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特開2024-79043新規イソインドリン化合物、顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタおよびセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079043
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】新規イソインドリン化合物、顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタおよびセンサ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240604BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240604BHJP
   C09C 3/00 20060101ALI20240604BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20240604BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240604BHJP
   C09B 57/04 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240604BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20240604BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/004 501
C09C3/00
C09D17/00
C09B67/20 J CSP
C09B57/04
H01L27/146 D
C07D403/14
C07D403/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191739
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】室星 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4C063
4J037
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BE13
2H148BE15
2H148BE22
2H148BG02
2H148BG11
2H148BH06
2H148BH12
2H148BH13
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC72
2H225AD06
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AM62P
2H225AM92P
2H225AN29P
2H225AN39P
2H225AN41P
2H225AN49P
2H225AN65P
2H225AN75P
2H225AN82P
2H225AN96P
2H225AN98P
2H225AP01P
2H225BA16P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB03
4C063CC29
4C063CC31
4C063DD07
4C063EE10
4J037CB07
4J037CB19
4J037CB28
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC07
4M118GD04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、高着色力と高透過率だけでなく、優れた耐熱性、耐光性および分散安定性を有し、異物が少ない新規イソインドリン化合物を提供することを目的とする。また、その新規イソインドリン化合物を用いた顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタ、およびセンサを提供することを目的とする。
【解決手段】具体的には、例えば下式のイソインドリン化合物が示される。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるイソインドリン化合物。
一般式(1)
【化1】

[式中、Aは一般式(2)~(5)で表されるいずれかの構造を表し、
【化2】

X、Y、Zの少なくとも1つは硫黄原子、残りは酸素原子を表し、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、アミド基、又はスルホンアミド基を表し、RとRは環構造を形成してもよく、R~R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミノ基、アミド基、又はアリール基を表し、R1216は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基又はアリール基を表す。]
【請求項2】
一般式(1)中のAが、一般式(3)、(4)、または(5)で表されるいずれかの構造である請求項1記載のイソインドリン化合物
【請求項3】
請求項1記載のイソインドリン化合物と、色素誘導体とを含有する顔料組成物。
【請求項4】
請求項1記載のイソインドリン化合物と、有機溶剤とを含有する着色組成物。
【請求項5】
さらに、重合性化合物および/または光重合性開始剤を含有する請求項4記載の着色組成物。
【請求項6】
着色組成物中の水分量が、着色組成物全体に対して0.1~2.0質量%である請求項4または5記載の着色組成物。
【請求項7】
着色組成物が、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Fe、Cr、およびZrから選ばれる金属原子を含む金属成分を含有し、着色組成物全体に対し、前記金属成分中の前記金属原子の合計量が1~1000質量ppmである請求項4または5記載の着色組成物。
【請求項8】
基材上に、請求項4または5記載の着色組成物により形成されてなる被膜を有するカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項8記載のカラーフィルタを有するセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イソインドリン化合物、顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタおよびセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、C-MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などのイメージセンサの需要が大きく伸びている。これらイメージセンサは、その受光素子上にB(青)、G(緑)、R(赤)の加法混合の原色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタをそれぞれ配設して色分解するのが一般的である。
【0003】
イメージセンサ用のカラーフィルタにおいては、薄膜化や色分解性の向上、色再現性の向上が求められており、各色フィルタセグメント形成に用いられる着色組成物には、高着色力、高透過率が必要とされる。特に着色組成物の高着色化のために、着色剤の高濃度化や高着色力の着色剤使用等が行われている。
【0004】
従来、赤色フィルタセグメントの製造には、赤色着色剤としてC.I.ピグメントレッド254が用いられてきたが、近年の強い薄膜化の要望に対しては着色力が満足いくものではなかった。また、高着色力の赤色着色剤としてC.I.ピグメントレッド272や特許文献1、特許文献2および特許文献3記載の色素の使用が検討されているが、高濃度化した際の分散体の安定性が悪い、600nm以上の透過率が低いなどの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-065115号公報
【特許文献2】国際公開第2020/040043号
【特許文献3】国際公開第2019/059075号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高着色力と高透過率だけでなく、優れた耐熱性、耐光性および分散安定性を有し、異物が少ない新規イソインドリン化合物を提供することを目的とする。また、その新規イソインドリン化合物を用いた顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタ、およびセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で表されるイソインドリン化合物を用いることにより高着色力と高透過率だけでなく、優れた耐熱性、耐光性および分散安定性を有し、異物が少ないことを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(1)で表されるイソインドリン化合物に関する。
【化1】

[式中、Aは一般式(2)~(5)で表されるいずれかの構造を表し、
【化2】

X、Y、Zの少なくとも1つは硫黄原子、残りは酸素原子を表し、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、アミド基、又はスルホンアミド基を表し、RとRは環構造を形成してもよく、R~R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミノ基、アミド基、又はアリール基を表し、R1216は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基又はアリール基を表す。]
【0009】
また、本発明は、一般式(1)中のAが、一般式(3)、(4)、または(5)で表されるいずれかの構造である前記イソインドリン化合物に関する。
【0010】
また、本発明は、前記イソインドリン化合物と、色素誘導体とを含有する顔料組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、前記イソインドリン化合物と、有機溶剤とを含有する着色組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、さらに重合性化合物および/または光重合性開始剤を含有する前記着色組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、着色組成物中の水分量が、着色組成物全体に対して0.1~2.0質量%である前記着色組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、着色組成物が、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Fe、Cr、およびZrから選ばれる金属原子を含む金属成分を含有し、着色組成物全体に対し、前記金属成分中の前記金属原子の合計量が1~1000質量ppmである前記着色組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、基材上に、前記着色組成物により形成されてなる被膜を有するカラーフィルタに関する。
【0016】
また、本発明は、前記カラーフィルタを有するセンサに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、高着色力と高透過率だけでなく、優れた耐熱性、耐光性および分散安定性を有し、異物が少ない新規イソインドリン化合物を提供することができる。また、その新規イソインドリン化合物を用いた顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタ、およびセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置の概略断面図を示す。
図2図2は実施例1で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
図3図3は実施例30で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
図4図4は実施例31で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
図5図5は実施例32で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
