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特開2024-79076多量の無機UV遮蔽剤と、ベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される有機UV遮蔽剤とを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079076
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】多量の無機UV遮蔽剤と、ベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される有機UV遮蔽剤とを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20240604BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20240604BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/49
A61K8/29
A61K8/898
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191792
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC552
4C083AC852
4C083AC901
4C083AC902
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD352
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】組成物が比較的多量の無機UV遮蔽剤を含んでいても、十分なUV遮蔽効果及び滑らかな手触りをもたらしうる組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤と、(b)少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の有機UV遮蔽剤とを含む組成物であって、(a)無機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して5質量%超である、組成物に関する。本発明による組成物は、組成物が比較的多量の無機UV遮蔽剤を含んでいても、十分なUV遮蔽効果及び滑らかな手触りをもたらすことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の有機UV遮蔽剤と
を含む組成物であって、
(a)無機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して5質量%超である、組成物。
【請求項2】
(a)無機UV遮蔽剤が、二酸化チタン、酸化亜鉛及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)無機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)有機UV遮蔽剤が、式(1):
O(3-a)/2Si(R7)a-G (1)
[式中、
R7は、任意選択でハロゲン化されているC1~C10アルキル基、フェニル基、又はトリメチルシリルオキシ基であり、
aは、両端を含む0~3の範囲の整数であり、
Gは、ケイ素原子に直接結合しており、且つ構造式(2):
【化1】
(式中、
Y基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C8アルキル基、ハロゲン原子、又はC1~C4アルコキシ基であり、但し、最後の場合には、同じ芳香環上の2個の隣接するY基は、一緒になってアルキリデンジオキシ基を形成することができ、アルキリデン部分は、1又は2個の炭素原子を有し、
Xは、O又はNHであり、
Zは、水素又はC1~C4アルキル基であり、
nは、両端を含む0~3の範囲の整数であり、
mは、0又は1であり、
pは、両端を含む1~10の範囲の整数である)
を有する、一価の基である]
を有する少なくとも1つの構造単位を含有する、シラン及びポリオルガノシロキサンから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)有機UV遮蔽剤が、構造式(5)及び(6):
【化2】
[式中、
R7基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C10アルキル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピル、又はトリメチルシリルオキシ基であり、R7基の数により少なくとも80%がメチル基であり、
D基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれR7基又はG基であり、
rは、両端を含む0~50の範囲の整数であり、sは、両端を含む0~20の範囲の整数であり、但し、s=0の場合、2個のD基のうちの少なくとも1つは、G基であり、
uは、両端を含む1~6の範囲の整数であり、tは、両端を含む0~10の範囲の整数であり、但し、t+uは、3以上であり、
G基は、構造式(2)
【化3】
(式中、
Y基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C8アルキル基、ハロゲン原子、又はC1~C4アルコキシ基であり、但し、最後の場合には、同じ芳香環上の2個の隣接するY基は、一緒になってアルキリデンジオキシ基を形成することができ、アルキリデン部分は、1又は2個の炭素原子を有し、
Xは、O又はNHであり、
Zは、水素又はC1~C4アルキル基であり、
nは、両端を含む0~3の範囲の整数であり、
mは、0又は1であり、
pは、両端を含む1~10の範囲の整数である)
を有する]
のいずれかを有するベンゾトリアゾール置換シリコーン化合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(b)有機UV遮蔽剤が、構造式(7):
【化4】
(式中、0≦r≦10であり、1≦s≦10であり、Eは、二価の基:
【化5】
である)
を有するベンゾトリアゾール置換シリコーン化合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(b)有機UV遮蔽剤が、構造式:
【化6】
を有するドロメトリゾールトリシロキサンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の(b)有機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、(c)少なくとも1種の脂肪物質を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(c)脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、(d)少なくとも1種のホスフェート化合物を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物中の(d)ホスフェート化合物の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物、より好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メイクアップ組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン基材に、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を適用する工程を含む、皮膚等のケラチン基材のための美容方法。
【請求項15】
組成物の滑らかな質感を改善させるための、
組成物の総質量に対して5質量%超の量の(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含む組成物中の、
少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される(b)少なくとも1種の有機UV遮蔽剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的多量の無機UV遮蔽剤と、少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の有機UV遮蔽剤とを含む組成物、並びに該組成物を使用する美容方法、及び比較的多量の無機UV遮蔽剤を含む組成物中の有機UV遮蔽剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの化粧料は、紫外線を遮蔽するために1種又は複数のUV遮蔽剤を含有する。特に、皮膚化粧料は、一般に、紫外線から皮膚を保護するための有機及び/又は無機UV遮蔽剤を含む。紫外線によって引き起こされるしわ等の皮膚への様々な種類の損傷が現在よく認識されているため、UVケア化粧料に対する必要性が更に増加している。
【0003】
しかし、組成物が比較的多量の無機UV遮蔽剤、例えばTiO2を含む場合、組成物は、きしむ質感をもたらす傾向があることが見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP-A-0,392,882
【特許文献2】EP-A-0,660,701
【特許文献3】EP-A-0,708,108
【特許文献4】EP-A-0,711,778
【特許文献5】EP-A-711,779
【特許文献6】米国特許第3,220,972号
【特許文献7】米国特許第3,697,473号
【特許文献8】米国特許第4,340,709号
【特許文献9】米国特許第4,316,033号
【特許文献10】米国特許第4,328,346号
【特許文献11】EP-A-0,392,883
【特許文献12】EP-A-0,742,003
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Cosmetics & Toiletries、1990年2月、第105巻、53~64頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、組成物が比較的多量の無機UV遮蔽剤を含んでいても、十分なUV遮蔽効果及び滑らかな手触りをもたらしうる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の有機UV遮蔽剤と
