(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079208
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 1/22 20060101AFI20240604BHJP
F28D 7/10 20060101ALI20240604BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20240604BHJP
F28F 9/013 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
F28F1/22 Z
F28D7/10 Z
F28F1/40 J
F28F9/013 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192013
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴田 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
3L103CC02
3L103CC08
3L103CC27
3L103DD10
3L103DD33
3L103DD38
3L103DD44
(57)【要約】
【課題】熱交換性能を向上させることができる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、第一流体が供給される流路を形成する配管と、流路を閉塞するように該流路の延在方向に間隔をあけて一対が設けられることで、流路の一部に閉空間を区画形成する管板と、両端が開口する管状をなして一対の管板を貫通するように延びるとともに、互いに間隔をあけて並設された複数の伝熱管と、配管の外部から閉空間内に第二流体を供給可能な供給部と、閉空間内の第二流体を配管の外部に排出可能な排出部と、伝熱管の周囲の流路を、該伝熱管の軸方向に延びて、かつ、周方向に分割された複数の小流路に区画する仕切り部材と、小流路に設けられて、伝熱管の軸方向に間隔をあけて配列された複数のリブを有するリブ列と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一流体が供給される流路を形成する配管と、
前記流路を閉塞するように該流路の延在方向に間隔をあけて一対が設けられることで、前記流路の一部に閉空間を区画形成する管板と、
両端が開口する管状をなして前記一対の管板を貫通するように延びるとともに、互いに間隔をあけて並設された複数の伝熱管と、
前記配管の外部から前記閉空間内に第二流体を供給可能な供給部と、
前記閉空間内の前記第二流体を前記配管の外部に排出可能な排出部と、
前記伝熱管の周囲の前記流路を、該伝熱管の軸方向に延びて、かつ、周方向に分割された複数の小流路に区画する仕切り部材と、
前記小流路に設けられて、前記伝熱管の軸方向に間隔をあけて配列された複数のリブを有するリブ列と、
を備える熱交換器。
【請求項2】
前記リブ列は、前記小流路に、前記周方向に間隔をあけて複数列設けられ、
前記周方向に隣り合う2列の前記リブ列の組では、前記リブが前記軸方向に互い違いとなるように前記軸方向にジグザグ状に配列されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記リブは、前記伝熱管の外周面から延びる円柱状に形成されるとともに、延在方向両端部から延在方向中間部に向かうにしたがって湾曲しながら漸次先細るように形成されている、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記仕切り部材は、隣り合う前記伝熱管同士の間、及び前記伝熱管と前記配管との間に設けられている、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記伝熱管は、前記軸方向から見て多角形状に形成され、
前記仕切り部材は、前記軸方向から見て前記伝熱管の角部に設けられている、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関や外燃機関を含む熱機関では、燃料を燃焼させることで熱エネルギーを発生させ、この熱エネルギーを例えば出力軸の回転エネルギーとして取り出す。この時、熱機関では高温の排ガスが発生する。排ガスの熱エネルギーを有効利用するための措置として、熱交換器を排ガス流路中に設ける構成が考えられる。
