(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079176
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】コメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価装置、評価方法及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/10 20060101AFI20240604BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240604BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
G01N33/10
G01N21/17 A
C12M1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191953
(22)【出願日】2022-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 大坪研一監修、米の機能性食品化と新規利用技術・高度加工技術の開発 -食糧,食品素材,機能性食品,工業原料,医薬品原料としての米-、株式会社テクノシステム、第503~510頁、2022年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】522261525
【氏名又は名称】株式会社バイオマスレジンホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 雄仁
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕之
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB11
2G059FF01
2G059FF04
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM02
2G059MM09
4B029AA07
4B029BB12
4B029BB20
4B029CC03
4B029FA15
(57)【要約】
【課題】コメのアルカリ崩壊の程度を精度よく評価する評価装置を提供する。
【解決手段】コメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価装置であって、アルカリ溶液に浸したコメの画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得された、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの第1画像に基づく画像の明るさ情報を取得する第1情報取得部と、前記第1画像におけるコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについての崩壊折り返し情報を取得する第2情報取得部と、前記第1情報取得部及び前記第2情報取得部で得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する算出部と、を備え、前記所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、前記参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、前記参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる、評価装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価装置であって、
アルカリ溶液に浸したコメの画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得された、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの第1画像に基づく画像の明るさ情報を取得する第1情報取得部と、
前記第1画像におけるコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについての崩壊折り返し情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1情報取得部及び前記第2情報取得部で得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する算出部と、を備え、
前記所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、前記参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、前記参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる、評価装置。
【請求項2】
評価対象の前記コメにおいて、コメの形状情報、ブレンド情報、及び種類情報からなる群より選択される1以上のコメの属性情報を取得する第3情報取得部をさらに備え、
前記算出部は、前記第1情報取得部、前記第2情報取得部及び前記第3情報取得部で得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出し、
前記所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報、前記参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報及び前記参照画像に係るコメの属性情報を少なくとも説明変数とし、前記参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる、請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記第2情報取得部が、前記画像取得部により取得された第1画像に基づいて、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かの判断を行う判断部を有しており、前記判断部による判断の結果を崩壊折り返し情報として取得する、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記第1情報取得部により取得された前記画像の明るさ情報は、
前記第1画像が256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムに変換され、前記輝度ヒストグラムが輝度に基づきn個(n≧2)の区間に分割され、n個の区間から1個の区間を除いたn-1個の区間毎の画素数が集計されることによって得られる、区間毎の画素数である、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項5】
前記画像の明るさ情報は、前記輝度ヒストグラムが輝度に基づきn個(n≧2)の区間に分割される前に、輝度が最も低い所定の区間が排除されたものである、請求項4に記載の評価装置。
【請求項6】
前記形状情報は、コメが砕米であるか精米であるかに関する情報であり、前記ブレンド情報は、コメが単一銘柄であるかブレンド米であるかに関する情報であり、前記種類情報は、コメが収穫されて1年以内であるか否かに関する情報である、請求項2に記載の評価装置。
【請求項7】
前記算出部により算出された前記コメの崩壊度に基づきコメの原料適合性を判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記コメの崩壊度が所定の基準値以上の場合、コメが原料として適合していると判定し、前記コメの崩壊度数が所定の基準値未満の場合、コメが原料として不適であると判定する、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項8】
前記画像取得部により取得される画像は、平底円筒型の透明な容器内でアルカリ溶液に浸したコメを、透過光又は拡散光を用いて、容器の天面又は底面から撮影した画像である、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項9】