図6図6は実施例33で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
図7図7は実施例35で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
図8図8は実施例50で得たイソインドリン化合物のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。着色剤は、顔料および染料を含む。
【0020】
<イソインドリン化合物>
本発明は、下記一般式(1)で表されるイソインドリン化合物である。
本発明のイソインドリン化合物は、着色剤として用いることができる。
本発明のイソインドリン化合物は、高着色力、高透過率のためカラーフィルタ用着色剤として好適に用いることができる。特に固体撮像素子等のセンサーに用いられるカラーフィルタ用着色剤として好適に用いることができる。
分散安定性の観点から、一般式(1)中のAが、一般式(3)、(4)、または(5)で表されるいずれかの構造であるイソインドリン化合物が好ましい。また、一般式(1)および(2)におけるR~R11は、水素原子が好ましい。
【化3】

[式中、Aは一般式(2)~(5)で表されるいずれかの構造を表し、
【化4】
X、Y、Zの少なくとも1つは硫黄原子、残りは酸素原子を表し、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、アミド基、又はスルホンアミド基を表し、RとRは環構造を形成してもよく、R~R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミノ基、アミド基、又はアリール基を表し、R1216は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基又はアリール基を表す。]
【0021】
式(1)中、R~R16におけるアルキル基(-R)の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~4がさらに好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖構造、分岐構造、単環構造、又は縮合多環構造のいずれであってもよい。アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘキシルドデシル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、又は4-デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
上記アルキル基中の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、エステル基、スルホ基、スルフアニル基、スルフアモイル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基などの置換基で置換されてもよい。また、置換基は複数有していてもよい。なお、置換基は上記に限定されるものではない。
【0023】
上記アルキル基は、2以上のアルキル基(但し、一方はアルキレン基となる)が連結基を介して互いに結合した構造を有してもよい。連結基の具体例として、エステル結合(-COO-)、エーテル結合(-〇-)、スルフィド結合(-S-)が挙げられる。すなわち、本明細書において、アルキル基は、例えば、「-R’-O-R」で表される基が挙げられる(R’は上記アルキル基から水素原子を1つ除いた原子団を表す)。具体例として、-C-O-Cが挙げられる。
【0024】
式(1)中、R~R16におけるアリール基(-Ar)は、芳香族炭化水素から水素原子を1つ除いた原子団である。炭素数は6~30が好ましく、6~20がより好ましい上記アリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフェニリル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、へキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、又は才バレニル基等が挙げられる。これらの中でもフェニル基およびトリル基が好ましい。
【0025】
上記アリール基中の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、エステル基、スルホ基、スルフアニル基、スルフアモイル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基などの置換基で置換されてもよい。また、置換基は複数有していてもよい。なお、置換基は上記に限定されるものではない。
【0026】
式(1)中、R~RおよびR12~R16におけるハロゲン原子は、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
【0027】
式(1)中、R~RおよびR12~R16におけるアルコキシ基は、上述のアルキル基(-R)に酸素原子が結合した基(-OR)である。
【0028】
式(1)中、R~Rにおけるアリールオキシ基は、上述のアリール基(-Ar)に酸素原子が結合した基(-OAr)である。本明細書において、アリールオキシ基は、ベンジルオキシ基であることが好ましい。
【0029】
一般式(1)中のR~R16のアミノ基は特に限定されないが、例えば1級アミノ基、上述のアルキル基(-R)、アリール基(-Ar)、アルコキシ基(-OR)、アリールオキシ基(-OAr)が置換した2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、ピリジン、ピリミジン、ピぺリジン、モルフォリンまたはピラジン等の含窒素複素環などが挙げられる。これらの中でもジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびモノメチルアミノ基が好ましい。
【0030】
式(1)中、R~Rにおけるチオアルキル基は、上述のアルキル基(-R)に硫黄原子が結合した基(-SR)である。本明細書において、チオアルキル基は、チオメチル基であることが好ましい。
【0031】
式(1)中、R~Rにおけるチオアリール基は、上述のアリール基(-Ar)に硫黄原子が結合した基(-SAr)である。本明細書において、チオアリール基は、チオフェニル基であることが好ましい。
【0032】
式(1)中、R~R11におけるアミド基は、上述のアルキル基(-R)、アルキルアリール基(-Ar)もしくは水素にアミノケトンいずれかが結合した基(-NHCO-Rもしくは-NHCO-Arもしくは-NHCO-H)である。本明細書において、アミド基は、-NHCO-Hもしくは-NHCO-CH----であることが好ましい。
【0033】
式(1)中、R~Rにおけるスルホンアミド基は、上述のアミノ基とスルホン酸が結合した基である。本明細書において、スルホンアミド基は、-SO-NH、-SO-N(CHもしくは-SO-N(Cであることが好ましい。
【0034】
式(1)中、RとRは環構造を形成してもよく、炭素数1~10のアルキル基、またはハロゲン原子置換基を有する五員環または六員環を表し、環を形成する原子は、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子、窒素原子または硫黄原子である。
【0035】
本明細書において、式(1)中、R12~R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アセトキシ基、メトキシエトキシ基、上述のアルキル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、上述のアルコキシ基、フェニル基およびベンジルオキシ基からなる群から選択されることが好ましい。
【0036】
[一般式(1)の製造方法]
一般式(1)で表されるイソインドリン化合物は(以下、イソインドリン化合物(1)ともいう)公知の方法で合成できる。例えば、特開昭55-157657号公報、特開昭56-081369号公報、特開昭57-035565号公報、特開平03-153761号公報、特開昭54-091532号公報、特開昭60-058469号公報、特開2022-031604、特許7105024等が挙げられる。製造方法はこの方法に限定されるものではない。
【0037】
反応に用いる溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びグリコール等のアルコール;グリコールエーテル、及びテトラヒドロフラン等のエーテル;ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等の非環状又は環状のアミド;液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、非環状又は環状のアミドが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミドおよびN-メチルピロリドンがより好ましい。
【0038】
前述の溶媒を2種以上組み合わせてもよく、これらの中でも、水とN,N-ジメチルホルムアミドもしくはN-メチルピロリドンとの組み合わせがより好ましい。
【0039】
一般式(1)で表されるイソインドリン化合物の具体例を以下表1-1~表1-3に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
【表1-1】

*連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に環構造を形成
【0041】
【表1-2】
*連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に環構造を形成
【0042】
【表1-3】
*連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に環構造を形成
【0043】
着色力、透過率および分散安定性の観点から、イソインドリン化合物(A2-1、A2-2、A2-8)などが好ましく、イソインドリン化合物(A3-1、A3-15)なども好ましい。
異物の観点からは(A1-1、A1-14、A1-15、A1-16)が好ましい。
【0044】
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、イソインドリン化合物と、色素誘導体とを含有する。
【0045】
<色素誘導体>
本発明において、色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、またはリン酸基などの酸性置換基を有する化合物、ならびにこれらのアミン塩、スルホンアミド基、または末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0046】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体は、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体は、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体は、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体は、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体は、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体は、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体は、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体は、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体は、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体は、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体は、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基は、特開2004-307854号公報、塩基性置換基は、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0047】
