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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079073
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/278 20160101AFI20240604BHJP
   F21K 9/65 20160101ALI20240604BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20240604BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240604BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20240604BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240604BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20240604BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240604BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240604BHJP
【FI】
F21K9/278
F21K9/65
H05B47/155
H05B47/105
H05B45/20
H01L33/50
F21Y113:13
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191789
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小平 恭宏
【テーマコード(参考)】
3K273
5F142
【Fターム(参考)】
3K273PA04
3K273PA09
3K273QA07
3K273QA15
3K273RA05
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA07
3K273TA15
3K273UA22
3K273UA27
3K273VA07
5F142AA25
5F142BA32
5F142CB22
5F142DA02
5F142DA03
5F142DA14
5F142DA22
5F142DA23
5F142DA36
5F142DA73
5F142DB36
5F142EA06
5F142GA24
5F142HA01
(57)【要約】
【課題】演色性に優れた照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る照明装置は、少なくとも410nm以上700nm以下の範囲で異なる連続スペクトルを有する第1のLEDと第2のLEDとを有し、第1のLEDと第2のLEDとの混合光を発光する照明装置であって、第1のLEDは、410nm以上470nm以下の第1の波長範囲に第1の最大ピーク波長と、610nm以上700nm以下の第2の波長範囲に第2の最大ピーク波長と、を有し、第2のLEDは、第1の波長範囲に第3の最大ピーク波長と、第2の波長範囲に第4の最大ピーク波長と、を有し、第1の最大ピーク波長から第2の最大ピーク波長までの波長範囲で第1のLEDの発光強度が最小である第1の最小ピーク波長と、第3の最大ピーク波長から第4の最大ピーク波長までの波長範囲で第2のLEDの発光強度が最小である第2の最小ピーク波長とが異なる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも410nm以上700nm以下の波長範囲で互いに異なる連続スペクトルを有する第1のLEDと第2のLEDとを有し、前記第1のLEDが発する光と前記第2のLEDが発する光との混合光を発光する照明装置であって、
前記第1のLEDは、410nm以上470nm以下の第1の波長範囲で最大ピークとなる第1の最大ピーク波長と、610nm以上700nm以下の第2の波長範囲で最大ピークとなる第2の最大ピーク波長と、を有し、
前記第2のLEDは、前記第1の波長範囲で前記第1の最大ピーク波長とは異なる波長で最大ピークとなる第3の最大ピーク波長と、前記第2の波長範囲で前記第2のピーク波長とは異なる波長で最大ピークとなる第4の最大ピーク波長と、を有し、
前記第1の最大ピーク波長から前記第2の最大ピーク波長までの波長範囲で前記第1のLEDの発光強度が最小ピークとなる第1の最小ピーク波長と、前記第3の最大ピーク波長から前記第4の最大ピーク波長までの波長範囲で前記第2のLEDの発光強度が最小ピークとなる第2の最小ピーク波長とが異なる
