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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007913
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ハブユニット軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/76 20060101AFI20240112BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F16C33/76 A
F16C19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109318
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 将充
(72)【発明者】
【氏名】若林 達男
【テーマコード(参考)】
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
3J216AA02
3J216AA14
3J216AB03
3J216BA22
3J216BA24
3J216CA01
3J216CB04
3J216CB13
3J216CB19
3J216CC48
3J216DA02
3J216EA10
3J216FA09
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA73
3J701DA14
3J701EA31
3J701FA44
3J701GA03
(57)【要約】
【課題】キャップを適切に射出成形可能なハブユニット軸受を提供する
【解決手段】キャップは、合成樹脂製のキャップ本体と、キャップ本体に固定された金属製の芯金と、を有する。キャップ本体は、全体が有底円筒状であり、略円板状の樹脂底板部と、樹脂底板部の径方向外側部からアウトボード側に延びる略円筒状の樹脂筒部と、を有する。樹脂筒部は、芯金を径方向外側から覆う。樹脂筒部の内周面には、芯金よりもアウトボード側又はインボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部が設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に複列の外輪軌道面が形成された外輪と、
外周面に複列の内輪軌道面が形成された内輪と、
前記複列の内輪軌道面と、前記複列の外輪軌道面と、の間に転動自在に配置された複数の転動体と、
前記外輪のインボード側端部に固定され、前記外輪のインボード側の開口を塞ぐキャップと、
を備えるハブユニット軸受であって、
前記キャップは、合成樹脂製のキャップ本体と、前記キャップ本体に固定された金属製の芯金と、を有し、
前記キャップ本体は、全体が有底円筒状であり、略円板状の樹脂底板部と、前記樹脂底板部の径方向外側部からアウトボード側に延びる略円筒状の樹脂筒部と、を有し、
前記樹脂筒部は、前記芯金を径方向外側から覆い、
前記樹脂筒部の内周面には、前記芯金よりもアウトボード側又はインボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部が設けられる
ハブユニット軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するために使用されるハブユニット軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪(従動輪)を懸架装置に対して回転自在に支持するハブユニット軸受に、ABS等の制御に必要な車輪の回転速度を検出する為の回転速度検出装置を組み合わせて成る、回転速度検出装置付のハブユニット軸受が、従来から広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、合成樹脂を射出成形してなる有底円筒状のキャップ本体と、キャップ本体の開口部に一体的にモールドされた芯金と、を備えたハブユニット軸受用の軸受キャップが開示されている。特許文献1の軸受キャップにおいては、芯金の径方向外側を樹脂で覆い、この樹脂部分を外輪内周面との嵌合面としている。
【0004】
芯金と樹脂が一体となった成形品を作り出すインサート成形において、インサート品である芯金を成形型から浮かせて射出成形を行うことは困難であるため、芯金の径方向外側か径方向内側のいずれかは成形型との係止面(樹脂が覆わない面)にする必要がある。特許文献1の軸受キャップでは、芯金の内周面は、成形型との係止面となるため、フラッシュ(バリ。樹脂の流れ出し。)が発生した部分を除き、樹脂で覆われていない。
【0005】
ところで、アキシアルドロー成形の射出成形型には、成型品の径方向内側に位置する移動型と、成型品の径方向外側に位置する固定型と、がある。固定型にはゲートが設けられ、型開きの際、成形品は移動型に係止された状態(係止力は溶融樹脂の成形収縮により発生する円周応力)で固定型から抜き取られた後、エジェクターピンで押されて移動型からも外される。
【0006】
特許文献1の軸受キャップの場合、径方向内側に樹脂の露出がほとんど無く、芯金が溶融樹脂の成形収縮により発生する円周応力を支承してしまう為、成形品を固定型から取り出すことが困難になる。さらに、センサ挿入孔が有底であるため、センサ挿入孔は固定型で成形する必要があり、この部分の成形収縮の影響で、成形品を固定型から取り出すことがさらに困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-131150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の様な事情に鑑みなされたものであり、キャップを適切に射出成形可能なハブユニット軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1) 内周面に複列の外輪軌道面が形成された外輪と、
