(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079045
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】重量計測装置、計測精度判定方法、および計測精度判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G01G 19/03 20060101AFI20240604BHJP
G01G 19/02 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01G19/03
G01G19/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191741
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 慎一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚良
(72)【発明者】
【氏名】那須 貴旭
(72)【発明者】
【氏名】前田(影本) 義明
(57)【要約】
【課題】特殊な車両の走行の有無にかかわらず、走行している車両の重量の計測に用いるセンサの計測精度が適正であるかどうかの判定が行える。
【解決手段】複数のセンサが、計測区間の路面に、車両の走行方向に並べて配置されている。センサ接続部には、各センサが接続され、それぞれのセンサが計測した荷重の計測信号が入力される。比率算出部は、計測区間を走行した車両について、センサ毎に、そのセンサを通過した車両のタイヤによる荷重に応じた重量を合計した合計重量と、各センサの合計重量の平均である平均重量との比率を重量比率として算出する。判定部は、センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された重量比率を基に判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測区間の路面に、車両の走行方向に並べて配置された複数のセンサで計測された通過する車両のタイヤによる荷重の計測信号が入力されるセンサ接続部と、
前記計測区間を走行した車両について、前記センサ毎に、そのセンサを通過した車両のタイヤによる荷重に応じた重量を合計した合計重量と、各センサの前記合計重量の平均である平均重量との比率を重量比率として算出する比率算出部と、
前記センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された前記重量比率を基に判定する判定部と、を備えた重量計測装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された前記重量比率の頻度分布の形状を基に判定する、請求項1に記載の重量計測装置。
【請求項3】
前記判定部は、頻度のピークを基準にした前記重量比率の頻度分布の形状の対称性の度合いによって、前記センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する、請求項2に記載の重量計測装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記重量比率の頻度分布の形状の対称性の度合いが、予め定めた対称性閾値を超えているかどうかによって、前記センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する、請求項3に記載の重量計測装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記重量比率の頻度分布の分散の大きさによって、前記センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する、請求項2に記載の重量計測装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記重量比率の頻度分布の分散が、予め定めた下限閾値と上限閾値との間であるかどうかによって、前記センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する、請求項5に記載の重量計測装置。
【請求項7】
前記センサは、前記計測区間を走行する車両の車軸に取り付けられている両側のタイヤによって押圧される、請求項1~6のいずれかに記載の重量計測装置。
【請求項8】
前記平均重量を、前記計測区間を走行した車両の重量として取得する取得部を備えた請求項7に記載の重量計測装置。
【請求項9】
前記センサは、車両の車幅方向に2列に並べて配置されており、
一方の列の前記センサは、前記計測区間を走行する車両の車軸に取り付けられている一方の側のタイヤによって押圧され、
他方の列の前記センサは、前記計測区間を走行する車両の車軸に取り付けられている他方の側のタイヤによって押圧される、請求項1~6のいずれかに記載の重量計測装置。
【請求項10】
前記一方の列の前記センサによる前記平均重量と、前記他方の列の前記センサによる前記平均重量との和を、前記計測区間を走行した車両の重量として取得する取得部を備えた請求項9に記載の重量計測装置。
【請求項11】
センサ接続部に入力された、計測区間の路面に、車両の走行方向に並べて配置された複数のセンサで計測された通過する車両のタイヤによる荷重の計測信号を処理し、前記計測区間を走行した車両について、前記センサ毎に、そのセンサを通過した車両のタイヤによる荷重に応じた重量を合計した合計重量と、各センサの前記合計重量の平均である平均重量との比率を重量比率として算出する比率算出ステップと、
前記センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された前記重量比率を基に判定する判定ステップと、をコンピュータが実行する計測精度判定方法。
【請求項12】
センサ接続部に入力された、計測区間の路面に、車両の走行方向に並べて配置された複数のセンサで計測された通過する車両のタイヤによる荷重の計測信号を処理し、前記計測区間を走行した車両について、前記センサ毎に、そのセンサを通過した車両のタイヤによる荷重に応じた重量を合計した合計重量と、各センサの前記合計重量の平均である平均重量との比率を重量比率として算出する比率算出ステップと、
前記センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された前記重量比率を基に判定する判定ステップと、をコンピュータに実行させる計測精度判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行している車両の重量の計測に用いられているセンサの計測精度が適正であるかどうかを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を走行している車両の重量を計測する装置があった。この装置は、車両の走行方向に並べて道路に埋設した複数(2つ以上)の軸重センサの計測信号を処理して、走行している車両の重量を計測する(特許文献1等参照)。軸重センサは、公知のように、車両の車軸毎に、その車軸に取り付けられている車輪が通過するときの垂直力(軸重)の計測に用いるセンサである。
【0003】
車軸の軸重は、車両の走行方向に並べて埋設された複数の軸重センサの計測信号を処理して算出される。例えば、車軸毎に、その車軸について複数の軸重センサで計測された軸重の平均値を、当該車軸の軸重として算出する。また、車両の重量は、その車両の車軸毎に算出された軸重の総和(合計)である。
【0004】
