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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007917
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】塗装方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/14 20060101AFI20240112BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B05D7/14 L
B05D1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109324
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 慶昭
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 朗
(72)【発明者】
【氏名】川端 友人
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075AE19
4D075CB36
4D075DC12
4D075EA06
4D075EA07
4D075EB22
4D075EB33
4D075EB35
4D075EB36
4D075EB38
4D075EB45
4D075EC11
(57)【要約】
【課題】外観に優れた塗装部品を得るための塗装方法を提供すること。
【解決手段】
外板および内板を備える車体部品10を塗装するための塗装方法である。塗装方法は、外板に、無彩色の第1塗料を塗装し、外板第1塗料層を形成する外板第1塗装工程と、外板第1塗料層に、第2塗料を塗装し、外板第2塗料層を形成する外板第2塗装工程と、内板に、第2塗料を塗装し、内板第2塗料層を形成する内板塗装工程とを備える。外板第1塗装工程が、外板第2塗装工程および内板塗装工程よりも先に実施される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外板および内板を備える車体部品を塗装するための塗装方法であって、
前記外板に、無彩色の第1塗料を塗装し、外板第1塗料層を形成する外板第1塗装工程と、
前記外板第1塗料層に、第2塗料を塗装し、外板第2塗料層を形成する外板第2塗装工程と、
前記内板に、前記第2塗料を塗装し、内板第2塗料層を形成する内板塗装工程と
を備え、
前記外板第1塗装工程が、前記外板第2塗装工程および前記内板塗装工程よりも先に実施される、塗装方法。
【請求項2】
前記内板塗装工程が、前記外板第1塗装工程よりも後に実施され、
前記外板第2塗装工程が、前記内板塗装工程よりも後に実施される、請求項1に記載の塗装方法。
【請求項3】
前記車体部品にメイン塗料を塗装するメイン塗装工程と、
前記車体部品にサブ塗料を塗装するサブ塗装工程と
を備え、
少なくとも前記メイン塗装工程が、前記外板第1塗装工程、前記外板第2塗装工程、および、前記内板塗装工程を備え、
前記サブ塗装工程は、前記メイン塗装工程の前または後に実施される、請求項1に記載の塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装方法に関し、詳しくは、車体部品を塗装する塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ボデーなどの車体部品は、外板および内板を備えている。外板および内板は、通常、まず、電着塗装(下塗塗装)され、次いで、中塗塗装され、その後、上塗塗装される。一方、低コスト化を図るために、中塗塗装を省略することが、検討されている。
【0003】
中塗塗装を省略した塗装方法として、例えば、以下の方法が、提案されている。この方法では、まず、自動車車体の内板面上に第1塗料を塗装して外観塗膜色を発色する第1塗膜を形成する(第1塗膜形成工程)。次いで、外板面上に第2塗料を塗装して下地隠蔽性を有する第2塗膜を形成する(第2塗膜形成工程)。次いで、第2塗膜の上に外観塗膜色を発色する第3塗料を塗装して第3塗膜を形成する(第3塗膜形成工程)。そして、この方法では、第3塗料を外板面に塗装する際に、第3塗料が内板面側に回り込むことを促進する。つまり、下地隠蔽性を有する第2塗料(例えば、無彩色塗料)が内板面に付着した場合にも、その第2塗料(例えば、無彩色塗料)を、外観塗膜色を発色する第3塗料(例えば、有彩色塗料)によって被覆して、美観の低下を防止する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-234186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の塗装方法では、外観塗膜色を発色する第3塗料(例えば、有彩色塗料)が、内板面に付着した第2塗料(例えば、無彩色塗料)の一部を被覆するに留まる場合がある。つまり、第3塗料が、内板面に付着した第2塗料の全部を被覆できない場合がある。その結果、部材(塗装部品)の美観が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、外観に優れた塗装部品を得るための塗装方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、外板および内板を備える車体部品を塗装するための塗装方法であって、前記外板に、無彩色の第1塗料を塗装し、外板第1塗料層を形成する外板第1塗装工程と、前記外板第1塗料層に、第2塗料を塗装し、外板第2塗料層を形成する外板第2塗装工程と、前記内板に、前記第2塗料を塗装し、内板第2塗料層を形成する内板塗装工程とを備え、前記外板第1塗装工程が、前記外板第2塗装工程および前記内板塗装工程よりも先に実施される、塗装方法を、含んでいる。
【0008】
本発明[2]は、前記内板塗装工程が、前記外板第1塗装工程よりも後に実施され、前記外板第2塗装工程が、前記内板塗装工程よりも後に実施される、上記[1]に記載の塗装方法を、含んでいる。
【0009】
本発明[3]は、前記車体部品にメイン塗料を塗装するメイン塗装工程と、前記車体部品にサブ塗料を塗装するサブ塗装工程とを備え、少なくとも前記メイン塗装工程が、前記外板第1塗装工程、前記外板第2塗装工程、および、前記内板塗装工程を備え、前記サブ塗装工程は、前記メイン塗装工程の前または後に実施される、上記[1]に記載の塗装方法を、含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗装方法によれば、外観に優れた塗装部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の塗装方法の第1実施形態を示す模式図である。
図2図2は、本発明の塗装方法の第2実施形態を示す模式図である。
図3図3は、本発明の塗装方法の第3実施形態を示す模式図である。
図4図4は、本発明の塗装方法の第4実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1実施形態
(1)塗装ラインの全体構成
図1は、本発明の塗装方法の第1実施形態を示す模式図である。図1に示される塗装方法では、例えば、塗装ライン1において、未塗装の車体部品10(未塗装部品)を塗装し、塗装された車体部品10(被塗装部品)を得る。
【0013】
車体部品10は、外板および内板を備えている。より具体的には、車体部品10は、外板および内板を組み付けることによって、形成されている。車体部品10としては、例えば、ボデー本体、ドアパネル、ルーフパネル、および、これらの複合部品が挙げられる。
【0014】
塗装ライン1は、車体部品10を塗装するための工業設備である。塗装ライン1は、図示しないコンベアと、電着塗装ライン2および着色塗装ライン3とを備えている。
【0015】
コンベアは、車体部品10を所定方向に搬送する搬送装置である。図1において、コンベア(図示せず)の搬送方向を、矢印で示す。電着塗装ライン2および着色塗装ライン3は、コンベアの搬送方向に添って、順次配置される。
【0016】
