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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079155
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】栽培方法、及び、培地付き保持具
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20240604BHJP
【FI】
A01G31/00 611Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191914
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】514108263
【氏名又は名称】株式会社ファームシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 由久
(72)【発明者】
【氏名】小川 勝史
(72)【発明者】
【氏名】北島 正裕
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA02
2B314NC14
2B314NC16
2B314NC25
2B314NC38
2B314PC04
2B314PC09
2B314PC10
2B314PC16
2B314PC17
2B314PC18
2B314PC26
(57)【要約】
【課題】 苗の移植作業を効率よく行いつつ、最終的に得られる収穫物の収量を増やすことができる栽培方法と、その栽培方法に用いる培地付き保持具とを提供する。
【解決手段】 第1栽培パネルに設けられた複数の第1固定部のそれぞれに、複数の固形培地を保持する保持具が固定された状態で、固形培地が担持する植物の苗を水耕栽培方式で栽培する第1栽培工程と、第1栽培工程の後に第1固定部から外した保持具を、第2栽培パネルにおいて第1固定部間の間隔よりも広い間隔で配置された複数の第2固定部のそれぞれに固定した状態で、固形培地が担持する苗を水耕栽培方式で栽培する第2栽培工程と、を含む栽培方法。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1栽培パネルに設けられた複数の第1固定部のそれぞれに、複数の固形培地を保持する保持具が固定された状態で、前記固形培地が担持する植物の苗を水耕栽培方式で栽培する第1栽培工程と、
前記第1栽培工程の後に前記第1固定部から外した前記保持具を、第2栽培パネルにおいて前記第1固定部間の間隔よりも広い間隔で配置された複数の第2固定部のそれぞれに固定した状態で、前記固形培地が担持する前記苗を水耕栽培方式で栽培する第2栽培工程と、を含む栽培方法。
【請求項2】
前記保持具には、前記固形培地が担持する前記苗の高さが、同じ前記保持具に保持される前記固形培地間で等しくなるように選定された複数の前記固形培地が保持される、請求項1に記載の栽培方法。
【請求項3】
前記保持具に保持される複数の前記固形培地のそれぞれは、前記固形培地間で品種が異なる前記植物の苗を担持する、請求項1又は2に記載の栽培方法。
【請求項4】
前記保持具には、2個以上且つ6個以下の前記固形培地が保持される、請求項1又は2に記載の栽培方法。
【請求項5】
前記第1固定部は、前記第1栽培パネルを貫通した第1貫通孔を有し、
前記第2固定部は、前記第2栽培パネルを貫通した第2貫通孔を有し、
前記第1栽培工程において、前記保持具は、前記苗の根が前記第1貫通孔を通過した状態で前記第1貫通孔の縁に係合しており、
前記第2栽培工程において、前記保持具は、前記苗の根が前記第2貫通孔を通過した状態で前記第2貫通孔の縁に係合しており、
前記第2貫通孔の径が前記第1貫通孔の径よりも大きい、請求項1又は2に記載の栽培方法。
【請求項6】
栽培パネルに設けられた固定部に固定された状態で用いられる、培地付き保持具であって、
植物の苗を担持する複数の固形培地と、前記複数の固形培地を保持する保持具と、を含む培地付き保持具。
【請求項7】
前記保持具の内部は、仕切壁によって複数の領域に仕切られ、
前記複数の固形培地の各々は、前記保持具の内部において、互いに異なる前記領域に収容された状態で、前記保持具に保持される、請求項6に記載の培地付き保持具。
【請求項8】
前記固定部が前記栽培パネルを貫通した貫通孔を有する場合に、前記保持具は、前記苗の根が前記貫通孔を通過した状態で前記貫通孔の縁と係合することで前記固定部に固定される、請求項6又は7に記載の培地付き保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の苗を水耕栽培方式にて栽培する栽培方法に関する。また、本発明は、水耕栽培において苗を担持する培地と、培地を保持した状態で栽培パネルの固定部に固定される保持具とを有する培地付き保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
フロート等のような栽培パネルに、植物の苗を担持した固形培地を固定した状態で、苗を水耕栽培方式にて栽培する栽培方法は、既に知られている。特許文献1に記載の栽培方法では、フロート板に複数の挿着孔が設けられ、各挿着孔に固形培地としてのポットが挿着されることで、ポット及びポットに担持された苗が栽培パネルに支持されて固定される。
【0003】
また、苗の生育により苗のサイズが一定のサイズ以上となった場合には、苗の生長を阻害させない理由で苗同士の間隔を広げるために、培地を固定する固定部のピッチが広がった栽培パネルに苗をポットごと移植する。特許文献1に記載の栽培方法では、第1フロート板に設けられた複数の第1挿着孔のそれぞれにポットを挿着した状態で苗を所定期間栽培する。その後、ポットを第1挿着孔から取り外し、取り外したポットを、第2フロート板において第1挿着孔のピッチよりも広いピッチで配置された複数の第2挿着孔のそれぞれに挿着する。これにより、ポットに担持された苗が第1フロート板から第2フロート板に移植される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-103894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水耕栽培にて苗を栽培する場合には、最終的な成果物(収穫物)について、より多い収量が得られるように栽培することが求められる。また、栽培過程で行われる苗の移植作業は、効率よく行われることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す課題を解決することを目的とする。本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、苗の移植作業を効率よく行いつつ、最終的に得られる収穫物の収量を増やすことができる栽培方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の栽培方法に利用可能な培地付き保持具を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の栽培方法は、第1栽培パネルに設けられた複数の第1固定部のそれぞれに、複数の固形培地を保持する保持具が固定された状態で、固形培地が担持する植物の苗を水耕栽培方式で栽培する第1栽培工程と、第1栽培工程の後に第1固定部から外した保持具を、第2栽培パネルにおいて第1固定部間の間隔よりも広い間隔で配置された複数の第2固定部のそれぞれに固定した状態で、固形培地が担持する苗を水耕栽培方式で栽培する第2栽培工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の栽培方法によれば、植物の苗を保持具とともに移動することができるために、苗の移植を効率よく行うことができる。また、保持具には、複数の固形培地が保持されるため、1つの保持具において複数の植物の苗を生長させることができる。これにより、1つの保持具において得られる収穫物の収量を増やすことができる。