また、特許文献1には、車両の重量の計測を中断することなく、軸重センサ毎に、軸重の計測精度に応じて、感度補正を行う構成(補正係数を更新する構成)が記載されている。具体的には、特許文献1は、軸重センサ毎に、予め定めた特定車両(軸数、総重量等の車両データが既知である車両)が通過したときの計測データを用いて算出される車両の重量が真値になるように、感度を補正する補正係数を更新する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1における特定車両は、
(1)使用状況によって、総重量(各軸の軸重の合計値)が変化しない車両であること、
(2)軸数、軸間距離、軸重などが近似する他の車両が存在しない車両であること、
の条件を満足する車両でなければならない。
【0007】
したがって、貨物を積載するトラック、トレーラ等にかかる車両は、上記(1)の条件を満足しない。また、一般的な乗用車(自家用、および社用)は、上記(2)の条件を満足しない。このことから、特定車両は、一般的な車両ではなく、特殊な車両にせざるを得なかった。特許文献1では、自走式クレーンを特定車両にしている。
【0008】
特定車両が特殊な車両であると、今回の特定車両の走行から、次回の特定車両の走行までの期間が長くなることがある。特許文献1にかかる技術では、軸重センサの計測精度の低下を判定する期間が、今回の特定車両の走行から、次回の特定車両の走行までの期間になる。このため、特許文献1にかかる技術では、長期間にわたって、軸重センサの計測精度が低下しているかどうかを判定することができない事態も生じる。
【0009】
この発明の目的は、特殊な車両の走行の有無にかかわらず、走行している車両の重量の計測に用いるセンサの計測精度が適正であるかどうかの判定が行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の重量計測装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0011】
複数のセンサが、計測区間の路面に、車両の走行方向に並べて配置されている。各センサは、通過する車両のタイヤによる荷重(押圧力)を計測する。センサ接続部には、各センサが接続され、それぞれのセンサが計測した荷重の計測信号が入力される。
【0012】
センサは、車両の車軸に取り付けられている左右両側のタイヤによって押圧されるものであってもよいし、車両の車軸に取り付けられている片側のタイヤによって押圧されるものであってもよい。
【0013】
比率算出部は、計測区間を走行した車両について、センサ毎に、そのセンサを通過した車両のタイヤによる荷重に応じた重量を合計した合計重量と、各センサの合計重量の平均である平均重量との比率を重量比率として算出する。
【0014】
走行している車両は、振動している。タイヤが路面に加える荷重は、この車両の振動による影響を受け、ある程度の範囲で変動している。すなわち、センサで計測されたタイヤによる荷重の大きさから算出される重量も、車両の振動の影響を受けた値である。したがって、合計重量は、平均重量に比べて、車両の振動による影響が大きい値になる。また、平均重量は、車両の走行方向に並べて配置されているセンサの個数を多くするほど、車両の振動の影響が小さい値になる。
【0015】
判定部は、センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された重量比率を基に判定する。
【0016】
例えば、判定部は、センサの計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサについて算出された重量比率の頻度分布の形状を基に判定する。重量比率の頻度分布は、車両の振動による荷重の変動の分布とみなすことができる。また、車両の振動による荷重の変動の分布は、分散がある程度の大きさの正規分布に近似した分布である。したがって、センサの計測精度は、重量比率の頻度分布の形状を基に、適正であるかどうかを判定できる。すなわち、特殊な車両の走行の有無にかかわらず、走行している車両の重量の計測に用いるセンサの計測精度が適正であるかどうかの判定が行える。
【0017】
例えば、判定部は、頻度のピークを基準にした重量比率の頻度分布の形状の対称性の度合いによって、センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する構成にしてもよい。この場合、判定部は、重量比率の頻度分布の形状の対称性の度合いを算出し、ここで算出した度合いが、予め定めた対称性閾値を超えているかどうかによって、センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する構成にすればよい。
【0018】
また、例えば、判定部は、重量比率の頻度分布の分散の大きさによって、センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する構成にしてもよい。この場合、例えば、判定部は、重量比率の頻度分布の分散が、予め定めた下限閾値と上限閾値(下限閾値<上限閾値)との間であるかどうかによって、センサの計測精度が適正であるかどうかを判定する構成にすればよい。
【0019】
また、センサが、計測区間を走行する車両の車軸に取り付けられている両側のタイヤによって押圧されるものである場合(すなわち、センサが、所謂軸重センサである場合)、平均重量は、計測区間を走行した車両の重量として取得すればよい。
【0020】
また、センサが所謂輪重センサである場合、センサを車両の車幅方向に2列に並べて配置すればよい。この場合、一方の列のセンサは、計測区間を走行する車両の車軸に取り付けられている一方の側のタイヤによって押圧される位置に配置し、他方の列のセンサは、計測区間を走行する車両の車軸に取り付けられている他方の側のタイヤによって押圧される位置に配置すればよい。
【0021】
また、センサが所謂輪重センサである場合、一方の列のセンサによる平均重量と、他方の列のセンサによる平均重量との和を、計測区間を走行した車両の重量として取得すればよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、特殊な車両の走行の有無にかかわらず、走行している車両の重量の計測に用いるセンサの計測精度が適正であるかどうかの判定が行える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この例にかかる軸重計測装置を適用した、車両重量計測システムを示す概略図である。
【
図2】この例にかかる軸重計測装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(A)~(C)は、重量比率に対する車両の台数のヒストグラムの例を示す図である。
【
図5】この例にかかる軸重計測装置の計測処理を示すフローチャートである。
【
図6】この例にかかる軸重計測装置の計測精度判定処理を示すフローチャートである。
【
図7】変形例の車両重量計測システムを示す概略図である。
【
図8】変形理の統計データの例を示す図であり、
図8(A)は、右側重量データを示し、
図8(B)は、左側重量データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態にかかる軸重計測装置について説明する。
【0025】
<1.適用例>
図1は、この例にかかる軸重計測装置を適用した、車両重量計測システムを示す概略図である。
図1に示す車両重量計測システムは、軸重計測装置1と、3つの軸重センサ2~4と、2つの車両検知センサ6、7とを備えている。軸重センサ2~4、および車両検知センサ6、7は、軸重計測装置1に接続されている。この例では、軸重計測装置1が、この発明で言う、重量計測装置に相当する。また、この例では、軸重センサ2~4が、この発明で言うセンサに相当する。
【0026】
図1に示すように、車両検知センサ6、軸重センサ2、軸重センサ3、軸重センサ4、および車両検知センサ7が、この順番に車両100の走行方向に並べて道路に配置されている。車両100の軸重を計測する計測区間は、車両検知センサ6から車両検知センサ7に至る区間である。車両検知センサ6は、計測区間に進入する車両100を検出する。車両検知センサ7は、計測区間から退出する車両100を検出する。
