(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079187
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】押出装置及びその洗浄方法並びに押出装置を用いた成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/18 20060101AFI20240604BHJP
B29C 45/24 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191981
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591032703
【氏名又は名称】群馬県
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】生田目 昂
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 美子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 佑貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 広樹
(72)【発明者】
【氏名】恩田 紘樹
(72)【発明者】
【氏名】牛木 龍二
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA03
4F206AA13
4F206AA20
4F206AA24
4F206AA28
4F206AA29
4F206AM10
4F206AR06
4F206JA07
4F206JF06
4F206JF12
4F206JL02
4F206JM01
4F206JN03
4F206JN14
4F206JN27
4F206JP30
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】清掃による材料押出の中断時間を短くできる押出装置及びその洗浄方法並びに押出装置を用いた成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による押出装置1は、前端部に開口を有し、内部に材料が供給されるシリンダ20と、シリンダ20内に挿通され、前進及び/又は回転されることにより開口から材料を押し出すためのスクリュ21と、シリンダ20に設けられ、シリンダ20の内部に還元性ガスを供給するための還元性ガス供給部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部に開口を有し、内部に材料が供給されるシリンダと、
前記シリンダ内に挿通され、前進及び/又は回転されることにより前記開口から前記材料を押し出すためのスクリュと、
前記シリンダに設けられ、前記シリンダの内部に還元性ガスを供給するための還元性ガス供給部と
を備える、
押出装置。
【請求項2】
前記シリンダに設けられ、前記シリンダの内部に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給部
をさらに備える、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項3】
前記還元性ガス供給部は、前記不活性ガス供給部を兼ねる、
請求項2に記載の押出装置。
【請求項4】
前記還元性ガス供給部は、前記シリンダの内部に前記材料を供給するための材料供給部を兼ねる、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置。
【請求項5】
前記シリンダには、前記シリンダの後端側から前記前端部に向かって順に、前記材料が粒状の形態をとる第1区間と、前記材料の一部が溶融される第2区間と、前記材料のすべてが溶融される第3区間とが設けられており、
前記第1又は第2区間に設けられ、前記シリンダ内のガスを排気するための排気部
をさらに備える、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置。
【請求項6】
前記シリンダの後端部に設けられ、前記スクリュを進退及び/又は回転させる駆動装置と、
前記シリンダと前記駆動装置との間に設けられ、前記シリンダの内部から前記駆動装置への前記還元性ガスの流れを阻害するシール部材と
をさらに備える、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置。
【請求項7】
前記シリンダを加熱するための加熱装置
をさらに備え、
前記材料は熱可塑性樹脂であり、
前記加熱装置の動作モードには、
前記熱可塑性樹脂を溶融するために第1温度まで前記シリンダを加熱する第1モードと、
前記シリンダの内部に前記還元性ガスが供給された際に前記第1温度よりも高い第2温度以上に前記シリンダを加熱する第2モードと
が含まれている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置。
【請求項8】
前記スクリュにより前記シリンダの前端部に向けて前記材料を移動させている時に前記シリンダの内部に前記還元性ガスが供給可能に構成されている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置。
