IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
  • 特開-半導体装置 図8
  • 特開-半導体装置 図9
  • 特開-半導体装置 図10
  • 特開-半導体装置 図11
  • 特開-半導体装置 図12
  • 特開-半導体装置 図13
  • 特開-半導体装置 図14
  • 特開-半導体装置 図15
  • 特開-半導体装置 図16
  • 特開-半導体装置 図17
  • 特開-半導体装置 図18
  • 特開-半導体装置 図19
  • 特開-半導体装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007911
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240112BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240112BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652P
H01L29/78 652H
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/91 L
H01L29/91 D
H01L29/06 301V
H01L29/06 301D
H01L29/06 301G
H01L29/06 301F
H01L29/78 657D
H01L29/78 657F
H01L29/78 657B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109314
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】西村 武義
(57)【要約】
【課題】低耐圧領域のみならず高耐圧領域までスイッチングスピードが速く、低オン抵抗である半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は第1半導体素子71と第2半導体素子72を備え、これらは、ストライプ状の第1導電型の第1カラム領域3と、ストライプ状の第2導電型の第2カラム領域4とが繰り返し交互に配置された並列pn構造32、32Bと、第1電極10、12と、第2電極14と、第2導電型のチャネルストッパ40と、第1導電型の第1半導体領域3とを備える。第1半導体素子71の第2電極11と第2半導体素子72の第2電極11とが電気的に接続され、第1半導体素子71のチャネルストッパ40と第2半導体素子72のチャネルストッパ40とが電気的に接続され、第1カラム領域3および第2カラム領域4の長手方向の辺と、隣り合う辺とが直交する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む終端構造部と、を有する第1半導体素子と第2半導体素子は、
第1導電型の半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型のドリフト層と、
前記活性領域において、
前記ドリフト層内に設けられ、前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第1の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第1の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第1並列pn構造と、
前記終端構造部において、
前記ドリフト層内に設けられ、前記ドリフト層の表面から前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第2の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第2の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第2並列pn構造と、を備え、
前記第1並列pn構造の表面層に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域および前記ベース領域を貫通して前記第1の第1カラム領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ソース領域および前記ベース領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
前記終端構造部の前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のチャネルストッパと、
前記終端構造部の前記ドリフト層内に選択的に設けられた、前記チャネルストッパと接する第1導電型の第1半導体領域と、
を備え、
前記第1半導体素子の前記第2電極と前記第2半導体素子の前記第2電極とが電気的に接続され、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記チャネルストッパと前記第2半導体素子の前記チャネルストッパとが電気的に接続され、
前記第1カラム領域および前記第2カラム領域の長手方向の辺と、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺とが直交することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記第1半導体領域と前記第2半導体素子の前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域より不純物濃度の低い第1導電型の第2半導体領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記第1半導体領域と前記第2半導体素子の前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第3半導体領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む終端構造部と、を有する第1半導体素子と第2半導体素子は、
第1導電型の半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型のドリフト層と、
前記活性領域において、
前記ドリフト層内に設けられ前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第1の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第1の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第1並列pn構造と、
前記終端構造部において、
前記ドリフト層内に設けられ、前記ドリフト層の表面から前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第2の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第2の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第2並列pn構造と、を備え、
前記第1並列pn構造の表面層に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域および前記ベース領域を貫通して前記第1の第1カラム領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ソース領域および前記ベース領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
前記終端構造部の前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のチャネルストッパと、
前記終端構造部の前記ドリフト層内に選択的に設けられた、前記チャネルストッパと接する第1導電型の第1半導体領域と、
を備え、
前記第1半導体素子の前記第2電極と前記第2半導体素子の前記第2電極とが電気的に接続され、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記チャネルストッパと前記第2半導体素子の前記チャネルストッパとが電気的に接続され、
前記第1カラム領域および前記第2カラム領域の長手方向の辺と、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺とが平行であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む終端構造部と、を有する第1半導体素子と第2半導体素子は、
