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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079071
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】医用情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/40 20180101AFI20240604BHJP
【FI】
G16H30/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191787
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】オン グアン イ
(72)【発明者】
【氏名】手塚 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】松江 健治
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】医用画像の読影を妨げないように解剖学的ランドマークを表示すること。
【解決手段】 実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、絞り込み部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、医用画像を取得する。前記絞り込み部は、前記医用画像における解剖学的位置を表す全ての解剖学的ランドマークのうち、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う。前記表示制御部は、前記絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を取得する取得部と、
前記医用画像における解剖学的位置を表す全ての解剖学的ランドマークのうち、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う絞り込み部と、
前記絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備えた医用情報処理装置。
【請求項2】
前記絞り込み部は、入力された絞り込み情報に基づいて、前記絞り込みを行う、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記絞り込み情報は、ユーザの役割を含んでおり、
前記絞り込み部は、前記絞り込み情報がユーザの役割を含み且つ前記役割が研修医の場合には、少なくとも所定の解剖学的ランドマークが表示されるように前記絞り込みを行う、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの識別子毎に、前記絞り込み情報を記憶する第1記憶部と、
前記絞り込み部は、前記識別子が入力された場合、前記識別子に基づいて前記第1記憶部から前記絞り込み情報を読み出し、当該読み出した絞り込み情報に応じた解剖学的ランドマークが表示されるように前記絞り込みを行う、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
ユーザの識別子毎に、前記ユーザの読影に関係する診療科を記憶する第2記憶部と、
前記絞り込み部は、入力された識別子に基づいて、前記第2記憶部内の診療科に応じた解剖学的ランドマークが表示されるように前記絞り込みを行う、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記絞り込み部は、入力された拡大指示に応じて、前記表示される解剖学的ランドマークを増加させるように前記絞り込みを行い、
前記表示制御部は、前記拡大指示に基づいて、前記医用画像を拡大して前記ディスプレイに表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記絞り込み部は、前記医用画像上にカーソル又は計測点が表示されている場合、前記表示されたカーソル又は計測点から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように前記絞り込みを行う、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記絞り込み部は、前記医用画像内に病変が検出された場合、前記病変の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように前記絞り込みを行う、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記絞り込み部は、前記医用画像と、前記医用画像に対応する過去医用画像との間に差分が検出された場合、前記差分の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように前記絞り込みを行う、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書等に開示の実施形態は、医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医用画像に撮影された被検体の部位を特定する際に、医用画像から被検体の部位を解剖学的位置とともに検出し、検出した解剖学的位置に部位を表す解剖学的ランドマークを付す技術が広く知られている。ここで、被検体の部位の解剖学的位置は、人体を構成する種々の骨や筋肉、臓器等について定められた複数の局所構造のそれぞれについて検出される。これに伴い、医用画像内に複数の解剖学的ランドマークが表示される。
【0003】
以上のような技術は、特に問題ないが、本発明者の検討によれば、医用画像内に大量の解剖学的ランドマークが表示されると読影しにくくなる点で改善する余地があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-171456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医用画像の読影を妨げないように解剖学的ランドマークを表示することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、絞り込み部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、医用画像を取得する。前記絞り込み部は、前記医用画像における解剖学的位置を表す全ての解剖学的ランドマークのうち、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う。前記表示制御部は、前記絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置を含む院内システムの概念図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態における関連付け情報の一例を示す模式図である。