【0003】
従来、熱交換器は、複数の伝熱管と、各伝熱管に設けられたフィンとを有する構成が一般的であった。この種の熱交換器では、伝熱管の内部に熱媒体を流通させ、その外部にさらに他の媒体を流通させる。これにより、フィンを介して2つの媒体同士の間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷媒が油、燃料、フロリナート等の有機液体の場合は熱伝達効率が低く、このような熱伝達効率の低い冷媒が用いられる場合でも、十分に熱交換が行われるようにするため熱交換性能の向上が求められている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、熱交換性能を向上させることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る熱交換器は、第一流体が供給される流路を形成する配管と、前記流路を閉塞するように該流路の延在方向に間隔をあけて一対が設けられることで、前記流路の一部に閉空間を区画形成する管板と、両端が開口する管状をなして前記一対の管板を貫通するように延びるとともに、互いに間隔をあけて並設された複数の伝熱管と、前記配管の外部から前記閉空間内に第二流体を供給可能な供給部と、前記閉空間内の前記第二流体を前記配管の外部に排出可能な排出部と、前記伝熱管の周囲の前記流路を、該伝熱管の軸方向に延びて、かつ、周方向に分割された複数の小流路に区画する仕切り部材と、前記小流路に設けられて、前記伝熱管の軸方向に間隔をあけて配列された複数のリブを有するリブ列と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の熱交換器によれば、熱交換性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る熱交換器の構成を示す図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る小流路の平面図である。
【
図4】
図1のIII-III線における断面図である。
【
図5】本開示の第一実施形態の変形例に係る小流路の平面図である。
【
図6】本開示の第二実施形態に係る小流路の平面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線における断面図である。
【
図8】本開示の実施形態の変形例に係る供給部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係る熱交換器1について、
図1から
図4を参照して説明する。
熱交換器1は、例えば、エンジン等の熱機関から排出される高温の排ガス等の流体(以下、第一流体F1と称する。)と水(以下、第二流体F2と称する。)とを熱交換させて、第一流体F1を冷却するために用いられる。
【0011】
図1、
図2に示すように、熱交換器1は、配管10と、ベーン2と、管板3と、伝熱管4と、供給部20と、排出部30と、仕切り部材40と、リブ列50と、を備える。
【0012】
(配管)
配管10は、第一流体F1が供給される流路Pを形成する。配管10は、直管状の配管本体11と、この配管本体11の両端部にそれぞれ設けられたエルボー部12と、を有する。
配管本体11は、内部に、後述する伝熱管4を収容している。配管本体11は、伝熱管4の束の外形に沿うように、多角形状に形成されている。
【0013】
エルボー部12は曲がり部を形成している。エルボー部12の内部には第一流体F1の流れ方向を曲がり部に合わせて案内するためのベーン2が複数設けられている。また、各エルボー部12の配管本体11側の端部には、流路Pを閉塞する管板3が設けられている。第一流体F1の流れ方向の下流側の管板3には、供給部20が設けられ、第一流体F1の流れ方向の上流側の管板3には、排出部30が設けられている。
また、各エルボー部12のうち管板3よりも配管本体11側の端部には、エルボー部12の周方向にわたって、エルボー部12を貫通する複数の連通孔13が設けられている。
【0014】
(ベーン)
各ベーン2は、エルボー部12のカーブに沿って湾曲している。このようなベーン2がエルボー部12の延在方向に交差する方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0015】
