(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079116
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 1/28 20110101AFI20240604BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20240604BHJP
F24F 11/83 20180101ALI20240604BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20240604BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20240604BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20240604BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20240604BHJP
【FI】
F24F1/28
F24F11/36
F24F11/83
F24F11/86
F24F5/00 L
F28F9/26
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191852
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 公雄
【テーマコード(参考)】
3L054
3L065
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BA06
3L054BB01
3L054BF20
3L065FA19
3L260AB03
3L260AB04
3L260BA32
3L260BA52
3L260CB07
3L260CB12
3L260CB35
3L260CB42
3L260EA06
3L260FB08
3L260FB23
3L260FB25
(57)【要約】
【課題】冷媒ガスの漏れが生じた場合の冷媒ガスの漏洩量を抑制することができ、かつ効率の高い運転が可能な空気調和システムを提供する。
【解決手段】空気調和システムは、複数の空調ユニット71A,71B,71Cを備える。空調ユニット71A,71B,71Cは、マルチエアコン室外機100A,100B,100Cと、各々がマルチエアコン室外機100A,100B,100Cに接続される複数の室内機を含む。マルチエアコン室外機100A,100B,100Cと複数の室内機との間には、冷媒が流れる。マルチエアコン室外機100A,100B,100Cは、冷媒と熱媒体とを熱交換する室外機間熱交換ユニット20を含む。空気調和システムは、複数のマルチエアコン室外機100A,100B,100Cの室外機間熱交換ユニット20とを接続し、熱媒体が流れる第1の配管91および第2の配管92を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和システムであって、
複数の空調ユニットを備え、各々の空調ユニットは、マルチエアコン室外機と、各々が前記マルチエアコン室外機に接続される複数の室内機を含み、前記マルチエアコン室外機と前記複数の室内機との間には、冷媒が流れ、
前記マルチエアコン室外機は、前記冷媒と熱媒体とを熱交換する室外機間熱交換ユニットを含み、
前記空気調和システムは、
複数の前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットを接続し、前記熱媒体が流れる第1の配管および第2の配管を備える、空気調和システム。
【請求項2】
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットから、複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットに前記熱媒体を通じて、余剰熱量が送られ、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求能力の総和よりも大きく、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求能力の総和よりも小さい、請求項1記載の空気調和システム。
【請求項3】
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットは、他の前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットとの間に前記熱媒体を通じた熱量の授受を行わない、請求項2記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記室外機間熱交換ユニットは、
前記冷媒および前記熱媒体が流れて、熱交換する第1の熱交換器と、
前記熱媒体を循環させるための循環ポンプと、
前記冷媒および前記熱媒体の流れる経路を制御するための複数のスイッチと、を含む、請求項3記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記マルチエアコン室外機は、圧縮機と、四方弁と、空気と熱交換する第2の熱交換器とを備え、
前記空気調和システムに含まれるすべての前記マルチエアコン室外機およびすべての前記室内機が、冷房運転しているときに、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒の一部が前記室内機に送られ、前記冷媒の残りが前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記四方弁を経由して前記圧縮機に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第2の配管に送られ、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第1の熱交換器に送られ、前記第2の配管を通じて前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記室内機に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第1の配管に送られる、請求項4記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒が前記室内機に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られない、請求項5記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記マルチエアコン室外機は、圧縮機と、四方弁と、空気と熱交換する第2の熱交換器とを備え、
前記空気調和システムに含まれるすべての前記マルチエアコン室外機およびすべての前記室内機が、暖房運転しているときに、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記室内機からの前記冷媒が前記第2の熱交換器に流入し、前記圧縮機から流出し前記四方弁を経由した前記冷媒の一部が、前記室内機へ送られ、前記冷媒の残りが、前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第2の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第2の配管に送られ、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記圧縮機から流出し前記四方弁を経由した前記冷媒が前記室内機へ送られ、前記室内機からの前記冷媒が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第2の熱交換器に流入し、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第1の配管に送られる、請求項4記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記室内機からの前記冷媒が前記第2の熱交換器へ送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られない、請求項7記載の空気調和システム。
【請求項9】
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットから、複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットに前記熱媒体を通じて、余剰熱量が送られ、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機は、年間冷房運転し、他の前記マルチエアコン室外機は、暖房運転する、請求項1記載の空気調和システム。
