(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079006
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】操舵装置、制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04817 20220101AFI20240604BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240604BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240604BHJP
【FI】
G06F3/04817
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191684
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 治彦
(72)【発明者】
【氏名】長倉 寿典
(72)【発明者】
【氏名】名和田 毅
【テーマコード(参考)】
3D344
5E555
【Fターム(参考)】
3D344AA26
3D344AC28
3D344AD01
3D344AD05
5E555AA02
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA12
5E555CB14
5E555CB34
5E555CC03
5E555DB03
5E555DC05
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高める。
【解決手段】操舵装置は、移動体に搭載される。操舵部材は、移動体の進行方向を変更する。表示装置は、操舵部材に設置されている。制御装置は、速度設定画面32と車間距離設定画面33のいずれかを、表示装置に表示させる。速度設定画面32と車間距離設定画面33の各々は、表示装置における表示を速度設定画面32または車間距離設定画面33から運転支援初期画面31に遷移させるためのユーザの指示を受け付けるキャンセルアイコン画像302を含んでいる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される操舵装置であって、
前記移動体の進行方向を変更する操舵部材と、
前記操舵部材に設置されている表示装置と、
前記移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と前記移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、前記表示装置に表示させる制御装置と、
を備えており、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示を受け付けるGUIを含んでいる、
操舵装置。
【請求項2】
前記表示装置における表示を前記第一画面から前記基準画面に遷移させる操作と、前記表示装置における表示を前記第二画面から前記基準画面に遷移させる操作は同じである、
請求項1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記第一画面は、前記第一機能を制御する指示を受け付けるための単一のGUIを含んでおり、
前記第二画面は、前記第二機能を制御する指示を受け付けるための単一のGUIを含んでいる、
請求項1に記載の操舵装置。
【請求項4】
前記表示装置は、前記指示を受け付けるユーザインタフェースを兼ねる、
請求項1に記載の操舵装置。
【請求項5】
移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と前記移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、前記移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させるプロセッサと、
前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示に対応する信号を受け付けるインタフェースと、
を備えており、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記指示を受け付けるGUIを含んでいる、
制御装置。
【請求項6】
制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、当該制御装置が搭載された移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と当該移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、当該移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させ、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示を受け付けるGUIを含んでいる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に搭載される操舵装置に関連する。本開示は、当該移動体に搭載される制御装置、および当該制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例である車両に搭載される操舵装置を開示している。当該操舵装置においては、車両の進行方向を変更する操舵部材に表示装置が設置されている。当該表示装置は、ユーザによる指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/179361号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される一態様例は、移動体に搭載される操舵装置であって、
前記移動体の進行方向を変更する操舵部材と、
前記操舵部材に設置されている表示装置と、
前記移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と前記移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、前記表示装置に表示させる制御装置と、
