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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079212
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ロールユニット交換式ローラレベラ
(51)【国際特許分類】
   B21D 1/02 20060101AFI20240604BHJP
   F16D 1/05 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B21D1/02 K
F16D1/05 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192026
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】591202100
【氏名又は名称】ソノルカエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】青島 喜代次
(72)【発明者】
【氏名】永野 和弘
【テーマコード(参考)】
4E003
【Fターム(参考)】
4E003AA02
4E003BA33
(57)【要約】
【課題】ロールユニットを交換する際の軸回りの位置合わせが不要なロールユニット交換式ローラレベラを提供する。
【解決手段】コイルから繰り出される帯状体に曲げ戻しの力を与える複数のロール3,4をユニット化したロールユニット5と、複数のロール3,4を回転駆動するための回転駆動装置6が付設されたレベラ本体7とを備え、レベラ本体7に対しロールユニット5が押し込まれることで取り付けられるように構成されるロールユニット交換式ローラレベラ1であって、複数のロール3,4のそれぞれに動力伝達可能に連結される複数の従動軸32と、複数の従動軸32に対応するように配され、回転駆動装置6に動力伝達可能に連結される複数の駆動軸34と、従動軸32と駆動軸34との間を摩擦係合によって動力伝達可能に接続する摩擦係合手段33とを備えるものとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルから繰り出される帯状体に曲げ戻しの力を与える複数のロールをユニット化したロールユニットと、前記複数のロールを回転駆動するための回転駆動装置が付設されたレベラ本体とを備え、前記レベラ本体に対し前記ロールユニットが押し込まれることで取り付けられるように構成されるロールユニット交換式ローラレベラであって、
前記複数のロールのそれぞれに動力伝達可能に連結される複数の従動軸と、
前記従動軸に対応するように配され、前記回転駆動装置に動力伝達可能に連結される複数の駆動軸と、
前記従動軸と前記駆動軸との間を摩擦係合によって動力伝達可能に接続する摩擦係合手段と、
を備えるロールユニット交換式ローラレベラ。
【請求項2】
前記摩擦係合手段は、
前記従動軸と前記駆動軸との間において前記従動軸に一体的に設けられる従動側係合部と、
前記従動側係合部と係合可能であるとともに、前記駆動軸の軸方向に移動可能、且つ動力伝達可能に前記駆動軸に装着される駆動側係合部と、
前記従動側係合部に向かって前記駆動側係合部を付勢する弾性体と、
を備え、
前記レベラ本体に対し前記ロールユニットが取り付けられる際に、前記弾性体の弾性力に抗して前記駆動側係合部が前記従動側係合部によって前記駆動軸の軸方向に押し込まれることにより、前記従動側係合部と前記駆動側係合部とが互いに摩擦係合するように構成される請求項1に記載のロールユニット交換式ローラレベラ。
【請求項3】
前記弾性体は、前記駆動軸の軸方向に複数の皿ばねを互い違いに重ね合わせて構成される請求項2に記載のロールユニット交換式ローラレベラ。
【請求項4】
前記駆動側係合部は、前記駆動軸の軸線と一致する中心軸線を有する、前記従動側係合部に向かって先鋭な円錐面の少なくとも一部を外面とするテーパ凸部を有し、
前記従動側係合部は、前記テーパ凸部と嵌合可能なテーパ凹部を有する請求項2又は3に記載のロールユニット交換式ローラレベラ。
【請求項5】
前記テーパ凸部の外面は、前記円錐面の先端側が截断された截頭円錐面における前記中心軸線の回りの複数の部分円錐面を含み、これら複数の部分円錐面が前記テーパ凹部に当接される請求項4に記載のロールユニット交換式ローラレベラ。
【請求項6】
前記テーパ凸部には、前記円錐面の母線に沿って空気逃がし用の溝が形成される請求項4に記載のロールユニット交換式ローラレベラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロールをユニット化したロールユニットと、回転駆動装置が付設されたレベラ本体とを備え、レベラ本体に対しロールユニットが押し込まれることで取り付けられるように構成されるロールユニット交換式ローラレベラに関する。
【背景技術】
【0002】
