(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079104
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】軸受装置及び潤滑剤状態検出方法
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20240604BHJP
F16C 19/36 20060101ALI20240604BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20240604BHJP
F16C 33/78 20060101ALI20240604BHJP
F16N 29/00 20060101ALI20240604BHJP
F16J 15/3256 20160101ALI20240604BHJP
F16C 19/38 20060101ALI20240604BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240604BHJP
G01N 21/94 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C19/36
F16C33/66 Z
F16C33/78 C
F16N29/00 D
F16J15/3256
F16C19/38
G01N21/17 Z
G01N21/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191834
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 裕雅
【テーマコード(参考)】
2G051
2G059
3J043
3J216
3J217
3J701
【Fターム(参考)】
2G051AA48
2G051AB20
2G051AC21
2G051CB01
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3J043BA02
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3J701FA44
3J701GA03
(57)【要約】
【課題】潤滑剤の状態を的確に把握可能な軸受装置及び潤滑剤状態検出方法を提供する。
【解決手段】外輪102と内輪104との間における軸方向の少なくとも一方の側部に嵌め込まれて軌道内の潤滑剤Gの状態を検出する環状の潤滑剤状態検出センサ10を備える軸受装置100であって、潤滑剤状態検出センサ10は、潤滑剤Gが接触する検出面17を有する透光性樹脂からなる環状本体部11と、環状本体部11に埋め込まれて検出面17へ向かって光を照射する発光体15と、環状本体部11に埋め込まれて検出面17と潤滑剤Gとの界面で反射する光を受光して検出信号を出力する受光体16と、を有し、発光体15及び受光体16は、径方向から視て検出面17で光軸15a,16aが交差するように環状本体部11に埋め込まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に外輪軌道面を有する外輪部材と、
外周面に内輪軌道面を有する内輪部材と、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間の軌道に転動自在に設けられた複数の転動体と、
前記外輪部材と前記内輪部材との間における軸方向の少なくとも一方の側部に嵌め込まれて前記軌道内の潤滑剤の状態を検出する環状の潤滑剤状態検出センサと、
を備える軸受装置であって、
前記潤滑剤状態検出センサは、
前記潤滑剤が接触する検出面を有する透光性樹脂からなる環状本体部と、
前記環状本体部に埋め込まれて前記検出面へ向かって光を照射する発光体と、
前記環状本体部に埋め込まれて前記検出面と前記潤滑剤との界面で反射する光を受光して検出信号を出力する受光体と、
を有し、
前記発光体及び前記受光体は、径方向から視て前記検出面で光軸が交差するように前記環状本体部に埋め込まれている、
軸受装置。
【請求項2】
前記内輪部材は、前記転動体と対向する大鍔面を有し、
前記検出面は、前記大鍔面の延長位置に配置され、
前記発光体及び前記受光体は、軸方向の断面視で前記検出面に対して光軸が直交するように前記環状本体部に埋め込まれている、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項3】
前記検出面は、前記転動体の接線と平行に配置され、
前記発光体及び前記受光体は、軸方向の断面視で前記検出面に対して光軸が直交するように前記環状本体部に埋め込まれている、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項4】
前記潤滑剤状態検出センサは、前記内輪部材の外周面に嵌合されている、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項5】
前記潤滑剤状態検出センサの外周面と前記外輪部材との間にシール部材が設けられている、
請求項4に記載の軸受装置。
【請求項6】
前記潤滑剤状態検出センサは、前記外輪部材の内周面に嵌合されている、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項7】
前記潤滑剤状態検出センサの内周面と前記内輪部材との間にシール部材が設けられている、
請求項6に記載の軸受装置。
【請求項8】
円すいころからなる前記転動体を備える、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項9】
玉からなる前記転動体を備える、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項10】
前記外輪部材は、複列の前記外輪軌道面を有し、
前記内輪部材は、複列の前記内輪軌道面を有し、
前記転動体が、前記複列の外輪軌道面と前記複列の内輪軌道面との間の軌道にそれぞれ転動自在に設けられる、
請求項1に記載の軸受装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の軸受装置における潤滑剤状態検出方法であって、
前記潤滑剤状態検出センサの前記発光体から光を照射させ、
前記潤滑剤状態検出センサの前記受光体からの検出信号に基づいて、前記検出面と前記潤滑剤との界面で反射した前記発光体の反射光の光量を検出し、
前記光量に基づいて、前記潤滑剤の劣化状態を判定する、
潤滑剤状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受装置及び潤滑剤状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源で生成される7色の光を潤滑剤に順次照光し、その反射光からモノクロセンサで色ごとの吸収率や反射率を捉えることで、潤滑剤の劣化の判定を行うセンサをシール部材に取り付けた玉軸受が開示されている。
【0003】
このセンサの構造では、光源からマジックミラーを透過させて潤滑剤に照光を行うと共に、反射光をマジックミラーで90°向きを変えて受光部であるモノクロセンサへ送るため、受光部に対して光源の影響を防止するための機構が不要であり、比較的安価な部品で構成できる。
【0004】
また、潤滑剤で反射した反射光を潤滑剤の劣化の検出に利用しているため、透過光を利用する場合に比べ、識別や色相変化を防止するために潤滑剤に添加された染料や顔料などの着色剤の影響を受けにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のセンサは、軸受の潤滑剤をシールするシール部材に取り付けられる。このため、劣化状況の把握可能な潤滑剤はシール芯金に付着している箇所に限られ、最も劣化度合いを把握したい保持器ポケットの内側の転動体近傍や、円錐ころ軸受における大鍔近傍の潤滑剤の状況を把握することが困難である。
