(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079004
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】操舵装置、制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04817 20220101AFI20240604BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240604BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240604BHJP
【FI】
G06F3/04817
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191682
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 治彦
(72)【発明者】
【氏名】長倉 寿典
(72)【発明者】
【氏名】名和田 毅
【テーマコード(参考)】
3D344
5E555
【Fターム(参考)】
3D344AA26
3D344AA30
3D344AC28
3D344AD01
3D344AD05
5E555AA16
5E555AA63
5E555BA02
5E555BA23
5E555BA24
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA45
5E555CB74
5E555CB79
5E555CB82
5E555CC05
5E555DA02
5E555DB03
5E555DB11
5E555DC05
5E555EA03
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高める。
【解決手段】操舵装置10は、移動体に搭載される。操舵部材11は、移動体の進行方向を変更する。表示装置12は、操舵部材11に設置されている。制御装置13は、移動体の目的地に位置する被制御装置30の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、表示装置12に表示させる。制御装置13は、移動体が目的地に到着するまでの所要時間と被制御装置30の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、GUIを表示装置12に表示させるタイミングを変更する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される操舵装置であって、
前記移動体の進行方向を変更する操舵部材と、
前記操舵部材に設置されている表示装置と、
前記移動体の目的地に位置する被制御装置の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、前記表示装置に表示させる制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、前記移動体が前記目的地に到着するまでの所要時間と前記被制御装置の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、前記GUIを前記表示装置に表示させるタイミングを変更する、
操舵装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記目的地が設定されていない場合、前記移動体の動作履歴情報に基づいて前記目的地を予測する、
請求項1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記指示を受け付けるインタフェースを兼ねる、
請求項1または2に記載の操舵装置。
【請求項4】
移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体が目的地に到着するまでの所要時間を示す情報を受け付けるインタフェースと、
前記目的地に位置する被制御装置の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、前記移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記情報と前記被制御装置の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、前記GUIを前記表示装置に表示させるタイミングを変更する、
制御装置。
【請求項5】
制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
前記制御装置が搭載された移動体の目的地に位置する被制御装置の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、当該移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させ、
前記移動体が目的地に到着するまでの所要時間を示す情報を受け付け、
前記情報と前記被制御装置の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、前記GUIを前記表示装置に表示させるタイミングを変更する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に搭載される操舵装置に関連する。本開示は、当該移動体に搭載される制御装置、および当該制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例である車両に搭載される操舵装置を開示している。当該操舵装置においては、車両の進行方向を変更する操舵部材に表示装置が設置されている。当該表示装置は、ユーザによる指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/179361号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される一態様例は、移動体に搭載される操舵装置であって、