ローラレベラは、アンコイラに装着されたコイルから繰り出される鋼帯等の帯状体を上下から挟むように所定ピッチで千鳥状に配列された上ロール及び下ロールを備え、これら上下の複数のロールで帯状体に均一な曲げ戻し歪みを繰り返し与えて帯状体の巻き癖や内部歪みを除去するように構成されている。
【0003】
この種のローラレベラにおいて、帯状体に曲げ戻し歪みを繰り返し与える複数のロールをユニット化したロールユニットを、回転駆動装置が付設されたレベラ本体に対し着脱可能とし、コイルの種類に応じてロールユニットを交換するようにしたロールユニット交換式ローラレベラが知られている(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載のロールユニット交換式ローラレベラにおいて、複数のロールと回転駆動装置との間の動力伝達経路には、各ロールに対応するようにロールユニット側動力伝達軸(従動軸)、及びレベラ本体側動力伝達軸(駆動軸)がそれぞれ配設されている。また、従動軸と駆動軸との間には、従動軸に一体的に形成されるカップリングが介設されている。
【0005】
上記ロールユニット交換式ローラレベラにおいては、カップリングに設けられたキー溝と、駆動軸に設けられたキーとを係合させて従動軸と駆動軸とを連結することにより、回転駆動装置からの回転動力を駆動軸、カップリング及び従動軸を介して複数のロールのそれぞれに伝達するように構成されている。
【0006】
上記ロールユニット交換式ローラレベラでは、キーとキー溝とが係合可能な状態を保つように、駆動軸の軸線回りの所定位置にキーを位置決めするとともに、カップリングの軸線回りの所定位置にキー溝を位置決めする位置決め手段が設けられている。この位置決め手段は、駆動軸に一体的に設けられるフランジの外周部に形成された凹部に対しその凹部に係合可能な凸部を係合させるとともに、カップリングの周面部に形成された凹部に対しその凹部に係合可能な凸部を係合させることによって位置決めが行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-103244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記ロールユニット交換式ローラレベラにおいて、ロールユニットの交換に際しては、ロールユニット取外作業とロールユニット取付作業とが実施される。
【0009】
ロールユニット取外作業では、回転駆動装置による回転制御によって各凹部と各凸部とが向かい合わせに位置するように、キーを駆動軸の軸線回りの所定位置に位置させて、各凹部に各凸部を係合させる。これにより、キーとキー溝とが係合可能な状態を保つように、駆動軸の軸線回りの所定位置にキーが位置決めされるとともに、カップリングの軸線回りの所定位置にキー溝が位置決めされる。その後、レベラ本体からロールユニットを引き出し、キーとキー溝との係合を解除して、例えばロールユニット保管場所へと運搬する。
【0010】
ロールユニット取付作業では、これから加工を行うコイルの種類に応じたロールユニットをレベラ本体に押し込む。このとき、キーは、駆動軸の軸線回りの所定位置に位置決めされており、キー溝は、カップリングの軸線回りの所定位置に位置決めされているので、キーとキー溝とをスムーズに係合させることができる。その後、各凹部と各凸部との係合を解除すれば、回転駆動装置によって複数のロールを駆動することができる状態となる。
【0011】
上記ロールユニット交換式ローラレベラによれば、ロールユニットを交換する際に、従動軸及び駆動軸のそれぞれの軸回りの位置合わせが機械的に行われるので、当該位置合わせ操作を手動で行うものと比べてロールユニットを迅速に交換することができる。しかしながら、機械的であっても位置合わせ操作を行う必要があるという点で改善の余地があった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ロールユニットを交換する際の軸回りの位置合わせが不要なロールユニット交換式ローラレベラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係るロールユニット交換式ローラレベラの特徴構成は、
コイルから繰り出される帯状体に曲げ戻しの力を与える複数のロールをユニット化したロールユニットと、前記複数のロールを回転駆動するための回転駆動装置が付設されたレベラ本体とを備え、前記レベラ本体に対し前記ロールユニットが押し込まれることで取り付けられるように構成されるロールユニット交換式ローラレベラであって、
前記複数のロールのそれぞれに動力伝達可能に連結される複数の従動軸と、
前記従動軸に対応するように配され、前記回転駆動装置に動力伝達可能に連結される複数の駆動軸と、
前記従動軸と前記駆動軸との間を摩擦係合によって動力伝達可能に接続する摩擦係合手段と、
を備えることにある。
【0014】
