(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079075
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラム及び信号機
(51)【国際特許分類】
G08G 1/08 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G08G1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191791
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白畑 匡秀
(72)【発明者】
【氏名】藤田 僚
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC05
5H181JJ05
5H181JJ15
(57)【要約】
【課題】新たに灯色出力データを追加することなく車両が安全に停止できる時間を確保することができる制御装置、制御方法、プログラム及び信号機を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る制御装置は、第1の道路と、第2の道路とを有する道路に設置された第1の道路上の通行情報を提示する信号灯器を制御する制御装置であって、第2の道路の通行予定者を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得したときは、灯色出力データに基づいて、検出信号を取得したときの階梯が通行権を与える階梯であるかどうかを判定し、その階梯であるときは、検出信号を取得したときの階梯の第1の残秒数が安全確保時間未満かどうかを判定する判定部と、第1の残秒数が安全確保時間未満である場合、第1の残秒数を安全確保時間以上である第2の残秒数とし、第2の残秒数を運転支援情報として信号情報を生成する信号生成部とを具備する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の道路と、前記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された前記第1の道路上の前記車両の通行権に関する情報を提示する信号灯器を制御する制御装置であって、
内部時刻を計時する内部時計と、
前記信号灯器の階梯用の灯色出力データを記憶する記憶部と、
前記内部時刻に基づいて前記信号灯器の階梯を計時し、前記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得したときは、前記灯色出力データに基づいて、前記検出信号を取得したときの前記信号灯器の階梯が前記通行権を与える所定の階梯であるかどうかを判定し、前記所定の階梯であるときは、前記検出信号を取得したときの前記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する判定部と、
前記第1の残秒数が前記安全確保時間未満である場合、前記第1の残秒数を前記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、前記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する信号生成部と
を具備する制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記第2の残秒数は、前記安全確保時間であり、
前記信号生成部は、前記第2の残秒数が前記安全確保時間となるように前記第1の残秒数を延長する
制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記検出信号は、歩行者用押しボタンの操作又は車両感知器での車両感知による感知信号である
制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記所定の階梯は、前記信号灯器が青信号を表示する階梯である
制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記信号生成部は、前記第1の残秒数を前記第2の残秒数として階梯歩進用の制御信号をさらに生成し、
前記制御信号に基づいて、前記信号灯器の灯色を切り替える灯色出力回路をさらに具備する
制御装置。
【請求項6】
第1の道路と、前記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された前記第1の道路の通行権に関する情報を提示する信号灯器を制御する制御方法であって、
内部時計によって計時される内部時刻に基づいて前記信号灯器の階梯を計時し、前記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得し、
前記検出信号を取得したときは、前記信号灯器の階梯用灯色出力データを有する灯色出力データに基づいて、前記検出信号を取得したときの前記信号灯器の階梯が通行権を与える所定の階梯かどうかを判定し、
前記所定の階梯のときは、前記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定し、
前記第1の残秒数が前記安全確保時間未満である場合、前記第1の残秒数を前記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、前記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する