を含む組成物であって、
(a)無機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して5質量%超である、組成物によって達成することができる。
【0008】
(a)無機UV遮蔽剤は、二酸化チタン、酸化亜鉛及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0009】
本発明による組成物中の(a)無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0010】
(b)有機UV遮蔽剤は、式(1):
O(3-a)/2Si(R7)a-G (1)
[式中、
R7は、任意選択でハロゲン化されているC1~C10アルキル基、フェニル基、又はトリメチルシリルオキシ基であり、
aは、両端を含む0~3の範囲の整数であり、
Gは、ケイ素原子に直接結合しており、且つ構造式(2):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、
Y基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C8アルキル基、ハロゲン原子、又はC1~C4アルコキシ基であり、但し、最後の場合には、同じ芳香環上の2個の隣接するY基は、一緒になってアルキリデンジオキシ基を形成することができ、アルキリデン部分は、1又は2個の炭素原子を有し、
Xは、O又はNHであり、
Zは、水素又はC1~C4アルキル基であり、
nは、両端を含む0~3の範囲の整数であり、
mは、0又は1であり、
pは、両端を含む1~10の範囲の整数である)
を有する、一価の基である]
を有する少なくとも1つの構造単位を含有するシラン及びポリオルガノシロキサンから選択されてもよい。
【0013】
(b)有機UV遮蔽剤は、構造式(5)及び(6):
【0014】
【化2】
【0015】
[式中、
R7基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C10アルキル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピル、又はトリメチルシリルオキシ基であり、R7基の数により少なくとも80%がメチル基であり、
D基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれR7基又はG基であり、
rは、両端を含む0~50の範囲の整数であり、sは、両端を含む0~20の範囲の整数であり、但し、s=0の場合、2個のD基のうちの少なくとも1つは、G基であり、
uは、両端を含む1~6の範囲の整数であり、tは、両端を含む0~10の範囲の整数であり、但し、t+uは、3以上であり、
G基は、上記構造式(2)を有する]
のいずれかを有するベンゾトリアゾール置換シリコーン化合物から選択することができる。
【0016】
(b)有機UV遮蔽剤は、構造式(7):
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、0≦r≦10であり、1≦s≦10であり、Eは、二価の基:
【0019】
【化4】
【0020】
である)
を有するベンゾトリアゾール置換シリコーン化合物から選択されてもよい。
【0021】
(b)有機UV遮蔽剤は、構造式:
【0022】
【化5】
【0023】
を有するドロメトリゾールトリシロキサンであってもよい。
【0024】
本発明による組成物中の(b)有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0025】
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の脂肪物質を更に含んでもよい。
【0026】
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってもよい。
【0027】
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のホスフェート化合物を更に含んでもよい。
【0028】
本発明による組成物中の(d)ホスフェート化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0029】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物、より好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メイクアップ組成物であってもよい。
【0030】
本発明はまた、ケラチン基材に、本発明による組成物を適用する工程を含む、皮膚等のケラチン基材のための美容方法にも関する。
【0031】
本発明はまた、
組成物の滑らかな質感を改善させるための、
組成物の総質量に対して5質量%超の量の(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含む組成物中の、
少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される(b)少なくとも1種の有機UV遮蔽剤の使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
鋭意検討の結果、本発明者らは、組成物が比較的多量の無機UV遮蔽剤を含んでいても、十分なUV遮蔽効果及び滑らかな手触りをもたらしうる組成物を提供することができることを発見した。
【0033】
そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の有機UV遮蔽剤と
を含み、
(a)無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して5質量%超である。
【0034】
本発明による組成物は、組成物が比較的多量の無機UV遮蔽剤を含んでいても、十分なUV遮蔽効果及び滑らかな手触りをもたらすことができる。
【0035】
本発明による組成物は、十分なUV遮蔽効果、特にUVA遮蔽効果だけでなくUVB遮蔽効果ももたらすことができる。
【0036】
本発明による組成物は、組成物中の比較的多量の(a)無機UV遮蔽剤に起因するきしむ感覚を低下させることができる。
【0037】
本発明による組成物は、皮膚等のケラチン物質への組成物の適用中に滑らかな手触りをもたらすことができる。
【0038】
本発明による組成物はまた、皮膚等のケラチン物質から組成物を濯ぎ落とした後でさえ、滑らかな手触りをもたらすことができる。
【0039】
本発明による組成物はまた、組成物が均質であるか又は(b)有機UV遮蔽剤の結晶が存在しないように、安定である。
【0040】
以下、本発明による組成物、方法、使用等をより詳細に説明する。
【0041】
[無機UV遮蔽剤]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含む。2種以上の無機UV遮蔽剤を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
【0042】
本発明に使用される(a)無機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であってもよい。本発明に使用される(a)無機UV遮蔽剤は、化粧料において一般に使用される水及びエタノール等の溶媒に不溶性であるが、親水性及び/又は親油性であってもよい。
【0043】
(a)無機UV遮蔽剤は、その平均(一次)粒子直径が1nmから50nm、好ましくは5nmから40nm、より好ましくは10nmから30nmの範囲であるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書における平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子直径は、算術平均直径である。
【0044】
(a)無機UV遮蔽剤は、炭化ケイ素、被覆されていても被覆されていなくてもよい金属酸化物、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0045】
好ましくは、(a)無機UV遮蔽剤は、金属酸化物で形成された顔料(平均一次粒径:一般に5nmから50nm、好ましくは10nmから50nm)、例えば、酸化チタン(非晶質又はルチル及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムで形成された顔料等から選択することができ、これらは全て、それ自体が周知のUV光保護剤である。好ましくは、(a)無機UV遮蔽剤は、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛から選択することができ、より好ましくは酸化チタンである。
【0046】
(a)無機UV遮蔽剤は、被覆されていても被覆されていなくてもよい。(a)無機UV遮蔽剤は、少なくとも1種のコーティングを有してもよい。コーティングは、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩)、脂肪族アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、ワックス、例えばビーズワックス、(メタ)アクリルポリマー、有機UV遮蔽剤、及び(ペル)フルオロ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0047】
コーティングは少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を含むことが好ましい。コーティング中の有機UV遮蔽剤としては、ジベンゾイルメタン誘導体、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)及びBASF社によって「TINOSORB M」として市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチル-ブチル)フェノール](メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)が好ましい場合がある。
【0048】
