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特開2024-79077粉末状活性剤及び糖アルコールを含む頭皮をケアするための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079077
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】粉末状活性剤及び糖アルコールを含む頭皮をケアするための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20240604BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240604BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K8/34
A61Q5/12
A61K8/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191793
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】イ-ユン・ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】太中 希恵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC011
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC331
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC842
4C083AD021
4C083AD112
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD491
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD611
4C083AD621
4C083AD641
4C083AD651
4C083AD661
4C083BB21
4C083BB47
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】頭皮をケアするため、及び触感、詳細には粉末のテクスチャの感覚を改善するための、組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、頭皮をケアするための組成物であって、(a)少なくとも1種の粉末状活性剤と、(b)少なくとも1種の糖アルコールと、(c)水とを含む、組成物に関する。本発明による組成物は、それが毛髪上に塗布された後に、改善された触感を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭皮をケアするための組成物であって、
(a)少なくとも1種の粉末状活性剤と、
(b)少なくとも1種の糖アルコールと、
(c)水と
を含む、組成物。
【請求項2】
(a)粉末状活性剤が、有機化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)粉末状活性剤が、親油性及び水不溶性活性剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)粉末状活性剤が、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択される皮膚及び/又は頭皮用の活性剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)粉末状活性剤が、レチノール(ビタミン A)及び誘導体、例えばレチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ-カロテンを含むカロテン、トコフェロール(ビタミンE)及び誘導体、例えば酢酸トコフェリル、Dビタミン、ビタミンD2、ビタミンD3、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、コエンザイムQ10又はユビキノン、セラミド、有機酸エステル、及びトコトリエノール、セサミン、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペンを含む化粧及び/又は皮膚科特性を有する不けん化物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(b)糖アルコールが、少なくとも1種の二糖の糖アルコールを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(b)糖アルコールが、少なくとも2つのタイプの糖アルコールを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(b)糖アルコールが、少なくとも1種の単糖の糖アルコールと少なくとも1種の二糖の糖アルコールとを組み合わせて含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)粉末状活性剤が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、更により好ましくは0.2質量%~1質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(b)糖アルコールが、組成物の総質量に対して、0.05質量%~3質量%、好ましくは0.1質量%~2質量%、より好ましくは0.2質量%~1.5質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(c)水が、組成物の総質量に対して、40質量%~95質量%、好ましくは50質量%~85質量%、より好ましくは60質量%~80質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
非エマルション形態、例えば溶液、特に水溶液、及びセラムである、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
リーブオンタイプの化粧用組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
油を、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン繊維、好ましくは毛髪を、ケアする又はコンディショニングするための美容方法であって、ケラチン繊維上に、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の粉末状活性剤と、少なくとも1種の糖アルコールと、水とを含む、頭皮をケアするための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪/頭皮化粧料の分野では、触感が、最も重要な性質の1つである。詳細には、頭皮ケア化粧用組成物が粉末状活性剤を含むとき、それが毛髪及び頭皮上に塗布された後に、粉末状の触感を低減する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第A-5364633号
【特許文献2】米国特許第A-5411744号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁
【非特許文献2】E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年
【非特許文献3】「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、頭皮をケアするため、及び触感、詳細には粉末のテクスチャの感覚を改善するための、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記の目的は、頭皮をケアするための組成物であって、
(a)少なくとも1種の粉末状活性剤と、
(b)少なくとも1種の糖アルコールと、
(c)水と
を含む、組成物によって達成されうる。
【0007】
(a)粉末状活性剤は、有機化合物であってもよい。
【0008】
(a)粉末状活性剤は、親油性及び水不溶性活性剤であってもよい。
【0009】
(a)粉末状活性剤は、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択されてもよい。
【0010】
(a)粉末状活性剤は、レチノール(ビタミンA)及び誘導体、例えばレチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ-カロテンを含むカロテン、トコフェロール(ビタミンE)及び誘導体、例えば酢酸トコフェリル、Dビタミン、ビタミンD2、ビタミンD3、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、コエンザイムQ10又はユビキノン、セラミド、有機酸エステル、及びトコトリエノール、セサミン、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペンを含む化粧及び/又は皮膚科特性を有する不けん化物から選択されてもよく、好ましくは(a)粉末状活性剤は、フェルラ酸エチル、オリザノール、特定するとガンマ-オリザノールから選ばれる有機酸エステルから選択される。