【請求項10】
前記室外機間熱交換ユニットは、
前記冷媒および前記熱媒体が流れて、熱交換する第1の熱交換器と、
前記熱媒体を循環させるための循環ポンプと、
前記冷媒および前記熱媒体の流れる経路を制御するための複数のスイッチと、を含む、請求項9記載の空気調和システム。
【請求項11】
前記マルチエアコン室外機は、圧縮機と、四方弁と、空気と熱交換する第2の熱交換器とを備え、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記室内機に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第2の配管に送られる、請求項10記載の空気調和システム。
【請求項12】
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求能力の総和よりも小さい、請求項11記載の空気調和システム。
【請求項13】
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求と等しい、請求項11記載の空気調和システム。
【請求項14】
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットは、他の前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットとの間に前記熱媒体を通じた熱量の授受を行わず、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求と等しく、
前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求と等しく、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機における前記第2の熱交換器と前記室外機間熱交換ユニットとの間の配管の圧力は、前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機における前記第2の熱交換器と前記室外機間熱交換ユニットとの間の配管の圧力よりも低い、請求項11記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セントラル方式からの入替対応等でマルチエアコンが大型化している。これに伴い、1系統に充填されるフロンガスの量も増えている。全ての室内機が同時刻に最大能力を必要とすることは少ない為、室外機の能力以上の室内機合計能力を接続することができる。しかしながら、室内機の要求能力の合計が、室外機の能力以上となった場合、各室内機は能力を100%発揮できない。
【0003】
異なる系統の空調ユニット相互間において熱移動を可能としたシステムが知られている。たとえば、特許文献1に記載されたシステムでは、冷媒熱交換器において、第1空調ユニットの室外側熱交換器を出た後、冷媒熱交換器に流入した冷媒と、第2空調ユニットの室外側熱交換器を出た後、冷媒熱交換器に流入した冷媒とが熱交換することにより、第1空調ユニットから第2空調ユニットへ系統間の熱移動が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムでは、第1空調ユニットと第2空調ユニットとの間に配置された冷媒熱交換器へ第1空調ユニットで使用される冷媒を流し、第2空調ユニットで使用される冷媒を流さなければならないため、冷媒ガスの充填量が増える。その結果、冷媒ガスの漏れが生じた場合の冷媒ガスの漏洩量も増加する。
【0006】
それゆえに、本開示の目的は、冷媒ガスの漏れが生じた場合の冷媒ガスの漏洩量を抑制することができ、かつ効率の高い運転が可能な空気調和システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の空気調和システムは、複数の空調ユニットを備える。各々の空調ユニットは、マルチエアコン室外機と、各々がマルチエアコン室外機に接続される複数の室内機を含む。マルチエアコン室外機と複数の室内機との間には、冷媒が流れる。マルチエアコン室外機は、冷媒と熱媒体とを熱交換する室外機間熱交換ユニットを含む。空気調和システムは、複数のマルチエアコン室外機の室外機間熱交換ユニットを接続し、熱媒体が流れる第1の配管および第2の配管を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷媒と熱媒体とを熱交換する複数の室外機間熱交換ユニットとの間の第1の配管および第2の配管によって、熱媒体が流れる。これによって、冷媒ガスの漏れが生じた場合の冷媒ガスの漏洩量を抑制することができ、かつ効率の高い運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】参考例1の空気調和システムの構成を表わす図である。
【
図2】参考例2の空気調和システムの構成を表わす図である。
【
図3】実施の形態1の空気調和システムの構成を表わす図である。
【
図4】空気調和システムにおける冷房時における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【
図5】(a)、(b)、および(c)は、三方電磁弁の各状態を表わす図である。
【
図6】
図4に示す空気調和システムの制御手順を表わすフローチャートである。
【
図7】空気調和システムにおける暖房時における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【
図8】一部のマルチエアコン室外機が年間冷房運転し、残りのマルチエアコン室外機が暖房運転する空気調和システムにおける、冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【
図9】実施の形態3の変形例1における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【
図10】実施の形態3の変形例2における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【
図11】実施の形態3の変形例2における3台のマルチエアコン室外機の運転モードの設定手順を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
(参考例1)
図1は、参考例1の空気調和システムの構成を表わす図である。
【0011】
3個のマルチエアコン室外機300A,300B,300Cに18個の室内機IU1~IU18が接続されている。
【0012】
室内機IU1~IU18の要求能力の総和がマルチエアコン室外機300A,300B,300Cの能力の総和よりも大きい場合には、各室内機IUi(i=1~18)は、100%の能力を発揮できない。部屋Xにおいて冷媒ガスの漏れが生じた場合、系統内のすべての冷媒ガスが部屋Xから漏れる。その結果、部屋Xにおいて室内の空気が冷媒ガスに置換されて、酸欠状態となる。酸欠を防止するためには、冷媒ガスの漏洩量を部屋の容積で除算した値を許容値以下にする必要がある。その結果、室内機を設置できる部屋の最小容積が大きくなる。
【0013】
(参考例2)
図2は、参考例2の空気調和システムの構成を表わす図である。
【0014】
マルチエアコン室外機200Aに6個の室内機IU1~IU6が接続されている。マルチエアコン室外機200Bに6個の室内機IU7~IU12が接続されている。マルチエアコン室外機200Cに6個の室内機IU13~IU18が接続されている。
【0015】
室内機IU1~IU6の要求能力の総和がマルチエアコン室外機200Aの能力よりも大きい場合には、各室内機IUi(i=1~6)は、100%の能力を発揮できない。室内機IU7~IU12の要求能力の総和がマルチエアコン室外機200Bの能力よりも大きい場合には、各室内機IUi(i=7~12)は、100%の能力を発揮できない。室内機IU13~IU18の要求能力の総和がマルチエアコン室外機200Cの能力よりも大きい場合には、各室内機IUi(i=13~18)は、100%の能力を発揮できない。
【0016】
部屋Xにおいて冷媒ガスの漏れが生じた場合、マルチエアコン室外機200Cを流れる冷媒ガスのみが部屋Xから漏れる。参考例(2)では、参考例(1)に比べて、冷媒ガスの漏れ量を少なくできる。その結果、参考例(1)に比べて、小さな部屋にも室内機を設置することができる。
【0017】
実施の形態1.