前記第1画像は、24時間アルカリ溶液に浸したコメの画像である、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項10】
前記画像取得部により取得された画像と、前記第1情報取得部により取得された画像の明るさ情報と、前記第2情報取得部により取得された崩壊折り返し情報と、第3情報取得部によって取得された属性情報と、算出部により算出されたコメの崩壊度と、前記回帰モデルに関する情報と、からなる群より選択される1つ以上のコメの崩壊度情報を一元管理する管理部を有する、請求項2に記載の評価装置。
【請求項11】
前記回帰モデルを再度算出する再重回帰分析部を有する、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項12】
コメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価方法であって、
アルカリ溶液に浸したコメの画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得された、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの第1画像に基づく画像の明るさ情報を取得する第1情報取得ステップと、
前記第1画像におけるコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについての崩壊折り返し情報を取得する第2情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップ及び前記第2情報取得ステップで得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する算出ステップと、を備え、
前記所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、前記参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、前記参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる、評価方法。
【請求項13】
情報処理装置を請求項1又は2に記載の評価装置として機能させるための評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価装置、評価方法及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、天然由来のデンプン、コメ、木粉、竹粉、紙粉といったバイオマス材料を配合した様々な製品が開発され、上市されている。例えば、特許文献1では、樹脂に、バイオマス材料であるコメ(米粉)、あるいは、少なくとも有意量の米粉を含有するセルロース、リグノセルロース及びデンプンなどを配合した複合樹脂組成体に関する知見が開示され、また、特許文献2では、樹脂に、バイオマス材料として木粉を配合した樹脂組成物が開示されている。
【0003】
これらのバイオマス材料の中でも、コメは、日本だけでなく、世界各地で生産されており、扱い方も容易であることから注目を集めている。バイオマス材料としてコメを用いる場合、コメは品種や産地等によって様々な品質を有することから、コメの品質を評価した上で、バイオマス材料として用いることが望ましい。
【0004】
このコメの品質評価手法の一つとして、アルカリ崩壊試験がある。アルカリ崩壊試験では、米のアルカリ溶液に対する溶解性が、品種、産地、生産年等によって変化する特性を利用し、アルカリ溶液に浸漬された米の崩壊性に基づいて品質評価が行われる。一般的なアルカリ崩壊試験では、アルカリ溶液に対して数十粒の米を浸漬させ、数時間放置する。その過程において、米が溶解することでアルカリ溶液に白濁が生じる様子を目視観察することによって、崩壊性が評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-89535号公報
【特許文献2】特開2020-158606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のアルカリ崩壊試験では、評価者が目視による評価を行うため、評価結果にばらつきがあるという問題があった。さらには、常に一定の評価ができる技量を持った評価者の育成に時間やコストがかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、コメのアルカリ崩壊の程度を精度よく評価する評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、アルカリ溶液に浸したコメから取得された情報と、事前に実施された重回帰分析から得た回帰モデルと、からコメの崩壊度を算出する評価装置により、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
上記目的を達成する本発明の一形態は、コメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価装置であって、アルカリ溶液に浸したコメの画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得された、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの第1画像に基づく画像の明るさ情報を取得する第1情報取得部と、前記第1画像におけるコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについての崩壊折り返し情報を取得する第2情報取得部と、前記第1情報取得部及び前記第2情報取得部で得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する算出部と、を備え、前記所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、前記参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、前記参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる、評価装置である。
【0010】
また、本発明の一形態は、コメのアルカリ崩壊の程度を評価する評価方法であって、アルカリ溶液に浸したコメの画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップで取得された、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの第1画像に基づく画像の明るさ情報を取得する第1情報取得ステップと、前記第1画像におけるコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについての崩壊折り返し情報を取得する第2情報取得ステップと、前記第1情報取得ステップ及び前記第2情報取得ステップで得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する算出ステップと、を備え、前記所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、前記参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、前記参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる、評価方法である。
【0011】
また、本発明の一形態は、情報処理装置を上記の評価装置として機能させるための評価プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、コメのアルカリ崩壊の程度を精度よく評価する手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る評価装置が適用されるシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示されるサブ端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示されるサーバの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示されるサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図6】アルカリ溶液に24時間浸漬したコメの画像を示す図である。