【0007】
また、例えば、カップとコーンに分かれる円錐ころ軸受などの部品が分離可能な軸受では、シール部材を装着すること自体が困難なため、この種の軸受への上記のセンサの適用は難しい。
【0008】
そこで本発明は、潤滑剤の状態を的確に把握可能な軸受装置及び潤滑剤状態検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は下記構成からなる。
(1) 内周面に外輪軌道面を有する外輪部材と、
外周面に内輪軌道面を有する内輪部材と、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間の軌道に転動自在に設けられた複数の転動体と、
前記外輪部材と前記内輪部材との間における軸方向の少なくとも一方の側部に嵌め込まれて前記軌道内の潤滑剤の状態を検出する環状の潤滑剤状態検出センサと、
を備える軸受装置であって、
前記潤滑剤状態検出センサは、
前記潤滑剤が接触する検出面を有する透光性樹脂からなる環状本体部と、
前記環状本体部に埋め込まれて前記検出面へ向かって光を照射する発光体と、
前記環状本体部に埋め込まれて前記検出面と前記潤滑剤との界面で反射する光を受光して検出信号を出力する受光体と、
を有し、
前記発光体及び前記受光体は、径方向から視て前記検出面で光軸が交差するように前記環状本体部に埋め込まれている、
軸受装置。
(2) 上記(1)に記載の軸受装置における潤滑剤状態検出方法であって、
前記潤滑剤状態検出センサの前記発光体から光を照射させ、
前記潤滑剤状態検出センサの前記受光体からの検出信号に基づいて、前記検出面と前記潤滑剤との界面で反射した前記発光体の反射光の光量を検出し、
前記光量に基づいて、前記潤滑剤の劣化状態を判定する、
潤滑剤状態検出方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、潤滑剤の状態を的確に把握可能な軸受装置及び潤滑剤状態検出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る軸受装置の断面図である。
【
図2】
図2は、潤滑剤状態検出センサ及び円すいころを径方向外方から視た模式図である。
【
図3】
図3は、変形例1-1に係る軸受装置の断面図である。
【
図4】
図4は、変形例1-2に係る軸受装置の断面図である。
【
図5】
図5は、変形例1-3に係る軸受装置の断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る軸受装置の断面図である。
【
図7】
図7は、変形例2-1に係る軸受装置の断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る軸受装置の断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る軸受装置の一部の拡大断面図である。
【
図10】
図10は、変形例3-1に係る軸受装置の一部の拡大断面図である。
【
図11】
図11は、変形例3-2に係る軸受装置の断面図である。
【
図12】
図12は、変形例3-3に係る軸受装置の断面図である。
【
図13】
図13は、変形例3-4に係る軸受装置の断面図である。
【
図14】
図14は、変形例3-4に係る軸受装置の一部の拡大断面図である。
【
図15】
図15は、変形例3-5に係る軸受装置の一部の拡大断面図である。
【
図16】
図16は、変形例3-6に係る軸受装置の断面図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る軸受装置の断面図である。
【
図18】
図18は、変形例4-1に係る軸受装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る軸受装置100の断面図である。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る軸受装置100は、円すいころ軸受である。この軸受装置100は、潤滑剤状態検出センサ10を備えている。
【0014】
円すいころ軸受からなる軸受装置100は、内周面に外輪軌道面101を有する外輪(外輪部材)102と、外周面に内輪軌道面103を有する内輪(内輪部材)104と、外輪軌道面101と内輪軌道面103との間の軌道に転動可能に設けられる複数の円すいころ105と、複数の円すいころ105を周方向に略等間隔に保持する保持器106と、を備える。内輪104は、大径側端部に設けられる大鍔部111と、小径側端部に設けられる小鍔部112と、を有する。
【0015】
円すいころ105は、大径側の端面からなる大径側端面105aと、小径側の端面からなる小径側端面105bと、周面からなる転動面105cと、を有する。なお、大径側端面105aは、凸球面状に形成されている。
【0016】
保持器106は、大径側円環部106aと、小径側円環部106bと、大径側円環部106aと小径側円環部106bとを軸方向に連結し、周方向に略等間隔に設けられる複数の柱部106cと、周方向に互いに隣り合う柱部106cの間で、大径側円環部106a及び小径側円環部106bにより囲まれて形成され、円すいころ105を転動可能に保持するポケット106dと、を有する。
【0017】
図2は、潤滑剤状態検出センサ10及び円すいころ105を径方向外方から視た模式図である。
図2に示すように、潤滑剤状態検出センサ10は、環状本体部11と、センサ部12とを有している。潤滑剤状態検出センサ10は、環状に形成されており、外輪102と内輪104との間における軸方向の少なくとも一方の側部に嵌め込まれて軌道内の潤滑剤の状態を検出する。本実施形態では、軸受装置100における内輪104の大鍔部111(軸方向の側部)に嵌装されて固定されている。潤滑剤状態検出センサ10は、円すいころ105の軌道に設けられた潤滑剤Gの状態を検出するセンサである。
【0018】
環状本体部11は、透光性を有する樹脂材料から形成されている。この環状本体部11は、透明度が高く、かつ耐熱性に優れた樹脂材料から形成するのが好ましく、例えば、アクリルやポリカーボネート等の樹脂材料が用いられる。
【0019】
センサ部12は、環状本体部11における周方向の少なくとも一か所に設けられている。なお、センサ部12は、環状本体部11における周方向の複数箇所に設けてもよい。ただし、潤滑剤Gが円すいころ105によって撹拌されて流動することを考慮すれば、センサ部12を環状本体部11の周方向の一か所に設けることで、潤滑剤Gの状態の検出機能を十分に得ることが可能である。
【0020】
センサ部12は、発光ダイオード(LED)等の発光体15と、照度センサ等の受光体16とを有している。これらの発光体15及び受光体16は、環状本体部11に埋め込まれている。潤滑剤状態検出センサ10は、円すいころ105の軌道側の面が検出面17とされている。そして、潤滑剤状態検出センサ10は、検出面17に付着した潤滑剤Gの状態をセンサ部12によって検出する。
【0021】
発光体15及び受光体16は、潤滑剤状態検出センサ10の径方向から視て、それぞれの光軸15a,16aが、検出面17へ向かって次第に近接するように傾斜された状態で配置されている。これにより、潤滑剤状態検出センサ10の軸方向に対して、発光体15の光軸15aは傾斜角αで傾斜され、受光体16の光軸16aは傾斜角βで傾斜されている。そして、これらの発光体15及び受光体16の光軸15a,16aは、検出面17で交差されている。発光体15の光軸15aの傾斜角α及び受光体16の光軸16aの傾斜角βは、それぞれ0°~70°の範囲とされている。なお、発光体15の光軸15aの傾斜角α及び受光体16の光軸16aの傾斜角βは、30°~45°で、かつ互いに同一角度(α=β)であるのが好ましい。