本構成のロールユニット交換式ローラレベラによれば、複数のロールのそれぞれに動力伝達可能に連結される複数の従動軸と、回転駆動装置に動力伝達可能に連結される複数の駆動軸とが、摩擦係合手段によって接続される。このように、摩擦係合手段による従動軸と駆動軸との接続構造では、機械的に噛み合わせて動力を伝達する構造ではなく、摩擦係合によって動力を伝達する構造であるため、従動軸と駆動軸との位相差(回転方向の相対位置)に関わりなく従動軸と駆動軸とを動力伝達可能に接続することができ、ロールユニットを交換する際の軸回りの位置合わせが不要となる。
【0015】
本発明に係るロールユニット交換式ローラレベラにおいて、
前記摩擦係合手段は、
前記従動軸と前記駆動軸との間において前記従動軸に一体的に設けられる従動側係合部と、
前記従動側係合部と係合可能であるとともに、前記駆動軸の軸方向に移動可能、且つ動力伝達可能に前記駆動軸に装着される駆動側係合部と、
前記従動側係合部に向かって前記駆動側係合部を付勢する弾性体と、
を備え、
前記レベラ本体に対し前記ロールユニットが取り付けられる際に、前記弾性体の弾性力に抗して前記駆動側係合部が前記従動側係合部によって前記駆動軸の軸方向に押し込まれることにより、前記従動側係合部と前記駆動側係合部とが互いに摩擦係合するように構成されることが好ましい。
【0016】
本構成のロールユニット交換式ローラレベラによれば、従動側係合部と駆動側係合部とが弾性体の弾性力によって互いに摩擦係合するので、摩擦係合手段によって従動軸と駆動軸とが動力伝達可能に接続された状態を安定的に保つことができる。
【0017】
本発明に係るロールユニット交換式ローラレベラにおいて、
前記弾性体は、前記駆動軸の軸方向に複数の皿ばねを互い違いに重ね合わせて構成されることが好ましい。
【0018】
本構成のロールユニット交換式ローラレベラによれば、弾性体は、駆動軸の軸方向に複数の皿ばねが互い違いに重ね合わされて構成される。これにより、単位体積当たりの蓄積エネルギーが他の種類のばねよりも大きい皿ばねの特性にて小さな取付スペースで大きな荷重を受けることができ、しかも複数の皿ばねを互い違いに重ね合わせる組み合わせ方によって、複数の皿ばね全体のたわみを大きくすることができることから、コンパクトな構成で大きな弾性力を容易に確保することができるとともに、必要とされる弾性変形量を容易に確保することができる。
【0019】
本発明に係るロールユニット交換式ローラレベラにおいて、
前記駆動側係合部は、前記駆動軸の軸線と一致する中心軸線を有する、前記従動側係合部に向かって先鋭な円錐面の少なくとも一部を外面とするテーパ凸部を有し、
前記従動側係合部は、前記テーパ凸部と嵌合可能なテーパ凹部を有することが好ましい。
【0020】
本構成のロールユニット交換式ローラレベラによれば、駆動側係合部における先鋭な円錐面の少なくとも一部を外面とするテーパ凸部と、従動側係合部におけるテーパ凹部とが嵌合されるテーパ嵌め合い構造が採用されるので、従動軸と駆動軸との軸ぶれを低減することができ、異音や振動の発生を抑制することができる。
【0021】
本発明に係るロールユニット交換式ローラレベラにおいて、
前記テーパ凸部の外面は、前記円錐面の先端側が截断された截頭円錐面における前記中心軸線の回りの複数の部分円錐面を含み、これら複数の部分円錐面が前記テーパ凹部に当接されることが好ましい。
【0022】
本構成のロールユニット交換式ローラレベラによれば、テーパ凸部の外面は、駆動軸の軸線と一致する中心軸線を有する、従動側係合部に向かって先鋭な円錐面の先端側が截断された截頭円錐面における前記中心軸線の回りの複数の部分円錐面を含み、これら複数の部分円錐面がテーパ凹部に当接されるので、テーパ凹部に対する複数の部分円錐面のそれぞれの接触面圧を高めることができるとともに、テーパ凹部に対する複数の部分円錐面の求心作用を得ることができる。従って、テーパ凸部とテーパ凹部との間の摩擦力をより大きくすることができて摩擦係合状態がより安定的に保たれるとともに、従動軸と駆動軸との芯出しを高精度で行うことができる。
【0023】
本発明に係るロールユニット交換式ローラレベラにおいて、
前記テーパ凸部には、前記円錐面の母線に沿って空気逃がし用の溝が形成されることが好ましい。
【0024】
本構成のロールユニット交換式ローラレベラによれば、テーパ凸部とテーパ凹部とを嵌合する際に、テーパ凹部の内部の空気が空気逃がし用の溝を通して外部に排出される。従って、テーパ凸部とテーパ凹部とを嵌合する際に、テーパ凹部の内部の空気によって押し戻されるのを防ぐことができ、テーパ凸部とテーパ凹部との嵌合動作をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ロールユニット交換式ローラレベラの正面図である。
図2図2は、ロールユニット交換式ローラレベラの側面図である。
図3図3は、摩擦係合手段の説明図である。
図4図4は、摩擦係合手段の要所の切断端面図である。
図5図5は、取付作業時の摩擦係合手段の挙動を示す図である。
図6図6は、摩擦係合手段の別態様例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0027】
<概略説明>
