20aは、軸線Xを中心とした半径R1よりも軸線Xからの距離が長い凹部21と、軸線Xを中心とした半径R1よりも軸線Xからの距離が短い凸部22とを、周方向CDに沿って交互に配置した形状となっている。図4において、谷部21aは、軸線Xからの距離が最も長くなる凹部21の位置を示す。頂部22aは、軸線Xからの距離が最も短くなる凸部22の位置を示す。
【0023】
図4に示す半径R1は、図2に示す半径R2よりも大きい。そのため、図1の位置X2で内側筒部20の内周面20aにより形成される内側流路ICの流路断面積は、図1の位置X1で内側筒部20の内周面20aにより形成される内側流路ICの流路断面積よりも小さくなる。また、図1の位置X2における内側筒部20の内周面20aの濡れ縁長さは、図1の位置X1における内側筒部20の内周面20aの濡れ縁長さよりも長くなる。ここで、濡れ縁長さは、内側筒部20の内周面20aの軸線Xに直交する断面における長さであり、内周面20aの周方向CDに沿った1周分の長さをいう。
【0024】
図5は、図1の位置X0における内側筒部20の断面図である。図5に示すように、軸線X上の位置X0における内周面20aは、軸線Xからの距離がR0で一定の円形となっている。図5に示す半径R0は、図4に示す半径R1よりも大きい。そのため、図1の位置X1で内側筒部20の内周面20aにより形成される内側流路ICの流路断面積は、図1の位置X0で内側筒部20の内周面20aにより形成される内側流路ICの流路断面積よりも小さくなる。また、図1の位置X1における内側筒部20の内周面20aの濡れ縁長さは、図1の位置X0における内側筒部20の内周面20aの濡れ縁長さよりも長くなる。
【0025】
以上のように、内側筒部20は、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて内側流路ICの流路断面積が小さくなり、かつ内側筒部20の内周面20aの軸線Xに直交する断面における濡れ縁長さが長くなるように形成されている。
【0026】
以上の説明において、半径R1,R2は、軸線Xを中心とした径方向において、谷部21aまでの距離と頂部22aまでの距離が等しい位置に設定されている。半径R1,R2の円から谷部21aまでの距離と、半径R1,R2の円から頂部22aまでの距離は等しく、この距離を振幅VAとする(図4参照)。振幅VAは、以下の式(1)を満たすように定めるのが望ましい。
0.15×(r-R)≦VA≦0.5×(r-R) (1)
ここで、rは、軸線Xに沿った各位置における外側筒部40の内周面40aから軸線Xまでの距離である。位置X1におけるrは、r1である。また、Rは、軸線Xを中心とした径方向において、谷部21aまでの距離と頂部22aまでの距離が等しい位置に設定された円の半径である。位置X1,X2におけるRは、R1,R2である。
【0027】
振幅VAを0.15×(r-R)以上とすることで、液体燃料の薄膜化を促進するための濡れ縁長さとして適切な長さを確保することができる。また、振幅VAを0.5×(r-R)以下とすることで、振幅VAが過度に大きくなって凹部21に液体燃料の液溜まりが発生することを抑制することができる。
【0028】
なお、以上の説明では、内側筒部20の内側流路ICは、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて流路断面積が小さくなるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、内側筒部20の内側流路ICは、軸線Xに沿った燃焼室CCからの距離によらずに一定の流路断面積となるように形成してもよい。すなわち、内側筒部20の内側流路ICは、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて流路断面積が拡大しないものとしてもよい。
【0029】
次に、内側筒部20の内周面20aに形成される凹凸形状により内側流路ICを流通する燃焼用空気CAに第1旋回角αを付与することについて図面を参照して説明する。図6は、図2に示す内側筒部20の先端側のA-A矢視断面図である。図6に示すように、内側筒部20の内周面20aに形成される谷線VLの接線方向TDと軸線Xが延びる方向とがなす角が第1旋回角αである。内側筒部20の先端側に流入する燃焼用空気CAは、接線方向TDに沿って導かれ、第1旋回角αが付与される。
【0030】
図6に示す例では、軸線Xに沿った位置X0における第1旋回角αはα0であり、軸線Xに沿った位置X1における第1旋回角αはα1であり、軸線Xに沿った位置X2における第1旋回角αはα2である。例えば、第1旋回角αは、α0<α1<α2の関係となる。α0の一例は70度であり、α2の一例は50度である。このように、内側筒部20の内周面20aに形成される凹凸形状は、内側流路ICを流通する燃焼用空気CAに第1旋回角αを付与する形状となっている。
【0031】