外周面に複列の内輪軌道面が形成された内輪と、
前記複列の内輪軌道面と、前記複列の外輪軌道面と、の間に転動自在に配置された複数の転動体と、
前記外輪のインボード側端部に固定され、前記外輪のインボード側の開口を塞ぐキャップと、
を備えるハブユニット軸受であって、
前記キャップは、合成樹脂製のキャップ本体と、前記キャップ本体に固定された金属製の芯金と、を有し、
前記キャップ本体は、全体が有底円筒状であり、略円板状の樹脂底板部と、前記樹脂底板部の径方向外側部からアウトボード側に延びる略円筒状の樹脂筒部と、を有し、
前記樹脂筒部は、前記芯金を径方向外側から覆い、
前記樹脂筒部の内周面には、前記芯金よりもアウトボード側又はインボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部が設けられる
ハブユニット軸受。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハブユニット軸受によれば、キャップを適切に射出成形可能なハブユニット軸受を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態に係るハブユニット軸受の断面図である。
図2】第一実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。
図3】第二実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。
図4】第三実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。
図5】第四実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。
図6】第五実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係るハブユニット軸受について、図1図2を用いて詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係るハブユニット軸受の断面図である。図2は、第一実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。
【0013】
なお、ハブユニット軸受に関して、本明細書及び特許請求の範囲の全体で、軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車体の幅方向外側となる、図1の左側を言い、「アウトボード側」とも称す。また、反対に車体の幅方向中央側となる、図1の右側を、軸方向に関して「内」と言い、「インボード側」とも称す。
【0014】
本実施形態のハブユニット軸受1は、従動輪用であり、外輪2と、内輪3と、複数の転動体4、4と、を主に備える。
【0015】
外輪2は、外周面に静止側フランジ7を、内周面に複列(2列)の外輪軌道面8a、8bを、それぞれ有している。外輪2は、使用時に、静止側フランジ7を、懸架装置のナックルに結合固定する事により、この懸架装置に支持された状態で回転しない。
【0016】
内輪3は、ハブ輪9と内輪部材10とにより構成されており、外輪2の径方向内側に外輪2と同軸(同芯)に配置されている。
【0017】
ハブ輪9には、外輪2の軸方向外側(アウトボード側)開口から軸方向外方に突出した部分に、径方向外側に延出して、車輪(駆動輪)及びディスクロータ等の制動用回転部材を支持固定するための円輪状の回転側フランジ11が設けられている。具体的に、回転側フランジ11には複数の挿通孔11aが設けられ、各挿通孔11aには、ハブボルト17がセレーション嵌合されている。なお、回転側フランジ11の複数の挿通孔11aを雌ねじ孔とし、ハブボルトを螺合することで、車輪(駆動輪)及びディスクロータ等の制動用回転部材を支持固定することもできる。
【0018】
また、ハブ輪9の外周面のうち、外輪2の軸方向外側(アウトボード側)列の外輪軌道面8aと対向する部分には、アウトボード側列(一方の列)の内輪軌道面12aが設けられている。また、ハブ輪9の外周面のうち、外輪2の軸方向内側(インボード側)列の外輪軌道面8bと対向する軸方向内端部には、小径段部13が設けられている。
【0019】
内輪部材10の外周面には、インボード側列(他方の列)の内輪軌道面12bが設けられている。内輪部材10は、そのアウトボード側端面を小径段部13の段差面に突き当てた状態でハブ輪9の小径段部13の外周面に外嵌されると共に、そのインボード側端面が加締め部24によって結合固定されることで、ハブ輪9に固定されている。
【0020】
転動体4、4は、アウトボード側列の外輪軌道面8aと内輪軌道面12aとの間部分、及び、インボード列の外輪軌道面8bと内輪軌道面12bとの間部分に、1対の保持器6,6により保持された状態で転動自在に設けられている。
【0021】
外輪2の内周面のアウトボード側端部には、シールリング5が支持固定されている。シールリング5は、外輪2の内周面とハブ輪9の外周面との間に存在する、複数の転動体4、4が設けられた内部空間18のアウトボード側端開口を塞いでいる。シールリング5は、ハブ輪9の外周面のうち、内輪軌道面12aのアウトボード側の大径段部20に摺接する。
【0022】