を備えており、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示を受け付けるGUIを含んでいる。
【0006】
本開示により提供される一態様例は、移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と前記移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、前記移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させるプロセッサと、
前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示に対応する信号を受け付けるインタフェースと、
を備えており、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記指示を受け付けるGUIを含んでいる。
【0007】
本開示により提供される一態様例は、制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、当該制御装置が搭載された移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と当該移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、当該移動体の進行方向を変更する操舵部材に設置されている表示装置に表示させ、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示を受け付けるGUIを含んでいる。
【0008】
操舵部材上に設置される表示装置は、情報を提示可能なスペースが限られているので、移動体において実現される複数の機能を制御するための複数のGUIをユーザに提示するために複数の画面が必要になることが一般的である。換言すると、所望の機能を制御するGUIに辿り着くまでに必要な画面遷移の回数が増加する傾向にある。上記の各態様例に係る構成によれば、そのような複数の画面の各々に基準画面への遷移を行なわせるGUIが含まれているので、ユーザは、いずれの画面からでも基準画面に戻ることができる。したがって、ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る操舵装置が搭載される車両を例示している。
【
図3】
図1の表示装置に表示される画面の遷移を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。
【0011】
図1は、一実施形態に係る操舵装置10が搭載される車両20の車室を例示している。操舵装置10は、車両20の進行方向を変更するための操舵部材11を備えている。車両20は、移動体の一例である。
【0012】
操舵装置10は、表示装置12を備えている。表示装置12は、操舵部材11に設置されている。本実施形態例においては、表示装置12は、様々な画像を表示しうる汎用の表示装置である。
【0013】
図2に例示されるように、表示装置12は、ユーザインタフェース121を備えている。本実施形態例において、表示装置12は、静電型あるいは感圧型のタッチパネルディスプレイとして構成されている。この場合、ユーザインタフェース121は、表示装置12に表示されるGUIとして実現される。ユーザは、GUIに手指を接近または接触させることにより、指示を入力できる。したがって、表示装置12は、操舵部材11を把持したユーザの手指による指示入力を許容する位置に配置される。
【0014】
表示装置12は、ユーザインタフェース121に入力された指示に対応する応答信号RSを出力するように構成されている。応答信号RSは、表示装置12の仕様に応じてアナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0015】
操舵装置10は、制御装置13を備えている。制御装置13は、入力インタフェース131を備えている。入力インタフェース131は、応答信号RSを受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。応答信号RSがアナログ信号である場合、入力インタフェース131は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0016】
入力インタフェース131は、車両20に搭載された少なくとも一つの車両制御装置21からステータス信号STも受け付け可能に構成されている。車両制御装置21は、車両20の走行状態、車両20の走行環境、車両20の車室内環境、車両20と外部機器との通信などを制御する装置である。ステータス信号STは、車両制御装置21によって把握されている被制御対象の状態に対応する情報を含んでいる。なお、ステータス信号STは、特定の情報を検出するために車両20に搭載されたセンサから車両制御装置21を経由することなく入力されてもよい。この場合、ステータス信号STは、当該センサにより検出された特定の情報を含む。
【0017】
ステータス信号STは、車両制御装置21やセンサの仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。ステータス信号STがアナログ信号である場合、入力インタフェース131は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0018】
制御装置13は、プロセッサ132を備えている。プロセッサ132は、ステータス信号STと応答信号RSに基づいて、表示装置12に表示される画面を決定するように構成されている。
【0019】
制御装置13は、出力インタフェース133を備えている。プロセッサ132は、決定された画面を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力するように構成されている。
【0020】
表示制御信号DCは、表示装置12の仕様に応じてアナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。出力インタフェース133は、ハードウェアインタフェースとして構成されている。表示制御信号DCがアナログ信号である場合、出力インタフェース133は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0021】
