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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007908
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】巻き取り機およびろ過機
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/28 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B65H19/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109310
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000144418
【氏名又は名称】株式会社三進製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】白岩 拓
(72)【発明者】
【氏名】植松 充
(72)【発明者】
【氏名】小島 雄大
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 光俊
(72)【発明者】
【氏名】柳下 宙士
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA01
3F064AA03
3F064AA08
3F064CB00
3F064EB14
(57)【要約】
【課題】 精度の高いろ布の取り付けを容易に行うことができ、かつロール状に巻き取られたろ布の取り外しを容易に行うことができる、巻き取り機およびろ過機を提供する。
【解決手段】 巻き取り機であって、巻き取り部と、第1回転体と、第2回転体と、締結部材を備え、巻き取り部は複数の巻き取り軸からなり、巻き取り軸の長手方向は回転軸の長手方向と平行であり、複数の巻き取り軸のうち、第1巻き取り軸を除く残りの巻き取り軸と、第1回転体および第2回転体は一体化しており、第1巻き取り軸は、第1巻き取り軸を除く残りの巻き取り軸と、第1回転体および第2回転体と分離可能であり、第1巻き取り軸はフランジ部を備え、フランジ部は第1挿入孔を備え、第1回転体は第2挿入孔を備え、第2回転体は、保持孔を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することにより、シート状の巻き取り対象物を長手方向に巻き取る、巻き取り機であって、
第1端部および第2端部を備え、前記巻き取り対象物に接触して回転することにより、当該巻き取り対象物を巻き取る巻き取り部と、
前記第1端部を保持し、前記巻き取り部の回転に対応して回転する第1回転体と、
前記第2端部を保持し、前記巻き取り部の回転に対応して回転する第2回転体と、を備え、
前記巻き取り部は、複数の巻き取り軸からなり、
複数の前記巻き取り軸は、前記巻き取り機の回転軸の周辺において等間隔に配され、かつ、当該巻き取り軸の長手方向は当該回転軸の長手方向と平行であり、
複数の前記巻き取り軸のうち、第1巻き取り軸を除く残りの巻き取り軸と、前記第1回転体および前記第2回転体は、分離できないよう一体化しており、
前記第1巻き取り軸は、当該第1巻き取り軸を除く残りの巻き取り軸と、前記第1回転体および前記第2回転体と分離可能であり、
前記第1巻き取り軸は、締結部材によって前記第1回転体と締結するフランジ部を備え、
前記フランジ部は、前記締結部材を挿入可能な第1挿入孔を備え、
前記第1回転体は、前記第1挿入孔と対応する孔であって、前記締結部材を挿入可能な第2挿入孔を備え、
前記第2回転体は、前記第1巻き取り軸の端部を挿入して保持する保持孔を備え、
前記巻き取り機は、前記締結部材をさらに備える、
巻き取り機。
【請求項2】
前記第1回転体は、突起部を備え、
前記フランジ部は、前記突起部の輪郭の少なくとも一部と嵌合する切り欠き状の嵌合部を備える、請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記突起部の高さ以下の厚みを有する平板形状である、請求項2に記載の巻き取り機。
【請求項4】
前記フランジ部は、輪郭が勾玉状の平板である、請求項3に記載の巻き取り機。
【請求項5】
前記巻き取り部は、3本の巻き取り軸からなる、請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項6】
前記巻き取り部と、前記1回転体および前記第2回転体は、ステンレス製である、請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項7】
