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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079014
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】フロート集合体
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/38 20060101AFI20240604BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20240604BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20240604BHJP
【FI】
B63B35/38 B
B63B35/00 T
H02S10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191697
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】長井 宏史
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151JA13
5F151JA30
5F251JA13
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】フロート集合体に加わる風荷重を低減することを目的としている。
【解決手段】]発電部と、前記発電部に併設された風除け部とを備え、前記発電部は、第1フロートと、第1フロートに設置されるソーラパネルとを有し、前記風除け部は、第2フロートと、風除け部材とを有し、第2フロートは、第1フロートの周囲に配置され、前記風除け部材は、第2フロートに設置されている、フロート集合体が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部と、前記発電部に併設された風除け部とを備え、
前記発電部は、第1フロートと、第1フロートに設置されるソーラパネルとを有し、
前記風除け部は、第2フロートと、風除け部材とを有し、
第2フロートは、第1フロートの周囲に配置され、
前記風除け部材は、第2フロートに設置されている、フロート集合体。
【請求項2】
請求項1に記載のフロート集合体であって、
介在部を更に備え、
前記介在部は、第3フロートを有し、
第3フロートは、前記ソーラパネルが配置されていないフロートであり、且つ、第1フロートと第2フロートとの間に配置されている、フロート集合体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフロート集合体であって、
前記ソーラパネルは、北側から南側へ向かう方向において下側に傾斜するように配置され、
第2フロートは、第1フロートの少なくとも北側に配置されている、フロート集合体。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
第2フロートは、水溜部を有し、
前記水溜部には、水が溜められており、且つ、前記風除け部材が配置されている、フロート集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロート集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソーラパネルが設置されたフロートを有するフロート集合体が開示されている。特許文献1に記載のフロート集合体は、例えば池、湖、海といった場所を発電用の場所として有効活用するため、これらの場所の水面上に浮かべられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-217771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロート集合体が浮かべられる場所は、風を遮る障害物がない場合があることから、フロート集合体は風にさらされやすい環境に配置されることになる。フロートに設置されたソーラパネルが風を受けたとき、フロート集合体に加わる風荷重が増大するという課題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものであり、フロート集合体に加わる風荷重を低減することを目的としている。
【0006】
本発明によれば、以下の[1]のフロート集合体が提供される。