【0011】
(b)糖アルコールは、少なくとも1種の二糖の糖アルコールを含んでもよい。
【0012】
(b)糖アルコールは、少なくとも2つのタイプの糖アルコールを含んでもよい。
【0013】
(b)糖アルコールは、少なくとも1種の単糖の糖アルコールと少なくとも1種の二糖の糖アルコールとを組み合わせて含んでもよい。
【0014】
(a)粉末状活性剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、更により好ましくは0.2質量%~1質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0015】
(b)糖アルコールは、組成物の総質量に対して、0.05質量%~3質量%、好ましくは0.1質量%~2質量%、より好ましくは0.2質量%~1.5質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0016】
(c)水は、組成物の総質量に対して、40質量%~95質量%、好ましくは50質量%~85質量%、より好ましくは60質量%~80質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0017】
組成物は、非エマルション形態、例えば溶液、特に水溶液、及びセラムであってもよい。
【0018】
組成物は、リーブオンタイプの化粧用組成物であってもよい。
【0019】
組成物は、油を、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で含んでもよい。
【0020】
本発明はまた、毛髪及び/若しくは頭皮をケアする又はコンディショニングするための美容方法であって、頭皮上に、本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
鋭意検討の結果、本発明者らは、糖アルコールが、粉末状活性剤を含む組成物が毛髪及び頭皮上に塗布された後に粉末のテクスチャの感覚をマスクすることができ、そのようにして、改善された触感を付与できる化粧用組成物が得られたことを、驚くべきことに発見した。
【0022】
そのため、本発明による頭皮をケアするための組成物は、
(a)少なくとも1種の粉末状活性剤と、
(b)少なくとも1種の糖アルコールと、
(c)水と
を含む。
【0023】
本明細書で以降、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0024】
[組成物]
本発明による頭皮をケアするための組成物は、(a)少なくとも1種の粉末状活性剤と、(b)少なくとも1種の糖アルコールと、(c)水とを含む。
【0025】
本発明による組成物は、頭皮をコンディショニングする及び/又はケアするための組成物として使用することができる。
【0026】
本発明による組成物は、多様な形態、例えば溶液、ゲル、ローション、セラム、サスペンション、分散体、流体、乳液、ペースト、クリーム、発泡体などを取ってよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、非エマルション形態、例えば溶液、特に水溶液、及びセラムである。
【0027】
本発明に従って使用される組成物は、リーブオン(又はリーブイン)タイプの化粧用組成物として使用されることが好ましくは意図される。用語「リーブオン」は、塗布直後に洗い落とす/濯ぎ落とす、又は除去することが意図されていない組成物を意味する。リーブオン組成物は、ケラチン物質上で使用された後にリンスオフされることが意図されるリンスオフタイプの組成物とは異なる。
【0028】
本発明による組成物中に含まれる成分を、以下に詳細に説明する。
【0029】
(粉末状活性剤)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の粉末状活性剤を含む。2種以上の(a)粉末状活性剤が、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプの粉末状活性剤、又は異なるタイプの粉末状活性剤の組み合わせを使用することができる。
【0030】
本明細書で使用される用語「粉末」は、組成物の媒質に、特定すると水に不溶性である、任意の形状の粒子であると理解されるべきである。
【0031】
(a)粉末状活性剤は、結晶形(例えば層状、立方晶、六方晶、斜方晶など)にかかわりなく、任意の形状のものであってよく、血小板形状、球状又は長楕円形であってもよい。
【0032】
粉末状活性剤の平均粒径は限定されないが、一般に、50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。粉末状活性剤の平均粒径は、0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上であってもよい。本明細書で使用される用語「平均粒径」は、集団の半数に対して統計的粒径分布によって与えられる数平均粒子径を表し、D50と称される。例えば、数平均粒子径は、レーザー回折粒径分布アナライザー、例えばMalvern Corp社によるMastersizer 2000で測定されてもよい。
【0033】
(a)粉末状活性剤は、化粧用及び/又は皮膚科用活性剤、例えば抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択されてもよい。
【0034】
(a)粉末状活性剤は、親油性活性剤であってもよい。
【0035】
用語「親油性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、油の総質量に対して少なくとも1質量%の濃度で油に可溶性である物質を示す。
【0036】
(a)粉末状活性剤は、水不溶性活性剤であってもよい。
【0037】
用語「水不溶性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水の総質量に対して0.1質量%未満の濃度、特定すると0.01質量%未満の濃度で水に可溶性である物質を示す。
【0038】
(a)粉末状活性剤は、化粧用及び/又は皮膚科用活性剤、特定すると皮膚及び/又は頭皮用の活性剤から選択されてもよい。
【0039】
(a)粉末状活性剤は、皮膚及び/若しくは頭皮のケア活性剤、例えば抗老化活性剤、並びに皮膚及び/又は頭皮用の、抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択されてもよい。
【0040】
詳細には、本発明の(a)粉末状活性剤は、皮膚及び/又は頭皮用の化粧用及び/又は皮膚科用の親油性及び/又は水不溶性活性剤、特定すると、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択される、皮膚及び/又は頭皮用の、親油性及び水不溶性活性剤であってもよい。
【0041】
好ましい一実施形態では、本発明の(a)粉末状活性剤は、有機化合物の粉末状活性剤である。
【0042】
(a)粉末状活性剤を形成している有機化合物の分子量が、150以上、好ましくは300以上、より好ましくは450以上であり、且つ/又は3,000以下、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,000以下であることが好ましい場合がある。
【0043】
(a)粉末状活性剤を形成している有機化合物の分子量が、150~3,000、好ましくは300~2,000、より好ましくは450~1,000の範囲であることが好ましい場合がある。
【0044】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味しうる。
【0045】
粉末状活性剤に関して、使用されうるのは、レチノール(ビタミンA)及び誘導体、例えばレチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ-カロテンを含むカロテン、トコフェロール(ビタミンE)及び誘導体、例えば酢酸トコフェリル、Dビタミン、ビタミンD2、ビタミンD3、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、コエンザイムQ10又はユビキノン、セラミド、有機酸エステル、及び、例えばアストコトリエノール、セサミン、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペンの化粧及び/又は皮膚科特性を有する不けん化物である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、(a)粉末状活性剤は、有機酸エステルであり、特定すると、式(I):
【0047】
【化1】
【0048】
[式(I)中、
R1、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子、又はヒドロキシル基、好ましくは水素原子を表し、
R2は、水素原子、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基、好ましくは(C1~C4)アルコキシ基、特にメトキシを表し、