【0009】
また、保持具には、固形培地が担持する苗の高さが、同じ保持具に保持される固形培地間で等しくなるように選定された複数の固形培地が保持されてもよい。
上記の構成によれば、1つの保持具において複数の苗を生長させる際に、それぞれの苗の生長を促進させることができ、1つの保持具において得られる収穫物の収量を増やすことができる。
【0010】
また、保持具に保持される複数の固形培地のそれぞれは、培地間で品種が異なる植物の苗を担持してもよい。
上記の構成によれば、一つの保持具において、品種が異なる植物の苗を栽培し、それぞれの苗の生長を促進させることができる。これにより、それぞれの品種の植物について、収穫量を増やすことができる。ここで、品種が異なる植物とは、同一の品目(種)に属し、且つ、性質及び形態が異なる植物を意味する。
【0011】
また、保持具には、2個以上且つ6個以下の固形培地が保持されてもよい。
上記の構成によれば、それぞれの保持具に好適な個数の固形培地を保持することで、苗の移植作業の効率性をより高め、最終的に得られる収穫物の収量を増やす。
【0012】
また、第1固定部は、第1栽培パネルを貫通した第1貫通孔を有し、第2固定部は、第2栽培パネルを貫通した第2貫通孔を有してもよい。また、第1栽培工程において、保持具は、苗の根が第1貫通孔を通過した状態で第1貫通孔の縁に係合しており、第2栽培工程において、保持具は、苗の根が第2貫通孔を通過した状態で第2貫通孔の縁に係合していてもよい。この場合、第2貫通孔の径が第1貫通孔の径よりも大きいことが好ましい。
上記の構成によれば、苗の生長に応じて根が伸びて根のサイズ(根が存在する空間の大きさ)が大きくなったとしても、移植先の第2栽培パネルに形成された貫通孔に苗をスムーズに移植することができる。
【0013】
また、前述の課題を解決するため、本発明の培地付き保持具は、栽培パネルに設けられた固定部に固定された状態で用いられる、培地付き保持具であって、植物の苗を担持する複数の固形培地と、複数の固形培地を保持する保持具と、を含むことを特徴とする。
本発明の培地付き保持具を用いて植物の苗を栽培することにより、苗の移植作業を効率よく行いつつ、最終的に得られる収穫物の収量を増やすことができる。
【0014】
また、保持具の内部は、仕切壁によって複数の領域に仕切られ、複数の固形培地の各々は、保持具の内部において、互いに異なる領域に収容された状態で、保持具に保持されてもよい。
上記の構成であれば、保持具において複数の固形培地を適切に保持することができる。
【0015】
また、固定部が栽培パネルを貫通した貫通孔を有する場合に、保持具は、苗の根が貫通孔を通過した状態で貫通孔の縁と係合することで固定部に固定されてもよい。
上記の構成であれば、比較的簡易な構成により、保持具を栽培パネルの固定部に固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、苗の移植作業を効率よく行いつつ、最終的に得られる収穫物の収量を増やすことができる栽培方法と、その栽培方法に用いられる培地付き保持具とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】植物栽培の基本フローを示す図であり、播種及びその前後の作業を示す図である。
図2】植物栽培の基本フローを示す図であり、第1移植及びその関連作業を示す図である。
図3】植物栽培の栽培フローを示す図であり、第2移植及びその関連作業に用いる機器を示す図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる保持具の斜視図である。
図5】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる保持具の平面図である。
図6A】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる栽培パネルの平面図である。
図6B】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる第1栽培パネルの平面図である。
図6C】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる第2栽培パネルの平面図である。
図7A】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる第1栽培パネルの断面図であり、保持具周辺を拡大して示す図である。
図7B】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法において用いられる第2栽培パネルの断面図であり、保持具周辺を拡大して示す図である。
図8】本発明の一つの実施形態に係る栽培方法のフロー図である。
図9A】本発明の保持具の第1変形例を示す図である。
図9B】本発明の保持具の第2変形例を示す図である。
図9C】本発明の保持具の第3変形例を示す図である。
図9D】本発明の保持具の第4変形例を示す図である。
図9E】本発明の保持具の第5変形例を示す図である。
図9F】本発明の保持具の第6変形例を示す図である。
図9G】本発明の保持具の第7変形例を示す斜視図である。
図9H】本発明の保持具の第7変形例の平面図である。
図9I】本発明の保持具の第7変形例の断面図である。
図9J】本発明の保持具の第8変形例を示す図である。
図9K】本発明の保持具の第8変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明について、添付の図面に示す好適な実施形態を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0019】
また、本明細書において、各機器(機器中の構成部品を含む)の位置、方向及び状態等を説明する場合には、特に断る場合を除き、当該機器が利用されている状態での位置、方向及び状態等を説明することとする。例えば、以下の説明において、「上面」とは、使用状態において上側に位置する面、換言すると、上方を向く面を意味する。また、以下の説明において、「平面視」とは、対象とする機器又は部材の上面を真上から見ることを意味する。
【0020】
また、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「水平」、「垂直」、「直交」及び「平行」は、本発明の技術分野において一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な水平、垂直、直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている場合が含まれ得る。