[1]発電部と、前記発電部に併設された風除け部とを備え、前記発電部は、第1フロートと、第1フロートに設置されるソーラパネルとを有し、前記風除け部は、第2フロートと、風除け部材とを有し、第2フロートは、第1フロートの周囲に配置され、前記風除け部材は、第2フロートに設置されている、フロート集合体。
【0007】
本発明に係るフロート集合体は、ソーラパネルが設置される第1フロートの周囲に配置された第2フロートには風除け部材が設置されているので、フロート集合体に向かう風がソーラパネルに直接的に吹き付けられることが風除け部材によって抑制され、フロート集合体に加わる風荷重が低減される。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
[2][1]に記載のフロート集合体であって、介在部を更に備え、前記介在部は、第3フロートを有し、第3フロートは、前記ソーラパネルが配置されていないフロートであり、且つ、第1フロートと第2フロートとの間に配置されている、フロート集合体。
[3][1]又は[2]に記載のフロート集合体であって、前記ソーラパネルは、北側から南側へ向かう方向において下側に傾斜するように配置され、第2フロートは、第1フロートの少なくとも北側に配置されている、フロート集合体。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の方法であって、第2フロートは、水溜部を有し、前記水溜部には、水が溜められており、且つ、前記風除け部材が配置されている、フロート集合体。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るフロート集合体100の斜視図である。
図2図2Aは、図1に示すフロート集合体100の上面視図である。図2Bは、図2Aに示すフロート集合体100を南側からみた側面図である。
図3図3は、風除け部2の構成説明図である。図3において、フロート2aは端面図として示している。
図4図4Aは、ソーラパネル1Bとの関係で各方角の風除け部材2Bを規定するための説明図である。図4Bは、図4Aにおけるソーラパネル1Bの配置とは異なる形態の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るフロート集合体100について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
1.実施形態
図1及び図2Aに示すように、フロート集合体100は、発電部1と、風除け部2と、介在部3とを備える。フロート集合体100は、例えば、池、湖、海等の水上に浮かべられ、太陽光発電が可能なアイランドで構成されている。なお、フロート集合体100は、図2Bに示すように、例えばワイヤで構成される係留部材4によって係留されており、水や風の流れによって、フロート集合体100が所望の範囲から遠方へ流されていってしまうことが回避されている。係留部材4がフロート集合体100に連結される位置は、限定されるものではないが、例えば、発電部1、風除け部2及び介在部3のうちの少なくとも1つに連結され、また、係留部材4は、水底に設けられる図示省略の連結部(例えばアンカーやシンカー)にも連結されている。なお、実施形態において、フロート集合体100の係留方式は、係留部材4が水底の連結部に連結される方式であるが、これに限定されるものではなく、係留部材4が陸上に連結される方式であってもよい。また、フロート集合体100は、図示省略のウインチ機構を介してワイヤに係合され、太陽の向きに応じて回転可能に構成されていてもよい。
【0012】
1-1.発電部1
発電部1は、電力を生成するための機能を有する。発電部1は、第1フロート1Aと、ソーラパネル1Bとを備えている。なお、発電部1は、ソーラパネル1Bの他に、図示省略の電力ケーブル、パワコン及び接続箱等の積載物を備えていてもよい。
【0013】
1-1-1.第1フロート1A
第1フロート1Aは、フロートfと、連結部材cとを備えている。なお、第1フロート1Aのフロートfは、ソーラパネル1Bで隠れているが、介在部3のフロートfと同じ形状である。連結部材cについても同様である。実施形態では、1個のフロートfに1台のソーラパネル1Bが設置されている。
【0014】
第1フロート1Aは、複数のフロートf及び複数の連結部材cから構成されている。実施形態において、発電部1の範囲は、略矩形状をなしており、複数のフロートfが、x-y平面において3×3をなすように碁盤目状に配置されて構成されている。なお、発電部1の範囲は、このような略矩形状に限定されるものではない。なお、x方向及びy方向は、それぞれ、フロートfが並べられる方向に対応している。また、実施形態において、x方向とy方向とは直交(90度をなす)するものとして説明するがこれに限定されるものではなく、鋭角をなしていてもよい。また、実施形態において、第1フロート1Aのフロートfの数は、9個であるが、その数に限定されず、例えば数百個~数千個、数千~数万、或いはそれ以上であってもよい。