R3は、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基、好ましくはヒドロキシル基を表し、
R6は、
i)(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C4)アルキル、特定するとヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/又はアミド、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つ又は複数の基で任意選択で置換されているメチル又はエチル、
ii)(C1~C10)アルキル、(C2~C10)アルケニル、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/又はアミド、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つ又は複数の基で任意選択で置換されているシクロアルキル、及び
iii)グリコシル
から選ばれる基を表す]
により表されるもの、又はその幾何異性体、有機酸若しくは無機酸又はそれらの塩基塩、又はその溶媒和物、特定すると水和物である。
【0049】
(Cx~Cz)アルキル基は、x~z個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。例えば、(C1~C6)アルキル基は、1~6個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。
【0050】
(Cx~Cz)アルケニル基は、x~z個の炭素原子を含み且つ1つ又は複数の共役の又は非共役の不飽和、好ましくは1つのみの不飽和を含む、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。例えば、(C2~C10)アルケニル基は、2~10個の炭素原子を含み且つ1つ又は複数の不飽和を含む、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。
【0051】
(Cx~Cz)アルコキシ基は、-O-(Cx-Cz)アルキル基[式中、(Cx~Cz)アルキル基は、先に定義されたものである]を表す。
【0052】
本発明の特定の実施形態によれば、式(I)中、R6は、上に定義した(C1~C6)アルキル基i)を表す。
【0053】
本発明の別の特定の実施形態によれば、式(I)中、R6は、5~7個の炭素原子を含み且つ1つ若しくは複数の(C1~C4)アルキル基で並びに/又はヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/若しくはアミド、好ましくはヒドロキシル及び/若しくはカルボキシルから選ばれる1つ若しくは複数の基で、任意選択で置換されている、飽和又は不飽和の、好ましくは飽和の、非芳香族単環式シクロアルキル基ii)を表す。
【0054】
詳細には、シクロアルキル基は、1~5つのヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基で任意選択で置換されているシクロヘキシルである。詳細には、シクロアルキル基はシクロヘキシルであり、且つヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/又はアミド、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つ又は複数の基で任意選択で置換されている。より詳細には、シクロアルキル基は、1~5つのヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基で任意選択で置換されているシクロヘキシルである。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態によれば、式(I)中、R6は、2つから5つの間の縮合環を好ましくは含み、12~32個の炭素原子を含み、且つ任意選択で置換されている、多環式シクロアルキル基ii)を表し;詳細には、シクロアルキルは、4つから5つの間の縮合環を含む多環式基であり、前記環は、3員、5員又は6員であり、且つ16~20個の炭素原子、なおもより良好には17個又は18個の炭素原子を含有し、前記シクロアルキルは、1つ若しくは複数の直鎖状若しくは分枝状の(C1~C10)アルキル基又は直鎖状若しくは分枝状の(C2~C10)アルケニル基で、任意選択で置換されている。
【0056】
好ましくは、有機酸エステルは、式(I)のものであり、
式中、
R1、R4及びR5は、水素原子を表し、
R2は、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基、好ましくは(C1~C4)アルコキシ基、特にメトキシを表し、
R3は、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基を表し、
R6は、i)(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C4)アルキルから選ばれる基、及びまたその幾何異性体、有機酸若しくは無機酸又はそれらの塩基塩、及びそれらの溶媒和物、例えば水和物も表す。
【0057】
特に好ましい実施形態によれば、式(I)のエステルは、式(I'):
【0058】
【化2】
【0059】
[式(I')中、
R6は、上に定義したものであり、
R7は、水素原子又はC1~C6アルキル基を表す]
のものである。
【0060】
一実施形態によれば、有機酸エステルは、より詳細には式(I')のものであってもよく、式中、R6は、(C1~C6)アルキル及び好ましくは(C1~C4)アルキル基、好ましくはエチル基を表し、R7は、(C1~C6)アルキル及び好ましくは(C1~C4)アルキル基、好ましくはメチル基を表す。
【0061】
この実施形態によれば、フェルラ酸エチルが好ましい。
【0062】
一実施形態によれば、有機酸エステルは、より詳細には式(I')のものであってもよく、式中、R6は、1つ又は複数の基で、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つから4つの間の基で任意選択で置換されている、5~7個の炭素原子を含む飽和の単環式シクロアルキル基を表し、R7は、水素原子である。
【0063】
この実施形態によれば、クロロゲン酸が好ましい。
【0064】
一実施形態によれば、有機酸エステルは、より詳細には、式(I')のものであってもよく、式中、R6は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの(C1~C4)アルキル基、好ましくはエチルで、及び少なくとも1つの、好ましくは1つの分枝状の(C8~C10)アルケニル基又は(C8~C10)アルキル基で置換されている、16個から20個の間の炭素原子を含む、3つから5つの間の飽和の縮合環を含む多環式基を表し;R7は、(C1~C6)アルキル基及び好ましくは(C1~C4)アルキル基、好ましくはメチル基である。
【0065】
本発明による式(I)及び式(I')の化合物は、天然の化合物又は天然起源の化合物から好ましくは選ばれる。それらは、好ましくは「グリーンな」化合物である。
【0066】
式(I)又は式(I')のエステルの特定の例として挙げることができるのは、フェルラ酸メチル、フェルラ酸エチル、クロロゲン酸、フェルラ酸イソプロピル、又はステロールのフェルラ酸エステル、例えばオリザノール、とりわけガンマ-オリザノールである。別の実施形態によれば、オリザノール、特定するとガンマ-オリザノールが特に好ましい。
【0067】
式(I)及び式(I')の化合物は、当業者に既知の任意の方法を介して得ることができる。
【0068】
例えば、フェルラ酸エステルは、フェルラ酸のエステル化によって得られ、これは、例えば酵素コーヒー酸-O-メチルトランスフェラーゼを用いたコーヒー酸のメトキシル化を介した生体合成によって、又は例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の濃縮された塩基を用いて、植物抽出物、特定するとコムギ胚芽からの抽出によって、それ自体が得られる。
【0069】
ガンマ-オリザノールは、特に米糠から、有機溶媒を使用した抽出によって得ることができる。
【0070】
式(I)又は式(I')の一定数の化合物がまた市販されており、例としては、築野食品工業株式会社から商品名Oryzanol(商標登録)で入手可能なガンマ-オリザノール、Ikeda社からのGamma Oryzanol(商標登録)、又は一丸ファルコス株式会社からのOryzanolgamma V(商標登録)、Gfn Selco社からの参照名Ethyl Ferulate、Natural又はCOSで入手可能なフェルラ酸エチル、またSigma-Aldrich社から入手可能なもの、及びGuilin Layn Natural Ingredients社による参照名Eucommia Leaves Extract Chlorogenic Acid 98%で入手可能なクロロゲン酸がある。
【0071】
好ましくは、(a)粉末状活性剤は、フェルラ酸エチル、オリザノール、及び特定するとガンマ-オリザノールから選ばれる有機酸エステルから選択される。