電着塗装ライン2は、車体部品10を電着塗料により塗装するための設備である。電着塗装ライン2は、電着塗装ブース21を有している。電着塗装ブース21は、図示しないが、電着槽と、搬送ロボットと、給電ユニットとを備えている。電着槽は、電着液を貯留している。搬送ロボットは、車体部品10を電着液に浸漬しながら、車体部品10を所定方向に搬送する。給電ユニットは、電着液中の車体部品10に対して給電する。
【0017】
着色塗装ライン3は、車体部品10を、着色塗料により塗装するための設備である。着色塗料は、ベース塗料およびクリヤ塗料を含む。
【0018】
ベース塗料は、後述の第1塗料と、後述の第2塗料とを含む。第1塗料は、詳しくは後述するが、無彩色塗料であり、車体部品10の外板にのみ塗装される。また、第2塗料は、詳しくは後述するが、有彩色塗料または無彩色塗料であり、車体部品10の内板および外板の両方に塗装される。
【0019】
クリヤ塗料は、詳しくは後述するが、透明性(光透過性)塗料であり、車体部品10の内板および外板の両方に塗装される。
【0020】
着色塗装ライン3は、より具体的には、ベース塗装ブース31と、予備乾燥ブース35と、クリヤ塗装ブース36と、焼付ブース39とを備えている。これらは、図1が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0021】
着色塗装ライン3は、車体部品10を、まず、ベース塗料により塗装し、その後、クリヤ塗料により塗装する。なお、着色塗装ライン3は、中塗り塗装ブースを備えていない。つまり、着色塗装ライン3は、車体部品10を、中塗り塗装しない。
【0022】
ベース塗装ブース31は、車体部品10にベース塗料を塗装するための設備である。ベース塗装ブース31は、ベース塗装上流部32と、ベース塗装中流部33と、ベース塗装下流部34とを備えている。これらは、図1が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0023】
ベース塗装上流部32は、ベース塗装ブース31の搬送方向上流側に区画されている。ベース塗装上流部32は、例えば、車体部品10の外板に第1塗料を塗装するための塗装装置を、備えている。
【0024】
第1塗料は、ベース塗料であり、無彩色の下地隠蔽塗料である。第1塗料は、外板に塗装され、車体部品10の外板の下地を隠蔽する。なお、第1塗料は、内板には塗装されない。
【0025】
第1塗料は、例えば、水性塗料であってもよく、油性塗料であってもよい。より具体的には、第1塗料は、例えば、第1溶剤と、第1樹脂と、第1硬化剤と、第1顔料とを含有する。
【0026】
第1溶剤は、第1樹脂、第1硬化剤および第1顔料を、溶解および/または分散させる。第1溶剤としては、例えば、水性溶剤および/または油性溶剤が挙げられる。水性溶剤としては、例えば、水、アルコールおよびエーテルが挙げられる。油性溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エステルおよびケトンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。第1溶剤として、好ましくは、水性溶剤が挙げられ、より好ましくは、水が挙げられる。つまり、好ましくは、第1塗料は、水性塗料である。
【0027】
第1樹脂は、第1溶剤に溶解および/または分散する。第1樹脂は、溶剤の種類に応じて、適宜選択される。第1樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂および酸変性エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0028】
第1硬化剤は、第1溶剤に溶解および/または分散し、第1樹脂を硬化(架橋)させる。第1硬化剤は、第1樹脂の種類に応じて、適宜選択される。第1硬化剤としては、例えば、ブロックポリイソシアネート、メラミン樹脂および尿素樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0029】
第1顔料は、溶剤に溶解および/または分散し、第1塗料を着色する。第1顔料は、無彩色顔料である。無彩色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化亜鉛、および、酸化チタンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0030】
第1顔料が無彩色顔料であれば、外板第1塗装工程において、外板が無彩色塗装される。
【0031】
第1溶剤と、第1樹脂と、第1硬化剤と、第1顔料との配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。また、第1塗料は、必要に応じて、公知の添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、衝撃吸収材および硬化触媒が挙げられる。第1塗料の固形分濃度は、例えば、20質量%以上、50質量%以下である。
【0032】
第1塗料を塗装するための塗装装置としては、特に制限されず、公知の塗装装置が挙げられる。塗装装置としては、例えば、エアスプレー塗装装置、エアレススプレー塗装装置、ベル塗装装置および静電塗装装置が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0033】
ベース塗装中流部33は、搬送方向において、ベース塗装上流部32とベース塗装下流部34との間に区画されている。ベース塗装中流部33は、例えば、車体部品10の内板に第2塗料を塗装するための塗装装置を、備えている。
【0034】
第2塗料は、ベース塗料であり、車体部品10の外観色を決定する塗料である。第2塗料は、後述するように、外板および内板の両方に塗装される。第2塗料は、無彩色塗料であってもよく、有彩色塗料であってもよい。第2塗料は、所望の色彩に応じて、適宜選択される。第2塗料は、好ましくは、有彩色塗料である。
【0035】
第2塗料は、例えば、水性塗料であってもよく、油性塗料であってもよい。より具体的には、第2塗料は、例えば、第2溶剤と、第2樹脂と、第2硬化剤と、第2顔料とを含有する。
【0036】
第2溶剤としては、例えば、上記した水性溶剤、および/または、上記した油性溶剤が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。第2溶剤として、好ましくは、水性溶剤が挙げられ、より好ましくは、水が挙げられる。つまり、好ましくは、第2塗料は、水性塗料である。
【0037】
第2樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂および酸変性エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0038】
第2硬化剤は、第2溶剤に溶解および/または分散し、第2樹脂を硬化(架橋)させる。第2硬化剤は、第2樹脂の種類に応じて、適宜選択される。第2硬化剤としては、例えば、ブロックポリイソシアネート、メラミン樹脂および尿素樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0039】
第2顔料は、第2溶剤に溶解および/または分散し、第2塗料を着色する。第2顔料としては、例えば、無彩色顔料、有彩色顔料、および、メタリック顔料が挙げられる。無彩色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化亜鉛、および、酸化チタンが挙げられる。有彩色顔料としては、例えば、カドミウムレッド、モリブデンレッド、チタンイエロー、クロムイエロー、コバルトブルーおよびプルシアンブルーが挙げられる。メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、フレーク状酸化アルミウム、パールマイカ、および、フレーク状マイカが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0040】