図4図4は、第1の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態における動作を説明するためのALD選択画面の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態における動作を説明するための医用画像内の解剖学的ランドマークの一例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態における優先読影情報の一例を示す模式図である。
図8図8は、第3の実施形態におけるステップST60の動作を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、第4の実施形態における表示選択保存情報の一例を示す模式図である。
図10図10は、第5の実施形態における所見支援情報の一例を示す模式図である。
図11図11は、第6の実施形態における操作支援情報の一例を示す模式図である。
図12図12は、第7の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、第8の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図14図13は、第8の実施形態における動作を説明するための表示画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用情報処理装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る医用情報処理装置を含む院内システムを表す概念図である。院内システム1における医用情報処理装置2は、ネットワークを介して、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)3、病院情報システム4、放射線部門情報管理システム5、医用画像診断装置6などの医用情報管理システムと接続され、各種データのやりとりが実行される。なお、ネットワークは、有線接続および無線接続を問わない。また、セキュリティが確保されるのであれば、接続される回線は病院内ネットワークに限定されない。例えば、VPN(Virtual Private Network)などを介し、インターネット等、公衆の通信回線に接続するようにしても構わない。
【0010】
医用画像管理システム3は、医用画像データを記憶し、記憶している医用画像データを管理するシステムである。医用画像管理システム3は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication Medicine)規格に則って変換された医用画像データを記憶し管理する。
【0011】
病院情報システム4は、例えば、診療情報、患者情報、およびオーダ情報等の院内情報を記憶し、記憶している院内情報を管理するシステムである。
【0012】
放射線部門情報管理システム5は、診療部門の一つである放射線部門において、検査予約等の情報を管理するシステムである。例えば、放射線部門情報管理システム5は、病院情報システム4から送信されるオーダ情報および患者情報を受信すると、放射線部門内での検査オーダ情報を設定する。
【0013】
医用画像診断装置6は、被検体を撮影することにより医用画像データを発生する装置である。例えば、医用画像診断装置6は、放射線部門情報管理システム5で管理される検査オーダ情報および患者情報に基づいて患者を撮影し、医用画像データを生成する。生成された医用画像データは、医用画像管理システム3に送信され管理される。
【0014】
次に、第1の実施形態に係る医用情報処理装置2について図2のブロック図を参照して説明する。医用情報処理装置2は、例えば、画像診断レポート(読影レポートともいう)を作成する場合などの医用画像の読影に用いられる。
【0015】
本実施形態に係る医用情報処理装置2は、処理回路20と、メモリ21と、入力インタフェース22と、通信インタフェース23と、ディスプレイ24とを含む。処理回路20と、メモリ21と、入力インタフェース22と、通信インタフェース23と、ディスプレイ24とは、例えばバスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0016】
処理回路20は、入力インタフェース22から出力される入力操作の電気信号に応じて医用情報処理装置2全体の動作を制御する。例えば、処理回路20は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路20は、メモリ21に展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、取得機能201、画像処理機能202、絞り込み機能203、表示制御機能204などを実行する。なお、各機能201~204は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能201~204を実現するものとしても構わない。また、以下に説明する各機能の分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。ある機能が分担する処理を他の機能が分担する場合でも、処理回路20がその処理を実行することに変わりはないからである。各機能の分担が変更可能なことは、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0017】
取得機能201は、医用画像管理システム3又はメモリ21から医用画像を取得する。なお、取得機能201及び処理回路20は、取得部の一例である。
【0018】
画像処理機能202は、医用画像に対する画像処理を行う。例えば、画像処理としては、人体の特徴的な局所構造を示す解剖学的位置を医用画像から検出する処理や、検出した解剖学的位置に対応する全ての解剖学的ランドマーク(ALD)を表示させる処理などが、適宜、使用可能となっている。なお、局所構造は、解剖学的ランドマーク(ALD)と呼ばれることもある。ALDは、anatomical landmarkの略語である。検出された解剖学的位置は、XMLデータやバイナリデータなどのデータ形式で、医用画像に関連付けられて保持されてもよい。あるいは、解剖学的位置は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格における医用画像の付帯情報として保持されてもよい。また、解剖学的位置を検出する処理は、例えば、モデルを用いる方法が使用可能となっている。この種のモデルは、例えば、一般的な機械学習やパターン認識により生成される。例えば、異なる体形の被検体について、X線CTやMRIにより取得されたボリュームデータの集合である画像データベースと、解剖学的位置正解データとを用いてモデルが生成可能となっている。