一例として、プロセッサ132は、車両20の速度が所定値を超えたことを示すステータス信号STが入力インタフェース131により受け付けられると、
図3に例示される運転支援初期画面31を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。
【0022】
運転支援初期画面31は、起動アイコン画像311を含んでいる。起動アイコン画像311は、車両20に搭載されている運転支援機能を有効化する指示を受け付けるGUIである。換言すると、運転支援初期画面31が表示されている状態においては、運転支援機能は無効化されている。運転支援初期画面31は、基準画面の一例である。
【0023】
運転支援機能の有効化を希望するユーザは、手指を起動アイコン画像311に接触または接近させる。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0024】
運転支援を有効化する指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、速度設定画面32を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。
【0025】
速度設定画面32は、速度設定アイコン画像321を含んでいる。速度設定アイコン画像321は、車両20の速度を自動的に一定に保つ機能(速度自動制御機能)において当該速度を設定する指示を受け付けるGUIである。速度自動制御機能は、第一機能の一例である。速度設定画面32は、第一画面の一例である。
【0026】
速度設定を希望するユーザは、速度設定アイコン画像321に対して上方または下方へのフリック操作を行なう。上方へのフリック操作は、設定速度を上げる指示に対応している。下方へのフリック操作は、設定速度を下げる指示に対応している。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0027】
設定速度を変更する指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、車両制御装置21に設定速度を変更させる制御信号CTを、出力インタフェース133から出力する。制御信号CTは、車両制御装置21の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。制御信号CTがアナログ信号である場合、出力インタフェース133は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0028】
運転支援機能は、上記の速度自動制御機能に加え、車間距離自動制御機能および標識認識機能を含んでいる。車間距離自動制御機能は、前走車両との車間距離を自動的に一定に保つ機能である。標識認識機能は、法定速度を指定する交通標識を認識して車両20の速度を当該速度に自動的に設定する機能である。表示装置12は、速度設定画面32に加えて、車間距離設定画面33と標識認識設定画面34を表示可能とされている。ユーザは、表示装置12に表示された画面に対して左方または右方へのフリック操作を行なうことにより、これらの画面を切り替えることができる。
【0029】
車間距離設定画面33の表示を希望するユーザは、速度設定画面32に対して左方へのフリック操作を行なう。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0030】
車間距離設定画面33への変更指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、車間距離設定画面33を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。
【0031】
車間距離設定画面33は、車間距離設定アイコン画像331を含んでいる。車間距離設定アイコン画像331は、車間距離自動制御機能において当該車間距離を設定する指示を受け付けるGUIである。車間距離自動制御機能は、第二機能の一例である。車間距離設定画面33は、第二画面の一例である。
【0032】
車間距離設定を希望するユーザは、車間距離設定アイコン画像331に対して上方または下方へのフリック操作を行なう。上方へのフリック操作は、設定車間距離を長くする指示に対応している。下方へのフリック操作は、設定車間距離を短くする指示に対応している。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0033】
設定車間距離を変更する指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、車両制御装置21に設定車間距離を変更させる制御信号CTを、出力インタフェース133から出力する。
【0034】
速度設定画面32の表示を希望するユーザは、車間距離設定画面33に対して右方へのフリック操作を行なう。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0035】
速度設定画面32への変更指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、速度設定画面32を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。
【0036】
標識認識設定画面34の表示を希望するユーザは、車間距離設定画面33に対して左方へのフリック操作を行なう。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0037】
標識認識設定画面34への変更指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、標識認識設定画面34を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。
【0038】
標識認識設定画面34は、起動アイコン画像341を含んでいる。起動アイコン画像341は、標識認識機能を有効化する指示を受け付けるGUIである。換言すると、標識認識設定画面34が表示されている状態においては、標識認識機能は無効化されている。標識認識機能もまた、第二機能の一例である。標識認識設定画面34もまた、第二画面の一例である。
【0039】
標識認識機能の有効化を希望するユーザは、手指を起動アイコン画像341に接触または接近させる。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0040】