第2顔料として、好ましくは、有彩色顔料および/またはメタリック顔料が挙げられる。第2顔料が有彩色顔料および/またはメタリック顔料であれば、内板塗装工程において、内板は、有彩色塗装および/またはメタリック塗装される。第2顔料として、より好ましくは、有彩色顔料が挙げられる。
【0041】
第2溶剤と、第2樹脂と、第2硬化剤と、第2顔料との配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。また、第2塗料は、必要に応じて、公知の添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、衝撃吸収材および硬化触媒が挙げられる。第2塗料の固形分濃度は、例えば、20質量%以上、50質量%以下である。
【0042】
第2塗料を塗装するための塗装装置としては、特に制限されず、公知の塗装装置が挙げられる。塗装装置としては、例えば、エアスプレー塗装装置、エアレススプレー塗装装置、ベル塗装装置および静電塗装装置が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0043】
ベース塗装下流部34は、ベース塗装ブース31の搬送方向下流側に区画されている。ベース塗装下流部34は、例えば、車体部品10の外板に第2塗料を塗装するための塗装装置を、備えている。
【0044】
車体部品10の外板に塗装される第2塗料は、上記の内板に塗装される第2塗料と、同じである。換言すると、ベース塗装中流部33と、ベース塗装下流部34とにおいて、同じ種類の第2塗料が、使用される。
【0045】
第2塗料を塗装するための塗装装置としては、特に制限されず、公知の塗装装置が挙げられる。塗装装置としては、例えば、エアスプレー塗装装置、エアレススプレー塗装装置、ベル塗装装置および静電塗装装置が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0046】
予備乾燥ブース35は、ベース塗料を予備乾燥させるための設備である。予備乾燥ブース35は、例えば、送風機を備えている。送風機は、車体部品10に、温風および/または冷風を吹き付ける。これにより、送風機は、外板第1塗料層、外板第2塗料層および内板第2塗料層を、乾燥(未硬化)させる。
【0047】
クリヤ塗装ブース36は、車体部品10に、クリヤ塗料を塗装するための設備である。クリヤ塗装ブース36は、クリヤ塗装上流部37と、クリヤ塗装下流部38とを備えている。これらは、図1が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0048】
クリヤ塗装上流部37は、クリヤ塗装ブース36の搬送方向上流側に区画されている。クリヤ塗装上流部37は、例えば、車体部品10の内板にクリヤ塗料を塗装するための塗装装置を、備えている。
【0049】
クリヤ塗料としては、特に制限されず、公知の透明性(光透過性)塗料が使用される。クリヤ塗料は、例えば、水性塗料であってもよく、油性塗料であってもよい。より具体的には、クリヤ溶剤と、クリヤ樹脂と、クリヤ硬化剤とを含有する。
【0050】
クリヤ溶剤としては、例えば、上記した水性溶剤および/または上記した油性溶剤が挙げられる。クリヤ樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂および酸変性エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。クリヤ硬化剤としては、例えば、ブロックポリイソシアネート、メラミン樹脂および尿素樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0051】
クリヤ溶剤と、クリヤ樹脂と、クリヤ硬化剤との配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。また、クリヤ塗料は、必要に応じて、公知の添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、衝撃吸収材および硬化触媒が挙げられる。また、クリヤ塗料は、透明性を損なわない範囲で、上記の顔料を含有できる。クリヤ塗料の固形分濃度は、例えば、30質量%以上、70質量%以下である。
【0052】
クリヤ塗料を塗装するための塗装装置としては、特に制限されず、公知の塗装装置が挙げられる。塗装装置としては、例えば、エアスプレー塗装装置、エアレススプレー塗装装置、ベル塗装装置および静電塗装装置が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0053】
クリヤ塗装下流部38は、クリヤ塗装ブース36の搬送方向下流側に区画されている。クリヤ塗装下流部38は、例えば、車体部品10の外板にクリヤ塗料を塗装するための塗装装置を、備えている。
【0054】
車体部品10の外板に塗装されるクリヤ塗料は、上記の内板に塗装されるクリヤ塗料と、同じである。換言すると、クリヤ塗装上流部37と、クリヤ塗装下流部38とにおいて、同じ種類のクリヤ塗料が、使用される。
【0055】
クリヤ塗料を塗装するための塗装装置としては、特に制限されず、公知の塗装装置が挙げられる。塗装装置としては、例えば、エアスプレー塗装装置、エアレススプレー塗装装置、ベル塗装装置および静電塗装装置が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0056】
焼付ブース39は、クリヤ塗料を乾燥させるとともに、ベース塗料およびクリヤ塗料を焼付(熱硬化)させるための設備である。
【0057】
焼付ブース39は、例えば、加熱装置を備えている。加熱装置としては、特に制限されず、公知の加熱装置が挙げられる。加熱装置としては、例えば、熱風加熱装置、赤外線加熱装置、および、高周波加熱装置が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0058】
着色塗装ライン3の長さ(車体部品10の搬送距離)は、目的および用途に応じて、適宜設定される。着色塗装ライン3の長さ(車体部品10の搬送距離)は、例えば、100m以上150m以下である。
【0059】
(2)塗装方法
車体部品10は、例えば、上記の塗装ライン1において、図示しないコンベアにより所定方向に搬送されながら、塗装される。以下において、車体部品10の塗装方法について、詳述する。
【0060】
この方法では、車体部品10は、まず、電着塗装ライン2に搬送される。電着塗装ライン2では、車体部品10が、電着塗装される(電着塗装工程)。
【0061】
すなわち、車体部品10が、電着塗装ライン2に搬送されると、車体部品10は、所定方向に搬送されながら、電着液に浸漬されるとともに、給電される。これにより、車体部品10の外板および内板が、それぞれ、電着塗装される。その結果、電着層(下塗層)が、車体部品10の表面に、形成される。
【0062】
次いで、この方法では、電着塗装された車体部品10は、例えば、中塗り塗装されることなく、着色塗装ライン3に搬送される(矢印参照)。着色塗装ライン3では、車体部品10の外板および内板が、図示しないコンベアによって搬送されながら、以下の方法で、着色塗装(ベース塗装およびクリヤ塗装)される(着色塗装工程)。
【0063】
より具体的には、電着塗装された車体部品10は、ベース塗装ブース31において、ベース塗装される(ベース塗装工程)。
【0064】
ベース塗装ブース31において、車体部品10は、まず、ベース塗装上流部32に搬送される。ベース塗装上流部32では、車体部品10の外板が、第1塗料によって塗装される。つまり、外板の電着層(下塗層)の上に、第1塗料が塗装される(外板第1塗装工程)。
【0065】
より具体的には、ベース塗装上流部32では、作業者および/またはロボットにより、車体部品10の外板が、第1塗料で塗装される。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0066】
このようにして、外板の電着層(下塗層)の上に、第1塗料からなり、未乾燥の塗料層(外板第1塗料層)が形成される。外板第1塗料層は、無彩色の塗料層である。また、外板第1塗料層は、外板の下地(下塗層)を隠蔽する下地隠蔽層である。
【0067】