【0027】
軸重センサ2~4は、計測区間の路面に配置され、計測区間を走行する車両100のタイヤに押圧されたときの荷重を計測する。軸重センサ2~4の車幅方向の長さは、この計測区間を走行する車両100の車軸に取り付けられている左右両側のタイヤ(車輪)が通過する長さである。すなわち、軸重センサ2~4は、計測区間を車両100が走行したとき、その車両100の車軸毎に、その車軸に取り付けられている左右両側のタイヤによって押圧される。言い換えれば、軸重センサ2~4は、計測区間を走行した車両100の車軸毎に、その車軸に取り付けられている左右両側のタイヤに押圧されたときの荷重を計測した計測信号を軸重計測装置1に出力する。軸重センサ2~4は、路面に埋設されていてもよいし、一部が路面に露出していてもよい。軸重センサ2~4は、荷重の計測が行えるセンサであればよく、特定の種類の素子を利用したセンサに限らない。
【0028】
車両検知センサ6、7は、例えばループコイルセンサであり、インダクタンスの変化を車両検知信号(車両100の有無を示す信号)として軸重計測装置1に出力する。
【0029】
なお、車両検知センサ6、7は、道路に埋設しない、光学式センサ、電波式センサ、超音波式センサ等であってもよい。また、軸重センサ2~4の検出出力を基に、車両100の分離を行う構成にしてもよい。この場合、車両検知センサ6、7を不要にできる。
【0030】
軸重計測装置1には、計測区間を走行した車両100の車軸毎に、軸重センサ2による計測信号、軸重センサ3による計測信号、および軸重センサ4による計測信号が入力される。
【0031】
車両100の走行方向における、軸重センサ2と軸重センサ3との距離L1と、軸重センサ3と軸重センサ4との距離L2と、は異なる長さである。走行している車両100は、路面の凹凸、速度、タイヤの空気圧等、様々な要因が複雑に影響しあって振動している。隣接する軸重センサ2と軸重センサ3との距離L1、および隣接する軸重センサ3と軸重センサ4との距離L2の両方が、車両100の振動波長の整数倍に近似すると、軸重の計測誤差が大きくなることがある。このため、この例では、隣接する軸重センサ2と軸重センサ3との距離L1、または隣接する軸重センサ3と軸重センサ4との距離L2の一方が車両100の振動波長の整数倍に近似しても、他方が車両100の振動波長の整数倍に近似しないように、距離L1と、距離L2とを異なる長さにしている。
【0032】
この例の軸重計測装置1は、軸重センサ2~4毎に、入力された計測信号に応じた計測値を蓄積的に記憶する。この例では、この計測値を、入力された計測信号を用いて算出した軸重として説明する。ただし、この計測値は、入力された計測信号に応じた値であればどのような値であってもよい。例えば、この計測値は、入力された計測信号のディジタル値であってもよい。
【0033】
走行している車両100は振動しているので、軸重センサ2~4の計測精度が適正であっても、計測された軸重の計測値にばらつきがある。この軸重の計測値のばらつきは、軸重センサ2~4の計測精度が適正であれば、ある程度の範囲に収まる(車両100の振動の大きさによっては、ある程度の範囲に収まらないこともある。)。
【0034】
軸重計測装置1は、軸重センサ2~4毎に、合計重量を算出する。具体的には、軸重計測装置1は、軸重センサ2で計測された各車軸の軸重の総和を軸重センサ2の合計重量として算出する。軸重計測装置1は、軸重センサ3で計測された各車軸の軸重の総和を軸重センサ3の合計重量として算出する。軸重計測装置1は、軸重センサ4で計測された各車軸の軸重の総和を軸重センサ4の合計重量として算出する。
【0035】
また、軸重計測装置1は、各軸重センサ2~4の合計重量の平均を平均重量として算出する。軸重計測装置1は、この平均重量を、計測区間を走行した車両100の重量として取得する。
【0036】
合計重量は、車両100の振動による影響が考慮されていない車両100の重量である。平均重量は、合計重量に比べて、車両100の振動による影響が低減された車両100の重量である。
【0037】
なお、計測区間に配置されている軸重センサの個数は、この例では3つであるが、2つ以上であればよい。軸重計測装置1は、計測区間に配置されている軸重センサの個数が多いほど、車両100の振動による影響を低減した車両100の重量(平均重量)を得ることができる。
【0038】
軸重計測装置1は、軸重センサ2~4毎に、その軸重センサ2~4で計測された車両100の合計重量と、平均重量との比率である重量比率を算出する。この例では、重量比率は、合計重量/平均重量とするが、平均重量/合計重量にしてもよい。
【0039】
軸重計測装置1は、軸重センサ2~4毎に、統計処理により得られる、予め定めた期間に、計測区間を走行した各車両100の重量比率のヒストグラムの形状を基に、計測精度が適正であるかどうかを判定する。
【0040】
これにより、軸重計測装置1は、特殊な車両100の走行の有無にかかわらず、走行している車両100の重量の計測に用いる軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかを判定できる。
【0041】
<2.構成例>
図2は、この例にかかる軸重計測装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例にかかる軸重計測装置1は、制御ユニット11と、軸重センサ接続部12と、ループコイルセンサ接続部13と、統計データベース14(統計DB14)と、出力部15と、を備えている。
【0042】
制御ユニット11は、この例にかかる軸重計測装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、軸重算出部21と、車両重量算出部22と、比率算出部23と、判定部24とを有している。この制御ユニット11は、特に図示していないが、後述する対称性閾値等を記憶する記憶領域を設けたメモリを有している。制御ユニット11が有する軸重算出部21、車両重量算出部22、比率算出部23、および判定部24の詳細については後述する。
【0043】
軸重センサ接続部12には、接続されている軸重センサ2~4の計測信号が入力される。軸重センサ接続部12は、入力された軸重センサ2~4の計測信号をディジタル値に変換して制御ユニット11に出力する。
【0044】
ループコイルセンサ接続部13には、車両検知センサ6、7が接続されている。ループコイルセンサ接続部13は、車両検知センサ6、7毎に、インダクタンスの変化を検出し、車両100の有無を示す車両検知信号を制御ユニット11に出力する。
【0045】
統計DB14には、計測区間を走行した車両100毎に、車両ID、走行日、走行時刻、軸重、合計重量、平均重量、および重量比率を対応付けた統計データが記憶される(
図3参照)。
【0046】
車両IDは、車両100が計測区間を走行したときに、その車両100に付与した番号である。車両IDは、車両100を特定するものではない。例えば、計測区間を走行した車両100に付与する車両IDは、前回付与した車両IDをインクリメント(+1)した番号である。また、車両IDの上位桁を計測区間の走行日にしてもよい。例えば、走行日が2022年11月1日である場合、車両IDを20221101******にしてもよい。車両IDの下桁の*****は、車両100が計測区間を走行したときに、インクリメントされる番号である。
【0047】
走行日は、車両100が計測区間を走行した年月日である。
【0048】
走行時刻は、車両100が計測区間を走行した時刻である。走行時刻は、例えば、車両100が計測区間に進入した時刻にしてもよいし、車両100が計測区間から退出した時刻にしてもよいし、車両100が計測区間に進入した時刻と、計測区間から退出した時刻との中間の時刻にしてもよい。