また、本明細書において、「同じ」、「同一」及び「等しい」という意味には、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ得る。
また、本明細書において、「全部」、「いずれも」及び「すべて」という意味には、100%である場合のほか、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合が含まれ得る。
【0021】
<<本実施形態に係る植物栽培方法について>>
以下、本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態)に係る植物の栽培方法について説明する。
本実施形態に係る植物の栽培方法では、固形培地を栽培床として用い、農作物又は鑑賞用の植物(以下、単に植物と称する)を水耕栽培方式で栽培する。本実施形態に係る植物の栽培方法は、家庭菜園のような比較的小規模な栽培形態のみならず、農園又は植物工場等のような比較的大規模な栽培にも利用可能である。
【0022】
また、本実施形態の栽培方法によって栽培される植物は、栽培の結果として収穫物が得られる植物であればよく、その種類は限定されない。また、本実施形態の栽培方法は、例えば、葉及び茎(つまり、地上部)が生長に伴って肥大化する植物、具体的には葉菜類等の植物を栽培する場合に有効に活用できる。
【0023】
<植物の栽培方法>
本実施形態に係る植物の栽培方法の基本的な流れについて、図1~3を参照しながら説明する。本実施形態に係る植物の栽培は、図1に示す播種工程、図2及び3に示す移植工程を経て、植物が収穫可能な状態に至るまで行われる。栽培期間中の各時点では、例えば多孔質体又は発泡材等からなる固形培地10が栽培床として用いられる。固形培地10は、例えば柱状又はキューブ状の部材であり、栽培期間中、植物の種d又は苗pを担持する目的で利用される。
【0024】
栽培の開始時には、固形培地10の上面に形成された播種用の孔に栽培対象の植物の種dが投入される。固形培地10は、内部に養液が溜められた不図示のトレー内に配置され、固形培地10の内部には養液が含浸される。固形培地10の孔内の種dが発芽した後、植物の苗pが固形培地10に担持されながら生長する(緑化)。具体的には、苗pの根が固形培地10内に入り込んで伸張し、苗の地上部(茎部及び葉部)が固形培地10の上方で生長する。
【0025】
そして、所定サイズ以上に生長した苗pは、図2に示すように固形培地10とともに栽培パネル40へ移植される。より詳しく説明すると、所定サイズ以上となった苗pを担持した固形培地10を、筒形状の容器からなる保持具20の内部に入れる。これにより、保持具20が、苗pを担持した固形培地10を保持し、その結果として、培地付き保持具20Xが構成される。
【0026】
なお、培地付き保持具20Xにおいて、固形培地10に担持された苗pの根の一部は、固形培地10の底面(下面)から固形培地10の外側に突出して露出している(図7A及び7B参照)。
【0027】
栽培パネル40は、平面視で矩形状のプレート体であり、水槽(不図示)の内部に溜められた養液の液面に浮かべられた状態、あるいは養液の液面よりも上方に配置された状態で利用される。栽培パネル40には、図2及び3に示すように、固定部43としての貫通孔44が所定のピッチで複数設けられている。そして、それぞれの貫通孔44に培地付き保持具20Xが嵌め込まれることで、各固形培地10に担持された苗pが栽培パネル40に移植される。
【0028】
移植後の苗pは、固形培地10の底面から突出した根が水槽内の養液に浸かった状態で生長し、苗pの地上部は、栽培パネル40上で大きくなる。苗pの地上部(特に葉部)が大きくなることに伴い、苗同士の間隔、すなわち苗間隔が次第に短くなる。ここで、苗間隔とは、互いに隣り合う2つの貫通孔44のうち、一方の貫通孔44に嵌め込まれた培地付き保持具20Xにて栽培される苗pと、他方の貫通孔44に嵌め込まれた培地付き保持具20Xにて栽培される苗pとの間隔である。
【0029】
そして、苗間隔が一定のレベルまで短くなった時点で、図3に示すように、貫通孔44同士の間隔がより広い栽培パネル40に苗pを再度移植する。ここで、移植前、厳密には移植直前まで使用されていた栽培パネル40を「第1栽培パネル41」と呼ぶこととする。また、移植先の栽培パネル40、すなわち、第1栽培パネル41よりも貫通孔44の間隔が広い栽培パネル40を「第2栽培パネル42」と呼ぶこととする。
【0030】
本実施形態では、苗pを第1栽培パネル41から第2栽培パネル42に再度移植する場合、培地付き保持具20Xを第1栽培パネル41から第2栽培パネル42に移動させる。つまり、本実施形態では、培地付き保持具20Xを単位として移植を実施し、詳しくは、苗pを担持した固形培地10を、固形培地10を保持する保持具20とともに(保持具20ごと)第2栽培パネル42に移動させる。
【0031】
第1栽培パネル41から第2栽培パネル42への苗pの移植は、その苗pを生長させる期間中、少なくとも1回以上行われる。第1栽培パネル41から第2栽培パネル42への苗pの移植が2回以上繰り返し行われる場合、ある回の移植にて第2栽培パネル42とされた栽培パネル40は、次の回の移植では第1栽培パネル41として取り扱われる。栽培期間における移植の実施回数は、特に限定されないが、栽培する植物の品種及び栽培方法に応じて適切な回数に設定されるのが好ましい。
なお、以下の説明では、移植が2回行われるケースを想定することとする。
【0032】
最後の移植、すなわち定植以降は、定植時に第2栽培パネル42として用いられた栽培パネル40上にて、植物の株が収穫可能な状態になるまで生長する。
【0033】
<固形培地の構成>
次に、固形培地10の構成について図1及び2を参照しながら説明する。
本実施形態にて利用される固形培地10は、柱状又はブロックの部材であり、その平面形状は、例えば矩形又は方形である。ただし、これに限定されず、固形培地10の平面形状は、円、楕円、正三角形又はそれ以外の正多角形等でもよい。また、固形培地10の平面形状が矩形又は方形である場合、その矩形又は方形の各辺は、1~100mmであるとよく、好ましくは5~60mmであるとよく、より好ましくは10~40mmであるとよい。
【0034】
また、固形培地10は、植物の種又は苗に対して養液が供給されるように植物の種又は苗を担持する理由から、吸水性(吸液性)を有する材料、例えば、スポンジ、発泡材又は繊維マット等によって構成される。具体的には、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、及びポリスチレン等の発泡樹脂、並びに、ロックウール、ヤシがら、パルプ、紙、レーヨン、パーライト、ピートモス、バーミキュライト、籾殻、樹皮及びココマット等の繊維材料が、固形培地10の材料として利用可能である。これらのうち、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、及びロックウールが好ましく、フェノール樹脂が特に好ましい。
【0035】
また、固形培地10を構成する材質の吸水率は、50~99.9%であるのがよく、好ましくは70~99%であるのがよく、より好ましくは80~98%であるのがよい。
【0036】