照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記混合光のスペクトルにおいて、前記第1の波長範囲のうちの最大となる発光強度は、前記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の50%以上であり、
前記混合光のスペクトルにおいて、前記第1の波長範囲のうち最大ピークとなる第5の最大ピーク波長から前記第2の波長範囲のうち最大ピークとなる第6の最大ピーク波長までの波長範囲で、最小となる発光強度は、前記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の40%以上である
照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記混合光のスペクトルにおいて、前記第1の波長範囲のうちの最大となる発光強度は、前記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の70%以上であり、
前記混合光のスペクトルにおいて、前記第5の最大ピーク波長から前記第6の最大ピーク波長までの波長範囲で、最小となる発光強度は、前記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の50%以上である
照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記第1のLEDの相関色温度は、5000Kであり、
前記第2のLEDの相関色温度は、3000K以上4000K以下であり、
前記混合光の相関色温度は、4000K以上5000K以下である
照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記第1の最大ピーク波長は、415nm以上430nm以下の範囲にあり、
前記第2の最大ピーク波長は、610nm以上660nm以下の範囲にあり、
前記第1のLEDの相関色温度は、5000Kである
を具備する照明装置。
【請求項6】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記第3の最大ピーク波長は、430nm以上460nm以下の範囲にあり、
前記第4の最大ピーク波長は、630nm以上680nm以下の範囲にあり、
前記第2のLEDの相関色温度は、4000Kである
を具備する照明装置。
【請求項7】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記混合光の平均演色評価数Raは、90以上である
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)を用いた照明装置に関するものであり、演色性に優れた照明光を発光させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、寿命が長く、消費電力が少ないことから光源としてLED照明装置が用いられている。そしてそのLED照明装置の中には演色性に優れた白色光を生成するものがある。例えば、特許文献1には、2つの蛍光体と青色LEDとを有し、2つの蛍光体から放射される光およびLEDから放射される光の3つの光源の混合光を放射し、白色光を生成するランプについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-60747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1では、発光される光の波長範囲においてそれぞれ放射される光の中心波長間での発光強度にムラがあるため、演色性が優れた照明が求められる場所に提供することが困難であった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、演色性に優れた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る照明装置は、少なくとも410nm以上700nm以下の波長範囲で互いに異なる連続スペクトルを有する第1のLEDと第2のLEDとを有し、前記第1のLEDが発する光と前記第2のLEDが発する光との混合光を発光する照明装置であって、
上記第1のLEDは、410nm以上470nm以下の第1の波長範囲で最大ピークとなる第1の最大ピーク波長と、610nm以上700nm以下の第2の波長範囲で最大ピークとなる第2の最大ピーク波長と、を有し、
上記第2のLEDは、上記第1の波長範囲で上記第1の最大ピーク波長とは異なる波長で最大ピークとなる第3の最大ピーク波長と、上記第2の波長範囲で上記第2のピーク波長とは異なる波長で最大ピークとなる第4の最大ピーク波長と、を有し、
上記第1の最大ピーク波長から上記第2の最大ピーク波長までの波長範囲で上記第1のLEDの発光強度が最小ピークとなる第1の最小ピーク波長と、上記第3の最大ピーク波長から上記第4の最大ピーク波長までの波長範囲で上記第2のLEDの発光強度が最小ピークとなる第2の最小ピーク波長とが異なる。