図3は、実施の形態1の空気調和システムの構成を表わす図である。
【0018】
空気調和システムは、空調ユニット71A,71B,71Cと、第1の配管91と、第2の配管92とを備える。
【0019】
空調ユニット71Aは、マルチエアコン室外機100Aと、マルチエアコン室外機100Aに接続された6個の室内機IU1~IU6とを備える。空調ユニット71Bは、マルチエアコン室外機100Bと、マルチエアコン室外機100Bに接続された6個の室内機IU7~IU12とを備える。空調ユニット71Cは、マルチエアコン室外機100Cと、マルチエアコン室外機100Cに接続された6個の室内機IU13~IU18とを備える。
【0020】
マルチエアコン室外機100A、100B,100Cは、それぞれ室外機間熱交換ユニット20を備える。複数の室外機間熱交換ユニット20は、第1の配管91および第2の配管92によって接続される。第1の配管91および第2の配管92内を熱媒体が流れる。各室外機間熱交換ユニット20において、冷媒と熱媒体とが熱交換する。接続されている複数の室内機の要求能力の総和が、自身の持つ能力を超えていないマルチエアコン室外機から、接続されている複数の室内機の要求能力が、自身の持つ能力を超えているマルチエアコン室外機に熱媒体によって、熱量が伝送される。
【0021】
接続されている複数の室内機の要求能力の総和がマルチエアコン室外機Xの能力を超える時は、室内機の要求能力に応じて、圧縮機のインバータ駆動で冷媒の循環量を増加させても、室外熱交換器の容量は一定であるので、熱交換容量が不足する。この不足分が、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が、自身の持つ能力を超えていないマルチエアコン室外機Yから熱媒体を通じて供給される。これによって、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が、自身の持つ能力を超えているマルチエアコン室外機Xに接続されている各室内機は、マルチエアコン室外機Xの単独運転時よりも大きな100%により近い能力を発揮できる。
【0022】
部屋Xにおいて冷媒ガスの漏れが生じた場合、マルチエアコン室外機100Cを流れる冷媒ガスが部屋Xから漏れる。実施の形態1では、参考例(1)に比べて、冷媒ガスの漏れ量を少なくできる。その結果、参考例(1)に比べて、小さな部屋にも室内機を設置することができる。
【0023】
特許文献1では、第1空調ユニットと第2空調ユニットとの間に配置された冷媒熱交換器へ第1空調ユニットで使用される冷媒を流し、第2空調ユニットで使用される冷媒を流さなければならない。これに対して、実施の形態1では、各空調ユニット71A,71B,71C内のみに冷媒を流せばよいので、冷媒の充填量を少なくすることができるので、冷媒の漏れが生じたときに、冷媒の漏洩量を少なくできる。
【0024】
(すべてのマルチエアコン室外機が冷房運転するときの動作)
図4は、空気調和システムにおける冷房時における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
図4には、空気調和システムのより詳細な構成が示されている。
【0025】
空気調和システムは、複数の室内機と、各々が対応する複数の室内機に接続されるマルチエアコン室外機100A,100B,100Cと、マルチエアコン制御器21と、第1の配管91と、第2の配管92と、温度センサTH3,TH4とを備える。
【0026】
温度センサTH3は、第1の配管91の温度を検出する。温度センサTH4は、第2の配管92の温度を検出する。
【0027】
マルチエアコン室外機は100は、圧縮機1と、四方弁2と、ファン4と、ファンモータ6と、室外熱交換器3と、コントローラ5と、室外機間熱交換ユニット20と、温度センサTH1と、圧力センサPS1とを備える。室外機間熱交換ユニット20は、熱交換器8と、膨張弁10と、循環ポンプ7と、電磁弁SV1~SV10とを備える。電磁弁SV8~SV10は、三方電磁弁である。
【0028】
四方弁2は、圧縮機1、室外熱交換器3、および室内機と接続される。
電磁弁SV1は、熱交換器8の第1のポートと、室外熱交換器3と室内機との間の配管上の第1分岐との間に配置される。膨張弁10および電磁弁SV2は、熱交換器8の第1のポートと、室外熱交換器3と室内機との間の配管上の第2分岐との間に配置される。電磁弁SV3は、熱交換器8の第2のポートと、四方弁2との間に配置される。電磁弁SV4は、第1の配管91と、電磁弁SV8の第3のポートの間に配置される。電磁弁SV5は、第2の配管92と、電磁弁SV8の第3のポートの間に配置される。電磁弁SV6は、第2の配管92と、循環ポンプ7との間に配置される。電磁弁SV7は、第1の配管91と、循環ポンプ7との間に配置される。電磁弁SV8の第1のポートは、熱交換器8の第3のポートと接続される。電磁弁SV8の第2のポートは、循環ポンプ7に接続される。電磁弁SV9の第1のポートは、熱交換器8の第4ポートと接続される。電磁弁SV9の第2のポートは、循環ポンプ7に接続される。電磁弁SV10の第1のポートは、室外熱交換器3に接続される。電磁弁SV10の第2のポートは、室内機に接続される。
【0029】
温度センサTH1は、室外熱交換器3と室外機間熱交換ユニット20との間の配管の温度を検出する。圧力センサPS1は、室外熱交換器3と室外機間熱交換ユニット20との間の配管の圧力を検出する。
【0030】
マルチエアコン室外機100A,100B,100Cのそれぞれの室外機間熱交換ユニット20の間は、第1の配管91および第2の配管92によって接続される。
【0031】
電磁弁SV1~SV7の状態は、「開」または「閉」である。電磁弁SV1~SV7の状態が「開」のときに、電磁弁SV1~SV7に冷媒が流れる。電磁弁の状態が「閉」のときに、二方電磁弁の冷媒が流れない。