図6に示すように、第1旋回角αは、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて、連続的に漸次変化するように規定されている。そのため、第1旋回角αを急激に変化させる場合や、段階的に変化させる場合に比べ、内側流路ICで圧力損失が発生することや、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAの剥離が生ずることを抑制することができる。
【0032】
次に、内側筒部20の外周面20cに形成される凹凸形状により外側流路OCを流通する燃焼用空気CAに第2旋回角βを付与することについて図面を参照して説明する。図7は、図2に示す内側筒部20の先端側の正面図である。図7に示すように、内側筒部20の外周面20cに形成される谷線VLの接線方向TDと軸線Xが延びる方向とがなす角が第2旋回角βである。外側流路OCに流入する燃焼用空気CAは、接線方向TDに沿って導かれ、第2旋回角βが付与される。
【0033】
図7に示す例では、軸線Xに沿った位置X0における第2旋回角βはβ0であり、軸線Xに沿った位置X1における第2旋回角βはβ1であり、軸線Xに沿った位置X2における第2旋回角βはβ2である。例えば、第2旋回角βは、β0<β1<β2の関係となる。β0の一例は70度であり、β2の一例は50度である。このように、内側筒部20の外周面20cに形成される凹凸形状は、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAに第2旋回角βを付与する形状となっている。
【0034】
図7に示すように、第2旋回角βは、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて、連続的に漸次変化するように規定されている。そのため、第2旋回角βを急激に変化させる場合や、段階的に変化させる場合に比べ、外側流路OCで圧力損失が発生することや、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAの剥離が生ずることを抑制することができる。
【0035】
本実施形態の内側筒部20は、略一定の板厚tを有するものであるため、内周面20aの形状と外周面20cの形状が一致したものとなる。そのため、第1旋回角αと第2旋回角βは、軸線X方向の各位置で同一の角度となる。
【0036】
本実施形態の内側筒部20の内周面20aの凹凸形状は、軸線X回りの周方向CDに沿って軸線Xからの距離が増加と減少を周期的に繰り返す形状である。このような凹凸形状とすることで、液膜LFの面積を増大させることができる。内側筒部20を流通する燃焼用空気CAが液膜LFに外力を加えることで界面形状を変化させ、燃料の微粒化を促進する。微粒化された燃料が燃焼用空気CAと混合することで、燃焼室CC内の混合気の生成を適切に促進することができる。
【0037】
同様に、本実施形態の内側筒部20の外周面20cの凹凸形状は、軸線X回りの周方向CDに沿って軸線Xからの距離が増加と減少を周期的に繰り返す形状である。このような凹凸形状に沿って燃焼用空気CAを軸線Xに漸次近づく方向に導くことで、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAが軸線Xに近づく方向に向けて燃焼室CCへ吐出されるため、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気CAとの混合を適切に促進することができる。
【0038】
特に、内周面20aの凹凸形状により旋回力が付与されて軸線Xから遠ざかる方向に向けて内側流路ICから燃焼室CCへ吐出される燃焼用空気CAと、軸線Xに近づく方向に向けて外側流路OCから燃焼室CCへ吐出される燃焼用空気CAとの混合により、液体燃料の微粒化を良好に促進することができる。
【0039】
内周面20aの凹凸形状の周期数および外周面20cの凹凸形状の周期数は、3以上かつ20以下とするのが好ましい。ここで、周期数とは、周方向CDに軸線回りを1周する間に凹凸形状の増加と減少を繰り返す回数である。周期数を3以上とすることで、内周面20aの軸線Xに直交する断面における濡れ縁長さを十分に確保して薄膜化した液体燃料の微粒化を促進することができる。また、周期数を20以下とすることで、凹凸形状の周方向CDの長さが過度に短くなって凹部21に液体燃料の液溜まりが発生することを抑制することができる。
【0040】
以上で説明した本実施形態の燃料ノズル100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の燃料ノズル(100)によれば、ノズル部10の噴射孔11から燃焼室CCに設けて噴射された液体燃料の一部は、内側旋回器30により旋回力が付与された燃焼用空気CAと混合して旋回し、内側筒部20の内周面20aに付着する。軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて内側筒部20の内周面20aの軸線Xに直交する断面における濡れ縁長さが長くなるため、内側筒部20の内周面20aに付着した液体燃料が燃焼室CCへ近づくにつれて漸次薄膜化し、内側筒部20の先端部20bから吐出される際に外側流路OCから吐出される燃焼用空気CAと合流する。