(管板)
管板3は、配管本体11の延在方向の両端部に1つずつ設けられている。管板3は、流路Pを閉塞するように流路Pの延在方向に間隔をあけて一対が設けられることで、配管10内の流路Pの一部に閉空間Vを区画形成する。一対の管板3は、配管本体11内に配置された複数の伝熱管4によって貫通されている。
【0016】
(伝熱管)
伝熱管4は、両端が開口する管状をなして一対の管板3を貫通するように延びるとともに、互いに間隔をあけて並設されて複数設けられている。伝熱管4は、エルボー部12と連通しているため、伝熱管4の内部は、第一流体F1が流れる第一流路P1となっている。複数の伝熱管4は、互いに平行となるように延びている。
以下では、伝熱管4の軸方向Daを単に軸方向Daと称し、伝熱管4の周方向を単に周方向と称する場合がある。
【0017】
また、伝熱管4は、軸方向Daから見て多角形状に形成されている。本実施形態では、伝熱管4は、軸方向Daから見て六角形状に形成されている。複数の伝熱管4は、互いの外面が平行になるように隣接し、全体としてハニカム状となるように配列されている。また、複数の伝熱管4のうち外周側の伝熱管4と配管本体11との間には、伝熱管4同士と同程度の間隔が設けられている。伝熱管4同士の間に形成される空間、及び伝熱管4と配管10の配管本体11との間に形成される空間は、第二流体F2が流通する第二流路P2とされている。この第二流路P2は、第一流路P1と平行に延びている。
この第二流路P2には、後述する仕切り部材40が設けられている。
【0018】
(供給部)
供給部20は、第一流体F1の流れ方向の下流側の管板3に設けられている。供給部20は、連通孔13を介して配管10内の閉空間Vと連通している。供給部20は、配管10の外部から閉空間V内に第二流体F2を供給可能とする、いわゆる入口側ヘッダとして設けられている。
【0019】
図3に示すように、供給部20は、エルボー部12の端部を外側から覆う筒状の供給部本体21と、第一流体F1の流れ方向の上流側の供給部本体21の開口を閉塞する供給側底板22と、を有する。第一流体F1の流れ方向の下流側の供給部本体21の開口は、管板3によって閉塞されている。供給部本体21の周方向の一部には、外部から第二流体F2を供給するための供給開口部23が形成されている。供給側底板22は、エルボー部12と配管本体11との境界に設けられ、配管本体11から外周側に張り出すように形成されている。供給側底板22は、伝熱管4によって貫通されている。供給側底板22は、エルボー部12、供給部本体21及び管板3とともに、供給部20内に第二流体F2が供給される空間を形成する。この空間は、連通孔13を介して閉空間V内の第二流路P2と連通している。
【0020】
(排出部)
図2に戻り、排出部30は、第一流体F1の流れ方向の上流側の管板3に設けられている。排出部30は、連通孔13を介して配管10内の閉空間Vと連通している。排出部30は、閉空間V内の第二流体F2を配管10の外部に排出可能とする、いわゆる出口側ヘッダとして設けられている。
【0021】
排出部30と供給部20とは、流体の流れる方向を別として互いに同様の構成を有している。すなわち、排出部30は、供給部本体21に相当する排出部本体31と、供給側底板22に相当する排出側底板32と、を有する。
【0022】
排出部本体31は、エルボー部12の端部を外側から覆う筒状に形成され、排出部本体31の流れ方向の上流側の開口は、管板3によって閉塞されている。排出部本体31の周方向の一部には、外部に第二流体F2を排出するための排出開口部33が形成されている。排出側底板32は、第一流体F1の流れ方向の下流側の排出部本体31の開口を閉塞している。排出側底板32は、エルボー部12と配管本体11との境界に設けられ、配管本体11から外周側に張り出すように形成されている。排出側底板32は、伝熱管4によって貫通されている。排出側底板32は、エルボー部12、排出部本体31及び管板3とともに、排出部30内に第二流体F2が供給される空間を形成する。この空間は、連通孔13を介して第二流路P2と連通している。
【0023】
本実施形態では、供給部20が第一流体F1の流れ方向の下流側に配置され、排出部30が第一流体F1の流れ方向の上流側に配置されているため、第二流体F2は、軸方向Daで第一流体F1とは反対向きに流れる。