前記移動体の進行方向を変更する操舵部材と、
前記操舵部材に設置されている表示装置と、
前記移動体の目的地に位置する被制御装置の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、前記表示装置に表示させる制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、前記移動体が前記目的地に到着するまでの所要時間と前記被制御装置の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、前記GUIを前記表示装置に表示させるタイミングを変更する。
【0006】
本開示により提供される一態様例は、移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体が目的地に到着するまでの所要時間を示す情報を受け付けるインタフェースと、
前記目的地に位置する被制御装置の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、前記移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記情報と前記被制御装置の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、前記GUIを前記表示装置に表示させるタイミングを変更する。
【0007】
本開示により提供される一態様例は、移動体に搭載される制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
前記制御装置が搭載された移動体の目的地に位置する被制御装置の動作を遠隔制御する指示を受け付けるGUIを、当該移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させ、
前記移動体が目的地に到着するまでの所要時間を示す情報を受け付け、
前記情報と前記被制御装置の動作の種別の少なくとも一方に基づいて、前記GUIを前記表示装置に表示させるタイミングを変更する。
【0008】
目的地が同じであっても、当該目的地に到着するまでの状況は移動の度に変化しうる。例えば、交通渋滞に巻き込まれたり、途中で買い物をしたり、通常とは異なる経路が選択されたりする場合、目的地に到着するまでの所要時間は変化しうる。上記の各態様例に係る構成によれば、遠隔制御のための指示を受け付けるGUIは移動体が目的地に到着するまでの所要時間に基づいて表示装置に表示されるので、表示がなされる時点において移動体が位置する地点は、都度変化しうる。これにより、目的地までの距離に基づいて一律的に問合せがなされる構成と比較すると、より柔軟に移動状況の変化に対応しつつ、適切なタイミングでユーザに被制御装置の遠隔制御を行なわせることができる。加えて、遠隔制御に供される被制御装置の動作の種別によってもGUIが表示されるタイミングが変更されるので、当該被制御装置についてより適切なタイミングでユーザに遠隔制御を行なわせることができる。したがって、ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る操舵装置が搭載される車両を例示している。
【
図3】
図1の表示装置に表示されるGUIの一例を示している。
【
図4】
図1の表示装置に表示されるGUIの別例を示している。
【
図5】
図2の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図6】
図2の制御装置により実行される処理の流れの別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。
【0011】
図1は、一実施形態に係る操舵装置10が搭載される車両20の車室を例示している。操舵装置10は、車両20の進行方向を変更するための操舵部材11を備えている。車両20は、移動体の一例である。
【0012】
操舵装置10は、表示装置12を備えている。表示装置12は、操舵部材11に設置されている。本実施形態例においては、表示装置12は、様々な画像を表示しうる汎用の表示装置である。
【0013】
図2に例示されるように、表示装置12は、ユーザインタフェース121を備えている。本実施形態例において、表示装置12は、静電型あるいは感圧型のタッチパネルディスプレイとして構成されている。この場合、ユーザインタフェース121は、表示装置12に表示されるGUIとして実現される。ユーザは、GUIに手指を接近または接触させることにより、指示を入力できる。したがって、表示装置12は、操舵部材11を把持したユーザの手指による指示入力を許容する位置に配置される。
【0014】
表示装置12は、ユーザインタフェース121に入力された指示に対応する応答信号RSを出力するように構成されている。応答信号RSは、表示装置12の仕様に応じてアナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0015】
操舵装置10は、制御装置13を備えている。制御装置13は、入力インタフェース131を備えている。入力インタフェース131は、応答信号RSを受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。応答信号RSがアナログ信号である場合、入力インタフェース131は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0016】
操舵装置10は、車両20に搭載されたナビゲーションシステム21と連携可能に構成されている。ナビゲーションシステム21は、地図情報の提示を通じて車両20の現在地、周辺の地理的情報、目的地までの経路、目的地までの所要時間などを案内するように構成されている。ナビゲーションシステム21は、ナビゲーション情報NVを出力するように構成されている。ナビゲーション情報NVは、車両20の現在地、車両20の目的地、目的地までの所要時間などに係る情報を含みうる。ナビゲーション情報NVは、ナビゲーションシステム21の仕様に応じて、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。