図1は、本発明の一実施形態に係るロールユニット交換式ローラレベラ1の正面図である。図1に示すように、ロールユニット交換式ローラレベラ1は、図示されないアンコイラに装着されたコイルから繰り出されて板面を上下方向に向けて図1中記号A矢印方向に搬送される鋼帯等の帯状体2の巻き癖や内部歪みの除去等に用いられる。
【0028】
<全体構成>
図2は、本発明の一実施形態に係るロールユニット交換式ローラレベラ1の側面図である。図2(a)は、同ロールユニット交換式ローラレベラ1の全体の側面図である。図2(b)は、図2(a)のB部拡大図である。なお、図2(a)において、ロールユニット5を明確に示すため、出口側ピンチロール9を図示省略している。図2(a)に示すように、ロールユニット交換式ローラレベラ1は、帯状体2(図1参照)に対し曲げ戻しの力を与える複数のロール3,4をユニット化したロールユニット5と、複数のロール3,4を回転駆動するための回転駆動装置6が付設されたレベラ本体7とを備え、レベラ本体7に対しロールユニット5が図2(a)において左側から右側に向けて押し込まれることでロールユニット5がレベラ本体7に取り付けられるように構成されている。
【0029】
図1に示すように、レベラ本体7における帯状体2の搬送方向上流側(図1において左側)及び搬送方向下流側(図1において右側)には、入口側ピンチロール8及び出口側ピンチロール9がそれぞれ取り付けられている。入口側ピンチロール8は、帯状体2を上下から所定の圧力で挟みつつ、ロールユニット5へと送るようにするため、帯状体2を上下から挟むように上下に対向配置されている。一方、出口側ピンチロール9は、帯状体2を上下から所定の圧力で挟みつつ、図示されないプレス機械へと送るようにするため、帯状体2を上下から挟むように上下に対向配置されている。
【0030】
<ロールユニット>
ロールユニット5は、上下に分割された上側ロールユニット5aと下側ロールユニット5bとが組み合わされて構成されている。ロールユニット5がレベラ本体7に組み込まれた状態において、上側ロールユニット5aは、レベラ本体7に設けられた図示されないガイドに沿って昇降機構10により昇降される。
【0031】
上側ロールユニット5aは、主に、上側軸受11及びロール3(上側ワークロール3)により構成され、下側ロールユニット5bは、主に、下側軸受12及びロール4(下側ワークロール4)により構成されている。上側ワークロール3は、帯状体2の搬送経路の上側で帯状体2の搬送方向に所定ピッチで複数(本例では5本)配され、下側ワークロール4は、帯状体2の搬送経路の下側で帯状体2の搬送方向に所定ピッチで複数(本例では6本)配されている。
【0032】
<ワークロール>
上側ワークロール3は、両端部に形成された軸部13a,13bと、これら軸部13a,13bの間に形成されたロール部14とを有している。下側ワークロール4は、両端部に形成された軸部15a,15bと、これら軸部15a,15bの間に形成されたロール部16とを有している。上側ワークロール3において、各軸部13a,13bは上側軸受11に回転可能に支持され、ロール部14はバックアップロール17によって支持されている。一方、下側ワークロール4において、各軸部15a,15bは下側軸受12に回転可能に支持され、ロール部16はバックアップロール18によって支持されている。ロールユニット5においては、上下に配される複数のワークロール3,4が、帯状体2の搬送方向に千鳥状に配置されており、これら千鳥状に配置された上下のワークロール3,4で帯状体2に適正な曲げ戻し歪みを与えて帯状体2の巻き癖等を除去するように構成されている。
【0033】
<回転駆動装置>
図2(a)に示すように、回転駆動装置6は、2基(図においては1基のみ図示)の駆動モータ21とギヤボックス22とを備えている。
【0034】
図2(b)に示すように、ギヤボックス22は、ケーシング23、入力軸25及び出力軸26を備える。入力軸25は、各駆動モータ21の出力軸24に対応するようにケーシング23に回転可能に支持されている。出力軸26は、複数(本例では合計11本)のワークロール3,4のそれぞれにおける駆動モータ21に向かって配される側の軸部13b,15bに対応するようにケーシング23に回転可能に支持されている。ケーシング23の内部には、入力軸25と出力軸26との間において動力伝達可能に所要のギヤ(図示省略)がギヤボックス22へ組み込まれている。
【0035】
回転駆動装置6においては、ギヤボックス22の各入力軸25と各駆動モータ21の出力軸24とが軸継手27によって連結されており、各駆動モータ21の出力軸24からの回転動力が、各入力軸25からケーシング23内の所要のギヤを介して各出力軸26に伝達されるように構成されている。
【0036】
<ジョイント機構>
ロールユニット5と回転駆動装置6との間には、ジョイント機構30が配設されている。ジョイント機構30は、ロールユニット5から回転駆動装置6に向かって順に配される従動側ユニバーサルジョイント31、従動軸32、摩擦係合手段33、駆動軸34、駆動側ユニバーサルジョイント35を備えている。
【0037】
<従動軸、駆動軸>