【0022】
センサ部12では、発光体15によって検出面17に付着した潤滑剤Gに光が照射される。そして、この検出面17と潤滑剤Gとの界面で反射した光が受光体16によって受光されると、受光体16は、受光した光を電気信号に変換して検出信号として出力する。
【0023】
センサ部12を構成する発光体15及び受光体16は、有線または無線によって検出装置(図示略)との間で信号の送受信が行われる。なお、無線の場合は、トランスミッター等を介して検出装置と通信される。ここで、潤滑剤状態検出センサ10が装着された内輪104を静止輪として軸受装置100が使用される場合は、有線による通信方式とすることにより、コストが抑えられる。これに対して、潤滑剤状態検出センサ10が装着された内輪104を回転輪として軸受装置100が使用される場合は、無線による通信方式とすることにより、回転するセンサ部12と円滑に通信できる。
【0024】
検出装置は、発光体15から光を照射させるとともに、受光体16からの検出信号を受信し、検出信号の電圧等に基づいて、潤滑剤Gの色(明度)をパラメータとして潤滑剤Gの状態を監視する。
【0025】
ここで、潤滑剤Gは、基油の酸化、添加剤の消耗、軌道面101,103や大鍔面111aと円すいころ105の接触により発生する摩耗物の混入による劣化によって、初期状態の色(着色料の色)から変化する。例えば、初期状態で褐色の潤滑剤Gは、劣化することで黒色に変化するため、明度が低下する。その結果、発光体15から照射される光が検出面17と潤滑剤Gとの界面で反射して受光体16へ到達する際の光量が減少する。受光体16に到達する反射光の照度は、受光体16からの検出信号の電圧に対して、例えば、比例関係を有する。したがって、受光体16に到達する反射光の照度が低下すると、受光体16から出力される検出信号の電圧が低下する。
【0026】
そして、検出装置は、この受光体16からの検出信号に基づき、受光体16での光量が低下し、検出信号の電圧が予め設定した閾値を下回った際に、潤滑剤Gが劣化したと判定する。例えば、検出装置は、潤滑剤Gの劣化状態を、要注意状態、要交換状態、あるいは寿命到達状態であると判定する。
【0027】
このように、第1実施形態に係る軸受装置100によれば、受光体16からの検出信号に基づいて、発光体15から照射されて検出面17と潤滑剤Gとの界面で反射した反射光の光量を検出することで、検出面17に付着している潤滑剤Gの状態を的確に把握できる。
【0028】
また、潤滑剤状態検出センサ10は、透光性樹脂からなる環状本体部11に発光体15及び受光体16を埋め込んで構成され、外輪102と内輪104との間に嵌め込むことで軸受装置100へ容易に装着できる。したがって、潤滑剤をシールするシール部材に取り付ける構造と比較し、装着性及び汎用性を向上できる。なお、図示の例では、潤滑剤検出センサ10の軸方向寸法は大鍔部111と略一致しているが、潤滑剤検出センサ10の軸方向寸法を大鍔部111より大きく設定して、潤滑剤検出センサ10を内輪104の大端面から突出するように装着してもよく、潤滑剤検出センサ10の軸方向寸法を大鍔部111より小さく設定して、潤滑剤検出センサ10を内輪104の大端面から引っ込んだ位置に装着してもよい。潤滑剤検出センサ10が内輪104の大端面から突出して装着される場合は、潤滑剤検出センサ10が不用意に動くことを防止する為、環状本体部11の突出部分の内径を大鍔部111より小径とした断面L字形とし、内輪104の大端面に突き当てできる様にしてもよい。
【0029】
次に、第1実施形態における変形例について説明する。
なお、上記第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
(変形例1-1)
図3は、変形例1-1に係る軸受装置100Aの断面図である。
図3に示すように、変形例1-1に係る軸受装置100Aでは、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17が、大鍔部111の大鍔面111aの延長線に一致するテーパ形状に形成されている。そして、この潤滑剤状態検出センサ10のセンサ部12を構成する発光体15及び受光体16は、それぞれの光軸15a,16aが検出面17と直交するように、環状本体部11に対して傾けて配置されている。
【0031】
この変形例1-1に係る軸受装置100Aによれば、円すいころ105の大径側端面105aと検出面17との距離を縮められる。これにより、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって円すいころ105の大径側端面105aが潤滑され、大鍔面111aへの潤滑剤Gの還流が促進されるので、軸受装置100Aにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。
【0032】
なお、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17は、円すいころ105の大径側端面105aの接線と平行となるようにテーパ形状として近接させてもよい。
【0033】
(変形例1-2)
図4は、変形例1-2に係る軸受装置100Bの断面図である。
図4に示すように、変形例1-2に係る軸受装置100Bでは、外輪102の張出部102a(軸方向の側部)の内周側に潤滑剤状態検出センサ10を嵌合させて固定している。そして、潤滑剤状態検出センサ10は、そのセンサ部12の検出面17が、保持器106の大径側円環部106aよりも外周側に配置されている。
【0034】
この軸受装置100Bでは、円すいころ105の公転遠心力により外輪102の大径側に堆積した潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0035】
一般に、軸受装置は、内輪回転で使用する場合が多いため、外輪102に潤滑剤状態検出センサ10を固定した軸受装置100Bによれば、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0036】
(変形例1-3)
図5は、変形例1-3に係る軸受装置100Cの断面図である。
図5に示すように、変形例1-3に係る軸受装置100Cにおいても、外輪102の張出部102a(軸方向の側部)の内周側に潤滑剤状態検出センサ10を嵌合させて固定している。そして、潤滑剤状態検出センサ10は、そのセンサ部12の検出面17が、保持器106の大径側円環部106aよりも内周側に配置されている。
【0037】
この軸受装置100Cでは、保持器106のポケット106dの内径側の稜部によって掻き取られた潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0038】
また、この軸受装置100Cの場合も、静止輪となる外輪102に潤滑剤状態検出センサ10を固定するので、内輪104を回転させる内輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0039】
なお、上記軸受装置100B、100Cの場合も、軸受装置100A(
図3参照)と同様に、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17を、大鍔部111の大鍔面111aの延長線に一致するテーパ形状または円すいころ105の大径側端面105aの接線と平行なテーパ形状として近接させるのが好ましい。このようにすれば、円すいころ105の大径側端面105aと検出面17との距離を縮められ、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって円すいころ105の大径側端面105aが潤滑され、潤滑剤Gの大鍔部111の大鍔面111aへの還流が促進されるので、軸受装置100B,100Cにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。