請求項1に記載の巻き取り機を備える、ろ過機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り機およびろ過機に関する。
【背景技術】
【0002】
化成皮膜処理液のスラッジ処理、洗浄廃液の回収、化研液の回収を目的として、従来より脱水ろ過機が使用されている。例えば、自動脱水ろ過機としてFKフィルター(株式会社三進製作所製)(非特許文献1)が挙げられ、工場等で上記の目的に使用されている。
【0003】
図1に、自動脱水ろ過機1000のろ布の移動に関する部分を側面から図示した概略図を示す。自動脱水ろ過機1000では、懸濁物質が混入した化成皮膜処理液等のろ過対象液が、矢印Aで示すようにろ布100の上方からろ布100へ流し込まれる。ろ過対象液がろ布100を通過することで固液分離され、スラッジがろ布100上に残り、スラッジが除去されたろ過対象液がトレイ200で回収され、矢印Bで示すように自動脱水ろ過機1000の外部へ排出される。
【0004】
ろ布100は、自動脱水ろ過機1000で使用する前においては送り出しローラー300にロール状に巻き取られているシート状のろ布であり、送り出しローラー300からトレイ200の上を通過して巻き取りローラー400へ送り出され、巻き取りローラー400に巻き取られる仕組みとなっている。
【0005】
送り出しローラー300や巻き取りローラー400を、例えばモーター等の駆動手段(図示せず)で矢印C、Dで示すように時計回りまたは反時計周りに回転させることで、ろ布100を矢印Eで示すように送り出しローラー300の方向へ後退、または矢印Fで示すように巻き取りローラー400の方向へ進行させることができる。
【0006】
ローラー510~560で示すローラー500は、ろ布100の位置決めや張りの調整に用いられるローラーであり、ろ布100と接することで位置決めや張りの調整が可能となる。
【0007】
自動脱水ろ過機1000は、以下の(1)~(4)で示す操作により、ろ過対象液を濾過することができる。
(1)矢印Aよりろ過対象液をろ布100へ流し込んでろ過することで固液分離し、ろ過後のろ過対象液をトレイ200で回収して矢印Bより排出する操作を継続して行う。
(2)操作(1)によりろ布100上にスラッジがケーキ状に堆積してろ過効率が低下した場合には、巻き取りローラー400を回転させてろ布100を矢印Fで示す方向へ進行させる。そして、ローラー540に近接するスクレパーにより、ろ布100上に堆積したスラッジ600を排出することにより除去する。
(3)操作(2)を行った後、ゴミ600が除去されて再度ろ過可能な状態となったろ布100を、送り出しローラー300を回転させて矢印Eで示す方向へ進行させてトレイ200の上に再度配置することにより、ろ過対象液を再度ろ過可能な状態にする。
(4)操作(1)~(3)を数回繰り返し、操作(2)を行ってもろ布100上のスラッジの含水率が高くなったら、巻き取りローラー400を回転させてろ布100を矢印Fで示す方向へ進行させ、ろ布100を巻き取りローラー400で巻き取り、ろ布100未使用面を送り出しローラー300から送り出してトレイ200の上に配置する。そして、操作(1)に戻る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】[令和4年4月20日検索],インターネット<URL:https://www.sanshin-mfg.co.jp/product/filtration/fk_filter.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図2に、巻き取りローラー400の既存品の一例として、巻き取り機700を斜め上から撮影した写真を示す。巻き取り機700は、金属製のシャフト710が回転軸上に配されており、シャフト710の外径よりも大きい内径を有する塩ビパイプ720が被せられている。塩ビパイプ720の両端は、シャフト710の外径よりも大きい穴が中心に開けられた円盤状のフランジ730、740が備えられている。シャフト710の両端付近にはねじ切り加工がされており、ナット750でフランジ730、740を保持する仕組みとなっている。
【0010】
例えば、塩ビパイプ720の中にシャフト710を通した後、シャフト710をフランジ730、740の穴に通してナット750でねじ切り加工部分を塩ビパイプの両端に向かって締結することで、巻き取り機700を作製することができる。巻き取り機700は自動脱水ろ過機1000へ取り付けて巻き取りローラー400として使用する。
【0011】
(巻き取り機700へろ布100の取り付け方)