【0007】
上記照明装置によれば、第1の波長範囲と第2の波長範囲とで2つのLEDの最大ピーク波長が異なり、第1の最大ピーク波長から第2の最大ピーク波長までの波長範囲で第1のLEDの発光強度が最小ピークとなる第1の最小ピーク波長と、第3の最大ピーク波長から第4の最大ピーク波長までの波長範囲で第2のLEDの発光強度が最小ピークとなる第2の最小ピーク波長とが異なる。つまり、発光強度が最小となる波長が異なる2つのLEDを用いているため、互いに発光強度が低い部分を補うことができる。これにより、発光スペクトル全体としてムラが抑制され演色性に優れた光を提供することができる。
【0008】
上記混合光のスペクトルにおいて、上記第1の波長範囲のうちの最大となる発光強度は、上記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の50%以上であり、上記混合光のスペクトルにおいて、上記第1の波長範囲のうちの最大ピークとなる第5の最大ピーク波長から上記第2の波長範囲のうち最大ピークとなる第6の最大ピーク波長までの波長範囲で、最小となる発光強度は、上記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の40%以上であってもよい。
【0009】
上記混合光のスペクトルにおいて、上記第1の波長範囲のうちの最大となる発光強度は、上記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の70%以上であり、上記混合光のスペクトルにおいて、上記第5の最大ピーク波長から上記第6の最大ピーク波長までの波長範囲で、最小となる発光強度は、上記第2の波長範囲のうち最大となる発光強度の50%以上であってもよい。
【0010】
上記第1のLEDの相関色温度は、5000Kであり、上記第2のLEDの相関色温度は、3000K以上4000K以下であり、上記混合光の相関色温度は、4000K以上5000K以下であってもよい。
【0011】
上記第1の最大ピーク波長は、415nm以上430nm以下の範囲にあり、上記第2の最大ピーク波長は、610nm以上660nm以下の範囲にあり、上記第1のLEDの相関色温度は、5000Kであってもよい。
【0012】
上記第3の最大ピーク波長は、430nm以上460nm以下の範囲にあり、上記第4の最大ピーク波長は、630nm以上680nm以下の範囲にあり、上記第2のLEDの相関色温度は、4000Kであってもよい。
【0013】
上記混合光の平均演色評価数Raは、90以上であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、演色性に優れた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の正面を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る第1のLEDの発光スペクトルを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る第2のLEDの発光スペクトルを示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の発光スペクトルを示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の正面を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る第3のLEDの発光スペクトルを示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の発光スペクトルを示す図である。
図8】マックリーカーブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置1の正面を示す図である。図2は、照明装置1の第1のLEDの発光スペクトルを示す図である。図3は、照明装置1の第2の発光スペクトルを示す図である。図3は、照明装置1の発光スペクトルを示す図である。本発明の照明装置1は、演色性が優れた照明が求められる場所に設置される。例えば、色の再現性が求められる美術館、室内外で洋服の色の見え方が同じであることが求められるアパレルショップ等が挙げられる。
【0018】
ここで演色性とは、ライトで照らした物の色合いが太陽光の下で見る場合と比べ、太陽光に近い光をどの程度再現できているかを数値で表した指標である。そして、演色性が優れている(高演色性ともいう)とは、色の見え方が自然光(太陽光)で見た場合に近いことを指します。ここで演色性は、CIE(国際照明委員会)の評価法に基づくJISの演色性評価法によって判定され、平均演色評価数(Ra)を用いて表します。平均演色評価数は、100を最大値として、100に近いほど、演色性が優れていると評価される。
【0019】