【請求項9】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置の洗浄方法であって、
前記シリンダ内の異物を前記還元性ガスと反応させる反応工程
を含む、
押出装置の洗浄方法。
【請求項10】
前記押出装置は、前記シリンダを加熱するための加熱装置をさらに備え、
前記材料は熱可塑性樹脂であり、
前記加熱装置の動作モードには、
前記熱可塑性樹脂を溶融するために第1温度まで前記シリンダを加熱する第1モードと、
前記シリンダの内部に前記還元性ガスが供給された際に前記第1温度よりも高い第2温度以上に前記シリンダを加熱する第2モードと
が含まれており、
前記反応工程において、前記加熱装置により前記シリンダを前記第2温度まで加熱する、
請求項9に記載の押出装置の洗浄方法。
【請求項11】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の押出装置を用いた成形品の製造方法であって、
前記シリンダ内の異物を前記還元性ガスと反応させる反応工程
を含む、
成形品の製造方法。
【請求項12】
前記押出装置は、前記スクリュにより前記シリンダの前端部に向けて前記材料を移動させている時に前記シリンダの内部に前記還元性ガスが供給可能に構成されており、
前記反応工程は、前記スクリュにより前記シリンダの前端部に向けて前記材料を移動させている時に行われる、
請求項11に記載の成形品の製造方法。
【請求項13】
前記反応工程は、前記シリンダの前端部に溶融された所定量の前記材料を溜める計量工程、及び溶融された前記材料を前記開口から押し出して金型内に充填する充填工程の少なくとも1つと同時に行われる、
請求項12に記載の成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出装置及びその洗浄方法並びに押出装置を用いた成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1等に示されている射出成形等の押出装置は、前端部に開口を有し、内部に材料が供給されるシリンダと、シリンダ内に挿通され、シリンダの開口から材料を押し出すためのスクリュとを備える。このような押出装置では、例えば材料の炭化物等の異物がシリンダ内に堆積することがある。堆積された異物が剥離してシリンダの開口から材料とともに押し出されると、例えば成形品の外観不良等の不具合が生じる虞がある。不具合が多く発生することを回避するため、従来は、押出装置による材料の押出動作を中断し、ブラシでこする、押出装置内にパージ剤を供給する等の洗浄作業が適宜行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の押出装置では、ブラシでこする、押出装置内にパージ剤を供給する等の洗浄作業が適宜行われるが、清掃による材料押出の中断時間が長くなっている。また、シリンダやスクリュの形状によっては、上記のような洗浄方法では異物を十分に除去できない場合もある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ブラシやパージ剤では除去するのが難しかった箇所にある異物や、目視できないような微細な異物を除去でき、なおかつ清掃による材料押出の中断時間を短くできる押出装置及びその洗浄方法並びに押出装置を用いた成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る押出装置は、前端部に開口を有し、内部に材料が供給されるシリンダと、シリンダ内に挿通され、前進及び/又は回転されることにより開口から材料を押し出すためのスクリュと、シリンダに設けられ、シリンダの内部に還元性ガスを供給するための還元性ガス供給部とを備える。
【0007】
本発明に係る押出装置の洗浄方法は、上述の押出装置の洗浄方法であって、シリンダ内の異物を還元性ガスと反応させる反応工程を含む。
【0008】
本発明に係る押出装置を用いた成形品の製造方法は、上述の押出装置を用いた成形品の製造方法であって、シリンダ内の異物を還元性ガスと反応させる反応工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の押出装置及びその洗浄方法や、押出装置を用いた成形品の製造方法によれば、シリンダの内部に還元性ガスが供給され、シリンダやスクリュ表面に存在する異物と還元性ガスとが反応する結果、異物が剥離しやすくなる。これにより、清掃による材料押出の中断時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1による押出装置を示す構成図である。
【
図2】
図1の押出装置1において行われ得る押出装置の洗浄方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施の形態2による押出装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による押出装置1を示す構成図である。