制御方法。
【請求項7】
第1の道路と、前記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された前記第1の道路の通行権に関する情報を提示する信号灯器を制御するプログラムであって、
内部時計によって計時される内部時刻に基づいて前記信号灯器の階梯を計時し、前記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得するステップと、
前記検出信号を取得したときは、前記信号灯器の階梯用灯色出力データを有する灯色出力データに基づいて、前記検出信号を取得したときの前記信号灯器の階梯が通行権を与える所定の階梯かどうかを判定するステップと、
前記所定の階梯であるときは、前記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定するステップと、
前記第1の残秒数が前記安全確保時間未満である場合、前記第1の残秒数を前記安全確保時間以上である第2の残秒数とし、前記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
第1の道路と、前記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された信号機であって、
前記第1の道路の通行権に関する情報を提示する信号灯器と、
内部時刻を計時する内部時計と、前記信号灯器の階梯用の灯色出力データを記憶する記憶部と、前記内部時刻に基づいて前記信号灯器の階梯を計時し、前記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得したときは、前記灯色出力データに基づいて、前記検出信号を取得したときの前記信号灯器の階梯が通行権を与える所定の階梯かどうかを判定し、前記所定の階梯であるときは、前記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する判定部と、前記第1の残秒数が前記安全確保時間未満である場合、前記第1の残秒数を前記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、前記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する信号生成部と、を有する制御装置と
を具備する信号機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点等に配置される信号灯器の灯色に関する信号情報を提供する制御装置、制御方法、プログラム及び信号機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交差点内及びその近傍での交通事故を防止する目的で、交差点に設けられている交通信号機の信号灯色及び継続時間などの信号情報を例えば自動運転車両に対して提供し、車載装置がその信号情報に基づいて前記交差点の手前で停止すべきか通過可能かを判断し、車両の速度制御を行う交通信号制御機が提唱されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した交通信号制御機では、押ボタン等の感知入力の有無によって各信号灯器の灯色が切り替わるリコール制御を実行する場合には、当該信号制御の対象となる信号灯色の現示時間が不確定なものとなり、押ボタンによる感知が入るタイミングによっては、現示時間の残秒数が確定したときに、すぐに切り替わり、車両が安全に停止できないという問題があった(
図4参照)。
【0005】
そこで、当該信号灯色の灯色が青色から黄色に切り替わる間に別途灯色が青色で所定時間有する階梯を設けることで車両が安全に停止できる時間を確保するという方法がある(
図5参照)。
【0006】
しかしながら、その方法では、別途階梯を加えた灯色出力データを新たに作成する必要があり、かつ、すでに階梯数が所定の最大数(例えば24)ある場合、灯色出力データを追加できないという問題があった。また階梯を1つ以上、ずらすことになるため、信号機定数や階梯用の灯色出力データを設定しなおす必要があった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、新たに灯色出力データを追加することなく車両が安全に停止できる時間を確保することができる制御装置、制御方法、プログラム及び信号機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る制御装置は、第1の道路と、上記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された上記第1の道路上の上記車両の通行権に関する情報を提示する信号灯器を制御する制御装置であって、内部時計と、記憶部と、判定部と、信号生成部とを具備する。
上記内部時計は、内部時刻を計時する。
上記記憶部は、上記信号灯器の階梯用の灯色出力データを記憶する。
上記判定部は、上記内部時刻に基づいて上記信号灯器の階梯を計時し、上記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得したときは、上記灯色出力データに基づいて、上記検出信号を取得したときの上記信号灯器の階梯が上記通行権を与える所定の階梯であるかどうかを判定し、上記所定の階梯であるときは、上記検出信号を取得したときの上記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する。