【0015】
連結部材cは、x方向において隣接するフロートf同士を連結する。そして、x方向に隣接するフロートf同士は接触しておらず、x方向に隣接するフロートfの間には、間隔Spが形成されている。つまり、x方向に隣接するフロートf同士は離れており、隙間Spから水面Wが見える。一方、y方向に隣接するフロートf同士は接触しており、y方向に隣接するフロートf同士は、例えば、少なくとも一部が重なるように配置され、当該重なっている部分が図示省略のボルト等によって連結される。連結部材cは、フロート同士を連結する機能だけでなく、作業者等が歩く通路としての機能も有する。なお、第1フロート1Aは連結部材cを備えていなくてもよく、この場合、x方向に隣接するフロートf同士が連結していればよい。
【0016】
実施形態において、第1フロート1Aのフロートfは、ソーラパネル1Bが搭載されるフロート(搭載フロート)のみを備えている。なお、第1フロート1Aの構成は、これに限定されるものではなく、第1フロート1Aは、ソーラパネル1Bが搭載されていないフロート(非搭載フロート)を備えていてもよい。例えば、図1に示す9つのフロートfのうちの中央のフロートfにソーラパネル1Bが設置されていなくても、当該中央のフロートf(非搭載フロート)は、発電部1の範囲に含めることができる。
【0017】
第1フロート1Aや、後述する第2フロート2A及び第3フロート3Aの構成要素は、例えば、ブロー成形によって製造することが可能である。ブロー成形で用いる構成樹脂には、各種の熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂)を採用することができる。
【0018】
1-1-2.ソーラパネル1B
ソーラパネル1Bは、発電効率が高くなるように、受光面が南向きになるように傾斜した状態で第1フロート1Aのフロートfに搭載されている。換言すると、ソーラパネル1Bは、北側から南側へ向かう方向において下側に傾斜するように配置されている。ソーラパネル1Bで発生した電力は、電力ケーブルを通じて伝送される。ソーラパネル1Bの直流電力は、ケーブルを通じて接続箱に集められ、接続箱からの直流電力がパワコンで交流電力に変換される。接続箱やパワコンは、第1フロート1A上に設置されていなくてもよく、例えば、第2フロート2A、第3フロート3Aに設置されていてもよいし、地上に設置されていてもよい。
【0019】
1-2.風除け部2
風除け部2は発電部1に併設されている。実施形態では、風除け部2は、介在部3を介して発電部1の周囲に配置されている。風除け部2は、第2フロート2Aと、風除け部材2Bとを備えている。フロート集合体100は風が吹きさらしにされる場所に配置されて風の影響を受けやすいが、ソーラパネル1Bが太陽光の光を受けやすいように傾斜配置されて風を受けやすい姿勢で設けられているため、フロート集合体100は風荷重による影響が顕在化しやすい。このため、フロート集合体100は、ソーラパネル1Bに対向配置される風除け部2を備えており、フロート集合体100に向かう風がソーラパネル1Bに衝突する前に風除け部2で散らされ、フロート集合体100に加わる風荷重が低減されている。
【0020】
1-2-1.第2フロート2A
第2フロート2Aは、第1フロートの周囲に配置されている。実施形態では、第2フロートは、第1フロートの全周囲(東西南北)を取り囲むように設けられている。第2フロート2Aは、第1フロート1Aとは独立した構成であり、別のフロートで構成されている。換言すると、第2フロート2Aの構成部材は、第1フロート1Aの構成部材とは物理的に別部材であり、第2フロート2Aは、第1フロート1Aに対して連結部品やその他フロート等を介して連結している。実施形態では、第2フロート2Aは、後述する介在部3の第3フロート3A(フロートf)に連結している。つまり、実施形態では、第2フロート2Aは、介在部3の第3フロート3A(フロートf)を介して第1フロート1Aに対して連結している。
【0021】