従動軸32は、複数のワークロール3,4に対応するように複数配されており、一側支承部材36に回転可能に支持されている。駆動軸34は、複数の従動軸32に対応するように複数配されており、他側支承部材37に回転可能に支持されている。ここで、一側支承部材36及び他側支承部材37は、レベラ本体7と回転駆動装置6との間において、所定間隔を存して対向配置されている。一側支承部材36は、上側ロールユニット5aにおける上側フレーム38に支持されるとともに、下側ロールユニット5bにおける下側フレーム39に支持されている。他側支承部材37は、上下に所定間隔を存してレベラ本体7から回転駆動装置6に向かってレベラ本体7に突設される上側支持部材41及び下側支持部材42にそれぞれ支持されている。
【0038】
従動側ユニバーサルジョイント31は、各ワークロール3,4の軸部13b,15bと各従動軸32とを動力伝達可能に連結している。一方、駆動側ユニバーサルジョイント35は、ギヤボックス22に設けられた各出力軸26と各駆動軸34とを動力伝達可能に連結している。こうして、複数の従動軸32が複数のワークロール3,4のそれぞれに動力伝達可能に連結されるとともに、複数の駆動軸34が回転駆動装置6に動力伝達可能に連結される。
【0039】
<摩擦係合手段>
図3は、摩擦係合手段33の説明図である。図3(a)は、図2(b)のC部拡大図である。図3(b)は、図3(a)のD部拡大要部断面図である。図3(a)に示す摩擦係合手段33は、従動軸32と駆動軸34との間を摩擦係合によって動力伝達可能に接続するものである。摩擦係合手段33は、従動側係合部51、駆動側係合部52及び弾性体53を備えている。
【0040】
<従動側係合部、テーパ凹部>
図3(a)に示すように、従動側係合部51は、従動軸32と駆動軸34との間において、従動軸32における駆動軸34に向かう基端側に一体的に設けられている。図3(b)に示すように、従動側係合部51は、テーパ凹部55を有している。テーパ凹部55は、従動軸32の軸線と一致する中心軸線L1を有する、従動軸32の先端側に向かって先鋭な円錐面の先端側が截断されたような截頭円錐面を内面とする凹部であって、駆動軸34に向かう側に開放されている。
【0041】
<駆動側係合部>
駆動側係合部52は、従動軸32から駆動軸34に向かう方向(図3(b)において右方向)に駆動軸34と軸心を一致させるように順に一体的に連設される頭部61、フランジ付軸頸部62、第一胴部63、第二胴部64及びテール部65を有している。
【0042】
<テーパ凸部>
頭部61は、テーパ凸部70を有している。テーパ凸部70は、駆動軸34の軸線と一致する中心軸線L2を有する、従動側係合部51に向かって先鋭な円錐面の少なくとも一部を外面とするものである。なお、本例において、テーパ凸部70の外面は、後述する溝72が設けられるために厳密には、上記円錐面の先端側を截断したような截頭円錐面ではないが、複数の溝72と後述する複数の部分円錐面71とを包絡する面は截頭円錐面状となることから、截頭円錐面に近い略截頭円錐面状に形成されているといえる。
【0043】
<分割截頭円錐面、空気逃がし用の溝>
図4は、摩擦係合手段33の要所の切断端面図である。図4(a)は、図3(b)のE-E矢視切断端面図である。図4(b)は、図3(b)のF-F矢視切断端面図である。図3(b)及び図4(a)に示すように、テーパ凸部70の外面には、上記円錐面の母線に沿って延在するような空気逃がし用の複数(本例では三つ(これに限定されるものではない))の溝72が、中心軸線L2の回りに等ピッチで形成されている。複数の溝72がテーパ凸部70の外面に設けられることにより、テーパ凸部70の外面には、中心軸線L2の回りにおいて、溝72を挟むようにして隣り合う複数(本例では三つ(これに限定されるものではない))の部分円錐面71が形成される。こうして、テーパ凸部70の外面は、上記円錐面の先端側が截断された截頭円錐面における中心軸線L2の回りの複数の部分円錐面71を含むこととなる。なお、図4(a)に示すように、本例では、頭部61において芯部を構成する軸部61aに、複数の部分円錐面71及び複数の溝72を有する筒状部61bを外嵌し、軸部61aと筒状部61bとの間にキー61cを介在させて軸部61a及び筒状部61bを動力伝達可能に結合することで頭部61を構成している。勿論、軸部61aと筒状部61bとを一体形成により頭部61を構成する態様もある。
【0044】
図3(b)に示すように、従動側係合部51と駆動側係合部52とにおいては、テーパ凹部55とテーパ凸部70とが嵌合されるテーパ嵌め合い構造が採用されているので、従動軸32及び駆動軸34の軸ぶれを低減することができ、異音や振動の発生を抑制することができる。しかも、テーパ凸部70の外面は、複数の部分円錐面71を含む略截頭円錐面状に形成され、複数の部分円錐面71が、テーパ凹部55における截頭円錐面状の内面に当接されるので、テーパ凹部55に対する複数の部分円錐面71のそれぞれの接触面圧を高めることができるとともに、テーパ凹部55に対する複数の部分円錐面71の求心作用を得ることができる。従って、テーパ凸部70とテーパ凹部55との間の摩擦力をより大きくすることができて摩擦係合状態がより安定的に保たれるとともに、従動軸32及び駆動軸34の芯出しを高精度で行うことができる。なお、部分円錐面71の配置数について、特に限定されるものではないが、テーパ凹部55とテーパ凸部70とが三ヶ所において面接触することによって、より効果的な求心作用を得ることができるため、テーパ凸部70の外面は、図4(a)に示すように、三つの部分円錐面71でテーパ凹部55と面接触するように構成するのが好ましい。