第1導電型の半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型のドリフト層と、
前記活性領域において、
前記ドリフト層内に設けられ前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第1の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第1の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第1並列pn構造と、
前記終端構造部において、
前記ドリフト層内に設けられ、前記ドリフト層の表面から前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第2の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第2の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第2並列pn構造と、を備え、
前記第1並列pn構造の表面層に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域および前記ベース領域を貫通して前記第1の第1カラム領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ソース領域および前記ベース領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
前記終端構造部の前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のチャネルストッパと、
前記終端構造部の前記ドリフト層内に選択的に設けられた、前記チャネルストッパと接する第1導電型の第1半導体領域と、
を備え、
前記第1半導体素子の前記第2電極および前記第2半導体素子の前記第2電極は、フレーム電極と電気的に接続され、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記チャネルストッパと前記第2半導体素子の前記チャネルストッパとが離れていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺の長さは、前記隣り合う辺と直交する辺の長さの倍以上の長さであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体素子の第1電極はソース電極であり、前記第2半導体素子の第1電極はドレイン電極であり、
前記第1半導体素子に、検知素子を有する高機能構造を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板と前記ドリフト層、前記第1並列pn領域および前記第2並列pn領域との間には、第1導電型のバッファ層を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ベース領域は、前記第1の第2カラム領域の上面に設けられることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置の電力変換効率を向上させる方法として、中性点クランプを持つAT-NCT(Advanced T-type Neutral-point-Clamped)がある。この方法では、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を使用した双方向スイッチ回路が使用される。図19は、従来のIGBTを使用した双方向スイッチ回路の例である。図19に示すように、IGBT110は逆耐圧が無いことから、FWD(Free Wheeling Diode:還流ダイオード)111と直列に接続し、これらを2組逆並列とすることで、ダイオード(FWD)111の順方向電流を遮断し逆耐圧を有し、双方向動作を可能としている。
【0003】
しかし、この方法では、導通時にダイオード111に順方向電圧が加わることから導通損失が大きい。このため、逆耐圧を有するRB-IGBT(Reverse Blocking-IGBT:逆阻止IGBT)112を使い逆耐圧を担うダイオードを不要とし、導通損失を低減した製品も存在する(例えば、下記非特許文献1参照)。図20は、従来のRB-IGBTを使用した双方向スイッチ回路の例である。
【0004】
また、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)ではバッテリー逆接保護として、MOSFETを逆並列に接続することで、内蔵する寄生ダイオードにより逆耐圧を有し順方向電流を遮断し、双方向動作を可能とするデバイスが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
また、1つの半導体基板に2つのスイッチング素子を備え、P型のコラムCLMを備えた第1素子領域FCM(第1スイッチング素子)と第2素子領域RCM(第2スイッチング素子)が共通のドレインD12を介して電気的に直列に接続されている半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。また、SJ-MOSFETとエッジ終端領域に並列pn領域を有する接合型FETを同一のフレーム電極上に備えている半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-47660号公報
【特許文献2】特開2020-65021号公報
【特許文献3】特開2021-190683号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】武井 学他、逆阻止IGBTの適用技術、富士時報 Vol.75 No.8 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、IGBTを使ったデバイスは、高耐圧・大電流領域においては有効であるが、MOSFETに比べスイッチングスピードが遅いためスイッチング損失が大きく、200V以下の耐圧領域では導通損失も劣っているという課題がある。一方、MOSFETはスイッチングスピードが速いためスイッチング損失は少なく、200V以下の耐圧領域ではオン抵抗が低く大電流化が可能で導通損失も少ないが、200Vを超えた耐圧領域では急激にオン抵抗が増加し導通損失が増加するという課題がある。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、低耐圧領域のみならず高耐圧領域までスイッチングスピードが速く、低オン抵抗(導通損失の少ない)である半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む終端構造部と、を有する第1半導体素子と第2半導体素子を備える。第1半導体素子と第2半導体素子は、第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型のドリフト層が設けられる。前記活性領域において、前記ドリフト層内に前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第1の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第1の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第1並列pn構造が設けられる。前記終端構造部において、前記ドリフト層内に設けられ、前記ドリフト層の表面から前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第2の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第2の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第2並列pn構造が設けられる。前記第1並列pn構造の表面層に第2導電型のベース領域が設けられる。前記ベース領域の表面層に選択的に第1導電型のソース領域が設けられる。前記ソース領域および前記ベース領域を貫通して前記第1の第1カラム領域に達するトレンチが設けられる。前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。前記ソース領域および前記ベース領域に接する第1電極が設けられる。前記半導体基板の裏面に第2電極が設けられる。前記終端構造部の前記ドリフト層の表面層に第2導電型のチャネルストッパが設けられる。前記終端構造部の前記ドリフト層内に選択的に、前記チャネルストッパと接する第1導電型の第1半導体領域が設けられる。前記第1半導体素子の前記第2電極と前記第2半導体素子の前記第2電極とが電気的に接続される。前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記チャネルストッパと前記第2半導体素子の前記チャネルストッパとが電気的に接続される。前記第1カラム領域および前記第2カラム領域の長手方向の辺と、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺とが直交する。
【0011】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記第1半導体領域と前記第2半導体素子の前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域より不純物濃度の低い第1導電型の第2半導体領域が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記第1半導体領域と前記第2半導体素子の前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第3半導体領域が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む終端構造部と、を有する第1半導体素子と第2半導体素子を備える。第1半導体素子と第2半導体素子は、第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型のドリフト層が設けられる。前記活性領域において、前記ドリフト層内に前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第1の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第1の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第1並列pn構造が設けられる。前記終端構造部において、前記ドリフト層内に設けられ、前記ドリフト層の表面から前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第2の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第2の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第2並列pn構造が設けられる。前記第1並列pn構造の表面層に第2導電型のベース領域が設けられる。前記ベース領域の表面層に選択的に第1導電型のソース領域が設けられる。前記ソース領域および前記ベース領域を貫通して前記第1の第1カラム領域に達するトレンチが設けられる。前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。前記ソース領域および前記ベース領域に接する第1電極が設けられる。前記半導体基板の裏面に第2電極が設けられる。前記終端構造部の前記ドリフト層の表面層に第2導電型のチャネルストッパが設けられる。前記終端構造部の前記ドリフト層内に選択的に、前記チャネルストッパと接する第1導電型の第1半導体領域が設けられる。前記第1半導体素子の前記第2電極と前記第2半導体素子の前記第2電極とが電気的に接続される。前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記チャネルストッパと前記第2半導体素子の前記チャネルストッパとが電気的に接続される。前記第1カラム領域および前記第2カラム領域の長手方向の辺と、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺とが平行である。
【0014】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む終端構造部と、を有する第1半導体素子と第2半導体素子を備える。第1半導体素子と第2半導体素子は、第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型のドリフト層が設けられる。前記活性領域において、前記ドリフト層内に前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第1の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第1の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第1並列pn構造が設けられる。前記終端構造部において、前記ドリフト層内に設けられ、前記ドリフト層の表面から前記半導体基板に向かって設けられるストライプ状の第1導電型の第2の第1カラム領域と、ストライプ状の第2導電型の第2の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された第2並列pn構造が設けられる。前記第1並列pn構造の表面層に第2導電型のベース領域が設けられる。前記ベース領域の表面層に選択的に第1導電型のソース領域が設けられる。前記ソース領域および前記ベース領域を貫通して前記第1の第1カラム領域に達するトレンチが設けられる。前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。前記ソース領域および前記ベース領域に接する第1電極が設けられる。前記半導体基板の裏面に第2電極が設けられる。前記終端構造部の前記ドリフト層の表面層に第2導電型のチャネルストッパが設けられる。前記終端構造部の前記ドリフト層内に選択的に、前記チャネルストッパと接する第1導電型の第1半導体領域が設けられる。前記第1半導体素子の前記第2電極および前記第2半導体素子の前記第2電極は、フレーム電極と電気的に接続される。前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺において、前記第1半導体素子の前記チャネルストッパと前記第2半導体素子の前記チャネルストッパとが離れている。
【0015】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが隣り合う辺の長さは、前記隣り合う辺と直交する辺の長さの倍以上の長さであることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1半導体素子の第1電極はソース電極であり、前記第2半導体素子の第1電極はドレイン電極であり、前記第1半導体素子に、検知素子を有する高機能構造を備えることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板と前記ドリフト層、前記第1並列pn領域および前記第2並列pn領域との間には、第1導電型のバッファ層を備えることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記ベース領域は、前記第1の第2カラム領域の上面に設けられることを特徴とする。
【0019】
上述した発明によれば、SJ-MOSFETを逆並列に接続することで内蔵する寄生ダイオードにより逆耐圧を有し、低耐圧領域のみならず高耐圧領域までスイッチングスピードが速く、低オン抵抗である(導通損失の少ない)半導体デバイスが可能となる。さらに、導通時には同期整流と同様にダイオードの順方向に比べ抵抗の低いMOSFETを動作させることで負荷の極性電流や極性電圧に応じて各SJ-MOSFETを制御し導通損失を低減することが可能となる。
【0020】
また、SJ-MOSFETは、素子内にn型カラム領域とp型カラム領域が交互に配置された並列pn領域を有している。n型カラム領域とp型カラム領域の両方に空乏層が拡がるため、同じ電界強度でも耐圧が向上する。このため、従来のMOSFETに比べn型カラム領域の不純物濃度を一桁上げられ、オン抵抗の大幅な低下が可能となり、例えば、200V以上の耐圧領域でもオン抵抗が低減されることから導通損失が低減する。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる半導体装置によれば、低耐圧領域のみならず高耐圧領域までスイッチングスピードが速く、低オン抵抗(導通損失の少ない)であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す上面図である。