照明装置1は、全体として直管型の蛍光灯の形状をし、蛍光灯用のソケットに挿すことで光を照射する。照明装置1は、ケース10とLED基板20とを有する。本実施形態では、照明装置1を直管型で説明するが、もちろんこれに限られず、丸型蛍光灯や、電球型蛍光灯であってもよいし、口金を備えたランプ形状に限らず、筐体に光源や電源装置を収めた構造でもよい。
【0020】
ケース10は、LED基板20を収容するための構造である。長さは、例えば、120cm程度であり、一般的な蛍光灯のサイズである。ケース10は、円筒状であり、光拡散部11と、電極12と、電源(不図示)とを有する。
【0021】
光拡散部11は、LED基板20を円筒状に覆う構造であり、LED基板20を保護する役割も持ち、材料としては、例えば、ガラス又はアクリル、ポリカーボネート等の樹脂からなる透明あるいは半透明であり、LED基板20からの光を拡散する。
【0022】
電極12は、LED基板20に対して、外部から電力を供給するための端子である。蛍光灯のソケットに挿入し、ソケットから100V等の商用電源が電極12を介して、ケース10内に供給される。またこれに限られず、電源装置から直流電源接続し、ケース10内に供給されるようにしてもよい。
【0023】
電源装置は、LED基板20の裏面(第1のLED30および第2のLED31が配置される面とは反対側)に配置され、外部から供給された100V等の交流電圧を、整流し、LED基板20に供給するのに適した直流電圧に変換するものである(不図示)。
【0024】
LED基板20には、第1のLED30と第2のLED40とが配置されている。LED基板20は、長方形の基板であり、長手方向の長さは、照明装置1のケース10の長さに近い120cm程度である。幅方向は、数センチである。LED基板20の上には、おおよそ3mm角の第1のLED30および第2のLED40が交互に等間隔で配置されている。本実施形態では、第1のLED30と第2のLED40とが10mm間隔で配置されているが、もちろんこれに限られない。例えば、第1のLED30が10mm間隔で2つ配置され、その隣に第2のLED40が10mm間隔で2つ配置されるようにしてもよい。それぞれのLEDは、電気的に導通するよう接続され、電源装置で生成された電力を用いて発光する。
【0025】
図2に示すように、第1のLED30は、少なくとも410nm以上700nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有し、第1の発光ダイオード30Aと、第1の蛍光体膜30Bと、を有する。本実施形態では、第1のLED30は、相関色温度が5000Kの白色光を発光するが、もちろんこれに限られず、相関色温度が4000Kであってもよいし、6000Kであってもよい。また本実施形態において第1のLED30の平均演色評価数Raは、95ある。
【0026】
第1の発光ダイオード30Aには、LED基板20から直流電圧が印加される。第1の発光ダイオード30Aは、印加される直流電圧に応じて点灯し、光を放射する。第1の発光ダイオード30Aは、410nm以上470nm以下の波長範囲(青色光の波長範囲)に発光強度が最大となる(最大ピーク位置である)第1の最大ピーク波長31を有する光を発する。第1の発光ダイオード30Aとしては、青色発光のダイオードが用いられる。
【0027】
第1の蛍光体膜30Bは、第1の発光ダイオード30Aを覆うようにして形成される。第1の発光ダイオード30Aの光は、第1の蛍光体膜30Bにより吸収された後、610nm以上700nm以下の波長範囲(赤色光の波長範囲)にある発光強度が最大である(最大ピーク位置である)第2の最大ピーク波長32を有する光を発する。
【0028】
つまり、第1の蛍光体膜30Bは、第1の発光ダイオード30Aの光によって励起され、第2の最大ピーク波長32を有する光を発する。
【0029】
第1の発光ダイオード30Aから発する光と第1の蛍光体膜から発する光とが発光されることで所望の相関色温度(本実施形態では、5000K)を有する光が発光される。
【0030】
また本実施形態では第1のLED30を第1の発光ダイオード30Aと第1の蛍光体膜30Bとから構成されているが、もちろんこれに限られず、複数の発光ダイオードによって所望とする相関色温度を有する光が発光されるようにしてもよい。
【0031】
第1のLED30の発光スペクトルについて詳しく説明する。図2に示されるように、第1のLEDは、410nm以上750nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有する。図2の縦軸は相対発光強度(相対値)、横軸は波長(nm)である。ここで、発光強度とは、光の明るさの度合である。発光強度は、例えば、単位立体角辺りの光束量である光度である。以下、図に記載の縦軸と横軸の関係は、図2と同様とする。
【0032】