【0045】
図3(b)に示すように、フランジ付軸頸部62は、相対的に小径の小径短軸部62aと、小径短軸部62aよりも大径の大径短軸部62bとを有している。大径短軸部62b及び小径短軸部62aは、従動軸32から駆動軸34に向かう方向に駆動軸34と軸心を一致させるように順に配されている。フランジ付軸頸部62においては、小径短軸部62aの外周面から径方向外側に張り出した大径短軸部62bの外周部分がフランジ部62cとなる。
【0046】
第一胴部63、第二胴部64及びテール部65は、外径が異なる軸状部材からなり、これら第一胴部63、第二胴部64及びテール部65において、第一胴部63の外径が最も大きく、第二胴部64の外径が第一胴部63の外径よりも若干小さく、テール部65の外径が最も小さく設定されている。
【0047】
駆動軸34における従動軸32に向かう先端側部分には、従動軸32から駆動軸34に向かう方向に駆動軸34と軸心を一致させるように順に配されるスリーブ部34a及びフランジ付カップリング部34bがそれぞれ形成されている。
【0048】
スリーブ部34aは、第一胴部63を受け入れ可能な受入部75を有している。フランジ付カップリング部34bは、テール部65を収容可能な収容部76を有している。受入部75には、第一胴部63との間に介在するように第一ブシュ77が配設されている。収容部76には、テール部65との間に介在するように第二ブシュ78が配設されている。第一胴部63及びテール部65は、スリーブ部34a及びフランジ付カップリング部34bに対し、第一ブシュ77及び第二ブシュ78を介して駆動軸34の軸方向に摺動可能に差し込まれている。こうして、駆動側係合部52は、駆動軸34の軸方向に移動可能とされている。
【0049】
スリーブ部34aは、第二胴部64が挿入可能な挿入部79をさらに有している。第二胴部64の外周面には、所定の突出量でキー80が嵌め込まれている。挿入部79の内周面には、キー80と係合するキー溝79a(図4(b)参照)が形成されている。こうして、駆動側係合部52と駆動軸34との間にキー80が介設されることにより、駆動側係合部52は、動力伝達可能に駆動軸34に装着されている。なお、キー80は、駆動軸34の軸線に沿って延在するように配設されており、駆動側係合部52の駆動軸34の軸方向への移動を妨げることはなく、むしろその移動を案内する。
【0050】
図3(b)に示すように、フランジ付軸頸部62とフランジ付カップリング部34bとの間には、円筒状のカラー81が配設されている。カラー81は、従動軸32に向かう一端側をフランジ付軸頸部62のフランジ部62cに当接させる一方、フランジ付カップリング部34bのフランジとの間に所定の隙間を存した状態でフランジ付軸頸部62の小径短軸部62a及びスリーブ部34aに外嵌されている。
【0051】
<弾性体>
弾性体53は、カラー81の他端側とフランジ付カップリング部34bのフランジとの間において、駆動軸34の軸方向の一側及び他側にそれぞれスペーサ82を介在させた状態で配設されている。弾性体53は、スリーブ部34aが挿通される挿通孔を中心部に有する皿ばね85を複数(本例では2枚)備え、これら皿ばね85を駆動軸34の軸方向に、外面を構成する互いの截頭円錐面を外側に向けるように互い違いに重ね合わせて構成されている。このような構成を採用することにより、単位体積当たりの蓄積エネルギーが他の種類のばねよりも大きい皿ばね85の特性にて小さな取付スペースで大きな荷重を受けることができ、しかも複数の皿ばね85を互い違いに重ね合わせる組み合わせ方によって、弾性体53の全体のたわみを大きくすることができることから、コンパクトな構成で大きな弾性力を容易に確保することができるとともに、必要とされる弾性変形量を容易に確保することができる。
【0052】
<ロールユニットの交換作業>
以上に述べたように構成されるロールユニット交換式ローラレベラ1において、ロールユニット5の交換に際しては、ロールユニット取外作業とロールユニット取付作業とが実施される。
【0053】
<ロールユニット取外作業>
まず、図示されない制御装置による駆動モータ21の回転制御により、駆動モータ21の回転を停止させる。次いで、レベラ本体7に対しロールユニット5を固定する図示されないロールユニット固定機構によるロックを解除する。その後、レベラ本体7に対しロールユニット5を押し込んだり引き出したりする機能を有する押引装置が装備された図示されない搬送台車によってレベラ本体7からロールユニット5を引き出し、例えばロールユニット保管場所へと運搬する。