外板第1塗料層の膜厚は、例えば、10μm以上である。また、外板第1塗料層の膜厚は、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0068】
次いで、車体部品10は、ベース塗装ブース31のベース塗装中流部33に搬送される。ベース塗装中流部33では、車体部品10の内板が、第2塗料によって塗装される。つまり、内板の電着層(下塗層)の上に、第2塗料が塗装される(内板塗装工程)。
【0069】
より具体的には、ベース塗装中流部33では、作業者および/またはロボットにより、車体部品10の内板が、第2塗料で塗装される。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0070】
このようにして、内板の電着層(下塗層)の上に、第2塗料からなり、未乾燥の塗料層(内板第2塗料層)が形成される。内板第2塗料層は、好ましくは、有彩色の塗料層である。内板第2塗料層は、内板の外観色を発する発色層である。
【0071】
内板第2塗料層の膜厚は、例えば、10μm以上である。また、内板第2塗料層の膜厚は、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0072】
次いで、この方法では、車体部品10は、ベース塗装ブース31のベース塗装下流部34に搬送される。ベース塗装下流部34では、車体部品10の外板が、第2塗料によって塗装される。つまり、外板第1塗料層の上に、第2塗料が塗装される(外板第2塗装工程)。
【0073】
より具体的には、ベース塗装下流部34では、作業者および/またはロボットにより、車体部品10の外板が、第2塗料で塗装される。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0074】
このようにして、外板第1塗料層の上に、第2塗料からなり、未乾燥の塗料層(外板第2塗料層)が形成される。外板第2塗料層は、好ましくは、有彩色の塗料層である。外板第2塗料層は、外板の外観色を発する発色層である。
【0075】
外板第2塗料層の膜厚は、例えば、10μm以上である。また、外板第2塗料層の膜厚は、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0076】
このように、ベース塗装ブース31では、車体部品10の外板が、上記の第1塗料と、上記の第2塗料とによって、ベース塗装される。また、車体部品10の内板が、上記の第2塗料によって、ベース塗装される。
【0077】
次いで、この方法では、ベース塗装された車体部品10が、予備乾燥ブース35に搬送される(矢印参照)。予備乾燥ブース35では、第1塗料および第2塗料が、予備乾燥(未硬化)される(予備乾燥工程)。
【0078】
より具体的には、予備乾燥ブース35では、例えば、送風機によって、温風および/または冷風が、外板第1塗料層、外板第2塗料層、および、内板第2塗料層に、送風される。これにより、外板第1塗料層、外板第2塗料層、および、内板第2塗料層が、乾燥する。乾燥条件は、特に限定されない。例えば、乾燥温度が、例えば、20~100℃である。送風速度が、例えば、0.3~10.0m/sである。
【0079】
上記の乾燥により、車体部品10の外板の電着層上において、外板第1塗料層および外板第2塗料層が、ウェット状態のベース層(外板ウェットベース層)を形成する。また、上記の乾燥により、車体部品10の内板の電着層上において、内板第2塗料層が、ウェット状態のベース層(内板ウェットベース層)を形成する。
【0080】
次いで、この方法では、車体部品10が、クリヤ塗装ブース36に搬送される(矢印参照)。クリヤ塗装ブース36では、車体部品10が、クリヤ塗装される(クリヤ塗装工程)。
【0081】
クリヤ塗装ブース36では、車体部品10は、まず、クリヤ塗装上流部37に搬送される。クリヤ塗装上流部37では、車体部品10の内板が、クリヤ塗料によって塗装される。つまり、内板ウェットベース層の上に、クリヤ塗料が塗装される(内板クリヤ塗装工程)。
【0082】
より具体的には、クリヤ塗装上流部37では、作業者および/またはロボットにより、車体部品10の内板が、クリヤ塗料で塗装される。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0083】
このようにして、内板ウェットベース層の上に、クリヤ塗料からなり、未乾燥の塗料層(内板クリヤ塗料層)が形成される。内板クリヤ塗料層は、好ましくは、透明色の塗料層である。
【0084】
内板クリヤ塗料層の膜厚は、例えば、10μm以上である。また、内板クリヤ塗料層の膜厚は、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0085】
次いで、この方法では、車体部品10は、クリヤ塗装ブース36のクリヤ塗装下流部38に搬送される。クリヤ塗装下流部38では、車体部品10の外板が、クリヤ塗料によって塗装される。つまり、外板ウェットベース層の上に、クリヤ塗料が塗装される(外板クリヤ塗装工程)。
【0086】
より具体的には、クリヤ塗装下流部38では、作業者および/またはロボットにより、車体部品10の外板が、クリヤ塗料で塗装される。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0087】
このようにして、外板ウェットベース層の上に、クリヤ塗料からなり、未乾燥の塗料層(外板クリヤ塗料層)が形成される。外板クリヤ塗料層は、好ましくは、透明色の塗料層である。
【0088】
外板クリヤ塗料層の膜厚は、例えば、10μm以上である。また、外板クリヤ層の膜厚は、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0089】
次いで、この方法では、車体部品10は、焼付ブース39に搬送される(矢印参照)。焼付ブース39では、車体部品10を、加熱装置により加熱する(焼付工程)。
【0090】
加熱方法は、特に限定されず、例えば、熱風加熱、赤外線加熱および高周波加熱が挙げられる。加熱条件は、特に制限されない。例えば、加熱温度が、例えば、80~170℃である。また、加熱時間が、例えば、20~60分である。
【0091】
このような加熱(焼付)により、クリヤ塗料を乾燥させるとともに、ベース塗料(第1塗料および第2塗料)とクリヤ塗料とを、熱硬化させる。
【0092】
その結果、車体部品10の外板に、第1塗料の硬化塗膜、第2塗料の硬化塗膜、および、クリヤ塗料の硬化塗膜が、形成される。また、車体部品10の内板に、第2塗料の硬化塗膜、および、クリヤ塗料の硬化塗膜が、形成される。
【0093】
以上のように、車体部品10が、着色塗装される。その結果、塗装された車体部品10(塗装部品)が得られる。
【0094】
(3)作用効果
上記の塗装方法では、外板第1塗装工程が、外板第2塗装工程および内板塗装工程よりも先に実施される。そのため、上記の塗装方法によれば、外観に優れた車体部品10を得ることができる。
【0095】
すなわち、従来の塗装方法では、先に、内板が第2塗料により塗装され、その後、外板が第1塗料および第2塗料により塗装される。つまり、従来の塗装方法では、まず、内板に第2塗料が塗装され、外観色に応じた内板第2塗料層が形成される。次に、従来の塗装方法では、外板に第1塗料が塗装され、下地を隠蔽する外板第1塗料層が形成される。その後、従来の塗装方法では、外板に第2塗料が塗装され、外観色に応じた外板第2塗料層が形成される。このような順番で、第1塗料および第2塗料が塗装されると、外板に第1塗料を塗装するときに、内板第2塗料層の上に第1塗料が飛散する場合がある。つまり、外観色を発する内板第2塗料層が、下地を隠蔽する第1塗料によって、汚染される場合がある。このような場合、車体部品10の外観、とりわけ、内板の外観が低下する。
【0096】
また、このような場合に、外板に第2塗料を塗装するときに、さらに、内板に飛散した第1塗料の上にも第2塗料を塗装することが検討される。つまり、内板に飛散した第1塗料を第2塗料で被覆することが検討される。しかし、内板に飛散した第1塗料の全面を、第2塗料により被覆する場合、手間およびコストがかかる。
【0097】
これに対して、上記の塗装方法では、先に、外板が第1塗料により塗装され、次いで、内板が第2塗料により塗装され、その後、外板が第2塗料により塗装される。
