(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079078
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】親油性固体活性剤とモノアルコールと親水性増粘剤とを含む頭皮をケアするための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/63 20060101AFI20240604BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240604BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240604BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K8/34
A61K8/73
A61Q5/12
A61K8/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191794
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】イ-ユン・ツァオ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC011
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC422
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD021
4C083AD112
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD491
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD611
4C083AD621
4C083AD641
4C083AD651
4C083AD661
4C083BB21
4C083BB36
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】固体成分を含む、頭皮をケアするための、安定であり油っぽくない組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、頭皮をケアするための安定な組成物であって、(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤と、(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールと、(c)少なくとも1種の親水性増粘剤とを含む、組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭皮をケアするための組成物であって、
(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤と、
(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールと、
(c)少なくとも1種の親水性増粘剤と
を含む、組成物。
【請求項2】
(a)親油性固体活性剤が、有機化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)親油性固体活性剤が、皮膚及び/又は頭皮用の活性剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)親油性固体活性剤が、皮膚及び/又は頭皮用の、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)親油性固体活性剤が、レチノール(ビタミンA)及び誘導体、例えばレチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ-カロテンを含むカロテン、トコフェロール(ビタミンE)及び誘導体、例えば酢酸トコフェリル、ビタミンD類、ビタミンD2、ビタミンD3、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、コエンザイムQ10又はユビキノン、セラミド、有機酸エステル、並びにトコトリエノール、セサミン、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペンを含む化粧及び/又は皮膚科特性を有する不けん化物から選択され、好ましくは(a)粉末状活性剤が、フェルラ酸エチル、オリザノール、特定するとガンマ-オリザノールから選ばれる有機酸エステルから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(c)親水性増粘剤が、糖単位を有する増粘性ポリマーから選ばれる、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(c)親水性増粘剤が、ガムから選ばれる、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(c)親水性増粘剤が、少なくとも2つのタイプの親水性増粘剤を組み合わせて含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)粉末状活性剤が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、更により好ましくは0.2質量%~1質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(b)モノアルコールが、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは3質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~25質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(c)親水性増粘剤が、組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%、より好ましくは0.15質量%~1質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
非エマルション形態、例えば溶液、特定すると水溶液、及びセラムである、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
リーブオンタイプの化粧用組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
油を、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
頭皮をケアする又はコンディショニングするための美容方法であって、頭皮上に、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の親油性固体活性剤と、少なくとも1種のモノアルコールと、少なくとも1種の親水性増粘剤とを含む、頭皮をケアするための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪/頭皮化粧料の分野では、ケア効果を得るために、活性剤が一般に組成物中に含まれる。改善されたケア効果を得るために、固体タイプの活性剤が利用されうる。一般に、固体タイプの活性剤は、安定な配合物を得るために、エマルション化粧料中、例えばクリーム中に配合される。しかしながら、毛髪/頭皮化粧料について、消費者は一般に、油っぽくない配合物を好む。
【0003】
したがって、毛髪/頭皮ケア製品用の化粧用固体成分を含む、安定であり油っぽくない配合物への要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US4131576
【特許文献2】EP503853
【特許文献3】US3,915,921
【特許文献4】US4,509,949
【特許文献5】WO 00/31154
【特許文献6】WO 98/44012
【特許文献7】US-A-5364633
【特許文献8】US-A-5411744
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、固体成分を含む、頭皮をケアするための、安定であり油っぽくない組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記の目的は、頭皮をケアするための組成物であって、
(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤と、
(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールと、
(c)少なくとも1種の親水性増粘剤と
を含む、組成物によって達成されうる。
【0007】
(a)親油性固体活性剤は、有機化合物であってもよい。
【0008】
(a)親油性固体活性剤は、皮膚及び/又は頭皮用の活性剤であってもよい。
【0009】
(a)親油性固体活性剤は、皮膚及び/又は頭皮用の、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択されてもよい。
【0010】
(a)親油性固体活性剤は、レチノール(ビタミンA)及び誘導体、例えばレチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ-カロテンを含むカロテン、トコフェロール(ビタミンE)及び誘導体、例えば酢酸トコフェリル、ビタミンD類、ビタミンD2、ビタミンD3、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、コエンザイムQ10又はユビキノン、セラミド、有機酸エステル、並びにトコトリエノール、セサミン、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペンを含む化粧及び/又は皮膚科特性を有する不けん化物から選択されてもよく、好ましくは(a)粉末状活性剤は、フェルラ酸エチル、オリザノール、特定するとガンマ-オリザノールから選ばれる有機酸エステルから選択される。
【0011】
(c)親水性増粘剤は、ガムから選ぶことができる。
【0012】
(c)親水性増粘剤は、少なくとも2つのタイプの親水性増粘剤を組み合わせて含んでもよい。
【0013】
(a)親油性固体活性剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、更により好ましくは0.2質量%~1質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0014】
(b)モノアルコールは、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは3質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~25質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0015】
親水性増粘剤は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%、より好ましくは0.15質量%~1質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0016】
組成物は、非エマルション形態、例えば溶液、特定すると水溶液、及びセラムであってもよい。
【0017】
組成物は、リーブオンタイプの化粧用組成物であってもよい。
【0018】
組成物は、油を、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で含んでもよい。
【0019】
本発明はまた、頭皮をケアする又はコンディショニングするための美容方法であって、毛髪及び/又は頭皮上に、本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