【0032】
三方電磁弁SV8~SV10の状態は、「直」、「L」または「合」である。
図5(a)、(b)、および(c)は、三方電磁弁の各状態を表わす図である。
【0033】
図5(a)に示すように、三方電磁弁SV8~SV10の状態が「直」のときに、冷媒は、三方電磁弁SV8~SV10の第1のポートP1と第2のポートP2との間を直進する(直通ルート)。
【0034】
図5(b)に示すように、三方電磁弁SV8~SV10の状態が「L」のときに、冷媒は、三方電磁弁SV8~SV10の第3のポートP3から第1のポートP1または第2のポートP2へのL字形状のルート(バイパスルート)を流れる。
【0035】
図5(c)に示すように、三方電磁弁SV8~SV10の状態が「合」のときに、第1のポートP1または第2のポートP2から流入した冷媒と、第3のポートP3から流入した冷媒とが合流して、第1のポートP1または第2のポートP2から流出する。
【0036】
マルチエアコン制御器21は、各空調ユニットを制御する。
図6は、
図4に示す空気調和システムの制御手順を表わすフローチャートである。ステップS101~S104の処理が繰り返される。
【0037】
ステップS101において、マルチエアコン制御器21は、マルチエアコン室外機100Aの能力CPA、マルチエアコン室外機100Aに接続されている複数の室内機の要求能力の総和RQA、マルチエアコン室外機100Bの能力CPB、マルチエアコン室外機100Bに接続されている複数の室内機の要求能力の総和RQB、マルチエアコン室外機100Cの能力CPC、およびマルチエアコン室外機100Cに接続されている複数の室内機の要求能力の総和RQCを取得する。
【0038】
ステップS102において、マルチエアコン制御器21は、マルチエアコン室外機100A,100B,100Cの運転モードを設定する。
【0039】
マルチエアコン制御器21は、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が自身の能力を超えていない1台のマルチエアコン室外機Xと、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が自身の能力を超えている1台のマルチエアコン室外機Yとが存在するときに、Xを熱量の供給モード(第1モード)に設定し、Yを熱量の受け取りモード(第2モード)に設定する。マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しいマルチエアコン室外機を自己完結モード(第3モード)に設定する。
【0040】
図4の例では、以下の関係が成り立つので、マルチエアコン室外機100Aが第1モード、マルチエアコン室外機100Bが第3モード、マルチエアコン室外機100Cが第2モードに設定されている。
【0041】
CPA>RQA
CPB=RQB
CPC<RQC
ステップS103において、マルチエアコン制御器21は、各マルチエアコン室外機のコントローラ5に、各マルチエアコン室外機の運転モードを指示する。
【0042】
ステップS104において、各マルチエアコン室外機のコントローラ5は、指示された運転モードで動作するように、内部の電磁弁SV1~SV10を制御する。
【0043】
以下、各マルチエアコン室外機の動作を説明する。
熱量の供給モード(第1モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Aにおいて、室内機内の膨張弁を通過し膨張した冷媒が室内熱交換器(蒸発器)で蒸発(加熱気化され)、ガス配管を通って送られる。室内機から送られる冷媒は、四方弁2を経て圧縮機1に流入する。圧縮機1から放出された冷媒は、四方弁2を経て、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して冷却される。冷却された冷媒の一部(室内機要求分)は、電磁弁SV10を経て、室内機へ送られ、残り(余剰分)は、電磁弁SV2および膨張弁10を経て熱交換器8へ送られる。マルチエアコン室外機100Cから第1の配管91を通じて送られてきた熱媒体は、電磁弁SV7を経て循環ポンプ7に送られる。循環ポンプ7から流出した冷媒は、電磁弁SV9を経て熱交換器8へ送られる。熱交換器8において熱媒体と熱交換して暖められた冷媒は、電磁弁SV3および四方弁2を経由して、圧縮機1へ送られる。熱交換器8において冷媒と熱交換して冷却された熱媒体は、電磁弁SV8および電磁弁SV5を経て、第2の配管92に送られる。室内機の要求量と能力不足のマルチエアコン室外機100Cに供給する量に応じて圧縮機1をインバータで駆動することによって、空調ユニット71Aにおける冷媒の循環量を可変としている。
【0044】
熱量の受け取りモード(第2モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Cにおいて、室内機内の膨張弁を通過し膨張した冷媒が室内熱交換器(蒸発器)で蒸発(加熱気化され)、ガス配管を通って送られる。室内機から送られる冷媒は、四方弁2を経て圧縮機1に流入する。圧縮機1から放出された冷媒は、四方弁2を経て、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して冷却される。冷却された冷媒は、電磁弁SV1を経て熱交換器8へ送られる。マルチエアコン室外機100Aから第2の配管92を通じて送られてきた熱媒体は、電磁弁SV6を経て循環ポンプ7に送られる。循環ポンプ7から流出した冷媒は、電磁弁SV9を経て熱交換器8へ送られる。熱交換器8において熱媒体と熱交換して冷却された冷媒は、電磁弁SV10を経て室内機へ送られる。熱交換器8において冷媒と熱交換して暖められた熱媒体は、電磁弁SV8および電磁弁SV4を経て、第1の配管91に送られる。空調ユニット71Cにおける冷媒の循環量の目標値は、空調ユニット71C内の室内機の要求能力の総和とする。能力余剰のマルチエアコン室外機100Aからの供給量によって、不足する量を補う。