【0049】
軸重は、計測区間を走行した車両100の車軸毎に、各軸重センサ2~4で計測された荷重(その車軸に取り付けられている左右のタイヤによる荷重)に応じた重量(軸重)である。
図3に示す例の統計データは、計測区間を走行した車両100の車軸が3軸であった場合の例である。車軸が2本である車両100の場合、統計データには、第3軸にかかるデータが含まれない。また、車軸が4軸以上である車両100の場合、統計データには、車軸の本数に応じて第4軸、第5軸等にかかるデータが含まれる。
【0050】
図3に示すMA1は、軸重センサ2の計測信号から得られた車両100の第1軸の重量である。言い換えれば、MA1は、軸重センサ2で計測した車両100の第1軸の軸重である。また、MA2は、軸重センサ2の計測信号から得られた車両100の第2軸の軸重であり、MA3は、軸重センサ2の計測信号から得られた車両100の第3軸の軸重である。同様に、
図3に示すMB1は、軸重センサ3の計測信号から得られた車両100の第1軸の軸重であり、MB2は、軸重センサ3の計測信号から得られた車両100の第2軸の軸重であり、MB3は、軸重センサ3の計測信号から得られた車両100の第3軸の軸重である。
図3に示すMC1は、軸重センサ4の計測信号から得られた車両100の第1軸の軸重であり、MC2は、軸重センサ4の計測信号から得られた車両100の第2軸の軸重であり、MC3は、軸重センサ4の計測信号から得られた車両100の第3軸の軸重である。
【0051】
合計重量MAは、軸重センサ2で計測された車両100の各車軸の軸重の総和であり、軸重センサ2で計測された車両100の重量とみなすことができる。同様に、合計重量MBは、軸重センサ3で計測された車両100の各車軸の軸重の総和であり、軸重センサ3で計測された車両100の重量とみなすことができる。合計重量MCは、軸重センサ4で計測された車両100の各車軸の軸重の総和であり、軸重センサ4で計測された車両100の重量とみなすことができる。
【0052】
車軸が3軸である車両100は、
図3に示すように、
合計重量MA=MA1+MA2+MA3であり、
合計重量MB=MB1+MB2+MB3であり、
合計重量MC=MC1+MC2+MC3である。
【0053】
平均重量Mavは、合計重量MA、合計重量MB、および合計重量MCの平均である。すなわち、
平均重量Mav=(合計重量MA+合計重量MB+合計重量MC)/3
である。
【0054】
上述した通り、合計重量MA、MB、MCは、個々の軸重センサ2~4で計測された車両100の重量であり、平均重量Mavは、個々の軸重センサ2~4で計測された車両100の重量の平均値である。したがって、合計重量MA、MB、MCは、車両100の振動による影響が考慮されていない車両100の重量である。平均重量Mavは、合計重量MA、MB、MCに比べて、車両100の振動による影響が低減された車両100の重量である。
【0055】
重量比率は、軸重センサ2~4毎に、その軸重センサ2~4で計測された車両100の合計重量MA、MB、MCと、平均重量Mavとの比率である。具体的には、軸重センサ2の重量比率は、MA/Mavであり、軸重センサ3の重量比率は、MB/Mavであり、軸重センサ4の重量比率は、MC/Mavである。
【0056】
軸重センサ2の計測精度が適正である場合、軸重センサ2の重量比率(MA/Mav)は、車両100の振動が、軸重センサ2で計測された車両100の重量(MA)に与えた影響の大きさとみなすことができる。同様に、軸重センサ3の計測精度が適正である場合、軸重センサ3の重量比率(MB/Mav)は、車両100の振動が、軸重センサ3で計測された車両100の重量(MB)に与えた影響の大きさとみなすことができる。また、軸重センサ4の計測精度が適正である場合、軸重センサ4の重量比率(MC/Mav)は、車両100の振動が、軸重センサ4で計測された車両100の重量(MC)に与えた影響の大きさとみなすことができる。
【0057】
出力部15は、軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかを判定した判定結果、計測区間を走行した車両100の重量(上記した平均重量Mav)等を上位装置(不図示)に出力する。
【0058】
次に、制御ユニット11が有する軸重算出部21、車両重量算出部22、比率算出部23、および判定部24について説明する。
【0059】
軸重算出部21は、軸重センサ2の計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の軸重(
図3に示したMA1~MA3)を算出する。また、軸重算出部21は、軸重センサ3の計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の軸重(
図3に示したMB1~MB3)を算出する。また、軸重算出部21は、軸重センサ4の計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の軸重(
図3に示したMC1~MC3)を算出する。
【0060】
車両重量算出部22は、上記した合計重量(
図3に示したMA、MB、MC)、および平均重量(
図3に示したMav)を算出する。
【0061】
比率算出部23は、軸重センサ2~4毎に、重量比率(
図3に示したMA/Mav、MB/Mav、MC/Mav)を算出する。
【0062】
なお、重量比率は、Mav/MA、Mav/MB、Mav/MCとしてもよい。
【0063】
判定部24は、統計DB14に記録されている統計データを処理し、軸重センサ2~4毎に、計測精度が適正であるかどうかを判定する。
【0064】
判定部24は、軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかの判定に用いる車両100の統計データ(対象統計データ)を統計DB14から抽出する。例えば、対象統計データは、設定期間(例えば、直近1週間、直近1カ月)に計測区間を走行した車両100の統計データとしてもよいし、設定台数(例えば、直近5000台、直近10000台)の統計データとしてもよい。
【0065】
判定部24は、軸重センサ2~4毎に、重量比率に対する車両100の台数のヒストグラム(この発明で言う、重量比率の頻度分布に相当する。)を生成する。
図4(A)~(C)は、重量比率に対する車両の台数のヒストグラムの例を示す図である。
図4(A)は、軸重センサの計測精度が適正である場合の重量比率に対する車両の台数のヒストグラムの例である。
図4(B)、(C)は、軸重センサの計測精度が適正でない場合の重量比率に対する車両の台数のヒストグラムの例である。
【0066】
軸重センサ2~4によって計測された合計重量は、車両100の振動の影響を受けた重量である。車両100の振動が軸重センサ2~4に与える影響の大きさの頻度分布は、分散がある程度の大きさの正規分布に近似する。各軸重センサ2~4の重量比率の頻度分布は、車両100の振動による荷重の変動の分布とみなすことができる。したがって、計測精度が適正である軸重センサ2~4では、重量比率の頻度分布の形状が、分散がある程度の大きさの正規分布に近似する。逆に言えば、計測精度が適正でない軸重センサ2~4では、重量比率の頻度分布の形状が、分散がある程度の大きさの正規分布に近似しない。
【0067】
例えば、
図4(A)に示すように、軸重センサの計測精度が適正である場合、ヒストグラムは、車両100の台数がピークである重量比率を基準にした左側と、右側とが略対称な形状になる。一方、
図4(B)、(C)に示すように、軸重センサの計測精度が適正でない場合、ヒストグラムは、車両100の台数がピークである重量比率を基準にした左側と、右側とが非対称な形状になる。
【0068】
