(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079216
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車載情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192030
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 優貴
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC24
5H181DD06
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】交通規則に関する情報を効率的に提供し、交通規則違反を抑制すること。
【解決手段】車載情報処理装置20は、車両10が走行する道路の交通規則に関する情報を取得する交通規則情報取得部25と、前記車両10を旋回させる操作に関する情報を取得する車両情報取得部23と、前記操作が前記交通規則に違反するかどうかを判定する判定部31と、複数の電子ミラー21から前記操作に対応する方向の電子ミラー21を選択する選択部32と、前記電子ミラー21に前記交通規則に関する情報を表示するよう制御する表示制御部33と、を備え、前記表示制御部33は、前記操作が前記交通規則に違反するとき、前記交通規則に関する情報を前記選択した電子ミラー21に表示するよう制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路の交通規則に関する情報を取得する交通規則情報取得部と、
前記車両を旋回させる操作に関する情報を取得する車両情報取得部と、
前記操作が前記交通規則に違反するかどうかを判定する判定部と、
複数の電子ミラーから前記操作に対応する方向の電子ミラーを選択する選択部と、
前記電子ミラーに前記交通規則に関する情報を表示するよう制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記操作が前記交通規則に違反するとき、前記交通規則に関する情報を前記選択した電子ミラーに表示するよう制御することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報処理装置であって、
前記交通規則に関する情報に基づいて、前記交通規則に違反する方向を特定する特定部を備え、
前記選択部は、前記車両を旋回させる操作の方向が前記交通規則に違反する方向であるとき、前記車両を旋回させる操作の方向に対応する電子ミラーとして前記車両の左側に設けられた左電子ミラーまたは前記車両の右側に設けられた右電子ミラーを選択することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載情報処理装置であって、
前記交通規則は右折禁止および/または左折禁止であり、
前記選択部は、前記車両を右方向へ旋回させる操作が右折禁止の交通規則に違反する方向であるとき、前記右電子ミラーを選択し、前記車両を左方向へ旋回させる操作が左折禁止の交通規則に違反する方向であるとき、前記左電子ミラーを選択することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車載情報処理装置であって、
前記選択部は、前記操作がはみ出し禁止の交通規則に違反するとき、前記操作に対応する方向の前記電子ミラーを選択することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車載情報処理装置であって、
前記交通規則は車線変更禁止であり、
前記選択部は、前記車両を右車線に移動させる操作が前記車線変更禁止の交通規則に違反するとき、前記右電子ミラーを選択し、前記車両を左車線に移動させる操作が前記車線変更禁止の交通規則に違反するとき、前記左電子ミラーを選択することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車載情報処理装置であって、
前記交通規則は駐停車禁止であり、
前記選択部は、前記車両を道路の端へ移動させる操作が前記駐停車禁止の交通規則に違反するとき、前記車両を道路の端へ移動させる操作の方向に対応する電子ミラーを選択することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車載情報処理装置であって、
前記車両の後側方を撮影した画像を取得する画像取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記画像を常に前記電子ミラーに表示させ、前記操作が前記交通規則に違反するとき、前記画像に前記交通規則に関する情報を一時的に重畳して電子ミラーに表示することを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の車載情報処理装置であって、