図2】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のX-X断面図である。
図3】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1の領域Sの拡大上面図である。
図4】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1の領域Tの拡大上面図である。
図5】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図3のY1-Y1断面図である。
図6】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図3のY2-Y2断面図である。
図7】実施の形態1にかかる半導体装置の等価回路図である。
図8】実施の形態1にかかる半導体装置の他の構造を示す図1のY-Y断面図である。
図9】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図3のY1-Y1断面図である。
図10】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図3のY2-Y2断面図である。
図11】実施の形態2にかかる半導体装置の他の構造を示す図3のY1-Y1断面図である。
図12】実施の形態2にかかる半導体装置の他の構造を示す図3のY2-Y2断面図である。
図13】実施の形態3にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図14】実施の形態1~3にかかる半導体装置に電流センス部を内蔵した構造を示す上面図である。
図15】実施の形態1~3にかかる半導体装置に温度センス部を内蔵した構造を示す上面図である。
図16】実施の形態1~3にかかる半導体装置に電流センス部および温度センス部を内蔵した構造を示す上面図である。
図17】実施の形態1~3にかかる半導体装置の高機能部の詳細を示す上面図である(その1)。
図18】実施の形態1~3にかかる半導体装置の高機能部の詳細を示す上面図である(その2)。
図19】従来のIGBTを使用した双方向スイッチ回路の例である。
図20】従来のRB-IGBTを使用した双方向スイッチ回路の例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同じとは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。そして、同じまたは同等との記載は製造におけるばらつきを考慮して5%以内まで含むとするのがよい。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す上面図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置70は、2つの超接合(SJ:Super Junction:スーパージャンクション)構造を有するMOSFET(以下、SJ-MOSFET)デバイスを逆並列に接続している。片方のSJ-MOSFET71のソース電極パッド36をソース電位とし、他方のSJ-MOSFET72のソース電極パッド36をドレイン電位とし、ドレイン端子である裏面電極(不図示)同士を同電位とすることで双方向の逆耐圧を確保し双方向スイッチングが可能となる。なお、片方のSJ-MOSFET71のソース電極パッド36をドレイン電位とし、他方のSJ-MOSFET72のソース電極パッド36をソース電位としてもよい。
【0025】
半導体装置70は、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72のそれぞれに活性領域50と、活性領域50の周囲を囲むエッジ終端領域60とを備える。そのため、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72は、後述するp-型チャネルストッパ領域40が接続し、エッジ終端領域60が隣り合っている。活性領域50は、オン状態のときに電流が流れる領域である。エッジ終端領域60は、ドリフト領域の半導体基体80の表面(おもて面)81側の電界を緩和し耐圧を保持する耐圧保持領域を含む。
【0026】
図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のX-X断面図である。SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72は同じ構造であるため、図2は、SJ-MOSFET71の構造を示す。図2に示すSJ-MOSFET71は、シリコン(Si)からなる半導体基体80(半導体素子)の表面81(p-型ベース領域5側の面)側にMOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートを備えたSJ-MOSFETである。図2では、2つの単位セル(素子の機能単位)を示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する。ここで、単位セルはトレンチ18の中心から隣のトレンチ18の中心までである。
【0027】
+型半導体基板(第1導電型の半導体基板)1は、例えばヒ素(As)またはリン(P)がドーピングされたシリコン単結晶基板である。n+型半導体基板1上には、n-型ドリフト層(第1導電型のドリフト層)2が設けられている。n-型ドリフト層2は、n+型半導体基板1よりも低い不純物濃度を有し、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。以下、n+型半導体基板1およびn-型ドリフト層2を併せて半導体基体80とする。半導体基体80の上面を表面81とする。半導体基体80の表面81側には、MOSゲート構造(素子構造)が形成されている。また、半導体基体80の裏面には、ドレイン電極となる裏面電極11が設けられている。n+型半導体基板1は、ドレイン領域に相当する。
【0028】
SJ-MOSFET71の活性領域50には、n型カラム領域3とp型カラム領域4とが交互に繰り返し配置された並列pn領域32が設けられている。エッジ終端領域60には、n型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bとが交互に繰り返し配置された、後述する並列pn領域32Bが設けられている。なお、後述するように、並列pn領域32のn型カラム領域3とp型カラム領域4の幅が並列pn領域32Bのn型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bの幅と異なる。なお、並列pn領域32のn型カラム領域3とp型カラム領域4の幅は同じであってよい。また、並列pn領域32Bのn型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bの幅は同じであってよい。活性領域50とエッジ終端領域60との境界は、並列pn領域32と並列pn領域32Bが接するn型カラム領域3とn型カラム領域3Bの幅、およびp型カラム領域4とp型カラム領域4Bの幅が変化する箇所である。
【0029】
並列pn領域32、32Bでは、p型カラム領域4、4Bおよびn型カラム領域3、3Bに含まれる不純物量(不純物量は不純物濃度×面積)を略等しくすることで、オフ状態において、p型カラム領域4、4Bおよびn型カラム領域3、3BのPN接合からp型カラム領域4、4Bおよびn型カラム領域3、3B内に空乏層が横方向(p型カラム領域4およびn型カラム領域3が交互に繰り返し並べられた方向)に伸びる。これにより、空乏層が横方向において繋がり易くなり高耐圧化を図ることができる。そのため、n型カラム領域3の不純物濃度を増加させても耐圧が低下せず、オン抵抗を低減することが可能になっている。
【0030】
活性領域50のp型カラム領域4の上にはp-型ベース領域(第2導電型のベース領域)5が選択的に設けられている。活性領域50のp-型ベース領域5の底面は、p型カラム領域4の上面に接している。活性領域50のp-型ベース領域5は、半導体基体80の表面81側に設けられている。p型カラム領域4は、半導体基体80の表面81からn+型半導体基板1に向かって設けられている。p型カラム領域4とn+型半導体基板1との間には、n-型バッファ層21が設けられている。p-型ベース領域5の上面の幅は、p型カラム領域4の幅より広くしている。n型カラム領域3もp型カラム領域4と同様に、半導体基体80の表面81からn+型半導体基板1に向かって設けられ、n型カラム領域3とn+型半導体基板1との間には、n-型バッファ層21が設けられている。