【
図7】
図6の画像を輝度ヒストグラムに変更処理した図である。
【
図8】
図7の輝度ヒストグラムを3つの区間に分割した際に得られるグラフである。
【
図10】1つ目の実施形態において評価装置で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】2つ目の実施形態において評価装置で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】3つ目の実施形態において評価装置で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の一形態の評価装置による処理の結果と目視による評価結果との比較を示したグラフである。
【
図14】本発明に係る他の形態の評価装置による処理の結果と目視による評価結果との比較を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。よって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、使用方法及び運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
【0015】
また、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
[システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る評価装置が適用されるシステムの概略構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、システムは、サブ端末10、サーバ20、及びメイン端末30から構成される。サブ端末10は、日本や世界の各地に点在する工場や研究所において各ユーザーが使用するタブレットやスマートフォン等のモバイル端末やノートPC、デスクトップPCなどの情報端末である。サブ端末10の数は、それぞれ1つであっても複数であってもよい。サーバ20は、評価装置であり、サブ端末10及びメイン端末30との間で各種情報を送受信する。メイン端末30は、中央研究所などで管理者が使用するノートPC、デスクトップPCなどの情報端末である。各構成は、ネットワークを介して接続され、有線又は無線の各種通信方式によって通信可能である。以下、各構成について説明する。
【0018】
<サブ端末10>
図2は、
図1に示されるサブ端末10の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サブ端末10は、それぞれ制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作受付部15を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0020】
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶するハードディスク等を備える。
【0021】
通信部13は、ネットワークを介して、他の端末や装置と通信するためのインターフェースを備える。通信部13は、例えば、サーバ20と各種データ等の送受信を行う。
【0022】
表示部14は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等を備え、各種情報を表示する。
【0023】
操作受付部15は、タッチセンサーや、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を備え、ユーザーの各種操作を受け付ける。なお、表示部14及び操作受付部15は、表示部14としての表示面に、操作受付部15としてのタッチセンサーを重畳することによって、タッチパネルを構成してもよい。
【0024】
<サーバ20>
図3は、
図1に示されるサーバ20の概略構成を示すブロック図である。
図4は、サーバ20の制御部21の機能構成を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、サーバ20は、制御部21、記憶部22及び通信部23を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。サーバ20の制御部21、記憶部22及び通信部23は、サブ端末10の制御部11、記憶部12及び通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0026】
記憶部22には、
図5に示すように、後述する画像取得部211により取得された画像や、第1情報取得部212、第2情報取得部213、第3情報取得部214により取得された情報、算出部215により算出された崩壊度など種々の情報が記憶される。後述する重回帰式及び回帰モデルも記憶部22に記憶されている(図示せず)。
【0027】
図4の機能ブロック図に示すように、サーバ20の制御部21は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、画像取得部211、第1情報取得部212、第2情報取得部213、第3情報取得部214、算出部215、判定部216、管理部217及び再重回帰分析部218として機能する。
【0028】
(画像取得部)
画像取得部211は、アルカリ溶液に浸したコメの画像を取得する。このアルカリ溶液に浸したコメの画像は、アルカリ崩壊試験に供したコメを撮影したものである。当該アルカリ崩壊試験の方法は、特に制限されず、周知の方法を用いることができるが、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0029】
〈アルカリ崩壊試験〉
まず、アルカリ溶液に浸すためのコメを用意する。コメの種類は特に限定されないが、後述するコメの形状情報、ブレンド情報、及び種類情報等が特定されたコメであることが好ましい。
【0030】
続いて、用意したコメを、アルカリ溶液に浸漬する。アルカリ溶液は所定の容器内に用意され、これにコメを投入することでコメが浸漬される。
【0031】
コメの浸漬に用いる容器は、アルカリ溶液中に浸漬されるコメの様子を撮像するために適した形状を有することが好ましく、例えば、平底円筒型の透明な容器であることが好ましい。平底円筒型の容器を使用する場合、容器の底面の直径は、10mm~30mmであることが好ましく、15mm~20mmであることがより好ましい。容器の材質は、強アルカリ性に耐性を有していれば特に制限されないが、ガラス、又はプラスチックであることが好ましい。
【0032】
コメの浸漬に用いられるアルカリ溶液は、アルカリ性を示す溶液であれば特に制限されないが、強アルカリ性であることが好ましく、例えば、KOH水溶液、NaOH水溶液が用いられる。また、アルカリ溶液全体に対するKOHやNaOHの濃度は、0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.5質量%~3.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%~2.0質量%であることがさらに好ましい。アルカリ溶液の1つの容
器当たりにおける使用量は、5~20cc(5~20cm3)であることが好ましく、8~15cc(8~15cm3)であることがより好ましい。
【0033】
また、1つの容器に浸漬するコメの粒数は、観察の容易さの観点から1~10粒であることが好ましく、1~5粒であることがより好ましく、2~4粒であることさらに好ましく、3粒であることが最も好ましい。
【0034】
続いて、コメをアルカリ溶液に浸漬した状態で、所定の時間放置することにより、崩壊したコメが得られる。
【0035】
コメのアルカリ溶液への浸漬時間は、特に制限されないが、12時間~48時間であることが好ましく、18時間~36時間であることがより好ましく、22時間~26時間であることがさらに好ましく、およそ24時間であることが最も好ましい。
【0036】