第2フロート2Aは、複数のフロート2aを備えている。なお、第2フロート2Aのフロート2aにはソーラパネルが搭載されていない。実施形態において、隣接するフロート2a同士は、連結されており、連結されたフロート2aが四角形をなすように配置されている。ここで、北側に配置されるx方向において列をなすフロート2aは、角部に位置する介在部3に対し、x方向に平行な方向に突き出すように配置された突き出し部分2atを有する。この突き出し部分2atは、x方向に平行な方向において、北側に配置される列をなすフロート2aの両側に設けられている。そして、一方側の突き出し部分2atは、東側に配置されるy方向において列をなすフロート2aに連結され、他方側の突き出し部分2atは、西側に配置されるy方向において列をなすフロート2aに連結している。南側に配置されるx方向において列をなすフロート2aについても同様の構成となっている。
【0022】
なお、実施形態では、上述のように、介在部3の角部は、ソーラパネル1Bから遠ざけられた位置であるが、この角部に風除け部材2Bが配置されている。この角部の風除け部材2Bは、ソーラパネル1Bから遠ざけられている分、ソーラパネル1Bに影がかかりにくい。
【0023】
実施形態において、フロート2aは、発電部1のフロートfとは異なる形状を有する。具体的には、図3に示すように、フロート2aには、風除け部材2Bを配置するための配置部2a1が形成されている。配置部2a1には、水溜部2a2及び穴部2a3が形成されている。水溜部2a2は、水が溜められるように凹状に形成されており、また、水溜部2a2には、風除け部材2Bが配置可能な空間が形成されている。なお、水溜部2a2の水は、穴部2a3を介して水溜部2a2内に流入する。穴部2a3を介して水が適宜、流出・流入するので、水溜部2a2内の水が入れ替わることが促進される。また、水溜部2a2内に水が溜められることで、第2フロート2Aに風や波等の作用が加わったときに第2フロート2Aの動きが抑制され、例えば突風が進入してきても、フロート集合体100を構成するフロートが捲れあがってしまうことを抑制することができる。
なお、実施形態における配置部2a1の構成は、一例であり、風除け部材2Bを配置可能であれば、凹状の水溜部2a2や穴部2a3に限定されるものではない。
【0024】
1-2-2.風除け部材2B
図1図3に示す風除け部材2Bは、草、木、花等の植物で構成されている。風除け部材2Bには、落葉樹(草)より常緑樹(草)を採用することが好ましく、特に、生垣やグランドカバー等で用いられるような成長が遅い低木(草)を採用することがソーラパネル1Bに影を作りづらいので好ましい。
【0025】
風除け部材2Bは、ソーラパネル1Bの周囲を覆うように配置されているため、フロート集合体100の外側からソーラパネル1Bに向かう風は、ソーラパネル1Bに衝突する前に、風除け部材2Bによって乱されてソーラパネル1Bに直に衝突することが抑制され、フロート集合体100がソーラパネル1Bを介して受ける風荷重が低減される。
フロート集合体100に加わる風荷重が低減されることで、例えば、フロート集合体100を構成するフロートや係留部材4の劣化・破損等を抑制することが可能である。
また、フロート集合体100の外側からソーラパネル1Bに向かう風が、風除け部材2Bによって乱されるため、ソーラパネル1Bを持ち上げるように例えば北側から突風が進入してきても、フロートfが捲れあがってしまうことも抑制することができる。
【0026】
また、風除け部材2Bは、ソーラパネル1Bの周囲を覆うように配置されているため、風除け部材2Bの内側が見えにくくなり、例えば、発電部1(ソーラパネル1B)や介在部3が露出することによって景観が損なわれることを抑制することができる。また、風除け部材2Bは、草や木といった植物であるため、二酸化炭素を吸収することもできる。
【0027】
また、図2Aに示すように、風除け部材2Bの横幅w2(実施形態では風除け部材2Bの長手方向の幅)は、ソーラパネル1Bの横幅w1(実施形態ではソーラパネル1Bの長手方向の幅)よりも、小さくなっている。実施形態では、全てのフロート2aに風除け部材2Bが設けられているが、例えば、コストや影をつくらない等の要因を考慮して、複数のフロート2aの中には、風除け部材2Bを設けない場合も考えられる。この場合、上述の条件が満たされていることで、風除け部材2Bを設けないことで生じる隙間を小さく抑えることができ、風除け部材2Bを設けないことによる風の影響を小さくすることができる。
【0028】
<風除け部材2Bの配置範囲(1)>
実施形態において、北側とは、傾斜配置されたソーラパネル1Bのうち最上部側が位置する方向に対応しており、南側は、傾斜配置されたソーラパネル1Bのうち最下部側が位置する方向に対応している。ここで、実施形態では、以下のように、配置範囲を定義することができるが、これについて図2A図4Aを参照して説明する。
【0029】
各方角の風除け部材2Bについては、ソーラパネル1Bの北側部分Rg1、東側部分Rg2、西側部分Rg3及び南側部分Rg4を用いることで、切り分けることができる。