【0031】
n型カラム領域3の不純物濃度は、n+型半導体基板1の不純物濃度より低い。また、n型カラム領域3の不純物濃度とp型カラム領域4の不純物濃度は等しくてもよい。n-型バッファ層21の不純物濃度とn-型ドリフト層2の不純物濃度は等しくてよい。活性領域50のp-型ベース領域5の表面側には、n+型ソース領域(第1導電型のソース領域)6が選択的に設けられている。活性領域50のp-型ベース領域5の表面側には、n+型ソース領域6と接するp++型コンタクト領域33が選択的に設けられていてもよい。
【0032】
半導体基体の第1主面側(p-型ベース領域5側)には、トレンチ構造が形成されている。トレンチ構造は、トレンチ18と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8とにより構成されている。具体的には、トレンチ18は、p-型ベース領域5のn+型半導体基板1側に対して反対側(半導体基体の第1主面側)の表面からp-型ベース領域5およびn+型ソース領域6を貫通して並列pn領域32に達する。これにより、トレンチ18の側壁は、p-型ベース領域5およびn+型ソース領域6が接している。トレンチ18の内壁に沿って、トレンチ18の底部および側壁にゲート絶縁膜7が形成されており、トレンチ18内のゲート絶縁膜7の内側にゲート電極8が設けられている。ゲート絶縁膜7によりゲート電極8が、p-型ベース領域5と絶縁されている。ゲート電極8の一部は、トレンチ18の上方(後述するソース電極10が設けられている側)からソース電極10側に突出してもよい。なお、活性領域50の最もエッジ終端領域60側のトレンチ18の側壁には、n+型ソース領域6を設けなくてもよい。活性領域50の最もエッジ終端領域60側のp-型ベース領域5は、後述するp--型リサーフ領域31の内側に設けられてよい。
【0033】
半導体基体80の表面81にゲート電極8およびn+型ソース領域6を覆うように、酸化膜(不図示)が設けられてもよい。酸化膜上に層間絶縁膜9が、半導体基体の第1主面側の全面に、トレンチ18に埋め込まれたゲート電極8を覆うように設けられてもよい。酸化膜は、高濃度に不純物がドーピングされた層間絶縁膜9がシリコン基板に直接接しないよう形成される。酸化膜は、例えばHTO(High Tempereture Oxide)、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate)膜あるいは熱酸化膜である。
【0034】
ソース電極10は、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール34を介して、n+型ソース領域6およびp-型ベース領域5に接する。このコンタクトホール34を介してソース電極10と接するp-型ベース領域5の表面側にp++型コンタクト領域33が設けられている場合、このコンタクトホール34はn+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するように設けられていてもよい。ソース電極10は、層間絶縁膜9によって、ゲート電極8と電気的に絶縁されている。ソース電極10と層間絶縁膜9との間に、例えばソース電極10からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル15が設けられていてもよい。
【0035】
また、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール34にコンタクトプラグ14が埋め込まれていてもよい。コンタクトプラグ14は、例えば、埋め込み性の高いタングステン(W)を材料とする金属膜である。その際、トレンチコンタクト構造とすることが、アバランシェ動作の際にn+型ソース領域6よりも深い位置でp-型ベース領域5のホールを引き抜くことによって寄生バイポーラ動作を抑制できるので好ましい。ここで、トレンチコンタクト構造とは、n+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するトレンチを設け、コンタクトホール34が層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するように設けられているコンタクト構造である。ソース電極10上には、選択的に例えばポリイミドからなるパッシベーション膜などの保護膜(不図示)が設けられている。また、例えばソース電極10からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル15が設けられていてもよい。
【0036】
また、耐圧を保持するエッジ終端領域60には、半導体基体80の表面81側に、フィールド酸化膜20が設けられ、フィールド酸化膜20上にゲート電極8となる多結晶シリコン膜が設けられる。ゲート電極8上には、ゲート電極パッド(不図示)と電気的に接続されるゲート配線27が設けられている。ゲート配線27は、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール35を介して、ゲート電極8に接する。また、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール35には、バリアメタル15を介してコンタクトプラグ14が埋め込まれていてもよい。
【0037】
また、エッジ終端領域60には、p--型リサーフ(RESURF)領域31、p型のガードリング28等の耐圧構造が設けられていてもよい。耐圧構造の外側にp-型チャネルストッパ領域40が設けられ、p-型チャネルストッパ領域40上にフィールドプレート38が設けられていてもよい。p--型リサーフ領域31は、活性領域50とエッジ終端領域60の両方の領域に亘って設けられる。活性領域50側のp--型リサーフ領域31の内部には、トレンチ18の側壁に接するようにp-型ベース領域5が設けられてよい。さらに、p--型リサーフ領域31は、平面視で環状に設けられている。ガードリング28は、エッジ終端領域60に平面視で環状に設けられている。なお、p-型チャネルストッパ領域40は、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72の両方に亘って(接して)設けられ、さらに半導体装置70の最外周で2つに分かれて設けられる。また、p-型チャネルストッパ領域40は、n型カラム領域3C上に設けられてもよい。
【0038】
エッジ終端領域60のソース電極10およびゲート配線27と下方向(n+型半導体基板1側)に対向する領域では、半導体基体80の表面81に露出するp--型リサーフ領域31が、n型カラム領域3Bおよびp型カラム領域4Bの上部に接するように設けられている。
【0039】
SJ-MOSFET71のエッジ終端領域60に、並列pn領域32Bが設けられている。エッジ終端領域60でも、並列pn領域32Bは、半導体基体80の表面81からn+型半導体基板1に向かって設けられている。p型カラム領域4とn+型半導体基板1との間には、n-型バッファ層21が設けられている。SJ-MOSFET71は、オン抵抗低減のために並列pn領域32の不純物濃度を高くしすぎると、空乏層が拡がりにくく耐圧が低下する。活性領域50の特性を最大限に引き出すため、活性領域50よりもエッジ終端領域60の耐圧を高く設定する。エッジ終端領域60も活性領域50と同じように、並列pn領域32B内の隣り合うn型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bの接合面で電子とホールが移動して結合することで空乏層が形成される。SJ-MOSFET71に逆バイアスが印加されると空乏層がp型カラム領域4Bおよびn型カラム領域3B内に拡がる。空乏層は、電界分布に沿ってエッジ終端領域60の活性領域50近傍のp型カラム領域4,4Bおよびn型カラム領域3,3Bからエッジ終端領域60の外周(p-型チャネルストッパ領域40側)へ向かって拡がる。このとき、エッジ終端領域60は、その形状や表面状態の影響を受け空乏層が外側へ拡がりにくく耐圧を高くしにくい。エッジ終端領域60の耐圧を活性領域50より高くする方法として、エッジ終端領域60の並列pn領域32Bのピッチやp型カラム領域4Bおよびn型カラム領域3Bの幅を活性領域50の並列pn領域32より狭くして空乏層を拡げやすくしている。つまり、並列pn領域32Bのn型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bの幅は、並列pn領域32のn型カラム領域3とp型カラム領域4の幅より狭くなっている。
【0040】