【0024】
(仕切り部材)
仕切り部材40は、閉空間V内に設けられている。仕切り部材40は、伝熱管4の周囲の流路(第二流路P2)を、伝熱管4の軸方向Daに延びて、かつ、周方向に分割された複数の小流路Psに区画する。仕切り部材40は、隣り合う伝熱管4同士の間、及び伝熱管4と配管10の配管本体11との間に設けられている。より詳細には、仕切り部材40は、軸方向Daから見て伝熱管4の角部に設けられている。
【0025】
(小流路)
小流路Ps内には、伝熱管4の軸方向Daに間隔をあけて配列された複数のリブ51を有するリブ列50が設けられている。
以下では、1つの小流路Psについて、軸方向Daに直交する方向かつ周方向に沿う方向を(小流路Psの)幅方向Wと称し、軸方向Da及び幅方向Wと直交する方向を、(小流路Psの)厚さ方向と称する場合がある。
【0026】
(リブ列)
リブ列50は、仕切り部材40によって区画される全ての小流路Psに設けられている。リブ列50は、小流路Psに、周方向に間隔をあけて複数列設けられている。本実施形態では、リブ列50は、1つの小流路Ps内に2列設けられている。
また、2つのリブ列50は、小流路Psの幅方向Wの内面から等距離に配置されている。また、各リブ列50において、リブ51は軸方向Daに等間隔に配置されている。そして、これら周方向に隣り合う2列のリブ列50の組では、リブ51が軸方向Daに互い違いとなるように軸方向Daにジグザグ状に配列されている。
【0027】
(リブ)
リブ51は、全て同形状に形成され、立方体状をなしている。リブ51は、伝熱管4の外周面から小流路Psの厚さ方向に延びている。リブ51は、第二流路P2の厚さ方向に対向する一対の内面同士を接続している。本実施形態では、リブ51の軸方向DaのピッチL1がリブ51の幅方向WのピッチL2よりも長くなるように、各リブ51が配置されている。また、リブ51同士の間隔及びリブ51の外面と第二流路P2の内面との間隔は、詰まり防止の観点から、例えば1mm以上であることが望ましい。
また、リブ51によって閉塞される小流路Psの領域は、幅方向Wで1/3未満であることが望ましい。
上述した各リブ51及び仕切り部材40は、例えばAM(Additive Manufacturing)に代表される3Dプリンタ技術によって伝熱管4と一体形成されることが望ましい。また、熱交換器1を構成するリブ51や仕切り部材40、伝熱管4以外の上記各部品も同様に製造されることが望ましい。
【0028】
(作用効果)
本実施形態の熱交換器1によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、熱交換器1は、第一流体F1が供給される流路Pを形成する配管10と、流路Pを閉塞するように流路Pの延在方向に間隔をあけて一対が設けられることで、流路Pの一部に閉空間Vを区画形成する管板3と、両端が開口する管状をなして一対の管板3を貫通するように延びるとともに、互いに間隔をあけて並設された複数の伝熱管4と、配管10の外部から閉空間V内に第二流体F2を供給可能な供給部20と、閉空間V内の第二流体F2を配管10の外部に排出可能な排出部30と、伝熱管4の周囲の流路(第二流路P2)を、該伝熱管4の軸方向Daに延びて、かつ、周方向に分割された複数の小流路Psに区画する仕切り部材40と、小流路Psに設けられて、伝熱管4の軸方向Daに間隔をあけて配列された複数のリブ51を有するリブ列50と、を備える。
【0029】
これにより、第二流体F2は、小流路Ps内を軸方向Daに直線状に流れることができる。このため、第二流体F2が周方向に複雑に混合されることが抑制され、伝熱管4の周囲での熱の偏りが抑制される。さらに、第二流体F2が小流路Ps内のリブ51に衝突することによって、小流路Ps内の流れが適度に乱され、第二流体F2が適度に混合される。このため、境界層の発達が抑制される。このため、小流路Ps内での熱伝達率が向上する。よって、第一流体F1と第二流体F2とで熱交換が効率良く行われ、熱交換性能が向上される。
【0030】
特に、複数の伝熱管4が水平方向に配置される場合には、第二流体F2が自然対流によって移動し上下方向に熱の偏りが発生することが抑制され、より好適に熱交換性能の向上効果が発揮される。
また、製作誤差により第二流体F2の流れが偏り易い場合でも、第二流体F2の軸方向Daに交差する方向の移動が抑制されるので、熱の偏りが抑制され、熱交換性能の向上効果が発揮される。
