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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079088
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】通報装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H04M1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191809
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴臣
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 智絵
(72)【発明者】
【氏名】若林 良介
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA11
5K127AA26
5K127BA18
5K127CA01
5K127CB37
5K127DA11
5K127GD03
5K127HA08
(57)【要約】
【課題】通報装置が持ち運ばれて使用される際に、ユーザが操作子を見なくても操作子が操作を受け付けたことを確認できるようにする。
【解決手段】通報装置は、押しボタンスイッチ20と、押しボタンスイッチ20を収容する筐体と、筐体を保持するホルダーから筐体が取り外された状態であるか否かを判定する判定部411と、取り外された状態であると判定された場合において押しボタンスイッチ20が操作されると振動する振動部46と、押しボタンスイッチ20が操作されると、通報を行う通報部413とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作子と、
前記操作子を収容する筐体と、
前記筐体が設置された状態であるか否かを判定する判定部と、
前記設置されていない状態と判定された場合において前記操作子が操作されると振動する振動部と、
前記操作子が操作されると、外部装置に通報を行う通報部と
を備える通報装置。
【請求項2】
前記振動部は、前記設置された状態と判定された場合において前記操作子が操作されると振動しない
請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記設置された状態であると判定された場合において前記操作子が操作されると発光する発光部をさらに備える
請求項2に記載の通報装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記筐体を保持する保持体から前記筐体が取り外された状態を前記設置されていない状態と判定する
請求項1に記載の通報装置。
【請求項5】
前記保持体は磁石を有し、
前記磁石を検知する磁石検知部をさらに備え、
前記判定部は、前記磁石検知部が前記磁石を検知しなくなると前記取り外された状態であると判定する
請求項4に記載の通報装置。
【請求項6】
前記筐体は、開口部を有し、
前記開口部を開閉する蓋と、
前記蓋の開閉を検知する開閉検知部とをさらに備え、
前記振動部は、前記取り外された状態であると判定された場合において、前記開閉検知部により前記蓋の開状態が検知されたときは、前記操作子の操作に応じて振動しない
請求項4に記載の通報装置。
【請求項7】
前記通報部は、前記操作子が操作されると非常事態が発生したことを通知する信号を送信する
請求項1から6のいずれか1項に記載の通報装置。
【請求項8】
前記振動部は、前記信号の受信を確認する確認応答を前記外部装置から受信すると、振動の動作を切り替える
請求項7に記載の通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作ボタンが押されると振動する遠隔操作装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-219709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常時は通報装置が保持体に保持され、非常時はユーザが通報装置を保持体から取り外してポケット等に入れて持ち運んで使用する場合がある。このような場合において、ユーザは、押しボタンを見ないで押下したときに、押しボタンが押下されたか否かを確認できず、不安を感じる場合がある。
【0005】