また、本実施形態の固形培地10は、弾性変形可能であり、例えば、固形培地10の平面サイズよりも一回り小さい開口を有する穴に固形培地10を嵌め込んだ場合には、当該穴の内周面に固形培地10の外縁がフィットするように圧縮変形する。
【0037】
また、固形培地10には、播種用の孔が形成されており、播種時には、この孔に、栽培対象の植物の種が投入される。各固形培地10に設けられる播種用の孔は、窪み又は切り込み等からなり、孔の数は、1つでもよく、あるいは2つ以上でもよい。また、1つの孔につき、1つの種が投入されてもよく、あるいは2つ以上の種が投入されてもよい。換言すると、1つの固形培地10に担持させる植物の苗p及び株の数は、1つでもよく、あるいは2つ以上でもよい。
なお、以下の説明では、1つの固形培地10が担持する苗pの数が1つである場合を想定することとする。
【0038】
また、栽培期間中、播種から最初の移植までの間には、図1に示すように、複数の固形培地10を連ねて構成される培地シート12が用いられる。培地シート12は、平面視で矩形状のシート体、厳密には若干の厚みを有するマット状の部材であり、養液が溜められた浅底トレー(不図示)の内部に配置され、養液に浸された状態で利用される。
【0039】
培地シート12の長辺及び短辺は、それぞれ、50mm~2000mmであるとよく、好ましくは100mm~1500mmであるとよく、より好ましくは200~1000mmであるとよい。固形培地10及び培地シート12のそれぞれの厚みは、例えば、1~200mmであるとよく、好ましくは5~100mmであるとよく、より好ましくは10~50mmmであるとよい。
【0040】
培地シート12には、図1に示すように格子状の切り取り線Lが形成されている。切り取り線Lは、断続的に延びており、換言すると、切り取り線L上には、切り込み部と非切り込み部とが交互に並んで設けられている。培地シート12は、格子状に形成された切り取り線Lにより、複数の断片、すなわち複数の固形培地10に区画されている。隣り合う2つの固形培地10同士は、断続的に延びる切り取り線Lにおける非切り込み部を介して連結されている。
【0041】
そして、培地シート12のうち、一つの断片を切り取り線Lに沿ってちぎり取って培地シート12(詳しくは、培地シート12のうち、一つの断片以外の部分)から切り離すことにより、一つの固形培地10を得ることができる。このような構成により、培地シート12は、移植に際して複数の固形培地10に分割され、移植以降は、個々の固形培地10が互いに分離した状態で利用される。
【0042】
<保持具の構成>
次に、保持具20の構成について図4及び5を参照しながら説明する。
保持具20は、筒形状の容器であり、その内部に固形培地10を保持する。本実施形態に係る保持具20の内部は、複数の固形培地10を保持可能な空間を有する。つまり、本実施形態では、一つの保持具20に2個以上の固形培地10を保持することができる。なお、保持具20内に保持可能な固形培地10の数は、特に限定されないが、2~6個が好ましく、2~5個がより好ましい。
【0043】
栽培期間のうち、最初の移植以降の期間において、保持具20は、その内部に固形培地10を保持した培地付き保持具20Xの形態で使用される。そして、培地付き保持具20Xは、図7A及び7Bに示すように、栽培パネル40に設けられた固定部43に固定された状態で用いられる。
【0044】
本実施形態に係る保持具20の構造について説明すると、保持具20は、図4及び5に示すように二重筒構造でもよく、内筒22と外筒24と連結部30とを備えてもよい。内筒22は、直管型の略円筒形状をなしており、内筒22の内部に複数の固形培地10が収容される。また、内筒22の内部には仕切壁26が配置されており、この仕切壁26によって内筒22の内部が複数の領域28に仕切られている。複数の領域28は、等分割されており、領域28の個数は、保持具20が保持可能な固形培地10の個数に応じた数、詳しくは保持される固形培地10の個数と同数である。
なお、図4及び5に示す構成では、仕切壁26が1つであり、内筒22の内部が二等分されて2つの領域28に仕切られている。
【0045】
そして、複数の固形培地10の各々は、内筒22の内部において、互いに異なる領域28に収容された状態で保持具20に保持される(例えば、図7A及び7B参照)。具体的に説明すると、内筒22の内壁面と仕切壁26とに囲まれた各領域28は、1つの固形培地10を収容する開口部を形成している。また、各領域28の開口サイズ(開口部を平面視した際のサイズ)は、圧縮前の固形培地10の平面サイズよりも若干小さい。そのため、固形培地10を領域28内に押し込むことにより、固形培地10が圧縮変形して領域28内に収容され、この結果、固形培地10が領域28内で保持される。
【0046】
なお、内筒22の材質は、特に限定されず、樹脂材料、紙材料、木製材料、及び金属材料のいずれか、又は複数種類の材料を組み合わせて用いてもよい。また、内筒22の内径は、特に限定されないが、固形培地10のサイズに応じて好適な大きさに設定されればよく、例えば、50mm~200mm程度であればよい。
【0047】
外筒24は、内筒22を囲み、図4に示すように下方に向かうほど拡径するテーパ形状の筒体である。本実施形態において、外筒24の下側半分の部分では、上側半分の部分に比べて拡径度合いが大きくなっており、換言すると、外筒24の軸方向に対するテーパの傾斜角度が大きくなっている。また、外筒24の軸方向における外筒24の長さ(すなわち、外筒24の高さ)は、内筒22の軸方向における内筒22の長さよりも短くなっている。
なお、外筒24の材質は、特に限定されず、樹脂材料、紙材料、木製材料、及び金属材料のいずれか、又は複数種類の材料を組み合わせて用いてもよい。また、外筒24の内径(詳しくは、外筒24の下端の外径)は、特に限定されないが、内筒22の外径に応じて好適な大きさに設定されればよく、例えば、50mm~200mm程度であればよい。
【0048】
連結部30は、内筒22と外筒24の間に配置されて、双方を連結する部分である。つまり、内筒22は、連結部30を介して外筒24の内側で外筒24に支持されている。連結部30の形状及び配置位置については、特に限定されないが、連結部30がより小さい形状でバランス良く配置されていることが好ましい。例えば、図4及び5に示すように、連結部30が、内筒22を挟む位置に配置された一対の直線延出部32と、各直線延出部32と直交する方向に各直線延出部32の延出方向中央部から外筒24に向かって延出した直交延出部34とを有してもよい。
【0049】
また、本実施形態において、連結部30は、内筒22の中心軸と外筒24の中心軸とが一致するように内筒22と外筒24とを連結している。また、連結部30により、内筒22は、その上端面が外筒24の上端面と同一面上に位置した状態で外筒24に支持されている。そのため、保持具20を栽培パネル40に固定して使用している状態では、内筒22の下端が、外筒24の下端よりも下方に位置している(図7A及び7B参照)。
なお、本実施形態では、内筒22、外筒24及び連結部30が同一種類の材料によって構成されており、詳しくは一体成形されている。ただし、これに限定されず、内筒22、外筒24及び連結部30は、互いに別部品によって構成されており、これらの部品が組み合わされて保持具20を構成してもよい。
【0050】
<栽培パネル>