なお、画像データベースには、全身のボリュームデータに限らず、体の一部分を撮像したボリュームデータが含まれる。解剖学的位置正解データは、画像データベース内の各々の画像について、医師等の専門家により予め正しい解剖学的位置が判定されたデータである。モデルは、画像データベース内の各々のボリュームデータから抽出された特徴と、解剖学的位置正解データとを対応付ける学習アルゴリズムにより、生成される。モデルは、画像データベースから抽出された特徴と、解剖学的位置とを対応付けるための方法を示すものである。このモデルには、たとえば、機械学習などを用いた学習済みモデルがある。また、このようなモデルは、性別、年齢、人種や体格などに応じて異なるモデルが生成されていてもよいし、これらの違いを吸収できるようなモデルであってもよい。検出する処理としては、解剖学的位置が未知の医用画像から特徴を抽出し、生成済みのモデルを用いて解剖学的位置を検出する。より具体的には、局所構造を検出するとともに、検出した局所構造の医用画像中における位置を解剖学的位置として算出する。このようにして算出された解剖学的位置は、医用画像に付与される。解剖学的位置は、上述した方法に限られず、計算解剖学と呼ばれる数理統計的枠組み(計算解剖モデル)により検出してもよい。また例えば、画像処理としては、医用画像から臓器の輪郭を検出し、当該輪郭上の計測点から計測を行う処理を用いてもよい。この種の計測としては、例えば、胸部正面X線画像から心臓の輪郭と胸郭の輪郭を検出し、輪郭上の計測点から心臓幅と胸郭幅とを計測し、胸郭幅に対する心臓幅の比を百分率で表す心胸郭比を算出する処理がある。また例えば、画像処理としては、医用画像と、医用画像に対応する過去医用画像との間の差分を表す差分画像を生成する処理を用いてもよい。
【0019】
絞り込み機能203は、医用画像における解剖学的位置を表す全ての解剖学的ランドマークのうち、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う。なお、絞り込み機能203及び処理回路20は、絞り込み部の一例である。
【0020】
表示制御機能204は、例えば、読影対象の医用画像を表示するようにディスプレイ24を制御する。また例えば、表示制御機能204は、当該絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイ24に表示させる。表示制御機能204及び処理回路20は、表示制御部の一例である。
【0021】
なお、各機能201~204は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能201~204を実現するものとしても構わない。また、各機能201~204をプログラムとしてメモリ21などに記憶させ、処理回路20が、当該プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。
【0022】
メモリ21は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ21は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。なお、メモリ21は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、メモリ21は、複数の記憶装置により実現されても構わない。また、メモリ21は、医用情報処理装置2にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0023】
メモリ21は、医用情報処理装置2の医用情報処理プログラム等の各種プログラムと、処理に用いる各種情報、処理途中のデータ、処理後のデータ等の各種データとを記憶する。なお、このプログラムは、例えば、メモリ21に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から読み出されてメモリ21にインストールされてもよい。
【0024】
ここで、各種情報としては、図3に示すように、関連付け情報がある。関連付け情報は、例えば、ALD分類、被検体の部位、ALDの座標、ロール(役割)、目的、診療科、コンテキストを関連付けた情報である。なお、解剖学的ランドマークは、記述を簡潔にする観点から、適宜、ALDと称する。
【0025】
ALD分類は、解剖学的ランドマーク(ALD)を、大分類、中分類、小分類に区分して示す。大分類は、大きい臓器、骨の中心点のみ表示する主要なALDを示す。中分類は、大分類で示した中心点以外の、臓器や骨の中心点のみ表示する二次ALDを示す。小分類は、臓器や骨の位置(前(anterior)、後(posterior)、右(right)、左(left)、上(superior)、下(inferior)、など)を表す三次ALDを示す。なお、中心点の座標は、三次元医用画像の座標から算出可能である。例えば、中心点の座標をC(x,y,z)としたとき、左側の点Lと、右側の点Rとの中心点の座標は、次式で得られる。
C(x,y,z)=0.5*[L(x,y,z)+R(x,y,z)]
同様に、前側の点Aと、後側の点Pとの中心点の座標は、次式で得られる。
C(x,y,z)=0.5*[A(x,y,z)+P(x,y,z)]
同様に、上側の点Sと、下側の点Iとの中心点の座標は、次式で得られる。
C(x,y,z)=0.5*[S(x,y,z)+I(x,y,z)]
部位は、被検体の臓器や骨を解剖学的に区分した領域を示す。詳しくは、部位は、その解剖学的位置に対応する局所構造が属する胸部や腹部といった領域を示す。
【0026】
座標は、医用画像内で被検体の解剖学的な位置を示す。例えば、被検体座標系(患者座標系)は、被検体の左右方向をX軸、被検体の背腹側方向をY軸、被検体の頭足方向をZ軸とする座標系である。X軸は被検体の中心から右方向を、Y軸は被検体の中心から背側方向を正として増加し、Z軸は被検体の足部から頭部の方向に増加する。このような被検体座標系は、ボリュームデータが有する基準位置など、任意の位置により相対的に表されている。被検体座標系は、X軸、Y軸、Z軸の座標により、解剖学的位置を示している。
【0027】
ロール(役割)は、研修医や、放射線科(がん専門、消化管専門、又は婦人科専門)など、読影の熟練度に関係する属性を示す。補足すると、ロールは、経験の浅い研修医にはALD表示の削減を抑制し、研修医以外の医師(通常の医師)で読影の熟練度が高い部位にはALD表示を減らし、通常の医師で読影の熟練度が低い部位にはALD表示を増やすといった絞り込みを可能とする。
【0028】
目的は、検査目的、計測目的、治療計画、患者への説明用などのように、医用画像を撮影した目的を示す。例えば、高血圧の場合やがんのフォローアップ等の如き、目的に応じて、表示する必要があるALDが異なる。
【0029】
診療科は、医用画像を読影するユーザが所属する診療科である。診療科によって、表示する必要があるALDが異なる。