【0041】
また、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて内側筒部20の流路断面積が拡大しないため、燃焼用空気CAと液体燃料とが混合した燃焼用空気CAの流速を低下させることなく、内側筒部20の先端部から燃焼用空気CAを吐出することができる。そして、外側流路OCから吐出される燃焼用空気CAには外側旋回器50により旋回力が付与されているため、外側流路OCから吐出される燃焼用空気CAと、内側流路ICから吐出される液体燃料が混合した燃焼用空気CAとの間に生じるせん断力の作用により、薄膜化した液体燃料の微粒化を促進することができる。
【0042】
本実施形態の燃料ノズル100によれば、内側筒部20を流通する燃焼用空気CAが内周面20aの凹凸形状により第1旋回角αが付与された状態で燃焼室CCへ吐出されるため、内周面20aに凹凸形状を設けない場合に比べ、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気との混合を促進することができる。
【0043】
本実施形態の燃料ノズル100によれば、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAが外周面20cの凹凸形状により第2旋回角βが付与された状態で燃焼室CCへ吐出されるため、外周面20cに凹凸形状を設けない場合に比べ、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAと内側流路ICを流通する燃焼用空気CAとが混合する際に作用するせん断力が大きくなり、液体燃料の微粒化を良好に促進することができる。
【0044】
本実施形態の燃料ノズル100によれば、内側筒部20を流通する燃焼用空気が、3以上の周期数を有する凹凸形状により旋回角が付与された状態で燃焼室CCへ吐出されるため、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気CAとの混合を適切に促進することができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る燃料ノズル100Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0046】
第1実施形態の燃料ノズル100が備える内側筒部20は、略一定の板厚tを有するものであり、内周面20aの形状と外周面20cの形状が一致し、第1旋回角αと第2旋回角βが軸線X方向の各位置で同一の角度となるものであった。それに対し、本実施形態の燃料ノズル100Aが備える内側筒部20Aは、内側流路ICを形成する第1筒部20A1と、外側流路OCを形成する第2筒部20A2とをそれぞれ別の部材により形成するものである。
【0047】
図8は、本開示の第2実施形態の内側筒部20Aの先端側を軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた平面図である。図8に示すように、本実施形態の燃料ノズル100Aの内側筒部20Aは、第1筒部20A1と、第2筒部20A2と、を有する。第1筒部20A1の構造は、第1実施形態の内側筒部20の構造と同一であるため、以下での説明を省略する。ただし、第1実施形態の内側筒部20の外周面20cは、外側流路OCを形成するものであったが、本実施形態の第1筒部20A1の外周面は外側流路OCを形成しない。
【0048】
本実施形態の燃料ノズル100Aの内側筒部20Aは、第1筒部20A1の外側に第2筒部20A2が配置される。第2筒部20A2は、軸線X上の位置X0から位置X2に向けて軸線Xから内周面20A2aまで距離がR3からR4まで漸次減少する円錐台状に形成される筒体である。第2筒部20A2は、外周面20A2bにより、外側流路OCを形成する。
【0049】
軸線Xに直交する径方向において、第1筒部20A1の内周面20A1aから第2筒部20A2の外周面20A2bまでの距離をtLとした場合、第1筒部20A1の頂部22aから谷部21aまでの距離VA2は、以下の式(2)を満たすように設定される。
0.15×tL≦VA2≦0.85×tL (2)
【0050】
軸線X上の位置X0において、VA2=0.15×tLとなる。また、軸線X上の位置X2において、VA2=0.85×tLとなる。距離VA2は、軸線Xに沿った位置が位置X0から位置X2に向かって漸次増大するように設定される。
【0051】
本実施形態の燃料ノズル100Aが備える内側筒部20Aは、内側流路ICを形成する第1筒部20A1と、外側流路OCを形成する第2筒部20A2とをそれぞれ別の部材により形成するものであるため、外側流路OCが第1筒部20A1の外周面ではなく第2筒部20A2の外周面20A2bにより形成される。第1筒部20A1の内周面20A1aの形状と第2筒部20A2の外周面20A2bの形状が一致しない。
【0052】