公知のように、コーティング中のシリコーンは、様々な分子量の直鎖状又は環状及び分枝状又は架橋した構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであってよく、これは好適な官能性シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに接合(シロキサン結合)され、任意選択で置換された炭化水素基が炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接接合されている、主要繰り返し単位から本質的に構成される。
【0049】
用語「シリコーン」はまた、それらの調製に必要なシラン、特にアルキルシランも包含する。
【0050】
コーティングに使用されるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択することができる。更に好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択される。
【0051】
当然ながら、金属酸化物で作製された無機UV遮蔽剤は、シリコーンによるその処理の前に、他の表面処理剤(surfacing agent)、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はそれらの混合物で処理されていてもよい。
【0052】
被覆無機UV遮蔽剤は、無機UV遮蔽剤を、上記の化合物のいずれか、並びにポリエチレン、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムアルコキシド)、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及び例えばCosmetics & Toiletries、1990年2月、第105巻、53~64頁に示されたものによる化学的、電子的、機械化学的、及び/又は機械的性質の1種又は複数の表面処理に供することによって調製されていてもよい。
【0053】
被覆無機UV遮蔽剤は、以下であってもよい:
シリカで被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil」、
シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil F」、
シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」、Tioxide社製の製品「Tioveil」、及びRhodia社製の製品「Mirasun TiW 60」、
アルミナで被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(B)」及び「Tipaque TTO-55(A)」、並びにKemira社製の「UVT 14/4」、
アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z若しくはMT-01」、Uniqema社製の製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、並びにMerck社製の製品「Eusolex T-AVO」、
アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」、
酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」、
酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「BR351」、
シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」、
シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-30-DS」、
シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばKemira社製の製品「UV-Titan X 195」、
アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(S)」若しくはKemira社製の製品「UV Titan M 262」、
トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-65-S」、
ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(C)」、又は
ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」。
【0054】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、好ましくは、オクチルトリメチルシランで処理され、個々の粒子の平均粒径が25から40nmであるTiO2、例えばDegussa Silices社によって商標「T 805」で市販されているもの、ポリジメチルシロキサンで処理され、個々の粒子の平均粒径が21nmであるTiO2、例えばCardre社によって商標「70250 Cardre UF TiO2Si3」で市販されているもの、及びポリジメチルヒドロシロキサンで処理され、個々の粒子の平均粒径が25nmであるアナターゼ/ルチルTiO2、例えばColor Techniques社によって商標「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」で市販されているものである。
【0055】
好ましくは、以下の被覆TiO2を被覆無機UV遮蔽剤として使用することができる:
ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 TV」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S4」、平均一次粒子直径15nm、
シリカ(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 WP」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン(及び)シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-Y02」及び「MT-Y-110 M3S」、平均一次粒子直径10nm、
ジメチコン(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S3」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン(及び)アルミナ(及び)TiO2、例えばSachtleben社製の製品「UV TITAN M170」、平均一次粒子直径15nm、並びに
シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)アルギン酸(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 AQ」、平均一次粒子直径15nm。
【0056】
UV遮蔽能の観点から、少なくとも1種の有機UV遮蔽剤で被覆されたTiO2がより好ましい。例えば、アボベンゾン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「HXMT-100ZA」、平均一次粒子直径15nmを使用することができる。
【0057】
非被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカ株式会社によって商標「Microtitanium Dioxide MT500B」又は「Microtitanium Dioxide MT600B」で、Degussa社によって商標「P 25」で、Wacker社によって商標「Oxyde de titane transparent PW」で、三好化成株式会社によって商標「UFTR」で、Tomen社によって商標「ITS」で、及びTioxide社によって商標「Tioveil AQ」で市販されている。
【0058】
非被覆酸化亜鉛顔料は、例えば以下である:
Sunsmart社によって商標「Z-cote」で市販されているもの、
Elementis社によって商標「Nanox」で市販されているもの、及び
Nanophase Technologies社によって商標「Nanogard WCD 2025」で市販されているもの。
【0059】
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば以下である:
Toshiba社によって商標「Oxide Zinc CS-5」で市販されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたZnO)、
Nanophase Technologies社によって商標「Nanogard Zinc Oxide FN」で市販されている[Finsolv TN、安息香酸アルキル(C12~C15)中の40%分散体としての]もの、
大東化成工業株式会社によって商標「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」で市販されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたナノ酸化亜鉛を30%又は50%含む、オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン分散体)、
ダイキン工業株式会社によって商標「NFD Ultrafine ZnO」で市販されているもの(シクロペンタシロキサン分散体としての、ペルフルオロアルキルホスフェート及びペルフルオロアルキルエチルベースのコポリマーで被覆されたZnO)、
信越化学工業株式会社によって商標「SPD-Z1」で市販されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散させた、シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されたZnO)、
ISP社によって商標「Escalol Z100」で市販されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物中に分散させたアルミナ処理ZnO)、
冨士色素株式会社によって商標「Fuji ZnO-SMS-10」で市販されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO)、及びElementis社によって商標「Nanox Gel TN」で市販されているもの[ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含む安息香酸アルキル(C12~C15)中に55%で分散させたZnO]。