標識認識機能を有効化する指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、サブ設定画面35を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。サブ設定画面35は、標識認識機能についてのサブ設定を受け付けるための画面である。サブ設定画面35もまた、第二画面の一例である。
【0041】
運転支援初期画面31、速度設定画面32、車間距離設定画面33、標識認識設定画面34、およびサブ設定画面35の各々は、スライダ画像301を含んでいる。ユーザがスライダ画像301に手指を接触または接近させて右方へドラッグ操作をすると、いずれの画面からでもサムホイール画面36への遷移がなされる。
【0042】
サムホイール画面36は、サムホイール画像361を含んでいる。サムホイール画像361は、ユーザによる上方または下方へのフリック操作を受け付けるGUIである。当該操作は、車両20に搭載された他の表示装置に表示された画像を上下方向にスクロールする機能、車両20に搭載された映像音響機器により再生されるコンテンツを選択する機能などに対応付けられうる。当該機能もまた、第二機能の一例である。サムホイール画面36もまた、第二画面の一例である。
【0043】
速度設定画面32、車間距離設定画面33、標識認識設定画面34、サブ設定画面35、およびサムホイール画面36の各々は、キャンセルアイコン画像302を含んでいる。キャンセルアイコン画像302は、運転支援機能を無効化する指示を受け付けるGUIである。
【0044】
運転支援機能の無効化を希望するユーザは、手指をキャンセルアイコン画像302に接触または接近させる。当該操作に応答して、表示装置12から応答信号RSが出力され、制御装置13の入力インタフェース131に受け付けられる。
【0045】
運転支援を無効化する指示に対応する応答信号RSが受け付けられると、プロセッサ132は、車両制御装置21に運転支援機能を無効化させる制御信号CTを、出力インタフェース133から出力する。加えて、プロセッサ132は、運転支援初期画面31を表示装置12に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース133から出力する。換言すると、キャンセルアイコン画像302は、表示装置12に表示されている画面を運転支援初期画面31に遷移させる指示を受け付けるGUIである。
【0046】
操舵部材11上に設置される表示装置12は、情報を提示可能なスペースが限られているので、車両20において実現される複数の機能を制御するための複数のGUIをユーザに提示するために複数の画面が必要になることが一般的である。換言すると、所望の機能を制御するGUIに辿り着くまでに必要な画面遷移の回数が増加する傾向にある。本実施形態例に係る構成によれば、そのような複数の画面の各々にキャンセルアイコン画像302が含まれているので、ユーザは、いずれの画面からでも運転支援初期画面31に遷移できる。したがって、ユーザによる指示を受け付けるためのGUIを表示する表示装置を備えた操舵装置の利便性を高めることができる。
【0047】
特に本実施形態例においては、運転支援初期画面31への遷移が、緊急性が比較的高い状況での使用がありうる運転支援機能の無効化に関連付けられているので、いつでも運転支援機能を無効化できるという安心感をユーザに与えうる。
【0048】
加えて、本実施形態例においては、いずれの画面からでもキャンセルアイコン画像302に対する同じ操作で運転支援初期画面31に遷移できる。したがって、どのような画面遷移を経ても同じ操作で運転支援初期画面31に戻ることができるという安心感をユーザに与えうる。
【0049】
本実施形態においては、各画面に表示される車両20の機能を制御するためのGUIは単一である。これにより、スペースが限られた各画面内に運転支援初期画面31へ遷移するためのキャンセルアイコン画像302の表示スペースを確保しつつ、各画面に関連付けられた機能へのユーザの注意を促すことができる。
【0050】
速度設定画面32、車間距離設定画面33、および標識認識設定画面34の各々に関連付けられた機能は、運転支援初期画面31に関連付けられた機能よりも下位の同じ階層に位置付けられている。サブ設定画面35に関連付けられた機能は、標識認識設定画面34に関連付けられた機能よりも下位の階層に位置付けられている。
【0051】
速度設定画面32、車間距離設定画面33、および標識認識設定画面34の各々は、ガイド標識303を含んでいる。ガイド標識303は、三つの円画像を含んでいる。円画像の数は、同じ階層に含まれる複数の画面の数に対応している。
【0052】
三つの円画像の一つは、他の円画像と異なる色で表示されている。異なる色で表示された円画像の位置は、当該画面に対して入力可能なフリック操作の向きと数を表している。速度設定画面32に表示されたガイド標識303においては、左に位置する円画像の色が異なっている。この場合、右方に位置する二つの円画像に対応して二度の左方へのフリック操作が許容されていることを意味する。車間距離設定画面33に表示されたガイド標識303においては、中央に位置する円画像の色が異なっている。この場合、左右に位置する二つの円画像に対応して一度の左方へのフリック操作と一度の右方へのフリック操作が許容されていることを意味する。標識認識設定画面34に表示されたガイド標識303においては、右に位置する円画像の色が異なっている。この場合、左方に位置する二つの円画像に対応して二度の右方へのフリック操作が許容されていることを意味する。
【0053】
同様に、サブ設定画面35は、ガイド標識304を含んでいる。ガイド標識304は、二つの円画像を含んでいる。図示を省略するが、サブ設定画面35の階層にはもう一つの画面が含まれており、右方へのフリック操作により当該画面を表示させることができる。
【0054】
本実施形態例においては、上位の階層に割り当てられた画面から下位の階層に割り当てられた画面へ遷移がなされる場合、ガイド標識において最も左側に位置する円画像の色が異なる画面が表示されるように構成されている。
図3の場合、運転支援初期画面31から速度設定画面32への遷移、標識認識設定画面34からサブ設定画面35への遷移が該当する。したがって、下位の階層への遷移後に同じ階層内に含まれる他の画面を選択する際には、必ず左方へのフリック操作が求められる。