鋭意検討の結果、本発明者らは、(a)親油性固体活性剤と、(b)モノアルコールと、(c)親水性増粘剤との組み合わせが、それがかなりの量の油を含まない場合であってさえ、組成物に安定性を提供でき、そのため本発明を完了できることを、驚くべきことに発見した。
【0021】
そのため、本発明による頭皮をケアするための組成物は、
(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤と、
(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールと、
(c)少なくとも1種の親水性増粘剤と
を含む。
【0022】
本明細書で以降、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0023】
[組成物]
本発明による頭皮をケアするための組成物は、(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤と、(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールと、(c)少なくとも1種の親水性増粘剤とを含む。
【0024】
本発明による組成物は、頭皮をコンディショニングする及び/又はケアするための組成物として使用することができる。
【0025】
本発明による組成物は、溶液、ゲル、ローション、セラム、サスペンション、分散体、流体、乳液、ペースト、クリーム、発泡体等の多様な形態を取ってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、非エマルション形態、例えば溶液、特定すると水溶液、及びセラムである。
【0026】
本発明に従って使用される組成物は、リーブオン(又はリーブイン)タイプの化粧用組成物として使用されることが好ましくは意図される。用語「リーブオン」は、塗布直後に洗い落とされる/濯ぎ落とされる、又は除去されることが意図されていない組成物を意味する。リーブオン組成物は、ケラチン物質上で使用された後にリンスオフされることが意図されるリンスオフタイプの組成物とは異なる。
【0027】
本発明による組成物中に含まれる成分を、以下に詳細に説明する。
【0028】
(親油性固体活性剤)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤を含む。2種以上の(a)親油性固体活性剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの親油性固体活性剤、又は異なるタイプの親油性固体活性剤の組み合わせを使用することができる。
【0029】
用語「親油性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、油の総質量に対して少なくとも1質量%の濃度で油に可溶性である物質を示す。
【0030】
用語「固体」は、物質が、1気圧下25℃にて固体であることを意味する。
【0031】
(a)親油性固体活性剤は、粉末の形態にあってもよい。
【0032】
本明細書で使用される用語「粉末」は、組成物の媒質に、特定すると水に、不溶性である、任意の形状の粒子を意味するものとして理解されるべきである。
【0033】
(a)親油性固体活性剤は、結晶形(例えば層状、立方晶、六方晶、斜方晶等)にかかわりなく、任意の形状のものであってよく、血小板形状、球状又は長楕円形であってもよい。
【0034】
親油性固体活性剤の平均粒径は限定されないが、一般に、50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。親油性固体活性剤の平均粒径は、0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上であってもよい。本明細書で使用される用語「平均粒径」は、集団の半数に対する統計的粒径分布によって与えられる数平均粒子径を表し、D50と称される。例えば、数平均粒子径は、レーザー回折粒径分布アナライザー、例えばMalvern Corp社によるMastersizer 2000によって測定することができる。
【0035】
(a)親油性固体活性剤は、水不溶性の活性剤であってもよい。
【0036】
用語「水不溶性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水の総質量に対して、0.1質量%未満、特定すると0.01質量%未満の濃度で水に可溶性である物質を示す。
【0037】
(a)親油性固体活性剤は、化粧用及び/又は皮膚科用の活性剤、特定すると皮膚及び/又は頭皮用の活性剤から選択されてもよい。
【0038】
(a)親油性固体活性剤は、皮膚及び/又は頭皮ケア活性剤、例えば皮膚及び/又は頭皮用の、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択されてもよい。
【0039】
詳細には、本発明の(a)親油性固体活性剤は、化粧用及び/又は皮膚科用の、親油性及び/又は水不溶性の活性剤、特定すると、抗老化活性剤、及び抗フリーラジカル特性を有する活性剤、又はフリーラジカル捕捉剤から選択される親油性及び水不溶性の活性剤であってもよい。
【0040】
好ましい一実施形態では、本発明の(a)親油性固体活性剤は、有機化合物を含む。本発明の(a)親油性固体活性剤は、有機化合物であってもよい。
【0041】
(a)親油性固体活性剤を形成する有機化合物の分子量が、150以上、好ましくは300以上、より好ましくは450以上であること、且つ/又は3,000以下、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,000以下であることが好ましい場合がある。
【0042】
(a)親油性固体活性剤を形成する有機化合物の分子量が、150~3,000、好ましくは300~2,000、より好ましくは450~1,000の範囲であることが好ましい場合がある。
【0043】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味しうる。
【0044】
(a)親油性固体活性剤に関して使用されうるのは、レチノール(ビタミンA)及び誘導体、例えばレチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ-カロテンを含むカロテン、トコフェロール(ビタミンE)及び誘導体、例えば酢酸トコフェリル、ビタミンD類、ビタミンD2、ビタミンD3、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、コエンザイムQ10又はユビキノン、セラミド、有機酸エステル、並びにトコトリエノール、セサミン、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペン等の化粧及び/又は皮膚科特性を有する不けん化物である。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、(a)親油性固体活性剤は、有機酸エステルであり、特定すると、式(I):
【0046】
【0047】
[式(I)中、
R1、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子、又はヒドロキシル基、好ましくは水素原子を表し、
R2は、水素原子、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基、好ましくは(C1~C4)アルコキシ基、特にメトキシを表し、
R3は、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基、好ましくはヒドロキシル基を表し、
R6は、
i)(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C4)アルキル、特定すると、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/又はアミド、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つ又は複数の基で任意選択で置換されているメチル又はエチル、
ii)(C1~C10)アルキル、(C2~C10)アルケニル、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/又はアミド、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つ又は複数の基で任意選択で置換されているシクロアルキル、並びに
iii)グリコシル
から選ばれる基を表す]
によって表されるもの、又はその幾何異性体、有機酸若しくは無機酸又はそれらの塩基塩、又はその溶媒和物、特定すると水和物である。
【0048】
(Cx~Cz)アルキル基は、x~z個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。例えば、(C1~C6)アルキル基は、1~6個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。
【0049】
(Cx~Cz)アルケニル基は、x~z個の炭素原子を含み且つ1つ又は複数の共役の又は非共役の不飽和、好ましくは1つのみの不飽和を含む、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。例えば、(C2~C10)アルケニル基は、2~10個の炭素原子を含み且つ1つ又は複数の不飽和を含む、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を表す。
【0050】
(Cx~Cz)アルコキシ基は、-O-(Cx-Cz)アルキル基[式中、(Cx~Cz)アルキル基は、先に定義されたものである]を表す。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、式(I)中、R6は、上に定義した(C1~C6)アルキル基i)を表す。
【0052】
本発明の別の特定の実施形態によれば、式(I)中、R6は、5~7個の炭素原子を含み且つ1つ若しくは複数の(C1~C4)アルキル基で並びに/又はヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/若しくはアミド、好ましくはヒドロキシル及び/若しくはカルボキシルから選ばれる1つ若しくは複数の基で、任意選択で置換されている、飽和又は不飽和の、好ましくは飽和の、非芳香族単環式シクロアルキル基ii)を表す。
【0053】
詳細には、シクロアルキル基は、1~5つのヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基で任意選択で置換されているシクロヘキシルである。詳細には、シクロアルキル基はシクロヘキシルであり、且つヒドロキシル、アミノ、カルボキシル及び/又はアミド、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つ又は複数の基で任意選択で置換されている。より詳細には、シクロアルキル基は、1~5つのヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基で任意選択で置換されているシクロヘキシルである。
【0054】
本発明の別の特定の実施形態によれば、式(I)中、R6は、2つから5つの間の縮合環を好ましくは含み、12~32個の炭素原子を含み、且つ任意選択で置換されている、多環式シクロアルキル基ii)を表し;詳細には、シクロアルキルは、4つから5つの間の縮合環を含む多環式基であり、前記環は、3員、5員又は6員であり、且つ16~20個の炭素原子、なおもより良好には17個又は18個の炭素原子を含有し、前記シクロアルキルは、1つ若しくは複数の直鎖状若しくは分枝状の(C1~C10)アルキル基又は直鎖状若しくは分枝状の(C2~C10)アルケニル基で、任意選択で置換されている。
【0055】
好ましくは、有機酸エステルは、式(I)[式中、
R1、R4及びR5は、水素原子を表し、
