(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079086
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ノブ保持構造及びスマートロック
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
E05B47/00 U
E05B47/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191806
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】矢田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲寛
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でノブを保持して位置決めできる保持構造を提供する。
【解決手段】スマートロック10のノブ保持構造14は、ホルダ24と、ホルダ24内に互いに対向して配置された一対の挟圧部材26a及び26bと、一対の挟圧部材26a及び26bの各々を、ホルダ24の内壁に対して変位可能に支持するとともに、互いに接近する方向に付勢する弾性部材28a及び28bと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダと、
前記ホルダ内に互いに対向して配置された一対の挟圧部材と、
前記一対の挟圧部材の各々を、前記ホルダの内壁に対して変位可能に支持するとともに、前記一対の挟圧部材を互いに接近する方向に付勢する弾性部材と、
を有する、スマートロックのノブ保持構造。
【請求項2】
前記ホルダは、前記一対の挟圧部材が互いに接離する方向に延びるスリットを備えた支持部を有する、請求項1に記載のノブ保持構造。
【請求項3】
前記一対の挟圧部材は、前記ホルダの一部を支点として揺動可能に構成されている、請求項1に記載のノブ保持構造。
【請求項4】
前記一対の挟圧部材の少なくとも一方はテーパ面を有する、請求項1に記載のノブ保持構造。
【請求項5】
請求項1に記載のノブ保持構造と、前記ホルダを回転駆動する駆動機構と、を有するスマートロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノブ保持構造及びスマートロックに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートロックは、パスワード入力、指紋認証、又はスマートホン等の電子機器からの遠隔操作等によってドアの開錠・施錠を行う装置であり、サムターン等のドアノブを保持する保持手段と、該保持手段を回転駆動する駆動手段とを備えるものが知られている。
【0003】
ドアに対するスマートロックの取付け位置に誤差がある場合に、その誤差を吸収できる機構が提唱されている。例えば、サムターンを固定するカバーの内側にソフトラバースリーブを挿入した構成を有するスマートロック装置が知られている。
【0004】
またサムターンを回転させるカップリングとしてゴム、スポンジ、ロボットフィンガー等を用いて、ドアロックとドア設置機構との間のずれや偏心を補正する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-204164号公報
【特許文献2】特開2018-028259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スマートロックをドア等に取付ける際は、ドアノブの保持手段をドアノブに対して、それらの回転中心が整合した状態で確実に固定するために、両者を位置決めした上でネジ等を用いて固定していた。しかしこのような位置決め及び固定は、作業者にとって煩雑かつ面倒な作業となっていた。
【0007】
また上述のように位置決め誤差を吸収する技術もいくつか提唱されてはいるが、より簡易な構成で、位置決め及び固定に関する作業を効率化できる構造を備えたノブ保持構造及びスマートロックが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、ホルダと、前記ホルダ内に互いに対向して配置された一対の挟圧部材と、前記一対の挟圧部材の各々を、前記ホルダの内壁に対して変位可能に支持するとともに、前記一対の挟圧部材を互いに接近する方向に付勢する弾性部材と、を有する、スマートロックのノブ保持構造である。
【0009】