画像取得部211においては、上述したようなアルカリ崩壊試験を経たコメを撮影した画像が取得される。より具体的には、例えば、画像取得部211は、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの画像を第1画像として取得する。当該所定の期間はアルカリ崩壊試験の項目で説明した浸漬時間が適宜採用されるが、好ましくは、24時間アルカリ溶液に浸したコメの画像である。
【0037】
撮影方法は特に制限されないが、平底円筒型の透明な容器内でアルカリ溶液に浸したコメを、透過光又は拡散光を用いて、容器の天面又は底面から、デジタルカメラ等によって撮影することが好ましい。すなわち、画像取得部211により取得される画像は、平底円筒型の透明な容器内でアルカリ溶液に浸したコメを、透過光又は拡散光を用いて、容器の天面又は底面から撮影した画像であることが好ましい。画像取得部211より取得される画像は、平底円筒型の透明な容器内でアルカリ溶液に浸したコメを、透過光を用いて容器の底面から撮影した画像であるか、又は拡散光を用いて容器の底面から撮影した画像であるのがより好ましい。
【0038】
また、アルカリ崩壊試験を経たコメをデジタルカメラ等で撮影する前に、撮影に用いる光源の光の強度を調整するキャリブレーションを実施してもよい。当該キャリブレーションの方法は特に制限されないが、例えば、撮影に拡散光を用いる場合は、平底円筒型の容器の底に白紙を貼り、それを撮影することで光源の光の強度の調整を行うことができる。また、撮影に透過光を用いる場合は、平底円筒型の容器に水を投入しそれを撮影することで光源の光の強度の調整を行うことができる。
【0039】
(第1情報取得部)
第1情報取得部212は、画像取得部211で取得された、所定の期間アルカリ溶液に浸したコメの第1画像に基づく画像の明るさ情報を取得する。ここで、明るさ情報とは、第1画像に基づく情報であれば特に制限されないが、例えば、第1画像を輝度ヒストグラム、濃度ヒストグラム等に変換することにより得られる情報が挙げられる。
【0040】
以下に、明るさ情報が、第1画像を輝度ヒストグラムに変換することにより得られる情報である場合について説明する。ここで、輝度ヒストグラムは、画像を構成する各ピクセルの輝度を、輝度0から輝度255の256階調に振り分け、横軸を輝度、縦軸をピクセル数(画素数とも呼ぶ)とすることにより得られる。
【0041】
第1情報取得部212では、第1画像を、上述の256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムに変換する。続いて、第1情報取得部212は、当該輝度ヒストグラムを輝度に基づきn個(n≧2)の区間に分割し、さらにn個の区間から1個
の区間を除いたn-1個の区間毎の画素数が集計されることによって得られる区間毎の画素数(以下、ピクセル数とも言う)を、明るさ情報として取得する。例えば、輝度ヒストグラムを輝度の低い順に第1区間、第2区間及び第3区間の3個の区間に分割した場合、当該3個の区間から第2区間を除いた第1区間及び第3区間の画素数をそれぞれ集計し、集計した第1区間及び第3区間の画素数をそれぞれ明るさ情報として取得する。
【0042】
また、上述した輝度ヒストグラムを輝度に基づいて、n個(n≧2)の区間に分割する前に、輝度が最も低い所定の区間を排除してもよい。例えば、輝度ヒストグラムを3個の区間に分割する前に0階調~34階調の区間を削除し、その後35階調~255階調を第1区間、第2区間及び第3区間に分割してもよい。このとき、各区間に含まれる階調の数が、できるだけ均等になるように分割することが好ましい。
【0043】
第1情報取得部212において明るさ情報が取得される処理過程の一例を、
図6~
図8を用いてより具体的に説明する。
図6は、アルカリ崩壊試験に基づき、アルカリ溶液内に24時間浸漬させたコメの第1画像である。なお、当該第1画像は、平底円筒型の透明な容器内でアルカリ溶液に浸した3粒のコメを、透過光を用いて、容器底面から撮影した画像である。
【0044】
第1情報取得部212は、当該第1画像を、
図7に示した、256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムに変換する。続いて、第1情報取得部212は、このヒストグラムから輝度が最も低い0階調~34階調の区間を排除し、さらにヒストグラムの輝度を基準に、35階調~107階調の第1区間と、108階調~181階調の第2区間と、182階調~255階調の第3区間と、の3つの区間に分割する。
図8は、当該3つの区間のピクセル数を示すグラフである。具体的には、
図8に示すグラフの場合、第1区間のピクセル数が52939ピクセル、第2区間のピクセル数が37150ピクセル、第3区間のピクセル数が18008ピクセルとなる。第1情報取得部212は、この3つの区間のうち、第2区間を除いた、第1区間のピクセル数(52939ピクセル)及び第3区間のピクセル数(18008ピクセル)を明るさ情報として取得することができる。なお、第1情報取得部212は、第1~3区間のピクセル数の総数に対する第1区間のピクセル数の割合(第1区間のピクセル数/第1区間、第2区間及び第3区間のピクセル数の総数)、及び第1~3区間のピクセル数の総数に対する第3区間のピクセル数の割合(第3区間のピクセル数/第1区間、第2区間及び第3区間のピクセル数の総数)を明るさ情報として取得することもできる。なお、第1画像が、拡散光を用いて撮影した画像である場合も、透過光を用いた場合と同様の処理にて明るさ情報が取得される。
【0045】
(第2情報取得部)
第2情報取得部213は、第1画像におけるコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについての崩壊折り返し情報を取得する。
【0046】
コメはアルカリ溶液に浸すことにより、水を吸収して体積が膨張する(以下、この現象を「膨潤」と呼ぶ)が、一定の浸漬時間を過ぎるとコメの膨潤はピークに達し、その後は、溶解が進み、半透明なゼリー状となる。このコメの膨潤がピークを越えた状態を、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えている状態とする。一方で、このコメの膨潤がピークを越えていない状態が、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えていない状態である。第2情報取得部213は、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えている場合は「1」、超えていない場合は「0」、を崩壊折り返し情報として取得する。崩壊折り返し情報を取得することにより、コメが全く崩壊していない場合と、コメの崩壊が進み半透明なゼリー状となっている場合と、を画像から明確に区別することが可能となる。
【0047】
図9に示す例を用いて、コメの崩壊度及び崩壊折り返し情報についてより具体的に説明する。
図9は、コメの崩壊の程度を10段階に分けているが、この1~10で表された崩壊の程度を示す値が崩壊度である。
図9の米の画像に示すように、1から10への順で、米が水に膨潤・溶解していき、米の崩壊が進む。崩壊度が1~3である場合は米の膨潤が段階的に進んでいる状態、崩壊度が4である場合は米の膨潤がピークに達した状態、崩壊度が5~9である場合は膨潤のピークを越えて米の溶解が段階的に進んでいる状態、崩壊度が10である場合は全ての米が溶解した状態をそれぞれ示している。これらの崩壊の程度は、アルカリ崩壊試験を行った容器内の状態(米の状態および水溶液の状態)を観察し、米の原型がある(残っている)か、濃白濁領域があるか、薄白濁領域があるか、半透明領域があるか、を基準として判断している。
【0048】
なお、上記基準において、「米の原型がある」とは、米の輪郭(形状)が残っている状態であり、例えば、米の輪郭が元の米の輪郭よりも小さくなっていた場合であっても、米の輪郭が確認できた場合は「米の原型がある」として評価する。また、上記基準において、「濃白濁領域」および「薄白濁領域」とは、米が膨潤している状態を示しており、米の膨潤が進むにつれて、「濃白濁領域」から「薄白濁領域」へと変化していく。「半透明領域」とは、米が溶解した状態を示しており、半透明のゼリー状となった状態である。なお、試験に用いた水酸化カリウム水溶液の量、米の量、容器サイズにもよるが、上記「米の原型」、「濃白濁領域」、「薄白濁領域」、「半透明領域」の他に、アルカリ崩壊試験を行った容器内には、用いた水酸化カリウム水溶液の領域(透明領域)が存在しうる。本発明では、「米の原型」の有無、「濃白濁領域」と「薄白濁領域」との存在比、「薄白濁領域」と「半透明領域」との存在比に基づき、崩壊度を1~10に評価する。