そのため、第1旋回角αと第2旋回角βが軸線X方向の各位置で同一の角度となる第1実施形態の内側筒部20に比べ、外側流路OCを流通する燃焼用空気CAと内側流路ICを流通する燃焼用空気CAとが混合する際に作用するせん断力が大きくなる。そのため、液体燃料の微粒化を良好に促進することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、内側流路ICを形成する第1筒部20A1と、外側流路OCを形成する第2筒部20A2とをそれぞれ別の部材により形成するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1筒部20A1と、第2筒部20A2とを一体の部材として形成してもよい。また、例えば、第1筒部20A1と第2筒部20A2との間の隙間を封止した中実の部材により第1筒部20A1と第2筒部20A2とを一体に形成してもよい。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る燃料ノズル100Bについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第2実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第2実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0055】
第2実施形態の燃料ノズル100の内側筒部20Aは、第1筒部20A1と円錐台状の第2筒部20A2を備えるものであった。それに対して、本実施形態の内側筒部20Bは、第1筒部20B1と円錐台状の第2筒部20B2に加え、更に第3筒部20B3を備える。
【0056】
図9は、本開示の第3実施形態の内側筒部20Bの先端側を軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた平面図である。図9に示すように、本実施形態の燃料ノズル100Bの内側筒部20Bは、第1筒部20B1と、第2筒部20B2と、第3筒部20B3と、を有する。第1筒部20B1と、第2筒部20B2は、それぞれ第2実施形態の第1筒部20A1と、第2筒部20A2と同一の構造であるため、以下での説明を省略する。
【0057】
本開示の第3実施形態の内側筒部20Bは、第2筒部20B2の外側に更に第3筒部20B3が設けられている。第3筒部20B3の外周面20B3aは、軸線X回りの周方向CDに沿って軸線Xからの距離が増加と減少を周期的に繰り返す凹凸形状(第2凹凸形状)を有する。外周面20B3aは、凸部20B3a1と、軸線Xからの距離が凸部20B3a1よりも短い凹部20B3a2とを周方向CDに沿って交互に有する。
【0058】
図9に示すように、第1筒部20B1の凹部21の位置と第3筒部20B3の凸部20B3a1の周方向CDの位置(位相)、第1筒部20B1の凸部22の位置と第3筒部20B3の凹部20B3a2の周方向CDの位置(位相)とが、それぞれ異なっている。このようにすることで、第1筒部20B1に沿って内側流路ICから燃焼室CCへ流出する燃焼用空気CAの周方向CDに分散する主流の位置と、第3筒部20B3に沿って外側流路OCから燃焼室CCへ流出する燃焼用空気CAの周方向CDに分散する主流の位置とを異ならせることができる。これにより、内側流路ICから燃焼室CCへ流出する燃焼用空気CAと外側流路OCから燃焼室CCへ流出する燃焼用空気CAとの間に作用するせん断力を良好に高めることができる。
【0059】
本実施形態では、第1筒部20B1の内周面に形成される凹凸形状により内側流路ICを流通する燃焼用空気CAに付与される第1旋回角α(図6参照)と、第3筒部20B3の外周面20B3aに形成される凹凸形状により外側流路OCを流通する燃焼用空気CAに付与される第2旋回角β(図7参照)とを、軸線X上の各位置で異ならせるようにしてもよい。
【0060】
また、第1旋回角αと第2旋回角βとを、少なくとも燃焼室CCへの吐出位置(内側筒部20Bの燃焼室CC側の先端部)で異ならせるようにしてもよい。第1旋回角αと第2旋回角βとを、燃焼室CCへの吐出位置で異ならせることで、内側流路ICから燃焼室CCへ流出する燃焼用空気CAと外側流路OCから燃焼室CCへ流出する燃焼用空気CAとの間に作用するせん断力を良好に高めることができる。
【0061】
図9に示す内側筒部20Bは、第1筒部20B1の凹凸形状の周方向CDの周期数(5)と、第3筒部20B3の凹凸形状の周方向CDの周期数(5)を一致させるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1筒部20B1の凹凸形状の周方向CDの周期数よりも、第3筒部20B3の凹凸形状の周方向CDの周期数を大きくするなど、周期数を異ならせてもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、第1筒部20B1と第2筒部20B2と第3筒部20B3とをそれぞれ独立した部材として形成するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1筒部20B1と、第2筒部20B2と、第3筒部20B3とを一体の部材として形成してもよい。また、例えば、第1筒部20B1と第3筒部20B3との間の隙間を封止した中実の部材により第1筒部20B1と第3筒部20B3とを一体に形成してもよい。