R2は、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基、好ましくは(C1~C4)アルコキシ基、特定するとメトキシを表し、
R3は、ヒドロキシル基又は(C1~C6)アルコキシ基を表し、
R6は、i)(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C4)アルキルから選ばれる基、及びまたその幾何異性体、有機酸若しくは無機酸又はそれらの塩基塩、及びそれらの溶媒和物、例えば水和物も表す]
のものである。
【0056】
特に好ましい実施形態によれば、式(I)のエステルは、式(I'):
【0057】
【0058】
[式(I')中、
R6は、上に定義したものであり、
R7は、水素原子又はC1~C6アルキル基を表す]
のものである。
【0059】
一実施形態によれば、有機酸エステルは、より特定すると式(I')[式中、R6は、(C1~C6)アルキル及び好ましくは(C1~C4)アルキル基、好ましくはエチル基を表し、R7は、(C1~C6)アルキル及び好ましくは(C1~C4)アルキル基、好ましくはメチル基を表す]のものであってもよい。
【0060】
この実施形態によれば、フェルラ酸エチルが好ましい。
【0061】
一実施形態によれば、有機酸エステルは、より特定すると式(I')[式中、R6は、1つ又は複数の基で、好ましくはヒドロキシル及び/又はカルボキシルから選ばれる1つから4つの間の基で任意選択で置換されている、5~7個の炭素原子を含む飽和の単環式シクロアルキル基を表し、R7は、水素原子である]のものであってもよい。
【0062】
この実施形態によれば、クロロゲン酸が好ましい。
【0063】
一実施形態によれば、有機酸エステルは、より特定すると、式(I')[式中、R6は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの(C1~C4)アルキル基、好ましくはエチルで、及び少なくとも1つの、好ましくは1つの分枝状の(C8~C10)アルケニル基又は(C8~C10)アルキル基で置換されている、16個から20個の間の炭素原子を含む、3つから5つの間の飽和の縮合環を含む多環式基を表し、R7は、(C1~C6)アルキル基及び好ましくは(C1~C4)アルキル基、好ましくはメチル基である]のものであってもよい。
【0064】
本発明による式(I)及び式(I')の化合物は、天然の化合物又は天然起源の化合物から好ましくは選ばれる。それらは、好ましくは「グリーンな」化合物である。
【0065】
式(I)又は式(I')のエステルの特定の例として挙げることができるのは、フェルラ酸メチル、フェルラ酸エチル、クロロゲン酸、フェルラ酸イソプロピル、又はステロールのフェルラ酸エステル、例えばオリザノール、とりわけガンマ-オリザノールである。別の実施形態によれば、オリザノール、特定するとガンマ-オリザノールが特に好ましい。
【0066】
式(I)及び式(I')の化合物は、当業者に既知の任意の方法を介して得ることができる。
【0067】
例えば、フェルラ酸エステルは、フェルラ酸のエステル化によって得られ、これは、例えば、酵素コーヒー酸-O-メチルトランスフェラーゼを用いたコーヒー酸のメトキシル化を介した生体合成によって、又は例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の濃縮された塩基を用いて、植物抽出物、特定するとコムギ胚芽からの抽出によって、それ自体が得られる。
【0068】
ガンマ-オリザノールは、特に米糠から、有機溶媒を使用した抽出によって得ることができる。
【0069】
式(I)又は式(I')の一定数の化合物がまた市販されており、例としては、築野食品工業株式会社から商品名Oryzanol(商標登録)で入手可能なガンマ-オリザノール、株式会社池田理化からのGamma Oryzanol(商標登録)、又は一丸ファルコス株式会社からのOryzanolgamma V(商標登録)、Gfn Selco社からの参照名Ethyl Ferulate、Natural又はCOSで入手可能なフェルラ酸エチル、またSigma-Aldrich社からも入手可能なもの、及びGuilin Layn Natural Ingredients社による参照名Eucommia Leaves Extract Chlorogenic Acid 98%で入手可能なクロロゲン酸がある。
【0070】
好ましくは、(a)親油性固体活性剤は、フェルラ酸エチル、オリザノール、及び特定するとガンマ-オリザノールから選ばれる有機酸エステルから選択される。
【0071】
(a)親油性固体活性剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上の含有量で存在してもよい。
【0072】
(a)親油性固体活性剤は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の含有量で存在してもよい。
【0073】
(a)親油性固体活性剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、更により好ましくは0.2質量%~1質量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0074】
(モノアルコール)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールを含む。2つ以上のタイプのモノアルコールを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのモノアルコール、又は異なるタイプのモノアルコールの組み合わせを使用することができる。
【0075】
(b)2~6個の炭素原子を有するモノアルコールは、水溶性であってもよい。用語「水溶性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水100mL中に、0.1g以上、0.5g以上、又は1g以上の量で溶解することができるアルコールを意味する。
【0076】
モノアルコールは、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有し、1つのみのヒドロキシル(OH)官能基を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和の又は不飽和のモノアルコールであってもよい。
【0077】
モノアルコールは、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有する、脂肪族モノアルコールであってもよい。
【0078】
用語「脂肪族モノアルコール」は、本明細書では、1つのみのヒドロキシル(OH)官能基を有する、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のアルカン化合物を意味する。
【0079】
本発明の組成物中に存在する脂肪族モノアルコールは、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、及びこれらの混合物から選ぶことができる。
【0080】
本発明の好ましい一実施形態では、モノアルコールは、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有する、直鎖状の脂肪族モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0081】
本発明による組成物中の(b)モノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってもよい。
【0082】
本発明による組成物中の(b)モノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってもよい。
【0083】
本発明による組成物中の(b)モノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは3質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~25質量%であってもよい。
【0084】
(親水性増粘剤)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の親水性増粘剤を含む。2つ以上のタイプの親水性増粘剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの親水性増粘剤、又は異なるタイプの親水性増粘剤の組み合わせを使用することができる。
【0085】
用語「親水性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水の総質量に対して1質量%以上の濃度で水に可溶性である物質を意味する。
【0086】
親水性増粘剤は、優先的には、糖単位を有する増粘性ポリマー、例えば糖単位を有する非会合性増粘性ポリマー、糖単位を有していない非会合性増粘性ポリマー、会合性増粘性ポリマー、及びこれらの化合物の混合物から選ばれる。
【0087】
本発明の目的のために、用語「糖単位」は、いくつかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味する。
【0088】
糖単位は、置換によって、及び/又は酸化によって、及び/又は脱水によって、任意選択で変性されてもよい。
【0089】
本発明の親水性増粘性ポリマーの組成物に含まれていてもよい糖単位は、好ましくは、以下の糖に由来する:グルコース、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、マンノース、キシロース、フコース、無水ガラクトース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、硫酸ガラクトース、硫酸無水ガラクトース及びフルクトース。
【0090】
増粘剤は多糖から選択されることが好ましい。
【0091】
特に挙げることができる、糖単位を有する増粘性ポリマーとしては、以下のような天然ガムである:
a)以下のものを含む、高木又は低木の滲出液:
- アラビアガム(ガラクトース、アラビノース、ラムノース及びグルクロン酸の分枝状ポリマー)、
- ガッチガム(アラビノース、ガラクトース、マンノース、キシロース及びグルクロン酸由来のポリマー)、
- カラヤガム(ガラクツロン酸、ガラクトース、ラムノース及びグルクロン酸由来のポリマー)、
- トラガカントガム(又はトラガカント)(ガラクツロン酸、ガラクトース、フコース、キシロース及びアラビノースのポリマー)、
b)以下のものを含む、藻類から得られたガム:
- 寒天(ガラクトース及び無水ガラクトース由来のポリマー)、
- アルギネート(マンヌロン酸及びグルクロン酸のポリマー)、
- カラゲナン及びフルセレラン(硫酸ガラクトース及び硫酸無水ガラクトースのポリマー)、
c)以下のものを含む、種子又は塊茎から得られるガム:
- グアーガム(マンノース及びガラクトースのポリマー)、
- ローカストビーンガム(マンノース及びガラクトースのポリマー)、
- コロハガム(マンノース及びガラクトースのポリマー)、
- タマリンドガム(ガラクトース、キシロース及びグルコースのポリマー)、
- コンニャクガム(グルコース及びマンノースのポリマー)、
d)以下のものを含む微生物ガム、
- キサンタンガム(グルコース、酢酸マンノース、マンノース/ピルビン酸及びグルクロン酸のポリマー)、
- ゲランガム(部分的アシル化グルコース、ラムノース及びグルクロン酸のポリマー)、
- スクレログルカンガム(グルコースポリマー)、
e)以下のものを含む植物抽出物:
- セルロース(グルコースポリマー)、
- デンプン(グルコースポリマー)並びに
- イヌリン。
【0092】
これらのポリマーは、物理的又は化学的に変性されうる。物理的処理として、特に温度を挙げることができる。
【0093】
挙げることができる化学的処理には、エステル化、エーテル化、アミド化及び酸化反応がある。これらの処理は、特に、非イオン性、アニオン性又は両性でありうるポリマーへと至らせることができる。
【0094】
