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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079158
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
F16K27/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191918
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】柳田 保昌
(72)【発明者】
【氏名】曽我尾 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】下村 嘉徳
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭吾
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC11
(57)【要約】
【課題】高温高圧流体を流す場合等において、弁座が形成されたシート部材をバルブボディと別体としてもシート部材の緩みが起こりにくいバルブを提供すること。
【解決手段】流体の入口通路11と出口通路12をつなぐ弁室13を備えるバルブボディ10と、入口通路と出口通路とを連通し、弁室に配設されるシート部材20と、シート部材とバルブボディとの間に介在するストッパ部材30とを備えるバルブであって、ストッパ部材は、シート部材と当接する内側当接面31と、バルブボディと当接する外側当接面32とを有し、ストッパ部材の上面33とバルブボディ10とは、接合手段40によって結合している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の入口通路と出口通路を連通する弁室を備えるバルブボディと、
前記入口通路と前記弁室とを連通する通路が形成され、前記弁室に配設されるシート部材と、
前記シート部材と前記バルブボディとの間に介在するストッパ部材と、
前記シート部材に当接離間する弁体とを備えるバルブであって、
前記ストッパ部材は、前記シート部材と当接する内側当接面と、前記バルブボディと当接する外側当接面とを有し、
前記ストッパ部材の上面と前記バルブボディとは、接合手段によって結合しているバルブ。
【請求項2】
前記ストッパ部材の上端には、下面が前記シート部材と当接し、内側に突出するフランジが形成されている請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記ストッパ部材の上面と前記シート部材の上面とは、さらに、接合手段によって結合している請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
前記内側当接面は、当該内側当接面の上端稜線が前記シート部材の外周面よりも内側に配設され、前記内側当接面の下端稜線が前記シート部材の外周面よりも外側に配設されている平面である請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記ストッパ部材の外側当接面は下側が先細のテーパ面形状であり、前記外側当接面は、前記バルブボディと面当たりとなる請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記ストッパ部材が複数配設されている請求項1~5のいずれか1項に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の制御弁に関し、特に、高温高圧の流体を制御する開閉弁として好適に用いられるバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示す、高温高圧流体用の弁101は、流体流入通路102aと流体流出通路102bが形成された弁箱102において、流体流入通路102aの出口側端部に弁座102dが形成されている。
ボンネット104の内部に配設された弁棒106の下端部に弁体103が取り付けられ、弁体の下部の当接部材113が弁座と当接・離間して流体の流れを制御している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図9の弁では、弁座102dが弁箱102に直接に形成されている。これは、高温・高圧流体を流す場合、弁座を別体のシート部材として弁箱102に螺合等で結合させるとシート部材の緩みが懸念されるためである。シート部材を別体とすることによって、弁座が摩耗等で修理が必要になった場合、弁箱102全体を取り換える必要がないという利点が生じるが、シート部材の緩みが懸念される。
シート部材を別体として、シート部材の緩みを抑える方策がいくつか試みられているが、高温・高圧流体等を流す場合は、シート部材の緩みを十分には抑えることはできていない。
【0004】