軸重センサの計測精度は、適正である第1レベルから、不適正である第2レベルに一気に低下するわけではなく、第1レベルから第2レベルに徐々に低下する。したがって、計測精度が適正でない軸重センサ2~4であっても、重量比率の頻度分布の生成のために抽出した対象統計データの中には、計測精度が適正であったときの統計データが含まれている。このため、計測精度が適正でない軸重センサは、
図4(B)、(C)に示すように、重量比率の頻度分布の形状が、分散がある程度の大きさの正規分布に近似しない。
【0069】
判定部24は、軸重センサ2~4毎に、その軸重センサ2~4における重量比率の頻度分布の形状を基に、計測精度が適正であるかどうかを判定する。
【0070】
軸重計測装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる計測精度判定プログラムを実行したときに、軸重算出部21、車両重量算出部22、比率算出部23、および判定部24として動作する。また、メモリは、この発明にかかる計測精度判定プログラムを展開する領域や、この計測精度判定プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる計測精度判定方法を実行するコンピュータである。
【0071】
<3.動作例>
この例にかかる軸重計測装置1は、計測区間を走行した車両100の軸重等を計測する計測処理、および軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかを判定する計測精度判定処理を行う。
【0072】
図5は、この例にかかる軸重計測装置の計測処理を示すフローチャートである。軸重計測装置1は、測定区間に車両100が進入するのを待つ(s1)。制御ユニット11は、ループコイルセンサ接続部13に接続されている車両検知センサ6のインダクタンスの変化により、測定区間に車両100が進入したことを検知する。
【0073】
軸重算出部21は、測定区間に車両100が進入したことが検知されると、軸重センサ接続部12に接続されている軸重センサ2~4の計測信号をメモリに記憶する処理を開始する(s2)。軸重センサ2~4の計測信号を記憶する時間間隔は、例えば数十msec~数100msecである。
【0074】
軸重算出部21は、測定区間から車両100が退出したことが検出されると(s3)、s2で開始した軸重センサ2~4の計測信号をメモリに記憶する処理を終了する(s4)。軸重算出部21は、軸重センサ2~4毎に、メモリに蓄積的に記憶した計測信号を処理し、各車軸の軸重を算出する(s5)。
【0075】
各軸重センサは、車両100の車軸(車輪)が通過するときに、計測信号が変化する。したがって、軸重算出部21は、軸重センサ2~4の計測信号が変化した箇所をカウントすることにより、車両100の車軸の本数を得ることができる。また、軸重算出部21は、軸重センサ2~4に、各車軸の車輪が通過したときの計測信号を抽出し、軸重(例えば、
図3に示したMA1~MA3、MB1~MB3、MC1~MC3)を算出することができる。
【0076】
車両重量算出部22は、今回測定区間を通過した車両100について、各軸重センサ2~4の合計重量MA、MB、MCの算出、および平均重量Mavの算出を行う(s6)。軸重センサ2の合計重量MAは、今回測定区間を通過した車両100について、軸重センサ2で計測された、この車両100の各車軸の軸重の総和である。軸重センサ3の合計重量MBは、今回測定区間を通過した車両100について、軸重センサ3で計測された、この車両100の各車軸の軸重の総和である。軸重センサ4の合計重量MCは、今回測定区間を通過した車両100について、軸重センサ4で計測された、この車両100の各車軸の軸重の総和である。
【0077】
また、平均重量Mavは、各軸重センサ2~4の合計重量MA、MB、MCの平均である。
【0078】
比率算出部23は、軸重センサ2~4毎に、重量比率を算出する(s7)。軸重計測装置1は、今回測定区間を走行した車両100について、
図3に示した統計データを生成し、生成した統計データを統計DB14に記憶させ(s8)、s1に戻る。
【0079】
このように、この例の軸重計測装置1は、測定区間を走行した車両100毎に、
図3に示した統計データを生成する。統計DB14には、測定区間を通過した車両100毎に、その車両100について生成された統計データが記憶される。
【0080】
また、軸重計測装置1は、車両100が測定区間を走行する毎に、その車両100の重量(s6で算出した、平均重量Mav)を出力部15において、出力してもよい。
【0081】
また、統計DB14に記憶されている統計データは、道路の補修工事等の要否を判断するのに有益な情報として利用できる。
【0082】
次に、この例にかかる軸重計測装置1の計測精度判定処理について説明する。この計測精度判定処理は、軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかを判定する処理である。
図6は、計測精度判定処理を示すフローチャートである。
【0083】
判定部24は、軸重センサ2~4の計測精度を判定する判定タイミングであるかどうかを判定する(s11)。判定タイミングは、例えば、毎週月曜日の午前0:00、毎月1日の午前0:00、毎月1日の午前0:00にしてもよいし、前回の計測精度判定処理の終了から計測区間を走行した車両100の台数が設定台数(500台、1000台)に達したタイミングにしてもよいし、管理者によって指示されたタイミングにしてもよいし、その他のタイミングにしてもよい。
【0084】
判定部24は、判定タイミングであると判定すると、統計DB14に記憶されている統計データの中から、対象統計データを抽出する(s12)。例えば、判定部24は、例えば、直近1週間や直近1カ月の間に計測区間を走行した車両100の統計データを対象統計データとして抽出してもよいし、例えば、直近5000台や直近10000台の車両100の統計データを対象統計データとして抽出してもよい。
【0085】
判定部24は、計測精度が適正であるかどうかを判定する判定対象の軸重センサを決定する(s13)。s13では、軸重計測装置1の軸重センサ接続部12に接続されている軸重センサ2~4であって、今回の計測精度判定処理で計測精度が適正であるかどうかを判定していない軸重センサ2~4(未判定の軸重センサ2~4)の1つを、判定対象の軸重センサに決定する。
【0086】
判定部24は、s13で決定した判定対象の軸重センサについて、重量比率の頻度分布を生成する(s14)。s14では、s12で抽出した対象統計データで、重量比率の頻度分布を生成する。
【0087】
判定部24は、判定対象の軸重センサについて、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せるかどうかを判定する(s15)。
【0088】
s15では、例えば、s14で生成した頻度分布におけるピーク(車両100の台数が最大であった重量比率)を基準(中心)にして分割した左側の分布形状と、右側の分布形状との対称性の度合いを算出する。判定部24は、例えば、左側の分布形状と、左右反転させた左側の分布形状との類似度を、左側の分布形状と、右側の分布形状との対称性の度合いとして算出する。判定部24は、算出した対称性の度合いが、予め定めた対称性閾値を超えていれば、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せると判定する。反対に、判定部24は、算出した対称性の度合いが、予め定めた対称性閾値を超えていなければ、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せないと判定する。
【0089】
また、判定部24は、s14で生成した頻度分布の分散δ2を算出し、ここで算出した分散δ2が予め定めた上限閾値と、下限閾値との間の値であれば、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せると判定してもよい。反対に、判定部24は、算出した分散δ2が予め定めた上限閾値と、下限閾値との間の値でなければ、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せないと判定する。