【0072】
(a)粉末状活性剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上の含有量で存在してもよい。
【0073】
(a)粉末状活性剤は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の含有量で存在してもよい。
【0074】
(a)粉末状活性剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、更により好ましくは0.2質量%~1質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0075】
本明細書の文脈では、上記の上限値と下限値との任意の組み合わせが、量の好ましい範囲を表すために利用可能でありうる。
【0076】
(糖アルコール)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の糖アルコールを含む。2つ以上のタイプの糖アルコールが組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプの糖アルコール、又は異なるタイプの糖アルコールの組み合わせを使用することができる。
【0077】
糖アルコールは、糖の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる化合物である。
【0078】
いくつかの実施形態では、(b)少なくとも1種の糖アルコールは、糖アルコール、及び糖から還元されたその混合物、その誘導体、並びにこれらの混合物から選ぶことができる。糖、その誘導体、又はこれらの混合物は、非置換であってもよく、又はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、単糖、二糖、三糖、及びこれらの混合物に由来しうる。いくつかの好ましい実施形態では、糖アルコールは、単糖及び/又は二糖に由来しうる。
【0080】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、例えばリブロース、キシロース、リボース、アラビノース、リキソース及びデオキシリボース等のペントース、アルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フコース、フクロース及びラムノース等のヘキソース、並びにセドヘプツロース等のヘプトースから選択される単糖に由来しうる。単糖に由来する糖アルコールはまた、本文脈において、単糖の糖アルコールとも称される。
【0081】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、スクロース、ラクトース、マルトース及びトレハロース等の二糖に由来しうる。二糖に由来する糖アルコールはまた、本文脈において、二糖の糖アルコールとも称される。
【0082】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、マルトトリオース、セロトリオース、2'-フコシルラクトース、ゲンチアノース、ラフィノース及びメリシトース等の三糖に由来しうる。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態では、糖アルコールは、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、アラビトール、ソルビトール、キシリトール、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0084】
別の好ましい実施形態では、糖アルコールは、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、アラビトール、ソルビトール、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0085】
本発明の好ましい一実施形態では、(b)糖アルコールは、少なくとも1種の単糖の糖アルコールを含む。
【0086】
本発明の好ましい一実施形態では、(b)糖アルコールは、少なくとも1種の二糖の糖アルコールを含む。
【0087】
本発明の好ましい一実施形態では、(b)糖アルコールは、少なくとも2つのタイプの糖アルコールを含む。
【0088】
本発明の別の好ましい実施形態では、(b)糖アルコールは、少なくとも1種の単糖の糖アルコール、例えばエリスリトール、マンニトール、アラビトール及びソルビトールを含み、且つ少なくとも1種の二糖の糖アルコール、例えばマルチトールとラクチトールとを組み合わせにおいて含む。
【0089】
糖は、L異性体の形態にあってもD異性体の形態にあってもよい。
【0090】
本発明による組成物中の(b)少なくとも1種の糖アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上であってもよい。
【0091】
本発明による組成物中の(b)少なくとも1種の糖アルコールの量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更により好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0092】
本発明による組成物中の(b)少なくとも1種の糖アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~3質量%、好ましくは0.1質量%~2質量%、より好ましくは0.2質量%~1.5質量%、更により好ましくは0.3質量%~1質量%であってもよい。
【0093】
(水)
本発明による組成物は、水を含む。
【0094】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってよく、且つ/又は95質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよい。
【0095】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%~95質量%、好ましくは50質量%~85質量%、より好ましくは60質量%~80質量%であってもよい。
【0096】
(他の成分)
- 化粧料として許容される親水性有機溶媒
本発明による組成物は、少なくとも1種の化粧料として許容される親水性有機溶媒を含んでもよい。これらの溶媒のうちの2種以上が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0097】
化粧料として許容される親水性有機溶媒には、例えば、1~8個の炭素原子を有する実質的に直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール及びイソブタノール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、カプリリルグリコール、エチレングリコールのモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールのモノエチルエーテル又はモノブチルエーテル;ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6及びPEG-8、並びにそれらの誘導体が挙げられる。
【0098】
本発明による組成物中の、化粧料として許容される親水性有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、5質量%~50質量%、好ましくは10質量%~40質量%、より好ましくは15質量%~35質量%の範囲であってもよい。
【0099】
本発明の一実施形態では、本発明による組成物中の1~8個の炭素原子を有するモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%、好ましくは10質量%~35質量%、より好ましくは15質量%~30質量%の範囲であってもよい。
【0100】
本発明の一実施形態では、本発明による組成物中のポリオール又はポリオールエーテルの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~7質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲であってもよい。
【0101】
- 増粘剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含んでもよい。単一のタイプの増粘剤を使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの増粘剤を組み合わせて使用することもできる。
【0102】
増粘剤が親水性増粘剤から選択されることが好ましい。用語「親水性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水の総質量に対して1質量%以上の濃度で水に可溶性である物質を意味する。
【0103】
増粘剤が多糖から選択されることが好ましい。
【0104】