【0063】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係る燃料ノズルについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0064】
第1実施形態の内側筒部20は、内側筒部20の内周面20aおよび外周面20cに形成される凹凸形状の周方向CDの周期数を、軸線Xに沿った各位置において同一とするものであった。それに対して、本実施形態の内側筒部20Cは、内側筒部20Cの内周面および外周面に形成される凹凸形状の周方向CDの周期数を、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて増加させるものである。
【0065】
図10は、本実施形態の内側筒部20Cを、内周面20Caを上方にして展開した展開図である。内側筒部20Cは、周方向CDの一端部20C1と他端部20C2とが同一位置となって筒体を形成する。
【0066】
図10に示すように、軸線Xに沿った位置X0において、内側筒部20Cの周方向CDに沿って凹部21Cと凸部22Cとが、周期数4で交互に配置されている。また、軸線Xに沿った位置X1において、内側筒部20Cの周方向CDに沿って凹部21Cと凸部22Cとが、周期数6で交互に配置されている。また、軸線Xに沿った位置X2において、内側筒部20Cの周方向CDに沿って凹部21Cと凸部22Cとが、周期数12で交互に配置されている。
【0067】
以上のように、本実施形態の内側筒部20Cは、内側筒部20Cの内周面20Caおよび外周面に形成される凹凸形状の周方向CDの周期数を、軸線Xに沿って燃焼室CCに近づくにつれて増加させる形状となっている。また、内側筒部20Cの凹凸形状は、軸線Xに沿って周方向CDの周期数を増加させる際に滑らかに位相数の切り替えが行われるように、図10に示す曲面形状を有している。
【0068】
本実施形態の燃料ノズルによれば、内側筒部20Cの凹凸形状の周期数が燃焼室CCに近づくにつれて漸次増加するように形成されているため、内側流路ICを流通する燃焼用空気CAの周方向CDの分割数が燃焼室CCに近づくにつれて漸次増加し、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気との混合を更に促進することができる。
【0069】
以上説明した各実施形態に記載の燃料ノズルは、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る燃料ノズル(100)は、軸線(X)に沿って配置されるとともに液体燃料を噴射孔(11)から燃焼室(CC)に向けて噴射するノズル部(10)と、前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記ノズル部の外周側に配置され、前記ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる第1流路(IC)を形成する第1筒部(20)と、前記第1流路に配置されるとともに前記第1流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する第1旋回器(30)と、を備え、前記第1筒部の内周面(20a)は、前記ノズル部から噴射された前記液体燃料を付着させて液膜を形成し、前記第1筒部は、前記軸線に沿って前記燃焼室に近づくにつれて、流路断面積が拡大せず、かつ前記第1筒部の前記内周面の前記軸線に直交する断面における濡れ縁長さが長くなるように形成されている。
【0070】
本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、ノズル部の噴射孔から燃焼室に設けて噴射された液体燃料の一部は、第1旋回器により旋回力が付与された燃焼用空気と混合して旋回し、第1筒部の内周面に付着する。軸線に沿って燃焼室に近づくにつれて第1筒部の内周面の軸線に直交する断面における濡れ縁長さが長くなるため、第1筒部の内周面に付着した液体燃料が燃焼室へ近づくにつれて漸次薄膜化する。
【0071】
また、軸線に沿って燃焼室に近づくにつれて第1筒部の流路断面積が拡大しないため、燃焼用空気と液体燃料とが混合した混合気の流速を低下させることなく、第1筒部の先端部から混合気を吐出することができる。そして、第1流路から吐出される燃焼用空気生じさせるせん断力の作用により、薄膜化した液体燃料の微粒化を促進することができる。
【0072】