【0090】
なお、判定部24は、分散δ2ではなく、標準偏差δを算出し、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せるかどうかを標準偏差δで判定してもよい。また、重量比率の頻度分布の尖度や、歪度等を用いて、この頻度分布が正規分布と見做せるかどうかを判定してもよい。
【0091】
また、判定部24は、上記した分布形状の対称性の度合いが対称性閾値を超えており、且つ、分散δ2が予め定めた上限閾値と、下限閾値との間の値である場合に、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せると判定する構成にしてもよい。言い換えれば、判定部24は、上記した分布形状の対称性の度合いが対称性閾値を超えていない場合や、分散δ2が予め定めた上限閾値と、下限閾値との間の値でない場合に、s14で生成した重量比率の頻度分布を正規分布と見做せないと判定する構成にしてもよい。さらには、重量比率の頻度分布の尖度や、歪度等を加えて、この頻度分布が正規分布と見做せるかどうかを判定してもよい。
【0092】
判定部24は、重量比率の頻度分布を正規分布と見做せると判定すると、判定対象の軸重センサの計測精度が適正であると判定する(s16)。反対に、判定部24は、重量比率の頻度分布を正規分布と見做せないと判定すると、判定対象の軸重センサの計測精度が適正でないと判定する(s17)。
【0093】
判定部24は、計測精度が適正であるかどうかを判定していない未判定の軸重センサの有無を判定する(s18)。判定部24は、未判定の軸重センサがあれば、s13に戻って、上記処理を繰り返す。判定部24は、未判定の軸重センサがあれば、軸重センサ2~4毎に、計測精度が適正であるかどうかを判定した今回の判定結果を対応づけて、上位装置に出力し(s19)、s1に戻る。
【0094】
このように、この例の軸重計測装置1は、特殊な車両の走行の有無にかかわらず、走行している車両100の重量の計測に用いる軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかの判定を行える。
【0095】
また、軸重センサ2~4の計測精度が適正であるかどうかの判定を定期的に行ったり、管理者が指定したタイミングで行ったりすることができる。
【0096】
<4.変形例>
次に、変形例の車両重量計測システムについて説明する。
図7は、変形例の車両重量計測システムを示す概略図である。
【0097】
この変形例の車両重量計測システムは、軸重センサ2が一対の輪重センサ2R、2Lで構成され、軸重センサ3が一対の輪重センサ3R、3Lで構成され、軸重センサ4が一対の輪重センサ4R、4Lで構成されている点で、上記の例と相違する。
【0098】
軸重センサ2は、一対の輪重センサ2R、2Lを、道路を走行する車両100の車幅方向に並べたものである。同様に、軸重センサ3は、一対の輪重センサ3R、3Lを、道路を走行する車両100の車幅方向に並べたものであり、軸重センサ4は、一対の輪重センサ4R、4Lを、道路を走行する車両100の車幅方向に並べたものである。輪重センサ2R~4Rは、車両100の右側のタイヤが通過する位置に配置している。また、輪重センサ2L~4Lは、車両100の左側のタイヤが通過する位置に配置している。輪重センサ2R~4R、2L~4Lは、例えば圧電センサであり、タイヤの通過時の押圧力に応じた計測信号を軸重計測装置1に出力する。
【0099】
この変形例の軸重計測装置1は、上記の例と同様に、
図2に示した構成である。但し、軸重センサ接続部12には、輪重センサ2R~4R、2L~4Lが接続されている点で、上記の例と相違する。
【0100】
また、この変形例の軸重計測装置1は、統計データとして、車両100毎に、右側重量データと、左側重量データとを対にして統計DB14に記憶する。
図8(A)は、右側重量データを示す図であり、
図8(B)は、左側重量データを示す図である。
【0101】
一対の右側重量データ、および左側重量データは、車両ID、走行日、および走行時刻は、同一である。右側重量データ、および左側重量データの車両ID、走行日、および走行時刻は、上記した例と同様である。
【0102】
右側重量データは、輪重センサ2R~4Rの計測信号を基に生成される。また、左側重量データは、輪重センサ2L~4Lの計測信号を基に生成される。右側重量データの輪重は、計測区間を走行した車両100の車軸毎に、各輪重センサ2R~4Rで計測された荷重(その車軸に取り付けられている右側のタイヤによる荷重)に応じた重量(輪重)である。
図8(A)に示す例の右側重量データ、および
図8(B)に示す例の左側重量データは、計測区間を走行した車両100の車軸が3軸であった場合の例である。車軸が2本である車両100の場合、右側重量データ、および左側重量データには、第3軸にかかるデータが含まれない。また、車軸が4軸以上である車両100の場合、右側重量データ、および左側重量データには、車軸の本数に応じて第4軸、第5軸等にかかるデータが含まれる。
【0103】
図8(A)に示すRMA1は、輪重センサ2Rの計測信号から得られた車両100の第1軸の右側のタイヤの輪重である。言い換えれば、RMA1は、輪重センサ2Rで計測した車両100の第1軸の右側のタイヤの輪重である。また、RMA2は、輪重センサ2Rの計測信号から得られた車両100の第2軸の右側のタイヤの輪重であり、RMA3は、輪重センサ2Rの計測信号から得られた車両100の第3軸の右側のタイヤの輪重である。同様に、
図8(A)に示すRMB1は、輪重センサ3Rの計測信号から得られた車両100の第1軸の右側のタイヤの輪重であり、RMB2は、輪重センサ3Rの計測信号から得られた車両100の第2軸の右側のタイヤの輪重であり、RMB3は、輪重センサ3Rの計測信号から得られた車両100の第3軸の右側のタイヤの輪重である。
図8(A)に示すRMC1は、輪重センサ4Rの計測信号から得られた車両100の第1軸の右側のタイヤの輪重であり、RMC2は、輪重センサ4Rの計測信号から得られた車両100の第2軸の右側のタイヤの輪重であり、RMC3は、輪重センサ4Rの計測信号から得られた車両100の第3軸の右側のタイヤの輪重である。
【0104】
右合計重量RMAは、輪重センサ2Rで計測された車両100の各車軸の右側のタイヤの輪重の総和であり、輪重センサ2Rで計測された車両100の右側の重量とみなすことができる。同様に、右合計重量RMBは、輪重センサ3Rで計測された車両100の各車軸の右側のタイヤの輪重の総和であり、輪重センサ3Rで計測された車両100の右側の重量とみなすことができる。右合計重量RMCは、輪重センサ4Rで計測された車両100の各車軸の右側のタイヤの輪重の総和であり、輪重センサ4Rで計測された車両100の右側の重量とみなすことができる。
【0105】
車軸が3軸である車両100は、
図8(A)に示すように、
右合計重量RMA=RMA1+RMA2+RMA3であり、
右合計重量RMB=RMB1+RMB2+RMB3であり、
右合計重量RMC=RMC1+RMC2+RMC3である。
【0106】
右平均重量RMavは、右合計重量RMA、右合計重量RMB、および右合計重量RMCの平均である。すなわち、
右平均重量RMav
=(右合計重量RMA+右合計重量RMB+右合計重量RMC)/3
である。
【0107】
上述した通り、右合計重量RMA、RMB、RMCは、個々の輪重センサ2R~4Rで計測された車両100の右側の重量であり、右平均重量RMavは、個々の輪重センサ2R~4Rで計測された車両100の右側の重量の平均値である。したがって、右合計重量RMA、RMB、RMCは、車両100の振動による影響が考慮されていない車両100の右側の重量である。右平均重量RMavは、右合計重量RMA、RMB、RMCに比べて、車両100の振動による影響が低減された車両100の右側の重量である。