図1に示す押出装置1は、図示しない金型に材料を押し出すための装置である。本実施の形態では、材料を熱可塑性樹脂として説明する。材料は、溶融された状態で金型内に押し出される。金型内で材料が冷却固化されることで、所定形状の成形品が成形される。本実施の形態の押出装置1は、成形材料(熱可塑性樹脂)を射出する射出成形機と呼ぶこともできる。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の押出装置1は、押出機構2、型締装置(図示せず)及び制御装置3を有している。押出機構2は、溶融された材料を金型内に押し出すための装置である。型締装置は、金型を型締状態、型閉状態又は型開状態とするための装置である。制御装置3は、押出機構2を制御するための装置である。
【0014】
押出機構2は、シリンダ20、スクリュ21、加熱装置22、移動装置23、計量モータ24、押出モータ25及び圧力センサ26を有している。
【0015】
シリンダ20は、長手状の筒状部材である。シリンダ20の断面形状は、円形であることが好ましいが、他の形状とされていてもよい。シリンダ20には、供給口200及びノズル201が設けられている。供給口200は、シリンダ20内に材料を投入するためのホッパー202が取り付けられる開口である。供給口200は、シリンダ20の後端側かつ計量モータ24の手前に配置されている。供給口200の近傍には水冷等による冷却器を設けることができる。ノズル201は、シリンダ20の前端部に設けられており、シリンダ20内で溶融された材料を射出するための開口を有する部分である。ノズル201は、上述の金型に向かうように配置される。ノズル201の横断面積は、シリンダ20の後端側の横断面積よりも小さくされている。
【0016】
スクリュ21は、シリンダ20の内部に挿通された長手状の部材である。スクリュ21の中心軸線は、シリンダ20の中心軸線と平行に延在されていることが好ましい。スクリュ21は、計量モータ24により回転可能とされているとともに、押出モータ25により進退可能とされている。スクリュ21の周囲にはフライトが螺旋状に設けられており、計量モータ24によりスクリュ21が回転されることによって、供給口200からシリンダ20内に供給された材料がシリンダ20の先端部に送られる。また、押出モータ25によりスクリュ21が前進されることによって、シリンダ20の先端部に溜められた材料がノズル201の開口から押し出される。
【0017】
加熱装置22は、シリンダ20を加熱するためのものである。加熱装置22は、シリンダ20の外周を取り囲んで配置されている。加熱装置22は、バンド状等の形状を採り得る。加熱装置22の加熱により、シリンダ20内の材料が溶融される。加熱装置22は、軸線方向(
図1の左右方向)に一体に形成されてもよいが、図示のように軸線方向に互いに分割された複数のヒータ部分22a
1~4を有していてもよい。ヒータ部分22a
1~4の位置毎に、シリンダ20の内部を異なる温度で加熱してもよい。説明の便宜上、複数のヒータ部分22a
1~4をシリンダ20の後端側から前端部に向かって順に第1~第4ヒータ部分22a
1~4と呼ぶ場合がある。
【0018】
シリンダ20には、シリンダ20の後端側から前端部に向かって順に、材料が粒状の形態をとる第1区間と、材料の一部が溶融される第2区間と、材料のすべてが溶融される第3区間とが設けられている。第1区間は、供給口200から第1ヒータ部分22a1の位置までの区間であり得る。第2区間は、第1ヒータ部分22a1から第2ヒータ部分22a2の位置までの区間であり得る。第3区間は、第2ヒータ部分22a2からノズル201(第4ヒータ部分22a4)の位置までの区間であり得る。
【0019】
移動装置23は、押出機構2を金型に対して前進・後退変位させるための装置である。本実施の形態の移動装置23は、スライドベース230、第1支持プレート231、第2支持プレート232、複数のロッド233、ガイド234及びアクチュエータ235を有している。
【0020】
スライドベース230は、押出機構2の下部に設けられている。第1及び第2支持プレート231,232は、シリンダ20の長手方向に互いに離間してスライドベース230の上面に固定されている。これら第1及び第2支持プレート231,232は、ロッド233によって互いに連結されている。ロッド233は、計量モータ24の周囲の複数箇所、たとえば四箇所に配置され得る。
【0021】
第1支持プレート231は、シリンダ20及び計量モータ24を支持している。第1支持プレート231の前面には、シリンダ20の後端部が固定されている。第1支持プレート231の背面には、計量モータ24が固定されている。第1支持プレート231には、スクリュ21が挿通されるための挿通孔231aが設けられている。スクリュ21の後端部は計量モータ24に連結されており、この計量モータ24を介して第1支持プレート231にスクリュ21が支持されている。
【0022】
第2支持プレート232は、押出モータ25及び圧力センサ26を支持している。第2支持プレート232の背面には、圧力センサ26を介して押出モータ25が固定されている。
【0023】
ガイド234は、フレームFr上に設けられた直線状の部材である。ガイド234は、シリンダ20の長手方向と平行に延在されている。スライドベース230は、ガイド234上に設けられており、ガイド234に沿って進退可能に設けられている。
【0024】