本開示の他の態様は、上記ノブ保持構造と、前記ホルダを遠隔操作により回転駆動する駆動機構と、を有するスマートロックである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ドア等にスマートロックを取付ける際に一対の挟圧部材がノブの位置や形状に応じて自動的に弾性変位することができるので、作業者の手間を大幅に削減しつつ、適切にノブを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るスマートロックを示す斜視図である。
【
図2】
図1のスマートロックを別角度からみた斜視図である。
【
図3】スマートロックの取り付け対象を示す斜視図である。
【
図4】ノブ保持構造の一構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図4のノブ保持構造を別角度からみた斜視図である。
【
図7】ノブ保持構造の駆動機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、好適な実施形態に係るスマートロック10の斜視図であり、
図2はスマートロック10を
図1とは別角度からみた斜視図である。スマートロック10は、筐体12と、筐体12内に配置されるノブ保持構造14と、筐体12内に配置され、ノブ保持構造14を筐体12に対して回転駆動する駆動機構50(
図7参照)とを有する。スマートロック10は例えば、
図3に部分的に示すようなドア20に設けられたサムターン式のノブ22を遠隔操作により回転させることができるように構成されている。例えば、ノブ保持構造14がノブ22を保持した状態で、駆動機構50がスマートホン等の電子機器(図示せず)からの遠隔操作によってノブ保持構造14を回転駆動することでノブ22を回転させることができる。なおノブ22はサムターンに限らず、レバーやラッチ等、回転又は移動させることでドアを開閉するものが含まれる。
【0013】
スマートロック10はドア20に対し、種々の手段によって取付け可能である。例えば、
図2に示すようなスマートロック10の取付け面18を、図示しない両面粘着テープ又は接着剤等を用いてドア20の適所に貼り付けることができる。また
図1に示すように、スマートロック10は、ノブ保持構造14に接続された操作ノブ16を有してもよく、これによりノブ22を手動でも回転させることができる。操作ノブ16は例えば、
図6に示す回転軸部44に接続されている。
【0014】
図4は、ノブ保持構造14の構成例を、ドア20に取付けられる側(以下、底面側とも称する)から見た図である。ノブ保持構造14は、ホルダ24と、一対の挟圧部材26a及び26bと、挟圧部材26a及び26bをそれぞれ、ホルダ24の内壁に対して弾性変位可能に支持するとともに、挟圧部材26a及び26bを互いに接近する方向に付勢する弾性部材28a及び28bとを有する。図示例では、挟圧部材26a及び26bは板状の部材(以下、挟み板とも称する)であり、弾性体28a及び28bは複数のコイルばねである。なおコイルばねの個数に特段の制約はない。
【0015】
一対の挟み板26a及び26bは、底面側において所定の間隔だけ互いに離隔して配置されている。図示例では、一対の挟み板26a及び26bは、それぞれコイルばね28a及び28bによって互いに接近する方向に付勢されるが、ホルダ24の一部として構成された支持部30によって、一定の距離だけ離隔した状態に維持される。
【0016】
より具体的には、支持部30は、ホルダ24の一部に、一対の挟み板26a及び26bが互いに接離する方向に延びるスリット32a及び32bを形成することで略T字形状部分として形成され、一方、挟み板26a及び26bはそれぞれ、スリット32a及び32b内を移動可能な突起34a及び34bを有する。このような構成により、挟み板26a及び26bは、スリット32a及び32bの長さに相当する範囲内で互いに接離する方向に弾性変位することができる。またスリット32a及び32bにより、挟み板26a及び26bの可動方向は実質的に接離方向に限定可能となるため、挟み板26a及び26bの動作が安定し、ノブ22を適切に保持することができる。但しこれは一例であり、例えば支持部30がない構成でも、コイルばね28a及び28bの個数、寸法、ばね定数等を適宜選択することにより、一対の挟み板26a及び26bを適当な間隔で互いに離隔配置することができる。
【0017】
図1のようにスマートロック10をドア20に取付ける際は、作業者が、一対の挟み板26a及び26bの間の隙間36内にノブ22が挿入されるように筐体12を操作する。取付け前の隙間36はノブ22の厚さよりもいくらか小さい幅を有することが望ましいが、上述のように挟み板26a及び26bはそれぞれコイルばね28a及び28bに支持されているので、ノブ22に押し当てられたときに挟み板26a及び26bの少なくとも一方は互いに接離する方向に弾性変位する。従って、作業者が筐体12をノブ22に対して正確に位置決めしなくても、ノブ22は隙間36内に好適に挿入される。