【0108】
右重量比率は、輪重センサ2R~4R毎に、その輪重センサ2R~4Rで計測された車両100の右合計重量RMA、RMB、RMCと、右平均重量RMavとの比率である。具体的には、輪重センサ2Rの右重量比率は、RMA/RMavであり、輪重センサ3Rの右重量比率は、RMB/RMavであり、輪重センサ4Rの右重量比率は、RMC/RMavである。
【0109】
輪重センサ2Rの計測精度が適正である場合、輪重センサ2Rの右重量比率(RMA/RMav)は、車両100の振動が、輪重センサ2Rで計測された車両100の右側の重量(RMA)に与えた影響の大きさとみなすことができる。同様に、輪重センサ3Rの計測精度が適正である場合、輪重センサ3Rの右重量比率(RMB/RMav)は、車両100の振動が、輪重センサ3Rで計測された車両100の右側の重量(RMB)に与えた影響の大きさとみなすことができる。また、輪重センサ4Rの計測精度が適正である場合、輪重センサ4Rの右重量比率(RMC/RMav)は、車両100の振動が、輪重センサ4Rで計測された車両100の右側の重量(RMC)に与えた影響の大きさとみなすことができる。
【0110】
また、
図8(B)に示すLMA1は、輪重センサ2Lの計測信号から得られた車両100の第1軸の左側のタイヤの輪重である。言い換えれば、LMA1は、輪重センサ2Lで計測した車両100の第1軸の左側のタイヤの輪重である。また、LMA2は、輪重センサ2Lの計測信号から得られた車両100の第2軸の左側のタイヤの輪重であり、LMA3は、輪重センサ2Lの計測信号から得られた車両100の第3軸の左側のタイヤの輪重である。同様に、
図8(B)に示すLMB1は、輪重センサ3Lの計測信号から得られた車両100の第1軸の左側のタイヤの輪重であり、LMB2は、輪重センサ3Lの計測信号から得られた車両100の第2軸の左側のタイヤの輪重であり、LMB3は、輪重センサ3Lの計測信号から得られた車両100の第3軸の左側のタイヤの輪重である。
図8(B)に示すLMC1は、輪重センサ4Lの計測信号から得られた車両100の第1軸の左側のタイヤの輪重であり、LMC2は、輪重センサ4Lの計測信号から得られた車両100の第2軸の左側のタイヤの輪重であり、LMC3は、輪重センサ4Lの計測信号から得られた車両100の第3軸の左側のタイヤの輪重である。
【0111】
左合計重量LMAは、輪重センサ2Lで計測された車両100の各車軸の左側のタイヤの輪重の総和であり、輪重センサ2Lで計測された車両100の左側の重量とみなすことができる。同様に、左合計重量LMBは、輪重センサ3Lで計測された車両100の各車軸の左側のタイヤの輪重の総和であり、輪重センサ3Lで計測された車両100の左側の重量とみなすことができる。左合計重量LMCは、輪重センサ4Lで計測された車両100の各車軸の左側のタイヤの輪重の総和であり、輪重センサ4Lで計測された車両100の左側の重量とみなすことができる。
【0112】
車軸が3軸である車両100は、
図8(B)に示すように、
左合計重量LMA=LMA1+LMA2+LMA3であり、
左合計重量LMB=LMB1+LMB2+LMB3であり、
左合計重量LMC=LMC1+LMC2+LMC3である。
【0113】
左平均重量LMavは、左合計重量LMA、左合計重量LMB、および左合計重量LMCの平均である。すなわち、
左平均重量LMav
=(左合計重量LMA+左合計重量LMB+左合計重量LMC)/3
である。
【0114】
上述した通り、左合計重量LMA、LMB、LMCは、個々の輪重センサ2L~4Lで計測された車両100の左側の重量であり、左平均重量LMavは、個々の輪重センサ2L~4Lで計測された車両100の右側の重量の平均値である。したがって、左合計重量LMA、LMB、LMCは、車両100の振動による影響が考慮されていない車両100の左側の重量である。左平均重量LMavは、左合計重量LMA、LMB、LMCに比べて、車両100の振動による影響が低減された車両100の左側の重量である。
【0115】
左重量比率は、輪重センサ2L~4L毎に、その輪重センサ2L~4Lで計測された車両100の左合計重量LMA、LMB、LMCと、左平均重量LMavとの比率である。具体的には、輪重センサ2Lの重量比率は、LMA/LMavであり、輪重センサ3Lの重量比率は、LMB/LMavであり、輪重センサ4Lの重量比率は、LMC/LMavである。
【0116】
輪重センサ2Lの計測精度が適正である場合、輪重センサ2Lの左重量比率(LMA/LMav)は、車両100の振動が、輪重センサ2Lで計測された車両100の左側の重量(LMA)に与えた影響の大きさとみなすことができる。同様に、輪重センサ3Lの計測精度が適正である場合、輪重センサ3Lの左重量比率(LMB/LMav)は、車両100の振動が、輪重センサ3Lで計測された車両100の左側の重量(LMB)に与えた影響の大きさとみなすことができる。また、輪重センサ4Lの計測精度が適正である場合、輪重センサ4Lの左重量比率(LMC/LMav)は、車両100の振動が、輪重センサ4Lで計測された車両100の左側の重量(LMC)に与えた影響の大きさとみなすことができる。
【0117】
この変形例の軸重計測装置1は、軸重算出部21が、輪重センサ2Rの計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の右側のタイヤの輪重(
図8(A)に示したRMA1~RMA3)を算出する。また、軸重算出部21は、輪重センサ2Lの計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の左側のタイヤの輪重(
図8(B)に示したLMA1~LMA3)を算出する。
【0118】
また、軸重算出部21が、輪重センサ3Rの計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の右側のタイヤの輪重(
図8(A)に示したRMB1~RMB3)を算出する。また、軸重算出部21は、輪重センサ3Lの計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の左側のタイヤの輪重(
図8(B)に示したLMB1~LMB3)を算出する。
【0119】
さらに、軸重算出部21は、輪重センサ4Rの計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の右側のタイヤの輪重(
図8(A)に示したRMC1~RMC3)を算出する。また、軸重算出部21は、輪重センサ4Lの計測信号を用いて、計測区間を走行した車両100の各車軸の左側のタイヤの輪重(
図8(B)に示したLMC1~LMC3)を算出する。
【0120】
車両重量算出部22は、上記した右合計重量(
図8(A)に示したRMA、RMB、RMC)、左合計重量(
図8(B)に示したLMA、LMB、LMC)、右平均重量(
図8(A)に示したRMav)、および左平均重量(
図8(B)に示したLMav)を算出する。また、この例では、車両重量算出部22は、計測区間を走行した車両100の右平均重量RMavと左平均重量LMavとの和(RMav+LMav)を、この車両100の重量として取得する。
【0121】
なお、この変形例の軸重計測装置1は、右平均重量RMavと左平均重量LMavを比較することによって、車両100における積み荷の偏載状態を判定することができる。
【0122】
比率算出部23は、輪重センサ2R~4R毎に、右重量比率(
図8(A)に示したRMA/RMav、RMB/RMav、RMC/RMav)を算出するとともに、輪重センサ2L~4L毎に、左重量比率(
図8(B)に示したLMA/LMav、LMB/LMav、LMC/LMav)を算出する。
【0123】