【0031】
本実施形態では、リブ列50は、小流路Psに、周方向に間隔をあけて複数列設けられ、周方向に隣り合う2列のリブ列50の組では、リブ51が軸方向Daに互い違いとなるように軸方向Daにジグザグ状に配列されている。
【0032】
これにより、第二流体F2は、リブ51の間を蛇行しながら流れる。このため、境界層の発達がより一層良好に抑制され、小流路Ps内での熱伝達率がより一層向上する。よって、第一流体F1と第二流体F2とで熱交換がより一層効率良く行われ、熱交換性能がより一層向上される。
【0033】
本実施形態では、仕切り部材40は、隣り合う伝熱管4同士の間、及び伝熱管4と配管10との間に設けられている。
【0034】
これにより、伝熱管4同士の間、及び伝熱管4と配管10との間に小流路Psが偏りなく形成される。このため、第二流体F2が周方向に複雑に混合されることがより一層抑制され、伝熱管4の周囲での熱の偏りがより一層抑制される。よって、第一流体F1と第二流体F2とで熱交換がより一層効率良く行われ、熱交換性能がより一層向上される。
【0035】
本実施形態では、伝熱管4は、軸方向Daから見て多角形状に形成され、仕切り部材40は、軸方向Daから見て伝熱管4の角部に設けられている。
【0036】
これにより、軸方向Daに延びる一様な平板形状の小流路Psが形成され、小流路Ps内の第二流体F2の流れが安定化する。このため、小流路Ps内での熱の偏りがより一層抑制される。よって、第一流体F1と第二流体F2とで熱交換がより一層効率良く行われ、熱交換性能がより一層向上される。
【0037】
本実施形態では、リブ51は、小流路Psの厚さ方向に対向する一対の内面同士を接続している。
【0038】
これにより、熱交換器1は、第二流路P2の外殻が流圧によって変形することを抑制することができる。よって、熱交換器1の第二流路P2部分の強度が向上される。
【0039】
(第一実施形態の変形例)
続いて、第一実施形態の変形例について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、リブ列50は、小流路Psに3列以上設けられてもよい。
図5には、リブ列50が3列設けられている場合が図示されている。この場合、隔列で、リブ51が幅方向Wに隣り合うように、各リブ51が配置されている。
【0040】
<第二実施形態>
以下、本開示の第二実施形態に係る熱交換器201について、
図6、
図7を参照して説明する。第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の名称、及び同様の符合を付す等して説明を適宜省略する。
図6、
図7に示すように、リブ251は、小流路Psの厚さ方向から見て円形をなすとともに、小流路Psの厚さ方向に延びる鼓状に形成されている。換言すると、リブ251は、伝熱管4の外周面から延びる円柱状に形成されるとともに、延在方向両端部(厚さ方向両端部)から延在方向中間部(厚さ方向中間部)に向かうにしたがって湾曲しながら漸次先細るように形成されている。このため、リブ251の両端部は、小流路Psの厚さ方向に対向する一対の内面のそれぞれに滑らかに接続されている。
【0041】
また、熱交換器201は、各小流路Psの上流側(供給部20側)の端部に、オリフィス板60を備える。すなわち、オリフィス板60は、リブ列250よりも上流側に設けられている。オリフィス板60は、各小流路Psに複数設けられている。なお、オリフィス板60は、各小流路Psに1つのみ設けられてもよい。オリフィス板60には、軸方向Daに貫通するオリフィス孔61が設けられている。供給部20から供給される第二流体F2は、まずオリフィス孔61を通過してから、各リブ51の間を流通する。軸方向Daに隣り合うオリフィス板60同士では、オリフィス孔61が軸方向Daに重ならないように設けられている。
【0042】
(作用効果)
本実施形態の熱交換器201によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、リブ251は、伝熱管4の外周面から延びる円柱状に形成されるとともに、延在方向両端部から延在方向中間部に向かうにしたがって湾曲しながら漸次先細るように形成されていてもよい。
【0043】