【0060】
非被覆酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulenc社によって商標「Colloidal Cerium Oxide」で市販されている。
【0061】
非被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によって商標「Nanogard WCD 2002(FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」、及び「Nanogard WCD 2006(FE 45R)」で、又はMitsubishi社によって商標「TY-220」で市販されている。
【0062】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によって商標「Nanogard WCD 2008(FE 45B FN)」、「Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)」、「Nanogard FE 45 BL 345」、及び「Nanogard FE 45 BL」で、又はBASF社によって商標「Oxyde de fer transparent」で市販されている。
【0063】
金属酸化物の混合物、特に、二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、例えば池田物産株式会社によって商標「Sunveil A」で市販されているシリカで被覆された二酸化チタンとシリカで被覆された二酸化セリウムとの等質量混合物、更には二酸化チタンとアルミナ、シリカ及びシリコーンで被覆された二酸化亜鉛との混合物、例えばKemira社によって市販されている製品「M 261」、又は二酸化チタンとアルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆された二酸化亜鉛との混合物、例えばKemira社によって市販されている製品「M 211」も挙げることができる。
【0064】
無機UV遮蔽剤のUV遮蔽効果を高めることができることから、被覆無機UV遮蔽剤が好ましい。加えて、コーティングは、本発明による組成物中にUV遮蔽剤を均一に又は均質に分散させるのに役立ちうる。
【0065】
本発明による組成物中の(a)無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%超、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上である。
【0066】
本発明による組成物中の(a)無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0067】
本発明による組成物中の(a)無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%超且つ20質量%以下、好ましくは6質量%~15質量%、より好ましくは7質量%~10質量%であってもよい。
【0068】
[有機UV遮蔽剤]
本発明による組成物は、(b)少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を含む。2種以上の有機UV遮蔽剤を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
【0069】
(b)有機UV遮蔽剤は、少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される。
【0070】
少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物は、以下の式(1):
O(3-a)/2Si(R7)a-G (1)
[式中、
- R7は、任意選択でハロゲン化されている、C1~C10アルキル基、フェニル基、又はトリメチルシリルオキシ基を示し、
- aは、0~3の範囲(両端を含む)の整数を示し、
- Gは、ケイ素原子に直接結合しており、且つ以下の構造式(2):
【0071】
【化6】
【0072】
(式中、
- Y基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C8アルキル基、ハロゲン原子、又はC1~C4アルコキシ基であり、但し、最後の場合には、同じ芳香環上の2個の隣接するY基は、一緒になってアルキリデンジオキシ基を形成することができ、アルキリデン部分は、1又は2個の炭素原子を有し、
- Xは、O又はNHであり、
- Zは、水素又はC1~C4アルキル基であり、
- nは、0~3の範囲(両端を含む)の整数であり、
- mは、0又は1であり、
- pは、1~10の範囲(両端を含む)の整数である)
を有する、一価の基を示す]
の少なくとも1つの構造単位を含むベンゾトリアゾール官能基を有するシラン又はシロキサンであってもよい。
【0073】
これらの化合物は、特に、EP-A-0,392,882、EP-A-0,660,701、EP-A-0,708,108、EP-A-0,711,778、及びEP-A-711,779に記載されている。
【0074】
少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物は、好ましくは、特にEP-A-0,660,701に記載されているベンゾトリアゾールシリコーンの一般的なファミリーに属してもよい。
【0075】
本発明による特に好ましいベンゾトリアゾールシリコーンの1つのファミリーは、以下の構造式(5)又は(6):
【0076】
【化7】
【0077】
[式中、
- R7基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれC1~C10アルキル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピル又はトリメチルシリルオキシ基であり、R7基の数により少なくとも80%がメチル基であり、
- D基は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれR7基又はG基であり、
- rは、0~50の範囲(両端を含む)の整数であり、sは、0~20の範囲(両端を含む)の整数であり、但し、s=0の場合、2個のD基のうちの少なくとも1つは、G基であり、
- uは、1~6の範囲(両端を含む)の整数であり、tは、0~10の範囲(両端を含む)の整数であり、但し、t+uは、3以上であり、
G基は、上記構造式(2)を有する]
に相当する化合物を含む1つのファミリーである。
【0078】
上に与えられた式(2)から分かるように、ベンゾトリアゾール基への二価の基-(X)m-(CH2)p-CH(Z)-CH2-の結合は、こうしてケイ素原子への前記ベンゾトリアゾール基の直接的結合を確実にするが、ベンゾトリアゾールの2個の芳香環:
【0079】
【化8】
【0080】
のあらゆる利用可能な位置におけるものであってもよい。
【0081】
好ましくは、この結合は、3、4、5位(ヒドロキシル官能基を有する芳香環)又は4'位(トリアゾール環に隣接するベンゼン環)におけるものであり、更により好ましくは3、4又は5位におけるものである。本発明のより好ましい実施形態では、結合は、3位におけるものである。
【0082】
同様に、置換基単位Yの結合は、ベンゾトリアゾールにおけるあらゆる他の利用可能な位置におけるものであってもよい。しかし、好ましくは、この結合は、3、4、4'、5及び/又は6位におけるものである。本発明のより好ましい実施形態では、Y基の結合は、5位におけるものである。
【0083】
上記の式(5)及び(6)において、アルキル基は、直鎖状又は分枝状であってよく、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基及びtert-オクチル基から選択される。本発明による好ましいアルキル基R7は、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基及び2-エチルヘキシル基である。更により好ましくは、R7基は、全てメチル基である。
【0084】
上記の式(5)又は(6)の化合物の中で、式(5)に相当する化合物、すなわち、短い直鎖を含有するジオルガノシロキサンが好ましい。
【0085】
上記の式(5)の化合物の中で、D基が両方ともR7基である化合物が好ましい。
【0086】
式(5)による直鎖状ジオルガノシロキサンの中で、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、更により好ましくは全てを有するランダム誘導体又は明確に定義されたブロック誘導体がより特に好ましい:
- Dは、R7基であり、
- R7は、アルキル基であり、更により好ましくはメチルであり、
- rは、0~15の範囲(両端を含む)であり、
- sは、1~10の範囲(両端を含む)であり、
- nは、ゼロ以外であり、好ましくは1に等しく、その上、Yは、メチル基、tert-ブチル基又はC1~C4アルコキシ基であり、
- Zは、水素又はメチルであり、
- m=0又は[m=1且つX=0]であり、
- pは、1に等しい。
【0087】
本発明による特に好適なベンゾトリアゾールシリコーンの1つのファミリーは、以下の構造式(7):
【0088】
【化9】
【0089】
(式中、
0≦r≦10であり、1≦s≦10であり、
Eは、二価の基:
【0090】
【化10】
【0091】
である)
を有するものである。
【0092】
本発明の特に好ましい実施形態では、ベンゾトリアゾールシリコーンは、以下の構造式:
【0093】
【化11】
【0094】
に相当する化合物ドロメトリゾールトリシロキサン(CTFA名)である。
【0095】
上記の式(1)、(5)、(6)及び(7)の化合物の調製に好適な方法は、特に、米国特許第3,220,972号、同第3,697,473号、同第4,340,709号、同第4,316,033号及び同第4,328,346号、並びにまたEP-A-0,392,883及びEP-A-0,742,003に記載されている。
【0096】
本発明による組成物中の(b)有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0097】
本発明による組成物中の(b)有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0098】