【0049】
図9には、各崩壊度を判断する際に、アルカリ崩壊試験を行った容器内で観察される領域を表している。各項目(領域)において「○」とされている場合、その項目(領域)と判断されるものが観察されることを示す。例えば、崩壊度1では、透明領域と、米粒の原型と、濃白濁領域とが観察されている。ただし、
図9の各項目(領域)において特に記載がない(「○」の表記がない)場合であってもそれらの領域が観察されることを制限するものではない。
図9における各項目(領域)の記載は、崩壊度を判断するために主として基準とするものを例示している。各崩壊度を判断する評価基準についても
図9に示されている。
【0050】
図9に示す基準においては、崩壊度5以上が、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えている、と判断される。この場合、第2情報取得部213は、崩壊折り返し情報として「0」を取得する。一方、
図9に示す基準においては、崩壊度5未満が、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えていないと判断される。この場合、第2情報取得部213は、崩壊折り返し情報として「1」を取得する。
【0051】
第2情報取得部213が取得するコメの折り返し情報は、評価者が目視で判断した結果であってもよいし、サーバ20において第1画像に基づき判断された結果であってもよい。例えば、第2情報取得部213が、画像取得部211により取得された第1画像に基づき、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かの判断を行う、判断部を有していてもよく、当該判断部による判断の結果を崩壊折り返し情報として取得してもよい。判断部における、所定の崩壊度を超えているか否かの判断は、例えば、画像解析ソフトで第1画像の解析を行い、膨潤したコメが原型をとどめない場合は崩壊折り返しあり、原型をとどめる場合は折り返しなし、とすることができる。または、所定の期間の経過前に、画像取得部211がアルカリ溶液に浸したコメの画像を1以上経時的に取得し、これらの画像におけるコメの経時変化に基づいて、判断部が崩壊折り返しの有無を判断してもよい。この場合、判断部は1以上のコメの画像に基づいた画像の明るさ情報の経時変化に基づいて判断を行ってもよい。
【0052】
(算出部)
算出部215は、第1情報取得部212で取得した明るさ情報及び第2情報取得部213で取得した崩壊折り返し情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する。当該所定の回帰モデルは、コメの崩壊の程度に関する評価結果として評価値が定まっている参照画像の明るさ情報と、当該参照画像の崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、参照画像の崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる。
【0053】
〈重回帰分析〉
算出部215にて用いられる所定の回帰モデルは、コメの崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっている参照画像に基づく情報を用いた重回帰分析を行うことで、事前に得られたものである。
【0054】
より具体的には、事前にアルカリ崩壊試験を実施したコメの画像、すなわち参照画像の明るさ情報と、参照画像の崩壊折り返し情報と、を説明変数とし、参照画像のコメの崩壊度を目的変数として重回帰分析を実施する。これにより、所定の回帰モデルを得ることができる。参照画像の明るさ情報、参照画像の崩壊折り返し情報は、第1情報取得部212及び第2情報取得部213の欄で記載した明るさ情報及び崩壊折り返し情報と同等の情報である。また、参照画像のコメの崩壊度は、第2情報取得部213の欄で記載した崩壊度と同等であり、当該参照画像のコメの崩壊は評価者が目視によって判断した値であってもよいし、サーバ20の判断部が判断した値であってもよい。
【0055】
ここで所定の回帰モデルは、例えば、参照画像の明るさ情報である第1区間の画素数の割合(第1区間の画素数/第1区間、第2区間及び第3区間の画素数の総数)をAとし、第3区間の画素数の割合(第3区間の画素数/第1区間、第2区間及び第3区間の画素数の総数)をBとし、参照画像の崩壊折り返し情報をCとしたとき、回帰係数α1,β1,
γ1と定数d1とを用いて、崩壊度=α1・A+β1・B+γ1・C+d1(式1)で表される。
【0056】
また、重回帰分析では、目的変数の正解値と、各説明変数と、が最も強い相関で対応するように、回帰モデルの説明変数の項目数を減らし、各回帰係数を説明変数の項目毎に算出することができる。これにより崩壊度を最適に算出することができる回帰モデルを得ることができる。例えば、重回帰分析の結果、上記(式1)を、崩壊度=α1’・A+γ1’・C+d1’(式1-1)として、崩壊度を最適に算出することができる回帰モデルとして採用することもできる。また、上記(式1)を、崩壊度=β1’’・B+γ1’’・C+d1’’(式1-2)として、崩壊度を最適に算出することができる回帰モデルとして採用することもできる。ここで、明るさ情報が拡散光を用いて撮影した画像から得られたものである場合は、上記(式1-1)が回帰モデルとして採用されることが好ましく、当該明るさ情報が透過光を用いて撮影した画像から得られたものである場合は、上記(式1-2)が回帰モデルとして採用されることが好ましい。
【0057】
このような回帰モデルは、例えばマイクロソフト社のエクセル(登録商標)の分析ツールにおける回帰分析機能、IBM SPSS Statistics(IBM社)、jmp(SAS社)、R(R Development Core Team)、College Analysis(福山平成大学)等を用いて、重回帰分析を実施することにより、決定することができる。
【0058】
(第3情報取得部)
一実施形態において、第3情報取得部214は、評価対象のコメにおいて、コメの形状情報、ブレンド情報、及び種類情報からなる群より選択される1以上のコメの属性情報を取得する第3情報取得部214をさらに備えていてもよい。
【0059】
ここで、形状情報は、コメが精米であるか砕米であるかに関する情報であり、ブレンド情報は、コメが単一銘柄であるかブレンド米であるかに関する情報である。また、種類情報は、コメが収穫されて1年以内であるか否か、すなわちコメが新作米であるか旧作米であるかに関する情報である。コメが精米である場合に形状情報は「0」となり、コメが砕米である場合に形状情報は「1」となる。また、コメが単一銘柄である場合にブレンド情報は「1」となり、ブレンド米である場合にブレンド情報は「0」となる。また、コメが新作米である場合に種類情報は「0」となり、旧作米である場合に種類情報は「1」となる。
【0060】
ここで、精米とは、玄米から糠の全部又は一部を取り除いた米であり、いわゆるコメの粒形状を維持しているものを意味し、砕米とは、精米が欠けたり砕けたりした状態のコメを意味する。また、コメが単一銘柄であるとは、コメが一品種からなることを意味し、コメがブレンド米であるとは、コメが2種以上の品種からなることを意味する。また、新作米とは、収穫されて1年以内のコメを意味し、旧作米とは収穫されて1年以上経ったコメを意味する。
【0061】
第3情報取得部214を有する場合、算出部215は、第1情報取得部212、第2情報取得部213及び第3情報取得部214で得られた情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する。当該所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像の明るさ情報、当該参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報及び当該参照画像に係るコメの属性情報を少なくとも説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られる。ここで、参照画像の明るさ情報、参照画像の崩壊折り返し情報は、第1情報取得部212、第2情報取得部213の欄で記載した明るさ情報及び崩壊折り返し情報と同等の情報であ