内輪部材10のインボード側端部には、円環状のエンコーダ14が支持固定されている。エンコーダ14は、支持環26と、エンコーダ本体27と、から構成されている。支持環26は、SUS430等のフェライト系ステンレス鋼板やSPCC等の圧延鋼板など、磁性体の金属板に、プレス加工を施す事により、断面L字形で全体を円環状に形成されている。支持環26のアウトボード側部分が、内輪部材10に外嵌固定されている。支持環26は、内輪部材10に固定される円環状の円環部26aと、円環部26aのインボード側端部から径方向内側に延びるフランジ部26bと、を有する断面略L字状である。エンコーダ本体27は、フェライト粉末等の磁性体をゴムや熱可塑性樹脂に混入してなる永久磁石により全体を円輪状に造られたもので、支持環26のフランジ部26bのインボード側面に添着固定されている。エンコーダ本体27のインボード側面(被検出面)には、S極とN極が円周方向に関して交互に且つ等ピッチで着磁されている。
【0023】
外輪2のインボード側端部には、外輪2のインボード側の開口を塞ぐ、有底円筒状のキャップ30が固定される。
【0024】
図2に示すように、キャップ30は、充填剤を含有する合成樹脂製のキャップ本体50と、キャップ本体50に固定された金属製の芯金40と、を有する。
【0025】
キャップ本体50は、合成樹脂を射出成形(アキシャルドロー成形)する事により、全体が有底円筒状に造られており、略円板状の樹脂底板部51と、樹脂底板部51の径方向外側部からアウトボード側に延びる略円筒状の樹脂筒部53と、を有する。樹脂底板部51は、樹脂筒部53の軸方向内側を向く開口を塞ぐ底部である。
【0026】
樹脂底板部51の中心軸よりも径方向外側にずれた位置には、他の部分よりも軸方向の肉厚が大きくなった(軸方向両側に向けて膨出した)厚肉部52が設けられている。
【0027】
厚肉部52には、エンコーダ本体27の被検出面と軸方向に対向する部分に、厚肉部52を軸方向に貫通する挿入孔54が設けられている。挿入孔54は、センサ(不図示)を挿入する為のもので、挿入孔54の内周面は、センサの外径寸法よりも僅かに大きい内径寸法を有している。
【0028】
厚肉部52の径方向内側部には、インサートナット56がモールド固定されている。インサートナット56は、内周面に雌ねじが形成され、軸方向に延びる貫通孔を有する貫通ナット、または、アウトボード端部に底部を設けた有底円筒状の袋ナットである。そして、センサを挿入孔54内に挿入した状態で、センサのフランジ部に設けられた固定孔を貫通するボルト(不図示)をインサートナット56に螺合することで、センサは挿入孔54内に固定される。
【0029】
キャップ本体50を構成する合成樹脂材としては、例えばポリアミド66樹脂に、充填剤が付加されている。充填剤は、例えば、繊維状の強化材として、グラスファイバー、カーボンファイバー、或いは金属繊維が用いられる。又、必要に応じて、ポリアミド樹脂に、非晶性芳香族ポリアミド樹脂(変性ポリアミド6T/6I)、低吸水脂肪族ポリアミド樹脂(ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアミド612樹脂)を適宜加える事で、より耐水性を向上させても良い。
【0030】
芯金40は、ステンレス鋼板や圧延鋼板等の金属から造られており、全体が円環状に形成されている。芯金40は、軸方向に延びる略円筒状の芯金筒部41と、芯金筒部41のインボード側端部から径方向外側に延びる芯金フランジ部43と、を有する断面L字状である。芯金筒部41のインボード側端部は、外輪2よりもインボード側に位置する。そして、芯金筒部41のインボード側端部から径方向に延びた芯金フランジ部43は、外輪2のインボード側端面と軸方向に対向する。
【0031】
芯金40は、キャップ本体50の樹脂筒部53にモールド固定されている。これにより、芯金40は、径方向外側から樹脂筒部53によって覆われる。なお、芯金40を成形型から浮かせて射出成形を行うことは困難である為、芯金40の外径側か内径側のいずれかは成形型との係止面(樹脂が覆わない面)にする必要がある。そこで、本実施形態では、芯金筒部41の内周面41aは、射出成形時に移動型に係止されるので、樹脂によって被覆されない。
【0032】
キャップ本体50の樹脂筒部53は、芯金フランジ部43を径方向外側から覆う大径部55と、芯金筒部41を径方向外側から覆う小径部57と、を有する。大径部55の外径は、外輪2のインボード側端部の内周面2aの内径よりも大きい。したがって、大径部55は、外輪2のインボード側端部に軸方向に当接する。また、小径部57の外径は、外輪2のインボード側端部の内周面2aの内径より僅かに大きい。そして、小径部57は、外輪2のインボード側端部の内周面2aに圧入されて内嵌される。したがって、小径部57は、キャップ30の樹脂嵌合部であるとも言える。
【0033】
ここで、樹脂筒部53の内周面53aには、芯金40よりもインボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部59が設けられる。すなわち、凸部59は、樹脂筒部53の大径部55のうち、芯金40よりもインボード側の部分の内周面に設けられる。凸部59は、樹脂筒部53の内周面53aの全周にわたって設けられてもよく、間欠的に設けられてもよい。いずれにしても、凸部59は、キャップ30の径方向内側の移動型に設けられた凹部により形成され、射出成形されたキャップ30を径方向外側の固定型から引き抜く際に、キャップ30に係止された状態を維持する働きをする。
【0034】
なお、図1及び図2では、凸部59の断面形状を、半円状に描いて誇張しているが、実際の凸部59の径方向高さは0.1mm程度であり、軸方向幅は1~2mm程度である。また、射出成形されたセンサホルダを移動型からエジェクターピンにより無理抜きしやすい様に、凸部59の断面形状を頂部に比べて裾部の傾斜が緩やかな略三角形状とすることもできる。
【0035】