【0055】
操舵部材11上に設置される表示装置12は、情報を提示可能なスペースが限られているので、所望の機能を制御するGUIに辿り着くまでに必要な階層遷移の回数が増加する傾向にある。本実施形態例に係る構成によれば、下位階層への遷移の後に同じ階層内に含まれる画面を選択を開始する際の操作が同じであるので、統一性の高い操作性をユーザに提供しうる。
【0056】
本実施形態例においては、運転支援初期画面31における起動アイコン画像311と標識認識設定画面34における起動アイコン画像341は、第一の色で表示されている。速度設定画面32における速度設定アイコン画像321、車間距離設定画面33における車間距離設定アイコン画像331、およびサブ設定画面35における起動アイコン画像351は、第一の色と異なる第二の色で表示されている。第一の色は、特定の機能が無効化されている状態を表している。第二の色は、特定の機能が有効化されている状態を表している。なお、キャンセルアイコン画像302は、第一の色および第二の色と異なる第三の色で表示されている。
【0057】
このような構成によれば、複数の色を通じて、各GUIに関連付けられた機能や状態の直感的な把握をユーザに促しやすい。加えて、車両20の運転時に表示装置12を直視していなくとも、周辺視野を通じて各GUIに関連付けられた機能や状態を伝えやすくできる。
【0058】
これまで説明した各種の機能を有する制御装置13のプロセッサ132は、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムがプリインストールされた記憶素子を備えたマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。この場合、当該記憶素子は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0059】
あるいは、プロセッサ132は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。この場合、当該汎用メモリは、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、制御装置13が接続可能な無線通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0060】
プロセッサ132は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによって実現されてもよい。
【0061】
これまで説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。例示された各構成は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や他の構成との組合せがされうる。
【0062】
上記の実施形態例における運転支援初期画面31とキャンセルアイコン画像302との関係は、車両20の他の複数の機能に割り当てられた複数の画面間の遷移にも適用可能である。階層的な機能間の遷移の起点になる画面や、複数の処理の分岐点に対応する画面などが基準画面の一例となりうる。
【0063】
上記の実施形態例においては、操舵部材11を把持したユーザの右手指が届く位置に表示装置12が配置されている。他方、
図1に例示されるように、操舵部材11を把持したユーザの左手指が届く位置にも表示装置12が配置されうる。
【0064】
この場合、各画面における車両20の機能を制御する指示を受け付けるためのGUIが一方の表示装置12に表示され、キャンセルアイコン画像302が他方の表示装置12に表示されてもよい。このような構成によれば、表示面積が比較的小さい操舵部材11上の表示装置12に表示されたGUIに対して意図しない指示入力がなされてしまう事態の発生を抑制できる。
【0065】
上記の実施形態例においては、表示装置12がユーザの指示を受け付けるユーザインタフェースを兼ねている。しかしながら、ユーザインタフェース121は、操舵装置10に設けられた機械式スイッチを含んでもよい。これらに加えてあるいは代えて、表示装置12に表示されたGUIに対する指示は、音声入力やジェスチャ入力によりなされてもよい。この場合、ユーザインタフェース121は、音声入力やジェスチャ入力を受け付け可能な周知の構成を備える。
【0066】
操舵装置10は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。
【0067】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。
項目1:
移動体に搭載される操舵装置であって、
前記移動体の進行方向を変更する操舵部材と、
前記操舵部材に設置されている表示装置と、
前記移動体に係る第一機能を制御するための第一画面と前記移動体に係る第二機能を制御するための第二画面のいずれかを、前記表示装置に表示させる制御装置と、
を備えており、
前記第一画面と前記第二画面の各々は、前記表示装置における表示を前記第一画面または前記第二画面から基準画面に遷移させるためのユーザの指示を受け付けるGUIを含んでいる、
操舵装置。
項目2:
前記表示装置における表示を前記第一画面から前記基準画面に遷移させる操作と、前記表示装置における表示を前記第二画面から前記基準画面に遷移させる操作は同じである、
項目1に記載の操舵装置。
項目3:
前記第一画面は、前記第一機能を制御する指示を受け付けるための単一のGUIを含んでおり、
前記第二画面は、前記第二機能を制御する指示を受け付けるための単一のGUIを含んでいる、
項目1または2に記載の操舵装置。
項目4:
前記表示装置は、前記指示を受け付けるユーザインタフェースを兼ねる、
項目1から3のいずれか一項に記載の操舵装置。
【符号の説明】
【0068】
10:操舵装置、11:操舵部材、12:表示装置、121:ユーザインタフェース、13:制御装置、131:入力インタフェース、132:プロセッサ、20:車両、302:キャンセルアイコン画像、31:運転支援初期画面、32:速度設定画面、321:速度設定アイコン画像、33:車間距離設定画面、331:車間距離設定アイコン画像、34:標識認識設定画面、341:起動アイコン画像、35:サブ設定画面、351:起動アイコン画像、36:サムホイール画面、361:サムホイール画像