多糖は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば、穀物、例としてはコムギ、トウモロコシ又はコメに由来するもの、野菜、例としては黄色エンドウに由来するもの、及び塊茎、例としてはジャガイモ又はキャッサバに由来するもの)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラゲナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びそれらの非イオン性誘導体(例えばヒドロキシプロピルグアー)、スクレロチウムガム及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0105】
例えば、使用されうる多糖は、例えば、「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁、E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年、並びに「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行に記載されているものから選ばれ、これらの3つの刊行物の内容は、参照により全体が組み込まれる。
【0106】
例えば、デンプン、グアーガム、セルロース、及びこれらの誘導体を使用することができる。
【0107】
使用されうるデンプンの中で挙げることができるのは、例えば、無水グルコース単位であるベース単位を含むポリマーの形態にある高分子である。これらの単位の数及びこれらのアセンブリは、アミロース(直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(分枝状ポリマー)とを区別することを可能にする。アミロースとアミロペクチンの相対的比率、並びにそれらの重合度は、デンプンの植物起源に応じて多様となりうる。
【0108】
使用されるデンプンの分子は、それらの植物起源として穀物又は塊茎を有してもよい。そのため、デンプンは、例えば、トウモロコシ、コメ、キャッサバ、タピオカ、オオムギ、ジャガイモ、コムギ、モロコシ及びエンドウマメの各デンプンから選ぶことができる。
【0109】
デンプンは、一般に、冷水中で不溶性である白色粉末の形態で存在し、その初期の粒径は、3~100ミクロンの範囲である。
【0110】
デンプンは、任意選択でC1~C6ヒドロキシアルキル化されていてもよく、又はC1~C6アシル化(例えばアセチル化)されていてもよい。デンプンはまた、加熱処理を受けてもよい。
【0111】
リン酸二デンプン、又はリン酸二デンプンに富む化合物、例えばAVEBE社により参照名PREJEL VA-70-T AGGL(ゼラチン化ヒドロキシプロピル化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL TK1(ゼラチン化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL 200(ゼラチン化アセチル化キャッサバのリン酸二デンプン)で提供されている製品もまた使用することができる。
【0112】
グアーガムは、変性されていても変性されていなくてもよい。
【0113】
非変性グアーガムは、例えば、Unipectine社により名称Vidogum GH 175で、並びにMeyhall社により名称Meypro-Guar 50及びJaguar Cで販売されている製品である。
【0114】
変性非イオン性グアーガムは、例えば、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されている。
【0115】
挙げることができるヒドロキシアルキル基の中では、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルの各基がある。
【0116】
これらのグアーガムは、従来技術において周知であり、例えば、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、プロピレンオキシド等の相当するアルケンオキシドを、グアーガムと反応させることによって調製することができる。
【0117】
ヒドロキシアルキル化度は、グアーガムに存在する遊離ヒドロキシ官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当し、例えば0.4~1.2の範囲であってもよい。
【0118】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodia Chimie社(Meyhall)により商品名Jaguar HP8、Jaguar HP60、Jaguar HP120、Jaguar DC 293及びJaguar HP 105で、又はAqualon社により名称Galactasol 4H4FD2で販売されている。
【0119】
使用されるセルロース及びセルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキル基で変性されたセルロースの中では、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、並びに疎水性化されているヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。Aqualon社により名称Klucel E F、Klucel H、Klucel L H F、Klucel M F及びKlucel Gで販売されている製品を挙げることができる。
【0120】
本発明による組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内であってもよい。
【0121】
- 非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
非イオン性界面活性剤は、3.0~7.0、好ましくは3.5~6.0、より好ましくは4.0~5.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有してもよい。或いは、非イオン性界面活性剤は、11~17、好ましくは12~16、より好ましくは13~15のHLB値を有してもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、HLB値は、全ての非イオン性界面活性剤のHLB値の秤量された平均により決定される。
【0123】
非イオン性界面活性剤は、以下から選ぶことができる:
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選ばれる界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル、及び糖の脂肪アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、並びにオキシアルキレン化脂肪エステルから選ばれる界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物。
【0124】
界面活性剤(1)は、温度45℃以下にて流体であってもよい。
【0125】
界面活性剤(1)は、具体的には以下であってもよい:
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪酸と、2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールとの、ポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化(PEGylated))アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6 カプリル酸/カプリン酸 グリセリド、PEG-7 カプリル酸/カプリン酸 グリセリド、及びPEG-7グリセリルココエート、
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪アルコールと、2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドとの、ポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物。
【0126】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロール、更により好ましくは4~6個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0127】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選ぶことができる。