アクチュエータ235は、スライドベース230に駆動力を付与するための装置である。アクチュエータ235は任意の装置によって構成され得るが、本実施の形態のアクチュエータ235は液圧ポンプによって構成されている。より具体的には、本実施の形態のアクチュエータ235は、スライドベース230に固定されたシリンダ235aと、シリンダ235aに対して進退可能に設けられたプランジャ235bとを有している。プランジャ235bの先端は、図示しない型締装置の固定プラテンに接続されており、プランジャ235bが進退されることでスライドベース230が固定プラテンに対して近づく方向及び離れる方向に変位可能とされている。
【0025】
計量モータ24は、スクリュ21を回転させるための駆動装置である。本実施の形態の計量モータ24は、ケース240、ステータ241、ロータ242、計量スプライン軸243、スクリュ取付部244及び連結具245を有している。
【0026】
ケース240は、円環状の部材であり、ステータ241等の外周を取り囲んでいる。ケース240は、スクリュ21と同軸に設けられていることが好ましい。ケース240の前端部240aは、第1支持プレート231の背面に固定されている。ステータ241は、ケース240の内周面に固定されている。ロータ242は、ステータ241の内方に配置されている。ロータ242は、そのロータ242の回転軸線方向の両端部で軸受242aを介してケース240の内周面に回転自在に支持されている。
【0027】
ロータ242の内周面は、計量スプライン軸243の外周面にスプライン結合されている。換言すると、計量スプライン軸243の後端部の外周面には、ロータ242の内周面に設けられたキー溝に対応する一個以上のキー243aが形成されている。計量スプライン軸243は、ロータ242と一体に回転可能に設けられているとともに、ロータ242の回転軸線に進退可能に設けられている。計量スプライン軸243の前端部には、スクリュ取付部244の後端部が固定されている。スクリュ取付部244の前端部には、スクリュ21の後端部が挿入される環状突部246が設けられている。スクリュ取付部244には、後端部が環状突部246に挿入された状態でスクリュ21が連結具245により連結されている。スクリュ21は、計量スプライン軸243と一体に回転可能かつ進退可能に設けられている。
【0028】
押出モータ25は、スクリュ21を進退させるための駆動装置である。本実施の形態の押出モータ25は、ケース250、ステータ251、ロータ252、押出スプライン軸253及びねじナット254を有している。
【0029】
ケース250は、有底筒状の部材である。ケース250は、開口が第2支持プレート232の背面に向かうように配置されているとともに、ステータ251等の外周を取り囲んでいる。ケース250は、スクリュ21と同軸に設けられていることが好ましい。ケース250の前端部250aは、筒状部材250b及び圧力センサ26を介して第2支持プレート232の背面に固定されている。ステータ251は、ケース250の内周面に固定されている。ロータ252は、ステータ251の内方に配置されている。ロータ252は、そのロータ252の回転軸線方向の両端部で軸受252aを介してケース250の内周面に回転自在に支持されている。
【0030】
ケース250の底板250cには、回転検出器255が取り付けられている。回転検出器255は、エンコーダ等により構成されるものである。回転検出器255は、底板250cを貫通してロータ252の後端部に接続された軸部255aを有しており、軸部255a及びロータ252の回転を検出することができる。
【0031】
ロータ252の内周面は、押出スプライン軸253の外周面にスプライン結合されている。換言すると、押出スプライン軸253の後端部の外周面には、ロータ252の内周面に設けられたキー252bに対応する一個以上のキー溝が形成されている。押出スプライン軸253は、ロータ252と一体に回転可能に設けられているとともに、ロータ252の回転軸線に進退可能に設けられている。
【0032】
押出スプライン軸253の中間部には、ネジ部253aが設けられている。ネジ部253aには、ねじナット254が螺合されている。ねじナット254には、後端フランジ254aが設けられている。後端フランジ254aの後端面は、圧力センサ26に固定されている。すなわち、ねじナット254は、圧力センサ26を介して第2支持プレート232の背面に固定されている。押出スプライン軸253のネジ部253aがねじナット254に螺合されていることで、ロータ252とともに押出スプライン軸253が回転されることにより、押出スプライン軸253が進退可能とされている。
【0033】
押出スプライン軸253の前端部には、回転軸部253bが設けられている。回転軸部253bは、軸受235cを介して計量スプライン軸243の内側に回転自在に接続されている。軸受235cは、計量スプライン軸243及び押出スプライン軸253の一方の回転を他方に伝えないように機能する。押出スプライン軸253の進退は、軸受235c、計量スプライン軸243及びスクリュ取付部244を介してスクリュ21に伝達される。
【0034】
圧力センサ26は、シリンダ20の先端部に溜められた材料の圧力を検出するためのセンサである。圧力センサ26が取り付けられる位置は任意であるが、本実施の形態の圧力センサ26は、上述のようにねじナット254と第2支持プレート232との間に設けられている。