次に、栽培パネル40の構成について、図6A、6B、6C、7A及び7Bを参照しながら説明する。なお、図6B及び6Cは、第1栽培パネル41及び第2栽培パネル42の平面図であるが、それぞれの図では、各栽培パネルを簡略化して図示している。
【0051】
栽培パネル40は、図6Aに示すように平面視で略矩形状をなすプレート体である。栽培パネル40は、養液の液面上に浮かべられて使用される場合には、発泡スチロール等のような養液より比重が小さい材料によって構成されるとよい。また、養液の液面よりも上方に配置されて使用される栽培パネル40は、容器の側壁等によって支持される点を考慮して剛性が比較的高い材料、例えば、プラスチック等の材料によって構成されるとよい。
【0052】
栽培パネル40は、図6Aに示すように、栽培期間中に保持具20を固定する固定部43を複数備えており、それぞれの固定部43は、貫通孔44を有する。貫通孔44は、栽培パネル40を厚み方向に貫通して形成された円孔である。筒形状である保持具20は、図7A及び7Bに示すように、貫通孔44の縁と係合することで固定部43に固定される。貫通孔44の縁と係合する形態としては、図7Aに示すように貫通孔44に保持具20の内筒22に嵌まり込んで内筒22の外周面が貫通孔44の内壁に適合(フィット)する形態であってもよい。あるいは、図7Bに示すように貫通孔44の周囲に保持具20の外筒24が係止される形態であってもよい。
【0053】
本実施形態では、栽培パネル40の長手方向に沿って並んだ2つ以上の貫通孔44を含む孔列44Lが、栽培パネル40の短手方向に間隔を空けて複数配置されている。孔列44Lに含まれる貫通孔44の個数は、2つ以上であればよいが、以下では、孔列44Lに含まれる貫通孔44の数が3つ以上であることとする。また、栽培パネル40における貫通孔44同士の間隔(以下、孔ピッチ)は、特に限定されないが、例えば、100mm~300mm程度であるとよい。また、孔列44Lの本数は、特に限定されず、栽培パネル40の平面サイズに応じた数に設定されるとよい。
【0054】
また、図6Aに示すように、栽培パネル40の短手方向において隣り合う2つの孔列44Lの間で、孔列44Lに含まれる各貫通孔44の、栽培パネル40の長手方向における位置が互いに異なっている。具体的には、図6Aに示すように、隣り合う2つの孔列44Lのうち、一方の孔列44Lに含まれる3つ以上の貫通孔44と、もう一方の孔列44Lに含まれる3つ以上の貫通孔44とが、千鳥状に配置されている。
ただし、貫通孔44の配置位置は、上記の位置に限定されず、例えば、各孔列44Lに含まれる2つ以上の貫通孔44の、栽培パネル40の長手方向における位置が、孔列44Lの間で揃っていてもよい。つまり、栽培パネル40において、複数の貫通孔44が格子状に配置されてもよい。
【0055】
栽培パネル40における上記以外の構成については、公知の栽培パネル(例えば、特開2020-137513号公報に記載の栽培パレット)と同様の構成を利用することができるため、説明を省略することとする。
【0056】
ところで、本実施形態では、使用する栽培パネル40を苗pの移植前後で使い分ける。具体的に説明すると、移植前には、図6Bに示す第1栽培パネル41を使用し、移植後には、図6Cに示す第2栽培パネル42を使用する。つまり、第1栽培パネル41は、図2に示すように、複数の固定部43(第1固定部に相当)を有し、各固定部43は、貫通孔44(第1貫通孔に相当)を有する。同様に、第2栽培パネル42は、図3に示すように、複数の固定部43(第2固定部に相当)を有し、各固定部43は、貫通孔44(第2貫通孔に相当)を有する。そして、図6B及び6Cから分かるように、第2栽培パネル42における貫通孔44の孔ピッチ(第2固定部間の間隔)が、第1栽培パネル41における貫通孔44の孔ピッチ(第1固定部間の間隔)が広くなっている。また、第1栽培パネル41では、第2栽培パネル42に比べて、貫通孔44(固定部43)の数が多くなっている。なお、各栽培パネルにおける貫通孔44(固定部43)の具体的な個数は、特に限定されるものではない。
【0057】
また、第2栽培パネル42に形成された貫通孔44(第2貫通孔)の径は、図7A及び7Bから分かるように、第1栽培パネル41に形成された貫通孔44(第1貫通孔)の径よりも大きくなっている。そのため、保持具20を固定する方式が、第1栽培パネル41と第2栽培パネル42との間で異なっている。
【0058】
具体的に説明すると、第1栽培パネル41の貫通孔44の径は、保持具20の内筒22の外径と略等しい。そのため、第1栽培パネル41の使用中、保持具20は、図7Aに示すように、内筒22が貫通孔44(第1貫通孔)に嵌まり込んで当該貫通孔44の縁に係合することで第1栽培パネル41の固定部43(第1固定部)に固定される。
【0059】
他方、第2栽培パネル42の貫通孔44の径は、保持具20の内筒22の外径より大きく、且つテーパ形状である外筒24の下端の内径(すなわち、外筒24における内径の最大値)より小さい。そのため、第2栽培パネル42の使用中、保持具20は、図7Bに示すように、内筒22が貫通孔44(第2貫通孔)に挿入された状態で外筒24が貫通孔44の周辺部分に係止されることで第2栽培パネル42の固定部43(第2固定部)に固定される。
【0060】
なお、保持具20が第1栽培パネル41又は第2栽培パネル42のいずれかの固定部43に固定されている間、保持具20内の固形培地10によって担持された苗pの根が、固定部43が有する貫通孔44を通過して養液に浸かっている。つまり、本実施形態において、保持具20は、苗pの根の少なくとも一部が貫通孔44を通過して栽培パネル40の下面よりも下側に位置した状態で貫通孔44の縁に係合している。
【0061】
なお、移植時点において、苗pの根は、内筒22の内側に収容されている。これにより、移植時に内筒22を栽培パネル40の貫通孔44に嵌め込む、あるいは挿入する際に、根が貫通孔44の外縁に引っ掛かる事態を抑え、移植作業をスムーズに進めることができる。
【0062】
<<本実施形態に係る栽培フローについて>>
次に、本実施形態に係る栽培フローについて、図8を参照しながら説明する。本実施形態に係る栽培フローでは、本発明の栽培方法を利用して植物を栽培する。具体的に説明すると、先ず、培地シート12を用いた播種工程が行われる(S001)。播種工程では、図1に示すように、培地シート12を構成する複数の固形培地10のそれぞれの孔に植物の種dが投入される。培地シート12において隣り合う2つの固形培地10の孔の間隔(以下、播種孔間隔)は、栽培効率を向上させる観点から、比較的狭くなっており、例えば、2cm~5cm程度に設定されている。
【0063】
播種完了後、培地シート12は、養液が溜められた浅底トレー内において、シート下部が養液に浸された状態で配置される。播種後には通常2日程度で植物が発芽し、発芽後には一定の期間(例えば、2週間程度)をかけて植物を所定サイズの苗pになるまで生長させる。この段階では、苗pの根が固形培地10の内部を通過して固形培地10の下面から突出している。
【0064】
その後、培地シート12から個々の固形培地10を分離した上で、各固形培地10に担持された苗pについての選定工程が行われる(S002)。選定工程では、培地シート12から分離された複数の固形培地10のうち、固形培地10に担持された苗pの高さ(具体的には、苗pにおいて、固形培地10よりも上方に位置する地上部の高さ)が所定の高さ以上となったものを選定する。なお、所定の高さ未満の苗pは、固形培地10とともに浅底トレー内に戻されて(間引かれて)、トレー内で所定の高さになるまで栽培が継続される。