好ましくは、糖単位を有する増粘性ポリマーは、化学的に又は物理的に処理されない。
【0095】
本発明に従って使用されうる非イオン性グアーガムは、C1~C6(ポリ)ヒドロキシアルキル基で変性されうる。
【0096】
C1~C6(ポリ)ヒドロキシアルキル基の中で挙げることができるのは、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルの各基である。
【0097】
これらのグアーガムは、従来技術において周知であり、例えば、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、相当するアルケンオキシド、例としてはプロピレンオキシドをグアーガムと反応させることによって調製することができる。
【0098】
ヒドロキシアルキル化度は、好ましくは0.4~1.2で多様であり、グアーガムに存在する遊離ヒドロキシル官能基の数によって消費されたアルキレンオキシド分子の数に相当する。
【0099】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodia Chimie社により商品名Jaguar HP8、Jaguar HP60及びJaguar HP120で販売されている。
【0100】
使用されうるデンプンの中で挙げることができるのは、例えば、無水グルコース単位であるベース単位を含むポリマーの形態にある高分子である。これらの単位の数及びこれらのアセンブリは、アミロース(直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(分枝状ポリマー)とを区別することを可能にする。アミロースとアミロペクチンの相対的比率、並びにそれらの重合度は、デンプンの植物起源に応じて多様でありうる。
【0101】
本発明において使用されうるデンプン分子の植物起源は、穀物又は塊茎であってもよい。そのため、デンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、コメデンプン、キャッサバデンプン、オオムギデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、ソルガムデンプン及びエンドウデンプンから選ばれる。
【0102】
デンプンは、詳細には次の反応のうちの1つ又は複数によって化学的に又は物理的変性されうる:アルファ化、酸化、架橋、エステル化、エーテル化、アミド化、加熱処理。
【0103】
リン酸二デンプン、又はリン酸二デンプンに富む化合物が、優先的に使用されることになり、例としては、Avebe社により参照名Prejel VA-70-T AGGL(ゼラチン化されたリン酸ヒドロキシプロピルキャッサバ二デンプン)、Prejel TK1(ゼラチン化されたリン酸キャッサバ二デンプン)及びPrejel 200(ゼラチン化されたリン酸アセチルキャッサバ二デンプン)で、又はNational Starch社から参照名Structure Zea(ゼラチン化されたリン酸トウモロコシ二デンプン)で販売されている製品である。
【0104】
本発明によれば、両性デンプンをまた使用することもでき、これらの両性デンプンは、1つ又は複数のアニオン性基及び1つ又は複数のカチオン性基を含む。アニオン性基及びカチオン性基は、デンプン分子の同じ反応部位に結合されてもよく、異なる反応部位に結合されてもよく、それらは、好ましくは、同じ反応部位に結合される。アニオン性基は、カルボン酸、リン酸又は硫酸のタイプのもの、好ましくはカルボン酸のものであってもよい。カチオン性基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミンのタイプのものであってもよい。
【0105】
デンプン分子は、具体的にはトウモロコシ、ジャガイモ、カラスムギ、コメ、タピオカ、ソルガム、オオムギ又はコムギ等の任意の植物デンプン源に由来してもよい。上に挙げられたデンプンの加水分解物を使用することもまた可能である。デンプンは、好ましくは、ジャガイモに由来する。
【0106】
デンプンは、任意選択でC1~C6ヒドロキシアルキル化されていてもよく、又はC1~C6アシル化(例えばアセチル化)されていてもよい。デンプンはまた、加熱処理を受けていてもよい。
【0107】
本発明の非会合性増粘性ポリマーは、それらの構造中にC10~C30脂肪鎖を含まない、セルロース系ポリマーであってもよい。
【0108】
本発明によれば、用語「セルロース系ポリマー」は、その構造中にβ-1,4結合を介して一緒に結合されたグルコース残基の配列を有する任意の多糖化合物を意味し、非置換セルロースに加えて、セルロース誘導体は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性でありうる。
【0109】
そのため、本発明に従って使用されうるセルロースポリマーは、微晶質形態にあるものを含む非置換セルロース、及びセルロースエーテルから選ぶことができる。
【0110】
これらのセルロース系ポリマーの中でも、セルロースエーテル、セルロースエステル及びセルロースエステルエーテルがよく知られている。
【0111】
セルロースエステルの中では、セルロースの無機エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等)、有機セルロースエステル(一酢酸セルロース、三酢酸セルロース、アミドプロピオン酸セルロース、酢酸ブチル酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース及び酢酸トリメリット酸セルロース等)、及びセルロースの有機/無機混合エステル、例えば硫酸酢酸ブチル酸セルロース及び硫酸酢酸プロピオン酸セルロースである。セルロースエステルエーテルの中で挙げることができるのは、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び硫酸エチルセルロースである。
【0112】
C10~C30脂肪鎖を含まない、すなわち「非会合性」である、非イオン性セルロースエーテルの中で挙げることができるのは、(C1~C4)アルキルセルロース、例えばメチルセルロース及びエチルセルロース(例えばDow Chemical社製のEthocel standard 100 Premium);(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(例えばAqualon社により供給されているNatrosol 250 HHR)及びヒドロキシプロピルセルロース(例えばAqualon社製のKlucel EF);(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキル(C1~C4)アルキル混合セルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばDow Chemical社製のMethocel E4M);ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース(例えばAkzo Nobel社製のBermocoll E 481 FQ)及びヒドロキシブチルメチルセルロースである。
【0113】
脂肪鎖を有していないアニオン性セルロースエーテルの中で挙げることができるのは、(ポリ)カルボキシ(C1~C4)アルキルセルロース及びそれらの塩である。例として挙げることができるのは、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース(例えばAqualon社製のBlanose 7M)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらのナトリウム塩である。
【0114】
脂肪鎖を有していないカチオン性セルロースエーテルの中で挙げることができるのは、カチオン性セルロース誘導体、例えば水溶性第四級アンモニウムモノマーでグラフトされ、且つ詳細にはUS4131576に記載されている、セルロースコポリマー又はセルロース誘導体、例えば、特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキルセルロース、例としてはヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロースである。この定義に相当する市販製品は、より具体的には、National Starch社により名称Celquat L 200(登録商標)及びCelquat H 100(登録商標)で販売されている製品である。
【0115】
グアーガムに存在する遊離ヒドロキシ官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当するヒドロキシアルキル化度は、例えば0.4~1.2の範囲であってもよい。
【0116】
本発明に従って使用されうる糖単位を有していない非会合性増粘性ポリマーの中で挙げることができるのは、単独で又はこれらの混合物で、架橋アクリル酸若しくはメタクリル酸ホモポリマー又はコポリマー、架橋2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋アクリルアミドコポリマー、アクリル酸アンモニウムホモポリマー、又はアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドのコポリマーである。
【0117】
使用に好適である非会合性増粘性ポリマーの第1のファミリーは、架橋アクリル酸ホモポリマーによって代表される。
【0118】
非会合性増粘性ポリマーはまた、架橋(メタ)アクリル酸コポリマー、例えばNoveon社により名称Aqua SF1で販売されているポリマーであってもよい。
【0119】
非会合性増粘性ポリマーは、架橋2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋アクリルアミドコポリマーから選ぶことができる。
【0120】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドとの、部分的に又は完全に中和された架橋コポリマーの中で特に挙げることができるのは、特許出願EP503853の実施例1に記載されている生成物であり、これらのポリマーに関して前記文献を参照することができる。
【0121】
組成物は、非会合性増粘性ポリマーとして、アクリル酸アンモニウムのホモポリマー、又はアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマーも同様に含んでもよい。
【0122】
また使用することができるのは、アクリルタイプのカチオン性増粘性ポリマーである。
【0123】
親水性増粘性ポリマーの中で挙げることができるのは、当業者に周知であり且つ特に非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の性質の会合性ポリマーである。
【0124】
会合性ポリマーが、水性媒体中で、互いに又は他の分子と可逆的に会合することができるポリマーであることを想起されたい。
【0125】
それらの化学構造は、より詳細には、少なくとも1つの親水性領域及び少なくとも1つの疎水性領域を含む。
【0126】
用語「疎水性基」は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特定すると12~30個の炭素原子、より優先的には18~30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0127】
好ましくは、炭化水素系基は、単官能性化合物に由来する。例として、疎水基は、ステアリルアルコール、ドデシルアルコール又はデシルアルコール等の脂肪アルコールに由来しうる。これはまた、炭化水素系ポリマー、例としてはポリブタジエンを示してもよい。
【0128】
挙げることができるアニオン性タイプの会合性ポリマーの中には以下がある:
- (a)少なくとも1個の親水性単位及び少なくとも1個の脂肪-鎖アリルエーテル単位を含むもの、より特定するとその親水性単位がエチレン性不飽和アニオン性モノマー、より特定するとビニルカルボン酸、最も特定するとアクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの混合物により構成されるもの。