【0030】
コンテキストは、骨サブトラクションアプリケーションでの読影操作状況(操作、状況)を示している。
なお、各種情報は、これに限らず、識別子、名称、信頼度、体組織などを適宜、関連付けてもよい。識別子は解剖学的位置を一意に特定するためのIDである。名称は、局所構造の名称を示しており、解剖学的、医学的に専門的な用語で示されている。頭部および頸部の局所構造の場合、名称としては、例えば、第1頚椎(頚椎I)の前弓(結節)、歯突起の上端(頚椎II)、右眼球上面、左眼球上面、右眼球中心、左眼球中心、がある。また、胸部の局所構造の場合、名称としては、例えば、気管分岐部、右肺尖部、左肺尖部、右肩甲骨下角、左肩甲骨下角、左鎖骨下動脈始点、がある。腹部の局所構造の場合、名称としては、例えば、右腎上極、左腎上極、右腎下極、左腎下極、膵頭、膵尾先端、がある。下肢の局所構造の場合、名称としては、例えば、右大腿骨の外側上顆、右大腿骨の内側上顆、左大腿骨の外側上顆、左大腿骨の内側上顆、右脛骨の外側顆、右脛骨の内側顆、がある。局所構造は、このような粒度で全身に定義されており、人体を構成する種々の骨や筋肉、臓器等について複数の局所構造が定められている。解剖学的位置は、これらの局所構造のそれぞれについて検出される。信頼度は、解剖学的位置の正確性を示す数値である。解剖学的位置は機械学習アルゴリズムやパターン認識などによって、計算により推定されたデータであることから、解剖学的位置それぞれについて、それらの位置がどれくらいの正確性を持って算出されたかを示す数値が与えられる。例えば、信頼度は、0から1の間の数値で表現され、1に近い数値であるほど信頼性が高いことを示している。体組織は、局所構造の機能に応じて分類されており、たとえば、神経系、骨系、呼吸器系などである。
【0031】
入力インタフェース22は、医師に代表される医療従事者であるユーザから各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路20へ出力する。本実施形態に係る入力インタフェース22は、例えば、マイク、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド、及び操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等の入力機器に接続されている。また、入力インタフェースに接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0032】
通信インタフェース23は、医用画像管理システム3、病院情報システム4、放射線部門情報管理システム5、医用画像診断装置6などとの間でデータ通信を行う。通信インタフェース23は、例えば、予め設定されている既知の規格に準拠してデータ通信を行う。病院情報システム4との間では、例えば、HL7に準拠した通信が実施される。また、医用画像管理システム3との間では、例えば、DICOMに準拠した通信が実施される。
【0033】
ディスプレイ24は、処理回路20からの指示に従って種々の情報を表示する。また、ディスプレイ24は、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示してもよい。ディスプレイ24は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等、任意のディスプレイが適宜利用可能である。なお、医用情報処理装置2にディスプレイ24を含まず、外部のディスプレイにGUIを表示してもよいし、プロジェクタ等を介してGUIを表示させるようにしてもよい。
【0034】
次に、以上のように構成された医用情報処理装置の動作について図4のフローチャート並びに図5及び図6の模式図を用いて説明する。
【0035】
ステップST10において、医用情報処理装置2の処理回路20は、例えば、入力インタフェース22の操作に応じて、医用画像管理システム3又はメモリ21から医用画像を取得する。医用画像は、例えば、3次元ボリュームデータである。
【0036】
ステップST10の後、ステップST20において、処理回路20は、取得した医用データから解剖学的位置を検出する。なお、ステップST10、ST20を経由せず、通信インタフェース23を介してデータベース(図示せず)から、別途、事前に解剖学的位置に対応する全てのALDを重畳した医用画像を取得した後、ステップST30に進んでもよい。
【0037】
ステップST20の後、ステップST30において、処理回路20は、検出した解剖学的位置に対応する全ての解剖学的ランドマーク(ALD)を重畳した当該医用画像をディスプレイ24に表示させる。なお、後述するステップST60又はST70の後にステップST30を行う場合には、当該ステップST60又はST70の処理後の医用画像を表示する。医用画像の表示中、処理回路20は、例えば、解剖学的ランドマークの表示を選択的に絞り込むためのGUIであるALD表示選択画面をディスプレイ24に表示させてもよい。
【0038】
ステップST30の後、ステップST40において、処理回路20は、ユーザによる入力インタフェース22の入力操作を受け付ける。例えば、処理回路20は、図5に示す如き、ALD表示選択画面24aにおいて、ユーザの診療科が「外科」であり、「骨」に関する解剖学的ランドマークの表示を選択するための入力操作を受け付ける。
【0039】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路20は、受け付けた入力操作により絞り込み情報が入力されたか否かを判定し、否の場合にはステップST60に移行する。ステップST60では、処理回路20は、入力された内容に応じて、絞り込み情報に基づく処理とは異なる、他の処理を実行する。
【0040】
一方、ステップST50の判定の結果、絞り込み情報が入力された場合、ステップST70において、処理回路20は、入力された絞り込み情報に基づいて、医用画像における解剖学的位置を表す全ての解剖学的ランドマークのうち、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う。しかる後、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイ24に表示させる。例えば、処理回路20は、前述したステップST30にて図6(a)に示すように、臓器及び骨に関する解剖学的ランドマークaldを重畳した医用画像24bをディスプレイ24に表示していたとする。これに対し、処理回路20は、ステップST40にて入力された絞り込み情報「外科」「骨」に基づき、ステップST50にて図6(b)に示すように、「外科」「骨」に関して絞り込んだ解剖学的ランドマークaldを重畳した医用画像24bを表示させる。これにより、不必要な解剖学的ランドマークaldが削減され、必要な解剖学的ランドマークaldを残した医用画像24bが表示されるので、解剖学的ランドマークaldや他の部位の特定が容易となり、読影効率の向上を図ることができる。