本発明は、通報装置が持ち運ばれて使用される際に、ユーザが操作子を見なくても操作子が操作を受け付けたことを確認できるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、操作子と、前記操作子を収容する筐体と、前記筐体が設置された状態であるか否かを判定する判定部と、前記設置されていない状態と判定された場合において前記操作子が操作されると振動する振動部と、前記操作子が操作されると、外部装置に通報を行う通報部とを備える通報装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通報装置が持ち運ばれて使用される際に、ユーザが操作子を見なくても操作子が操作を受け付けたことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るホルダーに収容された通報装置の一例を示す正面図である。
図2】ホルダーの一例を示す正面図である。
図3】通報装置の一例を示す正面図である。
図4】通報装置の一例を示す左側面図である。
図5図4に示される通報装置の分解図である。
図6】基板上の構成の一例を示すブロック図である。
図7】ホルダーに収容された通報装置の一例を示す左側面図である。
図8】通報装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図面においては、発明を理解し易いように、実際の寸法、形状、それらの比率とは異なる場合がある。
【0010】
1.構成
図1は、本実施形態に係るホルダー5に収容された通報装置1の一例を示す正面図である。通報装置1は、利用者の操作に応じて通報を行う。ここでは、通報装置1は、非常事態の発生時にその非常事態を通報するための非常通報ボタンとして用いられるものとする。通常時、通報装置1は壁面に固定されたホルダー5に収容される。一方、例えば侵入者が家に侵入した場合、侵入者から隠れて通報するために、利用者は通報装置1をホルダー5から取り外し、ポケット等に入れて持ち運んで使用する場合がある。なお、ホルダー5は壁面だけでなく家具や、店舗に設置される場合はレジの棚などに固定されてもよい。
【0011】
図2は、ホルダー5の一例を示す正面図である。ホルダー5は、通報装置1を保持する。ホルダー5は、本発明に係る「保持体」の一例である。ホルダー5は、本体51と、2つの支持部52と、突起53とを備える。本体51は、通報装置1より大きい板状の部材である。本体51は、壁面に固定される。2つの支持部52は、本体51の左右端に設けられ、通報装置1を左右から挟んで保持する。各支持部52は、本体51の正面の左端又は右端から突出する。各支持部52の先端は、ホルダー5の前方中央部に向かって湾曲する。突起53は、本体51の裏面に設けられる。突起53は、中空の円筒形状を有し、本体51の裏面から突出する。突起53には、磁石54が設けられる。磁石54を設ける方法は、突起53の先端に磁石54を接着するという方法であってもよいし、突起53内に磁石54を埋め込むという方法であってもよい。
【0012】
図3は、通報装置1の一例を示す正面図である。図4は、通報装置1の一例を示す左側面図である。図5は、図4に示される通報装置1の分解図である。図5に示されるように、通報装置1は、筐体10と、押しボタンスイッチ20と、蓋30と、基板40と、電源50とを備える。筐体10は、開口部11を有する箱形状をしており、押しボタンスイッチ20、基板40、及び電源50を収容する。押しボタンスイッチ20は、基板40上に設けられ、通報のために利用者により操作されるボタンである。押しボタンスイッチ20は、利用者により押下されるとオンになり、操作信号を出力する。押しボタンスイッチ20は、本発明に係る「操作子」の一例である。
【0013】
蓋30は、筐体10の開口部11を開閉する。蓋30において押しボタンスイッチ20と重なる位置には、ボタン窓31が形成される。ボタン窓31は、押しボタンスイッチ20を外部に露出させるための孔である。ボタン窓31は、押しボタンスイッチ20が通る大きさを有し、蓋30を厚み方向に貫通する。蓋30の裏面には、図3に示されるように、ボタン窓31と蓋30の左端との間に突起32が設けられる。なお、図3に示される突起32の位置は一例であり、これに限定されない。突起32は、必ずしもボタン窓31と隣り合う位置に設けられなくてもよく、押しボタンスイッチ20と干渉しない位置であれば、蓋30の裏面のどの位置に設けられてもよい。突起32は、中空の円筒形状を有し、蓋30の裏面から突出する。突起32には、磁石33が設けられる。磁石33を設ける方法は、突起32の先端に磁石33を接着するという方法であってもよいし、突起32内に磁石33を埋め込むという方法であってもよい。図3及び図5に示されるように、押しボタンスイッチ20は、蓋30のボタン窓31を介して外部に露出する。これにより、利用者は、蓋30を開けなくても押しボタンスイッチ20を押下することができる。
【0014】