これらのアニオン性会合性ポリマーの中で本発明に従って特に好ましいものは、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級アルキル(メタ)アクリレート、2質量%~50質量%の脂肪鎖アリルエーテル、及び0質量%~1質量%の架橋剤から形成されるポリマーであり、これは周知の共重合性不飽和ポリエチレン性モノマー、例としてはフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール又はメチレンビスアクリルアミドである。
後者のポリマーの中で特に最も好ましいものは、メタクリル酸とアクリル酸エチルとポリエチレングリコール(10OE)ステアリルアルコールエーテル(ステアレス-10)との架橋ターポリマー、特にCIBA社により名称Salcare SC80(登録商標)及びSalcare SC90(登録商標)で販売されているものであり、これらは、メタクリル酸とアクリル酸エチルとステアレス-10アリルエーテルとの架橋ターポリマー(40/50/10)の水性30%エマルションである。
- (b)i)不飽和オレフィンカルボン酸タイプのうちの少なくとも1個の親水性単位、及びii)不飽和カルボン酸タイプの(C10~C30)アルキルエステルのうち少なくとも1個の疎水性単位を含むもの。
本発明において有用である不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルは、例えば、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、並びにその対応するメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルを含む。
【0129】
このタイプのアニオン性ポリマーは、例えば、特許US3,915,921及びUS4,509,949により説明され調製されている。
【0130】
スルホン基を有するエチレン性不飽和モノマーは、特に、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、N-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えばウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸、及びまたそれらの部分的に又は完全に中和された形態、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0131】
(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例としてはアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、及びまたこれらの部分的又は完全に中和された形態が、より優先的に使用される。
【0132】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、及びまたその部分的に又は完全に中和された形態が、より特に使用される。
【0133】
このファミリーのポリマーは、C6~C22 n-モノアルキルアミン又はジ-n-アルキルアミンとの反応によって変性されたランダム両親媒性AMPSポリマー、及び特許出願WO 00/31154に記載されているもの等から特に選ぶことができる。これらのポリマーはまた、例えば、(メタ)アクリル酸、これらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール若しくはモノ-若しくはポリアルキレングリコールで得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸、又はマレイン酸、又はこれらの化合物の混合物から選ばれる、他のエチレン性不飽和親水性モノマーも含有してもよい。
【0134】
このファミリーの好ましいポリマーは、AMPS及び少なくとも1種のエチレン性不飽和疎水性モノマーの両親媒性コポリマーから選ばれる。
【0135】
これらの同じコポリマーはまた、脂肪鎖を含まない1種又は複数のエチレン性不飽和モノマーも含有してもよく、例えば(メタ)アクリル酸、それらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール若しくはモノ-若しくはポリアルキレングリコールで得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸若しくはマレイン酸、又はこれらの化合物の混合物である。
【0136】
本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーとして、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリル-アミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレート又はクロリドターポリマーが、特に使用される。
【0137】
両性会合性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1個の非環状カチオン性単位を含むものから選ばれる。更により特定すると、モノマーの総モル数に対して、1~20mol%、好ましくは1.5~15mol%、更により特定すると1.5~6mol%の脂肪鎖モノマーから調製されたもの又はそれを含むものが好ましい。
【0138】
本発明による両性会合性ポリマーは、例えば、特許出願WO98/44012において説明され調製されている。
【0139】
本発明による両性会合性ポリマーの中で好ましいものは、アクリル酸/(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/メタクリル酸ステアリルターポリマーである。
【0140】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックによって分離された、6~30個の炭素原子を含有する、少なくとも2つのタイプの炭化水素系の親油性鎖を含み、炭化水素系鎖は、側鎖又は親水性ブロックの末端鎖となることもある。特に、1つ又は複数の側鎖が想定されることが可能である。加えて、ポリマーは、親水性ブロックの一方の末端又は両方の末端に炭化水素系鎖を含んでもよい。
【0141】
ポリウレタンポリエーテルは、マルチブロック、特定するとトリブロックの形態であってもよい。疎水性ブロックは、鎖の各末端にあってもよく(例えば、親水性の中央ブロックを有するトリブロックコポリマー)、又は末端及び鎖中の両方に分布されていてもよい(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同じポリマーはまた、グラフトポリマーであっても星型ポリマーであってもよい。
【0142】
非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルは、トリブロックコポリマーであってもよく、その親水性ブロックは、50~1000のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン鎖である。非イオン性ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロック間でウレタン結合を含み、それゆえ、この名称の起源となっている。
【0143】
拡大解釈すると、非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの中でやはり含まれるのは、そこで親水性ブロックが他の化学結合を介して親油性ブロックに結合されるものである。
【0144】
更により特に好ましいのは、(i)150~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコール、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコール、及び(iii)少なくとも1種のジイソシアネートを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができるポリウレタンポリエーテルを使用することである。
【0145】
好ましくは、親水性増粘剤は、糖単位を有するポリマーから選ばれる。より好ましくは、親水性増粘剤は、天然ガムから選択される。更により好ましくは、親水性増粘剤は、微生物ガム、例えばキサンタンガム、ゲランガム及びスクレログルカンガムから選ばれる。
【0146】
本発明の別の好ましい実施形態では、親水性増粘剤は、少なくとも2つのタイプの親水性増粘剤を組み合わせて含む。より好ましい実施形態では、親水性増粘剤は、糖単位を有するポリマーから、優先的には天然ガムから、より優先的には微生物ガム、例えばキサンタンガム、ゲランガム及びスクレログルカンガムから選択される少なくとも2つのタイプの親水性増粘剤を含む。
【0147】
第1の組成物中の親水性増粘剤の量は、第1の組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0148】
本発明による組成物中の(c)親水性増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上であってもよい。
【0149】
本発明による組成物中の(c)親水性増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0150】
本発明による組成物中の(c)親水性増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%、より好ましくは0.15質量%~1質量%であってもよい。
【0151】
(他の成分)
- 糖アルコール
本発明による組成物は、少なくとも1種の糖アルコールを含んでもよい。2つ以上のタイプの糖アルコールを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの糖アルコール、又は異なるタイプの糖アルコールの組み合わせを使用することができる。
【0152】
糖アルコールは、糖の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる化合物である。
【0153】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、糖アルコール、及び糖から還元されたその混合物、その誘導体、及びそれらの混合物から選択することができる。糖、その誘導体、又はそれらの混合物は、非置換であってもよく、又はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置換されてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、単糖及び/又は二糖、三糖、並びにこれらの混合物に由来しうる。
【0155】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、例えば、リブロース、キシロース、リボース、アラビノース、リキソース及びデオキシリボース等のペントース、アルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、フコース、フクロース及びラムノース等のヘキソース、並びにセドヘプツロース等のヘプトースから選択される単糖に由来しうる。単糖に由来する糖アルコールはまた、この文脈では、単糖の糖アルコールとも称される。
【0156】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、二糖、例えばスクロース、ラクトース、マルトース及びトレハロースに由来しうる。二糖に由来する糖アルコールはまた、この文脈では、二糖の糖アルコールとも称される。