ソーラパネル1Bの北側部分Rg1は、複数(実施形態では9つ)のソーラパネル1Bのうち外側に位置しているソーラパネル1Bの最上部側の部分である。なお、以下に説明する外側のソーラパネル1Bとは、四方が他のソーラパネル1Bに取り囲まれておらず、四方のうちの少なくとも1つが開放されている。具体的には、内側のソーラパネル1Bは、図4Aにおいて、中央に配置されるソーラパネル1Bであり、その周囲にある8つのソーラパネル1Bは、外側のソーラパネル1Bである。
ソーラパネル1Bの東側部分Rg2は、複数のソーラパネル1Bのうち外側に位置しているソーラパネル1Bの最も東側の部分である。
ソーラパネル1Bの西側部分Rg3は、複数のソーラパネル1Bのうち外側に位置しているソーラパネル1Bの最も西側の部分である。
ソーラパネル1Bの南側部分Rg4は、複数のソーラパネル1Bのうち外側に位置しているソーラパネル1Bの最下部側の部分である。
【0030】
北側部分Rg1に対して北方向Dnに対向する風除け部材2Bは、北側における風除け部材2Bと定義することができる。また、北側部分Rg1に対して北方向Dnに対向する風除け部材2Bから、東西方向(x方向)に延びるように配置されている風除け部材2Bも、北側における風除け部材2Bに含め、北側における風除け部材2Bと定義する。このため、北側における風除け部材2Bのx方向(北側における風除け部材2Bの長手方向)における配置範囲は、図2Aに示すwnxで表される。
東側部分Rg2に対して東方向Deに対向する風除け部材2Bは、東側における風除け部材2Bと定義することができる。また、東側部分Rg2に対して東方向Deに対向する風除け部材2Bから、南北方向(y方向)に延びるように配置されている風除け部材2Bも、東側における風除け部材2Bに含め、東側における風除け部材2Bと定義する。このため、東側における風除け部材2Bのy方向(東側における風除け部材2Bの長手方向)における配置範囲は、図2Aに示すweyで表される。
西側部分Rg3に対して西方向Dwに対向する風除け部材2Bは、西側における風除け部材2Bと定義することができる。また、西側部分Rg3に対して西方向Dwに対向する風除け部材2Bから、南北方向(y方向)に延びるように配置されている風除け部材2Bも、西側における風除け部材2Bに含め、西側における風除け部材2Bと定義する。このため、西側における風除け部材2Bのy方向(西側における風除け部材2Bの長手方向)における配置範囲は、図2Aに示すwwyで表される。
南側部分Rg4に対して南方向Dsに対向する風除け部材2Bは、南側における風除け部材2Bと定義することができる。また、南側部分Rg4に対して南方向Dsに対向する風除け部材2Bから、東西方向(x方向)に延びるように配置されている風除け部材2Bも、南側における風除け部材2Bに含め、南側における風除け部材2Bと定義する。このため、南側における風除け部材2Bのx方向(南側における風除け部材2Bの長手方向)における配置範囲は、図2Aに示すwsxで表される。
【0031】
なお、図4Bのように、例えば複数のソーラパネル1BがL字状に配置されている場合には、北側部分Rg1等は、図4Bに示す通りである。
【0032】
また、図2Aに示すように、ソーラパネル1Bのx方向における配置範囲をT1とする。同様に、ソーラパネル1Bのy方向における配置範囲をT2とする。x方向において、北側における風除け部材2Bの配置範囲wnxは、ソーラパネル1Bの配置範囲T1を包含することが好ましい。換言すると、配置範囲T1は、配置範囲wnxの内側であることが好ましい。実施形態では、この条件が満たされている。ソーラパネル1Bは、北側から見たときに前面投影面積が大きく、また、北側から南側に向かって下に傾斜配置されているので風に衝突したときに風を受け止めてしまいやすい。上述の条件が満たされることで、風が北側からソーラパネル1Bに直接的に吹き付けることでフロート集合体100に加わる風荷重をより効果的に抑制することができる。
【0033】
また、y方向において、東側における風除け部材2Bの配置範囲weyは、配置範囲T2を包含することが好ましく、y方向において、西側における風除け部材2Bの配置範囲wwyも、同様であることが好ましい。実施形態ではこれらの条件が満たされている。ソーラパネル1Bは、東側や西側から見たときに前面投影面積は、北側から見たときの前面投影面積よりも小さいため、北側ほど作用は大きくはないものの、フロート集合体100に加わる風荷重を抑制することが期待できる。
【0034】