【0054】
<ロールユニット取付作業>
これから加工を行うコイルの種類に応じたロールユニット5を載せた図示されない搬送台車をレベラ本体7の近傍の所定位置で停止させ、ロールユニット5をレベラ本体7に押し込む。
【0055】
図5は、レベラ本体7へのロールユニット5の取付作業時において、レベラ本体7に対しロールユニット5が押し込まれる際の摩擦係合手段33の挙動を示す図である。図5(a)は、駆動側係合部52が従動側係合部51と係合する直前の状態図である。図5(b)は、駆動側係合部52が従動側係合部51とが係合した状態で弾性体53の弾性力に抗して駆動側係合部52が従動側係合部51によって駆動軸34の軸方向に押し込まれた状態図である。
【0056】
レベラ本体7に対しロールユニット5が押し込まれると、図5(a)に示すように、駆動側係合部52に設けられたテーパ凸部70が、従動側係合部51に設けられたテーパ凹部55に挿入され、図5(b)に示すように、テーパ凸部70の外面を構成する三つの部分円錐面71が、テーパ凹部55における截頭円錐面状の内面に当接される。これにより、従動側係合部51と駆動側係合部52とが係合した状態となる。
【0057】
レベラ本体7に対しロールユニット5がさらに押し込まれると、従動側係合部51と駆動側係合部52とが係合した状態で、弾性体53の弾性力に抗して駆動側係合部52が従動側係合部51によって駆動軸34の軸方向に押し込まれる。そして、押込量Sだけ押し込まれた位置にてロールユニット固定機構によりロックされる。これにより、従動側係合部51と駆動側係合部52とが互いに押し付け合い、押し付けに伴い発生する摩擦により係合する摩擦係合によって回転動力を伝達可能に従動側係合部51と駆動側係合部52とが連結される。
【0058】
本実施形態のロールユニット交換式ローラレベラ1によれば、複数のワークロール3,4のそれぞれに動力伝達可能に連結される複数の従動軸32と、回転駆動装置6に動力伝達可能に連結される複数の駆動軸34とが、摩擦係合手段33によって接続される。このように、摩擦係合手段33による従動軸32と駆動軸34との接続構造では、機械的に噛み合わせて動力を伝達する構造ではなく、摩擦係合によって動力を伝達する構造であるため、従動軸32と駆動軸34との位相差(回転方向の相対位置)に関わりなく従動軸32と駆動軸34とを動力伝達可能に接続することができ、ロールユニット5を交換する際の軸回りの位置合わせが不要となり、ロールユニット5を迅速に交換することができる。
【0059】
また、ロールユニット交換式ローラレベラ1によれば、従動側係合部51と駆動側係合部52とが弾性体53の弾性力によって互いに押し付け合って摩擦係合するので、摩擦係合手段33によって従動軸32と駆動軸34とが動力伝達可能に接続された状態を安定的に保つことができる。
【0060】
さらに、本実施形態のロールユニット交換式ローラレベラ1、及びそれを組み込んだプレス加工ラインによれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)高強度鋼板、アルミニウム板、厚板、薄板等を一つのラインで適切な矯正を行うことができ、言い換えれば、矯正に必要なライン数を減らすことができ、設置費用を抑えることができるとともに、設置スペースを節約することができる。
(2)コイルの種類に応じてロールユニット交換式ローラレベラ1に要求される適切な矯正を行えるワークロール径やロールピッチ等を採用したロールユニット5を迅速に交換することにより、ロールユニット交換式ローラレベラ1の矯正能力を向上させることができ、しかもプレス加工装置の金型交換と同時にロールユニット5を迅速に交換すれば段取り時間を大幅に節約することができる。
(3)従来、ワークロール3,4等の保守点検はプレス加工ラインを停止させて、ライン内で作業を行わざるを得なかったが、レベラ本体7からロールユニット5を取り外しオフラインにてワークロール3,4等の保守点検作業を行うことができ、作業をより安全に行うことができる。
(4)低コストにて既設のローラレベラとの異なった板厚、材質に対するローラレベラ更新置き換えが可能となり、レトロフィットによるプレス加工ラインの性能を向上させることができる。
(5)回転駆動装置6において速度切換機構を内蔵でき、高トルク・低速の領域で適正な速度で運転を行える(適切な駆動モータ21を選択でき、過大なモータ出力を要しない)。
【0061】
以上、本発明のロールユニット交換式ローラレベラについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0062】
本発明の摩擦係合手段としては、上記実施形態において例示した摩擦係合手段33に限定されるものではなく、従動軸と駆動軸との間において駆動軸に一体的に設けられる駆動側係合部と、駆動側係合部と係合可能であるとともに、従動軸の軸方向に移動可能、且つ動力伝達可能に従動軸に装着される従動側係合部と、駆動側係合部に向かって従動側係合部を付勢する弾性体とを備え、レベラ本体に対しロールユニットが取り付けられる際に、弾性体の弾性力に抗して従動側係合部が駆動側係合部によって従動軸の軸方向に押し込まれることにより、従動側係合部と駆動側係合部とが互いに摩擦係合するように構成されるものであってもよい。要するに、上記実施形態において例示した摩擦係合手段33において、従動軸32の側の構造と、駆動軸34の側の構造とを逆転したような態様であってもよい。