【0035】
本実施の形態の圧力センサ26は、基部260と、この基部260から離間して配置された先端部261と、これら基部260及び先端部261間を接続する接続部262とを有している。基部260は、第2支持プレート232に固定されている。先端部261は、ねじナット254の後端フランジ254aに固定されている。シリンダ20の先端部に溜められた材料の圧力は、スクリュ21等を介してねじナット254に伝えられるとともに、基部260と先端部261との間に歪を生じさせる。圧力センサ26は、この基部260と先端部261との間に歪に基づきシリンダ20の先端部に溜められた材料の圧力を検出できる。接続部262の横断面積は、基部260及び先端部261の横断面積よりも狭くされている。これにより、基部260と先端部261との間に歪を生じさせやすくされており、圧力の検出精度が向上されている。
【0036】
制御装置3は、押出装置1を制御するための装置である。制御装置3は、例えばプログラムに基づいて演算処理を行うコンピュータ又は専用回路等の装置により構成され得る。制御装置3は任意の位置に配置され得るが、例えば押出機構2の下部に設けられたフレームFrの内部に配置され得る。本実施の形態の制御装置3は、計量モータ24の動作を制御することによりスクリュ21の回転を制御するとともに、押出モータ25の動作を制御することによりスクリュ21の進退を制御することができる。
【0037】
制御装置3によるスクリュ21の動作制御には、計量前サックバックモード、計量モード、計量後サックバックモード、充填モード及び保圧モードが含まれる。
【0038】
計量前サックバックモードは、計量モードの開始前にスクリュ21を回転させることなく予め設定された計量開始位置まで所定の設定速度で後退させるモードである。
【0039】
計量モードは、スクリュ21を回転させることにより、シリンダ20の先端部に向けて材料を送るモードである。シリンダ20の先端部に向けて材料が送られる過程において、加熱装置22の加熱により材料が溶融される。計量モードを行うことにより、所定量の溶融された材料がシリンダ20の先端部に溜められる。
【0040】
計量後サックバックモードは、計量モードの完了後にスクリュ21を回転させることなく所定の設定速度で所定距離だけ後退させるモードである。計量後サックバックモードを行うことにより、シリンダ20の先端部に溜められた溶融材料の圧力が低減される。計量前サックバックモード及び計量後サックバックモードにてスクリュ21を後退せる速度をサックバック速度と呼ぶことがある。
【0041】
充填モードは、スクリュ21を前進させることにより、シリンダ20の先端部の材料をノズル201の開口から押し出すモードである。充填モードでは、速度制御によりスクリュ21を前進させることができる。すなわち、スクリュ21の目標速度が設定されており、スクリュ21の実速度と目標速度との間の偏差をゼロ値にするようにスクリュ21が前進される。偏差が大きいほどスクリュ21の加速度が大きく設定され得る。
【0042】
保圧モードは、スクリュ21を前進させることにより、シリンダ20の先端部にある材料を所定の圧力に保持するモードである。保圧モードを行うことにより、シリンダ20の先端部に残留している材料を通じて、金型のキャビティに充填された材料に圧力を作用させることができる。金型のキャビティで材料の冷却収縮に起因して不足した材料が補充され得る。保圧モードでは、圧力制御によりスクリュ21を前進させることができる。すなわち、シリンダ20の先端部における材料の目標圧力値が設定されており、実測圧力と目標圧力値との間の偏差をゼロ値にするようにスクリュ21の前進が制御される。偏差が大きいほどスクリュ21の加速度が大きく設定され得る。スクリュ21の前進には、スクリュ21の変位を伴わない前進駆動(前進する向きにスクリュ21を付勢する状態)も含まれる。
【0043】
シリンダ20には、不活性ガス供給源40及び還元性ガス供給源41が配管42を通して接続されている。
【0044】
不活性ガス供給源40は、不活性ガスを供給する能力を有するものであり、例えばボンベ又は不活性ガスの発生装置であり得る。不活性ガスとは、例えばヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン及びキセノン等の希ガス類、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラフルオロエチレン及びトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、窒素、並びに二酸化炭素といったガスを指す。なお、これらの不活性ガスは2種以上を混合して使用してもよい。不活性ガス供給源40から配管42を通してシリンダ20内に不活性ガスが供給されることで、シリンダ20内の材料の酸化が抑制される。
【0045】
還元性ガス供給源41は、還元性ガスを供給する能力を有するものであり、例えばボンベ又は還元性ガスの発生装置であり得る。還元性ガスとは、例えば水素、一酸化炭素、又は水素と一酸化炭素とを任意の割合で混合した混合ガス(以下、H2/COガス)等の還元能力を有するガスを指す。押出装置1では、例えば材料の炭化物等の異物がシリンダ20内に堆積することがある。還元性ガス供給源41から配管42を通してシリンダ20内に還元性ガスが供給されることで、シリンダ20内の異物は還元性ガスと反応し、剥離が促進される。その結果、清掃による材料押出の中断時間を短くできる。