エッジ終端領域60は、並列pn領域32Bの外側にn-型ドリフト層2が設けられる。n-型ドリフト層2の下面には、n-型バッファ層21が設けられているが、n-型ドリフト層2とn-型バッファ層21の不純物濃度は等しくてよい。よって、n-型ドリフト層2は、n+型半導体基板1と電気的に接続している。n-型ドリフト層2の外側には、空乏層が拡がり過ぎないようにするため、p-型チャネルストッパ領域40が設けられる。p-型チャネルストッパ領域40の下にn型カラム領域3C(第1導電型の第1半導体領域)が設けられている。n型カラム領域3Cの下面には、n-型バッファ層21が設けられている。n型カラム領域3Cは、上面にp-型チャネルストッパ領域40が設けられ、下面にn-型バッファ層21が設けられている。さらに、n-型バッファ層21の下面はn+型半導体基板1と接している。つまり、活性領域50およびエッジ終端領域60のn+型半導体基板1の上面には、n-型バッファ層21が設けられている。並列pn領域32、32Bの下面に不純物濃度が高いn+型半導体基板1が直接接すると、並列pn領域32、32Bとn+型半導体基板1との間で空乏層が拡がらず耐圧が低下するおそれがある。そこで、活性領域50の並列pn領域32およびエッジ終端領域60の並列pn領域32Bとn+型半導体基板1との間にn-型バッファ層21を設けることにより、耐圧が低下することを抑制することができる。
【0041】
図3は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1の領域Sの拡大上面図である。図3では、半導体装置70の並列pn領域32、32Bを示すため、半導体基体80の上面に設けられているソース電極10、ゲート配線27、バリアメタル15、および層間絶縁膜9等は省略する。また、半導体基体80の表面層に設けられるn+型ソース領域6、p++型コンタクト領域33、p--型リサーフ領域31、ガードリング28等も省略する。図3に示すように、半導体装置70の活性領域50のn型カラム領域3、p型カラム領域4はストライプ形状である。また、エッジ終端領域60のn型カラム領域3B、p型カラム領域4Bもストライプ形状である。n型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向の辺は、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72の2つの半導体素子が隣り合う辺に対して直交している。並列pn領域32Bのn型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bの幅は、並列pn領域32のn型カラム領域3とp型カラム領域4の幅より狭くなっている。p-型チャネルストッパ領域40は、隣り合う辺では1本であるが、半導体装置70の端部で2方向に分かれ、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72の最外周を環状に囲んでいる。図3に示す並列pn領域32と並列pn領域32Bは接するように設けられているが、並列pn領域32と並列pn領域32Bとの間に中間領域を設けてもよい(不図示)。中間領域とは、並列pn領域32と並列pn領域32Bに設けられているn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bがそれぞれ接していてもよく、接していなくてもよい領域である。また、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72の活性領域50において、n型カラム領域3の上面にはトレンチ18を備え、p型カラム領域4の上方(p-型ベース領域5)にはコンタクトプラグ14(コンタクトホール34)を備える。
【0042】
図4は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1の領域Tの拡大上面図である。図4は、SJ-MOSFET71およびSJ-MOSFET72の活性領域50の角部とそれぞれの活性領域50の角部を取り囲むエッジ終端領域60を示す。図4は、半導体基体80の上面に設けられているソース電極10、ゲート配線27、コンタクトプラグ14、バリアメタル15、および層間絶縁膜9等は省略する。さらに、トレンチ18、コンタクトホール34、35、p-型ベース領域5等も省略している。図4に示すように、半導体装置70において、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72は、p-型チャネルストッパ領域40が接して隣り合っている。p-型チャネルストッパ領域40は、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72とを亘るように設けられている。さらに、p-型チャネルストッパ領域40は、半導体装置70の端部に沿って設けられている。また、p-型チャネルストッパ領域40は、n型カラム領域3Cの上に設けられている。図4において、SJ-MOSFET71のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向とSJ-MOSFET72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向は、Y軸方向に平行である。また、図4において、SJ-MOSFET71のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bが繰り返し交互に並ぶ方向(n型カラム領域3,3Bとp型カラム領域4、4Bの短手方向)とSJ-MOSFET72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bが繰り返し交互に並ぶ方向(n型カラム領域3,3Bとp型カラム領域4、4Bの短手方向)は、X軸方向に平行である。p--型リサーフ領域31は、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72それぞれにおいて、活性領域50とエッジ終端領域60の両方の領域に亘って設けられる。さらに、p--型リサーフ領域31は、平面視で環状に設けられている。ガードリング28は、エッジ終端領域60に平面視で環状に設けられている。
【0043】
図5は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図3のY1-Y1断面図である。図6は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図3のY2-Y2断面図である。図5および図6は、SJ-MOSFET71、72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向の辺と、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72が隣り合う辺とを直交させて接続した半導体装置であり、SJ-MOSFETを逆並列に配置した構造である。また、図7は、実施の形態1にかかる半導体装置の等価回路図である。
【0044】
図5図7に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置は、同一半導体基板内に2つのSJ-MOSFET71、72を逆並列に接続するように設けられている。SJ-MOSFET71のソース電極を半導体装置70のソース電極10、SJ-MOSFET72のソース電極を半導体装置70のドレイン電極12としている。これにより、SJ-MOSFET71、72の共通の裏面電極11を中性点とすることで、MOSFETに内蔵する寄生ダイオードで双方向の逆耐圧を確保し双方向スイッチングが可能となる。導通時には同期整流と同様にダイオードの順方向に比べ抵抗の低いMOSFETを動作させることで、負荷の極性電流や極性電圧に応じて各SJ-MOSFET71、72を制御し導通損失を低減することが可能となる。
【0045】
また、SJ-MOSFET71、72は、素子内にn型カラム領域3、3Bとp型カラム領域4、4Bが交互に配置された並列pn領域32、32Bを有している。n型カラム領域3、3Bとp型カラム領域4、4Bの両方に空乏層が拡がるため、同じ電界強度でも耐圧が向上する。このため従来のMOSFETに比べn型カラム領域3の不純物濃度を一桁上げられ、オン抵抗の大幅な低下が可能となり、例えば、200V以上の耐圧領域でもオン抵抗が低減されることから導通損失が低減する。
【0046】