本発明の顔料組成物に含まれる色素誘導体としては、有機色素残基としてジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キノフタロン系顔料やアゾ系顔料由来であるものが着色力や微細化効率、分散安定性の観点から好ましい。
【0048】
本発明の顔料組成物に含まれる色素誘導体は、本発明のイソインドリン化合物100質量部に対し、0~30質量部添加することが好ましく、1~20質量部添加することがより好ましい。
【0049】
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0050】
本発明のイソインドリン化合物(以下、顔料ともいう)に色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の顔料化処理を行う事で、顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化することができる。
【0051】
本発明の顔料組成物は、イソインドリン化合物粉末と色素誘導体の粉末を単に混合して調製してもよいが、ディソルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、アトライター、サンドミル、各種粉砕機等を用いて顔料粉末と色素誘導体の粉末を機械的に混合する方法、顔料の水または有機溶媒によるサスペンジョン系に色素誘導体を含む溶液を添加し、顔料表面に色素誘導体を沈着させる方法、硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に顔料と色素誘導体を共溶解して水等の貧溶媒により共沈させる方法などにより顔料組成物を得てもよい。
【0052】
(顔料の微細化)
本発明のイソインドリン化合物は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法およびアシッドペースティングいずれも使用できる。
【0053】
本発明で例示する湿式磨砕の1種であるソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサー等のバッチ式又は連続式混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0054】
水溶性無機塩は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部が好ましく、300~1000質量部がより好ましい。
【0055】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する。水溶性有機溶剤は、水に溶解(混和)し、水溶性無機塩を実質的に溶解しない化合物である。水溶性有機溶剤は、ソルトミリング時の温度上昇で揮発しにくい面で沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0056】
ソルトミリング処理の際、必要に応じて樹脂を添加できる。樹脂は、例えば、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ水溶性有機溶剤に一部可溶であることがより好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部が好ましい。
【0057】
イソインドリン化合物をソルトミリング処理することにより、より均一に微細化でき、着色力、透過率、分散体の安定性をバランスよく向上させることができる。
【0058】
アシッドペースティングによる微細化は、顔料を濃硫酸に溶解し、それを大過剰の水と混合することによって、微細な顔料粒子を析出させる。その後、濾過、及び水洗を繰り返し、乾燥することによって、微細化および金属分の少ない顔料粒子が得られる。
【0059】
アシッドペースティングは、例えば、顔料をその5~30質量倍の98%硫酸に溶解し、得られた硫酸溶液をその5~30質量倍の水と混合する方法が挙げられる。顔料を硫酸に溶解する時の温度は、原料の分解及びスルホン化などの反応が起こらなければよい。上記溶解時の温度は、例えば3~40℃が好ましい。また、顔料の硫酸溶液と水とを混合する方法、及び混合温度などの条件も特に限定されない。多くの場合、高温よりも低温で混合した時に、析出する顔料粒子は微細となる傾向がある。そのため、上記混合時の温度は、例えば0~60℃が好ましい。混合時に使用する水は、工業的に使用可能な水であればよい。ただし、析出時の温度上昇を低減する観点から、予め冷却した水が好ましい。
【0060】
硫酸溶液と水との混合方法は特に限定されず、顔料を完全に析出できればどのような方法で混合してもよい。例えば、硫酸溶液を予め調製した氷水に注入する方法、及びアスピレーターなどの装置を使用して流水中に連続的に注入する方法などによって顔料粒子を析出させることができる。
【0061】
以上の方法で得られたスラリーを濾過、洗浄して酸性成分を除去し、その後、乾燥、粉砕することによって、所望の粒子径に調整した顔料が得られる。スラリーを濾過する際に、硫酸溶液と水とを混合したスラリーをそのまま濾過してもよいが、スラリーの濾過性が悪い場合は、スラリーを加熱撹拌してから濾過してもよい。また、スラリーを塩基で中和した後に濾過してもよい。
【0062】
本発明のイソインドリン化合物または顔料組成物の平均一次粒子径は、5~100nmの範囲が好ましく、30~80nmがより好ましい。
【0063】
前記の平均一次粒子径は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の透過電子顕微鏡(TEM)H-7650を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の着色剤の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその着色剤一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の着色剤粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0064】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、イソインドリン化合物と、有機溶剤とを含有する。
必要に応じて、樹脂型分散剤、バインダ樹脂などの着色剤担体や、その他の着色剤を含んでも良い。
【0065】
上記の原料を、二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、色素誘導体が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち樹脂型分散剤の吸着が促進され、顔料、色素誘導体、樹脂型分散剤、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、着色組成物や後述する感光性着色組成物とした時の分散安定性や経時粘度安定性が向上する。また、相溶性が向上することで後述する感光性着色組成物をガラス基板等に塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、後述する感光性着色組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。また顔料表面が色素誘導体および樹脂型分散剤で吸着・被覆されることで、塗膜を加熱焼成した際の顔料の凝集や昇華による結晶析出を抑制できる。さらに現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
【0066】
<バインダ樹脂>
本明細書の着色組成物は、バインダ樹脂を含むことができる。バインダ樹脂は、400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上の樹脂である。なお、透過率は、95%以上が好ましい。バインダ樹脂は硬化性の面でいうと、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂、または熱硬化樹脂に活性エネルギー線反応性官能基を有しても良い。また、バインダ樹脂は、物性面でいうと、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性は、カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸性基が必要である。
【0067】
バインダ樹脂は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0068】
バインダ樹脂の含有量は、着色剤100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。適量含有すると被膜を容易に形成できる上、良好な色特性が得やすい。
【0069】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0070】
(活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂)
活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、例えば以下に示す(i) (ii)の方法で導入できる。活性エネルギー線による効果で樹脂は、3次元架橋されることで架橋密度が上がり、薬品耐性が向上する。
【0071】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合して得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させる。次いで、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させることで、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
【0072】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0073】
不飽和一塩基酸は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0074】
多塩基酸無水物は、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。
【0075】
他の単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0076】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0077】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合で得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
【0078】
[方法(ii)]
方法(ii)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法である。
【0079】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0080】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0081】
アルカリ可溶性樹脂を構成できるその他単量体は、既に説明したその他のエチレン性不飽和単量体に加え、N-置換マレイミド類、アルキレンオキシ基含有単量体、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
N-置換マレイミド類は、例えば、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等が挙げられる。アルキレンオキシ基含有単量体は、例えば、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0082】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、既に説明した単量体を使用できる。
【0083】
リン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体は、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和単量体の水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物である。
【0084】
(エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂)
本明細書の着色組成物は、被膜の硬化度を調整するために、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂を含有できる。
【0085】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2,000以上40,000以下であり、3,000以上30,000以下が好ましく、4,000以上20,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2,000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。40,000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上200以下(KOHmg/g)であり、70以上180以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。200を超えると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
【0086】
バインダ樹脂の合成に使用する各原料は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0087】
(熱硬化性化合物)
本発明においては、バインダ樹脂として熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことが出来る。本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
【0088】
熱硬化性化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のカラーフィルタ用着色組成物ではエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
【0089】
<樹脂型分散剤>
本発明の着色組成物には公知の樹脂型分散剤を用いることができる。樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものであれば良く、具体的には、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0090】
酸性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、芳香族カルボン酸構造を有する樹脂型分散剤が挙げられ、それらはWO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等の公知の方法で製造することができる。
【0091】
塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが挙げられる。
【0092】
また、特開2009-185277号公報に開示されている様に、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(樹脂型分散剤の機能を有する)とを併用することも好ましい例として挙げられる。
【0093】
樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して3~200質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5~100質量%程度使用することがより好ましい。
【0094】
<その他の着色剤>
本発明の着色組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の着色剤を含むことができる。その他の着色剤は、顔料であっても染料であっても良く、単独または2種類以上混合して用いることができる。その他の着色剤として、以下に具体例を示すが、これらに限定されない。
【0095】
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296、297特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等を挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、177、224、242、269、254、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、254、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料である。
【0096】
橙色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、71、又は73等を挙げることができる。
【0097】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、81などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
【0098】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、又は23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0099】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63、特開2017-111398号公報に記載された顔料などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン36、58、59、62、63、特開2017-111398号公報に記載された顔料である。
【0100】
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231、233、234,235、特開2012-226110号公報に記載された顔料等が挙げられる。好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231、233、特開2012-226110号公報に記載された顔料である。
【0101】
また、無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組合せて用いられる。
【0102】
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料の誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0103】
また、染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の場合、酸性染料の無機塩;酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物との造塩化合物;これらアミノ基を有する樹脂成分と酸性染料等の造塩化合物等が挙げられる。酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0104】
塩基性染料は、有機酸、もしくは過塩素酸、またはこれらの金属塩との造塩化合物が挙げられる。造塩化合物の中でも塩基性染料の造塩化合物は、各種耐性、顔料との相溶性に優れているために好ましい。
【0105】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料等が挙げられる。これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料がより好ましい。染料の具体的な構造は「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0106】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、ガラス等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0107】
有機溶剤としては、当該分野で通常使用される有機溶剤を用いることが出来、沸点、SP値、蒸発速度、粘度などの性能を勘案し、塗布条件(速度、乾燥条件など)に合わせて適宜、単独または混合して使用される。
【0108】
有機溶剤は、例えば、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、ベンジルアルコール、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N-メチルピロリドン、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0109】
上記の有機溶剤のうち、塗工用途の場合は、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
【0110】
<感光性着色組成物>
本発明の着色組成物は、さらに重合性化合物および/または光重合性開始剤を含むことができる。これにより、感光性着色組成物として用いることができる。
【0111】
<重合性化合物>
重合性化合物には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0112】
重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0113】
(酸基を有する重合性化合物)
重合性化合物は、酸基を有する光重合性単量体を含有できる。酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
【0114】
酸基を有する光重合性単量体は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。具体例は、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
【0115】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を有する単量体を含有できる。前記単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0116】
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0117】
また、多官能イソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0118】
重合性化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0119】
重合性化合物の配合量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、1~50質量%が好ましく、2~40質量部がより好ましい。適量配合すると硬化性及び現像性がより向上する。
【0120】
<光重合性開始剤>
光重合性開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。
【0121】
光重合性開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0122】
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。感光性着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
【0123】
オキシムエステル系化合物は、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合性開始剤が挙げられる。
【0124】
光重合性開始剤の含有量は、着色剤100質量部に対し、2~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性及び現像性がより向上する。
【0125】
<増感剤>
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0126】
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
【0127】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0128】
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0129】