【0017】
入力インタフェース131は、ナビゲーションシステム21からナビゲーション情報NVも受け付け可能に構成されている。ナビゲーション情報NVがアナログデータの形態である場合、入力インタフェース131は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0018】
操舵装置10は、無線通信を通じて車両20から遠隔した場所にある被制御装置30の動作を制御可能に構成されている。被制御装置30の例としては、住宅や施設に設置されている照明機器、空調機器、通信機器、調理機器、温浴設備、門戸の施解錠装置、車庫扉の開閉装置などが挙げられる。
【0019】
遠隔制御に供される被制御装置30は、予め操舵装置10に登録される。被制御装置30に係る情報は、操舵装置10における不図示の記憶装置に格納される。当該情報の例としては、装置の種別、被制御動作の種別、被制御動作を完了するまでの所要時間などが挙げられる。記憶装置は、半導体メモリやハードディスク装置などにより実現されうる。
【0020】
制御装置13は、プロセッサ132と出力インタフェース133を備えている。プロセッサ132は、特定の被制御装置の遠隔制御を行なうことの要否についての問合せを生成するように構成されている。プロセッサ132は、生成された問合せをユーザに提示するための問合せ信号IQを、出力インタフェース133から出力するように構成されている。問合せのユーザへの提示は、不図示のスピーカを通じて出力される音声と、表示装置12に表示されるGUIとの組合せによりなされうる。当該GUIは、少なくとも当該問合せに対する応答を入力を受け付けるための画像を含む。
【0021】
例えば、空調機器の起動について問合せがなされる場合、問合せ信号IQは、「暖房を開始しますか?」という音声をスピーカに出力させるためのデータと、遠隔制御の要否を応答として受け付けるためのGUIを表示装置12に表示させるためのデータとを含む。
【0022】
問合せ信号IQは、スピーカおよび表示装置12の仕様に応じてアナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。出力インタフェース133は、ハードウェアインタフェースとして構成されている。問合せ信号IQがアナログ信号である場合、出力インタフェース133は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0023】
図3は、被制御装置30がユーザの自宅に設置されている場合に表示装置12に表示されるGUI(ユーザインタフェース121)を例示している。ユーザの自宅は、車両20の目的地の一例である。本例に係るGUIは、ボタン画像B1~B4を含んでいる。ボタン画像B1は、空調機器を作動させるために使用される。ボタン画像B2は、浴槽への給湯を開始させるために使用される。ボタン画像B3は、電話機の呼び出しを行なうために使用される。ボタン画像B4は、車庫扉を開放するために使用される。
【0024】
ユーザは、手指をいずれかのボタン画像に接触または接近させることにより、問合せに対して応答する。表示装置12は、当該応答に応じた応答信号RSを出力する。
【0025】
図2に例示されるように、被制御装置30の遠隔制御を希望する応答に対応する応答信号RSが入力インタフェース131により受け付けられると、プロセッサ132は、所望の動作を被制御装置30に行なわせる動作制御信号OCを出力インタフェース133から出力する。
【0026】
操舵装置10は、無線通信装置14を備えている。無線通信装置14は、無線通信を通じて被制御装置30へ動作制御信号OCを送信するように構成されている。無線通信は、LTE(Long Term Evolution)、4G、5Gなどの規格に準拠した技術が用いられうる。被制御装置30は、受信した動作制御信号OCにより規定された動作を実行する。
【0027】
なお、必ずしも表示装置12において
図3に例示された複数のボタン画像の全てが同時に表示されることを要しない。例えば、空調機器の起動について問合せがなされる場合、ボタン画像B1のみが表示されてもよい。あるいは、
図4に例示されるように、例えば「暖房を開始しますか?」という問合せに対して要否のいずれかを応答すればよいGUIが表示されてもよい。本例に係るGUIは、肯定的な応答を受け付けるためのボタン画像B5と、否定的な応答を受け付けるためのボタン画像B6とを含んでいる。
【0028】
制御装置13のプロセッサ132は、車両20が自宅に到着するまでの所要時間と被制御装置30の動作の種別に基づいて、問合せに係るGUIを表示装置12に表示させるタイミングを変更するように構成されている。
【0029】
図5を参照しつつ、上記のように構成されたプロセッサ132により実行される処理の流れについて具体的に説明する。車両20の目的地としてユーザの自宅が設定されている場合を例に挙げる。
【0030】
プロセッサ132は、車両20の目的地までの所要時間を取得する(STEP1)。所要時間の計算は、車両20の現在位置と交通情報などに基づいてナビゲーションシステム21により行なわれる。算出された所要時間を示す情報は、前述したナビゲーション情報NVに含まれる。プロセッサ132は、入力インタフェース131を通じてナビゲーション情報NVを取得する。
【0031】
続いて、プロセッサ132は、遠隔制御に供される被制御装置30の動作の種別を示す情報を取得する(STEP2)。当該情報は、プロセッサ132の内部メモリに格納されて参照に供されてもよいし、外部メモリから読み出されて入力インタフェース131を通じて取得されてもよい。STEP1に係る処理とSTEP2に係る処理は併行して行なわれてもよいし、逆の順序で行なわれてもよい。
【0032】
続いて、プロセッサ132は、被制御装置30の動作を遠隔制御することの要否を問い合わせるタイミングを決定する(STEP3)。具体的には、問合せを行なう時刻または地点が決定される。
【0033】
例えば、遠隔制御される被制御装置30の動作として浴槽への給湯開始が登録されている場合、プロセッサ132は、給湯開始の要否の問合せが自宅への到着の15分前になされるように設定を行なう。「15分前」という値は、ユーザによって登録の際に予め設定されてもよいし、プロセッサ132が動作種別に鑑みて自動的に設定してもよい。