る。また、参照画像のコメの属性情報は、上述した第3情報取得部214にて取得されるコメの属性情報と同等の情報である。また、参照画像のコメの崩壊度は、第2情報取得部213の欄で記載した崩壊度と同等であり、当該参照画像のコメの崩壊は評価者が目視によって判断した値であってもよいし、サーバ20の判断部が判断した値であってもよい。
【0062】
ここで所定の回帰モデルは、例えば、参照画像の明るさ情報である第1区間の画素数の割合(第1区間の画素数/第1区間、第2区間及び第3区間の画素数の総数)をAとし、第3区間の画素数の割合(第3区間の画素数/第1区間、第2区間及び第3区間の画素数の総数)をBとし、参照画像の崩壊折り返し情報をCとし、コメの属性情報のうち、形状情報をD、ブレンド情報をEとしたとき、回帰係数α2、β2、γ2、σ2、θ2と定数d2とを用いて、崩壊度=α2・A+β2・B+γ2・C+σ2・D+θ2・E+d2(式2)で表すことができる。
【0063】
なお、重回帰分析の欄でも述べた通り、重回帰分析では、目的変数の正解値と、説明変数と、が最も強い相関で対応するように、回帰モデルの説明変数の項目数を減らし、各回帰係数を説明変数の項目毎に算出することができる。例えば、重回帰分析の結果、上記(式2)を、崩壊度=α2’・A+γ2’・C+σ2’・D+d2’(式2-1)として、崩壊度を最適に算出することが可能な所定の回帰モデルとして採用することもできる。また、重回帰分析の結果、上記(式2)を、崩壊度=β2’’・B+γ2’’・C+σ2’’・D+d2’’(式2-2)として、崩壊度を最適に算出することが可能な所定の回帰モデルとして採用することもできる。ここで、明るさ情報が拡散光を用いて撮影した画像から得られたものである場合は、上記(式2-1)が回帰モデルとして採用されることが好ましく、当該明るさ情報が透過光を用いて撮影した画像から得られたものである場合は、上記(式2-2)が回帰モデルとして採用されることが好ましい。
【0064】
(判定部)
一実施形態において、評価装置は、算出部215により算出されたコメの崩壊度に基づきコメの原料適合性を判定する判定部216を備えていてもよい。当該判定部216は、コメの崩壊度が所定の基準値以上の場合、コメが原料として適合していると判定し、コメの崩壊度数が所定の基準値未満の場合、コメが原料として不適であると判定することができる。例えば、算出部215により算出されたコメの崩壊度が所定の基準値以上(例えば、7以上)である場合、コメが樹脂との混合した樹脂組成物の原料として適していると判定することができ、逆にコメの崩壊度が所定の基準値未満(例えば、7未満)である場合には、当該樹脂組成物の原料として適さない、と判定することができる。
【0065】
(管理部)
一実施形態において、評価装置は、画像取得部211により取得された画像と、第1情報取得部212により取得された画像の明るさ情報と、第2情報取得部213により取得された崩壊折り返し情報と、算出部215により算出されたコメの崩壊度と、回帰モデルに関する情報と、を含むコメの崩壊度情報を一元管理する管理部217を有していてもよい。これらの情報は
図5に示すように、サンプル毎に個別に管理されていてもよく、例えば、サーバ20の記憶部22に記憶されていてもよい。なお、
図5の例では、明るさ情報として、第1~3区間のピクセル数の総数における各区間のピクセル数の割合を管理する場合を示している。また、
図5には示していないが、管理部217では、回帰モデルに関する情報として、各サンプルの崩壊度を算出した所定の回帰モデルと各サンプルとを紐づけた情報を管理することもできる。また、当該紐づけた情報に加え、回帰モデルに関する情報には、当該所定の回帰モデルを取得するために用いられる、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報、当該参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報、当該参照画像に係るコメの属性情報、及び当該参照画像に係るコメの崩壊度が含まれ得る。また、管理部217は、上述したコメの崩壊度情報を更
新するための情報の入力を受け付ける更新受付部をさらに有していてもよい。
【0066】
(再重回帰分析部)
一実施形態において、評価装置は、回帰モデルを再度算出する再重回帰分析部218を有していてもよい。再重回帰分析部218は、例えば、管理部217の更新受付部がコメの崩壊度情報の更新を受け付けた際に、更新された最新の情報を用いて、重回帰分析を行うことができる。より具体的には、管理部217の更新受付部が、回帰モデルに関する情報として所定の回帰モデルを取得するために用いられる各情報の更新を受け付けた際に、更新前の各情報と、新たに更新により追加された情報とを用いて、重回帰分析を行うこともできる。
【0067】
<メイン端末30>
メイン端末30は、それぞれ制御部31、記憶部32、通信部33、表示部34及び操作受付部35を備え、各構成要素がバスを介して相互に通信可能に接続されている。これらの機能は、サブ端末10と同様であるため説明を省略する。
【0068】
<サーバ20における処理の概要>
以下、サーバ20における処理の概要について説明する。
図10~12は、サーバ20において実行されるコメのアルカリ崩壊の程度についての評価に関する3つの実施形態の手順をそれぞれ示すフローチャートである。なお、フローチャートに示されるサーバ20の処理は、サーバ20の記憶部22にプログラムとして記憶されており、制御部21が各部を制御することにより実行される。
【0069】
まず
図10を用いて1つ目の実施形態を説明する。まず、サブ端末10が、デジタルカメラ等から通信部13を介して、アルカリ溶液に浸したコメの画像の入力を受け付ける。当該画像は、通信部13を介してサーバ20へ送付され(S101)、サーバ20は画像取得部211の機能に基づき、通信部23を介して当該画像を取得する(S102)。続いてサーバ20は、画像取得部211で取得した第1画像から、第1情報取得部212の機能に基づき、明るさ情報を取得する(S103)。続いて、サーバ20は第1画像を、通信部23を介して、メイン端末30に送付する(S104)。
【0070】
メイン端末30は、通信部33を介して、当該第1画像を受け付け、表示部34に表示する。続いて、メイン端末30は、表示部34に表示された第1画像に基づき評価者が判断した崩壊折り返し情報を、操作受付部35を介して受け入れる。続いて、通信部33を介して、当該情報がサーバ20へ送付され(S105)、サーバ20は、第2情報取得部213の機能に基づき、通信部23を介して当該情報を取得する(S106)。続いて、サーバ20の算出部215は、事前に取得している所定の回帰モデルと、第1情報取得部212及び第2情報取得部213で取得した情報と、を利用し、コメの崩壊度を算出する(S107)。ここで用いられる所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られたものである。算出された崩壊度は、サーバ20から通信部23を介してサブ端末10へ送付され(S108)、サブ端末10の表示部14に表示される。
【0071】
次に
図11を用いて2つ目の実施形態を説明する。S201~S206は、
図10に示した実施形態のS101~S106と同様であるため説明を省略する。サブ端末10が、操作受付部15を介して第1画像に関する評価対象のコメの属性情報について入力を受け付け、当該情報は通信部13を介してサーバ20へ送付される(S207)。サーバ20は、通信部23を介して第3情報取得部214の機能に基づき、コメの属性情報を取得す
る(S208)。続いて、サーバ20の算出部215は、事前に取得している所定の回帰モデルと、第1情報取得部212、第2情報取得部213及び第3情報取得部214で取得した情報と、を利用し、コメの崩壊度を算出する(S209)。ここで用いられる所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報、参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報及び参照画像に係るコメの属性情報を少なくとも説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られたものである。算出された崩壊度は、サーバ20から通信部23を介してサブ端末10へ送付され(S210)、サブ端末10の表示部14に表示される。