塩ビパイプ720は、塩ビパイプ720の外側と内側を開口するスリット721が一直線上に形成されている。巻き取り機700にろ布100を取り付けるためには、まず、自動脱水ろ過機1000へ巻き取り機700を取り付けて、次に、スリット721にシート状のろ布100の先端にある一辺を差し込む。そして、ろ布100を巻き取るように、手動でフランジ730または740を回転させることで、矢印Dで示す時計回りに巻き取り機700を数周回転させる。その後は、操作(1)~(4)によって、使用済みのろ布100が巻き取り機700に巻き取られていく。フランジ730および740は、ろ布100が巻き取り方向と平行に巻き取られるように、蛇行して巻き取られることを防止するガイド板の役割を果たす。
【0012】
巻き取り機700へのろ布100の取り付けでは、手動による操作が多いため、ろ布100が巻き取り方向と平行に巻き取られるように、スリット721にろ布100の一辺を差し込むことが難しい場合がある。この場合には、ろ布100が蛇行して巻き取られることがあり、その結果としてトレイ200上のろ布100が部分的に弛んだり、部分的に張りすぎてしまうことで、ろ布100の送り出しや巻き取り、ろ過処理等の操作が困難となる問題が発生するおそれがある。
【0013】
(巻き取り機700からろ布100の取り外し方)
図3に、巻き取り機700に巻き取られたろ布100を取り外す手順を撮影した写真を示す。図3(a)~(c)では、ろ布100が説明の邪魔となるのでろ布100が巻かれていない状態の巻き取り機700を示し、図3(d)ではろ布100が巻かれている状態の巻き取り機700を示す。
【0014】
図3(a)は自動脱水ろ過機1000に設置された巻き取り機700の写真を示しており、巻き取り機700においてフランジ730を締結して固定するボルト750を取り外すと、図3(b)の状態となる。ボルト750を取り外すと、フランジ730をシャフト710から取り外すことができる(図3(c))。シャフト710とシャフト710に固定されたフランジ740は、図3(c)に示す端部とは反対側の端部よりシャフト710を塩ビパイプ720から引き抜くことにより取り外すことができる。これにより、塩ビパイプ720と、塩ビパイプ720に巻き取られたロール状のろ布100のみの状態とする。巻き取り機700に巻き取られたろ布100は、塩ビパイプ720にきつく巻き取られているため、ロール状に巻き取られたろ布100から塩ビパイプ720を手動で抜き取ることができない。そのため、ハンマー等で塩ビパイプ720の端部側面を叩き(図3(d))、少しずつ反対側の端部をロール状のろ布100から突出させる。塩ビパイプ720の端部がつまめる程度に突出したら、その突出した部分をペンチで掴み、ロール状のろ布100から塩ビパイプ720を引き抜く。これらの操作によって、巻き取り機700からロール状のろ布100を取り外すことができる。
【0015】
このような取り外し操作では、きつく締められたナット750をレンチで緩める作業が発生し、作業者の労力の負担が大きい。また、ハンマー等で塩ビパイプ720の端部側面を叩く作業も労力の負担が大きい。さらには、ペンチでロール状のろ布100から塩ビパイプ720を引き抜く操作は、一人で行うことが難しく、ロール状のろ布100を保持する者と、ペンチで塩ビパイプ720を引き抜く者との二人で作業を行うことが、通常の取り外し操作となる。
【0016】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、精度の高いろ布の取り付けを容易に行うことができ、かつロール状に巻き取られたろ布の取り外しを容易に行うことができる、巻き取り機およびろ過機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の巻き取り機は、回転することにより、シート状の巻き取り対象物を長手方向に巻き取る、巻き取り機であって、第1端部および第2端部を備え、前記巻き取り対象物に接触して回転することにより、当該巻き取り対象物を巻き取る巻き取り部と、前記第1端部を保持し、前記巻き取り部の回転に対応して回転する第1回転体と、前記第2端部を保持し、前記巻き取り部の回転に対応して回転する第2回転体と、を備え、前記巻き取り部は、複数の巻き取り軸からなり、複数の前記巻き取り軸は、前記巻き取り機の回転軸の周辺において等間隔に配され、かつ、当該巻き取り軸の長手方向は当該回転軸の長手方向と平行であり、複数の前記巻き取り軸のうち、第1巻き取り軸を除く残りの巻き取り軸と、前記第1回転体および前記第2回転体は、分離できないよう一体化しており、前記第1巻き取り軸は、当該第1巻き取り軸を除く残りの巻き取り軸と、前記第1回転体および前記第2回転体と分離可能であり、前記第1巻き取り軸は、締結部材によって前記第1回転体と締結するフランジ部を備え、前記フランジ部は、前記締結部材を挿入可能な第1挿入孔を備え、前記第1回転体は、前記第1挿入孔と対応する孔であって、前記締結部材を挿入可能な第2挿入孔を備え、前記第2回転体は、前記第1巻き取り軸の端部を挿入して保持する保持孔を備え、前記巻き取り機は、前記締結部材をさらに備える。