図6は、基板40上の構成の一例を示すブロック図である。基板40上には、上述した押しボタンスイッチ20に加えて、制御部41と、記憶部42と、入出力部43と、開閉検知部44と、磁石検知部45と、振動部46とが設けられる。これらの構成要素は、バスを介して接続されている。制御部41は、通報装置1の各部の制御及び各種の処理を行う。制御部41は、CPU等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部41が行う制御及び処理は、プロセッサが記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。記憶部42は、通報装置1の機能を実現するためのプログラムを含む各種のデータを記憶する。記憶部42は、RAM、EEPROM等のメモリを含む。入出力部43は、各種の信号の入出力を行う。入出力部43は、外部装置と無線で接続されており、外部装置との間で信号を送受信する。
【0015】
開閉検知部44は、蓋30の突起32に設けられた磁石33の検知により蓋30の開閉を検知する。開閉検知部44は、磁石33を検知した場合には蓋30の閉状態を検知する。一方、開閉検知部44は、磁石33を検知しない場合には蓋30の開状態を検知する。開閉検知部44としては、例えば磁気センサが用いられる。磁気センサには、例えばホールIC、マグネットスイッチ、及びリードスイッチが含まれる。ただし、磁気センサは、これらの例に限定されず、磁石33を検知するものであればどのようなものでもよい。
【0016】
磁石検知部45は、ホルダー5の突起53に設けられた磁石54を検知する。磁石検知部45としては、例えば磁気センサが用いられる。磁気センサには、例えばホールIC、マグネットスイッチ、及びリードスイッチが含まれる。ただし、磁気センサは、これらの例に限定されず、磁石54を検知するものであればどのようなものでもよい。
【0017】
図7は、ホルダー5に収容された通報装置1の一例を示す左側面図である。開閉検知部44は、基板40の正面において、突起32に設けられた磁石33を検知し得る位置に設けられる。すなわち、開閉検知部44は、その検知範囲が突起32に設けられた磁石33を含む位置に設けられる。開閉検知部44が感度指向性を有する場合には、検知範囲の大きさは方向によって異なってもよい。例えば開閉検知部44は、図7に示されるように、その検知範囲が突起32の少なくとも先端を含み、突起32と対向する位置に設けられてもよい。或いは、開閉検知部44は、その検知範囲が突起32の少なくとも先端を含み、突起32と対向しない位置に設けられてもよい。ただし、開閉検知部44は、突起53に設けられた磁石54を検知しない位置、すなわちその検知範囲に突起53に設けられた磁石54が含まれない位置に設けられる。
【0018】
磁石検知部45は、基板40の裏面において、ホルダー5の突起53に設けられた磁石54を検知し得る位置に設けられる。すなわち、磁石検知部45は、その検知範囲が突起53に設けられた磁石54を含む位置に設けられる。磁石検知部45が感度指向性を有する場合には、検知範囲の大きさは方向によって異なってもよい。例えば磁石検知部45は、図7に示されるように、その検知範囲が突起53の少なくとも先端を含み、突起53と対向する位置に設けられてもよい。或いは、磁石検知部45は、その検知範囲が突起53の少なくとも先端を含み、突起53と対向しない位置に設けられてもよい。ただし、磁石検知部45は、突起32に設けられた磁石33を検知しない位置、すなわちその検知範囲に突起32に設けられた磁石33が含まれない位置に設けられる。
【0019】
図6に戻り、振動部46は振動を発生させる。この振動により、バイブレーション機能が実現される。振動部46としては、例えば振動モータが用いられる。
【0020】
制御部41は、判定部411と、振動制御部412と、通報部413として機能する。これらの機能は、制御部41のプロセッサが記憶部42に記憶されたプログラムを実行して演算を行い又は自機の各部を制御することにより実現される。
【0021】
判定部411は、磁石検知部45の検知結果に応じて、通報装置1がホルダー5から取り外された状態であるか否かを判定する。例えば判定部411は、磁石検知部45が磁石54を検知する場合には、通報装置1がホルダー5から取り外された状態ではないと判定する。一方、判定部411は、磁石検知部45が磁石54を検知しない場合には、通報装置1がホルダー5から取り外された状態であると判定する。
【0022】
振動制御部412は、判定部411の判定結果及び開閉検知部44の検知結果に基づいて、押しボタンスイッチ20の操作に応じた振動部46の振動を制御する。振動制御部412は、判定部411により通報装置1がホルダー5から取り外された状態であると判定された場合において押しボタンスイッチ20が操作されると、振動部46を振動させる。ただし、振動制御部412は、判定部411により通報装置1がホルダー5から取り外された状態であると判定された場合であっても、開閉検知部44により蓋30が開状態であることが検知されたときは、押しボタンスイッチ20の操作に応じて振動部46を振動させなくてもよい。一方、振動制御部412は、判定部411により通報装置1がホルダー5から取り外された状態ではないと判定された場合において押しボタンスイッチ20が操作されると、振動部46を振動させない。