【0045】
自己完結モード(第3モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Bにおいて、室内機内の膨張弁を通過し膨張した冷媒が室内熱交換器(蒸発器)で蒸発(加熱気化され)、ガス配管を通って送られる。室内機から送られる冷媒は、四方弁2を経て圧縮機1に流入する。圧縮機1から放出された冷媒は、四方弁2を経て、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して冷却される。冷却された冷媒は、電磁弁SV10を経て、室内機へ送られる。室内機の要求量に応じて圧縮機1をインバータで駆動することによって、空調ユニット71Bにおける冷媒の循環量を可変としている。
【0046】
熱媒体の循環量は、マルチエアコン室外機100Aとマルチエアコン室外機100Cの間の熱の授受量を温度センサTH3によって検出された第1の配管91の温度、温度センサTH4によって検出された第2の配管92の温度、循環ポンプ7の運転状態によって判断することができる。マルチエアコン室外機100Aおよび100Cのそれぞれの循環ポンプ7をインバータで駆動することによって、熱媒体の循環量を可変としている。
【0047】
実施の形態2.
本実施の形態では、すべてのマルチエアコン室外機が暖房運転するときの動作を説明する。
【0048】
図7は、空気調和システムにおける暖房時における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【0049】
図7の例では、以下の関係が成り立つので、マルチエアコン室外機100Aが第1モード、マルチエアコン室外機100Bが第3モード、マルチエアコン室外機100Cが第2モードに設定されている。
【0050】
CPA>RQA
CPB=RQB
CPC<RQC
熱量の供給モード(第1モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Aにおいて、圧縮機1から放出されて四方弁2を通った冷媒の一部(室内機要求分)は、室内機へ送られる。残りの冷媒(余剰分)は、電磁弁SV3を経て熱交換器8へ送られる。マルチエアコン室外機100Cから第1の配管91を通じて送られてきた熱媒体は、電磁弁SV7を経て循環ポンプ7に送られる。循環ポンプ7から流出した冷媒は、電磁弁SV8を経て熱交換器8へ送られる。室内熱交換器(凝縮器)で冷却凝縮され膨張弁を通過した冷媒が電磁弁SV10を経て、室外熱交換器3へ送られる。熱交換器8において熱媒体と熱交換して冷却された冷媒は、膨張弁10および電磁弁SV2を経由して、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して暖められる。暖められた冷媒は、四方弁2を経て、圧縮機1に流入する。熱交換器8において冷媒と熱交換して暖められた熱媒体は、電磁弁SV9および電磁弁SV5を経て、第2の配管92に送られる。室内機への供給量と能力不足のマルチエアコン室外機100Cに供給する量に応じて圧縮機1をインバータで駆動することによって、空調ユニット71Aにおける冷媒の循環量を可変としている。
【0051】
熱量の受け取りモード(第2モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Cにおいて、圧縮機1から放出されて四方弁2を通った冷媒は、室内機へ送られる。室内熱交換器(凝縮器)で冷却凝縮され膨張弁を通過した冷媒が電磁弁SV10を経て、熱交換器8へ送られる。マルチエアコン室外機100Aから第2の配管92を通じて送られてきた熱媒体は、電磁弁SV6を経て循環ポンプ7に送られる。循環ポンプ7から流出した冷媒は、電磁弁SV8を経て熱交換器8へ送られる。熱交換器8において熱媒体と熱交換して暖められた冷媒は、電磁弁SV1を経由して、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して暖められる。暖められた冷媒は、四方弁2を経て、圧縮機1に流入する。熱交換器8において冷媒と熱交換して冷却された熱媒体は、電磁弁SV9および電磁弁SV4を経て、第1の配管91に送られる。空調ユニット71Cにおける冷媒の循環量の目標値は、空調ユニット71C内の室内機の要求量の総和とする。能力余剰のマルチエアコン室外機100Aからの供給量によって、不足する量を補う。
【0052】
自己完結モード(第3モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Bにおいて、圧縮機1から放出されて四方弁2を通った冷媒は、室内機へ送られる。室内熱交換器(凝縮器)で冷却凝縮され膨張弁を通過した冷媒が電磁弁SV10を経て、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して暖められる。暖められた冷媒は、四方弁2を経て、圧縮機1に流入する。室内機の要求量に応じて圧縮機1をインバータで駆動することによって、空調ユニット71Bにおける冷媒の循環量を可変としている。
【0053】
熱媒体の循環量は、マルチエアコン室外機100Aと100Cの間の熱の授受量を温度センサTH3によって検出された第1の配管91の温度、温度センサTH4によって検出された第2の配管92の温度、循環ポンプ7の運転状態によって判断することができる。マルチエアコン室外機100Aおよび100Cのそれぞれの循環ポンプ7をインバータで駆動することによって、熱媒体の循環量を可変としている。
【0054】
実施の形態3.