本発明による組成物中の(b)有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0099】
[脂肪物質]
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の脂肪物質を含んでもよい。2種以上の脂肪物質を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0100】
用語「脂肪物質」は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で水に不溶性(溶解度5%未満、好ましくは1%未満、更に優先的には0.1%未満)である有機化合物を意味する。脂肪物質は、その構造中に、連続した少なくとも2個のシロキサン基、又は少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも1個の炭化水素系鎖を含有しうる。加えて、脂肪性物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例としてはクロロホルム、エタノール、ベンゼン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性でありうる。
【0101】
本発明の範囲では、脂肪物質が、C2~C3オキシアルキレン単位も、グリセロール化単位も一切含まないことに留意する必要がある。
【0102】
(c)脂肪物質は、液体又は固体の形態であってもよい。本明細書において、「液体」及び「固体」は、脂肪物質が、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温(25℃)で、それぞれ液体若しくはペースト(非固体)の形態、又は固体の形態にあることを意味する。(c)脂肪物質が、室温及び大気圧下で、液体又はペーストの形態、好ましくは液体の形態の、少なくとも1種の脂肪物質を含むことが好ましい。室温、大気圧下で液体の形態にある(c)脂肪物質は、「油」と称されうる。(c)脂肪物質は、油から選択されることが好ましい。
【0103】
(c)脂肪物質が油から選択される場合、本発明による組成物は、油相を有することができる。
【0104】
(c)脂肪物質が油から選択される場合、(c)脂肪物質は、極性油、非極性油、及びそれらの混合物から選択することができる。(c)脂肪物質は、極性油から選択されることが好ましい。
【0105】
(c)脂肪物質は、動物又は植物起源の油、鉱油、合成グリセリド、動物又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪族アルコール及び/又は脂肪酸のエステル、脂肪族アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに炭化水素からなる群から選択することができる。これらの脂肪物質は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。好ましくは、(c)脂肪物質は、動物又は植物起源の油、合成グリセリド、動物又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに炭化水素からなる群から選択される。より好ましくは、(c)脂肪物質は、シリコーン及び炭化水素、好ましくは脂肪族炭化水素、より好ましくは鉱油、及びこれらの混合物から選択される。
【0106】
脂肪族炭化水素の例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0107】
他の脂肪族炭化水素の例としては、直鎖状若しくは分枝状、又は場合によって環状のC6~C16低級アルカンも挙げることができる。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン及びイソデカンがある。
【0108】
合成グリセリドの例としては、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例としてStearineries Dubois社によって販売されているもの又はDynamit Nobel社によってMiglyol(登録商標)810、812及び818の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0109】
シリコーン油の例として、例えば、ジメチルポリシロキサン又はジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状オルガノポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0110】
植物油の例としては、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アプリコット油、ダイズ油、アララ油、ヘーゼルナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0111】
動物油の例としては、例えば、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランを挙げることができる。
【0112】
有利には上述の動物又は植物油及び合成グリセリドとは異なる、脂肪酸及び/又は脂肪族アルコールのエステルの例としては、とりわけ、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノ-又はポリアルコールとのエステルを挙げることができ、エステルの総炭素数は、10以上である。
【0113】
モノエステルの中では、ベヘン酸ジヒドロアビエチル;ベヘン酸オクチルドデシル;ベヘン酸イソセチル;乳酸セチル;C12~C15乳酸アルキル;乳酸イソステアリル;乳酸ラウリル;乳酸リノレイル;乳酸オレイル;オクタン酸(イソ)ステアリル;オクタン酸イソセチル;オクタン酸オクチル;オクタン酸セチル;オレイン酸デシル;イソステアリン酸イソセチル;ラウリン酸イソセチル;ステアリン酸イソセチル;オクタン酸イソデシル;オレイン酸イソデシル;イソノナン酸イソノニル;パルミチン酸イソステアリル;リシノール酸メチルアセチル;ステアリン酸ミリスチル;イソノナン酸オクチル;イソノナン酸2-エチルヘキシル;パルミチン酸オクチル;ペラルゴン酸オクチル;ステアリン酸オクチル;エルカ酸オクチルドデシル;エルカ酸オレイル;パルミチン酸エチル及びパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル又はミリスチン酸ステアリル等、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル;リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルを挙げることができる。
【0114】
なおもこのバリアントの関連で、C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノ-、ジ-又はトリカルボン酸と、C2~C26のジ-、トリ-、テトラ-又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0115】
特に、次のものを挙げることができる:セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、三乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコール。
【0116】
上に挙げたエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル又はパルミチン酸ステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル若しくはミリスチン酸2-オクチルドデシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル又はオクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0117】
組成物は、脂肪エステルとして、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルも含むことができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基ありで又はなしで、いくつかのアルコール官能基を含み、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素保持炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってもよい。
【0118】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、メチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0119】
脂肪酸の糖エステルは、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から、特に選択することができる。脂肪酸の糖エステルが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0120】
このバリアントによるエステルはまた、モノ-、ジ-、トリ-、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0121】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、詳細には、オレオ-パルミチン酸、オレオ-ステアリン酸及びパルミト-ステアリン酸の各混合エステルから選択することができる。
【0122】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルを使用することが好ましい。
【0123】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0124】
また挙げることができる糖と脂肪酸とのエステル又はエステル混合物の例には、以下がある:
- Crodesta社によってF160、F140、F110、F90、F70及びSL40の名称で販売されている、それぞれ73%モノエステル及び27%ジエステル及びトリエステル、61%モノエステル及び39%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、52%モノエステル及び48%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、45%モノエステル及び55%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、39%モノエステル及び61%ジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成されるパルミトステアリン酸スクロース、並びにモノラウリン酸スクロースを示す製品;
- 例えばB370で参照され、20%モノエステル及び80%ジ-トリエステル-ポリエステルから形成されるベヘン酸スクロースに相当する、Ryoto Sugar Estersの名称で販売されている製品;
- Goldschmidt社によってTegosoft(登録商標)PSEの名称で販売されているモノ-ジパルミト-ステアリン酸スクロース。
【0125】
脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪酸であってもよく、2種以上の脂肪酸が使用されてもよい。脂肪酸は、酸性形態(すなわち、石けんを回避するため、塩化されていない)であるべきであり、飽和であっても不飽和であってもよく、6~30個の炭素原子、特に9~30個の炭素原子を含有し、特に1個又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪酸が不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。脂肪酸は、より特定すると、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から選択される。好ましくは、脂肪物質は脂肪酸ではない。
【0126】
脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪族アルコールであってもよく、2種以上の脂肪族アルコールが使用されてもよい。
【0127】
用語「脂肪族アルコール」は、本明細書では、任意の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C8~C30脂肪族アルコールを意味し、これは、特に1個又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪族アルコールが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0128】
C8~C30脂肪族アルコールの中で、例えば、C12~C22脂肪族アルコールが使用される。これらのうち、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、リノレニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキドニルアルコール及びエルシルアルコール並びにそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びミリスチルアルコールを、固体状脂肪物質として使用することができる。別の実施形態では、イソステアリルアルコールを、液状脂肪物質として使用することができる。
【0129】
脂肪物質は、ワックスであってもよい。本明細書において「ワックス」は、脂肪物質が大気圧(760mmHg)下で室温(25℃)にて実質的に固体の形態にあり、一般に35℃以上の融点を有することを意味する。ワックス状脂肪物質として、一般に化粧料中に使用されるワックスを、単独で又はこれらの組合せで使用することができる。
【0130】
例えば、ワックスは、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、ポリエチレンワックス、例えばNew Phase Technologies社によって「Performalene 400 Polyethylene」の名称で販売されているワックス、シリコーンワックス、例としてポリ(C24~C28)アルキルメチルジメチルシロキサン、例えばGoldschmidt社によって「Abil Wax 9810」の名称で販売されている製品、パーム脂、Kester Keunen社によって「Kester Wax K82H」の名称で販売されているステアリン酸アルキル(C20~C40)、安息香酸ステアリル、セラックワックス、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オゾケライト、水添ホホバ油及びポリエチレンワックスから選択されるワックスを、使用することができる。少なくとも1つの実施形態では、ワックスは、好ましくは、キャンデリラワックス及びオゾケライト、並びにこれらの混合物から選択される。
【0131】
(c)脂肪物質は、エステル油、脂肪族アルコール、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。エステル油が、油の形態にある、モノエステル、ジエステル及びこれらの混合物から選択されることがより好ましい。
【0132】
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってもよい。
【0133】
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0134】
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってもよい。
【0135】
[ホスフェート化合物]
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のホスフェート化合物を含む。2種以上の(d)ホスフェート化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのホスフェート化合物、又は異なるタイプのホスフェート化合物の組合せを使用することができる。
【0136】
用語「ホスフェート化合物」は、本明細書では、少なくとも1つのホスフェート基を有する化合物を意味する。
【0137】
「ホスフェート化合物」は、少なくとも1つのリン酸基、特に1つのリン酸基を有してよい。
【0138】
ホスフェート化合物は、有機ホスフェート、無機ホスフェート及びこれらの混合物から選択することができる。
【0139】
無機ホスフェートは、リン酸の無機塩、例えばリン酸の金属塩又はアンモニウム塩から選択されることが好ましい場合がある。
【0140】
無機ホスフェートは、金属塩の形態にあることがより好ましい場合がある。金属塩は、アルカリ金属塩であってもよい。アルカリ金属塩は、リン酸のアルカリ金属塩、例えばリン酸一、二若しくは三ナトリウム、並びにリン酸一、二、若しくは三カリウムから選択することができる。リン酸二カリウムは、更により好ましい場合がある。
【0141】
また、有機ホスフェートは、リン酸のエステル、例えばモノ-、ジ-又はトリ-オルガノホスフェートから選択されることが好ましい場合がある。
【0142】
一実施形態によれば、(d)ホスフェート化合物は、以下からなる群から選択することができる。
【0143】
(1)式(XIV)の化合物:
【0144】
【化12】
【0145】
[R1、R2及びR3は、同じであっても異なっていてもよく、以下:
OM基(Mは、アルカリ金属、例えばNa、Li又はK、好ましくはNa又はKを表す)、
OR4基(式中、R4は、直鎖状、分枝状、環状又は芳香族C5~C40アルキル基、好ましくはC12~C20アルキル基、より好ましくはC16又はC18アルキル基を表す)、
OH基、及び
オキシエチレン基(OCH2CH2)n(OCH2CHCH3)mOR(Rは、水素原子又は直鎖状若しくは分枝状C1~C20アルキル基、例えばC5~C18及びC12~C15アルキル基を表し、n及びmは、整数であり、nは、1~50の範囲であるか、又は10に等しく、mは、0~50の範囲であるか、又は0に等しい)
から選択される]、
(2)グリセロリン脂質、及び
(3)これらの混合物。
【0146】
上記式(XIV)において、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、-OM基であり、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、-OR4基又は-(OCH2CH2)n(OCH2CH(CH3))mOR(式中、n及びmは、上に定義される通りに意味する)であることが好ましい場合がある。
【0147】
また、上記式(XIV)において、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、-OM基であり、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、-OH基であり、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、-OR4基又は-(OCH2CH2)n(OCH2CH(CH3))mOR(式中、n及びmは、上に定義される通りに意味する)であることが好ましい場合がある。
【0148】
また、上記式(XIV)において、R1、R2及びR3のうちの1つは、-OM基であり、R1、R2及びR3のうちの1つは、-OH基であり、R1、R2及びR3のうちの1つは、-OR4基又は-(OCH2CH2)n(OCH2CH(CH3))mOR(式中、n及びmは、上に定義される通りに意味する)であることが好ましい場合がある。
【0149】
また、上記式(XIV)において、R1、R2及びR3基のうちの少なくとも1つ、又は2つ、又は全ては、-OR4基(式中、R4は、直鎖状又は分枝状C10~C30、特にC15~C20又は更にはC16又はC18アルキル基を表す)を含有することが好ましい場合がある。この場合、R1、R2及びR3は、同一であっても異なっていてもよい。
【0150】
式(XIV)のこれらの化合物の非限定的実例として、例えば、リン酸トリオレイル、例えば日光ケミカルズ株式会社によって販売されているNikkol TDP、リン酸と、エチレングリコールのエーテルと、C12~C15脂肪族アルコールとのトリエステルの混合物(約10個のEO)(INCI名:トリ-C12~15 Pareth-10ホスフェート)、例えば日光ケミカルズ株式会社によって販売されているNikkol TDP-10、セチルリン酸カリウム、例えばDSM Nutritional Products社によって販売されているAmphisol K又はUniqema社製のArlatone MAP 160 K、及びceteth-10ホスフェート、例えばProtameen Chemicals社によるProtaphos CET-10を挙げることができる。