【0040】
以下、第2~第4実施形態について説明する。
なお、第2~第4実施形態において、第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る軸受装置200の断面図である。
図6に示すように、第2実施形態に係る軸受装置200は、潤滑剤状態検出センサ10を備えた玉軸受である。
【0042】
玉軸受からなる軸受装置200は、内周面に断面円弧状の外輪軌道面201を有する外輪(外輪部材)202と、外周面に断面円弧状の内輪軌道面203を有する内輪(内輪部材)204と、外輪軌道面201と内輪軌道面203との間の軌道に転動可能に設けられる複数の玉205と、複数の玉205を周方向に略等間隔に保持する保持器206と、を備える。
【0043】
軸受装置200では、潤滑剤状態検出センサ10は、軸方向の一方側において、内輪204の肩部(軸方向の側部)に嵌装されて固定され、センサ部12の検出面17が、保持器206よりも内周側に配置されている。
【0044】
この軸受装置200では、潤滑剤状態検出センサ10が、玉205の軌道から押し出される潤滑剤Gの状態を検出する。そして、潤滑剤状態検出センサ10のセンサ部12の受光体16からの検出信号が検出装置へ送信されると、検出信号の電圧に基づいて、潤滑剤Gの劣化状態が監視される。
【0045】
この軸受装置200では、内輪204に潤滑剤状態検出センサ10を固定している。したがって、外輪201を回転させる外輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0046】
次に、第2実施形態における変形例について説明する。
なお、上記第2実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
(変形例2-1)
図7は、変形例2-1に係る軸受装置200Aの断面図である。
図7に示すように、変形例2-1に係る軸受装置200Aでは、軸方向の一方側において、外輪202の肩部(軸方向の側部)に潤滑剤状態検出センサ10が嵌合されて固定されている。そして、潤滑剤状態検出センサ10は、そのセンサ部12の検出面17が、保持器206よりも外周側に配置されている。
【0047】
この軸受装置200Aでは、玉205の公転遠心力により外輪202の大径側に堆積した潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0048】
また、この軸受装置200Aでは、外輪202に潤滑剤状態検出センサ10を固定している。したがって、内輪204を回転させる内輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0049】
上記軸受装置200,200Aの場合も、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17を玉205の接線と平行なテーパ形状として近接させるのが好ましい。このようにすれば、玉205と検出面17との距離を縮められ、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって玉205が潤滑されて還流が促進されるので、軸受装置200,200Aにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。
【0050】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る軸受装置300の断面図である。
図9は、第3実施形態に係る軸受装置300の一部の拡大断面図である。
図8及び
図9に示すように、第3実施形態に係る軸受装置300は、潤滑剤状態検出センサ10を備えた第1世代と称されるハブユニット軸受である。
【0051】
ハブユニット軸受からなる軸受装置300は、自動車等の車輪を支持する軸受であり、車輪を取り付けるためのハブ輪を回転自在に支承するものである。このハブユニット軸受は、駆動輪用と従動輪用とがあり、構造上の理由から、一般的に、駆動輪用では内輪回転方式が採用され、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が採用される。軸受装置300は、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列円すいころ軸受を嵌合させた第1世代と称される構造のハブユニット軸受である。
【0052】
ハブユニット軸受からなる軸受装置300は、内周面に一対の外輪軌道面301を有する外輪部材302と、外周面に一対の内輪軌道面303を有する内輪部材304と、外輪軌道面301と内輪軌道面303との間のそれぞれの軌道に転動可能に設けられる複数の円すいころ305と、複数の円すいころ305を周方向に略等間隔に、保持する保持器306と、備える。
【0053】
内輪部材304は、一対の内輪304aを軸方向に突き合わせて構成されている。内輪部材304は、大径側端部に設けられる大鍔部311と、小径側端部に設けられる小鍔部312と、を有する。
【0054】
円すいころ305は、大径側の端面からなる大径側端面305aと、小径側の端面からなる小径側端面305bと、周面からなる転動面305cと、を有する。
【0055】
保持器306は、大径側円環部306aと、小径側円環部306bと、大径側円環部306aと小径側円環部306bとを軸方向に連結し、周方向に略等間隔に設けられる複数の柱部306cと、周方向に互いに隣り合う柱部306cの間で、大径側円環部306a及び小径側円環部306bにより囲まれて形成され、円すいころ305を転動可能に保持するポケット306dと、を有する。
【0056】
軸受装置300では、潤滑剤状態検出センサ10は、軸方向の両側において、内輪部材304の各内輪304aの大鍔部311(軸方向の側部)にそれぞれ嵌装されて固定され、センサ部12の検出面17が、保持器306よりも内周側に配置されている。
【0057】
また、軸受装置300は、組合せシール(シール部材)307を備える。この組合せシール307は、軸方向の両側において、外輪部材302の張出部302aと潤滑剤状態検出センサ10との間に設けられて内部を封止する。
【0058】
組合せシール307は、シールリング331と、鋼板又はステンレス鋼板等からなる断面L字形状のスリンガ332と、を備えている。なお、この組合せシール307は、スリンガ332に支持固定された磁性ゴムからなるエンコーダ333を備えている。
【0059】
シールリング331は、芯金335と、弾性材336とから構成されている。芯金335は、軟鋼板等の金属板により、断面L字形状に形成されている。弾性材336は、例えば、ゴム等の弾性材料から形成されており、芯金335の全周にわたって加硫接着成形によって結合されている。
【0060】
この軸受装置300では、潤滑剤状態検出センサ10が、円すいころ305の軌道から押し出される潤滑剤Gの状態を検出する。そして、潤滑剤状態検出センサ10のセンサ部12の受光体16からの検出信号が検出装置へ送信されると、検出信号の電圧に基づいて、潤滑剤Gの劣化状態が監視される。
【0061】
この軸受装置300では、内輪部材304の各内輪304aに潤滑剤状態検出センサ10を固定している。したがって、外輪部材302を回転させる外輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0062】