【0046】
なお、還元性ガスに一酸化炭素を用いる場合、その一酸化炭素に水蒸気を添加することにより、還元性ガスである水素がシリンダ20内に発生する。このため、水蒸気と一酸化炭素との混合ガス(以下、H2O/COガス)を還元性ガス供給源41から供給してもよい。
【0047】
不活性ガス供給源40及び還元性ガス供給源41からの各ガスの供給は、制御装置3が制御してよいし、作業者等が手動により制御してもよい。
本実施の形態では、1本の配管42が不活性ガス供給源40及び還元性ガス供給源41の両方に接続されている。しかしながら、不活性ガス供給源40及び還元性ガス供給源41のそれぞれに別個の配管42が接続されていてもよい。本実施の形態では、不活性ガス供給源40からの不活性ガス及び還元性ガス供給源41からの還元性ガスは、配管42内で混合気体を形成し得る。すなわち、シリンダ20には、不活性ガス及び還元性ガスの混合気体が供給され得る。
【0048】
不活性ガス供給源40及び還元性ガス供給源41からの各ガスの供給を制御することにより、混合気体の成分割合を制御し得る。例えば、還元性ガス供給源41から還元性ガスとして水素を供給する場合、混合気体中の水素濃度は0.1vol%以上4vol%未満が好ましく、1vol%以上4vol%未満がより好ましく、3vol%以上4vol%未満が最も好ましい。混合気体中の水素濃度が0.1vol%未満の場合には異物が十分にガス化せず、剥離できない懸念があり、また4vol%以上の場合には、それ以上水素濃度を増加しても異物の除去効率に大きな変化が見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
【0049】
還元性ガス供給源41から還元性ガスとして一酸化炭素を供給する場合、混合気体中の一酸化炭素濃度は0.1vol%以上12.5vol%未満が好ましく、5vol%以上12.5vol%未満がより好ましく、10vol%以上12.5vol%未満が最も好ましい。混合気体中の一酸化炭素濃度が0.1vol%未満の場合には異物が十分にガス化せず、剥離できない懸念があり、また12.5vol%以上の場合には、それ以上一酸化炭素濃度を増加しても異物の除去効率に大きな変化が見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
【0050】
還元性ガス供給源41から還元性ガスとしてH2/COガスを供給する場合、混合気体中のH2/COガス濃度は0.1vol%以上4vol%未満が好ましく、1vol%以上4vol%未満がより好ましく、3vol%以上4vol%未満が最も好ましい。混合気体中のH2/COガス濃度が0.1vol%未満の場合には異物が十分にガス化せず、剥離できない懸念があり、また4vol%以上の場合には、それ以上H2/COガスを増加しても異物の除去効率に大きな変化が見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
【0051】
還元性ガス供給源41から還元性ガスとしてH2O/COガスを供給する場合、混合気体中の一酸化炭素濃度は0.1vol%以上4vol%未満が好ましく、1vol%以上4vol%未満がより好ましく、3vol%以上4vol%未満が最も好ましい。混合気体中の一酸化炭素濃度が0.1vol%未満の場合には異物が十分にガス化せず、剥離できない懸念があり、また4vol%以上の場合には、それ以上H2O/COガスを増加しても異物の除去効率に大きな変化が見られず、産業上の意義が希薄になるためである。なお、混合気体中の水蒸気濃度は、混合気体中の一酸化炭素濃度以下であることが好ましい。これは混合気体中の水蒸気濃度が一酸化炭素濃度よりも高くても異物の除去効率に大きな変化が見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
【0052】
配管42は、シリンダ20の供給口200に接続されている。本実施の形態の供給口200は、シリンダ20の内部に還元性ガスを供給するための還元性ガス供給部、シリンダ20の内部に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給部、及びシリンダ20の内部に材料を供給するための材料供給部を兼ねている。しかしながら、これら還元性ガス供給部、不活性ガス供給部及び材料供給部の少なくとも1つが他と別個に設けられていてもよい。
【0053】