【0128】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテル、好ましくはポリオキシエチレン化脂肪エーテルは、2~60個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位を含んでもよい。エーテルの脂肪鎖は、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エーテルの例は、2個、3個、4個及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4及びラウレス-5)、例えば日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-2で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 703で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称EMALEX 705で販売されている製品である。更に挙げることができるのは、例えば、2個、3個、4個、5個及び20個のエチレンオキシド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4、ステアレス-5及びステアレス-20)、例えば、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 602で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 603で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BS-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 605で販売されている製品である。
【0129】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテルが、C8~C24脂肪アルコール又はアルコールと、それらのポリオキシアルキレン化誘導体とのポリエチレングリコールエーテル、並びにC4~C24脂肪アルコール又はアルコール、例えばPPG-14ブチルエーテル及びPPG-15ステアリルエーテルのポリプロピレングリコールエーテルであることもまた好ましい。
【0130】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル鎖又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪アルコールと、α-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸の、グリセロールとの混合エステルを含む群から特に選択することができる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってもよい。
【0131】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルに由来する脂肪酸又はアルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。これらは、特に、ステアリン酸エステル、イソステアリン酸エステル、リノール酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カプリン酸エステル、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリルの各鎖、及びこれらの混合物であってもよい。
【0132】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルの例として挙げることができるのは、Huls社により名称Imwitor 375で販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル);Huls社により名称Imwitor 780 Kで販売されている、コハク酸とイソステアリルアルコールの、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:ジグリセリルコハク酸イソステアリル);Huls社により名称Imwitor 370で販売されている、クエン酸とステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:クエン酸ステアリン酸グリセリル);Danisco社により名称Lactodan B30又はRylo LA30で販売されている、乳酸とステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:乳酸ステアリン酸グリセリル)である。
【0133】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪酸エステルは、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、並びにC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選択することができる。
【0134】
本発明において使用されうるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状アルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。エステルの脂肪単位は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル及びカプリン酸エステル、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアリン酸エステルが、好ましく使用される。
【0135】
上記の非イオン界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪アルコールエーテルは、45℃以下の温度にて固体でありえ、且つC8~C22脂肪アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、並びにC14~C22脂肪アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から特に選択することができる。これらは、特に、アルキルポリグルコシドである。
【0136】
本発明のナノエマルション中で使用されうるエーテルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪アルコールは、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。該エーテルの脂肪単位は、詳細には、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから選ぶことができる。
【0137】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選択することができる。これらは、16~22個の炭素原子をそれぞれ含有する少なくとも1つの飽和の直鎖状のアルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトール又はエトキシル化ソルビトールとから形成されうる。オキシエチレン化エステルは、一般に、1~100個のエチレングリコール単位、好ましくは2~40個のエチレンオキシド(EO)単位を含んでもよい。
【0138】
これらのエステルは、特定すると、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル、パルミチン酸エステル、及びこれらの混合物から選ぶことができる。ステアリン酸エステル及びパルミチン酸エステルが好ましくは使用される。
【0139】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)オキシアルキレン化脂肪エステル、好ましくはエトキシル化脂肪エステルは、1~100個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪酸鎖とから形成されたエステルであってもよい。エステルの脂肪鎖は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジル酸エステル及びパルミチン酸エステルの各単位、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エステルの例には、40個のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸のエステル、例えばICI社により名称Myrj 52(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)、及び8個のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸のエステル(CTFA名:ベヘン酸PEG-8)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0140】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマーは、特に、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
(式中、x、y及びzは、x+zが2~100の範囲であり、yが14~60の範囲であるような整数である)のブロックコポリマー及びそれらの混合物から、より詳細には、8.0~14.0の範囲のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから選ぶことができる。