【0041】
ステップST60又はST70の後、ステップST80において、処理回路20は、終了指示の入力の有無に応じて、終了するか否かを判定し、否の場合にはステップST30に戻り、医用画像の表示を継続する。一方、ステップST80の判定の結果、終了の場合には、処理を終了する。
【0042】
上述したように第1の実施形態によれば、医用情報処理装置2において、処理回路20は、医用画像を取得する。処理回路20は、医用画像における解剖学的位置を表す全ての解剖学的ランドマークのうち、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う。処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる。このように、表示される解剖学的ランドマークの絞り込みを行う構成により、医用画像の読影を妨げないように解剖学的ランドマークを表示することができる。
【0043】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、診療科と骨を指定した絞り込み情報を入力した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。具体的には、診療科(外科)や部位(骨)に限らず、関連付け情報21a内の項目(ALD分類、ロール、目的、コンテキスト)の値を指定した絞り込み情報を入力して絞り込みを行ってもよい。例えば、絞り込み情報がユーザのロール(役割)を含んでいてもよい。処理回路20は、絞り込み情報がユーザの役割を含み且つ役割が研修医の場合には、少なくとも所定の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。これにより、前述した効果に加え、通常の医師とは異なり、経験の浅い研修医の場合には、例えば、少なくとも基本的な解剖学的ランドマークを削減しないように絞り込みを抑制することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0045】
第2の実施形態は、第1の実施形態の具体例であり、診療科毎の優先的に読影したい部位に対して、解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う形態である。
【0046】
これに伴い、メモリ21は、図7に示す如き、優先部位情報21bを記憶する。優先部位情報21bは、診療科と、優先的に読影したい部位とを関連付けて記述したテーブルである。
【0047】
処理回路20の絞り込み機能203は、入力された絞り込み情報が診療科を含む場合、当該診療科に基づいて優先部位情報21bから、優先的に読影したい部位を取得する。また、絞り込み機能203は、当該取得した部位とは無関係の解剖学的ランドマークを削減し、取得した部位に関する解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。
【0048】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0049】
以上のような構成によれば、処理回路20は、入力された絞り込み情報内の診療科に基づいて優先部位情報21bから、優先的に読影したい部位を取得し、当該取得した部位に関する解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。以下、前述同様に、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる。
【0050】
従って、第2の実施形態によれば、優先部位情報21bを用いる構成により、前述した効果に加え、診療科と、優先的に読影したい部位とを容易に関連付けることができる。また、優先部位情報21bを用いる構成により、診療科に応じて、優先的に読影したい部位に関する解剖学的ランドマークが表示されるように、絞り込みを行うことができる。
【0051】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0052】
第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態の変形例であり、ステップST60の他の処理として、拡大表示を行う形態である。
【0053】
これに伴い、処理回路20の絞り込み機能203は、前述した機能に加え、入力された拡大指示に応じて、表示される解剖学的ランドマークを増加させるように絞り込みを行う。
【0054】
表示制御機能204は、前述した機能に加え、拡大指示に基づいて、医用画像を拡大してディスプレイ24に表示させる。
【0055】
他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0056】
次に、以上のように構成された医用情報処理装置の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
いま、前述したステップST10~ST80が実行された後、2回目のステップST30において、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイ24に表示中であるとする。また、ステップST40において、処理回路20は、ユーザによる入力インタフェース22の入力操作を受け付ける。例えば、処理回路20は、表示中の医用画像を拡大表示させる拡大指示の入力操作を受け付けたとする。
【0058】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路20は、受け付けた入力操作により絞り込み情報が入力されたか否かを判定する。また、処理回路20は、拡大指示が入力されたことから否と判定し、図8に示す如き、ステップST60に移行する。
【0059】
ステップST60において、処理回路20は、絞り込み情報に関する処理とは異なる、他の処理を実行する。他の処理は、ステップST61~ST66を含んでいる。
【0060】
ステップST61において、処理回路20は、受け付けた入力操作により拡大指示が入力されたか否かを判定し、否の場合にはステップST62に移行する。ステップST62では、処理回路20は、入力された内容に応じて、拡大表示の処理とは異なる、他の処理を実行する。
【0061】
一方、ステップST61の判定の結果、拡大指示が入力された場合、ステップST63において、処理回路20は、入力された拡大指示に応じて、解剖学的ランドマークを重畳した医用画像を拡大してディスプレイ24に表示させる。拡大表示された医用画像では、拡大前に比べ、解剖学的ランドマーク同士の間隔が広がり、且つ表示画面から外側に出た解剖学的ランドマークの分だけ、表示中の解剖学的ランドマークの数が減少している。
【0062】