【0023】
通報部413は、押しボタンスイッチ20が押下されると外部装置に通報を行う。例えば通報部413は、非常事態が発生したことを通知する非常信号を外部装置に無線で送信する。
【0024】
図5に戻り、電源50は、基板40上に設けられた各構成要素と電源線を介して接続されており、各構成要素に電力を供給する。電源50には、電池が含まれる。
【0025】
2.動作
図8は、通報装置1の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば所定の時間間隔で開始される。
【0026】
ステップS11において、判定部411は、磁石検知部45の検知結果に応じて、通報装置1がホルダー5から取り外された状態であるか否かを判定する。例えば通常時、通報装置1はホルダー5に収容される。通報装置1がホルダー5に収容されている場合、磁石検知部45により磁石54が検知されるため、判定部411は、通報装置1がホルダー5に収容された状態、すなわちホルダー5から取り外されていない状態であると判定する(ステップS11の判定がNO)。この場合、処理はステップS12に進む。
【0027】
ステップS12において、振動制御部412は、押しボタンスイッチ20が押下されたか否かを判定する。例えば所定時間内に押しボタンスイッチ20が押下されない場合、ステップS12の判定がNOになり、この処理は終了する。一方、通報装置1がホルダー5に収容された状態のまま利用者が非常事態を通報するために押しボタンスイッチ20を押すと、押しボタンスイッチ20から振動制御部412に操作信号が供給される。この場合、ステップS12の判定がYESになり、処理はステップS13に進む。
【0028】
ステップS13において、振動制御部412は、振動部46の振動を禁止する。振動制御部412により振動が禁止されると、利用者が押しボタンスイッチ20を押しても振動部46は振動しない。このように、通報装置1がホルダー5に収容されている場合には、利用者が押しボタンスイッチ20を押しても振動部46は振動しない。
【0029】
ステップS14において、通報部413は、非常事態が発生したことを外部装置に通報を行う。押しボタンスイッチ20が押されると、押しボタンスイッチ20から通報部413に操作信号が供給される。通報部413は、非常事態が発生したことを通知する非常信号を外部装置に無線で送信する。通報装置1から通報を受けると、外部装置側では例えば担当者が非常信号に応じた対処を行う。
【0030】
一方、例えば侵入者が家に侵入し、侵入者から隠れて通報するために、利用者が通報装置1をホルダー5から取り外した場合、磁石検知部45により磁石54が検知されなくなる。磁石54が検知されなくなると、上述したステップS11において、判定部411は、通報装置1がホルダー5から取り外された状態であると判定する(ステップS11の判定がYES)。この場合、処理はステップS21に進む。
【0031】
ステップS21において、振動制御部412は、開閉検知部44により蓋30が開状態であることが検知されたか否かを判定する。これは、利用者が通報装置1をホルダー5から取り外して蓋30を開けた場合には、利用者が侵入者から隠れて通報するためではなく、保守作業を行うために通報装置1をホルダー5から取り外したことを示す。利用者が保守作業を行う場合には、バイブレーション機能は働かなくてもよいため、バイブレーション機能を働かせないようにするためである。利用者が蓋30を開けると、開閉検知部44により蓋30に設けられた磁石33が検知されなくなるため、蓋30が開状態であることが検知される。蓋30が開状態であることが検知されると、ステップS21の判定がYESになり、処理は上述したステップS12に進む。上述したステップS12~S14の処理では、利用者が押しボタンスイッチ20を押しても振動部46は振動しない。このように、利用者が保守作業を行うために通報装置1がホルダー5から取り外したことが示される場合には、利用者が押しボタンスイッチ20を押しても振動部46は振動しない。
【0032】
一方、例えば利用者が侵入者から隠れて通報するために通報装置1をホルダー5から取り外した場合には、蓋30は閉じた状態のままであるため、開閉検知部44により蓋30に設けられた磁石33が検知され、蓋30が閉状態であることが検知される。蓋30が閉状態であることが検知されると、ステップS21の判定がNOになり、処理はステップS22に進む。
【0033】