また、x方向において、南側における風除け部材2Bの配置範囲wsxは、配置範囲T1を包含することが好ましい。実施形態では、この条件が満たされている。ソーラパネル1Bは、南側から見たときに前面投影面積は北側と同等程度に大きい。一方で、ソーラパネル1Bは、北側から南側に向かって下に傾斜配置されているので、北側の風よりは南側の風が逃げやすいということができる。しかし、南側に関しても、北側ほど作用は大きくはないものの、フロート集合体100に加わる風荷重を抑制することが期待できる。また、実施形態のように、南側に風除け部材2Bが配置されていることで、ソーラパネル1Bの反射光を風除け部材2Bで遮ることができ、フロート集合体100の外側に向かう反射光を抑制することができる。
【0035】
<風除け部材2Bの配置範囲(2)>
また、実施形態では、以下のように、配置範囲を定義することができる。
北側における風除け部材2Bのy方向(北側における風除け部材2Bの短手方向)における配置範囲をwnyとする。
東側における風除け部材2Bのx方向(東側における風除け部材2Bの短手方向)における配置範囲をwexとする。
西側における風除け部材2Bのx方向(西側における風除け部材2Bの短手方向)における配置範囲をwwxとする。
南側における風除け部材2Bのy方向(南側における風除け部材2Bの短手方向)における配置範囲をwsyとする。
【0036】
実施形態では、北側における風除け部材2Bの配置範囲wny、東側における風除け部材2Bの配置範囲wex、西側における風除け部材2Bの配置範囲wwx及び南側における風除け部材2Bの配置範囲wsyは、同じである。
ここで、配置範囲wnyや配置範囲をwsyは、配置範囲wexや配置範囲wwxより大きくてもよい。これにより、北側や南側からの風が効果的に乱されてフロート集合体100に加わる風荷重を抑制することができる。
【0037】
<風除け部材2Bの高さ>
風除け部材2Bの高さは、ソーラパネル1Bの最上部の高さに対して、具体的には例えば、0.4,0.6,0.8,1.0,1.2,1.4,1.6,1.8,2.0,2.2,2.4,2.6,2.8,3.0倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ここで、高さは、水面Wの位置を基準とすることができる。
また、風除け部材2Bの高さ(cm)は、100cm以下であることが好ましく、具体的には例えば、40,50,60,70,80,90,100cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。風除け部材2Bが高すぎると影をつくってしまい、また、倒れたときにソーラパネル1Bにぶつかって破損させてしまう可能性が高まるが、上述の条件を満たすことで、影をつくることや倒れてソーラパネル1Bを破損させることを回避しやすくなる。
【0038】
なお、フロート集合体100に加わる風荷重に関して北側はその影響が大きいため、北側における風除け部材2Bの高さ(風除け部材2Bの最上部の位置)は、ソーラパネル1Bの最上部の高さ以上であることが好ましい。
また、風除け部材2Bの高さ(風除け部材2Bの最上部の位置)は、方角に応じて変わっていてもよい。具体的には、風除け部材2Bの高さは、風の影響を受けやすい北側が、東側及び西側よりも高くなっていてもよい。
なお、南側は、太陽光が照射される方向になるため、南側の風除け部材2Bの高さが高いと、風除け部材2Bが影になってしまい、ソーラパネル1Bの発電効率が低下する可能性がある。このため、南側における風除け部材2Bの高さは、北側における風除け部材2Bの高さよりも低くなっていてもよい。
【0039】
1-3.介在部3
図1及び図2Aに示す介在部3は、発電部1と風除け部2との間に介在するように設けられている。介在部3は、第3フロート3Aを備えており、また、第3フロート3Aは、フロートfと、連結部材cとを備えている。なお、第3フロート3Aの連結部材cの構成や機能は、第1フロート1Aの連結部材cと同様である。
【0040】
第3フロート3Aは、第1フロート1Aと第2フロート2Aとの間に配置されている。具体的には、第3フロート3Aは、第1フロート1Aの周囲に配置されており、換言すると、第3フロート3Aの内側には、第1フロート1Aが配置されている。また、第3フロート3Aは、第2フロート2Aに囲まれるように配置されており、換言すると、第3フロート3Aの外側には、第2フロート2Aが配置されている。そして、第3フロート3Aは、ソーラパネル1Bが搭載されていない非搭載フロートである。
【0041】
また、第3フロート3Aの内側は、第1フロート1Aと連結しており、第3フロート3Aの外側は、第2フロート2Aと連結している。なお、実施形態では、第3フロート3Aは、第2フロート2Aと同様、第1フロート1Aの全周囲(東西南北)を取り囲むように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、任意の方角おける第3フロート3Aが無くてもよい。