【0018】
前記第1回転体は、突起部を備えてもよく、前記フランジ部は、前記突起部の輪郭の少なくとも一部と嵌合する切り欠き状の嵌合部を備えてもよい。
【0019】
前記フランジ部は、前記突起部の高さ以下の厚みを有する平板形状であってもよい。
【0020】
前記フランジ部は、輪郭が勾玉状の平板であってもよい。
【0021】
前記巻き取り部は、3本の巻き取り軸からなってもよい。
【0022】
前記巻き取り部と、前記1回転体および前記第2回転体は、ステンレス製であってもよい。
【0023】
また、上記課題を解決するため、本発明のろ過機は、上記本発明の巻き取り機を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明であれば、精度の高いろ布の取り付けを容易に行うことができ、かつロール状に巻き取られたろ布の取り外しを容易に行うことができる、巻き取り機およびろ過機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】自動脱水ろ過機1000のろ布の移動に関する部分を側面から図示した概略図。
図2】巻き取りローラー400の既存品の一例として、巻き取り機700を斜め上から撮影した写真。
図3】巻き取り機700に巻き取られたろ布100を取り外す手順を撮影した写真。
図4】巻き取り機800の斜視図。
図5】巻き取り機800へろ布100を取り付ける手順を撮影した写真。
図6】巻き取り機800に巻き取られたろ布100を取り外す手順を撮影した写真。
図7】巻き取り機800を第1回転体820が見えるように上から撮影した写真。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の巻き取り機およびろ過機の一態様について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
[巻き取り機]
本発明の巻き取り機の一例として、図4に巻き取り機800の斜視図を示す。図4(a)は後述する第1回転体820を手前にした斜視図であり、図4(b)は後述する第2回転体830を手前にした斜視図である。また、図4(c)は、後述する第1巻き取り軸813と、締結部材840と、これら以外の部材とを分離した状態の斜視図である。
【0028】
巻き取り機800は、従来の巻き取り機700に替えて自動脱水ろ過機1000へ取り付けることができ、巻き取りローラー400として使用することができる。なお、送り出しローラー300として使用しても良い。
【0029】
巻き取り機800は、回転することにより、シート状の巻き取り対象物を長手方向に巻き取る、巻き取り機であって、以下に説明する巻き取り部810と、第1回転体820と、第2回転体830と、締結部材840を備える。
【0030】
〈巻き取り対象物〉
巻取り対象物としては、ろ布100が挙げられるが、これに限定されず、シート状で長手方向に巻き取ら得る物がさらに挙げられる。例えば、シート状のろ紙、プラスチックフィルム、織物、不織布、ペーパータオル等が挙げられる。
【0031】
〈巻き取り部810〉
巻き取り部810は、第1端部811および第2端部812を備え、巻き取り対象物に接触して矢印Gを時計方向で示す方向に回転することにより、当該巻き取り対象物をロール状に重ねていって巻き取る。
【0032】
〈第1回転体820〉
第1回転体820は、第1端部811を保持し、巻き取り部810の回転に対応して回転する。
【0033】
〈第2回転体830〉
第2回転体830は、第2端部812を保持し、巻き取り部810の回転に対応して回転する。
【0034】
巻き取り部810の役割は、巻き取り機700における塩ビパイプ720に相当する。また、1回転体820および第2回転体830の役割は、巻き取り機700におけるフランジ730、740に相当する。
【0035】
巻き取り部810と、1回転体820および第2回転体830は、ステンレス製であれば、自動脱水ろ過機1000の巻き取りローラー400として使用するために必要な耐久性および防錆性を十分に備えることができる。ただし、ステンレス製でなくてもよく、鉄やアルミニウム等の金属製、木製、プラスチック製であってもよい。
【0036】
〈締結部材840〉
締結部材840は、後述するように第1巻き取り軸813を第1回転体820と締結する部材である。具体的には、ねじ切り加工がされた胴部841、およびナットやドライバーで締結可能な頭部842を備えるボルトやネジが挙げられ、ステンレス、鉄やアルミニウム等の金属製、木製、プラスチック製の締結部材840を用いることができる。例えば、ステンレス製の締結部材840であれば、自動脱水ろ過機1000の巻き取りローラー400として使用するために必要な耐久性および防錆性を十分に備えることができる。