ここで、軸受部材300では、潤滑剤状態検出センサ10は、内輪部材304の各内輪304aの大鍔部311に嵌合されるとともに、組合せシール307のスリンガ332に内嵌されている。
【0063】
この場合、潤滑剤状態検出センサ10は、外内周面が嵌合面となるため、内輪304aの大鍔部311への圧入後に組合せシール307を圧入すると、この圧入する組合せシール307によって軸方向へ移動するおそれがある。したがって、予め組合せシール307のスリンガ332を潤滑剤状態検出センサ10に圧入して組合せシール307を組付け、これらの潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307を、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に同時に嵌合するのが好ましい。これにより、潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307を、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の適切な位置に固定できる。
【0064】
なお、軸受装置300では、軸方向の両側に潤滑剤状態検出センサ10を装着した場合を例示したが、例えば、最大負荷が付与されるような使用条件が厳しく、潤滑剤Gの寿命が短くなりやすい一方側だけに潤滑剤状態検出センサ10を装着し、コストを抑えてもよい。
【0065】
次に、第3実施形態における変形例について説明する。
なお、上記第3実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
(変形例3-1)
図10は、変形例3-1に係る軸受装置300Aの一部の拡大断面図である。
図10に示すように、変形例3-1に係る軸受装置300Aでは、潤滑剤状態検出センサ10の環状本体部11の外周部に、組合せシール307のスリンガ332を係止する係止部11aが形成されている。これにより、互いに組付けた潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307を、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に嵌合する際の圧入性を高めることができる。なお、組合せシール307のスリンガ332は、潤滑剤状態検出センサ10の環状本体部11に対してモールド固定してもよい。
【0067】
また、環状本体部11の外周部には、係止部11aよりも軸受内部側に、軸受外部側へ向かって次第に径方向外方へ傾斜するテーパ形状のガイド面11bが形成されている。これにより、環状本体部11に対して組合せシール307のシーリング331を組付ける際に、ガイド面11bによってシーリング331のラジアルリップをスリンガ332へガイドして導くことができ、シーリング331のラジアルリップの反転を防ぐことで組付け性を向上できる。
【0068】
また、変形例3-1に係る軸受装置300Aでは、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17が大鍔部311の大鍔面311aの延長線に一致するテーパ形状とされている。したがって、円すいころ305の大径側端面305aと検出面17との距離を縮められ、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって円すいころ305の大径側端面305aが潤滑され、大鍔面311aへの潤滑剤Gの還流が促進されるので、軸受装置300Aにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。なお、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17は、円すいころ305の大径側端面305aの接線と平行なテーパ形状としてもよい。
【0069】
(変形例3-2)
図11は、変形例3-2に係る軸受装置300Bの断面図である。
図11に示すように、変形例3-2に係る軸受装置300Bは、第2世代と称される構造のハブユニット軸受であり、従動輪用の外輪回転タイプの軸受である。
【0070】
この軸受装置300Bでは、外輪部材302に、円盤状のフランジ部302bが形成されている。このフランジ部302bには、軸方向に貫通する複数の貫通孔302cが周方向に等間隔で形成されており、それぞれの貫通孔302cには、ホイール及びブレーキロータなどを締結するためのハブボルト302dが固定される。
【0071】
この軸受装置300Bにおいても、軸方向の両側において、内輪部材304の各内輪304aの大鍔部311(軸方向の側部)に、潤滑剤状態検出センサ10がそれぞれ嵌装されて固定され、センサ部12の検出面17が、保持器306よりも内周側に配置されている。
【0072】
また、軸受装置300Bでは、軸方向の一方側において、外輪部材302の張出部302aと潤滑剤状態検出センサ10との間に組合せシール307が設けられて内部が封止されている。
【0073】
この軸受装置300Bにおいても、潤滑剤状態検出センサ10が、円すいころ305の軌道から押し出される潤滑剤Gの状態を検出する。そして、潤滑剤状態検出センサ10のセンサ部12の受光体16からの検出信号が検出装置へ送信されると、検出信号の電圧に基づいて、潤滑剤Gの劣化状態が監視される。
【0074】
また、この軸受装置300Bの場合も、静止輪である内輪部材304の各内輪304aに潤滑剤状態検出センサ10を固定するので、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0075】
なお、軸受装置300Bにおいても、変形例3-1の軸受装置300A(
図10参照)と同様に、潤滑剤状態検出センサ10の環状本体部11に係止部11a及びガイド面11bを設けてもよい。これにより、潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307の内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間への圧入性が高められ、また、環状本体部11に対する組合せシール307のシーリング331の組付け性が高められる。
【0076】
さらに、軸受装置300Bの場合も、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17を、大鍔面311aの延長と一致するテーパ形状または円すいころ305の大径側端面305aの接線と平行なテーパ形状とするのが好ましい。このようにすれば、円すいころ305と検出面17との距離を縮められ、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって円すいころ305が潤滑され、大鍔面311aへの潤滑剤Gの還流が促進されるので、軸受装置300Bにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。
【0077】
(変形例3-3)
図12は、変形例3-3に係る軸受装置300Cの断面図である。
図12に示すように、変形例3-3に係る軸受装置300Cは、第3世代と称される構造のハブユニット軸受であり、従動輪用の外輪回転タイプの軸受である。
【0078】
この軸受装置300Cにおいても、変形例3-2に係る軸受装置300Bと同様に、外輪部材302は、複数の貫通孔302cが周方向に等間隔で形成された円盤状のフランジ部302bを有し、それぞれの貫通孔302cには、ホイール及びブレーキロータなどを締結するためのハブボルト302dが固定される。
【0079】