【0151】
(d)ホスフェート化合物は、界面活性剤の機能を有することが好ましい場合がある。したがって、(d)ホスフェート化合物は、ホスフェート界面活性剤であってもよい。
【0152】
(d)ホスフェート化合物は、1~50モルのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選択されるアルキレンオキシドを有する12~20個の炭素原子を含有するアルコキシル化脂肪族アルコールのモノエステルホスフェート、及び12~22個の炭素原子を含有する非アルコキシル化アルコールのジアルキルホスフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。脂肪族アルコール又は非アルコキシル化アルコールのアルキル部分は、直鎖状若しくは分枝状、又は飽和若しくは不飽和のアルキル基とすることができる。
【0153】
(d)ホスフェート化合物は、ceteth-10ホスフェートとリン酸ジセチルとの組合せ、ceteth-20ホスフェートとリン酸ジセチルとの組合せ、及びoleth-5ホスフェートとリン酸ジオレイルとの組合せからなる群から選択することができる。
【0154】
ceteth-10ホスフェートとリン酸ジセチルとの組合せを含む製品として、Croda Inc.社U.S.A.により市販されている、CRODAFOS CESを挙げることができる。ceteth-20ホスフェートとリン酸ジセチルとの組合せを含む製品として、Croda Inc.社U.S.A.により市販されている、CRODAFOS CS-20 ACIDを挙げることができる。oleth-5ホスフェートとリン酸ジオレイルとの組合せを含む製品として、Croda Inc.社U.S.A.により市販されている、CRODAFOS HCEを挙げることができる。
【0155】
本発明の目的のために、用語「グリセロリン脂質」は、グリセロールを、少なくとも1種の飽和又は不飽和の脂肪酸及びリン酸と反応させることによって得られるエステルを意味することが意図され、前記リン酸は、アミン官能基を有するアルコール、特にβ-アミノアルコールから選択される化合物で置換されている。β-アミノアルコールは、例えば、コリン、エタノールアミン及び/又はセリンから選択することができる。
【0156】
グリセロリン脂質は、以下の一般式(XV):
【0157】
【化13】
【0158】
[式中、
R1及びR2は、互いに独立して、4~24個の炭素原子を含有し、且つ1つ又は複数のヒドロキシル及び/又はアミン官能基で場合によって置換されている、飽和又は不飽和の、任意選択で分枝状の脂肪酸を表し、
Xは、一般式R3R4R5N+-CH(R6)-CH2-(式中、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有するアルキル基、及び/又はカルボキシル官能基を表す)の置換基を表す]
によって定義することができる。Xは、特に、コリン、セリン及びエタノールアミンから選択することができる。
【0159】
一実施形態によれば、R1及びR2は、互いに独立して、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロレイン酸、ラウリン酸、ラウロレイン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、イソステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸及びリシノール酸から有利に選択される。
【0160】
グリセロリン脂質はまた、一般式(XV)の化合物の混合物であってもよい。
【0161】
本発明での使用に好適なグリセロリン脂質は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及び/又はホスファチジルセリンを含んでもよい。
【0162】
一実施形態によれば、グリセロリン脂質は、グリセロールと、不飽和の脂肪酸と、リン酸と、コリンとのエステル(ホスファチジルコリン(PC)としても知られている)を含んでもよい。
【0163】
本発明での使用に好適なグリセロリン脂質は、レシチンから誘導することができる。レシチンは、グリセロリン脂質として主にホスファチジルコリンを含んでもよい。
【0164】
本発明による組成物での使用に好適なホスファチジルコリン(PC)は、「天然」又は「合成」起源であってもよい。
【0165】
「天然」PCは、動物又は植物供給源、例としてダイズ、ヒマワリ又は卵からの抽出によって得ることができる。例としてダイズから、天然に得られた非水添ホスファチジルコリンは、一般に、グリセロールエステル化脂肪酸として、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及び任意選択でC20~C22脂肪酸を含有する。
【0166】
本発明の目的のために、用語「合成ホスファチジルコリン」は、天然PCに存在しうるものとは異なる少なくとも1種の脂肪酸を含むホスファチジルコリンを意味することが意図される。
【0167】
用語「合成PC」はまた、部分水添、すなわち、不飽和の脂肪酸に存在する二重結合の一部のみが維持されること等の、改変を受けた天然PCを意味することが意図される。
【0168】
本発明による化粧用組成物での使用に好適な、多かれ少なかれ精製されたホスファチジルコリンの供給源の中で、Lucas Meyer社によって販売されているEmulmetik 930を挙げることができる。
【0169】
本発明での使用に好適なグリセロリン脂質は、レシチンの形態で組成物に導入することができる。このレシチンは、一般に、植物又は動物脂肪から、無極性溶媒を使用した脂質抽出によって得られる。この脂質画分は、通常、ホスファチジルコリン又はホスファチジルエタノールアミンを含むグリセロリン脂質を主に含む。
【0170】
本発明での使用に好適なレシチンは、ダイズ由来、ヒマワリ由来又は卵由来のレシチン、及び/又はこれらの混合物であってもよい。
【0171】
レシチンは、通常、脂肪酸、トリグリセリド若しくは他の溶媒中の溶解形態で、又は粉末若しくはケーキの形態で提供される。
【0172】
レシチンは、通常、販売されている製品中のグリセロリン脂質含有量が一般に少なくとも約15%~少なくとも約95%の範囲である、レシチンの混合物である。
【0173】
例示的実施形態では、本発明による組成物の調製のための出発物質として使用されるレシチンは、レシチンの総質量に対して、少なくとも45質量%、例えば少なくとも65質量%、例えば少なくとも75質量%、例えば少なくとも85質量%、又は例えば少なくとも95質量%のグリセロリン脂質を含む。
【0174】
本発明による化粧用組成物での使用に好適でありうるレシチンの中で、American Lecithin Company社によってNattermann Phospholipid(登録商標)、Phospholipon 80(登録商標)及びPhosale 75(登録商標)、及びLucas Meyer社によってEpikuron 145V、Topcithin 300、Emulmetik 930及びOvothin 200という参照で販売されているレシチンを挙げることができる。
【0175】
グリセロリン脂質は、非水添グリセロリン脂質、すなわち、グリセロールを、少なくとも1種の不飽和の脂肪酸及びリン酸と反応させることによって得られるエステルであってもよく、前記リン酸は、アミン官能基を有するアルコール、特にβ-アミノアルコールから選択される化合物で置換されている。
【0176】
用語「不飽和の」及び「不飽和」は、2個の炭素原子間の少なくとも1個、又は更には数個の、二重結合又は三重結合の存在を意味することが意図される。
【0177】
グリセロリン脂質は、ホスファチジルコリン又はレシチンであってもよい。
【0178】
(d)ホスフェート化合物は、リン酸トリオレイル、リン酸と、エチレングリコールのエーテルと、C12~C15脂肪族アルコールとのトリエステルの混合物(約10個のEO)、セチルリン酸カリウム、ceteth-10ホスフェート、リン酸二カリウム、リン酸セチル及びレシチン、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0179】
(d)ホスフェート化合物は、非イオン性界面活性剤、例えばリン酸トリオレイル、又はリン酸と、エチレングリコールのエーテルと、C12~C15脂肪族アルコールとのトリエステルの混合物(約10個のEO)であってもよい。
【0180】
本発明による組成物中の(d)ホスフェート化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0181】
本発明による組成物中の(d)ホスフェート化合物の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0182】
本発明による組成物中の(d)ホスフェート化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0183】
[水]
本発明による組成物は、(e)水を含むことができる。
【0184】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってもよい。
【0185】
その一方で、本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよい。
【0186】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%~90質量%、好ましくは45質量%~85質量%、より好ましくは50質量%~80質量%の範囲内であってもよい。
【0187】
[任意選択の成分]
本発明による組成物は、化粧料に典型的に用いられる少なくとも1種の任意選択の成分、具体的には、例えば染料、フィラー、界面活性剤、又は成分(d)以外の乳化剤、増粘剤、皮膜形成ポリマー、動物又は植物に由来する天然抽出物等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0188】
本発明による組成物は、1種又は数種の化粧料として許容される有機溶媒を含んでもよく、これは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びカプリリルグリコール;他のポリオール、例えばグリセロール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルでありうる。