【0065】
次に、上記の要領で選定された固形培地10を保持具20に保持させる保持工程が行われる(S003)。保持工程では、一つの保持具20には、複数の固形培地10が保持され、例えば、2個以上且つ6個以下の固形培地10が保持される。本実施形態において、2個以上の固形培地10は、保持具20の内部、詳しくは、仕切壁26によって複数の領域28に仕切られた内筒22の内部において、互いに異なる領域28に収容された状態で、保持具20に保持される。
【0066】
また、本実施形態において、それぞれの保持具20には、固形培地10が担持する苗pの高さが、同じ保持具20に保持される固形培地10間で等しくなるように選定された複数の固形培地10が保持される。苗pの高さが、同じ保持具20に保持される固形培地10間で等しくなるとは、基準となる苗pの高さとの差が、基準となる苗pの高さの20%以内に収まることである。基準となる苗pは、例えば、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10のそれぞれが担持する苗pのうち、高さが最も高い苗pとしてもよい。
【0067】
本実施形態において、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10は、それぞれ、同一品種の植物の苗pを担持してもよい。品種とは、あるいは、同一の品目(種)に属する植物に対して決められた分類であり、栽培品種である。例えば、「キャベツ」は、品目に該当し、「寒玉キャベツ」、「春キャベツ」、「高原キャベツ」、「紫キャベツ」、及び「グリーンボール」等は、キャベツの品種に該当する。
【0068】
複数の固形培地10を保持した保持具20、すなわち培地付き保持具20Xが用意された後には、第1移植工程が行われる(S004)。なお、図8では、保持工程の後に第1移植工程が行われる流れになっているが、これに限定されず、第1移植工程が保持工程と併行して行われてもよい。
【0069】
第1移植工程では、選定工程S002にて選定された苗pを、固形培地10及び保持具20とともに第1栽培パネル41に移動させて移植する。具体的に説明すると、第1移植工程は、第1栽培パネル41に設けられた複数の貫通孔44(第1貫通孔)のそれぞれに、保持具20の内筒22を嵌め込む。これにより、複数の固形培地10を保持した保持具20、すなわち、培地付き保持具20Xが貫通孔44の縁に係合して第1栽培パネル41の固定部43(第1固定部)に固定される。
【0070】
培地付き保持具20Xが第1栽培パネル41の固定部43に固定された状態では、内筒22の内側に収容された複数の固形培地10の各々が苗pを担持し、それぞれの苗pの根が固形培地10の下面から突出している。また、図7Aに示すように、苗pの根は、貫通孔44(第1貫通孔)を通過しており、内筒22の下端開口を通じて露出している。そして、培地付き保持具20Xが固定部43に固定された状態の第1栽培パネル41を、内部に養液が溜められた水槽にセットすると、図7Aに示すように、苗pの根が水槽内の養液に浸るようになる。
【0071】
以上の手順によって第1移植工程が行われる結果、複数の苗pが第1栽培パネル41に移植される。詳しくは、培地付き保持具20Xを移動させて第1栽培パネル41の貫通孔に嵌め込むことで、植物の苗pを当該培地付き保持具20Xとともに移植することができる。これにより、移植対象の苗pを簡単且つスムーズに第1栽培パネル41に移植することができる。
【0072】
また、本実施形態では、保持具20に複数の固形培地10が保持されるため、第1栽培パネル41において複数の固定部43(すなわち、複数の貫通孔44)のそれぞれには、複数の苗pが植えられることになる。一つの固定部43に複数の苗pを植える構成としては、上述の構成以外にも考えられ、例えば、一つの固形培地10に複数の苗pを担持させて当該固形培地10を貫通孔44に嵌め込む構成が考えられる。ただし、このような構成では、固形培地10のサイズが大型化し、ウレタンスポンジからなる固形培地10では、大型化するほど取り扱いが困難になり、特に、吸水(吸液)状態では形状が崩れやすく把持し難くなる。
【0073】
これに対して、本実施形態では、複数の固形培地10のそれぞれに苗pが担持され、複数の固形培地10が一つの保持具20によって保持されている。これにより、固形培地10を培地付き保持具20Xの状態で取り扱うことができるため、固形培地10の取扱いが容易になる。また、本実施形態では、一つの固形培地10にて複数の苗pを栽培する場合に比べて、苗同士の間隔を確保し易く、その結果、それぞれの苗pをより適切に生長させることができる。
【0074】
第1移植工程の完了時点では、複数の培地付き保持具20Xが第1栽培パネル41において所定の間隔、詳しくは、第1栽培パネル41における孔ピッチで配置される。ここで、第1栽培パネル41における孔ピッチ、すなわち第1固定部間の間隔は、培地シート12における播種孔間隔より広くなっている。そのため、第1栽培パネル41において、培地付き保持具20Xの固形培地10に担持された苗pは、上記の播種孔間隔よりも広い間隔(苗間隔)にて並べられて移植される。
なお、第1栽培パネル41における孔ピッチ、換言すると苗間隔の大きさは、播種孔間隔より広ければよく、その条件を満たす限りは任意に決めてもよいが、栽培する植物の品種等に応じて適切に設定されるのが好ましい。例えば、第1栽培パネル41における孔ピッチ(苗間隔)は、8cm~25cm程度に設定されるとよい。
【0075】
第1移植工程後の一定期間は、第1栽培工程が行われる(S005)。第1栽培工程では、第1栽培パネル41に設けられた複数の固定部43(第1固定部)のそれぞれに培地付き保持具20Xが固定された状態で、固形培地10が担持する植物の苗pを水耕栽培方式で栽培する。詳しく説明すると、第1栽培工程では、図7Aに示すように、内筒22が貫通孔44(第1貫通孔)に嵌まり込んで貫通孔44の縁に係合していることで、保持具20が第1栽培パネル41の固定部43(第1固定部)に固定されている。この状態では、内筒22内の固形培地10に担持された苗pの根が、貫通孔44を通過している。
【0076】
上記の状態にある第1栽培パネル41は、内部に養液が溜められた水槽に対してセットされる。これにより、貫通孔44を通過している苗pの根が水槽内の養液に浸るようになり、この状態を維持しながら、第1栽培工程が一定期間実行される。つまり、第1栽培工程の実施期間中、保持具20は、苗pの根が貫通孔44(第1貫通孔)を通過した状態で当該貫通孔44の縁に係合することで第1栽培パネル41の固定部43に固定される。
【0077】
また、前述したように、第1栽培パネル41における孔ピッチは、培地シート12における播種孔間隔より広くなっている。つまり、第1栽培工程では、培地シート12を用いて苗pを栽培する段階に比べて、苗pの密度(密集度)がより低くなった状態で、それぞれの苗pを栽培する。これにより、第1栽培パネル41において隣り合う位置に配置された2つの培地付き保持具20Xの間隔、すなわち苗間隔が確保される。この結果、第1栽培工程では、それぞれの培地付き保持具20Xにおいて、隣り合う苗同士の干渉を抑えつつ、各苗pを適切に栽培することができる。
【0078】