また、第3フロート3Aは、第2フロート2Aと同様、第1フロート1Aとは独立した構成であり、別フロートで構成されている。なお、第2フロート2Aの形状は、第1フロート1Aと同じであってよい。
【0042】
フロート集合体100が第3フロート3Aを備えることで、ソーラパネル1Bと風除け部材2Bとの間の距離を確保しやすくなり、風除け部材2Bによってソーラパネル1Bへ照射される光を遮蔽してしまうことを抑制することができる。また、ソーラパネル1Bに接続される電力ケーブルの引き回しのスペースとして活用することもでき、フロート集合体100の電気的部品の構成が煩雑になることを抑制することができる。
【0043】
第3フロート3Aは、第2フロート2Aと同様に、上述した電力ケーブル、パワコン及び接続箱等の積載物が搭載されていてもよい。
【0044】
2.変形例
2-1.変形例1:風除け部2の配置
実施形態では、ソーラパネル1Bの全周囲(東西南北)に渡って、風除け部2(風除け部材2B)が配置されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、南側における風除け部2(風除け部材2B)が設けられていなくてもよい。これにより、南側はソーラパネル1Bが露出することになるが、風除け部2(風除け部材2B)が太陽光を遮ることをより確実に回避することができる。
また、東側及び西側のうちに少なくとも一方における風除け部2(風除け部材2B)が設けられていなくてもよい。つまり、北側における風除け部2(風除け部材2B)は、風荷重の観点から必要な構成であるが、東側及び西側における風除け部2(風除け部材2B)については、任意であり、必要に応じて設けるとよい。
【0045】
実施形態では、北側における風除け部材2Bは、複数並べられた各フロート2a(つまり、北側における全フロート2a)に設けられているが、これに限定されるものではなく、フロート2aには風除け部材2Bが設けられていないものがあってもよい。北側は風の影響が大きいため、北側における風除け部材2Bについては、具体的には例えば、1,2,3つ置きに配置されていることが好ましく、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、1つ置きに配置された箇所や、2つ置きに配置される箇所等が混在していてもよい。なお、東側、西側、南側についても同様に、フロート2aには風除け部材2Bが設けられていないものがあってもよく、そして、これらの方角については、北側よりも風除け部材2Bを設けない数が多くてもよい。
【0046】
実施形態では、介在部3(第3フロート3A)の外周の全体にわたって風除け部材2Bが配置されているものとして説明したがこれに限定されるものではない。
例えば、介在部3の外周の40%以上に対して風除け部材2Bを配置することが好ましい。具体的には、介在部3の外周の50,60,70,80,90,100%に対して風除け部材2Bを配置することが好ましく、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、実施形態では介在部3を備えているが、介在部3を備えていない場合には、発電部1の外周(第1フロート1Aの外周)を用いればよい。
【0047】
また、風対策の観点からは、北寄りの方向(北、北西、北東)において、風除け部材2Bを多く設けることが好ましく、また、景観の観点からは、実施形態のように介在部3の全周にわたって各方角に均等に風除け部材2Bを設けることが好ましく、また、実施形態で説明したように、風除け部材2Bが南側に配置されていることで反射光の対策することができる。風除け部材2Bの配置は、設置環境に合わせて選択することが好ましい。
【0048】
2-2.変形例2:風除け部材2Bの構成
実施形態では、風除け部材2Bが植物であるものとして説明したがこれに限定されるものではなく、人工樹木(造草、造木、造花)で構成してもよい。この構成であっても、実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 :発電部
1A :第1フロート
1B :ソーラパネル
2 :風除け部
2A :第2フロート
2B :風除け部材
2a :フロート
2a1 :配置部
2a2 :水溜部
2a3 :穴部
3 :介在部
3A :第3フロート
4 :係留部材
100 :フロート集合体
f :フロート
c :連結部材
Sp :隙間
4 :係留部材
図1
図2
図3
図4