【0063】
上記実施形態において、弾性体53は、駆動軸34の軸方向に、外面を構成する互いの截頭円錐面を外側に向けるように複数の皿ばね85を互い違いに重ね合わせる直列重ねによって構成する例を示したが、複数の皿ばね85を同一の向きに重ね合わせる並列重ねによって構成する態様であってもよい。また、弾性体53を複数の皿ばね85の直列重ねによって構成する場合、皿ばね85の設置枚数は2の倍数であればよく、特に限定されるものではない。一方、弾性体53を複数の皿ばね85の並列重ねによって構成する場合、皿ばね85の設置枚数は2以上の整数であればよく、特に限定されるものではない。また、複数の皿ばね85の直列重ねと並列重ねとを適宜組み合わせてもよい。
【0064】
上記実施形態における弾性体53を構成するばね材に関し、皿ばね85に限定されるものではなく、皿ばね85に代えて、截頭円錐面を有する内輪と外輪とを交互に組み合わせて構成される輪ばねや、圧縮コイルばね等を用いてもよい。
【0065】
上述したように、上記実施形態においては、図3(b)及び図4(a)に示すように、テーパ凸部70の外面を構成するそれぞれの部分円錐面71が、テーパ凹部55における截頭円錐面状の内面に当接されて、従動側係合部51と駆動側係合部52とが係合し、さらに、従動側係合部51と駆動側係合部52とが係合した状態で、弾性体53の弾性力に抗して駆動側係合部52が従動側係合部51によって駆動軸34の軸方向に押し込まれる。このような係合・押込によってテーパ凸部70とテーパ凹部55とが嵌合される際において、溝72は、その一部(駆動軸34側の端部)が従動側係合部51におけるテーパ凹部55の外部に露出されるように、頭部61の外面に設けられている。これにより、テーパ凸部70とテーパ凹部55とを嵌合する際に、テーパ凹部55の内部の空気が溝72を通して外部に排出される。このような空気逃がし用の溝72を設けることにより、テーパ凹部55の内部の空気によって押し戻されるのを防ぐことができ、テーパ凸部70とテーパ凹部55との嵌合動作をスムーズに行うことができるという効果を奏するが、頭部61(テーパ凸部70)の外面に設ける溝としては、上記実施形態の溝72に限定されるものではない。上記実施形態の溝72とは形態の異なる溝100が頭部61(テーパ凸部70)の外面に設けられた摩擦係合手段の別態様例について図6を用いて以下に説明する。
【0066】
図6は、摩擦係合手段の別態様例の説明図である。図6に示すように、上述の係合・押込によってテーパ凸部70とテーパ凹部55とが嵌合される際において、溝100は、テーパ凹部55の内部に完全に入り込むように、テーパ凸部70の外面に上記円錐面の母線に沿って設けられている。テーパ凸部70とテーパ凹部55との嵌合状態において、溝100は、その一部(駆動軸34側の端部)が従動側係合部51におけるテーパ凹部55の外部に露出されないため、上記実施形態の溝72のような空気逃がし用の溝としては機能しないが、当該溝100を複数設けることによって部分円錐面71が複数形成される。従って、上記実施形態と同様に、テーパ凹部55に対する複数の部分円錐面71のそれぞれの接触面圧を高めることができるとともに、テーパ凹部55に対する複数の部分円錐面71の求心作用を得ることができ、その結果、テーパ凸部70とテーパ凹部55との間の摩擦力をより大きくすることができて摩擦係合状態がより安定的に保たれるとともに、従動軸32と駆動軸34との芯出しを高精度で行うことができる。
【0067】
上記実施形態及び別態様例では、溝72,100を上記円錐面の母線に沿って延在するように頭部61の外面に設ける例を示したが、これに限定されるものではなく、複数の部分円錐面71を形成できるのであれば、母線に沿わなくても、頭部61の基端から先端に向かって延在するように、任意の形状の溝を頭部61の外面に設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のロールユニット交換式ローラレベラは、帯状体の材質や板厚等の変化に応じてロールユニットを交換するプレス加工ラインにおいて、帯状体の矯正の用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 ロールユニット交換式ローラレベラ
3,4 ワークロール
5 ロールユニット
6 回転駆動装置
7 レベラ本体
32 従動軸
33 摩擦係合手段
34 駆動軸
51 従動側係合部
52 駆動側係合部
53 弾性体
55 テーパ凹部
70 テーパ凸部
71 部分円錐面
72 空気逃がし用の溝
85 皿ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6