これにより、リブ251が多角形状に形成される場合と比較してリブ251の表面及びリブ251と小流路Psとの接続箇所に生じる応力集中を低減することができる。よって、小流路Ps周辺の強度が向上される。さらに、第二流体F2は、リブ251の表面及びリブ251と小流路Psとの接続箇所をスムーズに流れることができる。このため、第二流体F2の圧損が低減される。このように圧損を低減しつつ、リブ251による境界層発達の抑制による熱伝達率向上も図ることができる。よって、低圧損、高熱交換性能、高強度を同時に満たすことができる。
【0044】
本実施形態では、熱交換器201は、各小流路Psの上流側の端部に、オリフィス板60を備える。オリフィス板60には、軸方向Daに貫通するオリフィス孔61が設けられている。
【0045】
オリフィス板60の枚数やオリフィス孔61の密度等を調整することにより、第二流体F2が受ける抵抗を調整することができる。例えば、外周側から内周側に向かうにしたがって、オリフィス板60の枚数及びオリフィス孔61の密度を低減させることにより、各小流路Ps内に到達するまでに第二流体F2が受ける抵抗を調整することができる。したがって、各小流路Ps内の流速を均一化できるので、熱の偏りの発生が抑制され、熱交換性能がより一層向上される。
【0046】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0047】
なお、上記実施形態では、配管10が配管本体11の両端の出入り口にエルボー部12を有する場合について説明したが、これに限られない。配管本体11の両端に設けられる配管は、エルボー部12に限られず、適宜変更可能である。例えば、エルボー部12の部分は、ストレート管であってもよい。
また、配管本体11の両端にエルボー部12に相当する配管が設けられていなくてもよい。この場合、例えば
図8(第1実施形態の
図4に相当する図面)に示すように、供給部20の供給部本体21の内周面が、複数の伝熱管4の束の外形に沿って覆うように成形されている。図示は省略するが、排出部30の排出部本体31についても、供給部本体21と同様に成形されている。すなわち、排出部本体31の内周面は、複数の伝熱管4の束の外形に沿って覆うように成形されている。
【0048】
上記実施形態では、第一流体F1の例としてエンジン等の熱機関から排出される高温の排ガスを挙げたが、これに限るものではない。第一流体F1は、排ガス以外の流体でもよく、例えば、水や油、燃料、フロリナート等の有機液体であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、第二流体F2が水であるとしたが、これに限るものではない。第二流体F2は、例えば油や燃料、フロリナート等の有機液体であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、熱交換器1、201は、第一流体F1を冷却するために用いられるとしたが、これに限るものではない。熱交換器1、201は、第一流体F1を加熱するために用いられてもよい。
【0051】
上記実施形態では、伝熱管4が軸方向Daから見て六角形状に形成されるとしたが、これに限るものではない。伝熱管4は、六角形状以外の多角形状に形成されていてもよい。
【0052】
上記実施形態では、第二流体F2は、軸方向Daで第一流体F1とは反対向きに流れるとしたが、これに限られない。第二流体F2が軸方向Daで第一流体F1と同じ向きに流れるように、供給部20及び排出部30を配置してもよい。
【0053】
上記実施形態では、リブ列50、250は、仕切り部材40によって区画される全ての小流路Psに設けられているとしたが、これに限るものではない。リブ列50、250は、一部の小流路Psにのみ設けられてもよい。
【0054】
上記実施形態では、リブ列50、250は、小流路Psに、周方向に間隔をあけて複数列設けられているとしたが、これに限るものではない。リブ列50、250は、小流路Psに一列のみ設けられてもよい。
【0055】
上記実施形態では、リブ51、251は、全て同形状に形成されているとしたが、これに限るものではない。リブ51、251は、それぞれ異なる形状に形成されてもよく、リブ51、251の形状は適宜変更可能である。
【0056】
上記実施形態では、オリフィス板60は、各小流路Psに複数設けられているとしたが、これに限るものではない。オリフィス板60は、各小流路Psに1つのみ設けられてもよい。
【0057】