【0141】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、以下からなる群から選択されてもよい:
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4630で販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4612で販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばNOF Corporation社からUNILUBE 50MT-2200Bで販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4620で販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-31で販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-41で販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-33で販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-34で販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばCroda Inc.社からProcetyl AWSで販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-44で販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 EO)(23 PO)、例えばポーラ化成工業株式会社からUnisafe 34S-23で販売されているもの。これらは、比較的短時間のうちに組成物の温度が上下する場合であっても、長時間にわたり安定性を伴う組成物を提供することができる。
【0142】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(7)シリコーン界面活性剤として挙げることができるのは、文献、米国特許第A-5364633号及び米国特許第A-5411744号に開示されているものである。
【0143】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I):
【0144】
【化3】
【0145】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1基、R2基又はR3基は、アルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但し条件としてAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは0~5の範囲の整数である]
の化合物であってもよい。
【0146】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0147】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0148】
【化4】
【0149】
(式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0150】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、また挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0151】
非イオン性界面活性剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~7質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の量で存在してもよい。
【0152】
- アミノ酸
本発明による組成物は、少なくとも1種のアミノ酸を含んでもよい。2つ以上のタイプのアミノ酸を組み合わせて使用してもよい。このため、単一のタイプのアミノ酸、又は異なるタイプのアミノ酸の組み合わせを使用することができる。アミノ酸は、類似体、溶媒和物、水和物、立体異性体、及びその塩を含んでもよい。
【0153】
アミノ酸は、少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つのカルボキシル基を有する。アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、又は第三級アミノ基であってもよい。
【0154】
アミノ酸は、D形態であってもL形態であってもよい。
【0155】
アミノ酸は、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、及びこれらの混合物から選択されてもよい。酸性アミノ酸は、典型的には、1つのアミノ基と2つのカルボキシル基とを有する。酸性アミノ酸には、グルタミン酸及びアスパラギン酸が挙げられうる。塩基性アミノ酸は、典型的には、2つのアミノ基と1つのカルボキシル基とを有する。塩基性アミノ酸には、アルギニン、リジン、ヒスチジン及びオルチニンが挙げられうる。中性アミノ酸中のアミノ基の数とカルボキシル基の数とは、同一である。中性アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが挙げられうる。いくつかの好ましい実施形態では、アミノ酸は、塩基アミノ酸、及びこれらの混合物から選択されてもよい。特に好ましい実施形態では、アミノ酸は、アルギニンでありうる。
【0156】
アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸及びδ-アミノ酸から選択されてもよい。α-アミノ酸は、非環状α-アミノ酸及び環状α-アミノ酸から選択されてもよい。非環状α-アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群から選択されてもよい。環状α-アミノ酸は、非芳香族環状α-アミノ酸、例えばピロリドンカルボン酸(ピログルタミン酸又はピドロ酸)から選択されてもよい。ピロリドンカルボン酸は、グルタミン酸のアミノ基とカルボキシル基との分子間縮合によって形成されうる。
【0157】
いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の誘導体から選択されてもよい。アミノ酸の誘導体(アミノ酸誘導体)は、そこでアミノ酸中のアミノ基の窒素原子上の水素原子が少なくとも1つの置換基で置換されているアミノ酸から選択されてもよい。
【0158】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アシル基、アルケニル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基である。
【0159】
アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってもよい。その一方で、アルキル基は、環状のC3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってもよい。
【0160】
アシル基は、C1~C6アシル基、例えばホルミル基及びアセチル基であってもよい。
【0161】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってもよい。
【0162】
アルコキシ基は、C1~C6アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基であってもよい。
【0163】
アルコキシカルボニル基は、C1~C6アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基であってもよい。
【0164】
上記の置換基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1つの基、並びにフェニル基等の芳香族基で更に置換されうる。
【0165】
一実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩から選択されてもよい。
【0166】
アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は、酸性塩であっても塩基性塩であってもよい。酸性塩として挙げることができるのは、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩等の無機酸塩、並びにクエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩等の有機酸塩である。塩基性塩として挙げることができるのは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩等の無機塩基性塩、並びにトリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩及びジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基性塩である。