第1の最大ピーク波長31は、より詳しくは、415nm以上430nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ420nmである。第2の最大ピーク波長32は、より詳しくは、610nm以上660nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ620nmである。
【0033】
第1の最大ピーク波長31の発光強度1(100%)に対して、第2の最大ピーク波長32の発光強度は、おおよそ0.7(70%)である。また第1の最大ピーク波長31から第2の最大ピーク波長32までの波長範囲での第1のLED30の発光強度が最小となる(最小ピーク位置である)第1の最小ピーク波長33は、おおよそ440nmである。また第1の最小ピーク波長33の発光強度は、おおよそ0.38(38%)である。また470nm以上610nm以下の波長範囲(第1の波長範囲と第2の波長範囲との間であり、黄色、緑色の波長範囲)の発光強度はおおよそ、0.6(60%)以上0.7(70%)以下である。
【0034】
次に図3に示すように、第2のLED40は、少なくとも410nm以上700nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有し、第2の発光ダイオード40Aと、第2の蛍光体膜40Bと、を有する。本実施形態では、第2のLED40は、相関色温度が4000Kの白色光を発光するが、もちろんこれに限られず、相関色温度が3500Kであってもよいし、4500Kであってもよい。また本実施形態において第2のLED40の平均演色評価数Raは、95ある。
【0035】
第2の発光ダイオード40Aには、LED基板20から直流電圧が印加される。第2の発光ダイオード40Aは、印加される直流電圧に応じて点灯し、光を放射する。第2の発光ダイオード40Aは、410nm以上470nm以下の波長範囲(青色光の波長範囲)に発光強度が最大となる(最大ピーク位置である)第3の最大ピーク波長41を有する光を発する。第2の発光ダイオード40Aとしては、青色発光のダイオードが用いられる。
【0036】
第2の蛍光体膜40Bは、第2の発光ダイオード40Aを覆うようにして形成される。第2の発光ダイオード40Aの光は、第2の蛍光体膜により吸収された後、610nm以上700nm以下の波長範囲(赤色光の波長範囲)にある発光強度が最大となる(最大ピーク位置である)第4の最大ピーク波長42を有する光を発する。
【0037】
つまり、第2の蛍光体膜40Bは、第2の発光ダイオード40Aの光によって励起され、第4の最大ピーク波長42を有する光を発する
【0038】
第2の発光ダイオード40Aから発する光と第2の蛍光体膜40Bから発する光とが発光されることで所望の相関色温度(本実施形態では、4000K)を有する光が発光される。
【0039】
また本実施形態では第2のLED40を第2の発光ダイオード40Aと第2の蛍光体膜40Bとから構成されているが、もちろんこれに限られず、複数の発光ダイオードによって所望とする相関色温度を有する光が発光されるようにしてもよい。
【0040】
第2のLED40の発光スペクトルについて詳しく説明する。図3に示されるように、第2のLEDは、410nm以上750nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有する。図3の縦軸は相対発光強度、横軸は波長(nm)である。
【0041】
第3の最大ピーク波長41は、より詳しくは、430nm以上460nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ445nmである。第4の最大ピーク波長42は、より詳しくは、630nm以上680nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ660nmである。
【0042】
第3の最大ピーク波長41の発光強度1(100%)に対して、第4の最大ピーク波長42の発光強度は、おおよそ1(100%)である。また第3の最大ピーク波長41から第4の最大ピーク波長42までの波長範囲での第2のLED40の発光強度が最小となる(最小ピーク位置である)第2の最小ピーク波長43は、おおよそ465nmである。また第2の最小ピーク波長43の発光強度は、おおよそ0.3(30%)である。また470nm以上610nm以下の波長範囲(第1の波長範囲と第2の波長範囲との間であり、黄色、緑色の波長範囲)の発光強度はおおよそ、0.3(30%)以上0.8(80%)以下である。
【0043】
図4に示されるように、第1のLED30と第2のLED40の第1の混合光50の発光スペクトルについて説明する。第1の混合光50は、410nm以上750nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有する。本実施形態では、混合光50は、相関色温度が4500Kの白色光を発光するが、もちろんこれに限られず、第1のLED30と第2のLED40との出力を変化させることで、例えば、相関色温度を4000K~5000Kまで変化させることが可能である。
