(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079214
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20240604BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20240604BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240604BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240604BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K31/137
A61P43/00 121
A61P9/00
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192028
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平田 真由
(72)【発明者】
【氏名】松本 知大
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE02
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD14
4B018MD18
4B018MD26
4B018MD27
4B018MD34
4B018MD37
4B018MD52
4B018MD94
4B018ME14
4B018MF01
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA07
4C088BA08
4C088MA02
4C088NA14
4C088ZA36
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA15
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の目的は、優れた徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物を提供することである。
【解決手段】アセロラとイソプロテレノールを組み合わせることで、アセロラ、イソプロテレノール単独よりも格別顕著な徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を示した。つまり、イソプロテレノールにアセロラを組み合わせることで、アセロラがイソプロテレノールの作用を高め、低用量のイソプロテレノールで同程度の効果を発揮することができる。よって、アセロラとイソプロテレノールを含有する組成物は、優れた徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する食品、医薬部外品、医薬品として利用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセロラとイソプロテレノールを含有することを特徴とする徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセロラとイソプロテレノールを含有することを特徴とする徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソプロテレノール(イソプレナリン)は、心臓の収縮力を強め、心拍数を増やす、といった心肺機能改善作用を有し、徐脈、房室ブロックの治療に用いられる医薬品である。一方で、副作用として重篤な血清カリウム値の低下がある。
【0003】
その作用機序は、非選択的なアドレナリン受容体作動であることが知られている(非特許文献1)。徐脈、房室ブロック改善の作用機序がアドレナリン受容体作動であることから、アドレナリン受容体作動を指標として、徐脈、房室ブロックの改善作用の力価を評価することができる。さらに、アドレナリン受容体作動の指標としては、Peroxisome proliferative activated receptor gamma coactivator 1 alpha(PGC1α)やFibronectin Type III Domein Containing 5(FNDC5)などのアドレナリン受容体作動によって産生促進される因子を用いることができる。
【0004】
薬剤の副作用のリスク低下や、年々増加する薬剤費を削減するという意味において、低用量で治療に必要な薬理活性を得る発明は非常に有益である。そこで鋭意研究を行った結果、キントラノオ科の植物であるアセロラとイソプロテレノールを組み合わせることで、優れた徐脈改善作用と房室ブロック改善作用を見出した。よって、イソプロテレノールにアセロラを組み合わせることで、アセロラがイソプロテレノールの作用を高め、低用量のイソプロテレノールで同程度の効果を発揮することができる。
【0005】
本発明に用いるアセロラ(バルバドスチェリー、Malpighia emarginata DC.)は、アセロラの抽出物を含有する血糖値上昇抑制剤(特許文献1)などの有効性が報告されているが、徐脈改善作用や房室ブロック改善作用については全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Acute Med Surg.、Vol.4(3):353-357(2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アセロラとイソプロテレノールを含有することを特徴とする徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究した結果、アセロラとイソプロテレノールが優れた徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有することを見出した。
【0010】
本発明に用いるアセロラは、キントラノオ科のアセロラ(学名:Malpighia emarginata DC.)を用いることができる。本発明に使用するアセロラの部位は特に限定されないが、果実、葉、種子、樹皮などが挙げられ、特に果実を使用することが好ましい。
【0011】
本発明に用いるアセロラは、そのまま用いることができ、必要に応じて、搾汁、乾燥、粉砕、細切などの処理を行ったものを用いることもできる。また、前記のアセロラは抽出物として用いることができ、抽出溶媒として、水、低級アルコール類(エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなど)、液状多価アルコール類(1、3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテルなど)などを用いることができる。これらの溶媒は、1種または2種以上を混合して用いても良い。本発明のアセロラは、果実を搾汁した果汁を用いるのが好ましい。
【0012】
アセロラは、上記処理又は抽出後そのまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、ろ過、活性炭などによる脱色、脱臭、エタノール沈殿などの処理をして用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥などの処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0013】
本発明に用いるアセロラの摂取量は、投与形態、使用目的、年齢、体重などによって適宜調整することができる。成人1日当たりのアセロラの摂取量は、アセロラの果実の果汁粉末又はアセロラの果実の抽出物として、0.05~3000mg、好ましくは10~2000mgの範囲で1日1回から数回、経口摂取できる。上記摂取範囲より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて摂取する必要がある場合もある。また、製剤化における薬効成分の添加法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0014】
本発明におけるイソプロテレノール(別名イソプレナリン、(RS)-4-「1-hydroxy-2-(isopropylamino)ethyl」benzene-1,2-diol)は、市場に流通しているものを使用できる。医薬品としては、1日35~55mgを目安に、年齢、症状により適宜増減して使用するが、本発明において、アセロラと組み合わせることでこれより低用量で使用することができる。また、イソプロテレノール塩酸塩でも代用できる。
【0015】
本発明のアセロラとイソプロテレノールを含有することを特徴とする徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物は、食品、医薬部外品、医薬品として用いることができる。食品としては、錠剤、軟カプセル、硬カプセル、顆粒、タブレット、グミ、飲料、ゼリーなどとして用いることができる。また、医薬部外品や医薬品では、経口用のカプセル剤、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤など、非経口用の注射剤、座剤、皮膚外用剤などとして用いることができる。本発明の目的を達するためには、内服での摂取が好ましい。
【0016】
本発明のアセロラとイソプロテレノールを含有することを特徴とする徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物は、効果を損なわない範囲内で、必要に応じて通常の食品、医薬部外品または医薬品に用いられる賦形剤、安定剤、滑沢剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤、香料などの成分を含有することもできる。さらに、植物素材、ポリフェノール類、ビタミン類、糖類、タンパク質、油脂などの成分を含有することができる。また、徐脈改善作用、房室ブロック改善作用の増強という点において、アケビを含有することが特に好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアセロラとイソプロテレノールを含有することを特徴とする徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有する組成物は、優れた徐脈改善作用、房室ブロック改善作用を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施例は例示のために説明するものであり、本発明の特許請求の範囲はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。実施例に示す含有量の%は重量%を示す。
【実施例0019】
製造例1 アセロラ果汁粉末
アセロラ果実1kgを搾汁し、果汁を700mL得た。そのうち500mLの果汁に精製水2Lを加え、得られた果汁に0.8%の酵母を添加し、37℃で30時間発酵した。発酵後、酵母の除去、および失活処理を行い、デキストリン10gを加え、溶解させた。溶解後、噴霧乾燥し、アセロラ果汁粉末20gを得た。
【0020】
製造例2 アセロラ果実熱水抽出物
アセロラ果実100gに、精製水2Lを加え、95~100℃で2時間抽出した後、ろ液を濃縮、凍結乾燥して、アセロラ果実熱水抽出物9.6gを得た。
【0021】
製造例3 アセロラ果実30%エタノール抽出物
アセロラ果実100gに、精製水1.4Lとエタノール0.6Lを加え、常温で5日間抽出した後、ろ液を濃縮乾固して、アセロラ果実30%エタノール抽出物2.4gを得た。
【0022】
製造例4 アセロラ果実50%エタノール抽出物
アセロラ果実100gに、精製水1Lとエタノール1Lを加え、常温で5日間抽出した後、ろ液を濃縮乾固して、アセロラ果実50%エタノール抽出物2.1gを得た。
【0023】
次に、アセロラ、イソプロテレノールを用いた処方例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。