ステップST63の後、ステップST64において、処理回路20は、医用画像を拡大した表示画面が元の医用画像の1/10以下か否かを判定し、否の場合にはステップST61に戻る。これにより、ステップST61、ST63、ST64のループによる表示画面の拡大処理が繰り返し実行される。なお、「1/10」という閾値は、一例であり、これに限定されない。
【0063】
一方、ステップST64の判定の結果、医用画像を拡大した表示画面が元の医用画像の1/10以下となったとする。この場合、ステップST65において、処理回路20は、表示される解剖学的ランドマークを増加させるように絞り込みを行う。しかる後、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイ24に表示させる。このように、拡大表示により、間隔が広がった複数の解剖学的ランドマークaldの間に新たな解剖学的ランドマークaldが表示されるので、拡大処理によって解剖学的ランドマークがゼロになる状況を回避でき、読影効率を維持することができる。
【0064】
ステップST62又はST65の後、ステップST66において、処理回路20は、終了指示の入力の有無に応じて、終了するか否かを判定し、否の場合にはステップST61に戻り、処理を継続する。一方、ステップST66の判定の結果、終了の場合には、ステップST60を終了して、ステップST80に移行する。
【0065】
上述したように第3の実施形態によれば、処理回路20は、入力された拡大指示に応じて、表示される解剖学的ランドマークを増加させるように絞り込みを行う。また、処理回路20は、拡大指示に基づいて、医用画像を拡大してディスプレイ24に表示させる。
【0066】
従って、拡大表示に伴う解剖学的ランドマークの減少によって読影効率が低下することを抑制することができる。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0068】
第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態の変形例であり、ユーザの識別子であるユーザID毎の表示選択内容に対して、解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う形態である。
【0069】
これに伴い、メモリ21は、図9に示す如き、履歴情報21cを記憶する。履歴情報21cは、ユーザIDと、過去に入力した絞り込み情報である表示選択内容とを関連付けて記述したテーブルである。メモリ21及び履歴情報21cは、ユーザの識別子毎に、絞り込み情報を記憶する第1記憶部の一例である。
【0070】
処理回路20の絞り込み機能203は、ユーザIDが入力された場合、ユーザIDに基づいてメモリ21内の履歴情報21cから表示選択内容(絞り込み情報)を読み出し、当該読み出した表示選択内容(絞り込み情報)に応じた解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。
【0071】
他の構成は、第1乃至第3の実施形態と同様である。
【0072】
以上のような構成によれば、処理回路20は、入力されたユーザIDに基づいて、メモリ21内の履歴情報21cから読み出した表示選択内容(絞り込み情報)に応じた解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。以下、前述同様に、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる。
【0073】
従って、第4の実施形態によれば、履歴情報21cを用いる構成により、前述した効果に加え、ユーザIDと、過去の表示選択内容とを容易に関連付けることができる。また、履歴情報21cを用いる構成により、ユーザIDに応じて、表示選択内容に関する解剖学的ランドマークが表示されるように、絞り込みを行うことができる。補足すると、ユーザ毎に、分かりにくい部位(読影に不慣れな部位)が異なることから、ユーザ毎に、解剖学的ランドマークを表示して欲しい部位が異なる。これに対し、第4の実施形態によれば、ユーザID毎の過去の表示選択内容に応じて、解剖学的ランドマークの絞り込みを行うので、ユーザ毎に、所望の解剖学的ランドマークを表示することができる。
【0074】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0075】
第5の実施形態は、第1乃至第3の実施形態の変形例であり、ユーザID毎に、ユーザの読影に関係する診療科などに対して、解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う形態である。
【0076】
これに伴い、メモリ21は、図10に示す如き、ユーザ支援情報21dを記憶する。ユーザ支援情報21dは、ユーザIDと、所見がよくある場所(過去に所見をよく記述した部位)と、専門分野の診療科と、専門分野以外の診療科とを関連付けて記述したテーブルである。なお、所見がよくある場所については、例えば、過去の読影レポートに基づいて、処理回路20がユーザ支援情報21dに記述してもよい。メモリ21及びユーザ支援情報21dは、ユーザの識別子毎に、ユーザの読影に関係する診療科を記憶する第2記憶部の一例である。
【0077】
処理回路20の絞り込み機能203は、入力されたユーザIDに基づいて、メモリ21に記憶されたユーザ支援情報21d内の診療科に応じた解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。
【0078】
他の構成は、第1乃至第3の実施形態と同様である。
【0079】
以上のような構成によれば、処理回路20は、入力されたユーザIDに基づいて、メモリ21に記憶されたユーザ支援情報21d内の診療科に応じた解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。以下、前述同様に、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイに表示させる。
【0080】
従って、第5の実施形態によれば、ユーザ支援情報21dを用いる構成により、前述した効果に加え、ユーザIDと、ユーザの読影に関係する診療科とを容易に関連付けることができる。また、ユーザ支援情報21dを用いる構成により、ユーザIDに応じて、読影に関係する解剖学的ランドマークが表示されるように、絞り込みを行うことができる。補足すると、ユーザ毎に、読影に関係する部位が異なることから、ユーザ毎に、解剖学的ランドマークを表示して欲しい部位が異なる。これに対し、第5の実施形態によれば、ユーザID毎の読影に関係する診療科に応じて、解剖学的ランドマークの絞り込みを行うので、ユーザ毎に、読影に関係する解剖学的ランドマークを表示することができる。
【0081】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0082】