【0044】
第1の混合光50は、410nm以上470nm以下の波長範囲(青色光の波長範囲)に発光強度が最大である(最大ピーク位置である)第5の最大ピーク波長51を有する光を発する。
【0045】
また第1の混合光50は、610nm以上700nm以下の波長範囲(赤色光の波長範囲)に発光強度が最大である(最大ピークとなる位置)第6の最大ピーク波長52を有する光を発する。
【0046】
第5の最大ピーク波長51は、より詳しくは、430nm以上460nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ445nmである。第6の最大ピーク波長52は、より詳しくは、610nm以上660nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ620nmである。
【0047】
第6の最大ピーク波長52の発光強度1(100%)に対して、第5の最大ピーク波長52の発光強度は、おおよそ0.78(78%)である。また第5の最大ピーク波長51から第6の最大ピーク波長52までの波長範囲での第1の混合光50の発光強度が最小となる(最小ピークとなる位置)第3の最小ピーク波長53は、おおよそ465nmである。また第3の最小ピーク波長53の発光強度は、おおよそ0.53(53%)である。また470nm以上610nm以下の波長範囲(第1の波長範囲と第2の波長範囲との間であり、黄色、緑色の波長範囲)の発光強度はおおよそ、0.5(50%)以上1(100%)以下である。
【0048】
また第1のピーク波長54は、415nm以上430nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ420nmである。第1のピーク波長54の発光強度は、おおよそ0.4(40%)である。第2のピーク波長55は、630nm以上680nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ660nmである。第2のピーク波長55は、おおよそ0.95(95%)である。本実施形態では、第1の混合光50の平均演色評価数Raは、98である。
【0049】
ここで、ピーク波長とは、第5の最大ピーク波長51、第6の最大ピーク波長52、第3の最小ピーク波長53とは別の、凸なる形状であるスペクトル部分をいう。ピーク波長54は、第1の発光ダイオード30Aの光であり、ピーク波長55は、第2の蛍光体膜40Bが第2の発光ダイオード40Aの光によって励起された光の一部である。
【0050】
第1の混合光50のうち、第5の最大ピーク波長51は、第2のLED40の第3の最大ピーク波長41に相当し、第6の最大ピーク波長52は、第1のLED30の第2の最大ピーク波長32に相当する。また第1の混合光50のうち、第3の最小ピーク波長53は、第2のLED40の第1の最小ピーク波長43に相当する。さらに、第1のピーク波長54は、第1のLED40の第1の最大ピーク波長41に相当し、第2のピーク波長55は、第2のLED40の第2の最大ピーク波長42に相当する。
【0051】
第1のLED30と第2のLED40とでは、第1の最大ピーク波長31と第3の最大ピーク波長41、第2の最大ピーク波長32と第4の最大ピーク波長42、さらに第1の最小ピーク波長33と第2の最小ピーク波長43との波長がそれぞれ異なる。
【0052】
つまり、第1のLED30と第2のLED40との第1の混合光50では、第1の最小ピーク波長33と第2の最小ピーク波長43との波長が異なるため、互いの発光強度が低いところが重ならない状態となる。これにより、互いの発光強度が低いところを補うことが可能となるため、より演色性の優れた光を発することができる。
【0053】
具体的には、第1の混合光50のうちの第3の最小ピーク波長53は、第2のLED40の第2の最小ピーク波長43に相当するが、相対的な発光強度は、第2のLED40のときのみより増加している(0.3から0.53)。
【0054】
また第1の最大ピーク波長31と第3の最大ピーク波長41、第2の最大ピーク波長32と第4の最大ピーク波長42とが異なるため、広い波長範囲で、発光強度の高い発光スペクトルが生成される。これにより、第1のLED30と第2のLED40とを個別に用いるより演色性の優れた光を発することができる。
【0055】
また本発明の照明装置1は、演色性が優れているだけでなく、赤外線や紫外線成分をほとんど含んでいないので、絵画展での照明や絵画を保管する保管室の照明にも使用できる。
【0056】
また室内での植物栽培用の照明にも使用できる。なぜなら本発明の照明装置1は、図8は、マックリーカーブを示す図であり、マックリーカーブ(МcCree curve)という植物22種平均の波長と光合成効率とを示すグラフの形状に近いからである。つまり、植物を育てる植物工場やその他見た目の色が重要となってくる製品(植物)を作る工場の照明などにも利用できる。