増感剤の含有量は、光重合性開始剤100質量部に対し、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量含有すると硬化性、現像性がより向上する。
【0130】
<チオール系連鎖移動剤>
本発明の着色組成物は連鎖移動剤として、チオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。チオールを光重合性開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる着色組成物は高感度となる。
【0131】
また、チオール基が2個以上あるメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。より好ましくは、チオール基が4個以上ある多官能脂肪族チオールである。官能基数が増えることで、重合開始機能が向上し、パターンにおける表面から基材付近まで硬化させることができる。
【0132】
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0133】
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0134】
チオール系連鎖移動剤の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。適量含有すると光感度、テーパー形状が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
【0135】
<重合禁止剤>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有できる。これによりフォトリソグラフィー法の露光時にマスクの回折光による感光を抑制できるため、所望の形状のパターンが得やすくなる。
【0136】
重合禁止剤としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。
【0137】
重合禁止剤の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量部が好ましい。この範囲において、重合禁止剤の効果が大きくなり、テーパーの直線性や塗膜のシワ、パターン解像性等が良好になる。
【0138】
<紫外線吸収剤>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びサリシレート系化合物などが挙げられる。
【0139】
紫外線吸収剤の含有量は、光重合性開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。適量含有すると現像後の解像性がより向上する。
【0140】
また、光重合性開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましい。適量含有すると基板と被膜の密着性がより向上し、良好な解像性が得られる。
【0141】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0142】
トリアジン系化合物としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0143】
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0144】
サリチル酸エステル系化合物としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サリチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0145】
<酸化防止剤>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、着色組成物に含まれる光重合性開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を向上できる。特に着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜架橋成分量が少なくなるため高感度の架橋成分の使用や、光重合性開始剤の増量といった対応を取るため熱工程の黄変が強くなる現象が見られる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0146】
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0147】
ここれらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0148】
酸化防止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0149】
また酸化防止剤の含有量は、着色組成物の固形分100質量%中、0.5~5.0質量%の場合、透過率、分光特性、及び感度が良好であるためより好ましい。
【0150】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物の塗布性、着色被膜の乾燥性を良好することを目的として、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0151】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0152】
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK-300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ-7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0153】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレべリング剤が挙げられる。
【0154】
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC株式会社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム株式会社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
【0155】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0156】
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、2020G-HA、2025G、LS-106、LS-110、LS-114、MS-110、A-60、A-90、B-66、PP-290、ラテムルPD-420、PD-430、PD-430S、PD450、レオドールSP-L10、SP-P10、SP-S10V、SP-S20、SP-S30V、SP-O10V、SP-O30V、スーパーSP-L10、AS-10V、AO-10V、AO-15V、TW-L120、TW-L106、TW-P120、TW-S120V、TW-S320V、TW-O120V、TW-O106V、TW-IS399C、スーパーTW-L120、430V、440V、460V、MS-50、MS-60、MO-60、MS-165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH-25、CH-40、CH-60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニック(登録商標)L-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR-701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
【0157】
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0158】
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0159】
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0160】
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
【0161】
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0162】
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y-B、20N等が挙げられる。
【0163】
本発明の着色組成物に界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。この範囲内であることで、着色組成物の塗布性とパターン密着性、透過率のバランスが良好となる。
本発明の着色組成物は、界面活性剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0164】
<貯蔵安定剤>
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
【0165】
<密着向上剤>
本発明の着色組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
【0166】
密着向上剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
【0167】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤を、分散剤、バインダ樹脂などの着色剤担体及び/又は溶剤中に、好ましくは分散助剤(色素誘導体や界面活性剤)と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0168】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、重合性化合物及び/又は光重合性開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合性開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0169】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、重力加速度3000~25000Gの遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0170】
<着色組成物中の特定金属原子>
本発明の着色組成物は、着色剤の構成成分以外に少量のLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、Fe、Cr、およびZr(以下、特定金属原子ともいう)を含む金属成分が存在する場合がある。これら特定金属原子を含む金属成分が多く存在すると、保存安定性が阻害される場合、耐熱性が低下する場合、前述の感光性着色組成物中の形態で調製した際の感度低下を引き起こす場合がある。
また、このような特定金属原子を含む金属成分が多く存在する着色組成物を用いて作成したカラーフィルタは、異物が発生する場合があり、結果として透過率低下を引き起こしやすい。本発明の着色組成物に含まれる該金属成分中の特定金属原子の合計含有量は、着色組成物全体に対し、1~1000質量ppmであることが好ましい。
【0171】
本発明の着色組成物に含まれる特定金属原子の合計量は、着色組成物全体に対し、300質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属原子の合計量の下限は、特に限定されないが、着色組成物全体に対し、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れ、かつ異物の発生、透過率低下が少ないカラーフィルタを形成できる着色組成物を得ることができる。
【0172】
本発明の着色組成物に含まれる各特定金属原子の含有量は、着色組成物全体に対し、各々100質量ppm以下であることが好ましく、各々50質量ppm以下であることがより好ましい。
【0173】