【0157】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、三糖、例えばマルトトリオース、セロトリオース、2'-フコシルラクトース、ゲンチアノース、ラフィノース及びメリシトースに由来しうる。
【0158】
いくつかの好ましい実施形態では、糖アルコールは、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びこれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0159】
別の好ましい実施形態では、糖アルコールは、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、アラビトール、ソルビトール、及びこれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0160】
本発明の好ましい一実施形態では、糖アルコールは、少なくとも1種の単糖の糖アルコールを含む。
【0161】
本発明の好ましい一実施形態では、糖アルコールは、少なくとも1種の二糖の糖アルコールを含む。
【0162】
本発明の好ましい一実施形態では、糖アルコールは、少なくとも2つのタイプの糖アルコールを含む。
【0163】
本発明の別の好ましい実施形態では、(b)糖アルコールは、少なくとも1種の単糖の糖アルコール、例えばエリスリトール、マンニトール及びソルビトール、並びに少なくとも1種の二糖の糖アルコール、例えばマルチトールとラクチトールとを組み合わせて含む。
【0164】
本発明による組成物中の糖アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~3質量%、好ましくは0.1質量%~2質量%、より好ましくは0.2質量%~1質量%であってもよい。
【0165】
- ポリオール
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを含んでもよい。2種以上のポリオールを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのポリオール、又は異なるタイプのポリオールの組み合わせを使用することができる。
【0166】
本発明の目的のために、用語「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。
【0167】
本発明における使用に好適であるポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基を有する、直鎖状、分枝状又は環状の、飽和又は不飽和のアルキルタイプの化合物であってもよい。
【0168】
好ましくは、本発明による組成物中で使用されうるポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、好ましくは2~5つの-OH官能基、より好ましくは2~4つの-OH官能基、更により好ましくは2つ又は3つの-OH官能基を有する、直鎖状又は分枝状の、好ましくは直鎖状のアルキルタイプの化合物である。
【0169】
本発明による化粧用組成物を配合するのに有利にも好適であるポリオールは、特に2~8個の炭素原子、例えば3~6個の炭素原子を有するものである。
【0170】
本発明に従って使用されうるポリオールは、3~8個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、好ましくは直鎖状のポリオールから選ばれ、特に挙げることができるのは以下である:
- ジオール、例えばヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール、並びに
- トリオール、例えばグリセロール(グリセリン)、
並びにこれらの混合物。
【0171】
本発明による組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~3質量%であってもよい。
【0172】
- 非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0173】
非イオン性界面活性剤は、3.0~7.0、好ましくは3.5~6.0、より好ましくは4.0~5.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有してもよい。或いは、非イオン性界面活性剤は、11~17、好ましくは12~16、より好ましくは13~15のHLB値を有してもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、HLB値は、全ての非イオン性界面活性剤のHLB値の秤量された平均により決定される。
【0174】
非イオン性界面活性剤は、以下から選ぶことができる:
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選ばれる界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル、及び糖の脂肪アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪エステル、及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、及びオキシアルキレン化脂肪エステルから選ばれる界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物。
【0175】
界面活性剤(1)は、45℃以下の温度にて流体であってもよい。
【0176】
界面活性剤(1)は、詳細には以下であってもよい:
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪酸と、2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールとの、ポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化(PEGylated))アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6 カプリル酸/カプリン酸 グリセリド、PEG-7 カプリル酸/カプリン酸 グリセリド、及びPEG-7グリセリルココエート、
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪アルコールと、2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドとの、ポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物。
【0177】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロール、更により好ましくは4~6個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0178】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選ぶことができる。
【0179】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテル、好ましくはポリオキシエチレン化脂肪エーテルは、2~60個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位を含んでもよい。エーテルの脂肪鎖は、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エーテルの例は、2個、3個、4個及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4及びラウレス-5)、例えば、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-2で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 703で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称EMALEX 705で販売されている製品である。更に挙げることができるのは、例えば、2個、3個、4個、5個及び20個のエチレンオキシド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4、ステアレス-5及びステアレス-20)、例えば、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 602で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 603で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BS-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 605で販売されている製品である。
【0180】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテルが、C8~C24脂肪アルコール又はアルコールと、それらのポリオキシアルキレン化誘導体のポリエチレングリコールエーテル、並びにC4~C24脂肪アルコール又はアルコールのポリプロピレングリコールエーテル、例えばPPG-14ブチルエーテル及びPPG-15ステアリルエーテルであることもまた好ましい。
【0181】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル鎖又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪アルコールと、α-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸の、グリセロールとの混合エステルを含む群から特に選ぶことができる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってもよい。
【0182】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルに由来する脂肪酸又は脂肪アルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。それらは、特に、ステアリン酸エステル、イソステアリン酸エステル、リノール酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カプリン酸エステル、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリルの各鎖、及びこれらの混合物であってもよい。
【0183】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルの例として挙げることができるのは、Huls社により名称Imwitor 375で販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル);Huls社により名称Imwitor 780 Kで販売されている、コハク酸及びイソステアリルアルコールの、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:コハク酸イソステアリルジグリセリル);Huls社により名称Imwitor 370で販売されている、クエン酸及びステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:クエン酸ステアリン酸グリセリル);Danisco社により名称Lactodan B30又はRylo LA30で販売されている、乳酸及びステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:乳酸ステアリン酸グリセリル)である。