【0057】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と異なる構成について、主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を具し、その説明を省略又は簡略化する。
【0058】
図5は、第2の実施形態に係る照明装置1Aの正面を示す図であり、図6は、第2の実施形態に係る第3のLED60の発光スペクトルを示す図であり、図7は、第2の実施形態に係る照明装置1Aの発光スペクトルを示す図である。
【0059】
照明装置1Aは、第1の実施形態の照明装置1とほぼ同様の構成であり、異なる構成は、LED基板20Aが第1のLED30と第3のLED60とを有する点である。
【0060】
図6に示されるように第3のLED60は、410nm以上750nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有し、第3の発光ダイオード60Aと、第3の蛍光体膜60Bと、を有する。本実施形態では、第3のLED60は、相関色温度が3000Kの白色光を発光するが、もちろんこれに限られず、相関色温度が2500Kであってもよいし、3500Kであってもよい。また本実施形態において第3のLED60の平均演色評価数Raは、95ある。
【0061】
第3の発光ダイオード60Aには、LED基板20Aから直流電圧が印加される。第1の発光ダイオード60Aは、印加される直流電圧に応じて点灯し、光を放射する。第3の発光ダイオード60Aは、410nm以上470nm以下の波長範囲(青色光の波長範囲)に発光強度が最大となる(最大ピークとなる位置)第7の最大ピーク波長61を有する光を発する。第3の発光ダイオード60Aとしては、青色発光のダイオードが用いられる。
【0062】
第3の蛍光体膜60Bは、第3の発光ダイオード60Aを覆うようにして形成される。第3の発光ダイオードの光60Aは、第3の蛍光体膜60Bにより吸収された後、610nm以上700nm以下の波長範囲(赤色光の波長範囲)にある発光強度が最大である(最大ピークとなる位置)第8の最大ピーク波長62を有する光を発する。
【0063】
つまり、第3の蛍光体膜60Bは、第3の発光ダイオード60Aの光によって励起され、第8の最大ピーク波長62を有する光を発する。
【0064】
第3の発光ダイオード60Aから発する光と第3の蛍光体膜60Bから発する光とが発光されることで所望の相関色温度(本実施形態では、3000K)を有する光が発光される。
【0065】
また本実施形態では第3のLED60を第3の発光ダイオード60Aと第3の蛍光体膜60Bとから構成されているが、もちろんこれに限られず、複数の発光ダイオードによって所望とする相関色温度を有する光が発光されるようにしてもよい。
【0066】
第3のLED60の発光スペクトルについて詳しく説明する。図6に示されるように、第3のLED60は、少なくとも410nm以上700nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有する。図6の縦軸は相対発光強度、横軸は波長(nm)である。
【0067】
第7の最大ピーク波長61は、より詳しくは、430nm以上460nm以下の波長範囲であり、その中心波長は、おおよそ445nmである。第8の最大ピーク波長62は、より詳しくは、630nm以上680nm以下の波長範囲であり、その中心波長は、おおよそ660nmである。
【0068】
第8の最大ピーク波長62の発光強度を1(100%)に対して、第7の最大ピーク波長61の発光強度は、おおよそ0.5(50%)である。また第7の最大ピーク波長61から第8の最大ピーク波長62までの波長範囲での第3のLED60の発光強度が最小となる(最小ピークとなる位置)第4の最小ピーク波長63は、おおよそ465nmである。また第4の最小ピーク波長63の発光強度は、おおよそ0.1(10%)である。また470nm以上610nm以下の波長範囲(第1の波長範囲と第2の波長範囲との間であり、黄色、緑色の波長範囲)の発光強度はおおよそ、0.1(10%)以上0.8(80%)以下である。
【0069】
図7に示されるように、第1のLED30と第3のLED60の第2の混合光70の発光スペクトルについて説明する。第2の混合光70は、410nm以上750nm以下の波長範囲で連続スペクトルを有する。本実施形態では、第2の混合光70は、相関色温度が4000Kの白色光を発光するが、もちろんこれに限られず、第1のLED30と第3のLED60との出力を変化させることで、例えば、相関色温度を3000K~5000Kまで変化させることが可能である。
【0070】