【0098】
このような順番で、第1塗料および第2塗料が塗装される場合には、外板に第1塗料を塗装するときに内板の上に飛散した第1塗料は、内板が第2塗料により塗装されるときに、第2塗料により被覆される。そのため、手間およびコストを抑制しながら、内板に飛散した第1塗料の全面を、第2塗料により被覆できる。その結果、外観に優れた車体部品10を得ることができる。
【0099】
(4)変形例
上記の塗装方法では、着色塗料が、メイン塗料およびサブ塗料を含むことができる。
【0100】
例えば、車体部品10がツートンカラー塗装される場合、着色塗料は、メイン塗料として、所定の色(メインカラー)を発する塗料(メインカラー塗料)を含むことができ、さらに、サブ塗料として、上記の所定の色とは別色(サブカラー)を発する塗料(サブカラー塗料)を含むことができる。
【0101】
また、例えば、車体部品10が高意匠塗装される場合、着色塗料は、メイン塗料として、上記の第1塗料および第2塗料を含むことができ、さらに、サブ塗料として、第1塗料および第2塗料とは異なる第3塗料を含むことができる。
【0102】
以下、変形例として、車体部品10が、ツートンカラー塗装される第2実施形態および第3実施形態を説明する。また、変形例として、車体部品10が高意匠塗装される第4実施形態を説明する。
【0103】
2.第2実施形態
(1)塗装ラインの全体構成
図2は、本発明の塗装方法の第2実施形態を示す模式図である。図2に示される塗装方法では、例えば、塗装ライン1において、未塗装の車体部品10(未塗装部品)が、まず、メインカラー塗装され、その後、サブカラー塗装される。これにより、車体部品10が、ツートンカラー塗装される。
【0104】
なお、ツートンカラーは、メインカラーと、メインカラーとは別色であるサブカラーとの組み合わせを示す。メインカラーは、例えば、車体部品10の比較的広い範囲を占める。車体部品10において、メインカラーに塗装される部分を、メインカラー部分と称する場合がある。サブカラーは、例えば、車体部品10の比較的狭い範囲を占める。車体部品10において、サブカラーに塗装される部分を、サブカラー部分と称する場合がある。
【0105】
車体部品10において、メインカラー部分の面積は、車体部品10の全塗装面積に対して、例えば、50面積%以上、好ましくは、70面積%以上である。また、車体部品10において、サブカラー部分の面積は、車体部品10の全塗装面積に対して、例えば、50面積%以下、好ましくは、30面積%以下である。
【0106】
そして、図2に示される塗装ライン1は、車体部品10をツートンカラー塗装するために、電着塗装ライン2と、着色塗装ライン3とを備えている。
【0107】
電着塗装ライン2は、上記の第1実施形態における電着塗装ライン2と、同じである。電着塗装ライン2において、車体部品10の外板および内板は、電着塗装される。
【0108】
着色塗装ライン3は、車体部品10を、先に、メインカラー塗料(メイン塗料)により塗装し、その後、サブカラー塗料(サブ塗料)により塗装するための設備である。
【0109】
より具体的には、着色塗装ライン3は、メイン塗装ライン4と、マスキングライン6と、サブ塗装ライン5とを備えている。これらは、図2が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0110】
メイン塗装ライン4は、車体部品10をメインカラー塗料(メイン塗料)により塗装するための設備である。メインカラー塗料(メイン塗料)は、ベース塗料(以下、メインベース塗料)およびクリヤ塗料(以下、メインクリヤ塗料)を含む。
【0111】
メインベース塗料は、例えば、上記の第1塗料(以下、メイン第1塗料)と、上記の第2塗料(以下、メイン第2塗料)とを含む。メイン第1塗料は、上記第1実施形態の第1塗料と同様に、車体部品10の外板にのみ塗装される。また、メイン第2塗料は、上記第1実施形態の第2塗料と同様に、車体部品10の外板および内板の両方に塗装される。
【0112】
メインクリヤ塗料は、上記第1実施形態のクリヤ塗料と同様に、車体部品10の外板および内板の両方に塗装される。
【0113】
メイン塗装ライン4は、より具体的には、ベース塗装ブース41と、予備乾燥ブース45と、クリヤ塗装ブース46と、焼付ブース49とを備えている。これらは、図2が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0114】
メイン塗装ライン4は、車体部品10を、まず、メインベース塗料により塗装し、その後、メインクリヤ塗料により塗装する。なお、メイン塗装ライン4は、中塗り塗装ブースを備えていない。つまり、メイン塗装ラインは、車体部品10を、中塗り塗装しない。
【0115】
ベース塗装ブース41は、上記した第1実施形態におけるベース塗装ブース31と、同じである。また、予備乾燥ブース45は、上記した第1実施形態における予備乾燥ブース35と、同じである。また、クリヤ塗装ブース46は、上記した第1実施形態におけるクリヤ塗装ブース36と、同じである。また、焼付ブース49は、上記した第1実施形態における焼付ブース39と、同じである。
【0116】
第2実施形態において、メイン塗装ライン4の長さ(車体部品10の搬送距離)は、目的および用途に応じて、適宜設定される。メイン塗装ライン4の長さは、第1実施形態における着色塗装ライン3の長さ(車体部品10の搬送距離)と、略同一である。メイン塗装ライン4の長さは、例えば、100m以上150m以下である。
【0117】
マスキングライン6は、車体部品10の一部をマスキングするための設備である。マスキングライン6は、マスキングブース61を有している。マスキングブース61は、では、作業者および/またはロボットにより、車体部品10の一部が、マスキング材によってマスキングされる。マスキング材としては、例えば、マスキングフィルム、マスキングテープ、および、マスキングシートが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0118】
サブ塗装ライン5は、車体部品10をサブカラー塗料(サブ塗料)により塗装するための設備である。サブカラー塗料(サブ塗料)は、ベース塗料(以下、サブベース塗料)およびクリヤ塗料(以下、サブクリヤ塗料)を含む。
【0119】
サブベース塗料は、例えば、上記の第1塗料(以下、サブ第1塗料)と、上記の第2塗料(以下、サブ第2塗料)とを含む。サブ第1塗料は、上記第1実施形態の第1塗料と同様に、車体部品10の外板にのみ塗装される。また、サブ第2塗料は、上記第1実施形態の第2塗料と同様に、車体部品10の外板および内板の両方に塗装される。
【0120】
サブクリヤ塗料は、上記第1実施形態のクリヤ塗料と同様に、車体部品10の外板および内板の両方に塗装される。
【0121】
サブ塗装ライン5は、より具体的には、ベース塗装ブース51と、予備乾燥ブース55と、クリヤ塗装ブース56と、焼付ブース59とを備えている。これらは、図2が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0122】
サブ塗装ライン5は、車体部品10を、まず、サブベース塗料により塗装し、その後、サブクリヤ塗料により塗装する。なお、サブ塗装ライン5は、中塗り塗装ブースを備えていない。つまり、サブ塗装ラインは、車体部品10を、中塗り塗装しない。
【0123】
ベース塗装ブース51は、上記した第1実施形態におけるベース塗装ブース31と、同じである。また、予備乾燥ブース55は、上記した第1実施形態における予備乾燥ブース35と、同じである。また、クリヤ塗装ブース56は、上記した第1実施形態におけるクリヤ塗装ブース36と、同じである。また、焼付ブース59は、上記した第1実施形態における焼付ブース39と、同じである。
【0124】
第2実施形態において、サブ塗装ライン5の長さ(車体部品10の搬送距離)は、目的および用途に応じて、適宜設定される。第2実施形態におけるサブ塗装ライン5の長さは、上記メイン塗装ライン4の長さ(車体部品10の搬送距離)よりも、短い。サブ塗装ライン5の長さは、例えば、30m以上60m未満である。
【0125】
(2)塗装方法