本実施の形態では、一部のマルチエアコン室外機が年間冷房運転し、残りのマルチエアコン室外機が暖房運転するときの動作を説明する。
【0055】
図8は、一部のマルチエアコン室外機が年間冷房運転し、残りのマルチエアコン室外機が暖房運転する空気調和システムにおける、冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【0056】
マルチエアコン制御器21は、年間冷房運転するマルチエアコン室外機Xを熱量の供給モード(第1モード)に設定する。マルチエアコン制御器21は、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が自身の能力を超えているマルチエアコン室外機Yを熱量の受け取りモード(第2モード)に設定する。マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しいマルチエアコン室外機を自己完結モード(第3モード)に設定する。
【0057】
接続されている複数の室内機の要求能力の総和が自身の能力を超えているマルチエアコン室外機Yでは、室内機の要求能力に応じて、圧縮機のインバータ駆動で冷媒の循環量を増加させても室外熱交換器の容量は一定であるので、熱交換容量が不足する。この不足する熱交換容量が、年間冷房運転するマルチエアコン室外機Xから供給される凝縮熱量によって補われる。これによって、マルチエアコン室外機Yに接続されている各室内機は、マルチエアコン室外機Yの単独運転時よりも大きな100%に近い能力を発揮できる。
【0058】
図8の例では、マルチエアコン室外機100Aが年間冷房運転する。マルチエアコン室外機100B、100Cが暖房運転するまた、以下の関係が成り立つので、マルチエアコン室外機100Aが第1モード、マルチエアコン室外機100Cが第2モード、マルチエアコン室外機100Bが第3モードに設定されている。
【0059】
CPC<RQC
CPB=RQB
熱量の供給モード(第1モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Aにおいて、室内機内の膨張弁を通過し膨張した冷媒が室内熱交換器(蒸発器)で蒸発(加熱気化され)、ガス配管を通って送られる。室内機から送られる冷媒は、四方弁2を経て圧縮機1に流入する。圧縮機1から放出された冷媒は、四方弁2を経て、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して冷却される。冷却された冷媒は、電磁弁SV1を経て熱交換器8へ送られる。マルチエアコン室外機100Cから第1の配管91を通じて送られてきた熱媒体は、電磁弁SV7を経て循環ポンプ7に送られる。循環ポンプ7から流出した冷媒は、電磁弁SV9を経て熱交換器8へ送られる。熱交換器8において熱媒体と熱交換して冷却された冷媒は、電磁弁SV10を経由して、室内機へ送られる。熱交換器8において冷媒と熱交換して暖められた熱媒体は、電磁弁SV8および電磁弁SV5を経て、第2の配管92に送られる。室内機の要求量と能力不足のマルチエアコン室外機100Cに供給する量に応じて圧縮機1をインバータで駆動することによって、空調ユニット71Aにおける冷媒の循環量を可変としている。
【0060】
熱量の受け取りモード(第2モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Cにおいて、圧縮機1から放出されて四方弁2を通った冷媒は、室内機へ送られる。室内熱交換器(凝縮器)で冷却凝縮され膨張弁を通過した冷媒が、電磁弁SV10を経て、熱交換器8へ送られる。マルチエアコン室外機100Aから第2の配管92を通じて送られてきた熱媒体は、電磁弁SV6を経て循環ポンプ7に送られる。循環ポンプ7から流出した冷媒は、電磁弁SV8を経て熱交換器8へ送られる。熱交換器8において熱媒体と熱交換して暖められた冷媒は、電磁弁SV1を経由して、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して暖められる。暖められた冷媒は、四方弁2を経て、圧縮機1に流入する。熱交換器8において冷媒と熱交換して冷却された熱媒体は、電磁弁SV9および電磁弁SV4を経て、第1の配管91に送られる。空調ユニット71Cにおける冷媒の循環量の目標値は、空調ユニット71C内の室内機の要求量の総和とする。能力余剰のマルチエアコン室外機100Aからの供給量によって、不足する量を補う。
【0061】
自己完結モード(第3モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Bにおいて、圧縮機1から放出されて四方弁2を通った冷媒は、室内機へ送られる。室内熱交換器(凝縮器)で冷却凝縮され膨張弁を通過した冷媒が電磁弁SV10を経て、室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3において、冷媒は、ファン4によって室外熱交換器3を通過した空気と熱交換して暖められる。暖められた冷媒は、四方弁2を経て、圧縮機1に流入する。室内機の要求量に応じて圧縮機1をインバータで駆動することによって、空調ユニット71Bにおける冷媒の循環量を可変としている。
【0062】
熱媒体の循環量は、マルチエアコン室外機100Aと100Cの間の熱の授受量を温度センサTH3によって検出された第1の配管91の温度、温度センサTH4によって検出された第2の配管92の温度、循環ポンプ7の運転状態によって判断することができる。マルチエアコン室外機100Aおよびマルチエアコン室外機100Cのそれぞれの循環ポンプ7をインバータで駆動することによって、熱媒体の循環量を可変としている。
【0063】
実施の形態3の変形例1.