第2の混合光70は、410nm以上470nm以下の波長範囲(青色光の波長範囲)に発光強度が最大である(最大ピークとなる位置)第9の最大ピーク波長71を有する光を発する。
【0071】
また第2の混合光70は、610nm以上700nm以下の波長範囲(赤色光の波長範囲)に発光強度が最大である(最大ピークとなる位置)第10の最大ピーク波長72を有する光を発する。
【0072】
第9の最大ピーク波長71は、より詳しくは、430nm以上460nm以下の波長範囲であり、その中心波長は、おおよそ445nmである。第10の最大ピーク波長72は、より詳しくは、610nm以上660nm以下の波長範囲であり、その中心波長は、おおよそ620nmである。
【0073】
第10の最大ピーク波長72の発光強度1(100%)に対して、第9の最大ピーク波長71の発光強度は、おおよそ0.52(52%)である。また第9の最大ピーク波長71から第10の最大ピーク波長72までの波長範囲での第2の混合光70の発光強度が最小となる(最小ピークとなる位置)第5の最小ピーク波長73は、おおよそ465nmである。また第5の最小ピーク波長73の発光強度は、おおよそ0.4(40%)である。また470nm以上610nm以下の波長範囲(第1の波長範囲と第2の波長範囲との間であり、黄色、緑色の波長範囲)の発光強度はおおよそ、0.4(40%)以上0.95(95%)以下である。
【0074】
また第3のピーク波長74は、415nm以上430nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ420nmである。第3のピーク波長74の発光強度は、おおよそ0.4(40%)である。第4のピーク波長75は、630nm以上680nm以下の波長範囲にあり、その中心波長は、おおよそ660nmである。第4のピーク波長75は、おおよそ0.95(95%)である。本実施形態では、第2の混合光70の平均演色評価数Raは、98ある。
【0075】
ここで、ピーク波長とは、上述したように、第9の最大ピーク波長71、第10の最大ピーク波長72、第5の最小ピーク波長73とは別の、凸なる形状であるスペクトル部分をいう。ピーク波長74は、第1の発光ダイオード30Aの光であり、ピーク波長75は、第3の蛍光体膜60Bが第3の発光ダイオード60Aの光によって励起された光の一部である。
【0076】
第2の混合光70のうち、第9の最大ピーク波長71は、第3のLED60の第7の最大ピーク波長61に相当し、第10の最大ピーク波長72は、第1のLED30の第2の最大ピーク波長32に相当する。また第2の混合光70のうち、第5の最小ピーク波長73は、第3のLED60の第4の最小ピーク波長63に相当する。さらに、第3のピーク波長74は、第1のLED40の第1の最大ピーク波長41に相当し、第4のピーク波長75は、第3のLED60の第8の最大ピーク波長62に相当する。
【0077】
第1のLED30と第3のLED60とでは、第1の最大ピーク波長31と第7の最大ピーク波長61、第2の最大ピーク波長32と第8の最大ピーク波長62、さらに第1の最小ピーク波長33と第4の最小ピーク波長63との波長がそれぞれ異なる。
【0078】
つまり、第1のLED30と第3のLED60との第2の混合光70では、第1の最小ピーク波長33と第4の最小ピーク波長63との波長が異なるため、互いの発光強度が低いところが重ならない状態となる。これにより、互いの発光強度が低いところを補うことが可能となるため、より演色性の優れた光を発することができる。
【0079】
具体的には、第2の混合光70のうちの第5の最小ピーク波長73は、第3のLED60の第4の最小ピーク波長63に相当するが、相対的な発光強度は、第3のLED60のときのみより増加している(0.1から0.4)。
【0080】
また第1の最大ピーク波長31と第7の最大ピーク波長61、第2の最大ピーク波長32と第8の最大ピーク波長62とが異なるため、広い波長範囲で、発光強度の高い発光スペクトルが生成される。これにより、第1のLED30と第3のLED60とを個別に用いるより演色性の優れた光を発することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更(例えば、組み合わせるLEDの相関色温度の変更)を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
1…照明装置
10…ケース
11…光拡散部
12…電極
20…LED基板
30…第1のLED
31…第1の最大ピーク波長
32…第2の最大ピーク波長
33…第1の最小ピーク波長
40…第2のLED
41…第3の最大ピーク波長
42…第4の最大ピーク波長
43…第2の最小ピーク波長
50…第1の混合光
51…第5の最大ピーク波長
52…第6の最大ピーク波長
53…第3の最小ピーク波長
60…第3のLED
70…第2の混合光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8