上記信号生成部は、上記第1の残秒数が上記安全確保時間未満である場合、上記第1の残秒数を上記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、上記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する。
【0009】
上記制御装置によれば、第2の道路を通行予定の歩行者または車両の検出による検出信号を取得したときは、上記検出信号を取得したときの階梯が通行権を与える階梯であって、当該階梯である場合、当該階梯の第1の残秒数が安全確保時間未満の場合、第2の残秒数と延長して、その第2の残秒数を運転支援情報として信号情報を生成する。つまり、灯色が切り替わるまでの時間を車両が安全に停止することができる時間にしてその時間を車両に提供することができる。これにより、新たな灯色出力データや、信号機定数を設定しなおす必要がないため、階梯数が所定の数あった場合でも対応でき、新たに灯色出力データや信号機定数を再設定する手間を抑制することができる。
【0010】
上記第2の残秒数は、上記安全確保時間であってもよい。
その場合、上記信号生成部は、上記第2の残秒数が上記安全確保時間となるように上記第1の残秒数を延長する。
【0011】
上記検出信号は、歩行者用押しボタンの操作又は車両感知器での車両感知による感知信号であってもよい。
【0012】
上記所定の階梯は、上記信号灯器が青信号を表示する階梯であってもよい。
【0013】
上記信号生成部は、上記第1の残秒数を上記第2の残秒数として階梯歩進用の制御信号をさらに生成してもよい。
その場合、上記制御信号に基づいて、上記信号灯器の灯色を切り替える灯色出力回路をさらに備える。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る制御方法は、第1の道路と、上記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された上記第1の道路上の上記車両の通行権に関する情報を提示する信号灯器を制御する制御方法であって、
内部時計によって計時される内部時刻に基づいて上記信号灯器の階梯を計時し、上記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得する。
上記検出信号を取得したときは、上記信号灯器の階梯用灯色出力データを有する灯色出力データに基づいて、上記検出信号を取得したときの上記信号灯器の階梯が通行権を与える所定の階梯かどうかを判定する。
上記所定の階梯のときは、上記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する。
上記第1の残秒数が上記安全確保時間未満である場合、上記第1の残秒数を上記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、上記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るプログラムは、第1の道路と、上記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された上記第1の道路上の上記車両の通行権に関する情報を提示する信号灯器を制御するプログラムであって、
内部時計によって計時される内部時刻に基づいて上記信号灯器の階梯を計時し、上記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得する。
上記検出信号を取得したときは、上記信号灯器の階梯用灯色出力データを有する灯色出力データに基づいて、上記検出信号を取得したときの上記信号灯器の階梯が通行権を与える所定の階梯かどうかを判定する。
上記所定の階梯のときは、上記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する。
上記第1の残秒数が上記安全確保時間未満である場合、上記第1の残秒数を上記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、上記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る信号機は、第1の道路と、上記第1の道路上の車両の通行が制限された場合に通行可能な第2の道路とを有する道路に設置された信号機であって、信号灯器と、制御装置とを具備する。
上記信号灯器は、上記第1の道路の通行権に関する情報を提示する
上記制御装置は、内部時計と、記憶部と、判定部と、信号生成部とを有する。
上記内部時計は、内部時刻を計時する。
上記記憶部は、上記信号灯器の階梯用の灯色出力データを記憶する。
上記判定部は、上記内部時刻に基づいて上記信号灯器の階梯を計時し、上記第2の道路を通行予定の歩行者または車両を検出する検出装置によって出力される検出信号を取得したときは、上記灯色出力データに基づいて、上記検出信号を取得したときの上記信号灯器の階梯が上記通行権を与える所定の階梯であるかどうかを判定し、上記所定の階梯であるときは、上記検出信号を取得したときの上記所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する。