本発明の目的は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温高圧流体を流す場合等において、弁座が形成されたシート部材をバルブボディと別体としてもシート部材の緩みが起こりにくいバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明(1)は、流体の入口通路と出口通路をつなぐ弁室を備えるバルブボディと、前記入口通路と前記出口通路とを連通し、前記弁室に配設されるシート部材と、前記シート部材と前記バルブボディとの間に介在するストッパ部材とを備えるバルブであって、前記ストッパ部材は、前記シート部材と当接する内側当接面と、前記バルブボディと当接する外側当接面とを有し、前記ストッパ部材の上面と前記バルブボディとは、接合手段によって結合しているバルブである。
【0006】
本発明(1)では、ストッパ部材は、シート部材と当接する内側当接面と、前記バルブボディと当接する外側当接面とを有しており、ストッパ部材の上面とバルブボディとは、接合手段によって結合しているので、シート部材の緩みが抑えられる。
接合手段は、結合度の高さから溶接が好ましく、とりわけ、スポット溶接が好ましい。スポット溶接だと、シート部材とバルブボディとの切り離しが容易であり、シート部材の交換作業が容易となるためである。
【0007】
本発明(2)は、前記ストッパ部材の上端には、下面が前記シート部材と当接し、内側に突出するフランジが形成されている本発明(1)のバルブである。
【0008】
本発明(2)では、シート部材の上面がフランジの下面で押さえられるので、シート部材の緩みがさらに起こりにくくなる。
【0009】
本発明(3)は、前記ストッパ部材の上面と前記シート部材の上面とは、さらに、接合手段によって結合している本発明(1)のバルブである。
【0010】
本発明(3)では、接合手段によって結合がストッパ部材とバルブボディとの間の結合以外に、ストッパ部材とシート部材との間でなされるので、さらにシート部材の緩みが起こりにくくなる。
【0011】
本発明(4)においては、内側当接面は、当該内側当接面の上端稜線が前記シート部材の外周面よりも内側に配設され、前記内側当接面の下端稜線が前記シート部材の外周面よりも外側に配設されている平面である本発明(1)のバルブである。
【0012】
本発明(4)では、内側当接面は、内側当接面の上端稜線がシート部材の外周面よりも内側に配設され、内側当接面の下端稜線がシート部材の外周面よりも外側に配設されている平面であるので、シート部材が緩んで上側にずれようとしてもストッパ部材によって阻止されるので、さらにシート部材の緩みが起こりにくくなる。
【0013】
本発明(5)は、前記ストッパ部材の外側当接面は下側が先細のテーパ面形状であり、前記外側当接面は、前記バルブボディと面当たりとなる本発明(1)のバルブである。
【0014】
本発明(5)では、ストッパ部材の外側当接面は下側が先細のテーパ面形状であり、外側当接面は、前記バルブボディと面当たりとなるので、ストッパ部材とバルブボディとはテーパ篏合で篏合される。
テーパ篏合で篏合されると、バルブ内部で行われる温度サイクル及び圧力サイクルによる影響が緩和され、さらにシート部材の緩みが起こりにくくなる。
【0015】
本発明(6)は、前記ストッパ部材が複数配設されている本発明(1)~(5)のいずれかのバルブである。
本発明(6)では、ストッパ部材が複数配設されているので、ストッパ部材はより強固にバルブボディと結合されるので、さらにシート部材の緩みが起こりにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高温高圧流体を流す場合等において、弁座が形成されたシート部材をバルブボディと別体としてもシート部材の緩みが起こりにくいバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るバルブの全体を示す実施形態1の部分断面図である。
図2】実施形態1のバルブの一部を示す部分断面図である。
図3】実施形態2のバルブの一部を示す部分断面図である。
図4】実施形態3のバルブの一部を示す部分断面図である。
図5】実施形態4のバルブの一部を示す部分断面図である。
図6】実施形態5のバルブの一部を示す部分断面図である。
図7】実施形態6のバルブの一部を示す部分断面図である。
図8】実施形態1のバルブの弁室内部を上方から見たときの写真である。
図9】従来のバルブの全体を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態1に係るバルブの部分断面全体図を示す。バルブ1は、アクチュエータ2につながるステム3の先端に取り付けられた弁体4と、弁座21が形成されたシート部材20とが当接・離間して流体の流れを制御する。シート部材20は、入口通路11と出口通路12が形成されたバルブボディ10の内部に配設されている。シート部材20は気密性の保持、耐摩耗性、熱伝導性、強度が求められ、材質は一般的なカーボンや金属製であってもよい。バルブボディ10とアクチュエータ2とは、固定用ねじ5で連結されている。ストッパ部材30とバルブボディ10とは接合部40で結合している。
【0020】
図2以下の図面において、既に説明してある箇所については一部説明を省略する。図2は、図1に示す実施例1のバルブ1の一部を示す部分断面図である。シート部材20は、弁座21、シート部材外側当接面22、シート部材上面23が形成され、弁室13の内部に配設されている。シート部材20の下部には雄ねじ(符号なし)が刻設され、バルブボディ10に刻設された雌ねじ(符号なし)と螺合している。