シリンダ20とスクリュ21を進退及び/又は回転させる駆動装置(計量モータ24及び押出モータ25)との間には、シリンダ20の内部から駆動装置への還元性ガスの流れを阻害するためのシール部材43が設けられている。本実施の形態では、シール部材43は、貫通孔を有するリング状の部材により構成されている。シール部材43の貫通孔には、スクリュ21の後端部が挿通されている。貫通孔の内径はスクリュ21の後端部の外径と同程度とされている。シール部材43の外径は、シリンダ20の内径よりも大きくされており、シール部材43は、シリンダ20の後端と第1支持プレート231との間に挟み込まれている。シール部材43の材料としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキッド不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂及びシリコーン等の熱硬化性樹脂、軟鋼、純鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタン及び特殊合金等の金属材料、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、タルク及びゼオライト等の粘土鉱物、並びにガラス、セメント、石膏及びグラファイト等の無機材料を好ましく用いることができる。
【0054】
上述のように材料としては、熱可塑性樹脂が用いられる。また、熱可塑性樹脂の種類としては、ポリエステル系高分子材料、ポリアミド系高分子材料、ポリオレフィン系高分子材料、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及びアクリル樹脂が好ましく用いることができる。
【0055】
ポリエステル系高分子材料では、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸を好ましく用いることができる。ポリアミド系高分子材料では、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、及びナイロンMXD6を好ましく用いることができる。ポリオレフィン系高分子材料では、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンを好ましく用いることができる。
【0056】
また、上記樹脂は、単独で使用されてもよいし、複数の混合物として使用されてもよく、共重合体のように異種のモノマーユニットを含んでいてもよい。さらに、可塑剤や酸化防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0057】
加熱装置22の動作モードには、熱可塑性樹脂を溶融するために第1温度までシリンダ20を加熱する第1モードと、シリンダ20の内部に還元性ガスが供給された際に第1温度よりも高い第2温度以上にシリンダ20を加熱する第2モードとが含まれている。加熱装置22の動作モードを第2モードとすることで、還元性ガスと異物とをより活発に反応させることができる。加熱装置22の動作モードの切替は、制御装置3が制御してよいし、作業者等が手動により制御してもよい。
【0058】
第1温度はシリンダ内に充填された熱可塑性樹脂の射出成形温度範囲であり、第2温度の設定の目安としては、第1温度に対して20℃以上高く、なおかつ不活性ガス雰囲気下で熱可塑性樹脂の熱分解開始温度よりも低い温度であることが好ましい。このため、第2温度の温度範囲は200℃以上350℃以下が好ましく、250℃以上320℃以下がより好ましく、280℃以上300℃以下が最も好ましい。第2温度が200℃未満の場合には異物のガス化が不十分となる懸念があり、また350℃より高い場合には熱可塑性樹脂の熱分解に伴う異物生成量増加が懸念されるためである。
【0059】
本実施の形態の押出装置1は、シリンダ20内のガスが主としてノズル201の開口から排気されるように適合されている。すなわち、本実施の形態のノズル201は、シリンダ20内のガスを排気するための排気部44を兼ねている。ノズル201の近傍には、ノズル201から排気されたガスを吸引する吸引機45が配置され得る。吸引機45は、例えばガスを溜めることができる処理容器等に接続され得る。
【0060】
次に、
図2は、
図1の押出装置1において行われ得る押出装置1の洗浄方法を示すフローチャートである。本実施の形態の押出装置1の洗浄方法について説明する。
図2に示す押出装置1の洗浄方法は、材料の押し出しを伴う成形品の製造とは別個(成形品の製造が停止されているとき)に行われ得る。すなわち、洗浄方法が実施されるとき、ノズル201が金型に押し当てられていなくてよい。
【0061】
図2に示すように、押出装置1の洗浄方法は、反応工程(ステップS1)、及び当該反応工程に続く排除工程(ステップS2)よりなる。
【0062】
反応工程(ステップS1)は、シリンダ20内の異物を還元性ガスと反応させる工程である。すなわち、還元性ガス供給源41から配管42及び供給口200を通してシリンダ20内に還元性ガスが供給される。シリンダ20内には、還元性ガス及び不活性ガスの混合気体が供給されてもよい。異物が還元性ガスと反応されることで、シリンダ20内の異物を剥離しやすくできる。
【0063】
反応工程が行われるとき、加熱装置22の動作モードを第2モード(熱可塑性樹脂を溶融するための第1温度よりも高い第2温度以上にシリンダ20を加熱するモード)とし、還元性ガスと異物とをより活発に反応させてよい。加熱装置22とは別の熱源によりシリンダ20に供給される前に予め加熱された還元性ガスをシリンダ20に供給してもよい。
【0064】
反応工程が行われるとき、ノズル201を解放しておき、ノズル201から排気されるガスを吸引機45により吸引することができる。しかしながら、反応工程中にノズル201の少なくとも一部を閉じ、少なくとも一部のガスがシリンダ20内に溜まるようにしてもよい。
【0065】