第6の実施形態は、第1乃至第5の実施形態の変形例であり、医用画像上に表示されたカーソルから所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う形態である。なお、カーソルに限らず、計測点の近傍に解剖学的ランドマークを表示させてもよい。
【0083】
これに伴い、処理回路20の絞り込み機能203は、前述した機能に加え、医用画像上にカーソル又は計測点が表示されている場合、表示されたカーソル又は計測点から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。
【0084】
他の構成は、第1乃至第5の実施形態と同様である。
【0085】
以上のような構成によれば、処理回路20は、図11に示すように、医用画像24c上にカーソルCsが表示されている場合、表示されたカーソルCsから所定範囲内の解剖学的ランドマークaldが表示されるように絞り込みを行う。また、前述同様に、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークaldを重畳した医用画像24cをディスプレイ24に表示させる。
【0086】
また、処理回路20は、適宜、被検体の腰椎を含む断面を表す医用画像24cと、この医用画像24cに対応する被検体の腹部正面の骨格を表す医用画像24bとをディスプレイ24に並列表示させてもよい。また、処理回路20は、読影レポートに医用画像24cを貼り付けるための所見貼付画面24dを更にディスプレイ24に表示させてもよい。所見貼付画面は、例えば、医用画像24cのサムネイル画像、読影レポートに追加する記述(例、検査日付、分類、部位、形状、所見)、貼付実行用の転送ボタンBtを含んでいてもよい。
【0087】
従って、第6の実施形態によれば、処理回路20は、医用画像24c上にカーソルCsが表示されている場合、表示されたカーソルCsから所定範囲内の解剖学的ランドマークaldが表示されるように絞り込みを行う。これにより、カーソルで直接的に指示した領域の近傍に解剖学的ランドマークを表示する構成により、前述した効果に加え、より直接的に所望の部位の近傍に解剖学的ランドマークを表示させることができる。
【0088】
(第6の実施形態の変形例)
第6の実施形態では、カーソルCsの近傍に解剖学的ランドマークaldを表示させたが、これに限定されない。例えば、カーソルCsに代えて、計測点の近傍に解剖学的ランドマークaldを表示させてもよい。この場合、処理回路20は、医用画像24c上に計測点が表示されている場合、表示された計測点から所定範囲内の解剖学的ランドマークaldが表示されるように絞り込みを行う。この種の計測点としては、例えば、医用画像から心胸郭比を算出する場合に、胸部正面X線画像から心臓の輪郭と胸郭の輪郭を検出し、輪郭から心臓幅と胸郭幅とを計測するための計測点が使用可能となっている。なお、計測点は、画像処理機能202の画像処理アルゴリズムにより医用画像上で導出してもよく、ユーザの操作により医用画像上に指定してもよい。いずれにしても、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0090】
第7の実施形態は、第1乃至第6の実施形態の変形例であり、ステップST60の他の処理として、病変の表示処理を行う形態である。
【0091】
これに伴い、処理回路20の絞り込み機能203は、前述した機能に加え、医用画像内に病変が検出された場合、病変の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。
【0092】
他の構成は、第1乃至第6の実施形態と同様である。
【0093】
次に、以上のように構成された医用情報処理装置の動作について図12のフローチャートを用いて説明する。
【0094】
いま、前述したステップST10~ST80が実行された後、2回目のステップST30において、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像をディスプレイ24に表示中であるとする。また、ステップST40において、処理回路20は、ユーザによる入力インタフェース22の入力操作を受け付ける。例えば、処理回路20は、表示中の医用画像における病変の表示指示の入力操作を受け付けたとする。
【0095】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路20は、受け付けた入力操作により絞り込み情報が入力されたか否かを判定する。また、処理回路20は、病変の表示指示が入力されたことから否と判定し、図12に示す如き、ステップST60に移行する。
【0096】
ステップST60において、処理回路20は、絞り込み情報に関する処理とは異なる、他の処理を実行する。他の処理は、ステップST61A~ST64Aを含んでいる。
【0097】
ステップST61Aにおいて、処理回路20は、受け付けた入力操作により、病変の表示指示が入力されたか否かを判定し、否の場合にはステップST62Aに移行する。ステップST62Aでは、処理回路20は、入力された内容に応じて、病変の表示処理とは異なる、他の処理を実行する。
【0098】
一方、ステップST61Aの判定の結果、病変の表示指示が入力された場合、ステップST63Aにおいて、処理回路20は、入力された病変の表示指示に応じて、解剖学的ランドマークを重畳した医用画像から病変の座標を検出する。なお、ステップST63Aは、予めCADで検出済みの病変の座標を医用画像の付帯情報から読み出してもよく、新規に医用画像から病変及びその座標を検出してもよい。
【0099】
ステップST63Aの後、ステップST64Aにおいて、処理回路20は、病変の座標から所定範囲内の解剖学的ランドマークaldが表示されるように絞り込みを行う。また、前述同様に、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークaldを重畳した医用画像をディスプレイ24に表示させる。
【0100】
ステップST62A又はST64Aの後、処理回路20は、ステップST60を終了して、ステップST80に移行する。
【0101】
上述したように第7の実施形態によれば、処理回路20は、医用画像内に病変が検出された場合、病変の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。従って、前述した効果に加え、医用画像内の病変を読影する際に、病変の近傍の部位を容易に特定することができる。
【0102】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。
【0103】
第8の実施形態は、第1乃至第7の実施形態の変形例であり、ステップST60の他の処理として、差分の表示処理を行う形態である。
【0104】
これに伴い、処理回路20の画像処理機能202は、前述した機能に加え、医用画像と、医用画像に対応する過去医用画像との間の差分を表す差分画像を生成可能となっている。
【0105】