また、本実施形態において、保持具20には複数の固形培地10が保持されており、同じ保持具20に保持される固形培地10間では、前述したように、固形培地10が担持する苗pの高さが略等しくなっている。これにより、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10のそれぞれにおいて、固形培地10に担持される苗pの生長を促すことができる。これは、成長度合いが同程度である苗同士が互いに接近している場合、それぞれの苗pが、近傍の苗pと競い合うように生長する傾向があり、結果として各苗pの生長量(詳しくは、光合成量)が増えるものと推察される。
【0079】
なお、第1栽培工程の実施期間については、特に限定されず、任意に設定することができるが、栽培対象の植物の品種、及び栽培環境等に応じて適切な期間に設定されるのが好ましい。例えば、植物工場等にて栽培される種類の植物については、第1栽培工程の実施期間を10日程度に設定してもよい。
【0080】
第1栽培工程の実施後には、第2移植工程が行われる(S006)。第2移植工程では、苗pを固形培地10及び保持具20とともに第1栽培パネル41から第2栽培パネル42に移動させて移植する。具体的に説明すると、第2移植工程では、第1栽培パネル41における複数の固定部43(第1固定部)のそれぞれから、培地付き保持具20Xを取り外す。より詳しくは、第1栽培パネル41における複数の貫通孔44(第1貫通孔)のそれぞれに嵌め込まれた保持具20の内筒22を貫通孔44から抜く。
【0081】
その後、第2栽培パネル42における複数の貫通孔44(第2貫通孔)のそれぞれに内筒22を挿入する。内筒22が貫通孔44を通じて下方に移動すると、やがて、保持具20の外筒24が図7Bに示すように貫通孔44の周辺部分に係止されるようになる。これにより、培地付き保持具20Xが、貫通孔44の縁に係合して第2栽培パネル42の固定部43(第2固定部)に固定される。また、第2栽培パネル42の貫通孔44の径は、第1栽培パネル41の貫通孔44の径よりも大きい。これにより、苗の生長に応じて根が伸びて根のサイズ(根が存在する空間の大きさ)が大きくなっても、移植先の第2栽培パネル42における貫通孔44へ苗pをスムーズに移植することができる。
【0082】
培地付き保持具20Xが第2栽培パネル42の固定部43に固定された状態では、保持具20に保持された複数の固形培地10の各々が苗pを担持し、それぞれの苗pの根が固形培地10の下面から突出している。また、図7Bに示すように、苗pの根は、貫通孔44(第2貫通孔)を通過しており、内筒22の下端開口を通じて露出している。そして、培地付き保持具20Xが固定部43に固定された状態の第2栽培パネル42を、内部に養液が溜められた水槽にセットすると、図7Bに示すように、苗pの根が水槽内の養液に浸るようになる。
【0083】
以上の手順によって第2移植工程が行われる結果、複数の苗pが第2栽培パネル42に移植される。詳しくは、培地付き保持具20Xを移動させて内筒22を第2栽培パネル42の貫通孔44に挿入し、外筒24を貫通孔44の周辺部分に係止させることで、植物の苗pを当該培地付き保持具20Xとともに第2栽培パネル42に移植(定植)することができる。これにより、移植対象の苗pを簡単且つスムーズに第2栽培パネル42に移植することができる。
【0084】
第2移植工程の完了時点では、第2栽培パネル42において、複数の培地付き保持具20Xが第1栽培パネル41よりも広い孔ピッチで配置される。そのため、第2栽培パネル42において、培地付き保持具20Xの固形培地10に担持された苗pは、第1栽培パネル41における苗間隔よりも広い苗間隔にて並べられて移植される。
なお、第2栽培パネル42における孔ピッチ(苗間隔)の大きさは、第1栽培パネル41における孔ピッチ(苗間隔)より広ければよく、その限りにおいては任意に決めてもよいが、栽培する植物の品種等に応じて適切に設定されるのが好ましい。例えば、第2栽培パネル42における孔ピッチ(苗間隔)は、12cm~25cm程度に設定されるとよい。
【0085】
第2移植工程後には、第2栽培工程が行われる(S007)。第2栽培工程では、第2栽培パネル42に設けられた複数の固定部43(第2固定部)のそれぞれに培地付き保持具20Xが固定された状態で、固形培地10が担持する植物の苗pを水耕栽培方式で栽培する。詳しく説明すると、第2栽培工程では、図7Bに示すように、外筒24が貫通孔44(第2貫通孔)の周辺に係止されて貫通孔44の縁に係合していることで、保持具20が第2栽培パネル42の固定部43(第2固定部)に固定されている。この状態では、内筒22内の固形培地10に担持された苗pの根が、貫通孔44を通過している。
【0086】
上記の状態にある第2栽培パネル42は、内部に養液が溜められた水槽に対してセットされる。これにより、貫通孔44を通過している苗pの根が水槽内の養液に浸るようになり、この状態を維持しながら、第2栽培工程が一定期間実行される。つまり、第2栽培工程の実施期間中、保持具20は、苗pの根が貫通孔44(第2貫通孔)を通過した状態で当該貫通孔44の縁に係合することで第2栽培パネル42の固定部43に固定される。
【0087】
また、前述したように、第2栽培パネル42における孔ピッチ、すなわち第2固定部間の間隔は、第1栽培パネル41における孔ピッチより広くなっている。つまり、第2栽培工程では、前述の第1栽培工程に比べて、苗pの密度(密集度)がさらに低くなった状態で、それぞれの苗pを栽培する。これにより、第2栽培パネル42において苗間隔をより広く確保することができるため、第2栽培工程では、それぞれの培地付き保持具20Xにおいて、植物の苗p又は株を所定のサイズになるまで適切に生長させることができる。
【0088】
また、第2栽培工程では、第1栽培工程と同様の作用により、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10のそれぞれにおいて、成長度合いが同程度である苗p同士が競い合うように生長することで、固形培地10に担持される各苗pの生長を促すことができる。
【0089】
第2栽培工程は、植物の苗pが生長して収穫可能な状態の株となるまで続行される。第2栽培工程の実施期間については、特に限定されないが、例えば、植物工場等にて栽培される種類の植物については、通常、第2栽培工程の実施期間が10日程度に設定してもよい。
【0090】
そして、第2栽培工程が終了した時点、すなわち、第2栽培パネル42において栽培される植物が収穫される。ここで、本実施形態において得られる植物の収穫量は、従来の水耕栽培に比べて増加する。これは、第2栽培パネル42の固定部43に固定される保持具20には、複数の固形培地10が保持されるため、保持具20に単一の固形培地10が保持されるケースに比べて、一ヶ所の固定部43あたりで得られる収量が多くなるためである。
以上までの一連の工程が終了した時点で、本実施形態に係る栽培フローが完了する。
【0091】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明の植物の栽培方法、及び、培地付き保持具について具体例を挙げて説明してきたが、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例に過ぎず、上記以外の実施形態も考えられ得る。
【0092】