上記信号生成部は、上記第1の残秒数が上記安全確保時間未満である場合、上記第1の残秒数を上記安全確保時間以上である第2の残秒数と延長し、上記第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、新たに灯色出力データを追加することなく車両が安全に停止できる時間を確保することができる制御装置、制御方法、プログラム及び信号機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る交通制御システムの概略構成図である。
【
図2】上記交通制御システムが適用される道路の模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】従来の信号灯器の階梯表の一例を示す図であり、(A)は、押ボタンによる感知あり時の階梯表、(B)は、押ボタンによる感知なし時の階梯表である。
【
図5】比較例に係る信号灯器の階梯表の一例を示す図であり、(A)は、押ボタンによる感知あり時の階梯表、(B)は、押ボタンによる感知なし時の階梯表である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る制御装置の信号灯器の階梯手順の一例を示す図であり、(A)は、押ボタンによる感知があったときの第1の残秒数が安全確保時間未満である場合の階梯表、(B)は、押ボタンによる感知なし時の階梯表である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る制御装置において実行される階梯手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の交通制御システムの他の形態における概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
[交通制御システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る交通制御システム100の概略構成図、
図2は交通制御システム100が適用される道路R1の模式図である。本実施形態では、一例として押ボタン式の横断歩道R2を有する道路R1を例に挙げて説明する。この例で挙げられたリコール制御を実施する道路に限られない。また本実施形態では車両を自動運転車両として説明するが、もちろんこれに限られない。
【0021】
本実施形態の交通制御システム100は、制御装置10と、路側アンテナ20と、検出装置30と、交通管制センター40とを備える。
【0022】
制御装置10は、
図2に示すように、南北方向(図中上下方向)に延びる車道である第1の道路R1に設置された車両用灯器1Vと、東西方向(図中左右方向)に延びる第1の道路R1の横断歩道R2(第2の道路)に設置された歩行者用灯器1Pと、を含む複数の信号灯器を制御する。
【0023】
制御装置10は、商用電源を電力源に用いて、予め設定された点灯時間(現示秒数)及び周期で各信号灯器の発光(青、黄、赤)を制御する。制御装置10は、典型的には、信号機Sの支柱に取り付けられた制御ボックス(図示略)に設置され、各灯器1V、1Pにそれぞれ有線で電気的に接続される。以下、個別に説明する場合を除き、各灯器1V、1Pを信号灯器1と呼ぶ。本実施形態では信号機Sは、制御装置10と信号灯器1Vとを有する。
【0024】
制御装置10は、車両用灯器1Vに関する灯色情報を路側アンテナ20に送信することが可能に構成される。制御装置10は、交通管制センター40と通信可能に構成されてもよい。また、制御装置10は、GPS等を利用した時刻修正機能をもつものであれば、スタンドアロン型の制御装置であってもよい。
【0025】
路側アンテナ20は、信号機Sが設置される第1の道路R1を走行する車両Vと通信可能に構成され、車両用灯器1Vに関する信号情報を車両Vへ送信することが可能に構成される。車両Vには図示せずとも、路側アンテナ20から送信される信号情報を受信可能な車載器のほか、当該信号情報に基づいて運転者へ車両用灯器1Vに関連する情報を提示するデバイス(ディスプレイ、スピーカなど)が設置される。
【0026】
信号情報は、車両Vの進行方向前方に位置する信号機の灯色に関連する情報であって、典型的には、送信時の時刻情報、車両Vの通過時における信号機の灯色及びその次階梯までの残時間(残秒数)を含む。これにより、走行する車両Vに対しては、信号通過支援や赤信号減速支援等の運転支援情報を提供することが可能となる。また、車両Vが自動運転車両の場合、車両自身に当該信号情報を利用して自律的に制動制御を判断させることを可能とする。
【0027】
路側アンテナ20は、信号制御装置10とは独立して設置される場合に限られず、制御装置10の内部に設置されてもよい。つまり、制御装置10は、自ら信号情報を車両Vへ向けて送信する送信機能を有してもよい。
【0028】