また、内輪部材304は、静止輪304eと、静止輪304eに外嵌合された内輪304aと、を含む。静止輪304eには、円盤状のフランジ部304bが形成されている。このフランジ部304bには、軸方向に貫通する複数の貫通孔304cが周方向に等間隔で形成されており、それぞれの貫通孔304cには、ボルト(図示略)が挿通され、このボルトによって車体に固定される。
【0080】
静止輪304eは、内輪軌道面303及び小径段部304dを有している。この静止輪304eの小径段部304dには、内輪軌道面303を有する内輪304aが外嵌合されて加締められている。そして、外輪部材302の外輪軌道面301と、静止輪304e及び内輪304aの内輪軌道面303との間のそれぞれの軌道に、円すいころ305が転動可能に設けられる。
【0081】
この軸受装置300Cにおいても、軸方向の両側において、静止輪304e及び内輪304aの大鍔部311(軸方向の側部)に、潤滑剤状態検出センサ10がそれぞれ嵌装されて固定され、センサ部12の検出面17が、保持器306よりも内周側に配置されている。
【0082】
また、軸受装置300Cでは、軸方向の一方側において、外輪部材302の張出部302aと潤滑剤状態検出センサ10との間に組合せシール307が設けられて内部が封止されている。
【0083】
この軸受装置300Cにおいても、潤滑剤状態検出センサ10が、円すいころ305の軌道から押し出される潤滑剤Gの状態を検出する。そして、潤滑剤状態検出センサ10のセンサ部12の受光体16からの検出信号が検出装置へ送信されると、検出信号の電圧に基づいて、潤滑剤Gの劣化状態が監視される。
【0084】
また、この軸受装置300Cの場合も、静止している静止輪304e及び内輪304aに潤滑剤状態検出センサ10を固定するので、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0085】
なお、軸受装置300Cでは、フランジ部304bが存在する為、車体側のシールと潤滑剤状態検出センサ10はホイール側から圧入する必要がある。シール307のスリンガ332と滑剤状態検出センサ10の組立体を内輪部材に取付けた後で、外輪部材302に取付けられたシールリング331を組み合わせるので、シールリング331がラジアルリップを持つ場合には、変形例3-1の軸受装置300A(
図10参照)の潤滑剤状態検出センサ10の環状本体部11のガイド面11bは必須である。これにより、潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307の大鍔部311と張出部302aとの間の空間への圧入性が高められ、また、環状本体部11に対する組合せシール307のシーリング331の組付け性が高められる。
【0086】
さらに、軸受装置300Cの場合も、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17を、大鍔面311aの延長線に一致するテーパ形状または円すいころ305の大径側端面305aの接線と平行なテーパ形状とするのが好ましい。このようにすれば、円すいころ305と検出面17との距離を縮められ、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって円すいころ305が潤滑され、大鍔面311aへの潤滑剤Gの還流が促進されるので、軸受装置300Cにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。
【0087】
(変形例3-4)
図13は、変形例3-4に係る軸受装置300Dの断面図である。
図14は、変形例3-4に係る軸受装置300Dの一部の拡大断面図である。
図13及び
図14に示すように、変形例3-4に係る軸受装置300Dは、軸受装置300(
図9及び
図10参照)と同様のハブユニット軸受である。
【0088】
この軸受装置300Dでは、外輪302の張出部302a(軸方向の側部)の内径側に潤滑剤状態検出センサ10が嵌合されて固定されている。そして、潤滑剤状態検出センサ10は、そのセンサ部12の検出面17が、保持器306の大径側円環部306aよりも外周側に配置されている。
【0089】
また、軸受装置300Dは、軸方向の両側において、内輪部材304の各内輪304aの大鍔部311と潤滑剤状態検出センサ10との間に組合せシール307が設けられている。この組合せシール307は、潤滑剤状態検出センサ10に組付けられる。そして、潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307は、互いに組付けられた状態で、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に同時に嵌合される。
【0090】
潤滑剤状態検出センサ10の環状本体部11は、その内周部に、組合せシール307の芯金335を係止する係止部11cを有している。これにより、互いに組付けた潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307を、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に嵌合する際の圧入性を高めることができる。
【0091】
この軸受装置300Dでは、外輪部材302の内周側に嵌合させた潤滑剤状態検出センサ10によって、円すいころ305の公転遠心力により外輪部材302の大径側に堆積した潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0092】
また、軸受装置300Dでは、外輪部材302に潤滑剤状態検出センサ10を固定している。したがって、内輪部材304を回転させる内輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0093】
(変形例3-5)
図15は、変形例3-5に係る軸受装置300Eの一部の拡大断面図である。
図15に示すように、変形例3-5に係る軸受装置300Eは、軸受装置300D(
図13及び
図14参照)と同様のハブユニット軸受であり、外輪部材302の張出部302a(軸方向の側部)の内周側に潤滑剤状態検出センサ10が嵌合されて固定されている。この潤滑剤状態検出センサ10は、組合せシール307が組付けられた状態で、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に同時に嵌合される。
【0094】
また、潤滑剤状態検出センサ10は、軸受内側が内周方向へ突出して係止部11cとされており、この係止部11cにセンサ部12が設けられている。そして、潤滑剤状態検出センサ10は、そのセンサ部12の検出面17が、保持器306の大径側円環部306aよりも内周側に配置されている。したがって、この軸受装置300Eでは、保持器306のポケット306dの内径側の稜部によって掻き取られた潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0095】
また、軸受装置300Eの場合も、外輪部材302に潤滑剤状態検出センサ10を固定している。したがって、内輪部材304を回転させる内輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0096】
さらに、軸受装置300Eの場合も、潤滑剤状態検出センサ10の環状本体部11の内周部に、組合せシール307の芯金335を係止する係止部11cを有している。これにより、互いに組付けた潤滑剤状態検出センサ10及び組合せシール307を、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に嵌合する際の圧入性を高めることができる。
【0097】
(変形例3-6)
図16は、変形例3-6に係る軸受装置300Fの断面図である。