図9は、実施の形態3の変形例1における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【0064】
実施の形態3では、熱量の供給モード(第1モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Aにおいて、室外熱交換器3において、冷却された冷媒は、電磁弁SV1を経て熱交換器8へ送られる。
【0065】
本変形例では、室外熱交換器3において、冷却された冷媒の一部は、電磁弁SV10を経て室外機へ送られ、冷却された冷媒の残りが、電磁弁SV1を経て熱交換器8へ送られる。
【0066】
実施の形態3の変形例2.
図10は、実施の形態3の変形例2における冷媒および熱冷媒の流れと、電磁弁SV1~電磁弁SV10の状態を表わす図である。
【0067】
図11は、実施の形態3の変形例2における3台のマルチエアコン室外機の運転モードの設定手順を表わすフローチャートである。
【0068】
ステップS200において、マルチエアコン制御器21は、年間冷房運転するマルチエアコン室外機Xを熱量の供給モード(第1モード)に設定する。
【0069】
ステップS201において、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が自身の能力を超えているマルチエアコン室外機Yが存在するときに、処理がステップS202に進み、接続されている複数の室内機の要求能力の総和が自身の能力を超えているマルチエアコン室外機Yが存在しないときに、処理がステップS206に進む。
【0070】
ステップS202において、マルチエアコン制御器21は、マルチエアコン室外機Yを熱量の受け取りモード(第2モード)に設定する。
【0071】
ステップS203において、マルチエアコン室外機Xの凝縮熱量とマルチエアコン室外機Yへの供給熱量との差が定められた閾値TR1以上の場合に、処理がステップS204に進む。マルチエアコン室外機Xの凝縮熱量とマルチエアコン室外機Yへの供給熱量との差が定められた閾値TR1未満の場合に、処理がステップS205に進む。
【0072】
ステップS204において、マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しいマルチエアコン室外機を熱量の受け取りモード(第2モード)に設定する。
【0073】
ステップS205において、マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しいマルチエアコン室外機を自己完結モード(第3モード)に設定する。
【0074】
ステップS206において、マルチエアコン室外機Xの凝縮熱量が予め定められた閾値TR2以上の場合に、処理がステップS207に進み、マルチエアコン室外機Xの凝縮熱量が予め定められた閾値TR2未満の場合に、処理がステップS208に進む。
【0075】
ステップS207において、マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しい2つのマルチエアコン室外機を熱量の受け取りモード(第2モード)に設定する。
【0076】
ステップS208において、マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しい2つのマルチエアコン室外機のうち、圧力センサPS1により検出された低圧圧力が小さい方のマルチエアコン室外機を熱量の受け取りモード(第2モード)に設定する。
【0077】
ステップS209において、マルチエアコン制御器21は、能力と要求能力の総和とが等しい2つのマルチエアコン室外機のうち、圧力センサPS1により検出された低圧圧力が大きい方のマルチエアコン室外機を自己完結モード(第3モード)に設定する。
【0078】
これによって、暖房運転するマルチエアコン室外機への戻り冷媒の温度を上げることができるので、室外熱交換器3への霜付の低減を図ることができる。その結果、除霜運転の回数を減らすことができる。また、低圧圧力を上昇させることができるので、冷媒循環量の増加を図ることできる。その結果、省エネルギーを実現できる。
【0079】
図10の例で、マルチエアコン室外機100Aが年間冷房運転するので、マルチエアコン室外機100Aが第1モードに設定される。また、以下の関係が成り立つが、ステップS207によって、マルチエアコン室外機100Bおよび100Cが第2モードに設定されている。
【0080】
CPC=RQC
CPB=RQB
熱量の供給モード(第1モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Aの動作は、
図8のマルチエアコン室外機100Aの動作と同様である。
【0081】
熱量の受け取りモード(第2モード)に設定されたマルチエアコン室外機100Bおよび100Cの動作は、
図8のマルチエアコン室外機100Cの動作と同様である。
【0082】
[付記]
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
【0083】
(付記1)
空気調和システムであって、
複数の空調ユニットを備え、各々の空調ユニットは、マルチエアコン室外機と、各々が前記マルチエアコン室外機に接続される複数の室内機を含み、前記マルチエアコン室外機と前記複数の室内機との間には、冷媒が流れ、
前記マルチエアコン室外機は、前記冷媒と熱媒体とを熱交換する室外機間熱交換ユニットを含み、
前記空気調和システムは、
複数の前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットを接続し、前記熱媒体が流れる第1の配管および第2の配管を備える、空気調和システム。
【0084】
(付記2)
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットから、複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットに前記熱媒体を通じて、余剰熱量が送られ、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求能力の総和よりも大きく、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求能力の総和よりも小さい、付記1記載の空気調和システム。
【0085】
(付記3)
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットは、他の前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットとの間に前記熱媒体を通じた熱量の授受を行わない、付記2記載の空気調和システム。
【0086】
(付記4)
前記室外機間熱交換ユニットは、
前記冷媒および前記熱媒体が流れて、熱交換する第1の熱交換器と、
前記熱媒体を循環させるための循環ポンプと、
前記冷媒および前記熱媒体の流れる経路を制御するための複数のスイッチと、を含む、付記1~3のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【0087】
(付記5)
前記マルチエアコン室外機は、圧縮機と、四方弁と、空気と熱交換する第2の熱交換器とを備え、