さらに、実施の形態1のように、同一半導体基板内に耐圧構造を有する2つのSJ-MOSFET71、72を並べて形成し逆並列とする場合、図1に示すSJ-MOSFET71、72が隣り合う辺の長さLを、隣り合う辺と直交する辺の長さMの倍以上の長さ(L≧2M)にすることが好ましい。これにより、電流経路による抵抗増加の低減を図ることができる。なお、n型カラム領域3、3Bとp型カラム領域4、4Bの長手方向は、図1に示す長さMと平行である。図5、6より、p--型リサーフ領域31の不純物濃度とガードリング28の不純物濃度は等しくてよく、半導体基体80の表面81からの深さは同じ深さであってよい。また、p-型ベース領域5の不純物濃度とp-型チャネルストッパ領域40の不純物濃度は等しくてよく、半導体基体80の表面81からの深さは同じ深さであってよい。2つのSJ-MOSFET71、72は、n型カラム領域3Cとp-型チャネルストッパ領域40が接し、電気的に接続している。
【0047】
図8は、実施の形態1にかかる半導体装置の他の構造を示す図1のY-Y断面図である。図8のように、SJ-MOSFET71、72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向の辺と、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72が隣り合う辺とを平行に接続した半導体装置であり、SJ-MOSFETを逆並列に配置した構造である。ただし、図5および図6のように、n型カラム領域3およびp型カラム領域4と、隣り合う辺とを直交させて接続する方が、より電流経路による抵抗増加の低減を図ることができる。
【0048】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、SJ-MOSFETを逆並列に接続することで内蔵する寄生ダイオードにより逆耐圧を有し、低耐圧領域のみならず高耐圧領域までスイッチングスピードが速く、低オン抵抗(導通損失の少ない)半導体デバイスが可能となる。さらに、導通時には同期整流と同様にダイオードの順方向比べ抵抗の低いMOSFETを動作させることで負荷の極性電流や極性電圧に応じて各SJ-MOSFETを制御し導通損失を低減することが可能となる。
【0049】
また、SJ-MOSFETは、素子内にn型カラム領域とp型カラム領域が交互に配置された並列pn領域を有している。n型カラム領域3、3Bとp型カラム領域4、4Bの両方に空乏層が拡がるため、同じ電界強度でも耐圧が向上する。このため、従来のMOSFETに比べn型カラム領域の不純物濃度を一桁上げられ、オン抵抗の大幅な低下が可能となり、例えば、200V以上の耐圧領域でもオン抵抗が低減されることから導通損失が低減する。
【0050】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる半導体装置について説明する。実施の形態2にかかる半導体装置の上面図は、実施の形態1と同じであるため記載を省略する(図1参照)。また、図1のX-X断面図および図1の領域Sの拡大上面図も、実施の形態1と同じであるため記載を省略する(図2および図3参照)。図9は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図3のY1-Y1断面図である。図10は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図3のY2-Y2断面図である。図11は、実施の形態2にかかる半導体装置の他の構造を示す図3のY1-Y1断面図である。図12は、実施の形態2にかかる半導体装置の他の構造を示す図3のY2-Y2断面図である。
【0051】
SJ-MOSFET71、72では、エッジ終端領域60の空乏層が拡がり過ぎないようにp-型チャネルストッパ領域40下にnチャネルの場合、n型カラム領域3Cを形成している。電流は抵抗が低い領域を流れるため、電流の大部分が裏面電極11を介して流れる。n型カラム領域3Cやn-型ドリフト領域2の抵抗が低くなると、n型カラム領域3Cやn-型ドリフト領域2を流れる電流が増える可能性がある。通常のnチャネル型MOSFETでは、チャネルストッパ領域がn型であってもよい。実施の形態1において、p-型チャネルストッパ領域40をn-型チャネルストッパ領域とした場合、隣り合うSJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72に亘って設けられるn-型チャネルストッパ領域は、n型カラム領域3Cと接する。n-型チャネルストッパ領域がn型カラム領域3Cと接することで、n-型チャネルストッパ領域およびn型カラム領域3Cの抵抗が下がるため、表面81に電流が集中しやすくなる。実施の形態1のように、p-型チャネルストッパ領域40を備える場合は、p-型チャネルストッパ領域40がn型カラム領域3Cと接するため、n-型チャネルストッパ領域を備える場合よりも表面81に流れる電流を抑制することができる。
【0052】
実施の形態1の図8のように、SJ-MOSFET71、72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向の辺と、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72が隣り合う辺とを平行に接続した場合、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72との間に並列pn領域32、32Bが配置され、電流は抵抗の低いn型カラム領域3、3Bを経由し流れるため、p-型チャネルストッパ領域40およびn型カラム領域3Cに電界および電流が集中することを緩和することができる。一方、実施の形態1の図5および図6のように、SJ-MOSFET71、72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向と、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72が隣り合う辺とを直交させて接続した場合、ソース側(SJ-MOSFET71)のn型カラム領域3,3Bがp-型チャネルストッパ領域40下のn型カラム領域3Cを介してドレイン側(SJ-MOSFET72)のn型カラム領域3、3Bとほぼ同電位となり、n-型チャネルストッパ領域を備える場合と比較すると表面81の電流は低減するが、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72が隣り合った辺に電界および電流が集中しやすくなり、耐量が低下しやすくなる。
【0053】
このため、実施の形態2では、SJ-MOSFET71、72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向と、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72が隣り合う辺とを直交させて接続した場合、SJ-MOSFET71のn型カラム領域3C-1とSJ-MOSFET72のn型カラム領域3C-2との間に、n-型領域(第1導電型の第2半導体領域)65またはp型領域(第2導電型の第3半導体領域)66を設ける。n-型領域65は、p-型チャネルストッパ領域40下の一部の領域にn型カラム領域3を形成せず、n-型ドリフト層2を残すことで形成してもよい。この場合、n-型領域65とn-型ドリフト層2は同じ不純物濃度となる。図9および図10は、n-型領域65を設けた構造を示し、図11および図12は、p型領域66を設けた構造を示す。
【0054】
-型領域65およびp型領域66は、n型カラム領域3C-1、3C-2と同様にp-型チャネルストッパ領域40と接し、n+型半導体基板1に向かって設けられる。n-型領域65およびp型領域66とn+型半導体基板1との間には、n-型バッファ層21が設けられている。n-型領域65およびp型領域66は、隣り合うSJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72の辺に沿ったストライプ形状であってよい。
【0055】
-型チャネルストッパ領域40の下部のn型カラム領域3C-1とn型カラム領域3C-2との間にn-型領域65またはp型領域66を設けることにより、ソース側(SJ-MOSFET71)のn型カラム領域3、3Bとドレイン側(SJ-MOSFET72)のn型カラム領域3、3Bとが、同電位になることがなくなり、隣り合った辺に電界・電流が集中することがなく、オン抵抗の増加や耐量低下を防止できる。
【0056】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を有する。さらに、p-型チャネルストッパ領域40下のn型カラム領域3C-1、3C-2の間に、n-型領域65またはp型領域66を設けることにより、隣り合った辺に電界および電流が集中することがなく、オン抵抗の増加や耐量低下を防止できる。