交通管制センター40は、中央装置41と、タイムサーバ42とを有し、制御装置10とネットワークを介して通信可能に接続される。中央装置41は、制御装置10の上位装置(コンピュータ)に相当し、タイムサーバ42と時刻同期した内部時刻を計時する。タイムサーバ42は、GPSを利用し時刻修正を行っており、後述するように制御装置10には、GPSアンテナを設置し、定期的に時刻修正を行っております。つまり、同じGPSを利用するため、時刻の誤差を少なくすることができる。またタイムサーバ42及び制御装置10は、これに限られずNTP(Network Time Protocol)サーバ、SNTP(Simple Network Time Protocol)サーバなどが用いられてもよい。中央装置41は、信号灯器1の階梯を制御するための秒数や現示データの切り替え、拡張機能等の指令を制御装置10へ送信する。
【0029】
検出装置30は、例えば、歩行者用押ボタンまたは車両感知器であり、第2の道路R2を通行予定の歩行者を検出したときは、検出信号を例えば外部IFを介して後述する判定部312(制御装置10)に出力する。ここで、検出信号とは、歩行者用押ボタンの場合、歩行者による歩行者用押ボタンを押す操作であり、車両感知器の場合、車両感知器での車両感知による感知信号のことである。
【0030】
[制御装置]
続いて、制御装置10の詳細について説明する。
図3は、制御装置10の構成を示すブロック図である。制御装置10は、主制御ユニット11と、伝送ユニット12と、灯器開閉器(灯色出力回路)13と、送信部14と、外部IF部15とを備える。
【0031】
主制御ユニット11は、信号灯器1の動作を制御する。伝送ユニット12は、交通管制センター50と無線又は有線で通信可能な通信モジュールと、主制御ユニット11と交通管制センター50との間の情報の授受を制御するコントローラとを有する。灯器開閉器13は、信号灯器1の灯色を切り替える灯色出力回路であって、主制御ユニット11の指示に基づき、各信号灯器の点灯あるいは消灯を制御する切替回路を有する。送信部14は、路側アンテナ20と有線または無線で通信可能な通信モジュールを有し、信号灯器1に関する信号情報を路側アンテナ20へ送信可能に構成される。外部IF部15は、検出装置30と制御装置10とを接続する機器であり、例えば、感知器情報受信回路等が挙げられる。また路側アンテナ20は、無線装置であってもよいし、携帯電話網を使用した通信モジュールであってもよい。
【0032】
なお、送信部14は、伝送ユニット12と一体的に構成されてもよい。また、送信部14は、路側アンテナ20を介さずに直接、車両Vへ信号情報を無線で送信することが可能に構成されてもよい。この場合、路側アンテナ20の設置を省略することができる。さらに、送信部14は、制御装置10に内蔵される場合に限られず、外部機器として処理装置10に外付けされてもよい。また送信部14は、直接路側アンテナ20に出力してもよいが、S10インターフェース規格等を使用してもよい。
【0033】
主制御ユニット11は、制御部110と、記憶部11Aと、タイマー11Bと、バックアップ時計(ハードウェア時計)11Cとを有する。
【0034】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を含むコンピュータであり、主制御ユニット11の動作を統括的に制御する。制御部110は、内部時計(ソフトウェア時計)111と、判定部112と、信号生成部113と、更新部114と、を有する。
【0035】
内部時計111は、タイマー11Bからの出力に基づいて、少なくともミリ秒単位の内部時刻を計時する。
【0036】
判定部112は、計時部112Aと、取得部112Bと、第1の判定部112Cと、第2の判定部112Dと、出力部112Eとを有する。計時部112Aは、内部時刻111に基づいて、信号灯器1Vの階梯を計時する。取得部112Bは、検出装置30によって出力される検出信号を取得する。取得部112Bは、本実施形態では、外部IF部15を介して押ボタンによる感知信号を取得する。
【0037】
第1の判定部112Cは、灯色出力データに基づいて、検出信号を取得したときの信号灯器1Vの階梯が通行権を与える所定の階梯であるかどうかを判定する。第1の判定部112Cは、具体的には、記憶部11Aに記憶された灯色出力データ(現示企画データ)を読み出し、検出信号を取得したときの信号灯器1Vの灯色が青信号を表示するかどうかを判定する。
【0038】
第2の判定部112Dは、第1の判定部112Cによって、所定の階梯であると判定されたときは、検出信号を取得したときの所定の階梯の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを判定する。
【0039】
第2の判定部112Dは、具体的には、検出信号を取得したときの所定の階梯の第1の残秒数(次階梯までの残り時間であり、本実施形態では黄色または赤色の灯色になるまでの時間)が記憶部11Aに記憶された安全確保時間未満であるかどうかを判定する。ここで、安全確保時間とは、本実施形態では自動運転車両が、灯色が切り替わる(青信号から黄色信号に切り替わる)ことを検出してから安全に停止することができるまでの時間である。つまり、急ブレーキ等をかけずに停止線より手前で停止するのに必要な時間である。この安全確保時間は、車種(普通車か大型車か)や速度、天候によって異なり適宜設定可能であるが、例えば、普通車で時速50キロメートルの場合、安全確保時間は、おおよそ5秒である。
【0040】
出力部112Eは、第2の判定部112Dによる判定結果を信号生成部113に出力する。
【0041】
判定部112は、一定の間隔、例えば、100ms間隔で、検出信号を取得したり、判定結果を信号生成部113に出力したりする。
【0042】