なお、上記の例と同様に、右重量比率を、RMav/RMA、RMav/RMB、RMav/RMCとし、左重量比率を、LMav/LMA、LMav/LMB、LMav/LMCとしてもよい。
【0124】
判定部24は、統計DB14に記録されている統計データを処理し、輪重センサ2R~4R、2L~4L毎に、計測精度が適正であるかどうかを判定する。
【0125】
判定部24は、輪重センサ2R~4R、2L~4Lの計測精度が適正であるかどうかの判定に用いる車両100の統計データ(対象統計データ)を統計DB14から抽出する。例えば、対象統計データは、上記した例と同様に、設定期間に計測区間を走行した車両100の統計データとしてもよいし、設定台数の統計データとしてもよい。
【0126】
判定部24は、輪重センサ2R~4R毎に、右重量比率に対する車両100の台数のヒストグラムを生成する。また、判定部24は、輪重センサ2L~4L毎に、左重量比率に対する車両100の台数のヒストグラムを生成する。
【0127】
上記の例で説明したように、計測精度が適正である輪重センサでは、重量比率(右重量比率、または左重量比率)の頻度分布の形状が、分散がある程度の大きさの正規分布に近似する。逆に言えば、計測精度が適正でない輪重センサでは、重量比率(右重量比率、または左重量比率)の頻度分布の形状が、分散がある程度の大きさの正規分布に近似しない。
【0128】
判定部24は、輪重センサ2R~4R、2L~4L毎に、その輪重センサ2R~4R、2L~4Lにおける重量比率の頻度分布の形状を基に、計測精度が適正であるかどうかを判定する。
【0129】
この変形例の軸重計測装置1も、上記の例と同様に、
図5に示した計測処理、および
図6に示した計測精度判定処理を実行する。但し、この変形例は、上記の例における軸重センサ2~4に対する処理を、輪重センサ2R~4R、2L~4Lに対する処理に置き換えて行う。
【0130】
この変形例の軸重計測装置1においても、上記の例と同様に、特殊な車両の走行の有無にかかわらず、走行している車両100の重量の計測に用いる軸重センサ2~4(輪重センサ2R~4R、2L~4L)の計測精度が適正であるかどうかの判定を行える。また、輪重センサ2R~4R、2L~4Lの計測精度が適正であるかどうかの判定を定期的に行ったり、管理者が指定したタイミングで行ったりすることができる。
【0131】
また、この変形例の軸重計測装置1は、右平均重量RMavと、左平均重量LMavとの比較によって車両100における荷物の偏載を判定することもできる。
【0132】
また、上記した例は、軸重センサ2~4(輪重センサ2R~4R、2L~4L)の計測精度が適正であるかどうかを、頻度分布が正規分布であると見做せるかどうかによって判定する構成である。軸重計測装置1は、頻度分布においてピークである重量比率Xが、予め定めた上限比率Y(例えば、Y=1.1)と下限比率Z(例えば、Z=0.9)との間であるかどうかによって、軸重センサ2~4(輪重センサ2R~4R、2L~4L)の計測精度が適正であるかどうかを判定してもよい。具体的には、判定部24は、
上限比率Y>重量比率X>下限比率Z
である場合、計測精度が適正である、と判定してもよい。言い換えれば、判定部24は、
上限比率Y>重量比率X>下限比率Z
でない場合、計測精度が適正でない、と判定してもよい。
【0133】
また、判定部24は、上記した頻度分布が正規分布であるかどうか、および頻度分布においてピークである重量比率Xの両方を用いて、軸重センサ2~4(輪重センサ2R~4R、2L~4L)の計測精度が適正であるかどうかを判定してもよい。
【0134】
また、上記の変形例は、輪重センサ2R~4R毎に、その輪重センサ2R~4Rで計測された右合計重量を右平均重量RMavと左平均重量LMavとの和(RMav+LMav)で除した値を右重量比率として算出する構成にしてもよい。同様に、上記の変形例は、輪重センサ2L~4L毎に、その輪重センサ2L~4Lで計測された左合計重量を右平均重量RMavと左平均重量LMavとの和(RMav+LMav)で除した値を左重量比率として算出する構成にしてもよい。
【0135】
さらに、この変形例においても、上記の例と同様に、軸重センサ2~4単位で、計測精度が適正であるかどうかを判定してもよい。具体的には、
図3に示した、MA1、MA2、MA3、MB1、MB2、MB3、MC1、MC2、MC3のそれぞれを、
MA1=RMA1+LMA1、MA2=RMA2+LMA2、MA3=RMA3+LMA3、
MB1=RMB1+LMB1、MB2=RMB2+LMB2、MB3=RMB3+LMB3、
MC1=RMC1+LMC1、MC2=RMC2+LMC2、MC3=RMC3+LMC3、
により算出した値にする。
【0136】
この場合、上記した例と同様に、軸重センサ2~4毎に、合計重量、および重量比率を算出することで、計測精度が適正であるかどうかを判定してもよい。
【0137】
また、例えば、計測精度が適正でないと判定した軸重センサ2~4があれば、その軸重センサ2~4を構成する一対の輪重センサについて、上記した頻度分布を生成し、計測精度が適正でない輪重センサを判定してもよい。また、例えば、計測精度が適正でないと判定された軸重センサ2~4と、他の軸重センサ2~4(計測精度が適正であると判定された軸重センサ2~4)との間で、右合計重量と、左合計重量とを比較し、計測精度が適正でない輪重センサを判定してもよい。また、これら以外の手法で、計測精度が適正でないと判定した軸重センサ2~4について、計測精度が適正でない輪重センサを判定してもよい。
【0138】
また、上記した例では、統計データは、合計重量(変形例では、右合計重量、左合計重量)、重量比率(変形例では、右重量比率、左重量比率)、平均重量(変形例では、右平均重量、左平均重量)を含んでいるとしたが、これを含んでいない構成にしてもよい。この場合、計測精度判定処理において、s12で抽出した対象統計データ毎に、合計重量(変形例では、右合計重量、左合計重量)、重量比率(変形例では、右重量比率、左重量比率)、平均重量(変形例では、右平均重量、左平均重量)を算出する構成にすればよい。このように構成すれば、統計DB14の記憶容量を抑えることができる。
【0139】
また、
図2に示した一部の構成(例えば、判定部24や、比率算出部23)を上位装置に設け、軸重計測装置1と上位装置とで連携して上記処理を行う構成にしてもよい。また、統計データは、上記した車両ID、走行日、走行時刻にかかる項目のいずれかが含まれていない構成にしてもよい。
【0140】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、
図5に示した計測処理、および
図6に示した計測精度判定処理は、あくまでも一例であり、また、各ステップの順番を適宜入れ替えてもよい。
【0141】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
計測区間の路面に、車両(100)の走行方向に並べて配置された複数のセンサ(2~4)で計測された通過する車両(100)のタイヤによる荷重の計測信号が入力されるセンサ接続部(12)と、
前記計測区間を走行した車両(100)について、前記センサ(2~4)毎に、そのセンサ(2~4)を通過した車両(100)のタイヤによる荷重に応じた重量を合計した合計重量と、各センサ(2~4)の前記合計重量の平均である平均重量との比率を重量比率として算出する比率算出部(23)と、
前記センサ(2~4)の計測精度が適正であるかどうかを、そのセンサ(2~4)について算出された前記重量比率を基に判定する判定部(24)と、を備えた重量計測装置(1)。
【符号の説明】
【0142】
1…軸重計測装置
2~4…軸重センサ
2R~4R、2L~4L…輪重センサ
6、7…車両検知センサ
11…制御ユニット
12…軸重センサ接続部
13…ループコイルセンサ接続部
14…統計データベース(統計DB)
15…出力部
21…軸重算出部
22…車両重量算出部
23…比率算出部
24…判定部
100…車両