【0072】
次に
図12を用いて3つ目の実施形態を説明する。S301~S303は、
図10に示した実施形態のS101~S103と同様であるため説明を省略する。サーバ20は、第2情報取得部213の判断部の機能に基づき、第1画像についてコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かの判断を行う(S304)。そして、サーバ20は当該判断の結果を、第2情報取得部213の機能に基づき、崩壊折り返し情報として取得する(S305)。続いて、サーバ20の算出部215は、事前に取得している所定の回帰モデルと、第1情報取得部212及び第2情報取得部213で取得した情報と、を利用し、コメの崩壊度を算出する(S306)。ここで用いられる所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られたものである。算出された崩壊度は、サーバ20から通信部23を介してサブ端末10へ送付され(S307)、サブ端末10の表示部14に表示される。
【0073】
<評価装置による処理の結果と目視による評価結果との比較>
図13及び
図14に、本発明の一形態に係る評価装置による処理により得た崩壊度(グラフ中、重回帰推定と記載)と、熟練の評価者が行った目視評価の結果(グラフ中、目視評価と記載)と、を比較するグラフを示す。グラフの横軸は各サンプル名を示し、縦軸が崩壊度を示す。なお、
図13(a)及び
図14(a)が拡散光を用いて撮影した画像を用いた場合、
図13(b)及び
図14(b)が透過光を用いて撮影した画像を用いた場合を示している。
【0074】
図13は、第1情報取得部212で取得した明るさ情報及び第2情報取得部213で取得した崩壊折り返し情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出した結果である。ここで、所定の回帰モデルは、参照画像の明るさ情報と、参照画像の崩壊折り返し情報と、を説明変数とし、参照画像のコメの崩壊度を目的変数として重回帰分析を行った結果得たものである。
図13に示すように、本発明の一形態に係る評価装置による処理により得た崩壊度は、熟練の評価者が行った目視評価の結果と十分に同等である結果を示した。
【0075】
図14は、第1情報取得部212で取得した明るさ情報、第2情報取得部213で取得した崩壊折り返し情報及び第3情報取得部214で取得したコメの属性情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出した結果である。ここで、所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像の明るさ情報、当該参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報及び当該参照画像に係るコメの属性情報を説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を行った結果得たものである。
図14に示すように、本発明の一形態に係る評価装置による処理により得た崩壊度は、熟練の評価者が行った目視評価の結果と、より十分に同等である結果を示した。以上より、本発明の一形態に係る評価装置は、コメのアルカリ崩壊の程度を精度よく評価することが可能であることが示された。
【0076】
上記の実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0077】
サーバ20は、画像取得部211によりアルカリ溶液に浸したコメの第1画像を取得し、当該画像に基づき、第1情報取得部212により明るさ情報を取得し、さらに、第2情報取得部213により、第1画像の崩壊折り返し情報を取得する。算出部215では、これらの情報をもとに算出部215により所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出する。この際に用いる所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報と、参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報と、を少なくとも説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られたものである。これにより、アルカリ崩壊の評価を、高い精度で実施することができる。また従来の評価者による評価では、個人間によって評価のばらつきがあったが、本発明を用いることにより、ばらつきがない評価を実施することも可能となる。さらには、従来、評価者の育成にも時間とコストがかかっていたが、本発明を用いることで評価者を育成する必要がなくなり、時間とコストの削減が可能となる。
【0078】
また、サーバ20は、第1画像に関する評価対象のコメの属性情報を取得する第3情報取得部214をさらに備え、算出部215は、明るさ情報、崩壊折り返し情報及び属性情報を利用し、所定の回帰モデルを用いてコメの崩壊度を算出することができる。この際に用いる所定の回帰モデルは、崩壊度の程度に関する評価結果として評価値が定まっているコメの参照画像に基づく明るさ情報、参照画像に係るコメの崩壊折り返し情報及び参照画像に係るコメの属性情報を少なくとも説明変数とし、参照画像に係るコメの崩壊度を目的変数とした重回帰分析を事前に行うことで得られたものである。これにより、より多くの情報に基づく重回帰分析を行った結果得られた回帰モデルも用いることが可能となることから、サーバ20によるアルカリ崩壊の評価が、より精度の高いものとなる。
【0079】
また、第2情報取得部213は、画像取得部211により取得された第1画像に基づいて、コメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かを判断し、崩壊折り返しあり又は崩壊折り返しなしとする崩壊折り返し情報を取得することができる。第2情報取得部213が上記の機能を有していることにより、評価者が崩壊折り返し情報を目視にて判断する必要がなくなるため、判断のばらつきをさらに少なくすることができ、より精度の高いアルカリ崩壊の評価を実施することが可能となる。
【0080】
また、第1情報取得部212で取得する明るさ情報は、第1画像を、256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムに変換し、当該輝度ヒストグラムを輝度に基づきn個(n≧2)の区間に分割し、さらにn個の区間から1個の区間を除いたn-1個の区間毎の画素数が集計されることによって得られる区間毎の画素数であってもよい。これにより、サーバ20によるアルカリ崩壊の評価を、より精度の高いものとすることができる。
【0081】
また、第1情報取得部212で明るさ情報を取得する際に、輝度ヒストグラムを輝度に基づいて、n個(n≧2)の区間に分割する前に、輝度が最も低い所定の区間を排除することができる。このような処理をすることにより、サーバ20によるアルカリ崩壊の評価を、より十分に精度が高いものとすることができる。
【0082】
また、第3情報取得部214で取得するコメの属性情報のうち、形状情報は、コメが砕米であるか精米であるかに関する情報であり、ブレンド情報は、コメが単一銘柄であるかブレンド米であるかに関する情報であり、種類情報は、コメが新作米であるか旧作米であるかに関する情報であってもよい。これらの情報を取得することにより、より評価対象であるコメに合わせた評価が可能となり、サーバ20によるアルカリ崩壊の評価を、より十
分に精度が高いものとすることができる。
【0083】
また、サーバ20は、算出部215により算出されたコメの崩壊度に基づきコメの原料適合性を判定する判定部216を有することができる。当該判定部216は、コメの崩壊度が所定の基準値以上の場合、コメが原料として適合していると判定し、コメの崩壊度数が所定の基準値未満の場合、コメが原料として不適であると判定する。これにより、評価装置の利用者がコメの原料適合性について判断する必要がなくなるため、評価装置の利便性が向上する。