前記空気調和システムに含まれるすべての前記マルチエアコン室外機およびすべての前記室内機が、冷房運転しているときに、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒の一部が前記室内機に送られ、前記冷媒の残りが前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記四方弁を経由して前記圧縮機に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第2の配管に送られ、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第1の熱交換器に送られ、前記第2の配管を通じて前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記室内機に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第1の配管に送られる、付記1~4のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【0088】
(付記6)
前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒が前記室内機に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られない、付記5記載の空気調和システム。
【0089】
(付記7)
前記マルチエアコン室外機は、圧縮機と、四方弁と、空気と熱交換する第2の熱交換器とを備え、
前記空気調和システムに含まれるすべての前記マルチエアコン室外機およびすべての前記室内機が、暖房運転しているときに、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記室内機からの前記冷媒が前記第2の熱交換器に流入し、前記圧縮機から流出し前記四方弁を経由した前記冷媒の一部が、前記室内機へ送られ、前記冷媒の残りが、前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第2の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第2の配管に送られ、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記圧縮機から流出し前記四方弁を経由した前記冷媒が前記室内機へ送られ、前記室内機からの前記冷媒が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第2の熱交換器に流入し、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第1の配管に送られる、付記1~4のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【0090】
(付記8)
前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記室内機からの前記冷媒が前記第2の熱交換器へ送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られない、付記7記載の空気調和システム。
【0091】
(付記9)
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットから、複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットに前記熱媒体を通じて、余剰熱量が送られ、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機は、年間冷房運転し、他の前記マルチエアコン室外機は、暖房運転する、付記1記載の空気調和システム。
【0092】
(付記10)
前記室外機間熱交換ユニットは、
前記冷媒および前記熱媒体が流れて、熱交換する第1の熱交換器と、
前記熱媒体を循環させるための循環ポンプと、
前記冷媒および前記熱媒体の流れる経路を制御するための複数のスイッチと、を含む、付記9記載の空気調和システム。
【0093】
(付記11)
前記マルチエアコン室外機は、圧縮機と、四方弁と、空気と熱交換する第2の熱交換器とを備え、
前記第1のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットの前記複数のスイッチによって、前記第2の熱交換器から流出した前記冷媒が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の配管を通じて前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機から送られてきた前記熱媒体が前記循環ポンプに送られ、前記循環ポンプから流出された前記熱媒体が前記第1の熱交換器に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記冷媒が前記室内機に送られ、前記第1の熱交換器から流出した前記熱媒体が前記第2の配管に送られる、付記10記載の空気調和システム。
【0094】
(付記12)
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求能力の総和よりも小さい、付記9~11のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【0095】
(付記13)
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求と等しい、付記9~11のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【0096】
(付記14)
複数の前記マルチエアコン室外機のうちの第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットは、他の前記マルチエアコン室外機の前記室外機間熱交換ユニットとの間に前記熱媒体を通じた熱量の授受を行わず、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求と等しく、
前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機の能力は、前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機に接続されている複数の前記室内機の要求と等しく、
前記第2のモードに設定された前記マルチエアコン室外機における前記第2の熱交換器と前記室外機間熱交換ユニットとの間の配管の圧力は、前記第3のモードに設定された前記マルチエアコン室外機における前記第2の熱交換器と前記室外機間熱交換ユニットとの間の配管の圧力よりも低い、付記9~11のいずれか項に記載の空気調和システム。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4 ファン、5 コントローラ、6 ファンモータ、7 循環ポンプ、8 熱交換器、10 膨張弁、20 室外機間熱交換ユニット、21 マルチエアコン制御器、71A,71B,71C 空調ユニット、91 第1の配管、92 第2の配管、100A,100B,100C,200A,200B,200C,300A,300B,300C マルチエアコン室外機、IU1~IU18 室内機、P1 第1のポート、P2 第2のポート、P3 第3のポート、SV1~SV10 電磁弁、TH1,TH3,TH4 温度センサ、PS1 圧力センサ。