図16に示すように、変形例3-6に係る軸受装置300Fは、軸受装置300B(
図11参照)と同様に、第2世代のハブユニット軸受である。この軸受装置300Fは、駆動輪用の内輪回転タイプの軸受であり、外輪部材302に、複数の貫通孔302cを有する円盤状のフランジ部302bが形成されている。このフランジ部302bには、貫通孔302cにボルト(図示略)が挿通され、このボルトによって車体に固定される。
【0098】
軸受装置300Fは、外輪部材302の張出部302a(軸方向の側部)の内径側に潤滑剤状態検出センサ10が嵌合されて固定されている。この潤滑剤状態検出センサ10は、組合せシール307が組付けられた状態で、内輪304aの大鍔部311と外輪部材302の張出部302aとの間の空間に同時に嵌合される。
【0099】
この軸受装置300Fでは、外輪部材302の内周側に嵌合させた潤滑剤状態検出センサ10によって、円すいころ305の公転遠心力により外輪部材302の大径側に堆積した潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0100】
また、この軸受装置300Fでは、静止輪である外輪部材302に潤滑剤状態検出センサ10を固定するので、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0101】
(第4実施形態)
図17は、第4実施形態に係る軸受装置400の断面図である。
図17に示すように、第4実施形態に係る軸受装置400は、第3世代のハブユニット軸受であり、従動輪用として用いられる。
【0102】
このハブユニット軸受からなる軸受装置400は、内周面に一対の外輪軌道面401を有する外輪部材(外輪)402と、外周面に一対の内輪軌道面403を有する内輪部材404と、外輪軌道面401と内輪軌道面403との間のそれぞれの軌道に転動可能に設けられる複数の円すいころ405と、複数の円すいころ405を周方向に略等間隔に保持する保持器406と、組合せシール(シール部材)407と、備える。
【0103】
内輪部材404は、ハブ輪404eと、ハブ輪404eに形成された小径段部404dに外嵌合された内輪404aと、を含む。内輪404aは、外周面に内輪軌道面403を有する。この軸受装置400は、ハブ輪404eの小径段部404dに内輪404aを外嵌合した状態で加締められて組み立てられる加締めタイプのハブユニット軸受である。なお、軸受装置400は、ハブ輪404eの小径段部404dに内輪404aを外嵌合した状態でナット締めして組み立てられるナット締めタイプのハブユニット軸受でもよい。また、軸受装置400は、ハブ輪404eの中心部にCVJと係合するスプライン孔を設けた駆動輪用のハブユニット軸受でもよい。
【0104】
外輪部材402には、円盤状のフランジ部402bが形成されている。このフランジ部402bには、軸方向に貫通する複数の貫通孔402cが周方向に等間隔で形成されている。また、ハブ輪404eには、円盤状の他のフランジ部404bが形成されている。このフランジ部404bには、軸方向に貫通する複数の貫通孔404cが周方向に等間隔で形成されている。フランジ部402b,404bの貫通孔402c,404cには、例えば、ホイール及びブレークロータまたは車体などの被取付側へ固定するためのボルト(図示略)が挿通される。なお、これらの貫通孔402c,404cに雌ネジを形成し、被取付側のボルトを締結してもよく、また、貫通孔402c,404cに予めスタッドボルトを取り付けてもよい。
【0105】
円すいころ405は、大径側の端面からなる大径側端面405aと、小径側の端面からなる小径側端面405bと、周面からなる転動面405cと、を有し、保持器406のポケットに転動可能に保持されている。
【0106】
軸受装置400では、潤滑剤状態検出センサ10は、軸方向の両側において、ハブ輪404e及び内輪404aの大鍔部411(軸方向の側部)にそれぞれ嵌装されて固定され、センサ部12の検出面17が、保持器406よりも内周側に配置されている。
【0107】
また、軸受装置400では、軸方向の両側において、外輪部材402の張出部402aと潤滑剤状態検出センサ10との間に組合せシール407が設けられて内部が封止されている。
【0108】
この軸受装置400では、潤滑剤状態検出センサ10が、円すいころ405の軌道から押し出される潤滑剤Gの状態を検出する。そして、潤滑剤状態検出センサ10のセンサ部12の受光体16からの検出信号が検出装置へ送信されると、検出信号の電圧に基づいて、潤滑剤Gの劣化状態が監視される。
【0109】
なお、外側列(
図17における左側)では、大鍔部411の高周波加熱(HFQ)等の熱処理によるオーバーヒートを防止するため、大鍔部411の外周面と大鍔面411aとの間には大きな面取を設ける必要があり、その面取部分に潤滑剤Gが滞留しやすい。したがって、外側列に潤滑剤状態検出センサ10を設ける場合は、検出面17への潤滑剤Gの付着のしやすさと、大鍔面411aへの潤滑剤Gの還流を考慮し、検出面17を大鍔部411の大鍔面411aの延長線に一致するテーパ形状または円すいころ405の大径側端面405aの接線と平行なテーパ形状とするのが好ましい。
【0110】
次に、第4実施形態における変形例について説明する。
なお、上記第4実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0111】
(変形例4-1)
図18は、変形例4-1に係る軸受装置400Aの断面図である。
図19は、エンドキャップ441の一部の断面図である。
図18に示すように、変形例4-1に係る軸受装置400Aは、軸受装置400と同様に、第3世代のハブユニット軸受であり、内輪回転で使用する場合を想定している。
【0112】
軸受装置400Aは、外輪部材402の張出部402a(軸方向の側部)の内周側に潤滑剤状態検出センサ10が嵌合されて固定されている。
【0113】
また、この軸受装置400Aでは、軸方向の一方には、組合せシール407がなく、エンドキャップ441によって端部が封止されている。エンドキャップ441は、円板状の封止板部442と、円環状の嵌合円筒部443とを有しており、嵌合円筒部443を外輪部材402の張出部402aに嵌め込むことで装着されている。
【0114】
この軸受装置400Aでは、外輪部材402の内周側に嵌合させた潤滑剤状態検出センサ10によって、円すいころ405の公転遠心力により外輪部材402の大径側に堆積した潤滑剤Gの劣化度を容易に検出できる。
【0115】
また、軸受装置400Aでは、外輪部材402に潤滑剤状態検出センサ10を固定している。したがって、内輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式でセンサ部12と検出装置とを通信させることができる。
【0116】
なお、軸受装置400Aの場合も、潤滑剤状態検出センサ10の検出面17を、大鍔面411aの延長と一致するテーパ形状または円すいころ405の接線と平行なテーパ形状とするのが好ましい。このようにすれば、円すいころ405と検出面17との距離を縮められ、検出面17へ潤滑剤Gを付着させやすくできるとともに、検出面17に付着する潤滑剤Gの入れ替わりを促進できる。しかも、検出面17に付着する潤滑剤Gによって円すいころ405が潤滑され、大鍔面411への潤滑剤Gの還流が促進されるので、軸受装置400Aにおけるトルクを低減し、焼付きを抑制できる。
【0117】
また、軸受装置400Aのように、端部にエンドキャップ441を装着させる場合、
図19に示すように、エンドキャップ441の嵌合円筒部443の内周側に潤滑剤状態検出センサ10を嵌合させ、エンドキャップ441を外輪部材402の張出部402a(軸方向の側部)に嵌め込むことで、潤滑剤検出センサ10を軸受装置400Aに装着させてもよい。