【0037】
(巻き取り軸813、814、815)
巻き取り部810は、複数の巻き取り軸813、814、815からなる。そして、複数の巻き取り軸813、814、815は、符号Hで示す巻き取り機800の回転軸の周辺において等間隔に配され、かつ、当該巻き取り軸813、814、815の長手方向は、当該回転軸の長手方向と平行である(図4(b))。
【0038】
なお、図4では巻き取り部810は、3本の巻き取り軸813、814、815からなるが、これに限定されず、巻き取り軸が2本の場合や4本以上の場合であってもよい。
【0039】
複数の巻き取り軸813、814、815のうち、第1巻き取り軸813を除く残りの巻き取り軸814、815と、第1回転体820および第2回転体830は、分離できないよう一体化している(図4(c))。これは、巻き取り機800の強度や耐久性を確保するために一体化した構造であり、例えば巻き取り軸814、815の両端と、第1回転体820および第2回転体830を溶接等により接合して一体化させることができる。
【0040】
(第1巻き取り軸813)
第1巻き取り軸813は、第1巻き取り軸813を除く残りの巻き取り軸814、815と、第1回転体820および第2回転体830と分離可能である(図4(c))。第1巻き取り軸813を締結部材840によって第1回転体820と締結することにより、既に一体化している巻き取り軸814、815、第1回転体820および第2回転体830と一体化して、巻き取り機800となる。
【0041】
(フランジ部50)
第1巻き取り軸813は、締結部材840によって第1回転体820と締結するフランジ部50を備える。フランジ部50は、第1巻き取り軸813におけるシャフト51の第1端部52においてシャフト51と接合しており、シャフト51とフランジ部50は一体化している。
【0042】
(第1挿入孔50a)
フランジ部50は、締結部材840を挿入可能な第1挿入孔50aを備える。第1挿入孔50aは、例えば締結部材840の胴部841の外径よりも大きく、頭部842よりも小さい円形状の孔とすることができる。
【0043】
(第2挿入孔820a)
第1回転体820は、第1挿入孔50aと対応する孔であって、締結部材840を挿入可能な第2挿入孔820aを備える。第1挿入孔50aと同様に、第2挿入孔820aは、例えば締結部材840の胴部841の外径よりも大きく、頭部842よりも小さい円形状の孔とすることができる。
【0044】
(保持孔830a)
第2回転体830は、第1巻き取り軸813におけるシャフト51の第2端部53を挿入して保持する保持孔830aを備える。保持孔830aは、シャフト51を容易に着脱可能となるように、シャフト51の外径と略同一の円形状の孔とすることができる。
【0045】
(突起部820b)
第1回転体820は、突起部820bを備えてもよい。例えば、中心軸H上に突起部820bを設けてもよく、この突起部820bを利用して巻き取り機800を自動脱水ろ過機1000に設置してもよい。
【0046】
(嵌合部)
フランジ部50は、突起部820bの輪郭の少なくとも一部と嵌合する切り欠き状の嵌合部50bを備えてもよい。締結部材840による締結に加えて、突起部820bと嵌合する嵌合部50bがあることにより、第1巻き取り軸813を第1回転体820とより強固に一体化させることができるため、巻き取り機800の強度や耐久性をより向上させることができる。
【0047】
なお、フランジ部50は、突起部820bの高さ以下の厚みを有する平板形状であることが好ましい。突起部820bの高さよりもフランジ部50の方が厚みがある場合、嵌合部50bを突起部820bに引っ掛け難くなることで、突起部820bとの嵌合に不具合が生じるおそれがある。ただし、突起部820bの高さ以下の厚みであれば、嵌合部50bを確実に突起部820bと嵌合させることができ、また、嵌合させた状態を確実に保持することができる。
【0048】
フランジ部50の具体的な形状としては、例えば図4(c)に示すように輪郭が勾玉状の平板である形状が挙げられる。例えば、第1挿入孔50a、嵌合部50b、シャフト51とフランジ部50との接続部50cが、この順番で同一直線状に配置されて勾玉状の平板となっていてもよい。この配置であることにより、締結部材840による締結、嵌合部50bによる突起部820bとの嵌合を可能としつつ、複数の巻き取り軸813、814、815を巻き取り機800の回転軸Hの周辺において等間隔に配することが容易となる。
【0049】