また、着色剤構造の一部にNi、Zn、Cu、Al、Fe、Pt、およびCo等の金属原子が含まれる場合には、着色剤構造の一部を構成していないこれら金属原子が存在する場合がある。このような金属原子も少ない方がよく、以下の方法で特定金属原子と同様に取り除くことが出来る。さらに、Mn、Cs、Ti、Si、Pd等、着色組成物の各種原料の製造工程で用いる材料(たとえば触媒)等により混入してしまうものも、低濃度であることが好ましい。
【0174】
着色組成物に含まれる各種原料あるいは製造過程において装置から混入した金属原子を除去する方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報等による水洗による方法、特開2011-48736号公報に記載のマグネットによる磁性異物の除去等の方法が挙げられ、単独または複数の方法を適宜使用する。
【0175】
特定金属原子の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0176】
<着色組成物中の水分量>
本発明の着色組成物は、着色組成物に含まれる水分量が、着色組成物全体に対して0.1~2質量%であることが好ましい。
【0177】
水の含有量が、上記範囲内の着色組成物であると、経時保存後でも分散安定性・感度に優れる。
【0178】
着色組成物に含まれる水の含有量は、1.8質量%以下が好ましく、1.6質量%以下がより好ましく、この範囲の十分少ない水分量であれば、経時保存後でも分散安定性・感度に問題は起こりにくい。
【0179】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、感光性着色組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブスを投入し脱水する方法等が挙げられる。その中でも、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、製造する方法が好ましい。
【0180】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0181】
<着色組成物中のトルエン量>
本発明の着色組成物は、トルエンを含んでいても良く、含む場合はトルエンの含有量が0.1~10質量ppmであることが好ましい。トルエンの含有量の上限は、9質量ppm以下であることが好ましく、8質量ppm以下であることがより好ましく、7質量ppm以下であることが更に好ましい。下限は、0.2質量ppm以上であることが好ましく、0.3質量ppm以上であることがより好ましく、0.4質量ppm以上であることが更に好ましい。
【0182】
<膜>
本発明の着色組成物は、膜を形成して用いることができる。膜は、基材上に積層した状態で用いてもよく、膜を基材から剥離してもよい。また、膜は、平坦膜であってもパターンを形成した膜のいずれでもよいが、パターンを形成した膜が好ましい。
【0183】
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、蒸着や本発明の着色組成物を基材上に塗工する工程を経て製造できる。
【0184】
基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等の材質で構成された基板が挙げられる。これらの基材上には有機発光層が形成されてもよい。また、基材には、CCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0185】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0186】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0187】
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥する。
【0188】
以下、パターンを形成する方法について詳細に説明する。
【0189】
(フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合)
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基板上に本発明の着色組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて乾燥(プレベーク)した後、マスクを介してパターン状に露光し(露光工程)、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、必要に応じてパターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
【0190】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
【0191】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0192】
〔ポストベーク工程〕
現像後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。
温度は、80~300℃が好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。基材に耐熱性の低い素材を用いた場合や、光源として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた場合などは、温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0193】
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基板上に本発明の着色組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法を参酌できる。
【0194】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物により形成されてなる被膜を有する。
本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び青色フィルタセグメントを具備ことが好ましい。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、及び黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。
【0195】
(カラーフィルタの製造方法)
カラーフィルタは、まず基材上にブラックマトリクスを形成し、次いでフィルタセグメントを形成することが好ましい。なお、基材上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成してからブラックマトリクスを形成することができる。
ブラックマトリクスは、例えば、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が挙げられる。
【0196】
本発明のカラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、カラー液晶表示装置が製造される。このカラー液晶表示装置は、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【0197】
本明細書でカラーフィルタは、液晶表示装置以外に固体撮像素子、有機EL表示装置、量子ドット表示装置、電子ペーパー、ヘッドマウントディスプレイ等の用途に使用できる。カラーフィルタの配置は特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【0198】
<液晶表示装置>
本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置用途に使用することができる。
液晶表示装置は、カラーフィルタと、光源とを具備する。光源としては、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられるが、本発明においては赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDを使用することが好ましい。図1は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置10の概略断面図である。図1に示す装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および21を備え、それらの間には、液晶LCが封入されている。
【0199】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0200】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0201】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0202】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0203】
白色LED光源としては、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがあり、430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)や、430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)が好ましい。
【0204】
LED1としては、具体的にはNSSW306D-HG-V1(日亜化学社製)、NSSW304D-HG-V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0205】
LED2としては、具体的にはNSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0206】
<センサ>
本発明のセンサは、本発明のカラーフィルタを備えるものであれば特に制限されない。
本発明のセンサは、例えば、以下の構成が挙げられる。
【0207】
基板上に、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード、及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。
さらに、上記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板上に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【実施例0208】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例および比較例中、「部」とは「質量部」を意味する。
【0209】
(平均一次粒子径)
顔料粒子をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで200倍に希釈し、コロジオン支持膜付きメッシュにのせてサンプリングを行い、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM-1010」)で観察された像から求めた。
【0210】
(X線回折スペクトル測定)
Rigaku社製「SmartLab」を用いて測定を行った。データはベースライン補正および平滑化処理を行いピーク検出と半値幅を計算した。
【0211】
(バインダ樹脂、樹脂型分散剤の平均分子量)
バインダ樹脂、樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0212】
(バインダ樹脂、樹脂型分散剤の酸価)
バインダ樹脂、樹脂型分散剤溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
【0213】
(化合物の同定方法)
本発明に用いた化合物の同定には、Waters社製 UPLC (超高速高分離液体クロマトグラフィ)ACQUITY UPLS H-Class(使用カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column 130A、1.7Mm、2.1mmX50mm)/Ms TAP XEVO TQDを用い、目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
【0214】
(着色組成物の水分量の測定方法)
カールフィッシャー滴定装置(三菱化学社製の容量滴定式水分測定装置KF-06型)を用いて水分量(mg)を測定し、下記式により水分量(%)を算出した。
水分量(%)=〔水分量(mg)/測定サンプル量(mg)〕×100