【0034】
プロセッサ132は、ナビゲーション情報NVに基づいて取得した自宅までの所要時間と現在時刻に基づいて、給湯開始の要否がなされる時刻、または当該時刻において予想される車両20の到達地点を特定する。
【0035】
続いて、プロセッサ132は、問合せを行なうタイミングが到来したかを判断する(STEP4)。当該判断を行なうために、プロセッサ132は、現在時刻または車両20の現在位置を定期的に行なう。車両20の現在位置の取得は、ナビゲーションシステム21からナビゲーション情報NVを取得することによりなされうる。当該判断は、STEP3で特定された時刻と現在時刻が一致しているか、またはSTEP3で特定された車両20の予想到達地点と現在位置が一致しているかに基づいてなされる。タイミングが到来したと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP4においてNO)。
【0036】
タイミングが到来したと判断されると(STEP4においてYES)、プロセッサ132は、給湯開始の要否を問い合わせるGUIを表示装置12に表示させる問合せ信号IQを、出力インタフェース133から出力する(STEP5)。問合せ信号IQには、不図示のスピーカから「湯張りしますか?」という音声案内を出力させるためのデータも含まれる。
【0037】
結果として、「湯張りしますか?」という音声案内とともに、
図3または
図4に例示されたGUIが表示装置12に表示される。
図3の例のように複数の遠隔制御対象についてのボタン画像がGUIに含まれている場合、問合せに係るボタン画像(本例の場合はボタン画像B2)が強調表示されることが好ましい。
【0038】
給湯開始を希望するユーザは、
図3のGUIにおけるボタン画像B2、または
図4のGUIにおけるボタン画像B5に手指を接近または接触させる。これにより、表示装置12から肯定的応答を意味する応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。プロセッサ132は、自宅の温浴設備に給湯を開始させる動作制御信号OCを、出力インタフェース133から出力する。動作制御信号OCは、無線通信装置14により自宅の温浴設備へ送信される。
【0039】
給湯開始を希望しないユーザは、
図3のGUIを放置するか、または
図4のGUIにおけるボタン画像B6に手指を接近または接触させる。プロセッサ132は、応答信号RSの受け付けがないまま所定の時間が経過した場合、あるいは否定的応答を意味する応答信号が入力インタフェース131により受け付けられた場合、動作制御信号OCを出力することなく処理を終了する。
【0040】
その他の被制御装置30についても、以下に例示されるように問合せを行なうタイミングが設定され、当該タイミングにて応答を受け付けるためのGUIが表示装置12に表示される。
・ 帰路にあることを知らせるために電話機を呼び出すことを到着20分前に問合せ
・ 屋内を適温にするために空調機器を起動することを到着10分前に問合せ
・ 車庫の扉を開放させることを到着2分前に問合せ
【0041】
目的地が同じであっても、当該目的地に到着するまでの状況は移動の度に変化しうる。例えば、交通渋滞に巻き込まれたり、途中で買い物をしたり、通常とは異なる経路が選択されたりする場合、目的地に到着するまでの所要時間は変化しうる。本実施形態例に係る構成によれば、遠隔制御のための指示を受け付けるGUIは車両20が目的地に到着するまでの所要時間に基づいて表示装置12に表示されるので、表示がなされる時点において車両20が位置する地点は、都度変化しうる。これにより、目的地までの距離に基づいて一律的に問合せがなされる構成と比較すると、より柔軟に移動状況の変化に対応しつつ、適切なタイミングでユーザに被制御装置の遠隔制御を行なわせることができる。加えて、遠隔制御に供される被制御装置の動作の種別によってもGUIが表示されるタイミングが変更されるので、当該被制御装置についてより適切なタイミングでユーザに遠隔制御を行なわせることができる。したがって、ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置12を備えた操舵装置10の利便性を高めることができる。
【0042】
図6は、制御装置13のプロセッサ132により実行される処理の流れの別例を示している。
図5に例示された処理と同じ要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0043】
本例に係るプロセッサ132は、車両20の目的地が設定されていない場合、車両20の走行履歴情報に基づいて目的地を予測するように構成されている。
【0044】
具体的には、プロセッサ132は、車両20が始動されるとナビゲーションシステム21からナビゲーション情報NVを取得し、車両20の目的地が設定されているかを判断する(STEP11)。目的地が設定されていると判断されると(STEP11においてYES)、処理はSTEP1に進み、
図5を参照して説明した流れで処理が実行される。
【0045】
目的地が設定されていないと判断されると(STEP11においてNO)、プロセッサ132は、ナビゲーションシステム21に保持されている車両20の走行履歴情報をナビゲーション情報NVとして取得し、目的地を予測する(STEP12)。
【0046】
具体的には、現在時刻と同じ時間帯になされた走行の目的地として選択されていた地点が、今回の走行の目的地として予想される(朝方であれば「事務所」、夕刻であれば「自宅」など)。プロセッサ132は、予測された目的地が正しいかをユーザに確認するための問合せ信号IQを生成し、出力インタフェース133から出力する。当該問合せ信号IQは、「目的地は自宅でよろしいですか?」という音声をスピーカに出力させるためのデータと、その正誤を応答として受け付けるためのGUIを表示装置12に表示させるためのデータとを含む。例えば
図4に例示されるGUIが、表示装置12に表示される。
【0047】