反応工程は、シリンダ20から材料を排出した後に行われてもよいし、シリンダ20内に材料が残存した状態で行われてもよい。より確実に還元性ガスを異物との反応させるため、シリンダ20から材料を排出した後に反応工程が行われることが好ましい。
【0066】
排除工程(ステップS2)は、シリンダ20内の異物を排除するための工程であり、反応工程の後に行われる。異物を排除する方法は任意である。例えば、シリンダ20内にパージ材(洗浄用樹脂)を供給するとともに、スクリュ21によりノズル201に向けてパージ材を送り、異物をパージ材とともにノズル201から排出してよい。また、シリンダ20及びスクリュ21を取り外すとともに、例えばブラシやショットブラスト等によりシリンダ20及びスクリュ21の異物を排除してもよい。
【0067】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2による押出装置1を示す構成図である。実施の形態1ではシリンダ20内のガスを排気するための排気部44をノズル201が兼ねるように説明したが、本実施の形態2の排気部44は、ノズル201とは別個に設けられた排気管440を有している。
【0068】
本実施の形態の排気管440は、供給口200(還元性ガス供給部、不活性ガス供給部及び材料供給部)よりもシリンダ20の前端側でシリンダ20に接続されている。上述のように、シリンダ20には、材料が粒状の形態をとる第1区間と、材料の一部が溶融される第2区間と、材料のすべてが溶融される第3区間とが設けられている。排気管440(排気部44)は、第1又は第2区間に設けられていることが好ましい。溶融された材料がガスとともに排気管から排出されることを回避するためである。排気管440は、第1区間、より具体的には供給口200から第1ヒータ部分22a1の位置までの区間に設けられている。しかしながら、例えばシリンダ20の内圧、又は溶融された材料の粘度等の稼働条件によっては、排気管440が第3区間に設けられていてもよい。排気管440の先端は開放されていてよい。排気管の先端の近傍に吸引機45が配置されている。排気管440は開閉可能に設けられていてもよい。排気管440は、シリンダ20の径方向に延びる部分とシリンダ20の長手方向に延びる部分とを有するL字状の形態をとり得る。
【0069】
実施の形態2の押出装置1は、スクリュ21によりシリンダ20の前端部に向けて材料を移動させている時にシリンダ20の内部に還元性ガスが供給可能に構成されている。すなわち、材料の押し出しを伴う成形品の製造と同時に、シリンダ20の内部に還元性ガスを供給できる。しかしながら、例えばシリンダ20内に材料が無いとき等の材料の押し出しが行われていないときに、シリンダ20の内部に還元性ガスを供給してもよい。すなわち、実施の形態1と同様に、成形品の製造とは別個の洗浄方法が実施されてもよい。
【0070】
次に、実施の形態2の押出装置1を用いた成形品の製造方法について説明する。実施の形態2の押出装置1を用いた成形品の製造方法は、シリンダ20内の異物を還元性ガスと反応させる反応工程を含む。すなわち、還元性ガス供給源41から配管42及び供給口200を通してシリンダ20内に還元性ガスが供給される。シリンダ20内には、還元性ガス及び不活性ガスの混合気体が供給されてもよい。異物が還元性ガスと反応されることで、シリンダ20内の異物を剥離しやすくできる。
【0071】
実施の形態2の反応工程は、スクリュ21によりシリンダ20の前端部に向けて材料を移動させている時に行われる。より具体的には、反応工程は、シリンダ20の前端部に溶融された所定量の材料を溜める計量工程、及び溶融された材料を開口から押し出して金型内に充填する充填工程の少なくとも1つと同時に行われる。
【0072】
シリンダ20内の過剰なガスは、排気管440から排出される。ガスが材料とともにシリンダ20の前端部に向けて送られることでシリンダ20の全体を通して還元性ガスと異物との反応が行われる。ガスは、ノズル201を通して材料とともに金型内に射出されるとともに、金型の隙間を通して外部へと抜け出ることができる。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0073】
なお、実施の形態1,2では、押出装置1が成形材料(熱可塑性樹脂)を射出する射出成形機であるように説明したが、本発明の押出装置は、例えば熱可塑性樹脂とフィラーとを混練したペレットを作製するための押出混練機、合成繊維の溶融紡糸や樹脂ネット製造に用いられる押出成形機における押出装置、シート状成形物を製造するためのシート成形機における押出装置、熱可塑性樹脂製容器を製造するためのブロー成形機における押出装置、熱硬化性樹脂を射出する射出成形機における押出装置、又は熱硬化性樹脂のトランスファー成形における押出装置であってもよい。同様に、本発明の洗浄方法及び成形品の製造方法は他の装置でも実施できる。
【符号の説明】
【0074】
1 :押出装置
20 :シリンダ
21 :スクリュ
22 :加熱装置
24 :計量モータ(駆動装置)
25 :押出モータ(駆動装置)
40 :不活性ガス供給源
41 :還元性ガス供給源
43 :シール部材
44 :排気部
200 :供給口(還元性ガス供給部、不活性ガス供給部及び材料供給部)
201 :ノズル(排出部)
440 :排気管(排出部)