信号生成部113は、演算部113Aと、生成部113Bとを有する。演算部113Aは、出力部112Eによって出力された判定結果が第1の残秒数が安全確保時間未満であるときは、第1の残秒数を安全確保時間以上である第2の残秒数に延長する。演算部113Aは、出力部112Eによって出力された判定結果が第1の残秒数が安全確保時間以上であるときは、第1の残秒数のままにし、延長等の変更を加えない。
【0043】
演算部113Aは、例えば、第1の残秒数(のこり2秒)を安全確保時間(本実施形態では5秒)以上である第2の残秒数(のこり5秒)と延長する。ここで、本実施形態では延長するとは、第1の残秒数を第2の残秒数に置き換えることや第1の残秒数(のこり2秒)が第2の残秒数(のこり5秒)になるように所定の秒数(3秒)を加算することも含まれる。
【0044】
生成部113Bは、演算部113Aにより延長された第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報と出力部112Eによって出力された判定結果に基づいて階梯歩進用の制御信号とを生成する。運転支援情報とは、本実施形態では例えば、信号灯色があと何秒で切り替わるといった情報であり、車両の運転時に交差点や横断歩道を通過するか停止するかを判断するための情報である。
【0045】
生成部113Bは、第2の残秒数を運転支援情報として外部(第1の道路R1上)に送信するための信号情報を生成するが、演算部113Aにより第1の残秒数が安全確保時間以上であったときは、第1の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成する。
【0046】
つまり、生成部113Bは、生成した信号情報を上述した送信部14から路側アンテナ20に送信し、路側アンテナ20は、その信号情報を車両Vに向けて送信する。またここで外部とは、道路R1上や、道路R1上の車両Vである。
【0047】
また演算部113Aは、運転支援情報として外部に送信するための残秒数(第1の残秒数または第2の残秒数)を記憶部11Aに記憶させ、生成部113Bは、その記憶部11Aに記憶された残秒数に基づいて、信号情報を生成してもよい。
【0048】
また、生成部113Bは、演算部113Aによって第1の残秒数が第2の残秒数に延長されたときは、第1の残秒数を第2の残秒数として階梯歩進用の制御信号を生成する。つまり、生成部113Bは、灯色が切り替わる(青信号から黄色信号になる)までの残秒数を第2の残秒数に延長した制御信号を灯器開閉器13へ生成(出力)する。
【0049】
生成部113Bは、演算部113Aによって第1の残秒数が安全確保時間以上であるため第1の残秒数のままになったときは、次の灯色までの残秒数が第1の残秒数である階梯歩進用の制御信号を生成する。
【0050】
階梯歩進用の制御信号(階梯歩進用パルス信号)は、信号灯器1Vの灯色を切り替えるために生成部113Bによって生成された切り替え信号を含む。更新部114は、図示しない通信端末(GPSアンテナ等)を介して取得したGPS信号や電波信号などの時刻情報を用いて内部時刻を修正したり、内部時計111の内部時刻を、タイムサーバ42から取得される時刻情報に更新したりすることが可能に構成される。
【0051】
記憶部11Aは、制御部110において実行される各種処理のプログラムを記憶する不揮発性の半導体メモリ等で構成される。記憶部11Aは、各信号灯器1の階梯用の灯色出力データ(現示企画データ)を含む制御設定情報を記憶する。制御設定情報とは、典型的には、信号灯器1の信号機定数をいい、階梯表(灯色出力データ)、オフセット、時限表、感応秒数、安全確保時間などが含まれる。灯色出力データは、パーソナルコンピュータから記憶部11Aに書き込まれてもよいし、伝送ユニット12を介して記憶部11Aに書き込まれてもよい。灯色出力データが予め書き込まれた不揮発性ROMが、記憶部11Aとして実装されてもよい。
【0052】
タイマー11Bは、水晶発振器や、当該水晶発振器の発振回数をカウントして内部時計111における計時機能に必要なクロックを出力するカウンタ回路等を内蔵する。ハードウェア時計11Cは、バックアップ用の時計であって、水晶発振器やカウンタ回路、補助バッテリなどを内蔵する。ハードウェア時計11Cは、制御装置10に内蔵される場合に限られず、外部機器として制御装置10に外付けされてもよい。
【0053】
(従来)
ここで、従来の信号灯器の階梯表について説明する。
図4は、従来の信号灯器の階梯表の一例を示す図であり、(A)は、押ボタンによる感知あり時の階梯表H1、(B)は、押ボタンによる感知なし時の階梯表H2である。
【0054】
ここでは、2現示6ステップの信号機を例に挙げて説明する。以下、
図4~
図7において、横一本の太線は青信号、横二本線は赤信号、波線は車両用の黄色信号、縦線は歩行者用の点滅信号である。
【0055】
図4(A)の車両灯器1Vを例に挙げて説明すると、1ステップ(階梯1)目は青信号、2ステップ目は点滅信号、3ステップ~6ステップ目は赤信号である。
図4(A)では、1~3ステップ目が1現示目、4~6ステップが2現示目を示している。なお
図4(B)では車両灯器1Vは常に青信号であり、歩行者灯器1Pは常に赤である。
図4~
図7に示されるように、流れ図の縦矢印は車両Vの移動方向であり、横破線は歩行者の移動方向である。
【0056】