【0018】
なおノブ22の挿入をより容易にすべく、
図4に示すように、挟み板26a及び26bはそれぞれ、底面側に面する部位(端面)においてテーパ面38a及び38bを有することが好ましい。テーパ面38a及び38bの形状によっては、取付け前の一対の挟み板26a及び26bは互いに当接していてもよいが、上述の支持部30によって所定距離だけ離隔された状態の方が、ノブ22の挿入のし易さの観点からは好ましい。なおテーパ面は、一方の挟み板のみに設けてもよい。
【0019】
ノブ22が隙間36内に挿入されると、コイルばね28a及び28bのばね圧に逆らって挟み板26a及び26bの間隔が広がり、ノブ22は挟み板26a及び26bの間に挟圧された状態となる。このとき、ノブ22に対するホルダ24の位置は、コイルばね28a及び28bのばね圧のバランスにより、ノブ22の回転中心とホルダ24の回転中心が一致するように自動的に調整される。よって作業者は、手間のかかる位置決めや調整を要さない簡易な操作によって、スマートロック10を実用に十分な精度でドア20に対して取付けることができる。
【0020】
ノブ22がホルダ24に保持された状態、より具体的には挟み板26a及び26bの間に挟圧された状態では、後述する駆動機構50によってホルダ24ごとノブ22を回転させることができる。またホルダ24の回転角度がノブ22の仕様等に基づく最大回転角度より大きくなった場合、コイルばね28a及び28bの少なくとも一方が弾性変位することでホルダ24の余剰の回転移動が吸収されるので、ノブ22に過度の力が作用することが抑制される。
【0021】
図5は、ノブ保持構造14を、底面側とは反対側の上面側から見た図であり、
図6は
図5のA-A線に沿う断面図である。ホルダ24は、挟み板26a及び26bの各々を互いに接離する方向に揺動可能に支持するように構成されており、図示例ではホルダ24の上面に穴又は凹部40a及び40bを形成し、穴40a及び40bにはそれぞれ、挟み板26a及び26bの上面側に形成された突起42a及び42bが係合している。このような構成によれば、
図6に示すように挟み板26a及び26bはそれぞれ、穴40a及び40bを支点とした揺動動作が可能となるので、取付け時により安定的にノブ22を挟圧して保持できるようになる。
【0022】
ノブ保持構造14を構成する各部材の材料について特段の制約はないが、ホルダ24及び挟み板26a及び26bは、製造のし易さや重量の観点から樹脂製であることが好ましく、コイルばね28a及び28bは金属製であることが好ましい。またコイルばね以外の弾性体も使用可能であり、例えば板ばね、ゴム、スポンジも使用可能である。
【0023】
図7は、ノブ保持構造14を回転駆動するための駆動機構50の一構成例を示す。駆動機構50は、駆動モータ52と、駆動モータ52の回転トルクをホルダ24に伝達するギヤユニット54とを有し、その全体は筐体12内に収容可能である。但し
図7では説明のため、筐体12については、取付け面18(
図2)を有する底部62のみを図示している。
【0024】
筐体12内には、プロセッサ56等が搭載された制御基板58も収容可能であり、プロセッサ56は、スマートホン等の電子機器からの遠隔操作に基づいて駆動モータ52を制御するように構成されている。
【0025】
ギヤユニット54は少なくとも1つのギヤを有し、図示例では直列に係合した3つのギヤ54a、54b及び54cを有する。ギヤ54cがホルダ24の回転軸部44(
図5参照)に係合することで、モータ52が回転すると、ホルダ24に保持されたノブ22が回転する。但しこれは一例であり、ギヤユニット54を構成するギヤの個数や歯数は、駆動モータ52の仕様やノブ22の所望の回転速度等に基づいて適宜選択可能である。
【0026】
ノブ保持構造14は、手動でも回転させることができることが好ましい。例えば操作ノブ16の回転軸部60をホルダ24の回転軸部44(
図5を参照)に接続することで、作業者が操作ノブ16を回転させることにより、ホルダ24に保持されたノブ22を手動で回転させることができる。
【符号の説明】
【0027】
10 スマートロック、12 筐体、14 ノブ保持構造、16 操作ノブ、
18 取付け面、20 ドア、22 ドアノブ、24 ホルダ、
26a,26b 挟圧部材、28a,28b コイルばね、30 支持部、
32a,32b スリット、34a,34b 突起、38a,38b テーパ面、
40a,40b 穴、42a,42b 突起、50 駆動機構、52 モータ、
54 ギヤユニット、56 プロセッサ、58 制御基板