【0167】
アミノ酸は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.03質量%~3質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%の量で存在してもよい。
【0168】
- 添加剤
本発明による組成物は、化粧料及び皮膚科の分野において一般的であるアジュバントのうちの1種又は複数を更に含んでよく、これらは、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤;カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性若しくは双性イオン性ポリマー、又はこれらの混合物;ゲル化剤;浸透剤;pH調整剤、例えば水酸化ナトリウム;抗フケ剤;抗酸化剤;保湿剤、例えばヒアルロン酸ナトリウム;皮膚軟化剤;親水性活性剤;フリーラジカル捕捉剤;金属イオン封鎖剤、例えばグルコノラクトン;懸濁剤;緩衝剤;芳香剤;皮膚軟化剤;分散剤;染料及び/又は顔料;成膜剤;安定化剤;保存剤;共保存剤;不透明化剤;冷感を引き起こすことができる作用剤、例えばメントール;並びにこれらの混合物から選択される。
【0169】
本発明による組成物は、スイレン科植物からの抽出物、例えばニムファエア・アルバ(Nymphaea alba)の根の抽出物又はショウガの根の抽出物等の植物抽出物を更に含んでもよい。
【0170】
スイレン科植物からの抽出物の量は、組成物の総質量に対して、0.0001質量%~1質量%、好ましくは0.0005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.001質量%~0.1質量%、更により好ましくは0.001質量%~0.05質量%、又は特定すると0.001質量%~0.01質量%の範囲であってもよい。
【0171】
親水性有効成分として挙げることができるのは、ビタミンB3及び誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、C-グリコシド誘導体、サリチル酸及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、ナイアシンアミド、並びにこれらの混合物である。
【0172】
本発明による組成物中に含まれる添加剤の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して0.01質量%~30質量%であってもよい。
【0173】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、油を含まない又は微量の油を含む。いくつかの実施形態では、油は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で存在してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、油を含まない(すなわち、組成物の総質量に対して0質量%)。
【0174】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0175】
油には、揮発性油又は非揮発性油を挙げることができ、これらの油は、特に動物又は植物起源の炭化水素系油、合成油、シリコーン油、フルオロ油、又はこれらの混合物であってもよい。油は、エステル油、脂肪アルコール、及びこれらの組み合わせから選ぶことができる。
【0176】
本発明の目的では、「炭化水素系油」又は「炭化水素油」は、主に水素原子及び炭素原子、及び任意選択で酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を含有する油を意味すると意図される。炭化水素系油は、ケイ素原子を一切含まない。
【0177】
本発明の目的では、「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油、例えばジメチコンを意味すると意図される。
【0178】
本発明による組成物のpHは、一般に、例えば、2~7、好ましくは3~7、より好ましくは4~6であってもよい。
【0179】
本発明による組成物は、当技術分野における通常の技術を通じて、例えば、成分(a)~(c)を混合することによって、製造することができる。前記他の成分を、これらの成分と混合することができる。これらの成分を混合している間、必要であれば、それらを加熱することができる。
【0180】
[美容方法及び使用]
本発明は、頭皮をケアする又はコンディショニングする美容方法であって、頭皮に、本発明による組成物を塗布することを含む、美容方法に関する。
【0181】
美容方法は、本明細書では、頭皮をケアする及び/又はコンディショニングする非治療的美容方法を意味する。
【0182】
塗布の工程は、アプリケータ、例えば手、スプレー及びブラシ等の任意の従来の手段によって実施することができる。塗布の工程は、局所の塗布の工程とすることができる。
【0183】
本発明による組成物は、リーブオンタイプの化粧用組成物として使用することが意図される。したがって、本発明による美容方法は、塗布の工程後の、塗布された組成物の濯ぎ落とし又は洗い落としの工程を含まない。本発明の一実施形態では、本発明の美容方法は、塗布の工程後の1時間以内、好ましくは2時間以内、より好ましくは4時間以内、更により好ましくは8時間以内の、塗布された組成物の濯ぎ落とし又は洗い落としの工程を含まない。
【0184】
その上、本発明はまた、本発明による組成物の、化粧料の分野、特に頭皮をケアする及び/又はコンディショニングすることにおける、使用にも関する。
【0185】
本発明はまた、(b)糖アルコールの、水ベースの組成物中に含まれる(a)粉末状活性剤から引き起こされる粉末の触感をマスクするための、使用にも関する。組成物は、油を、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で含んでもよく、又は組成物は、油を含まなくてもよい。
【0186】
本発明の組成物中に、(a)少なくとも1種の粉末状活性剤と、(b)少なくとも1種の糖アルコールと、(c)水とを含む組成物のために付与されている説明と同じ説明を、本発明による方法及び使用のための説明にも当てはめることができる。本発明による方法及び使用において使用される組成物は、本発明による組成物のために上記に説明された任意選択の成分のうちのいずれかを含んでもよい。
【実施例0187】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0188】
実施例では、「マルチトール(及び)ソルビトール」は株式会社感光社から得られ、名称「Amalty Syrup」で販売されており、オリザノールは築野食品工業株式会社から得られ、名称「Gamma Oryzanol」で販売されている。
【0189】
[組成物]
実施例1及び比較例1~3による組成物を、以下の調製プロトコルに従って調製した。配合率を以下のTable 2(表2)に示す。Table 2(表2)では、全ての成分は、活性原料の「質量%」に基づく。
【0190】
[調製プロトコル]
1)存在する場合、カプリン酸ポリグリセリル-4、ニムファエア・アルバ抽出物、プロピレングリコール、アルギニン及び糖化合物等の水溶性成分を水に添加する。
2)全ての成分が完全に溶解するまで室温にて撹拌する。
3)ショウガ抽出物及びオリザノールのような油性又は粉末状成分を添加する。pHをわずかに酸性(およそ6)であるように予調整する。
4)全ての成分が完全に溶解するまで室温にて撹拌する。
5)ヒアルロン酸ナトリウム、エタノール、スクレロジウムガム、キサンタンガム、メントールを添加して、最終pHを5.3に調整する。
【0191】
[評価]
(感覚評価)
毛髪の房(1g、27cm)を各実験のために用意した。房のそれぞれを、組成物の塗布の前にプレーンシャンプーで洗浄した。プレーンシャンプーの配合率を以下のTable 1(表1)に示す。Table 1(表1)では、全ての成分は、活性原料の「質量%」に基づく。実施例1及び比較例1~3による組成物のそれぞれ0.2gを、各房にブラシを用いて塗布し、続いてブロー乾燥させた。5人の専門パネリストが、「硬さ」、「自然な感覚」及び「滑らかさ」の感覚的態様を評価し、次いでそれらを5つのレベルの尺度(++、+、=、-、--)において「触感」として包括的にレーティングし、比較例1のベンチマーク組成物と比較した。
【0192】
【表1】
【0193】
結果をTable 2(表2)に示す。
【0194】
【表2】
【0195】
Table 2(表2)に示した結果から見られるように、本発明の成分(a)~(c)を含む実施例1による組成物は、改善された感覚特性を毛髪に提供した。
【0196】
対照的に、(b)糖アルコールを含まない比較例1~3による組成物は、感覚特性に関して改善を一切示さなかった。
【0197】
したがって、本発明による化粧用組成物が、頭皮をケアする及び/又はコンディショニングするための化粧用組成物としてきわめて好ましいと結論付けることができる。
【外国語明細書】