なお、本実施形態では、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57aが、芯金筒部41の内周面41aよりも径方向外側に位置しており、芯金筒部41のアウトボード側端面41bと重なるように位置する。このように構成することで、射出成形時に、芯金筒部41のアウトボード側端面41bを利用して樹脂を止め、樹脂が芯金筒部41の内周面41aに流れ出すこと(すなわちフラッシュの発生)を防止している。
【0036】
[第二実施形態]
図3は、第二実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。本実施形態においては、樹脂筒部53の内周面53aには、芯金40よりもアウトボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部59が設けられる。すなわち、凸部59は、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57aに設けられる。このような構成によっても、射出成形されたキャップ30を径方向外側の固定型から引き抜く際に、凸部59はキャップ30に係止された状態を維持する働きをする。
【0037】
本実施形態においても、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57aが、芯金筒部41の内周面41aよりも径方向外側に位置しており、芯金筒部41のアウトボード側端面41bと重なるように位置する。このように構成することで、射出成形時に、芯金筒部41のアウトボード側端面41bを利用して樹脂を止め、樹脂が芯金筒部41の内周面41aに流れ出すこと(すなわちフラッシュの発生)を防止している。
【0038】
[第三実施形態]
図4は、第三実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。本実施形態においては、第二実施形態と同様、樹脂筒部53の内周面53aには、芯金40よりもアウトボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部59が設けられる。すなわち、凸部59は、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57aに設けられる。
【0039】
そして、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57aが、芯金筒部41の内周面41aに対して、略同径とされている。このような構成は、射出成形時に、樹脂が芯金筒部41の内周面41aに流れ出すこと(すなわちフラッシュの発生)がある程度許容される場合に、採用可能である。
【0040】
[第四実施形態]
図5は、第四実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。本実施形態においては、第二及び第三実施形態と同様、樹脂筒部53の内周面53aには、芯金40よりもアウトボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部59が設けられる。そして、凸部59は、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57aの軸方向全幅に設けられる。
【0041】
そして、樹脂筒部53の小径部57のうち、芯金40よりもアウトボード側の部分の内周面57a(すなわち凸部59の先端面)が、芯金筒部41の内周面41aよりも、小径とされている。このような構成は、射出成形時に、樹脂が芯金筒部41の内周面41aに流れ出すこと(すなわちフラッシュの発生)がある程度許容される場合に、採用可能である。
【0042】
[第五実施形態]
図6は、第五実施形態に係るハブユニット軸受の要部拡大図である。本実施形態においては、樹脂筒部53の小径部57が、芯金筒部41の内周面41aのアウトボード側の一部を覆う。したがって、樹脂筒部53の小径部57の内周面57aは、芯金筒部41の内周面41aよりも、小径とされている。そして、第二~第四実施形態と同様、樹脂筒部53の内周面53aには、芯金40よりもアウトボード側の部分に、径方向内側に突出する凸部59が設けられる。このような構成は、射出成形時に、樹脂が芯金筒部41の内周面41aに流れ出すこと(すなわちフラッシュの発生)がある程度許容される場合に、採用可能である。
【0043】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形及び改良が可能である。
【0044】
例えば、上述した実施形態においては、センサを挿入するための挿入孔54は厚肉部52を貫通する貫通孔として説明したが、挿入孔54は非貫通であっても構わない。
【0045】
また、キャップ30は、必ずしもセンサを支持する機能を有さなくてもよく、例えば、キャップ30端面の軸方向位置を保証したい場合にも、本願発明は好適である。
【符号の説明】
【0046】
1 ハブユニット軸受
2 外輪
2a 内周面
3 内輪
4 転動体
5 シールリング
7 静止側フランジ
8a,8b 外輪軌道面
9 ハブ輪
10 内輪部材
11 回転側フランジ
11a 挿通孔
12a,12b 内輪軌道面
13 小径段部
14 エンコーダ
17 ハブボルト
18 内部空間
20 大径段部
24 加締め部
26 支持環
26a 円環部
26b フランジ部
27 エンコーダ本体
30 キャップ
40 芯金
41 芯金筒部
41a 内周面
41b アウトボード側端面
43 芯金フランジ部
50 キャップ本体
51 樹脂底板部
52 厚肉部
53 樹脂筒部
53a 内周面
54 挿入孔
55 大径部
56 インサートナット
57 小径部
57a 内周面
59 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6