ステップS22において、振動制御部412は、押しボタンスイッチ20が押下されたか否かを判定する。例えば所定時間内に押しボタンスイッチ20が押下されない場合、ステップS22の判定がNOになり、この処理は終了する。一方、利用者が非常事態を通報するために通報装置1をホルダー5から取り出して押しボタンスイッチ20を押すと、押しボタンスイッチ20から振動制御部412に操作信号が供給される。この場合、ステップS22の判定がYESになり、処理はステップS23に進む。
【0034】
ステップS23において、振動制御部412は、振動部46の振動を許可する。振動制御部412により振動が許可されると振動部46が振動する。利用者は、例えば通報装置1をホルダー5から取り外し、ポケット等に入れた状態のまま押しボタンスイッチ20を見ないで押す場合がある。この場合にも、振動部46が振動するため、利用者は押しボタンスイッチ20が押下を受け付けたことを確認することができる。続いて、上述したステップS14の処理が行われる。
【0035】
以上説明した実施形態によれば、利用者は、例えば通報装置1をホルダー5から取り外し、ポケット等に入れた状態のまま押しボタンスイッチ20を見ないで押した場合にも、押しボタンスイッチ20が振動するため、利用者が押しボタンスイッチ20が押下を受け付けたことを確認することができる。一方、通報装置1がホルダー5に収容された状態において利用者が押しボタンスイッチ20を押す場合には、利用者は押しボタンスイッチ20を見ることができるため、バイブレーション機能は働かなくてもよい。このような場合には通報装置1の振動が行われないため、不快音の発生など利用者が煩わしい思いをするのを防ぐことができるとともに、通報したことを不審者に気付かれるリスクを抑制できる。また、利用者が保守作業のために通報装置1をホルダー5から取り外した場合には、通報装置1の振動が行われないため、利用者が煩わしい思いをするのを防ぐことができるとともに、振動により通報装置1が落下し破損するリスクを低減することができる。
【0036】
3.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。また、以下の2以上の変形例は、組み合わせて用いられてもよい。実施形態と1以上の変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0037】
上述した実施形態において、通報装置1がホルダー5から取り外された状態を検知する方法は、磁石54と磁石検知部45とを用いた方法に限定されない。例えば、スイッチを用いた方法が採用されてもよい。このスイッチには、検出スイッチと押しボタンスイッチとが含まれる。検出スイッチは、例えば通報装置1の背面に設けられる。検出スイッチは、通報装置1がホルダー5に収容されるとホルダー5に接触してスライドされオンになる。一方、検出スイッチは、通報装置1がホルダー5から取り外されるとホルダー5との接触がなくなるため元の位置に戻ってオフになる。検出スイッチがオフになると、通報装置1がホルダー5から取り外された状態が検知される。押しボタンスイッチは、例えば通報装置1の底面に設けられる。押しボタンスイッチは、通報装置1がホルダー5に収容されるとホルダー5に押下されてオンになる。一方、押しボタンスイッチは、通報装置1がホルダー5から取り外されるとホルダー5に押下されなくなるためオフになる。押しボタンスイッチがオフになると、通報装置1がホルダー5から取り外された状態が検知される。
【0038】
他の例として、光を利用した方法が採用されてもよい。この方法では、光センサ又は近接センサが用いられる。光センサの発光部はホルダー5に設けられ、受光部は通報装置1において発光部から照射された光を受光し得る位置に設けられる。通報装置1がホルダー5に収容されると、発光部から照射された光が受光部により受光される。発光部から照射された光が受光部により受光されなくなると、通報装置1がホルダー5から取り外された状態が検知される。或いは、光センサの発光部及び受光部は通報装置1に設けられ、ホルダー5には反射材が設けられてもよい。通報装置1がホルダー5に収容されると、発光部から照射された光が反射材で反射され受光部により受光される。発光部から照射された光が受光部により受光されなくなると、通報装置1がホルダー5から取り外された状態が検知される。近接センサは、通報装置1の表面においてホルダー5と対向する位置に設けられる。近接センサは、通報装置1がホルダー5に収容されるとホルダー5の接近を検知する。一方、近接センサは、通報装置1がホルダー5から取り出されるとホルダー5の接近を検知しない。近接センサによりホルダー5の接近が検知されない場合には、通報装置1がホルダー5から取り外された状態が検知される。
【0039】
他の例として、ICチップとICカードリーダーとを用いた方法が採用されてもよい。ICチップは通報装置1とホルダー5のうち一方に設けられ、ICカードリーダーは他方に設けられる。ICカードリーダーは、通報装置1がホルダー5に収容されると、ICチップを読み取る。一方、ICカードリーダーは、通報装置1がホルダー5から取り出されると、ICチップを読み取れない。ICカードリーダーによりICチップが読み取られない場合には、通報装置1がホルダー5から取り外された状態が検知される。