前記車両を旋回させる操作に関する情報として、ステアリング操作の情報と、ウインカーランプ操作の情報のうち少なくともいずれかを取得することを特徴とする車載情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺をカメラで撮影し、撮影結果として得られた画像を車内のディスプレイに表示することで、ドアミラーやフェンダーミラーに対応する機能を提供する電子ミラーシステムが知られている。
例えば、特許文献1には、「運転者が周辺の状況に応じて適切な安全確認を行ったか否かを判断することができる技術を提供」、「前方カメラ4とレーダ装置8が、自車両の周辺状況を示す周辺状況情報を取得する。また、前方カメラ4とレーダ装置8により取得された周辺状況情報に基づいて、自車両の周辺に自車両の運転者が確認する必要がある確認物体(道路標識、電光掲示板、道路上の障害物、左折専用レーン、右折専用レーン、横断歩道、信号機および接近後方車両)があるか否かを判断する。その後に、確認物体があると判断した場合に、確認物体を確認するように運転者に指示する運転者確認画像を運転者に対して表示する。また、運転者の視線の方向を検出する。そして、視線方向の検出結果に基づいて、運転者確認画像が表示されている位置に向けて運転者が視線を移動させたか否かを判断する。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1では、自車両の運転者が確認する必要がある確認物体(道路標識、電光掲示板、道路上の障害物、左折専用レーン、右折専用レーン、横断歩道、信号機および接近後方車両)が自車両の周辺にあるか否かを判断する。確認物体があると判断した場合、確認物体を確認するように運転者に指示する運転者確認画像を表示する。しかしながら、運転者へ交通規則を知らせるために、運転者の視線を運転者確認画像へわざわざ誘導することは効率的ではない。
【0005】
本発明の目的は、交通規則に関する情報を効率的に提供し、交通規則違反を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の車載情報処理装置の一つは、車両が走行する道路の交通規則に関する情報を取得する交通規則情報取得部と、前記車両を旋回させる操作に関する情報を取得する車両情報取得部と、前記操作が前記交通規則に違反するかどうかを判定する判定部と、複数の電子ミラーから前記操作に対応する方向の電子ミラーを選択する選択部と、前記電子ミラーに前記交通規則に関する情報を表示するよう制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記操作が前記交通規則に違反するとき、前記交通規則に関する情報を前記選択した電子ミラーに表示するよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車載情報処理装置は、交通規則に関する情報を効率的に提供し、交通規則違反を抑制できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】交通規則の情報を運転者へ提供する例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0010】
図1は電子ミラーシステムを説明する図である。車両10は、右側に運転席、左側に助手席を有する。車両10は車両の右側にカメラ11Rを有し、左側にカメラ11Lを有する。カメラ11Rは、車両10の右後方を撮影する。カメラ11Lは、車両10の左後方を撮影する。
【0011】
車両10の車内に電子ミラー21R及び電子ミラー21Lが配置される。
電子ミラー21Rは、カメラ11Rが撮影した画像を表示することで、右後方を視認するドアミラーに対応する機能を提供するディスプレイである。
電子ミラー21Lは、カメラ11Lが撮影した画像を表示することで、左後方を視認するドアミラーに対応する機能を提供するディスプレイである。
電子ミラー21Rは、例えば右フロントピラー近傍に配置する。電子ミラー21Lの配置位置は、例えば左フロントピラーの近傍に配置する。
なお、車両10の外側に電子ミラー21Rと21Lが配置されてもよい。この場合、電子ミラー21Rと21Lは従来のサイドミラーの位置に配置されると最適である。
【0012】
図2は、交通規則の情報を運転者へ提供する例を説明する図である。車両10の運転者が右ウインカーランプを点滅させる操作を行ったとき、車両10に搭載された車載情報処理装置20は、状況に応じて交通規則の情報提供を行う。
【0013】
図2の(a)のケースでは、車載情報処理装置20は、次のように判定している。
「車両10は、他車両を追い越すためにはみ出し禁止を示すラインからはみ出して走行する可能性がある。」
「車両10は、他車両を追い越すために加速して速度の規定に違反する可能性がある。」