<付記>
各実施形態に記載の熱交換器1、201は、例えば以下のように把握される。
【0058】
(1)第1の態様に係る熱交換器1、201は、第一流体F1が供給される流路Pを形成する配管10と、前記流路Pを閉塞するように該流路Pの延在方向に間隔をあけて一対が設けられることで、前記流路Pの一部に閉空間Vを区画形成する管板3と、両端が開口する管状をなして前記一対の管板3を貫通するように延びるとともに、互いに間隔をあけて並設された複数の伝熱管4と、前記配管10の外部から前記閉空間V内に第二流体F2を供給可能な供給部20と、前記閉空間V内の前記第二流体F2を前記配管10の外部に排出可能な排出部30と、前記伝熱管4の周囲の前記流路を、該伝熱管4の軸方向Daに延びて、かつ、周方向に分割された複数の小流路Psに区画する仕切り部材40と、前記小流路Psに設けられて、前記伝熱管4の軸方向Daに間隔をあけて配列された複数のリブ51、251を有するリブ列50、250と、を備える。
【0059】
これにより、第二流体F2は、小流路Ps内を軸方向Daに直線状に流れることができる。このため、第二流体F2が周方向に複雑に混合されることが抑制され、伝熱管4の周囲での熱の偏りが抑制される。さらに、第二流体F2が小流路Ps内のリブ51、251に衝突することによって、小流路Ps内の流れが適度に乱され、第二流体F2が適度に混合される。このため、境界層の発達が抑制される。このため、小流路Ps内での熱伝達率が向上する。
【0060】
(2)第2の態様の熱交換器1、201は、(1)の熱交換器1、201であって、前記リブ列50は、前記小流路Psに、前記周方向に間隔をあけて複数列設けられ、前記周方向に隣り合う2列の前記リブ列50、250の組では、前記リブ51、251が前記軸方向Daに互い違いとなるように前記軸方向Daにジグザグ状に配列されていてもよい。
【0061】
これにより、第二流体F2は、リブ51、251の間を蛇行しながら流れる。このため、境界層の発達がより一層良好に抑制され、小流路Ps内での熱伝達率がより一層向上する。
【0062】
(3)第3の態様の熱交換器201は、(1)又は(2)の熱交換器201であって、前記リブ51は、前記伝熱管4の外周面から延びる円柱状に形成されるとともに、延在方向両端部から延在方向中間部に向かうにしたがって湾曲しながら漸次先細るように形成されていてもよい。
【0063】
これにより、リブ251が多角形状に形成される場合と比較してリブ251の表面及びリブ251と小流路Psとの接続箇所に生じる応力集中を低減することができる。さらに、第二流体F2は、リブ251の表面及びリブ251と小流路Psとの接続箇所をスムーズに流れることができる。このため、第二流体F2の圧損が低減される。
【0064】
(4)第4の態様の熱交換器1、201は、(1)から(3)のいずれかの熱交換器1、201であって、前記仕切り部材40は、隣り合う前記伝熱管4同士の間、及び前記伝熱管4と前記配管10との間に設けられていてもよい。
【0065】
これにより、伝熱管4同士の間、及び伝熱管4と配管10との間に小流路Psが偏りなく形成される。このため、第二流体F2が周方向に複雑に混合されることがより一層抑制され、伝熱管4の周囲での熱の偏りがより一層抑制される。
【0066】
(5)第5の態様の熱交換器1、201は、(1)から(4)のいずれかの熱交換器1、201であって、前記伝熱管4は、前記軸方向Daから見て多角形状に形成され、前記仕切り部材40は、前記軸方向Daから見て前記伝熱管4の角部に設けられていてもよい。
【0067】
これにより、軸方向Daに延びる一様な平板形状の小流路Psが形成され、小流路Ps内の第二流体F2の流れが安定化する。このため、小流路Ps内での熱の偏りがより一層抑制される。
【符号の説明】
【0068】
1…熱交換器 2…ベーン 3…管板 4…伝熱管 10…配管 11…配管本体 12…エルボー部 13…連通孔 20…供給部 21…供給部本体 22…供給側底板 23…供給開口部 30…排出部 31…排出部本体 32…排出側底板 33…排出開口部 40…仕切り部材 50…リブ列 51…リブ 60…オリフィス板 61…オリフィス孔 201…熱交換器 250…リブ列 251…リブ Da…軸方向 F1…第一流体 F2…第二流体 L1…ピッチ L2…ピッチ P…流路 P1…第一流路 P2…第二流路 Ps…小流路 V…閉空間 W…幅方向