(巻き取り機800へろ布100の取り付け方)
図5に、巻き取り機800へろ布100を取り付ける手順を撮影した写真を示す。図5(a)は自動脱水ろ過機1000に設置された巻き取り機800の写真を示しており、ろ布100は取り付けられていない状態である。図5(b)では、ろ布100を巻き取り軸815と第1巻き取り軸813との間を通し、第1巻き取り軸813のみにろ布100を引っ掛けて下へ垂らした操作をした後の状態を示している。この状態にろ布100を設置した後、巻き取り機800を矢印Iで示すようにフランジ50と第1回転体820が時計回りに回るように回転させることで、ろ布100を巻き取り軸813、814、815で巻き取る(図5(c)、(d))。巻き取り機800を数周回転させることで、ろ布100を巻き取り機800へ巻き取りまたは巻き取り機800から送り出し可能な状態に取り付けることができる。
【0050】
(ろ布100の取り付け操作における巻き取り機800の効果)
図5(b)で示すようにろ布100を第1巻き取り軸813に引っ掛ける操作は、手動でろ布を矢印F(図1)で示す送り出し方向に引っ張ることで容易に可能となる。また、図5(b)の状態にした後、単に巻き取り機800を手動で数周回転させるのみで、ろ布100を巻き取り機800に取り付けることができるため、巻き取り機700の場合と比べてろ布100の取り付けが容易であり、また、ろ布100が蛇行して巻き取られることもない。
【0051】
さらには、ろ布100が矢印F(図1)で示す方向へ送り出されるように、巻取りローラー400送り出しローラー300をモーター等の駆動手段で回転させることで、図5(b)で示すろ布100を取り軸に引っ掛ける操作を容易に行うことができる。また、図5(b)の状態にした後、モーター等の駆動手段で巻き取り機800を単に数周回転させるのみで、ろ布100を巻き取り機800に取り付けることができるため、巻き取り機700の場合と比べてろ布100の取り付けが容易であり、また、ろ布100が斜めに蛇行して巻き取られることもない。
【0052】
すなわち、巻き取り機700の場合には、手動でなければろ布100を取り付けることができず、また、ろ布100が部分的に弛んだり、部分的に張りすぎてしまう状態となりやすく、取り付け精度が悪い状態となるおそれがある。一方で、巻き取り機800の場合には、手動でも駆動手段を用いる電動でもろ布100を取り付けることができるという効果があり、また、取り付け精度が高いためにろ布100が蛇行せず、ろ布100が部分的に弛んだり、部分的に張りすぎてしまう状態となり難いという効果がある。
【0053】
(巻き取り機800からろ布100の取り外し方)
図6に、巻き取り機800に巻き取られたろ布100を取り外す手順を撮影した写真を示す。ろ布100を取り外すためには、図6(f)に示す取り外し用の治具60を用いることが効率的である。治具60は、例えば強度と耐久性の高いステンレス製の治具であってもよく、平板状の本体61と、本体61から棒状に突起した突起部62と、半円状に凹んだ形状の嵌合部63を備える。
【0054】
突起部62は円柱状であり、突起部62の円柱の直径がシャフト51の内径よりも小さく、若干のクリアランスを有し、円柱の直径とシャフト51の内径は略同一であることが、ろ布100の取り外し操作が容易となるため好ましい。
【0055】
また、嵌合部63は、突起部820bの輪郭の少なくとも一部と嵌合する切り欠き状の形状となっている。平板状の本体61の厚みは、突起部820bの高さ以下であることが好ましい。突起部820bの高さよりも本体61の方が厚みがある場合、嵌合部63を突起部820bに引っ掛け難くなることで、突起部820bとの嵌合に不具合が生じるおそれがある。ただし、突起部820bの高さ以下の厚みであれば、嵌合部63を確実に突起部820bと嵌合させることができ、ろ布100の取り外し操作が容易となる。
【0056】
まず、ろ布100がロール状に巻きつけられた巻き取り機800を自動脱水ろ過機1000から取り外し、次に、フランジ部50を第1回転体820と締結している締結部材840を、スパナやレンチ等を用いて取り外す(図6(a))。締結部材840を取り外した後、治具60の突起部62を中空の筒状であるシャフト51の開口部51aへ挿入すると共に、嵌合部63を突起部820bに引っ掛けて嵌合させる(図6(b))。図6(b)の状態から巻き取り機800を保持しつつ、治具60にて、てこの原理で力を加えて本体61を時計回りに回転させる(図6(c))。そうすると、突起部820bと嵌合部50bとの嵌合を保持したまま回転し、ろ布100の内側と、ろ布100の内側と接触し、かつ巻き取りによりろ布100で締め付けられている巻き取り軸813、814、815との間に隙間ができ、締め付けられた状態が緩む。締め付けられた状態が緩むことで、フランジ50を掴んで上方へ引き上げる操作が可能となり、この操作により第1巻き取り軸813をロール状のろ布100の内側から抜き取ることができる(図6(d))。第1巻き取り軸813を抜き取った後は、ロール状のろ布100の内側には巻き取り機800の残りの部分を抜き取るために十分な隙間ができているため、ろ布100の内側より手動で巻き取り機800の残りの部分を抜き取る(図6(e))。