【0040】
要するに、通報装置1がホルダー5から取り外された状態を検知する方法は、どのような方法であってもよい。この変形例に係る構成であっても、通報装置1がホルダー5から取り外された状態を検知することができる。
【0041】
上述した実施形態において、通報装置1が無線通信の範囲外にいる場合には、利用者が押しボタンスイッチ20を押しても、通報装置1から外部装置に非常信号が送信されない虞がある。そのため、利用者は、押しボタンスイッチ20の押下が受け付けられたことに加えて、外部装置が通報を受け付けたかを確認したい場合がある。そこで、通報装置1は、外部装置が通報を受け付けたことを、振動を利用して利用者に通知してもよい。外部装置は、通報装置1から非常信号を受信すると、通報装置1に確認応答を送信する。振動制御部412は、外部装置から確認応答が受信されると、振動部46の振動の動作を切り替える。この振動の動作の切り替えには、振動の停止、振動の再開、及び振動パターンの変更が含まれる。振動パターンの変更には、振幅の変更、及び振動周期の変更が含まれる。
【0042】
一の例において、振動制御部412は、押しボタンスイッチ20が押されてから外部装置から確認応答を受信するまで、振動部46を振動させる。振動制御部412は、外部装置から確認応答を受信すると振動部46の振動を停止させる。
【0043】
他の例において、振動制御部412は、押しボタンスイッチ20が押されると、所定時間、振動部46を振動させる。振動制御部412は、外部装置から確認応答を受信すると、再び所定時間、振動部46を振動させる。
【0044】
さらに他の例において、振動制御部412は、外部装置から確認応答を受信すると、振動部46の振動パターンを変更する。振動制御部412は、押しボタンスイッチ20が押されると、一の振動パターンで振動部46を振動させる。振動制御部412は、外部装置から確認応答を受信すると、他の振動パターンで振動部46を振動させる。一の振動パターンと他の振動パターンとは、振動の振幅が異なってもよいし、振動周期が異なってもよい。
【0045】
この変形例によれば、利用者は押しボタンスイッチ20が押下されたことだけでなく、外部装置に通報が到達したことが分かるため、安心感が得られる。
【0046】
上述した実施形態において、外部装置が通報装置1から通報を受けた後、通報に応じた対処が行われていることを、通報装置1の振動を利用して利用者に通知してもよい。例えば担当者が利用者の居場所への移動を開始すると、外部装置から通報装置1にその旨が通知される。振動制御部412は、外部装置からこの通知を受信すると、振動部46を振動させる。さらに、担当者が利用者の居場所から所定の範囲内に到達すると、外部装置から通報装置1にその旨が通知される。この所定の範囲は、大きさの異なる複数の範囲であってもよい。振動制御部412は、外部装置からこの通知を受信すると、振動部46の振動パターンを、押しボタンスイッチ20が押されたときの振動パターンや利用者の居場所への移動を開始した通知に対して行った振動パターンから変更してもよい。例えば振動制御部412は、担当者が利用者の居場所に近づくほど、振動部46の振動の振幅を大きくし、又は振動部46の振動周期を短くしてもよい。また、通報装置1がスピーカー等の音出力部やLED等の発光部を有する場合、担当者が利用者の居場所に近づくと、振動部46の振動に加えて、音出力部からの音の出力や発光部による発光が行われてもよい。この変形例によれば、利用者は通報に応じた対処が行われていることが分かるため、安心感が得られる。
【0047】
上述した実施形態において、通報装置1の用途は、非常通報ボタンとしての用途に限定されない。例えば通報装置1の用途は、救助が必要な場合に救助を求める救助ボタンとしての用途、火災の発生時に火災を通報するための火災通報ボタンとしての用途、侵入者を通報する用途、人の健康状態の異常を通報する用途、カメラ映像や通報装置1の位置情報を使った見守りの要請を行う要請ボタンとしての用途等、利用者の操作に応じて情報を伝達する用途であれば、どのような用途であってもよい。
【0048】
上述した実施形態において、押しボタンスイッチ20に代えて、検出スイッチ、ロッカースイッチ、又はタッチパネルに表示された操作画像が用いられてもよい。この検出スイッチ、ロッカースイッチ、及び操作画像も本発明に係る「操作子」の一例である。要するに、本発明に係る操作子は、利用者の操作を受け付けるものであればどのようなものでもよい。この変形例に係る構成であっても、利用者の操作に応じて通報することができる。
【0049】