【0084】
また、サーバ20が画像取得部211により取得する画像は、平底円筒型の透明な容器内でアルカリ溶液に浸したコメを、透過光又は拡散光を用いて、容器の天面又は底面から撮影したものとすることができる。このような画像は第1情報取得部212においる明るさ情報の取得に適していることから、このような画像を用いることでよりサーバ20は、より十分に精度の高いアルカリ崩壊の評価を実施することができる。
【0085】
また、サーバ20が画像取得部211で取得する第1画像は、24時間アルカリ溶液に浸したコメの画像であってもよい。24時間アルカリ溶液に浸したコメの画像は、アルカリ崩壊の評価に適しているため、サーバ20はより十分に精度が高いアルカリ崩壊の評価を実施することができる。
【0086】
また、サーバ20は管理部217を有することができ、当該管理部217では、画像と、明るさ情報と、崩壊折り返し情報と、属性情報と、コメの崩壊度と、回帰モデルに関する情報と、からなる群より選択される1つ以上のコメの崩壊度情報を一元管理することができる。管理部217にてこれらの情報を一元管理することにより、例えば、再重回帰分析部218にて、より正確な回帰モデルを得ることができ、サーバ20におけるアルカリ崩壊の評価の精度を逐次的に向上させることができる。また、管理部217は、当該コメの崩壊度情報を更新するための情報の入力を受け付ける更新受付部を有することができる。当該更新受付部を有することにより、例えば、再重回帰分析部218により回帰モデルを再度算出する際に、より十分な精度を持った回帰モデルを得ることができる。
【0087】
また、サーバ20は再重回帰分析部218を有することができ、再重回帰分析部218は回帰モデルを再度算出する。再重回帰分析部218を有することにより、回帰モデルを改善することが可能となり、サーバ20におけるアルカリ崩壊の評価の精度を逐次的に向上させることができる。
【0088】
また、アルカリ崩壊試験を経たコメをデジタルカメラ等で撮影する前に、撮影に用いる光源の光の強度を調製するキャリブレーションを実施してもよい。当該キャリブレーションを実施した後に撮影をすることにより、例えば、第1情報取得部212において明るさ情報を取得するために適した画像を得ることが可能となり、これにより、アルカリ崩壊の評価の精度を更に向上させることができる。
【0089】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0090】
また、上記の実施形態では、サーバ20が一つの独立した装置として構成され、画像取得部211、第1情報取得部212、第2情報取得部213、算出部215等の各機能を実現する例について説明したが、装置の構成はこれに限定されない。サーバ20は、複数の装置から構成されてもよく、あるいは他の機能を有する装置に含まれて構成されてもよい。例えば、サーバ20は、多数のサーバから構成されるクラウドサーバ上に分散して構
成されてもよい。また、サーバ20の機能の一部又は全部は、ネットワークを介して接続されているサブ端末10やメイン端末30において実現されてもよい。すなわち、サブ端末10又はメイン端末30が評価装置として機能してもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、サーバ20がサブ端末10及び/又はメイン端末30とネットワークを介して接続されている例を示したが、これに制限されず、サーバ20は、サブ端末10及び/又はメイン端末30に接続されていなくてもよい。この場合、サブ端末10又はメイン端末30が単独で、
図4に示した画像取得部211、第1情報取得部212、第2情報取得部213、算出部215などの各機能を実行してもよい。
【0092】
また、上記の実施形態では、サブ端末10を介してコメの画像や属性情報を取得する例を示したがこれに制限されない。例えば、これらの画像や情報は、メイン端末30を介して取得されてもよいし、サーバ20が直接取得してもよい。同様に、上記の実施形態では、メイン端末30を介して崩壊折り返し情報を取得する例を示したがこれに制限されない。例えば、当該情報は、サブ端末10を介して取得されてもよいし、サーバ20が直接取得してもよい。
【0093】
また、上記の1つ目の実施形態及び2つ目の実施形態では、メイン端末30に表示された第1画像に基づいて評価者がコメの崩壊度が所定の崩壊度を超えているか否かについて判断し、メイン端末30が崩壊折り返し情報を受け付ける例を示したがこれに制限されない。例えば、サブ端末10に表示された第1画像に基づいて評価者が当該判断を行い、サブ端末10が崩壊折り返し情報を受け付けてもよい。また、サーバ20が崩壊折り返し情報を直接取得してもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、サーバ20で算出されたコメの崩壊度は、サブ端末10に送付され、サブ端末10に表示される例を示したがこれに制限されない。コメの崩壊度に関する情報は、サーバ20から、メイン端末30に送付されてもよいし、サーバ20の記憶部22に保存されてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態におけるフローチャートの処理単位は、サーバ20の処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方や処理の順序によって、本発明が制限されることはない。サーバ20において行われる処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよく、各処理ステップの順序は本実施形態のフローチャートと異なってもよい。
【0096】
また、画像取得部211、第1情報取得部212、第2情報取得部213、第3情報取得部214、算出部215、判定部216、管理部217、及び再重回帰分析部218等の各機能は、機械学習やAI(人工知能)を用いて、実行されてもよい。機械学習は、2つ又はそれ以上の変数を含むデータからある傾向を把握するものであるが、人が明示的に挙動を指示することなしにコンピュータに学習能力を与え、変量間の関係性を解析するものである。活用できる機械学習としては、「サポートベクターマシン」や「ニューラルネットワーク解析」などがある。ニューラルネットワーク解析としては、階層型ネットワークモデルや、階層型ネットワークモデルの中間層を多数としたディープラーニング(深層学習)モデルを用いることができる。また、機械学習は、教師なし分析を行っても、教師つき分析を行ってもよい。
【0097】
上述した実施形態に係るシステムにおける各種処理を行う手段及び方法は、専用のハードウェア回路、又はプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、フレキシブルディスク及びCD-ROM等のコン
ピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0098】
なお、以下の実施形態も本発明の範囲に含まれる:請求項2の特徴を有する請求項1に記載の評価装置;請求項3の特徴を有する請求項1又は請求項2に記載の評価装置;請求項4の特徴を有する請求項1~3のいずれかに記載の評価装置;請求項5の特徴を有する請求項4に記載の評価装置;請求項6の特徴を有する請求項2に記載の評価装置;請求項7の特徴を有する請求項1~6のいずれかに記載の評価装置;請求項8の特徴を有する請求項1~7のいずれかに記載の評価装置;請求項9の特徴を有する請求項1~8のいずれかに記載の評価装置;請求項10の特徴を有する請求項2に記載の評価装置;請求項11の特徴を有する請求項1~10のいずれかに記載の評価装置;情報処理装置を請求項1~11のいずれかに記載の評価装置として機能させるための評価プログラム。
【符号の説明】
【0099】
10 サブ端末、
11 制御部、
12 記憶部、
13 通信部、
14 表示部、
15 操作受付部、
20 サーバ、
21 制御部、
22 記憶部、
23 通信部、
211 画像取得部、
212 第1情報取得部、
213 第2情報取得部、
214 第3情報取得部、
215 算出部、
216 判定部、
217 管理部、
218 再重回帰分析部、
30 メイン端末、
31 制御部、
32 記憶部、
33 通信部、
34 表示部、
35 操作受付部。