各灯器が青、黄および赤の順で一巡する時間をサイクルといい、その長さは「秒」で表される。各サイクルは、典型的には、階梯時間の正秒(コンマ0.1秒)に同期して開始される。各ステップは、それぞれ独自の時間(秒数)が割り当てられ、当該階梯時間の正秒に同期して(感応動作によっては0.1秒単位で)順次進行する(階梯歩進)。また以下、1ステップとステップ1と階梯1とのそれぞれの文言は特に断りがない場合、同じ意味として扱う。もちろん1ステップに限られず、2~7ステップも同様である。
【0057】
なお、
図4に示す(設定)秒数は、各階梯の実行秒数である。設定秒数に関するデータは、記憶部11Aに固定値として格納されてもよいし、中央装置41からの指令を受けて一時的に格納されるものであってもよい。
【0058】
図4(A)、(B)に示すように、押ボタン式の横断歩道を有する道路(リコール制御を実施する信号制御機が設置された横断路)として、信号制御の場合について示している。つまり、押ボタンが押されていない状態では、
図4(B)に示されるように、車両灯器1Vが青信号、歩行者灯器1Pは赤信号の状態であり、
図4(A)に示される階梯表H1には、押ボタンが押されることで階梯表H2から移行する。
【0059】
ここでリコール制御とは、通常時に通行権がある第1の道路R1と、通常時にその通行権がなく第1の道路R1上の車両の通行が制限された(赤、または黄色信号が信号灯器1Vによって提示された)場合に通行可能な第2の道路R2と、を有する道路において、第2の道路R2を通行予定の歩行者または車両を検出した場合に第1の道路R1及び第2の道路R2の通行権及び、信号出力を切り替える制御のことである。またここで通行権があるとは、歩行者または車両が特定の方向(第1の道路R1または第2の道路R2)に進むことができる状態をいい、具体的には青信号が表示された状態をいう(
図1参照)。
【0060】
リコール制御には停止型リコールと回転型リコールとがある。停止型リコールとは、検出信号(例えば押ボタンなどによる感知信号)を取得しないときには
図4(B)の1ステップ目の終了直前(例えば1ステップ目終了まで残り0.05秒を残した状態で停止する。そして検出信号を取得したときはその停止したところから
図4(A)の階梯表H1に切り替わる(つまり階梯表H1に切り替わってから例えば0.05秒で2ステップ目に切り替わる)。また1ステップ中に検出信号を取得した場合、検出信号を検出したときに階梯表H1に切り替わる。
【0061】
また回転型リコールとは、検出信号(例えば押ボタンなどによる感知信号)を取得しないときには
図4(B)の各ステップの設定秒数に基づき秒数の経時と階梯歩進を繰り返す。この間、
図4(B)に示すように、階梯表H2の灯色(青色)を出力し続ける。そして検出信号を1ステップ開始時までに取得したときは、次の1ステップの開始を階梯表H1の1ステップからの開始に切り替える。1ステップ中に検出信号を取得した場合、検出信号を検出したときに階梯表H1に切り替わる。
【0062】
従来例の停止型リコールの場合、階梯表H2のうち1ステップ目の終了直前で停止しており、押ボタンが押されることで、階梯表H1の2ステップ目に進む(階梯歩進)。この場合、車両灯器1Vの灯色が黄色に変化する直前で信号情報を取得した自動運転車両である車両Vは、急ブレーキをかける可能性があり、円滑で安全な運行を実施できないという問題があった。また回転型リコールの場合でも1ステップ目終了直前で検出信号を検出した場合、停止型リコール同様、急ブレーキをかける可能性があった。
【0063】
(比較例)
これに対し、比較例として階梯表H1、H2の1ステップ目と2ステップ目の間に青色の信号灯色のステップ(階梯)を追加する方法が提案されてきた。
図5は灯色が青色から黄色に切り替わる間に別途灯色が青色で所定時間有する階梯を設けることで車両が安全に停止できる時間を確保する比較例に係る信号灯器の階梯表の一例を示す図であり、(A)は、押ボタンによる感知あり時の階梯表H3、(B)は、押ボタンによる感知なし時の階梯表H4である。
【0064】
この比較例の停止型リコールの場合、ステップ2'が追加されたことで、検出信号を取得してもすぐに灯色が変化することはない。つまり、停止型リコールの場合、階梯表H4の1ステップ目終了直前で停止し、押ボタンが押されることで、階梯表H4の2'ステップ目に進む(階梯歩進)。この場合、ステップ2'の設定秒数分(本実施形態では5秒)灯色が変化するまで時間を確保する。また回転型リコールの場合でも1ステップ目終了直前で検出信号を取得したとしてもステップ2'の設定秒数分灯色が変化するまで時間を確保する。
【0065】
しかしながら、比較例の場合、新たに階梯表(灯色出力データ)を作成する必要があり、個別に作成することに非常に労力を要するという問題があった。また現在の信号制御機の最大階梯数は24のため、階梯数が24の灯色出力データとなる交差点等では階梯を追加することができないという問題があった。さらに階梯が増えることにより、信号機Sを動作させる信号制御定数の再設定が必要になるという問題があった。
【0066】
以上の問題を解決するため、本実施形態の制御装置10は、以下のような方法により信号灯器1の制御を行う。
図6は、本発明の一実施形態に係る制御装置10の信号灯器1の階梯手順の一例を示す図であり、(A)は、押ボタンによる感知があったときの第1の残秒数が安全確保時間未満である場合の階梯表H5、(B)は、押ボタンによる感知なし時の階梯表H6である。また