車体部品10は、例えば、上記の塗装ライン1によって、図示しないコンベアにより所定方向に搬送されながら、ツートンカラー塗装される。以下において、車体部品10の塗装方法について、詳述する。
【0126】
この方法では、車体部品10は、まず、電着塗装ライン2に搬送される。電着塗装ライン2では、車体部品10が、第1実施形態と同様の方法で、電着塗装される。その結果、電着層(下塗層)が、車体部品10の表面に、形成される(電着塗装工程)。
【0127】
次いで、この方法では、電着塗装された車体部品10は、メイン塗装ライン4に搬送される(矢印参照)。メイン塗装ライン4では、車体部品10に、メインカラー塗料(メイン塗料)が塗装される(メイン塗装工程)。
【0128】
より具体的には、メイン塗装ライン4では、例えば、車体部品10が、図示しないコンベアによって搬送される。そして、車体部品10の外板および内板が、第1実施形態における着色塗装工程と同様の方法で、メインカラー塗料(メイン塗料)により塗装される。
【0129】
すなわち、メイン塗装ライン4のベース塗装上流部42において、まず、車体部品10の外板が、メイン第1塗料(無彩色塗料)により塗装される。次いで、ベース塗装中流部43において、車体部品10の内板が、メイン第2塗料により塗装される。次いで、ベース塗装下流部44において、車体部品10の外板が、メイン第2塗料により塗装される。次いで、予備乾燥ブース45において、車体部品10が、予備乾燥される。
【0130】
次いで、クリヤ塗装上流部47において、車体部品10の内板が、メインクリヤ塗料により塗装される。次いで、クリヤ塗装下流部48において、車体部品10の外板が、メインクリヤ塗料により塗装される。その後、焼付ブース49において、車体部品10が、加熱(焼付)される。
【0131】
このようにして、車体部品10が、メインカラー塗料(メイン塗料)によって塗装(メイン塗装)される。
【0132】
一方、メイン塗装ライン4では、メインカラー塗料(メイン塗料)が、未塗装のサブカラー部分に飛散する場合がある。しかし、飛散したメインカラー塗料(メイン塗料)は、以下の方法で、サブカラー塗料(サブ塗料)により被覆される。
【0133】
すなわち、この方法では、メイン塗装された車体部品10は、マスキングライン6に搬送される(矢印参照)。マスキングライン6では、車体部品10の一部(メインカラー部分)が、マスキングされる。つまり、マスキングライン6では、車体部品10において、メインカラー部分を、公知のマスキング材によって被覆する(マスキング工程)。
【0134】
これにより、マスキングライン6では、車体部品10の上記一部に対する残部(サブカラー部分)が、マスキング材から露出する。つまり、マスキングライン6では、車体部品10において、未塗装のサブカラー部分を、マスキング材から露出させる。以下、マスキング材から露出した部分を、非マスキング部と称する。
【0135】
次いで、この方法では、車体部品10は、サブ塗装ライン5に搬送される(矢印参照)。サブ塗装ライン5では、未塗装のサブカラー部分(非マスキング部)に、サブカラー塗料(サブ塗料)が塗装される(サブ塗装工程)。
【0136】
より具体的には、サブ塗装ライン5では、例えば、車体部品10が、図示しないコンベアによって搬送される。そして、車体部品10の非マスキング部が、第1実施形態における着色塗装工程と同様の方法で、サブカラー塗料(サブ塗料)により塗装される。
【0137】
すなわち、サブ塗装ライン5のベース塗装上流部52において、まず、車体部品10の外板の非マスキング部が、サブ第1塗料(無彩色塗料)により塗装される。次いで、ベース塗装中流部53において、車体部品10の内板の非マスキング部が、サブ第2塗料により塗装される。次いで、ベース塗装下流部54において、車体部品10の外板の非マスキング部が、サブ第2塗料により塗装される。次いで、予備乾燥ブース55において、車体部品10が、予備乾燥される。
【0138】
次いで、クリヤ塗装上流部57において、車体部品10の内板の非マスキング部が、サブクリヤ塗料により塗装される。次いで、クリヤ塗装下流部58において、車体部品10の外板の非マスキング部が、サブクリヤ塗料により塗装される。その後、マスキング材が除去され、焼付ブース59において、車体部品10が、加熱(焼付)される。
【0139】
このようにして、車体部品10の非マスキング部が、サブカラー塗料(サブ塗料)によって塗装(サブ塗装)される。
【0140】
なお、サブ塗装ライン5では、マスキング材により被覆されている部分は、サブカラー塗料(サブ塗料)によって塗装(サブ塗装)されず、メイン塗装された状態で維持される。
【0141】
(3)作用効果
上記の第2実施形態では、車体部品10は、メインカラー塗料(メイン塗料)とサブカラー塗料(サブ塗料)とによって、ツートンカラー塗装される。上記の塗装方法によれば、優れた外観を有する車体部品10が、得られる。
【0142】
とりわけ、上記の方法では、メイン塗装工程およびサブ塗装工程が、外板第1塗装工程と、外板第2塗装工程と、内板塗装工程とを備えている。そして、外板第1塗装工程が、外板第2塗装工程および内板塗装工程よりも先に実施される。そのため、上記の塗装方法によれば、優れた外観を有する車体部品10が、得られる。
【0143】
さらに、上記の第2実施形態では、サブ塗装工程が、メイン塗装工程の後に実施される。つまり、上記の第2実施形態では、先に、車体部品10がメイン塗装され、次いで、メインカラー部分がマスキングされ、その後、車体部品10がサブ塗装される。このような場合、マスキング材から露出する部分(非マスキング部)の面積は、比較的少ない。そのため、上記の第2実施形態に比べて、サブ塗料の使用量が少ない。
【0144】
そのため、第2実施形態では、後述の第3実施形態(つまり、先にサブ塗料が塗装され、その後、メイン塗料が塗装される形態)に比べて、サブ塗料の消費量を低減できる。その結果、サブ塗料に由来するコストを低下させ、環境性を向上させることができる。
【0145】
3.第3実施形態
(1)塗装ラインの全体構成
図3は、本発明の塗装方法の第3実施形態を示す模式図である。図3に示される塗装方法では、例えば、塗装ライン1において、未塗装の車体部品10(未塗装部品)が、まず、サブカラー塗装され、その後、メインカラー塗装される。これにより、車体部品10が、ツートンカラー塗装される。
【0146】
より具体的には、図3に示される塗装ライン1は、車体部品10をツートンカラー塗装するために、電着塗装ライン2と、着色塗装ライン3とを備えている。
【0147】
電着塗装ライン2は、上記の第1実施形態における電着塗装ライン2と、同じである。電着塗装ライン2において、車体部品10の外板および内板は、電着塗装される。
【0148】
着色塗装ライン3は、車体部品10を、先に、サブカラー塗料(サブ塗料)により塗装し、その後、メインカラー塗料(メイン塗料)により塗装するための設備である。
【0149】
より具体的には、着色塗装ライン3は、上記のサブ塗装ライン5と、上記のマスキングライン6と、上記のメイン塗装ライン4とを備えている。これらは、図3が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0150】
つまり、第3実施形態におけるメイン塗装ライン4およびサブ塗装ライン5は、上記第2実施形態におけるメイン塗装ライン4およびサブ塗装ライン5に対して、逆に配置されている。
【0151】
第3実施形態において、メイン塗装ライン4の長さ(車体部品10の搬送距離)は、目的および用途に応じて、適宜設定される。メイン塗装ライン4の長さは、第1実施形態における着色塗装ライン3の長さ(車体部品10の搬送距離)と、略同一である。メイン塗装ライン4の長さは、例えば、100m以上150m以下である。
【0152】
第3実施形態において、サブ塗装ライン5の長さ(車体部品10の搬送距離)は、目的および用途に応じて、適宜設定される。第3実施形態におけるサブ塗装ライン5の長さは、上記第2実施形態におけるサブ塗装ライン5の長さよりも長く、メイン塗装ライン4の長さ(車体部品10の搬送距離)よりも短い。第3実施形態において、サブ塗装ライン5の長さは、例えば、60m以上130m以下である。
【0153】