上記の実施形態では、保持具20に保持される固形培地10の数が2個であるケースを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。保持具20の内部空間に設けられる仕切壁26の数、形状及び配置位置を変えて、保持具20内に形成される複数の領域28の数を変更すればよい。これにより、図9A~9Dに示すように、保持具20に保持可能な固形培地10を3個以上に設定することができる。なお、前述したように、一つの保持具20に保持する固形培地10の数は、2~6個が好ましい。
【0093】
また、上記の実施形態では、外筒24の内側に一つの内筒22が配置されており、内筒22の内部空間が仕切壁26によって複数の領域28に仕切られた保持具20の構造を例に挙げて説明した。ただし、これに限定されず、図9Eに示すように、外筒24の内側に複数(図9Eでは3個)の内筒22が配置された保持具20aの構造であってもよい。この構造では、それぞれの内筒22の内部空間が、固形培地10を収容する領域28として機能する。
なお、図9Eに示す構造では、外筒24の上端にフランジ状(鍔状)の連結部30が設けられており、この連結部30によって複数の内筒22のそれぞれと外筒24とが連結している。
【0094】
また、上記の実施形態では、内筒22の外側に配置された外筒24が栽培パネル40(厳密には、第2栽培パネル42)の貫通孔44の縁に係合するように保持具20が構成されていることとした。ただし、保持具20の構造は、第2栽培パネル42の貫通孔44の縁に係合可能な構造であればよい。例えば、図9Fに示す保持具20bのように、外筒24の代わりに、下方に延出した係合爪36を、内筒22を取り囲むように複数配置してもよい。図9Fに示す構造では、複数の係合爪36の各々の上端に、図9Eの構造に備えられた連結部30と同様のフランジ部37が設けられている。このフランジ部37により、内筒22同士が連結され、且つ内筒22及び各係合爪36が連結している。
【0095】
なお、フランジ部37によって内筒22同士が連結された保持具において、内筒22の個数は、特に限定されず、例えば、図9Fに示す保持具20dのように3つでもよい。あるいは、図9G及び9Hに示す保持具ように、内筒22の数が5つでもよい。この保持具20dにおいて、5つの内筒22のうちの4つは、平面視で正方形の4つの角の位置に配置され、残り一つの内筒22は、上記正方形の中心位置(対角線の交点の位置)に配置されるとよい。
【0096】
また、図9G及び9Iに示すように、保持具20dのフランジ部37において、それぞれの内筒22と隣接する位置に、フランジ部37を窪ませることで形成された凹部38が設けられてもよい。詳しく説明すると、フランジ部37には、5つの内筒22のそれぞれに対して、2つの凹部38(計10個の凹部38)が設けられている。2つの凹部38は、図9Hに示すように、内筒22を挟んで互いに180度離れた位置に配置されている。この2つの凹部38が内筒22と隣接する位置に設けられていることで、内筒22に対して固形培地10を容易に出し入れすることができる。具体的には、作業者が固形培地10を摘まみながら内筒22内に入れる際に、作業者の指が凹部38に入り込めるため、固形培地22をスムーズに内筒22内に入れることができる。
【0097】
また、フランジ部37において隣り合う凹部38同士の間には、保持具20dの運搬時等に作業者が把持可能な把持部39が形成されている。詳しく説明すると、平面視で正方形の4つの角の位置に配置された4つの内筒22のうち、互いに最も近い位置に配置された2つの内筒22の一方を第1内筒とし、他方を第2内筒と呼ぶ。そして、第2内筒側に位置して第1内筒と隣接する凹部38(以下、第1凹部)と、第1内筒側に位置して第2内筒と隣接する凹部38(以下、第2凹部)との間には、把持部39が形成されている。把持部39は、フランジ部37において凹んでいない部分であり、内筒22、固形培地10及び苗pを避けた位置に設けられている。そして、作業者は、第1凹部及び第2凹部にそれぞれ指を入れることで把持部39を把持することができる。これにより、作業者は、容易に保持具20dを移動させることができる。つまり、栽培パネル40に固定された保持具20dを持ち上げて栽培パネル40から取り外す作業、及び、栽培パネル40の貫通孔44に保持具20dを嵌合させて栽培パネル40に固定する作業が、より簡単に行えるようになる。
【0098】
また、上記の実施形態では、保持具20が二重筒構造であることとした。ただし、これに限定されず、保持具20は、第1栽培パネル41及び第2栽培パネル42のそれぞれの固定部43に固定可能であればよい。その限りにおいては、図9Jに示す保持具20cのように、単一の筒(外筒24のみ)によって構成されてもよい。
【0099】
また、保持具20を軽量化する観点から、保持具20の内部のうち、仕切壁26又は固形培地10が存在する領域(内筒22と外筒24との間の領域を含む)以外には、隙間が設けられてもよい。ただし、その場合には、保持具20が栽培パネル40の固定部43に固定された状態において、上記の隙間を通じて光が栽培パネル40の下に入り込んで養液に照射され、藻が発生する原因となる。これに対して、図9J及び9Kに示すように、上記の隙間を閉塞する位置にリブ状の閉塞部29を設けてもよい。このような構成によれば、閉塞部29によって光を遮って、上記の隙間を通じて光が養液に照射されるのを回避することができる。
【0100】
また、上記の実施形態では、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10が、それぞれ、同一品種の植物の苗pを担持していることとした。ただし、これに限定されず、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10の中には、互いに品種が異なる植物の苗pを担持している2つ以上の固形培地10が含まれてもよい。すなわち、保持具20に保持される複数の固形培地10のそれぞれは、固形培地10間で品種が異なる植物の苗pを担持してもよい。この場合、互いに品種が異なる植物の苗pのそれぞれを適切に生長させることができ、この結果、それぞれの品種について収量(収穫量)を増やすことができる。
品種が異なる複数の植物は、葉の色が異なる植物でもよい。具体的には、例えば、葉が赤色である植物と、葉が緑色である植物と、葉が黄色である植物と、葉が薄緑色である植物のうち、2つ以上の植物を同じ保持具20内で栽培してもよい。葉が赤色である植物と、葉が緑色である植物との組み合わせとしては、例えば、レッドレタス及びフリルレタス等が挙げられる。
また、同じ保持具20に保持される複数の固形培地10のそれぞれに、品種が異なる植物の苗pを担持させる場合においても、固形培地10間では、固形培地10が担持する苗pの高さが略等しくなっていることが好ましい。
【符号の説明】
【0101】
10 固形培地
12 培地シート
20,20a,20b,20c,20d 保持具
20X 培地付き保持具
22 内筒
24 外筒
26 仕切壁
28 領域
29 閉塞部
30 連結部
32 直線延出部
34 直交延出部
36 係合爪
37 フランジ部
38 凹部
39 把持部
40 栽培パネル
41 第1栽培パネル
42 第2栽培パネル
43 固定部
44 貫通孔
44L 孔列
d 種
L 切り取り線
p 苗
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K