【0215】
(着色組成物の特定金属原子の測定方法)
着色組成物の特定金属原子の量は、着色組成物を180℃で乾燥させた粉末を、マイク波にて分解した後、アジレントテクノロジー製ICP発光分析装置Varian720-ESにより測定した。
【0216】
続いて、実施例及び比較例で用いたバインダ樹脂溶液、樹脂型分散剤溶液、色素誘導体の製造について説明する。
【0217】
<バインダ樹脂溶液の製造>
(バインダ樹脂溶液1の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ジシクロペンタニルメタクリレート18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダ樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0218】
<樹脂型分散剤溶液の製造>
(樹脂型分散剤溶液1の調製)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート20部、2-メトキシエチルメタクリレート90部、tert-ブチルメタクリレート40部、n-ブチルアクリレート20部、tert-ブチルアクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8600の酸性官能基を有する樹脂型分散剤溶液1を得た。
【0219】
<色素誘導体の製造>
(色素誘導体Bの製造)
特許第4983061号の製造例6を参考にして、下記構造で表される色素誘導体Bを製造した。
【0220】
色素誘導体B
【化5】
【0221】
(色素誘導体Cの製造)
特許第1863188号の製造例3を参考にして、下記構造で表される色素誘導体Cを製造した。
【0222】
色素誘導体C
【化6】
【0223】
[実施例1]
(イソインドリン化合物(A1-1))
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した5Lの4口フラスコに、水1600部、80%酢酸1600部を加え、撹拌した。そこへ2-チオバルビツール酸ナトリウム89部を加え、85℃にて撹拌および溶解させた。そこへ1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリン50部を加え、85℃にて撹拌した。原料の1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。室温まで冷却後、N―メチルピロリドン、メタノール、ついで水2000部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物(A1-1)を91.50部(収率80%)得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-4に示す。
【0224】
イソインドリン化合物(A1-1)
【化7】
【0225】
[実施例2~16]
(イソインドリン化合物(A1-2~A1-16)の製造)
2-チオバルビツール酸を、X、Y、Z、R、Rが表1-4記載の置換基である下記一般式(6)で表される化合物に変更し、1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンを表1-4記載のイソインドリン種に変更し、実施例1と同様の方法および原料モル比率にて、イソインドリン化合物(A1-2)~(A1-16)を得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-4に示す。
【0226】
一般式(6)
【化8】
【0227】
【表1-4】
*連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に環構造を形成
【0228】
[実施例30]
(イソインドリン化合物(A2-1)の製造)
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した5Lの4口フラスコに、水1400部、1,3-ジイミノイソインドリン50部、28%アンモニア水200部の順に加え、撹拌した。そこへ2-シアノメチル-N-ジメチルアセトアミド41.71部を水200部に溶解させた溶液を、滴下漏斗にて30分かけて滴下した。30℃にて原料の、1,3-ジイミノイソインドリンが消失するまで加熱撹拌した。原料の消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ)にて確認した。この反応スラリーをブフナー漏斗にてろ別し、不揮発分を得た。この不揮発分を以下の反応に使用した。
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した5Lの4口フラスコに、原料として先の調整で得た不揮発分50.00部、水2400部、80%酢酸800部を加え、撹拌した。そこへ2-チオバルビツール酸ナトリウム39.76部を加え、85℃にて撹拌した。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。その後、室温まで冷却後、N―メチルピロリドン、メタノール、ついで水2000部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物(A2-1)を54.36部(収率27.5%)得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-5に示す。
【0229】
イソインドリン化合物(A2-1)
【化9】
【0230】
[実施例31~46]
(イソインドリン化合物(A2-2~A2-17)の製造)
2-チオバルビツール酸を、X、Y、Z、R、Rが表1-5記載の置換基である一般式(6)で表される化合物に変更し、2-シアノメチル-N-ジメチルアセトアミドを、R、RおよびRが表1-5記載の置換基である下記一般式(7)または(8)で表される化合物に変更し、1,3-ジイミノイソインドリンを表1-5記載のイソインドリン種に変更し、実施例30と同様の方法および原料モル比率にて、イソインドリン化合物(A2-2~A2-17)を得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-5に示す。
【0231】
一般式(7)
【化10】
【0232】
一般式(8)
【化11】
【0233】
【表1-5】
*連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に環構造を形成
【0234】
[実施例50]
(イソインドリン化合物(A3-1)の製造)
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した5Lの4口フラスコに、水1400部、1,3-ジイミノイソインドリン50部、28%アンモニア水200部の順に加え、撹拌した。そこへ3、4-ジヒドロ-4-オキソ-2-キナゾリンアセトニトリル68.9部を水200部に溶解させた溶液を、滴下漏斗にて30分かけて滴下した。30℃にて原料の、1,3-ジイミノイソインドリンが消失するまで加熱撹拌した。原料の消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ)にて確認した。この反応スラリーをブフナー漏斗にてろ別し、不揮発分を得た。この不揮発分を以下の反応に使用した。
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した5Lの4口フラスコに、原料として先の調整で得た不揮発分50.00部、水2400部、80%酢酸800部を加え、撹拌した。そこへ2-チオバルビツール酸ナトリウム30.49部を加え、85℃にて撹拌した。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。その後、室温まで冷却後、N―メチルピロリドン、メタノール、ついで水2000部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物(A3-1)を51.70部(収率63.0%)得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-6に示す。
【0235】
イソインドリン化合物(A3-1)
【化12】
【0236】
[実施例51~66]
(イソインドリン化合物(A3-2~A3-17)の製造)
2-チオバルビツール酸を、X、Y、Z、R、Rが表1-6記載の置換基である一般式(6)で表される化合物に変更し、3、4-ジヒドロ-4-オキソ-2-キナゾリンアセトニトリルを、R12~R16が表1-6記載の置換基である一般式(9)で表される化合物に変更し、1,3-ジイミノイソインドリンを表1-6記載のイソインドリン種に変更し、実施例50と同様の方法および原料モル比率にて、イソインドリン化合物(A3-2)~(A3-17)を得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-6に示す。
【0237】
一般式(9)
【化13】
【0238】
[比較例1]
(イソインドリン化合物(A3-18、C.I.ピグメントレッド260)の製造)
2-チオバルビツール酸を、X、Y、Z、R、Rが表1-6記載の置換基である一般式(6)で表される化合物に変更し、3、4-ジヒドロ-4-オキソ-2-キナゾリンアセトニトリルを、R12~R16が表1-6記載の置換基である一般式(9)で表される化合物に変更し、実施例50と同様の方法および原料モル比率にて、イソインドリン化合物(A3-18)を得た。UPLCによる質量分析の結果、得られた目的物のピークにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。結果を表1-6に示す。
【0239】
【表1-6】
*連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に環構造を形成
【0240】
<顔料組成物の調製>
[実施例101]
(顔料組成物(P1-1C)の調製)
イソインドリン化合物(A1-1)90部、色素誘導体C10部、塩化ナトリウム1000部、およびジエチレングリコール120部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。ろ過した後、水6Lの水洗を3回繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除去後、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕して95部の顔料組成物(P1-1C)を得た。
【0241】
[実施例102~317]
(顔料組成物(P1-2C~P1-16C、P2-1C~P2-17C、P3-1C~P3-17C)の調製)
イソインドリン化合物(A1-1)を表2に記載のイソインドリン化合物に変更した以外は実施例101と同様の方法により顔料組成物(P1-2C~P1-16C、P2-1C~P2-17C、P3-1C~P3-17C)を得た。
【0242】
[実施例401]
(顔料組成物(P3-1B)の調製)
色素誘導体Cを色素誘導体Bに変更した以外は実施例301と同様の方法により顔料組成物(P3-1B)を得た。
【0243】
[実施例402]
(顔料(P3-1)の調製)
イソインドリン化合物(A3-1)100部、塩化ナトリウム1000部、およびジエチレングリコール120部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。ろ過した後、水6Lの水洗を3回繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除去後、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕して95部の顔料(P3-1)を得た。
【0244】
[比較例11]
(顔料組成物(P-254C)の調製)
イソインドリン化合物(A1-1)をC.I.ピグメントレッド254(BASF社「Irgazin RED L3630」)に変更した以外は実施例101と同様の方法により顔料組成物(P-254C)を得た。
【0245】
[比較例12]
(顔料組成物(P-272C)の調製)
イソインドリン化合物(A1-1)をC.I.ピグメントレッド272(BASF社「Irgazin RED K3800」)に変更した以外は実施例101と同様の方法により顔料組成物(P-272C)を得た。
[比較例13]
(顔料組成物(P-260C)の調製)
イソインドリン化合物(A1-1)を(A3-18)に変更した以外は実施例101と同様の方法により顔料組成物(P-260C)を得た。