(2)塗装方法
車体部品10は、例えば、上記の塗装ライン1によって、図示しないコンベアにより所定方向に搬送されながら、ツートンカラー塗装される。以下において、車体部品10の塗装方法について、詳述する。
【0154】
この方法では、車体部品10は、まず、電着塗装ライン2に搬送される。電着塗装ライン2では、車体部品10が、第1実施形態と同様の方法で、電着塗装される。その結果、電着層(下塗層)が、車体部品10の表面に、形成される(電着塗装工程)。
【0155】
次いで、この方法では、電着塗装された車体部品10は、サブ塗装ライン5に搬送される(矢印参照)。サブ塗装ライン5では、車体部品10に、サブカラー塗料(サブ塗料)が塗装される(サブ塗装工程)。
【0156】
より具体的には、サブ塗装ライン5では、例えば、車体部品10が、図示しないコンベアによって搬送される。そして、車体部品10の外板および内板の上記残部が、第1実施形態における着色塗装工程と同様の方法で、サブカラー塗料(サブ塗料)により塗装される(サブ塗装工程)。
【0157】
すなわち、サブ塗装ライン5のベース塗装上流部52において、まず、車体部品10の外板が、サブ第1塗料(無彩色塗料)により塗装される。次いで、ベース塗装中流部53において、車体部品10の内板が、サブ第2塗料により塗装される。次いで、ベース塗装下流部54において、車体部品10の外板が、サブ第2塗料により塗装される。次いで、予備乾燥ブース55において、車体部品10が、予備乾燥される。
【0158】
次いで、クリヤ塗装上流部57において、車体部品10の内板が、サブクリヤ塗料により塗装される。次いで、クリヤ塗装下流部58において、車体部品10の外板が、サブクリヤ塗料により塗装される。その後、焼付ブース59において、車体部品10が、加熱(焼付)される。
【0159】
このようにして、車体部品10が、メサブカラー塗料(サブ塗料)によって塗装(メイン塗装)される。
【0160】
一方、サブ塗装ライン5では、サブカラー塗料(サブ塗料)が、未塗装のメインカラー部分に飛散する場合がある。しかし、飛散したサブカラー塗料(サブ塗料)は、以下の方法で、メインカラー塗料(メイン塗料)により被覆される。
【0161】
すなわち、この方法では、サブ塗装された車体部品10は、マスキングライン6に搬送される(矢印参照)。マスキングライン6では、車体部品10の一部(サブカラー部分)が、マスキングされる。つまり、マスキングライン6では、車体部品10において、サブカラー部分を、公知のマスキング材によって被覆する(マスキング工程)。
【0162】
これにより、マスキングライン6では、車体部品10の上記一部に対する残部(メインカラー部分)が、マスキング材から露出する。つまり、マスキングライン6では、車体部品10において、未塗装のメインカラー部分を、マスキング材から露出させる。以下、マスキング材から露出した部分を、非マスキング部と称する。
【0163】
次いで、この方法では、車体部品10は、メイン塗装ライン4に搬送される(矢印参照)。メイン塗装ライン4では、未塗装のメインカラー部分(非マスキング部)に、メインカラー塗料(メイン塗料)が塗装される(メイン塗装工程)。
【0164】
より具体的には、メイン塗装ライン4では、例えば、車体部品10が、図示しないコンベアによって搬送される。そして、車体部品10の非マスキング部が、第1実施形態における着色塗装工程と同様の方法で、メインカラー塗料(メイン塗料)により塗装される。
【0165】
すなわち、メイン塗装ライン4のベース塗装上流部42において、まず、車体部品10の外板の非マスキング部が、メイン第1塗料(無彩色塗料)により塗装される。次いで、ベース塗装中流部43において、車体部品10の内板の非マスキング部が、メイン第2塗料により塗装される。次いで、ベース塗装下流部44において、車体部品10の外板の非マスキング部が、メイン第2塗料により塗装される。次いで、予備乾燥ブース45において、車体部品10が、予備乾燥される。
【0166】
次いで、クリヤ塗装上流部47において、車体部品10の内板の非マスキング部が、メインクリヤ塗料により塗装される。次いで、クリヤ塗装下流部48において、車体部品10の外板の非マスキング部が、メインクリヤ塗料により塗装される。その後、マスキング材が除去され、焼付ブース49において、車体部品10が、加熱(焼付)される。
【0167】
このようにして、車体部品10の非マスキング部が、メインカラー塗料(メイン塗料)によって塗装(メイン塗装)される。
【0168】
なお、メイン塗装ライン4では、マスキング材により被覆されている部分は、メイン塗料(メイン塗料)によって塗装(メイン塗装)されず、サブ塗装された状態で維持される。
(3)作用効果
上記の第3実施形態でも、車体部品10は、メインカラー塗料(メイン塗料)とサブカラー塗料(サブ塗料)とによって、ツートンカラー塗装される。上記の塗装方法によれば、優れた外観を有する車体部品10が、得られる。
【0169】
とりわけ、上記の方法では、メイン塗装工程およびサブ塗装工程が、外板第1塗装工程と、外板第2塗装工程と、内板塗装工程とを備えている。そして、外板第1塗装工程が、外板第2塗装工程および内板塗装工程よりも先に実施される。そのため、上記の塗装方法によれば、優れた外観を有する車体部品10が、得られる。
【0170】
さらに、上記の第3実施形態では、サブ塗装工程が、メイン塗装工程の前に実施される。つまり、上記の第3実施形態では、先に、車体部品10がサブ塗装され、次いで、サブカラー部分がマスキングされ、その後、車体部品10がメイン塗装される。このような場合、マスキング材は、サブカラー部分にのみ配置されるため、上記の第2実施形態に比べて、マスキング材の使用量が少ない。
【0171】
そのため、第3実施形態では、上記の第2実施形態(つまり、先にメイン塗料が塗装され、その後、サブ塗料が塗装される形態)に比べて、マスキング材の消費量を低減できる。その結果、マスキング材に由来するコストを低下させ、環境性を向上させることができる。
【0172】
4.第4実施形態
(1)塗装ラインの全体構成
図4は、本発明の塗装方法の第4実施形態を示す模式図である。図4に示される塗装方法では、例えば、塗装ライン1において、未塗装の車体部品10(未塗装部品)が、高意匠塗装される。
【0173】
高意匠塗装では、例えば、着色塗料は、メイン塗料として、上記の第1塗料および第2塗料を含み、さらに、サブ塗料として、第1塗料および第2塗料とは異なる第3塗料を含む。なお、第3塗料は、例えば、高意匠塗装において、第2塗料に対して上塗りされる上塗塗料である。
【0174】
第3塗料は、無彩色塗料であってもよく、有彩色塗料であってもよい。第3塗料は、所望の色彩に応じて、適宜選択される。第3塗料は、好ましくは、有彩色塗料である。
【0175】
第3塗料は、例えば、水性塗料であってもよく、油性塗料であってもよい。より具体的には、第3塗料は、例えば、第3溶剤と、第3樹脂と、第3硬化剤と、第3顔料とを含有する。
【0176】
第3溶剤としては、例えば、上記した水性溶剤、および/または、上記した油性溶剤が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。第3溶剤として、好ましくは、水性溶剤が挙げられ、より好ましくは、水が挙げられる。つまり、好ましくは、第3塗料は、水性塗料である。
【0177】
第3樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂および酸変性エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0178】
第3硬化剤は、第3溶剤に溶解および/または分散し、第3樹脂を硬化(架橋)させる。第3硬化剤は、第3樹脂の種類に応じて、適宜選択される。第3硬化剤としては、例えば、ブロックポリイソシアネート、メラミン樹脂および尿素樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0179】