【0021】
ストッパ部材30には、ストッパ部材内側当接面31が形成され、このストッパ部材内側当接面31がシート部材外側当接面22と当接して係止されている。具体的には、シート部材20の頭部が平面視で六角形であり、ストッパ部材内側当接面31が平面である。ストッパ部材外側当接面32は円柱側面であり、弁室13の側面のバルブボディ当接面14と当接して係止されている。ストッパ部材上面33とバルブボディ当接面14とは接合部40でスポット溶接されて、ストッパ部材30がバルブボディ10と結合させられている。接合部は、母材への熱影響が小さい点、切り離し容易である点、高温での耐久性の点からスポット溶接による形成が望ましいが、レーザー溶接、接着剤による接着、積層造形等により形成されても良い。
これによって、ストッパ部材30が緩むことなく、シート部材20が緩みにくくなっている。
【0022】
図3は、実施例2のバルブの一部を示す部分断面図である。実施例1と異なっている点は、ストッパ部材30の形態である。実施例2のストッパ部材30は、上端にストッパ部材内側フランジ34が内方向に延びる形態をしている。ストッパ部材内側フランジ34の下面であるストッパ部材下側当接面35がシート部材上面23を押さえるので、シート部材20の緩みをさらに防止できる。
【0023】
図4は、実施例3のバルブの一部を示す部分断面図である。実施例1と異なっている点は、接合部40以外に、シート部材上面23とストッパ部材上面とが、接合部40’で結合されている点である。2カ所の溶接でシート部材20がさらに緩みにくくなっている。接合部40’の溶接は、接合部40と同様にスポット溶接が好ましい。
【0024】
図5は、実施例4のバルブの一部を示す部分断面図である。実施例1と異なっている点は、ストッパ部材内側当接面31が傾斜している点である。ストッパ部材内側当接面31は、ストッパ部材内側当接面31のストッパ部材上側稜線36がシート部材20の外周面よりも内側に配設され、ストッパ部材内側当接面31のストッパ部材下側稜線37がシート部材20の外周面よりも外側に配設されている平面であることである。このような形状とすることによって、ストッパ部材外側当接面32とバルブボディ当接面14ストッパ部材内側当接面31とシート部材20が確実に当接するため、さらにシート部材20が緩みにくくなる。
【0025】
図6は、実施例5のバルブの一部を示す部分断面図である。図3に示す実施例2と異なっているのは、ストッパ部材30以外にストッパ部材30’が備えられている点であり、ストッパ部材内側当接面31及びストッパ部材内側当接面31’が実施例4(図5)と同様の形態をしている。ストッパ部材30’は上端にストッパ部材内側フランジ34’が内方向に延びる形態をしている。ストッパ部材下側当接面35’がシート部材上面23’を押圧している。ストッパ部材上面33’とバルブボディ10とは接合部40’が接合されている。接合部40’はスポット溶接が好ましい。ストッパ部材30以外にストッパ部材30’が備えられているので、シート部材20がより強固に固定されて、シート部材20の緩みが起こりにくくなる。
【0026】
図7は、実施例6のバルブの一部を示す部分断面図である。図2に示す実施例1と異なっているのは、ストッパ部材30のストッパ部材外側当接面32’は下側が先細のテーパ面形状であり、バルブボディ10のバルブボディ当接面14’と面当たりとなる。このような形状とすることによって、ストッパ部材外側当接面32とバルブボディ当接面14が確実に当接するため、さらにシート部材の緩みが起こりにくくなる。
【0027】
図8は、図2に示す実施例1のバルブの弁室内部を上方から見たときの写真である。弁室13の内部には、弁座21が形成されたシート部材20が備えられ、シート部材20の外側面は6角形となっており、この面がシート部材外側当接面22となる。シート部材外側当接面22とストッパ部材30のストッパ部材内側当接面31とが当接し、ストッパ部材上面33とバルブボディ10のバルブボディ当接面14とが内周面とが接合部40(スポット溶接)により結合している。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明のバルブは、高温高圧流体を流す場合等において、弁座が形成されたシート部材をバルブボディと別体としてもシート部材の緩みが起こりにくいバルブを提供することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 バルブ
2 アクチュエータ
3 ステム
4 弁体
5 固定用ねじ
10 バルブボディ
11 入口通路
12 出口通路
13 弁室
14、14’ バルブボディ当接面
20 シート部材
21 弁座
22 シート部材外側当接面
23、23’ シート部材上面
30、30’ ストッパ部材
31、31’ ストッパ部材内側当接面
32、32’ ストッパ部材外側当接面
33、33’ ストッパ部材上面
34、34’ ストッパ部材内側フランジ
35、35’ ストッパ部材下側当接面
36 ストッパ部材上側稜線
37 ストッパ部材下側稜線
40、40’ 接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9