【0189】
本発明による組成物中の有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0190】
その一方で、本発明による組成物中の有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよい。
【0191】
したがって、本発明による組成物中の有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲であってもよい。
【0192】
[調製]
本発明による組成物は、上で説明した必須成分、及び必要な場合、上で説明した任意選択の成分を混合することによって、調製することができる。
【0193】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用して、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合し、本発明による組成物を調製することができる。
【0194】
[形態]
本発明による組成物の形態は、限定されない。
【0195】
本発明による組成物は、O/W型である、より好ましくはO/Wエマルション、更に好ましくはO/Wゲルエマルションの形態であることが好ましい。
【0196】
水性相中に分散された油相を含むO/W型構造体又は構造物は、外部水性相を有し、したがってO/W型構造体又は構造物に基づく製品は、それらが即座にもたらすことができるフレッシュさの感覚のために、より快適に使用することができる。
【0197】
[美容方法及び使用]
本発明による組成物は、化粧用組成物として使用されることが意図されてもよい。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質への適用が意図されてもよい。ケラチン物質は、本明細書では、ケラチンを主な構成要素として含有する物質を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質、特に皮膚のための美容方法に使用されることが好ましい。
【0198】
したがって、本発明による化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メイクアップ組成物であってもよい。
【0199】
本発明による組成物は、好ましくは、皮膚等のケラチン物質のためのリーブオン又はリンスオフ化粧用組成物として使用することができる。用語「リーブオン」は、本明細書では、本発明による組成物が、ケラチン物質上に適用された後にケラチン物質から除去されないことを意味する。用語「リンスオフ」は、本明細書では、本発明による組成物が、ケラチン物質上に適用された後に、濯ぐことによって、ケラチン物質から除去されることを意味する。水を、濯ぎのために使用することができる。リンスオフした後であってさえ、本発明による組成物は残存して、皮膚等のケラチン物質上に皮膜又はコーティングを形成することができる。
【0200】
本発明はまた、ケラチン基材に、本発明による組成物を適用する工程を含む、皮膚等のケラチン基材のための美容方法にも関する。
【0201】
本明細書における美容方法とは、皮膚等のケラチン基材の表面をケア及び/又はメイクアップするための非治療的美容法を意味する。
【0202】
本発明による組成物は、(a)無機UV遮蔽剤及び(b)有機UV遮蔽剤を含むことから、美容方法は、紫外線から皮膚等のケラチン基材を保護し、それにより皮膚の黒ずみを抑え、肌の色及び均一性を改善し、並びに/又は皮膚の老化を処置することができる。
【0203】
本発明はまた、
組成物の滑らかな質感を改善させるための、
組成物の総質量に対して5質量%超の量の(a)少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含む組成物中の、
少なくとも1つのベンゾトリアゾール基を有する有機ケイ素化合物から選択される(b)少なくとも1種の有機UV遮蔽剤の使用にも関する。
【0204】
本発明による使用は、組成物中の比較的多量の(a)無機UV遮蔽剤に起因するきしむ感覚を低下させることができる。
【0205】
本発明による使用は、皮膚等のケラチン物質への組成物の適用中に改善された滑らかな質感をもたらすことができる。
【0206】
本発明による使用はまた、皮膚等のケラチン物質から組成物を濯ぎ落とした後でさえ、改善された滑らかな質感をもたらすことができる。
【0207】
本発明による組成物についての成分(a)~(d)に関する説明は、本発明による使用における説明に適用することができる。
【実施例0208】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載することになる。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0209】
(実施例1~6及び比較例1~27)
[調製]
実施例1~6及び比較例1~27による組成物のそれぞれを、表1~4に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表1~4における成分の量についての数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0210】
【表1A】
【0211】
【表1B】
【0212】
【表2A】
【0213】
【表2B】
【0214】
【表3A】
【0215】
【表3B】
【0216】
【表4A】
【0217】
【表4B】
【0218】
[評価]
(in vitroでのSPF)
実施例1~6及び比較例1~27による各組成物を、1.3mg/cm2の量で25℃にてPMMA(ポリメチルメタクリレート)板上へ適用した。各組成物を乾燥させた後、組成物のUV吸収スペクトルを、SPFアナライザー(UV-2000S)で測定し、そのin vitroでのSPF値を、SPFアナライザーによって測定されたUVB吸収強度によって算出した。
【0219】
結果を表1~4に示す。
【0220】
(in vitroでのPPD)
実施例1~6及び比較例1~27による各組成物を、1.3mg/cm2の量で25℃にてPMMA(ポリメチルメタクリレート)板上へ適用した。各組成物を乾燥させた後、組成物のUV吸収スペクトルを、SPFアナライザー(UV-2000S)で測定し、そのin vitroでのPPD(持続型即時黒化)値を、SPFアナライザーによって測定されたUVA吸収及びUVB吸収に基づくUVA吸収/UVB吸収比によって算出した。
【0221】
結果を表1~4に示す。
【0222】
(適用中の滑らかさ)
実施例1~6及び比較例1~27による各組成物を、2mg/cm2の量で指を用いて3人の専門家の腋の下へ適用した。パネリストは、適用中の滑らかさを1(非常に滑らかでない=きしむ)~5(非常に滑らか)の評点で評価し、評点のスコアを平均した。
【0223】
結果を表1~4に示す。
【0224】
(濯ぎ落とし後の滑らかさ)
実施例1~6及び比較例1~27による各組成物を、2mg/cm2の量で指を用いて3人の専門家の腋の下へ適用した。パネリストは、水道水によって組成物を濯ぎ落とした後の滑らかさを2(非常に滑らかでない=きしむ)~5(非常に滑らか)の評点で評価し、評点のスコアを平均した。
【0225】
結果を表1~4に示す。
【0226】
(安定性)
実施例1~6及び比較例1~27による組成物の調製から1ヶ月間4℃で保存した後、各組成物を顕微鏡観察に供し、有機UV遮蔽剤の結晶化を確認した。
【0227】
具体的には、実施例1~6及び比較例1~27による各組成物の小液滴を、透明なガラスプレート上に置き、カバーガラスで覆い、偏光顕微鏡(Olympus BX51)で観察した。
【0228】
結晶が見られない場合、良好と評価した。
【0229】
何らかの結晶が見られた場合、不良と評価した。
【0230】
結果を表1~4に示す。
【0231】
(概略)
実施例1~6による組成物は、(a)無機UV遮蔽剤として比較的多量のTiO2を含んでいても、UVA及びUVBの両方に関する十分なUV保護、並びに適用中及び濯ぎ落とし後の両方において滑らかな手触りをもたらすことができる。
【0232】
更に、実施例1~6による組成物は、(b)有機UV遮蔽剤としてのドロメトリゾールトリシロキサンの結晶がその中に見られないように、安定している。
【0233】
比較例1による組成物はドロメトリゾールトリシロキサンを含まず、したがって、組成物によるUV保護は十分ではなく、その滑らかさは良好ではない。
【0234】
比較例2による組成物はTiO2を含まず、したがって、組成物によるUV保護は十分ではない。
【0235】
比較例3による組成物は5質量%未満のTiO2を含み、したがって、組成物によるUV保護は十分ではない。
【0236】
比較例4~27による組成物はドロメトリゾールトリシロキサンを含まず、したがって、適用中又は濯ぎ落とし後のその滑らかさは良好ではないか、又は組成物によるUV保護(特にUVAに対する)は十分ではない。
【0237】
(実施例7~11)
[調製]
実施例7~11による組成物のそれぞれを、表5に示す成分を室温(25℃)で混合することによって調製した。表5における成分の量についての数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0238】
【表5A】
【0239】
【表5B】
【0240】
[評価]
(エマルションの安定性)
実施例7~11による組成物の調製から2ヶ月間45℃で保存した後、各組成物を目視観察に供した。
【0241】
具体的には、40gの実施例7~11による各組成物を透明なガラス瓶に充填し、45℃で2ヶ月間保存した。透明なガラス瓶の外観を目視により確認した。
【0242】
変化が観察されない場合、良好と評価した。
【0243】
わずかな色の変化又はわずかな相分離(例えば、上部に浮かぶ油)が見られた場合、可と評価した。
【0244】
色の変化又は相分離が見られた場合、不良と評価した。
【0245】
結果を表5に示す。
【0246】
(概略)
実施例7、8及び10による組成物はより安定しており、一方、ミリスチン酸イソプロピル又はセチルリン酸カリウムを含まない実施例9及び11による組成物は、安定性がより低い。
【0247】
したがって、TiO2及びドロメトリゾールトリシロキサンを含む組成物はまた、(c)脂肪物質、例えばミリスチン酸イソプロピル、及び/又は(d)ホスフェート化合物、例えばセチルリン酸カリウムを含むことが好ましい。
【外国語明細書】