【0184】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪酸エステルは、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、並びにC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選ぶことができる。
【0185】
本発明において使用されうるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。エステルの脂肪単位は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル及びカプリン酸エステル、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアリン酸エステルが使用されることが好ましい。
【0186】
上記の非イオン界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪アルコールエーテルは、45℃以下の温度にて固体であり得、且つC8~C22脂肪アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、並びにC14~C22脂肪アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から特に選ぶことができる。これらは、特定するとアルキルポリグルコシドである。
【0187】
本発明のナノエマルション中で使用されうるエーテルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪アルコールは、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。該エーテルの脂肪単位は、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。
【0188】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選ぶことができる。これらは、それぞれ16~22個の炭素原子を含有する少なくとも1つの飽和の直鎖状のアルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトールから又はエトキシル化ソルビトールから形成されうる。オキシエチレン化エステルは、一般に、1~100個のエチレングリコール単位、好ましくは2~40個のエチレンオキシド(EO)単位を含んでもよい。
【0189】
これらのエステルは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル、パルミチン酸エステル、及びこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアリン酸エステル及びパルミチン酸エステルを使用することが好ましい。
【0190】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)オキシアルキレン化脂肪エステル、好ましくはエトキシル化脂肪エステルは、1~100個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪酸鎖とから形成されたエステルであってもよい。該エステル中の脂肪鎖は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル及びパルミチン酸エステルの各単位、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エステルの例は、40個のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸のエステル、例えばICI社により名称Myrj 52(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)で販売されている製品、並びに8個のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸のエステル(CTFA名:ベヘン酸PEG-8)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0191】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマーは、特に、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
[式中、x、y及びzは、x+zが2~100の範囲であり、yが14~60の範囲であるような整数である]
のブロックコポリマー、及びそれらの混合物から選ぶことができ、より特定すると、8.0~14.0の範囲のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから選ぶことができる。
【0192】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、以下からなる群から選択されてもよい:
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4630で販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4612で販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばNOF Corporation社からUNILUBE 50MT-2200Bで販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4620で販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-31で販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-41で販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-33で販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-34で販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばCroda Inc.社からProcetyl AWSで販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-44で販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 EO)(23 PO)、例えばポーラ化成工業株式会社からUnisafe 34S-23で販売されているもの。これらは、比較的短時間のうちに組成物の温度が上下する場合であっても、長時間にわたり安定性を伴う組成物を提供することができる。
【0193】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(7)シリコーン界面活性剤として挙げることができるのは、文献US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されているものである。
【0194】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I):
【0195】
【0196】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1基、R2基又はR3基は、アルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但し条件としてAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは、0~5の範囲の整数である]
の化合物であってもよい。
【0197】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0198】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0199】
【0200】
[式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である]
の化合物である。
【0201】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、また挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
[式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である]
の化合物である。
【0202】
非イオン性界面活性剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~7質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の量で存在してもよい。
【0203】
- アミノ酸
本発明による組成物は、少なくとも1種のアミノ酸を含んでもよい。2つ以上のタイプのアミノ酸を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアミノ酸、又は異なるタイプのアミノ酸の組み合わせを使用することができる。アミノ酸は、類似体、溶媒和物、水和物、立体異性体、及びそれらの塩を含んでもよい。
【0204】
アミノ酸は、少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つのカルボキシル基を有する。アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基又は第三級アミノ基であってもよい。
【0205】
アミノ酸は、D形態であってもL形態であってもよい。
【0206】
アミノ酸は、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、及びこれらの混合物から選択されてもよい。酸性アミノ酸は、典型的には、1つのアミノ基と2つのカルボキシル基とを有する。酸性アミノ酸には、グルタミン酸及びアスパラギン酸が挙げられうる。塩基性アミノ酸は、典型的には、2つのアミノ基と1つのカルボキシル基とを有する。塩基性アミノ酸には、アルギニン、リジン、ヒスチジン及びオルチニンが挙げられうる。中性アミノ酸中のアミノ基の数とカルボキシル基の数とは、同一である。中性アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが挙げられうる。いくつかの好ましい実施形態では、アミノ酸は、塩基性アミノ酸、及びこれらの混合物から選択されてもよい。特に好ましい実施形態では、アミノ酸は、アルギニンであってもよい。
【0207】
アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸及びδ-アミノ酸から選択されてもよい。α-アミノ酸は、非環状α-アミノ酸及び環状α-アミノ酸から選択されてもよい。非環状α-アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群から選択されてもよい。環状α-アミノ酸は、非芳香族環状α-アミノ酸、例えばピロリドンカルボン酸(ピログルタミン酸又はピドロ酸)から選択されてもよい。ピロリドンカルボン酸は、グルタミン酸のアミノ基とカルボキシル基との分子間縮合によって形成されうる。
【0208】
いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の誘導体から選択されてもよい。アミノ酸の誘導体(アミノ酸誘導体)は、そこでアミノ酸中のアミノ基の窒素原子上の水素原子が少なくとも1つの置換基で置換されているアミノ酸から選択されてもよい。
【0209】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アシル基、アルケニル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基である。