予想された目的地が正しい場合、ユーザはGUIに対して肯定的な応答を行なう。これにより、肯定的な応答に対応する応答信号RSが表示装置12から出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
図2に例示されるように、プロセッサ132は、ナビゲーションシステム21に自宅を目的地として設定させる動作制御信号OCを、出力インタフェース133から出力する。ナビゲーションシステム21は、車両20が自宅に到着するまでの所要時間を算出する。以降の処理の流れは、
図5を参照して説明した例と同じである。
【0048】
予想された目的地が誤っている場合、ユーザはGUIに対して否定的な応答を行なう。これにより、否定的な応答に対応する応答信号RSが表示装置12から出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。この場合、プロセッサ132は、被制御装置30の遠隔制御の要否を問い合わせる機能自体を無効にしてもよいし、目的地の設定をユーザに促す報知を操舵装置10に行なわせてもよい。
【0049】
このような構成によれば、ユーザに過度な負担を強いることなく、適切なタイミングでユーザに被制御装置の遠隔制御を行なわせることが可能な状態へ円滑に移行できる。
【0050】
これまで説明した各種の機能を有する制御装置13のプロセッサ132は、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムがプリインストールされた記憶素子を備えたマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。この場合、当該記憶素子は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0051】
あるいは、プロセッサ132は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。この場合、当該汎用メモリは、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、制御装置13が接続可能な無線通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0052】
プロセッサ132は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによって実現されてもよい。
【0053】
これまで説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。例示された各構成は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や他の構成との組合せがされうる。
【0054】
上記の実施形態例においては、被制御装置30の動作を遠隔操作する指示を受け付けるGUIが表示されるタイミングは、車両20が目的地に到着するまでの所要時間と遠隔制御に供される被制御装置30の動作の種別とに基づいて決定されている。しかしながら、当該タイミングは、車両20が目的地に到着するまでの所要時間と遠隔制御に供される被制御装置30の動作の種別の少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。
【0055】
上記の実施形態例においては、車両20が目的地に到着するまでの所要時間と遠隔制御に供される被制御装置30の動作の種別とに基づいて、被制御装置30の動作を遠隔操作する指示を受け付けるGUIが表示されるタイミングが決定されている。しかしながら、車両20が特定の地点を出発してからの経過時間と遠隔制御に供される被制御装置30の動作の種別とに基づいて、被制御装置30の動作を遠隔操作する指示を受け付けるGUIが表示されるタイミングが決定されてもよい。当該GUIが受け付けうる指示の例としては、ユーザの自宅における照明機器、空調機器、温浴設備などの電源をオフする指示、施解錠装置に施錠を行なわせる指示などが挙げられる。
【0056】
上記の実施形態例においては、ナビゲーションシステム21は、車両20に搭載されている。しかしながら、上記のナビゲーション情報NVを提供可能であれば、ナビゲーションシステム21は、操舵装置10の無線通信装置14が接続可能な無線通信ネットワーク上に配置されたサーバ装置に搭載されてもよい。
【0057】
上記の実施形態例においては、操舵部材11を把持したユーザの右手指が届く位置に表示装置12が配置されている。表示装置12に表示されるGUIには複数の選択肢に対応する画像が含まれている。他方、
図1に例示されるように、操舵部材11を把持したユーザの左手指が届く位置にも表示装置12が配置されうる。
【0058】
この場合、右側の表示装置12に表示されるGUIに上記複数の選択肢の一つを含ませ、左側の表示装置12に表示されるGUIに上記複数の選択肢の別の一つを含ませうる。例えば、
図4に例示されるGUIに含まれるボタン画像B5が左側の表示装置12に表示され、ボタン画像B6が右側の表示装置12に表示されるように構成されうる。このような構成によれば、表示面積が比較的小さい操舵部材11上の表示装置12に表示されたGUIに対して意図しない指示入力がなされてしまう事態の発生を抑制できる。
【0059】
上記の実施形態例においては、表示装置12がユーザの指示を受け付けるユーザインタフェースを兼ねている。しかしながら、ユーザインタフェース121は、操舵装置10に設けられた機械式スイッチを含んでもよい。これらに加えてあるいは代えて、表示装置12に表示されたGUIに対する指示は、音声入力やジェスチャ入力によりなされてもよい。この場合、ユーザインタフェース121は、音声入力やジェスチャ入力を受け付け可能な周知の構成を備える。
【0060】
操舵装置10は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。
【符号の説明】
【0061】
10:操舵装置、11:操舵部材、12:表示装置、121:ユーザインタフェース、13:制御装置、131:入力インタフェース、132:プロセッサ、20:車両、30:被制御装置、NV:ナビゲーション情報