【0057】
図7は、巻き取り機800を第1回転体820が見えるように上から撮影した写真であり、巻き取り機800に巻き取られたろ布100を取り外す手順を補足するための写真である。
【0058】
図7(a)は巻き取り機800の第1回転体820や締結部材840が写っている。図7(b)は締結部材840の頭にレンチを合わせたところであり、図7(c)はレンチにより締結部材840を外して第1挿入孔50aが現れた状態である。図7(d)は締結部材840を外した後に治具60の突起部62を開口部51aに挿入しようとしている状態であり、図7(e)が突起部62を開口部51aに挿入した状態である。図7(f)は図7(e)の状態から治具60の本体61を時計回りに60度程度回した後の状態である。なお、図7(g)は治具60の写真である。
【0059】
(ろ布100の取り外し操作における巻き取り機800の効果)
このような取り外し操作では、締結部材840を取り外す操作(図6(a))や、突起部820bと嵌合部50bとの嵌合した状態を解除する操作(図6(b)、(c))において、作業者の労力を要するが、一人で行うことのできる操作である。また、スパナやレンチ等、および治具60を用いることで労力を軽減することができる。さらに、第1巻き取り軸813をロール状のろ布100の内側から抜き取る操作(図6(d))や、ろ布100の内側より巻き取り機800の残りの部分を抜き取る操作(図6(e))については、作業者の労力は軽く、かつ一人で行うことのできる操作である。
【0060】
すなわち、巻き取り機700の場合には、ろ布100の取り外し操作において操作者の労力の負担が大きく、かつ二人以上での操作が必要となる。一方で、巻き取り機800の場合には、操作者の労力の負担が比較的小さく、かつ一人での操作が可能であるという効果がある。
【0061】
[ろ過機]
本発明のろ過機は、上記本発明の巻き取り機800を備える。
【0062】
ろ過機としては、自動脱水ろ過機1000が挙げられる。巻き取りローラー400として巻き取り機800を取り付けた自動脱水ろ過機1000は、巻き取り機700を取り付けた場合と同様に脱水ろ過することができ、上述の(1)~(4)で示す操作を行うことができる。
【0063】
なお、巻き取り機800を送り出しローラー300として自動脱水ろ過機1000に取り付けても良く、巻き取り機800を送り出しローラー300および巻き取りローラー400の両方として取り付けてもよい。
【0064】
また、本発明の巻き取り機800は、ろ過機専用の巻き取り機ではなく、シート状のろ紙、プラスチックフィルム、織物、不織布、ペーパータオル等の巻き取り対象物を巻き取る工程を行う装置や、ロール状に巻き取られているこれらの巻き取り対象物を送り出す工程を行う装置に適用できる。
【0065】
以上より、本発明であれば、精度の高いろ布の取り付けを容易に行うことができ、かつロール状に巻き取られたろ布の取り外しを容易に行うことができる、巻き取り機およびろ過機を提供できるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0066】
50・・・フランジ部、50a・・・第1挿入孔、50b・・・嵌合部、50c・・・接続部、51・・・シャフト、51a・・・開口部、52・・・第1端部、53・・・第2端部、60・・・治具、61・・・本体、62・・・突起部、63・・・嵌合部、100・・・ろ布、200・・・トレイ、300・・・送り出しローラー、400・・・巻き取りローラー、510~560・・・ローラー、500・・・ローラー、600・・・ゴミ、700・・・巻き取り機、710・・・シャフト、720・・・塩ビパイプ、730、740・・・フランジ、750・・・ナット、800・・・巻き取り機、810・・・巻き取り部、811・・・第1端部、812・・・第2端部、813・・・第1巻き取り軸、813、814、815・・・巻き取り軸、820・・・第1回転体、820a・・・第2挿入孔、820b・・・突起部、830・・・第2回転体、830a・・・保持孔、840・・・締結部材、841・・・胴部、842・・・頭部、1000・・・自動脱水ろ過機、A、B、C、D、E、F、G、I・・・矢印、H・・・中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7