本開示の第2態様に係る燃料ノズル(100)は、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1筒部の前記内周面は、前記軸線回りの周方向に沿って前記軸線からの距離の増加と減少を周期的に繰り返す第1凹凸形状を有し、前記第1凹凸形状は、前記第1筒部を流通する燃焼用空気に前記軸線に対して第1旋回角(θ1)を付与する形状である。
本開示の第2態様に係る燃料ノズルによれば、第1筒部を流通する燃焼用空気が第1凹凸形状により第1旋回角が付与された状態で燃焼室へ吐出されるため、内周面に第1凹凸形状を設けない場合に比べ、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気との混合を促進することができる。
【0073】
本開示の第3態様に係る燃料ノズル(100)は、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1筒部の外周側に配置され、前記第1筒部との間に燃焼用空気を流通させる第2流路(OC)を形成する第2筒部(40)を備え、前記第1筒部の外周面は、前記周方向に沿って前記軸線からの距離の増加と減少を周期的に繰り返す第2凹凸形状を有し、前記第2凹凸形状は、前記第2流路を流通する燃焼用空気に前記軸線に対して第2旋回角(θ2)を付与する形状である。
本開示の第3態様に係る燃料ノズルによれば、第2流路を流通する燃焼用空気が第2凹凸形状により第2旋回角が付与された状態で燃焼室へ吐出されるため、第2凹凸形状を設けない場合に比べ、第2流路を流通する燃焼用空気と第1流路を流通する燃焼用空気とが混合する際に作用するせん断力が大きくなり、液体燃料の微粒化を良好に促進することができる。
【0074】
本開示の第4態様に係る燃料ノズル(100)は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1筒部の前記燃焼室側の先端部において、前記第1旋回角と前記第2旋回角とが異なるように前記第1凹凸形状および第2凹凸形状が形成されている。
本開示の第4態様に係る燃料ノズルによれば、第1筒部の燃焼室側の先端部において第1旋回角と第2旋回角とが異なるため、第1旋回角と第2旋回角とが同一である場合に比べ、外側流路を流通する燃焼用空気と第1流路を流通する燃焼用空気とが混合する際に作用するせん断力が大きくなり、液体燃料の微粒化を良好に促進することができる。
【0075】
本開示の第5態様に係る燃料ノズル(100)は、第2態様から第4態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1凹凸形状は、前記周方向に前記軸線回りを1周する間に3以上の前記距離の増加と減少の周期数を有する。
本開示の第5態様に係る燃料ノズルによれば、第1筒部を流通する燃焼用空気が、3以上の周期数を有する第1凹凸形状により旋回角が付与された状態で燃焼室へ吐出されるため、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気との混合を適切に促進することができる。
【0076】
本開示の第6態様に係る燃料ノズル(100)は、第5態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1凹凸形状は、前記軸線に沿って前記燃焼室に近づくにつれて、前記周期数が漸次増加するように形成されている。
本開示の第6態様に係る燃料ノズルによれば、第1凹凸形状の周期数が燃焼室に近づくにつれて漸次増加するように形成されているため、内側流路を流通する燃焼用空気の周方向の分割数が燃焼室に近づくにつれて漸次増加し、薄膜化した液体燃料と燃焼用空気との混合を更に促進することができる。
【0077】
本開示の第7態様に係るガスタービンエンジンは、第1態様から第6態様にいずれかの燃料ノズルを備える燃焼器と、燃焼器が液体燃料を燃焼させることにより生成された燃焼ガスにより駆動されるタービンと、を備える。
本開示の第7態様に係るガスタービンエンジンによれば、液体燃料の微粒化を促進してNOx等の有害排出物の生成を抑制することが可能な燃料ノズルを備えたガスタービンエンジンを提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 ノズル部
11 噴射孔
12 周期数
20,20A,20B,20C 内側筒部
20a,20A1a,20A2a,20Ca,40a 内周面
20c,20A2b,20B3a 外周面
20b 先端部
20A1,20B1 第1筒部
20A2,20B2 第2筒部
20B3 第3筒部
20B3a1,22,22C 凸部
20B3a2,21,21C 凹部
20C1 一端部
20C2 他端部
21a 谷部
22a 頂部
30 内側旋回器
40 外側筒部
50 外側旋回器
100,100A,100B 燃料ノズル
CA 燃焼用空気
CC 燃焼室
CD 周方向
IC 内側流路
LF 液膜
OC 外側流路
R0,R1,R2 半径
TD 接線方向
VA 振幅
VA2 距離
VL 谷線
X 軸線
t 板厚
α 第1旋回角
β 第2旋回角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10