【0210】
アルキル基は、直鎖状の、分枝状の又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってもよい。その一方で、アルキル基は、環状のC3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってもよい。
【0211】
アシル基は、C1~C6アシル基、例えばホルミル基及びアセチル基であってもよい。
【0212】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってもよい。
【0213】
アルコキシ基は、C1~C6アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基であってもよい。
【0214】
アルコキシカルボニル基は、C1~C6アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基であってもよい。
【0215】
上記の置換基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1つの基で、並びにフェニル基等の芳香族基で、更に置換されうる。
【0216】
一実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩から選択されてもよい。
【0217】
アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は、酸性塩であっても塩基性塩であってもよい。酸性塩として挙げることができるのは、例えば、無機酸塩、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、並びに有機酸塩、例えば、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩である。塩基性塩として挙げることができるのは、例えば、無機塩基性塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩、並びに有機塩基性塩、例えば、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩及びジイソプロピルアンモニウム塩である。
【0218】
アミノ酸は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.03質量%~3質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%の量で存在してもよい。
【0219】
- 水
本発明による組成物は、好ましくは水を含む。
【0220】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってもよく、且つ/又は95質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよい。
【0221】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%~95質量%、好ましくは50質量%~85質量%、より好ましくは60質量%~80質量%であってもよい。
【0222】
- 添加剤
本発明による組成物は、化粧料及び皮膚科の分野において一般的であるアジュバントのうちの1種又は複数を更に含んでもよく、これらは、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤;カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性若しくは双性イオン性ポリマー、又はこれらの混合物;ゲル化剤;浸透剤;pH調整剤、例えば水酸化ナトリウム;抗フケ剤;抗酸化剤;保湿剤、例えばヒアルロン酸ナトリウム;皮膚軟化剤;親水性活性剤;フリーラジカル捕捉剤;金属イオン封鎖剤、例えばグルコノラクトン;懸濁剤;緩衝剤;芳香剤;皮膚軟化剤;分散剤;染料及び/又は顔料;成膜剤;安定化剤;保存剤;共保存剤;不透明化剤;冷感を引き起こすことができる作用剤、例えばメントール;並びにこれらの混合物から選択される。
【0223】
本発明による組成物は、スイレン科植物からの抽出物、例えばニムファエア・アルバ(Nymphaea alba)の根の抽出物又はショウガの根の抽出物等の植物抽出物を更に含んでもよい。
【0224】
スイレン科植物からの抽出物の量は、組成物の総質量に対して、0.0001質量%~1質量%、好ましくは0.0005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.001質量%~0.1質量%、更により好ましくは0.001質量%~0.05質量%、又は特定すると0.001質量%~0.01質量%の範囲であってもよい。
【0225】
親水性活性成分として挙げることができるのは、ビタミンB3及び誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、C-グリコシド誘導体、サリチル酸及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、ナイアシンアミド、並びにこれらの混合物である。
【0226】
本発明による組成物中に含まれる添加剤の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して0.01~30質量%であってもよい。
【0227】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、油を含まない、又は微量の油を含む。いくつかの実施形態では、油は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で存在してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、油を含まない(すなわち、組成物の総質量に対して0質量%)。
【0228】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料中で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0229】
油には、揮発性油又は非揮発性油を挙げることができ、これらの油は、特に動物又は植物起源の炭化水素系油、合成油、シリコーン油、フルオロ油、又はこれらの混合物であってもよい。油は、エステル油、脂肪アルコール、及びこれらの組み合わせから選ぶことができる。
【0230】
本発明の目的のために、「炭化水素系油」又は「炭化水素油」は、主に水素原子及び炭素原子、並びに任意選択で酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を含有する油を意味すると意図される。炭化水素系油は、ケイ素原子を一切含まない。
【0231】
本発明の目的のために、「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む、油、例えばジメチコンを意味すると意図される。
【0232】
本発明による組成物のpHは、一般に、例えば、2~7、好ましくは3~7、より好ましくは4~6であってもよい。
【0233】
本発明による組成物は、当技術分野における通常の技術を通じて、例えば、成分(a)~(c)を混合することによって、製造することができる。前記の他の成分を、これらの成分と混合することができる。これらの成分を混合している間、必要であれば、それらを加熱することができる。
【0234】
[美容方法及び使用]
本発明は、頭皮をケアする又はコンディショニングするための美容方法であって、頭皮に、本発明による組成物を塗布することを含む、美容方法に関する。
【0235】
美容方法は、本明細書では、ケラチン物質をケアする及び/又はコンディショニングするための非治療的美容方法を意味する。
【0236】
塗布の工程は、アプリケータ、例えば手、スプレー及びブラシ等の任意の従来の手段によって実施することができる。塗布の工程は、局所の塗布の工程とすることができる。
【0237】
本発明による組成物は、リーブオンタイプの化粧用組成物として使用されることが意図される。したがって、本発明による美容方法は、塗布の工程後の、塗布された組成物の濯ぎ落とし又は洗い落としの工程を含まない。本発明の一実施形態では、本発明の美容方法は、塗布の工程後の1時間以内、好ましくは2時間以内、より好ましくは4時間以内、更により好ましくは8時間以内の、塗布された組成物の濯ぎ落とし又は洗い落としの工程を含まない。
【0238】
その上、本発明はまた、本発明による組成物の、化粧料の分野における、特定すると頭皮をケアする及び/又はコンディショニングすることにおける、使用にも関する。
【0239】
本発明はまた、(b)モノアルコール及び(c)親水性増粘剤の、(a)親油性固体活性剤を含む組成物を安定化するための、使用にも関する。組成物は、油を、組成物の総質量に対して、0質量%~5質量%、好ましくは0質量%~0.5質量%、より好ましくは0質量%~0.1質量%の範囲の量で含んでもよく、又は組成物は、油を含まなくてもよい。
【0240】
本発明の組成物中に、(a)少なくとも1種の親油性固体活性剤と、(b)少なくとも1種の2~6個の炭素原子を有するモノアルコールと、(c)少なくとも1種の親水性増粘剤とを含む組成物のために付与されている説明と同じ説明を、本発明による方法及び使用のための説明にも当てはめることができる。本発明による方法及び使用において使用される組成物は、本発明による組成物のために上に説明された任意選択の成分のうちの任意のものを含んでもよい。
【実施例0241】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0242】
[組成物]
実施例1~4及び比較例1~3による組成物を、以下のプロトコルに従って調製した。配合率を以下のTable 1(表1)に示す。オリザノールは築野食品工業株式会社から得られ、これは、名称「Gamma Oryzanol」で販売されている。Table 1(表1)では、全ての成分は、活性原料の「質量%」に基づく。
【0243】
[調製プロトコル]
1)存在する場合、カプリン酸ポリグリセリル-4、ニムファエア・アルバ抽出物、プロピレングリコール、アルギニン及び糖化合物等の水溶性成分を、水に添加する
2)全ての成分が完全に溶解するまで室温にて撹拌する。
3)ショウガ抽出物及びオリザノールのような油性又は固体成分を添加する。pHをわずかに酸性(およそ6)であるように予調整する
4)全ての成分が完全に溶解するまで室温にて撹拌する
5)ヒアルロン酸ナトリウム、エタノール、スクレロジウムガム、キサンタンガム、メントールを添加して、最終pHを5.3に調整する。
【0244】
[評価]
(安定性)
実施例1~4及び比較例1~3による組成物のそれぞれ10gを、2か月間、異なる温度、すなわち4℃、25℃、37℃又は45℃に置いた。次いで、組成物のそれぞれの外観及び粘度変化を以下の評価基準で評価した。
- 粘度
組成物のそれぞれの粘度を、VISCOMAN(商標)(GILSON Technology社)を用いて室温にて測定した。
OK:貯蔵後の粘度変化は10%以下であった
NG:貯蔵後の粘度変化は10%超であった
- 外観
OK:全ての温度にて相分離及び色変化がないことを観察した
NG:全ての温度にて相分離及び色変化があることを観察した
【0245】
結果をTable 1(表1)に示す。
【0246】
【0247】
Table 1(表1)に示す結果に見られるように、本発明の成分(a)~(c)を含む実施例1~4による組成物は、改善した安定性を呈した。
【0248】
対照的に、モノアルコールを含まなかった比較例1による組成物、並びに親水性増粘剤を含まなかった比較例2及び3による組成物は、良好な安定性を呈さなかった。
【0249】
したがって、本発明による組成物は、それが固体成分を含み且つかなりの量の油を含まない場合であっても安定な組成物を提供できるため、頭皮をケアする及び/又はコンディショニングするための化粧用組成物としてきわめて好ましいと結論付けることができる。