絞り込み機能203は、前述した機能に加え、医用画像と、医用画像に対応する過去医用画像との間に差分が検出された場合、差分の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。なお、過去医用画像は、医用画像の被検体の部位を過去に撮影したときの過去画像である。すなわち、医用画像と、過去医用画像とは、同一被検体の同一部位における経時的な変化を観察するための画像である。このため、医用画像を現在画像と呼んでもよく、過去医用画像を過去画像と呼んでもよい。
【0106】
他の構成は、第1乃至第7の実施形態と同様である。
【0107】
次に、以上のように構成された医用情報処理装置の動作について図13のフローチャート及び図14の模式図を用いて説明する。
【0108】
いま、前述したステップST10~ST80が実行された後、2回目のステップST30において、絞り込んだ解剖学的ランドマークを重畳した医用画像(現在画像)をディスプレイ24に表示中であるとする。また、ステップST40において、処理回路20は、ユーザによる入力インタフェース22の入力操作を受け付ける。例えば、処理回路20は、表示中の現在画像に対する、過去画像(過去医用画像)との差分の表示指示の入力操作を受け付けたとする。
【0109】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路20は、受け付けた入力操作により絞り込み情報が入力されたか否かを判定する。また、処理回路20は、差分の表示指示が入力されたことから否と判定し、図12に示す如き、ステップST60に移行する。
【0110】
ステップST60において、処理回路20は、絞り込み情報に関する処理とは異なる、他の処理を実行する。他の処理は、ステップST61B~ST65Bを含んでいる。
【0111】
ステップST61Bにおいて、処理回路20は、受け付けた入力操作により、差分の表示指示が入力されたか否かを判定し、否の場合にはステップST62Bに移行する。ステップST62Bでは、処理回路20は、入力された内容に応じて、差分の表示処理とは異なる、他の処理を実行する。
【0112】
一方、ステップST61Bの判定の結果、差分の表示指示が入力された場合、ステップST63Bにおいて、処理回路20は、入力された差分の表示指示に応じて、表示中の現在画像に対する過去画像を医用画像管理システム3から取得する。また、処理回路20は、図14に示すように、当該過去画像24eを現在画像24fに並べて表示する。
【0113】
ステップST63Bの後、ステップST64Bにおいて、処理回路20は、過去画像24eと現在画像24fとの間の差分を検出し、当該差分を表す差分画像24gを生成してディスプレイ24に表示する。例えば、処理回路20は、過去画像24e及び現在画像24fの各々の骨領域を強調処理し、当該骨領域を強調処理した過去画像24eと現在画像24f画像との間で線形位置合わせ処理を行う。線形位置合わせ処理の後、例えば、LDDMM法を用いて非線形位置合わせ処理を行う。LDDMMは、Large Deformation Diffeomorphic Metric Mappingの略語である。次に、非線形位置合わせ処理の後、骨の強調処理を行う。ここで、骨の強調処理は、差分を計算するときに、骨に関係する差分だけを残すようにする処理である。骨の強調処理の後、「Adaptive Voxel Matching」などの適応的差分処理を行う。これにより、処理回路20は、過去画像24eと現在画像24fとの間の、骨の性状変化のみを強調した差分画像24gを生成する。なお、差分画像24gを生成する処理は、これに限らず、任意の手法が使用可能である。
【0114】
ステップST64Bの後、ステップST65Bにおいて、処理回路20は、現在画像24fと、現在画像24fに対応する過去画像24eとの間に差分が検出された場合、差分の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。また、処理回路20は、絞り込んだ解剖学的ランドマークaldを重畳し、且つ差分を強調表示した現在画像をフュージョン画像24hとしてディスプレイ24に表示させる。但し、フュージョン画像24h(差分の強調表示)を用いず、絞り込んだ解剖学的ランドマークaldを重畳した現在画像24fを表示してもよい。また、処理回路20は、適宜、フュージョン画像24hに対応する被検体の正面の骨格を表す3D画像である骨差分画像24iをディスプレイ24に並列表示させてもよい。なお、骨差分画像24i中、頸椎付近の網掛け表示は、骨の減少箇所(マイナスの差分)を強調表示したものである。また、骨差分画像24i中、黒塗り表示は、骨の増加箇所(プラスの差分)を強調表示したものである。また、骨差分画像24iは、フュージョン3D画像と呼んでもよい。
【0115】
ステップST62B又はST65Bの後、処理回路20は、ステップST60を終了して、ステップST80に移行する。
【0116】
上述したように第8の実施形態によれば、処理回路20は、医用画像と、医用画像に対応する過去医用画像との間に差分が検出された場合、差分の位置から所定範囲内の解剖学的ランドマークが表示されるように絞り込みを行う。従って、前述した効果に加え、医用画像内で経時変化した箇所を読影する際に、変化した箇所の近傍の部位を容易に特定することができる。
【0117】
加えて、実施形態に係る各機能は、本実施形態に係る処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該処理を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスクなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0118】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医用画像の読影を妨げないように解剖学的ランドマークを表示することができる。
【0119】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
1 院内システム
2 医用情報処理装置
3 医用画像管理システム
4 病院情報システム
5 放射線部門情報管理システム
6 医用画像診断装置
20 処理回路
201 取得機能
202 画像処理機能
203 絞り込み機能
204 表示制御機能
21 メモリ
21a 関連付け情報
21b 優先部位情報
21c 履歴情報
21d ユーザ支援情報
22 入力インタフェース
23 通信インタフェース
24 ディスプレイ
24a ALD表示選択画面
24b、24c 医用画像
24d 所見貼付画面
24e 過去画像
24f 現在画像
24g 差分画像
24h フュージョン画像
24i 骨差分画像
ald 解剖学的ランドマーク
Cs カーソル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14