【0118】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0119】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 内周面に外輪軌道面を有する外輪部材と、
外周面に内輪軌道面を有する内輪部材と、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間の軌道に転動自在に設けられた複数の転動体と、
前記外輪部材と前記内輪部材との間における軸方向の少なくとも一方の側部に嵌め込まれて前記軌道内の潤滑剤の状態を検出する環状の潤滑剤状態検出センサと、
を備える軸受装置であって、
前記潤滑剤状態検出センサは、
前記潤滑剤が接触する検出面を有する透光性樹脂からなる環状本体部と、
前記環状本体部に埋め込まれて前記検出面へ向かって光を照射する発光体と、
前記環状本体部に埋め込まれて前記検出面と前記潤滑剤との界面で反射する光を受光して検出信号を出力する受光体と、
を有し、
前記発光体及び前記受光体は、径方向から視て前記検出面で光軸が交差するように前記環状本体部に埋め込まれている、軸受装置。
この軸受装置によれば、受光体からの検出信号に基づいて、発光体から照射されて検出面と潤滑剤との界面で反射した反射光の光量を検出することで、検出面に付着している潤滑剤の状態を的確に把握できる。
また、潤滑剤状態検出センサは、透光性樹脂からなる環状本体部に発光体及び受光体を埋め込んで構成され、外輪部材と内輪部材との間に嵌め込むことで軸受装置へ容易に装着できる。したがって、潤滑剤をシールするシール部材に取り付ける構造と比較し、装着性及び汎用性を向上できる。
【0120】
(2) 前記内輪部材は、前記転動体と接触する大鍔面を有し、
前記検出面は、前記大鍔面の延長位置に配置され、
前記発光体及び前記受光体は、軸方向の断面視で前記検出面に対して光軸が直交するように前記環状本体部に埋め込まれている、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、転動体と検出面との距離を縮めて検出面へ潤滑剤を付着させやすくできるとともに、検出面に付着する潤滑剤の入れ替わりを促進できる。しかも、検出面に付着する潤滑剤によって転動体が潤滑されて還流が促進されるので、トルクの低下や焼付きを抑制できる。
【0121】
(3) 前記検出面は、前記転動体の接線と平行に配置され、
前記発光体及び前記受光体は、軸方向の断面視で前記検出面に対して光軸が直交するように前記環状本体部に埋め込まれている、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、転動体と検出面との距離を縮めて検出面へ潤滑剤を付着させやすくできるとともに、検出面に付着する潤滑剤の入れ替わりを促進できる。しかも、検出面に付着する潤滑剤によって転動体が潤滑されて還流が促進されるので、トルクの低下や焼付きを抑制できる。
【0122】
(4) 前記潤滑剤状態検出センサは、前記内輪部材の外周面に嵌合されている、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、潤滑剤状態検出センサが内輪部材の外周面に嵌合されているので、内輪部材側における潤滑剤の状態を容易に検出できる。また、外輪部材を回転させる外輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式で潤滑剤状態検出センサと検出装置とを通信させることができる。
【0123】
(5) 前記潤滑剤状態検出センサの外周面と前記外輪部材との間にシール部材が設けられている、(4)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、潤滑剤状態検出センサの外周面と外輪部材との間にシール部材が設けられているので、シール部材に取り付ける構造と比較し、良好なシール性を確保しつつ装着性を向上できる。
【0124】
(6) 前記潤滑剤状態検出センサは、前記外輪部材の内周面に嵌合されている、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、潤滑剤状態検出センサが外輪部材の内周面に嵌合されているので、転動体の公転遠心力により外輪部材側に堆積した潤滑剤の状態を容易に検出できる。また、内輪部材を回転させる内輪回転で使用する場合に、コストが抑えられる有線式で潤滑剤状態検出センサと検出装置とを通信させることができる。
【0125】
(7) 前記潤滑剤状態検出センサの内周面と前記内輪部材との間にシール部材が設けられている、(6)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、潤滑剤状態検出センサの内周面と内輪部材との間にシール部材が設けられているので、シール部材に取り付ける構造と比較し、良好なシール性を確保しつつ装着性を向上できる。
【0126】
(8) 円すいころからなる前記転動体を備える、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、転動体として円すいころを備えた円すいころ軸受からなる軸受装置において、その潤滑剤の状態を的確に把握できる。
【0127】
(9) 玉からなる前記転動体を備える、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、転動体として玉を備えた玉軸受からなる軸受装置において、その潤滑剤の状態を的確に把握できる。
【0128】
(10) 前記外輪部材は、複列の前記外輪軌道面を有し、
前記内輪部材は、複列の前記内輪軌道面を有し、
前記転動体が、前記複列の外輪軌道面と前記複列の内輪軌道面との間の軌道にそれぞれ転動自在に設けられる、(1)に記載の軸受装置。
この軸受装置によれば、例えば、複列の軌道に転動体を備えたハブユニット軸受等からなる軸受装置において、その潤滑剤の状態を的確に把握できる。
【0129】
(11) (1)~(10)のいずれか一つに記載の軸受装置における潤滑剤状態検出方法であって、
前記潤滑剤状態検出センサの前記発光体から光を照射させ、
前記潤滑剤状態検出センサの前記受光体からの検出信号に基づいて、前記検出面と前記潤滑剤との界面で反射した前記発光体の反射光の光量を検出し、
前記光量に基づいて、前記潤滑剤の劣化状態を判定する、
潤滑剤状態検出方法。
この潤滑剤状態検出方法によれば、受光体からの検出信号に基づいて、発光体から照射されて検出面と潤滑剤との界面で反射した反射光の光量を検出することで、検出面に付着している潤滑剤の劣化状態を的確に把握できる。例えば、受光体での受光量が低下し、検出信号の電圧が予め設定した閾値を下回った際に、潤滑剤が劣化したと判定する。これにより、潤滑剤の劣化状態を、要注意状態、要交換状態あるいは寿命到達状態であると判定できる。
【符号の説明】
【0130】
10 潤滑剤状態検出センサ
11 環状本体部
15 発光体
15a,16a 光軸
17 検出面
18 受光体
100,100A~C,200,200A,300,300A~F,400,400A 軸受装置
101,201,301,401 外輪軌道面
102,202 外輪(外輪部材)
103、203,303,403 内輪軌道面
104,204,304a,404a 内輪(内輪部材)
105,205,305,405 転動体
106,206,306,406 保持器
111a,311a,411a 大鍔面
302,402 外輪部材
304,404 内輪部材
304a,404a 内輪(内輪部材)
304e 静止輪(内輪部材)
307,407 組合せシール(シール部材)
404e ハブ輪(内輪部材)
G 潤滑剤