【0246】
<耐熱性評価>
実施例および比較例で得られた顔料組成物および顔料について、示差熱熱重量同時測定装置(リガク社製TG-DTA8122)を用い、熱重量損失を指標とした耐熱性の評価を行った。一回の測定に用いた試料量は5mgであった。窒素雰囲気下において30℃から毎分10℃の速度で昇温して500℃まで測定を行い、重量減少率が5%となる温度を求めた。
耐熱性の評価は下記の3段階で評価した。結果をまとめて表2に示す。
○:300℃以上(良好)
△:250℃以上、300℃未満(実用可)
×:250℃未満(不良)
【0247】
【表2】
【0248】
<着色組成物の製造>
[実施例501]
(着色組成物(RP1-1C))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ を用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(RP1-1C)を作製した。
顔料組成物(P1-1C) 12.6部 色素誘導体B 1.4部
樹脂型分散剤溶液1 12.0部
バインダ樹脂溶液1 6.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 68.0部
【0249】
[実施例502~516、601~617、701~717、801、802]
(着色組成物(RP1-2C~16C、RP2-1C~17C、RP3-1C~17C、RP3-1B、RP3-1))
顔料組成物(P1-1C)を表3に記載の顔料組成物または顔料に変更した以外は着色組成物(RP1-1C)と同様にして着色組成物(RP1-2C~16C、RP2-1C~17C、RP3-1C~17C、RP3-1B、RP3-1))を作製した。
実施例701の着色組成物(RP3-1C)は、全体に対して、水分量は1.1%、特定金属原子の合計量は190ppmであった。
【0250】
[実施例811]
(着色組成物(RP3-1CM)の作製)
着色組成物(RP3-1C)にモレキュラシーブを投入し、24時間放置したものを濾過して、着色組成物(RP3-1CM)とした。
着色組成物(RP3-1CM)全体に対して、水分量は0.11%、特定金属原子の合計量は145ppmであった。
【0251】
(顔料組成物の精製1)
顔料組成物(P3-1C)の製造において、水6Lの水洗3回を、水3Lの水洗1回に変更した以外は実施例301と同様の操作を行った。
【0252】
(顔料組成物の精製2)
微細化着色剤(P3-1C)の製造において、水6Lの水洗3回を、イオン交換水6Lの水洗3回に変更した以外は実施例101と同様の操作を行った。
【0253】
[実施例812]
(着色組成物(RP3-1CNA)の作製)
微細化着色剤(P3-1C)を、顔料組成物の精製1で得られた組成物に変更した以外は、着色組成物(RP3-1C)と同様にして着色組成物(RP3-1CNA)を得た。
着色組成物(RP3-1CNA)全体に対して、水分量は1.2%、特定金属原子の合計量は1030ppmであった。
【0254】
[実施例813]
(着色組成物(RP3-1CP)の作製)
微細化着色剤(P3-1C)を、顔料組成物の精製2で得られた組成物に変更した以外は、着色組成物(RP3-1C)と同様にして着色組成物(RP3-1CNP)を得た。
着色組成物(RP3-1CNP)全体に対して、水分量は1.0%、特定金属原子の合計量は35ppmであった。
【0255】
[比較例101]
(着色組成物(RP-254C)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ を用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(RP-1)を作製した。
顔料組成物(P-254C) 12.6部
色素誘導体B 1.4部
樹脂型分散剤溶液1 12.0部
バインダ樹脂溶液1 6.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 68.0部
【0256】
[比較例102]
(着色組成物(RP-272C)の作製)
顔料組成物(P-254C)を顔料組成物(P-272C)に変更した以外は、比較例101と同様の方法により着色組成物(RP-272C)を作製した。
[比較例103]
(着色組成物(RP-260C)の作製)
顔料組成物(P-254C)を顔料組成物(P-260C)に変更した以外は、比較例101と同様の方法により着色組成物(RP-260C)を作製した。
【0257】
<異物評価>
透明基板上に乾燥被膜が約2.0μmとなるように着色組成物を塗布し、オーブンで230℃1時間の熱処理を行い、被膜中の異物の数を計測した。評価は、金属顕微鏡「BX60」(オリンパスシステム社製)を用いて表面観察を行った。倍率は、500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を計測した。異物の数が10個以上、20個未満が実用上問題なく使用できる。
〇:異物の数が10個未満
△:異物の数が10個以上、20個未満
×:異物の数が20個以上
【0258】
<分散安定性評価>
(初期粘度、経時増粘率の測定)
着色組成物の粘度は、着色組成物調整当日に、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。そして、着色組成物調整当日から数えて7日間40℃で静置したものについて、25℃にサンプル温度を戻した後に、上記粘度測定法に従い、経時粘度を測定し、下式から経時増粘率を求めた。
経時増粘率=(経時粘度)/(初期粘度)×100(%)
【0259】
(初期粘度、経時増粘率の評価)
分散安定性に関しては、経時増粘率により評価を行った。結果を表3に示す。経時増粘率は80%以上120%未満であれば実用上耐えうる。この範囲を超え減粘又は増粘してしまうと、着色組成物をガラス基板に塗工するときに、同一の塗工条件で塗布することが出来ず、生産性に問題が出てきてしまう。より好ましくは、90%以上110%未満の範囲である。
○:経時増粘率90%以上110%未満
△:経時増粘率80%以上90%未満、または110%以上120%未満
×:経時増粘率80%未満、または120%以上
【0260】
【表3】
【0261】
表3に示す通り、実施例は、比較例102~3に対し、優れた分散安定性を示す。
【0262】
<黄色着色組成物の製造>
(着色組成物(YP-1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(YP-1)を作製した。

C.I.ピグメントレッドイエロー139 12.6部
(CINIC社製「Cinilex(R) Yellow SY3C」) 色素誘導体C 1.4部
樹脂型分散剤溶液1 12.0部
バインダ樹脂溶液1 6.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 68.0部
【0263】
<感光性着色組成物の製造>
[実施例901]
(感光性着色組成物(RR1-1C)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物(RR1-1C)を作製した。また、着色組成物(RR1-1C)と着色組成物(YP-1)は塗膜の400nmの透過率と530nmの透過率が5%となるように混合比率を調整した。

着色組成物(RR1-1C)と着色組成物(YP-1)の合計 72.86部
バインダ樹脂溶液1 1.40部
重合性化合物(東亞合成社製「アロニックスM-402」) 1.70部
光重合性開始剤(BASF社製「IRGACURE OXE-02」) 0.17部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 23.87部
【0264】
[実施例902~916、1001~1017、1101~1117、1201~1205、比較例201~203]
(感光性着色組成物(RR1-2C~RR1-16C、RR2-1C~RR2-17C、RR3-1C~RR3-17C、RR1-1B、RR1-1、RR1-1CM、RR1-1CNA、RR1-1CP、RR-254C、RR-272C、RR-260C)の作製)
着色組成物(RR1-1C)を表4記載の着色組成物に変更し、塗膜の400nmの透過率と530nmの透過率が5%となるように着色組成物(YP-1)との混合比率を変更した以外は、実施例901と同様の方法により感光性着色組成物(RR1-2C~RR1-16C、RR2-1C~RR2-17C、RR3-1C~RR3-17C、RR3-1B、RR3-1、RR3-1CM、RR3-1CNA、RR3-1CP、RR-254C、RR-272C、RR-260C)を作製した。
【0265】
<分散安定性評価>
得られた感光性着色組成物の分散安定性について、着色組成物の分散安定性と同様に測定し、下記の基準で3段階評価した。
○:経時増粘率95%以上105%未満
△:経時増粘率90%以上95%未満、または105%以上110%未満
×:経時増粘率90%未満、または110%以上
【0266】
<着色力評価>
得られた感光性着色組成物を、6インチガラスウエハ上に、平坦化膜用レジスト液(HL-18s:新日鐵化学社製)をスピンコート法により塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで6分加熱処理した。更に、230℃のオーブンにて1時間処理して、塗布膜を硬化させて1.0μmの平坦化膜を形成し、平坦化膜付きウエハを得た。次いで、得られたレジスト材を平坦化膜付ガラスウエハ上に、スピンコーターで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで1分加熱処理した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方の画素を形成するためのフォトマスクを通して露光量150mJ/cm2にてパターン露光を行った。露光後の塗膜を有機アルカリ現像液で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、さらに純粋にて20秒間水洗を行った。その後、ウエハ上に残った水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、正方形ピクセルパターンを形成させた。その後、230℃で20分加熱乾燥し評価基板を作成した。作成時、530nmの透過率が5%となるようにスピンコートの回転数を変更して調整した。
この塗膜の着色力について、下記の基準で3段階評価した。
○:膜厚が0.55μm未満
△:膜厚が0.55μm以上、0.60μm未満
×:膜厚が0.60μm以上
【0267】
<透過率評価>
先の塗膜の透過率について、下記の基準で3段階評価した。
○:600nmの透過率が90%以上
△:600nmの透過率が85%以上、90%未満
×:600nmの透過率が85%未満
【0268】
<耐光性評価>
得られた感光性着色組成物をそれぞれ、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで230℃で60分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、230℃での熱処理後で、膜厚が1.5μmとなるよう調整した。その基板上に紫外線カットフィルター(HOYA株式会社製「COLORED OPTICAL GLASS L38」)を貼り、470W/m2のキセノンランプを用いて紫外光を150時間照射した。紫外光照射前後の色度[L*(1)、a*(1)、b*(1)]を、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて測定し、下記式(1)により、色差ΔE*abを求めた。
式(1)
ΔE*ab=[[L*(2)-L*(1)]+[a*(2)-a*(1)]+[b*(2)-b*(1)]1/2
【0269】
耐光性は、下記基準に従って判定した。
〇:試験前後でのΔEが1.5未満 良好
△:試験前後でのΔEが1.5以上5.0未満 実用可
×:試験前後でのΔEが5.0以上 実用不可
【0270】
感光性着色組成物評価結果を表4に示す。
【0271】
【表4】
【0272】
以上のように、本発明のイソインドリン化合物により、優れた分散安定性、着色力、透過率、耐光性を示す着色組成物を得ることができる。
【0273】
さらに、これらの着色組成物を使用することで、薄膜化や色分解性の向上、色再現性の向上したイメージセンサ用のカラーフィルタおよびセンサを提供できる。
【0274】
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8