【0057】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる半導体装置について説明する。図13は、実施の形態3にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。図13に示すように、同一パッケージ内にSJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72を配置して組み立てた構造である。SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72は個別の半導体素子であり、SJ-MOSFET71の裏面電極11とSJ-MOSFET72の裏面電極11は、はんだ19を介してフレーム電極16により電気的に接続されている。フレーム電極16は、リードフレーム、セラミック基板、絶縁基板等であってよい。隣り合うSJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72との間には、隙間85が設けられている。
【0058】
図13では、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの短手方向が、隙間85を挟んで同じ方向になるように配置されている。なお、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72のn型カラム領域3、3Bおよびp型カラム領域4、4Bの長手方向が、隙間85を挟んで同じ方向になるように配置してもよい。また、実施の形態1と同様に、図1に示すSJ-MOSFET71、72の隣り合う辺の長さLを、直交する辺の長さMの倍以上の長さ(L≧2M)にすることが好ましい。これにより、電流経路による抵抗増加の低減を図ることができる。
【0059】
実施の形態3のように、同一パッケージ内にSJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72を配置して組み立てた構造では、電流が均等に流れやすくなり、実施の形態1、2の半導体装置に比べてオン抵抗を低くすることができる。ただし、実施の形態1、2の半導体装置では、SJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72との間に隙間85がないため、半導体装置の大きさを実施の形態3よりも小さくできる。
【0060】
実施の形態3でも、MOSFETに内蔵する寄生ダイオードで双方向の逆耐圧を確保し双方向スイッチングが可能となり、導通時にはMOSFETを動作させることで、負荷の極性電流や極性電圧に応じて各SJ-MOSFET71、72を制御し導通損失を低減することが可能となる。また、従来のMOSFETに比べn型カラム領域3の不純物濃度を一桁上げられ、オン抵抗の大幅な低下が可能となり、例えば、200V以上の耐圧領域でもオン抵抗が低減されることから導通損失が低減する。
【0061】
以上、説明したように、実施の形態3によれば、同一パッケージ内にSJ-MOSFET71とSJ-MOSFET72を配置して組み立てた構造でも、実施の形態1と同様の効果を有する。さらに、SJ-MOSFET71のソース電極10とSJ-MOSFET72のドレイン電極12との間をワイヤー配線(不図示)で均等に接続することでオン抵抗を低くすることができる。
【0062】
さらに信頼性を向上させるために、ソース電極10側のSJ-MOSFET71は、電流、電圧を検知して、過電流などから保護する電流センス部などの検知素子を有する高機能構造を備えてもよい。高機能構造には、例えば、電流センス部42、温度センス部43および過電圧保護ダイオード部等の高機能部が配置される。図14は、実施の形態1~3にかかる半導体装置に電流センス部を内蔵した構造を示す上面図である。図15は、実施の形態1~3にかかる半導体装置に温度センス部を内蔵した構造を示す上面図である。図16は、実施の形態1~3にかかる半導体装置に電流センス部および温度センス部を内蔵した構造を示す上面図である。ゲート電極パッド30はSJ-MOSFET71、72の両方に設けられ、ドレイン電極12側のSJ-MOSFET72には高機能部は設けられていない。通常のnチャネル型MOSFETは、ドレイン領域(裏面電極側、n+型半導体基板1に相当)がプラス電位でn+型ソース領域(表面電極側、ソース電極10に相当)が接地電位である。上面にソース電極10を有するSJ-MOSFET71に電流センス部42を内蔵する場合は、電流センス部42に印加するゲート電圧が接地電位に対するものであるため、通常のnチャネル型MOSFETと同じである。なお、上面にドレイン電極12を有するSJ-MOSFET72に電流センス部42を内蔵する場合は、電流センス部42に印加するゲート電圧がドレイン電位(プラス電位)に対するものであるため、ゲート電圧を高くする必要がある。また、上面にソース電極10を有するSJ-MOSFET71に温度センス部43を内蔵する場合は、n+型ソース領域6と温度センス部43との電位差は少ない。なお、上面にドレイン電極12を有するSJ-MOSFET72に温度センス部43を内蔵する場合は、ドレイン電極12に接続するn+型ソース領域6がソース電位ではなくドレイン電位(プラス電位)であるため、ドレイン電極12に接続するn+型ソース領域6と温度センス部43との間に高い電圧が印加されてしまう。これにより、SJ-MOSFET72に高機能部を設けるには、電流センス部42および温度センス部43に対応した制御が必要となる。よって、SJ-MOSFET72には、高機能部は設けなくてよい。図14図16において、電流センス部42は、ゲート電極パッド30の隣に配置されている。図15図16において、電流センス部43は、温度検出ダイオード部44と温度検出ダイオード部44に接続されるアノードパッドおよびカソードパッドを含む。アノードパッドおよびカソードパッドは、ケート電極パッド30の隣に並べて設けられ、温度検出ダイオード部44はSJ-MOSFET71の中央部付近に設けられている。なお、図14図16では、ゲート電極パッド30の隣に電流センス部42と温度センス部43のアノードパッドおよびカソードパッドを設けているが、所望の位置に設けてもよい。また、温度検出ダイオード部44はSJ-MOSFET71の中央部付近に設けられているが、所望の位置に設けてもよい。
【0063】
図17および図18は、実施の形態1~3にかかる半導体装置の高機能部の詳細を示す上面図である。図17に示すように電流センス部42には、並列pn領域32Cが設けられる。並列pn領域32Cは、活性領域50の並列pn領域32と同じ構造であってもよい。つまり、並列pn領域32Cと並列pn領域32は、n型カラム領域3とp型カラム領域4の幅、不純物濃度が同じである。また、図18に示すように電流センス部42にも、並列pn領域32Cが設けられ、この並列pn領域32Cは、エッジ終端領域60の並列pn領域32Bと同じ構造であってもよい。つまり、並列pn領域32Cと並列pn領域32Bは、n型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bの幅、不純物濃度が同じである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 n+型半導体基板
2 n-型ドリフト層
3、3B、3C、3C-1、3C-2 n型カラム領域
4、4B p型カラム領域
5 p-型ベース領域
6 n+型ソース領域
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 層間絶縁膜
10 ソース電極
11 裏面電極
12 ドレイン電極
14 コンタクトプラグ
15 バリアメタル
16 フレーム電極
18 トレンチ
19 はんだ
20 フィールド酸化膜
21 バッファ層
27 ゲート配線
28 ガードリング
30 ゲート電極パッド
31 p--型リサーフ領域
32、32B、32C 並列pn領域
33 p++型コンタクト領域
34、35 コンタクトホール
36 ソース電極パッド
38 フィールドプレート
40 p-型チャネルストッパ領域
42 電流センス部
43 温度センス部
44 温度検出ダイオード部
50 活性領域
60 エッジ終端領域
65 n-型領域
66 p型領域
70 半導体装置
71、72 SJ-MOSFET
80 半導体基体
81 表面
85 隙間
110 IGBT
111 ダイオード
112 RB-IGBT
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20