図7は、本発明の一実施形態に係る制御装置10において実行される階梯手順の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図6の階梯表H5、H6と
図7のフローチャートとにそって説明する。ここでは歩行者が1ステップ目の23秒経過時に押ボタンを押した場合を考える。
図6に示される検出信号入力は、押ボタンが押されたことによって検出信号が制御装置10に入力されたことを示す。
【0068】
まず押ボタンが押され取得部112Bにより検出信号を取得すると(ST101)、灯色出力データに基づいて、検出信号を取得したときの信号灯器1Vの階梯が安全確保時間で指定した階梯かどうかを第1の判定部112Cによって判定する(ST102)。つまり通行権を与える所定の階梯(1ステップ目)であるかどうかを第1の判定部112Cによって判定する。
【0069】
そして第1の判定部112Cによって、所定の階梯(1ステップ目)であると判定されたときは(YES)、検出信号を取得したときの所定の階梯(1ステップ目)の第1の残秒数が予め設定された安全確保時間未満かどうかを第2の判定部112Dによって判定する(ST103)。ここで安全確保時間は、本実施形態では5秒であり、第1の残秒数は3秒である。第1の残秒数が安全確保時間未満であるため(YES)、次のSTEPへ進む。
【0070】
そして、第1の残秒数を安全確保時間(5秒)である第2の残秒数(5秒)と演算部113Aによって延長し(ST104)、演算部113Aにより延長された第2の残秒数を運転支援情報として外部に送信するための信号情報を生成部113Bによって生成する(ST105)。
【0071】
これにより、押ボタンが押された直後に灯色が変化することを防ぎ、自動運転車両が安全に停止するための判断が可能となる。また階梯の時間を変化させるため、これまでの灯色出力データを変更する必要がない。これにより、階梯数がすでに24の場合の灯色出力データとなるような交差点であっても階梯数を増やすことなく、押ボタンが押された直後に灯色が変化することを防ぎ、自動運転車両が安全に停止するための判断が可能となる。
【0072】
さらに灯色出力データや信号機定数の更新する必要がなくなるため、導入コストを抑えることができる。
【0073】
また
図7のフローチャートにおいてST102、ST103においてNOであると判定されたときは、次の灯色までの第1の残秒数を運転支援情報として信号情報を生成部113Bによって生成する。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0075】
例えば、本実施形態では、横断歩道を有する道路を例として説明したが、もちろんこれに限られず、交差点(歩車分離式も可)に対しても適用可能である。
【0076】
さらに本実施形態では、第1の残秒数が安全確保時間未満の場合、安全確保時間となるように演算部113Aによって延長したが、これに限られない。例えば、安全確保時間が5秒であり、第1の残秒数が3秒の場合、第1の残秒数に5秒を追加(延長)するようにしてもよい。
【0077】
つまり、第1の残秒数が安全確保時間未満の場合、第1の残秒数に安全確保時間分の秒数を追加(延長)するようにしてもよい。この方法によっても、押ボタンが押された直後に灯色が変化することを防ぎ、自動運転車両が安全に停止するための判断が可能となる。
【0078】
また第1の残秒数を安全確保時間に延長した場合の延長時間分は、次サイクルで調整してもよいし、しなくてもよい。
【0079】
安全確保時間の設定は、時間に限らず、例えば速度であってもよい。速度の場合、その速度から安全に停止できるまでの時間を算出し、その時間を安全確保時間としてもよい。このときの速度の設定値は、道路上の制限速度や対象となる車両の走行速度等であってもよい。
【0080】
また
図8は、本発明の交通制御システムの他の形態における概略構成図である。本発明は、
図1のようなITS(Intelligent Transport System)無線(路側アンテナ20)使用時のみに限られない。
【0081】
例えば、
図8に示されるような交通制御システム100Aは、集中制御される信号機を制御する第3の交通信号制御機10C(制御装置)と非集中制御の信号機を制御する第2の交通信号制御機10Bとからの信号情報等を交通管制センター40Aが収集する。ここで、第3の交通信号制御機10Cは、広域ETH(イーサネット)等有線を用いて交通管制センター40Aの管制システム401Aと通信する。また第2の交通信号制御機10Bは、LTE回線等を用いて信号情報配信装置402Aと通信する。
【0082】
つまり、交通管制センター40Aは、管制システム401Aで収集した信号情報を、信号情報配信装置402Aを介して警察庁50Aの信号情報集約システム501Aに送信し、信号情報の配信を行う配信センター60Aは、LTE回線等を用いて自動運転車両V'に運転支援情報として送信する。また自動運転車両V'が通行する信号機を制御する第1の交通信号制御機10Aは、LTE回線等を介して自動運転車両V'に運転支援情報を送信することができる。
【0083】
このように自動運転車両V'は、配信センター60Aから上述した情報を受信してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…信号灯器
10…制御装置
11…主制御ユニット
11A…記憶部
13…灯器開閉器
14…送信部
30…検出装置
110…制御部
111…内部時計
112…判定部
113…信号生成部