上述した実施形態において、通報装置1の構成は上述した例に限定されない。通報装置1は、上述した構成を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の構成を含まずに構成されてもよい。また、通報装置1及びホルダー5の構造及び配置は一例であり、これに限定されない。例えばホルダー5は、通報装置1を保持するものであれば、どのような構造であってもよい。
【0050】
上述した実施形態において、通報装置1の制御部41は、DSP、ASIC、PLD、FPGA等の回路を含み、通報装置1の機能の少なくとも一部はこの回路により実現されてもよい。
【0051】
上述した実施形態において、通報装置1の動作は上述した例に限定されない。通報装置1の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、通報装置1の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0052】
本発明の別の形態は、通報装置1において行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、通報装置1において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【0053】
上述した実施形態において、通報装置1はさらにLED等の発光部を有してもよい。この変形例では、制御部41は発光部の発光を制御する。発光部は、制御部41の制御の下、発光する。発光部は、上述した振動部46と同様に、通報装置1がホルダー5から取り外された状態であるか否かによって、押しボタンスイッチ20が押下された際の動作が異なる。判定部411により通報装置1がホルダー5に収容された状態、すなわちホルダー5から取り外されていない状態であると判定された場合、押しボタンスイッチ20が押下されると、制御部41は、振動部46を振動させずに発光部を発光させる。これにより、通報装置1がホルダー5に収容された状態においては、ユーザは、振動による不快音の発生等の煩わしい思いをせずに、押しボタンスイッチ20が押下されたこと、つまり外部装置に通報が行われることを認識できる。一方、判定部411により通報装置1がホルダー5から取り外された状態であると判定された場合、押しボタンスイッチ20が押下されると、制御部41は、振動部46を振動させるが発光部は発光させない。これにより、通報装置1がホルダー5から取り外された状態においては、ユーザは、周囲(侵入者)に気付かれることなく、外部装置に通報が行われることを認識できる。
【0054】
さらに通報装置1は、外部装置が通報を受け付けたことや、外部装置が通報装置1から通報を受けた後に通報に応じた対処が行われていることを、振動や発光を利用して利用者に通知してもよい。例えば、押しボタンスイッチ20が押されたとき振動していた場合は、振動パターンを変更することで利用者に通知を行い、押しボタンスイッチ20が押されたとき発光していた場合には、点消灯の発光パターンや点灯の色パターンを変更したり、発光を停止することで、利用者に通知してもよい。なお、押しボタンスイッチ20が押されたとき振動していたとしても、その後ホルダー5に取り付けられた場合は、振動を停止して発光してもよい。
【0055】
上述した実施形態において、通報装置1はホルダー5などの保持体の取り付け状態に代えて、机やレジ台などの載置台に通報装置1が置かれている状態(筐体10が設置された状態)か否かを判定してもよい。例えば、光や磁力などを利用した近接センサや感圧センサなどを用いて、通報装置1が設置状態であるか非設置状態であるかを判定する。通報装置1の筐体10が設置された状態とは、通報装置1の筐体10が予め決められた設置場所に位置する状態をいう。通報装置1の筐体10が設置された状態には、通報装置1の筐体10がホルダー5に収容された状態、及び通報装置1の筐体10が載置台に置かれた状態が含まれる。反対に、通報装置1の筐体10が設置されていない状態とは、通報装置1の筐体10が予め決められた設置位置から離れている状態をいう。通報装置1の筐体10が設置されていない状態には、通報装置1の筐体10がホルダー5から取り外された状態、及び通報装置1の筐体10が載置台から取り外された状態が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1:通報装置、5:ホルダー、10:筐体、11:開口部、20:押しボタンスイッチ、30:蓋、31:ボタン窓、32:突起、33:磁石、40:基板、41:制御部、42:記憶部、43:入出力部、44:開閉検知部、45:磁石検知部、46:振動部、50:電源、51:本体、52:支持部、53:突起、54:磁石、411:判定部、412:振動制御部、413:通報部
図1
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図8