第3顔料は、第3溶剤に溶解および/または分散し、第3塗料を着色する。第3顔料としては、例えば、無彩色顔料、有彩色顔料、および、メタリック顔料が挙げられる。無彩色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化亜鉛、および、酸化チタンが挙げられる。有彩色顔料としては、例えば、カドミウムレッド、モリブデンレッド、チタンイエロー、クロムイエロー、コバルトブルーおよびプルシアンブルーが挙げられる。メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、フレーク状酸化アルミウム、パールマイカ、および、フレーク状マイカが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0180】
第3顔料として、好ましくは、有彩色顔料および/またはメタリック顔料が挙げられる。第3顔料が有彩色顔料および/またはメタリック顔料であれば、内板塗装工程において、内板は、有彩色塗装および/またはメタリック塗装される。第3顔料として、より好ましくは、有彩色顔料が挙げられる。
【0181】
第3溶剤と、第3樹脂と、第3硬化剤と、第3顔料との配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。また、第3塗料は、必要に応じて、公知の添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、衝撃吸収材および硬化触媒が挙げられる。第3塗料の固形分濃度は、例えば、20質量%以上、50質量%以下である。
【0182】
第3塗料は、例えば、上記したサブ塗装ライン5のベース塗装ブース51で、塗装される。
【0183】
より具体的には、図4に示される高意匠塗装では、塗装ライン1として、第2実施形態における塗装ライン1が共用される。つまり、塗装ライン1は、上記の電着塗装ライン2と、着色塗装ライン3とを備えている。また、着色塗装ライン3は、メイン塗装ライン4と、マスキングライン6と、サブ塗装ライン5とを備えている。これらは、図4が参照されるように、コンベアの流れ方向(矢印方向)に添って、順次配置される。
【0184】
(2)塗装方法
車体部品10は、例えば、上記の塗装ライン1によって、図示しないコンベアにより所定方向に搬送されながら、高意匠塗装される。以下において、車体部品10の塗装方法について、詳述する。
【0185】
この方法では、車体部品10は、まず、電着塗装ライン2に搬送される。電着塗装ライン2では、車体部品10が、第1実施形態と同様の方法で、電着塗装される。その結果、電着層(下塗層)が、車体部品10の表面に、形成される(電着塗装工程)。
【0186】
この方法では、例えば、第2実施形態における塗装ライン1が用いられる。すなわち、第2実施形態(ツートンカラー塗装)と、第4実施形態(高意匠塗装)とにおいて、塗装ライン1を共用できる。そして、車体部品10は、まず、電着塗装ライン2に搬送される。電着塗装ライン2では、車体部品10が、第1実施形態と同様の方法で、電着塗装される(電着塗装工程)。
【0187】
次いで、この方法では、電着塗装された車体部品10は、メイン塗装ライン4に搬送される(矢印参照)。メイン塗装ライン4では、車体部品10に、第1塗料および第2塗料(メイン塗料)が塗装される(メイン塗装工程)。
【0188】
より具体的には、メイン塗装ライン4では、例えば、車体部品10が、図示しないコンベアによって搬送される。そして、ベース塗装ブース41において、車体部品10の外板および内板が、第1実施形態における着色塗装工程と同様の方法で、第1塗料および第2塗料(メイン塗料)により塗装される。
【0189】
次いで、車体部品10は、予備乾燥されることなく、予備乾燥ブース45を通過する。
【0190】
次いで、車体部品10は、クリヤ塗装されることなく、クリヤ塗装ブース46を通過する。
【0191】
次いで、車体部品10は、焼付されることなく、焼付ブース49を通過する。
【0192】
次いで、車体部品10は、マスキングされることなく、マスキングブース61を通過する。
【0193】
次いで、車体部品10は、サブ塗装ライン5に搬送される(矢印参照)。サブ塗装ライン5では、車体部品10に、第3塗料(サブ塗料)が塗装される(サブ塗装工程、高意匠上塗塗装工程)。
【0194】
より具体的には、車体部品10は、ベース塗装上流部52を通過する。そして、車体部品10の内板が、ベース塗装中流部53において、作業者および/またはロボットにより、第3塗料で塗装される。つまり、内板の第2塗料に対して、高意匠塗装用の第3塗料が上塗りされる。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0195】
その後、車体部品10は、ベース塗装下流部54に搬送される。そして、車体部品10の外板が、ベース塗装下流部54において、作業者および/またはロボットにより、第3塗料で塗装される。つまり、外板の第2塗料に対して、高意匠塗装用の第3塗料が上塗りされる。なお、塗装条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0196】
次いで、予備乾燥ブース55において、車体部品10が、予備乾燥される。次いで、クリヤ塗装上流部57において、車体部品10の内板が、クリヤ塗料により塗装される。次いで、クリヤ塗装下流部58において、車体部品10の外板が、クリヤ塗料により塗装される。その後、焼付ブース59において、車体部品10が、加熱(焼付)される。
【0197】
このようにして、車体部品10が、第1塗料、第2塗料および第3塗料により、高意匠塗装される。
【0198】
(3)作用効果
上記の第4実施形態では、車体部品10は、第1塗料および第2塗料(メイン塗料)と第3塗料とによって、高意匠塗装される。上記の塗装方法によれば、とりわけ優れた外観を有する車体部品10が、得られる。
【0199】
なお、第3塗料(サブ塗料)が、高意匠塗装における上塗塗料である形態を説明したが、第3塗料は、高意匠塗装における下塗塗料であってもよい。このような場合、塗装ライン1として、第3実施形態における塗装ライン1が採用されていてもよい。つまり、先に、サブ塗装ライン5において第3塗料が塗装され、その後、メイン塗装ライン4において第1塗料および第2塗料が塗装されていてもよい。
【0200】
また、上記の第4実施形態では、塗装ライン1として、第2実施形態における塗装ライン1が使用されているが、塗装ライン1として、例えば、第3実施形態における塗装ライン1が使用されていてもよい。
【0201】
また、上記の第4実施形態では、ベース塗装ブース41において、第1塗料および第2塗料を塗装し、ベース塗装ブース51において、第3塗料を塗装しているが、これらの組み合わせは、特に制限されない。例えば、ベース塗装ブース41において、第1塗料を塗装し、ベース塗装ブース51において、第2塗料および第3塗料を塗装してもよい。
【0202】
また、上記の説明では、ベース塗装工程において、外板第1塗装工程が、外板第2塗装工程および内板塗装工程よりも先に実施されている。
【0203】
つまり、上記の説明では、まず、外板第1塗装工程が実施され、次いで、内板塗装工程が実施され、その後、外板第2塗装工程が実施されている。
【0204】
しかし、外板第2塗装工程と内板塗装工程との順序は、特に制限されない。つまり、まず、外板第1塗装工程が実施され、次いで、外板第2塗装工程が実施され、その後、内板塗装工程が実施されていてもよい。
【0205】
より優れた外観を得る観点から、好ましくは、まず、外板第1塗装工程が実施され、次いで、内板塗装工程が実施され、その後、外板第2塗装工程が実施される。すなわち、好ましくは、内板塗装工程が、外板第1塗装工程よりも後、かつ、外板第2塗装工程よりも前に実施される。また、外板第2塗装工程が、外板第1塗装工程よりも後、かつ、内板塗装工程よりも後に実施される。これにより、外板において、とりわけ良好な外観を得ることができる。
【符号の説明】
【0206】
1 塗装ライン
2 電着塗装ライン
3 着色塗装ライン
10 車体部品
21 電着塗装ブース
31 ベース塗装ブース
32 ベース塗装上流部
33 ベース塗装中流部
34 ベース塗装下流部
35 予備乾燥ブース
36 クリヤ塗装ブース
37 クリヤ塗装上流部
38 クリヤ塗装下流部
39 焼付ブース
図1
図2
図3
図4