車載情報処理装置20は、判定結果に基づいて電子ミラー21Rにラインを強調表示し、速度の規定を示す標識の表示を追加する。車両10が右側にあるはみ出し禁止を示すラインからはみ出して走行する前に、運転者が右側方を確認するために右側の電子ミラー21Rを見る可能性が高いからである。
【0014】
図2の(b)のケースでは、車載情報処理装置20は、次のように判定している。
「車両10は右折して進入禁止の道路に進入する可能性がある。」
車載情報処理装置20は、判定結果に基づいて電子ミラー21Rに進入禁止を示す標識の表示を追加する。車両10が右折して進入禁止の道路に入る前に、運転者が右後方を確認するために右側の電子ミラー21Rを見る可能性が高いからである。
【0015】
図3は、車載情報処理装置20の構成を示す構成図である。車載情報処理装置20は、カメラ11L、カメラ11R、駆動制御ユニット13、ナビゲーションユニット14などと接続する。駆動制御ユニット13は、車両の加減速制御や操舵制御などを行うユニット群である。ナビゲーションユニット14は、車両10の位置を特定し、地図データベースを参照して車両の経路の探索と案内を行うユニットである。ナビゲーションユニット14は、車両10の周囲の交通規則を車載情報処理装置20に提供できる。
【0016】
車載情報処理装置20は、電子ミラー21、画像取得部22、車両情報取得部23、制御部24及び交通規則情報取得部25を有する。制御部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、判定部31、選択部32及び表示制御部33、特定部34としての機能を実現する。
【0017】
カメラ11Rは、車両10の右後方を撮影する。カメラ11Lは、車両10の左後方を撮影する。
電子ミラー21は、電子ミラー21Rと電子ミラー21Lとを含む。
電子ミラー21Rは、車両10の右後方を撮影した画像を表示するディスプレイである。電子ミラー21Rは、例えば右フロントピラーに配置される。
電子ミラー21Lは、車両10の左後方を撮影した画像を表示するディスプレイである。電子ミラー21Lは、例えば左フロントピラーに配置される。
【0018】
画像取得部22は、カメラ11L及びカメラ11Rが撮影した車両10の後側方の画像を取得し、制御部24に出力する。
【0019】
車両情報取得部23は、車両10の状態を示す情報を取得する。車両情報取得部23には、速度検出部41、ステアリング角検出部42、方向指示器状態検出部43などが含まれる。速度検出部41は、車両10の走行速度を検知する。例えば、速度計の値を取得すればよい。ステアリング角検出部42は、車両10のステアリング角度を検出する。ステアリング角度は、例えば、操舵制御ユニットから取得すればよい。ステアリング角検出部42は、タイヤの角度を取得しても良い。方向指示器状態検出部43は、方向指示器(ウインカーランプ)の状態を検出する。車両情報取得部23が取得する情報には、車両10を旋回させる操作に関する情報(ステアリング角、ウインカーランプ状態)が含まれる。
【0020】
交通規則情報取得部25は、車両10が走行する道路の交通規則に関する情報を取得する。一例として、交通規則情報取得部25は、ナビゲーションユニット14から車両10の位置、走行する道路、当該道路と道路の交通規則を取得する。車両10の周囲をカメラで撮影し、撮影結果を画像処理して標識等を認識し、交通規則を取得してもよい。交通規則の例は、右折禁止、左折禁止、はみ出し禁止、追い越し禁止、車線変更禁止、駐停車禁止である。
【0021】
判定部31は、車両情報取得部23が取得した情報に基づいて、ステアリングが操作されたかどうかを判定する。例えば、ステアリングが所定の角度よりも大きい角度に操作されたかどうかを判定する。所定の角度は、車両が右折または左折、車線を変更することができる角度であればよい。車両情報取得部23が取得した情報に基づいて、ウインカーが操作されたかどうかを判定する。例えば、車両情報取得部23が取得したウインカーランプのON/OFFに基づいて、ウインカーが操作されたかどうかを判定する。
判定部31は、車両情報取得部23が取得した情報と、後述の特定部34が特定した方向に基づいて、運転者による操作が交通規則に違反するかどうかを判定する。言い換えると、判定部31は運転者による操作の方向が交通規則に違反する方向かどうかを判定する。
選択部32は、複数の電子ミラー21から運転者の操作に対応する方向の電子ミラー21を選択する。例えば、車両を旋回させる操作の方向が後述の特定部34によって特定された交通規則に違反する方向であるとき、車両を旋回させる操作の方向に対応する電子ミラーとして、左電子ミラー21Lまたは右電子ミラー21Rのいずれかを選択する。
【0022】
表示制御部33は、カメラ11Lが撮影した画像を常に電子ミラー21Lに表示させることで、電子ミラー21Lを左側ドアミラーとして機能させる。
表示制御部33は、カメラ11Rが撮影した画像を電子ミラー21Rに表示させることで、電子ミラー21Rを右側ドアミラーとして機能させる。
表示制御部33は、運転者の操作の方向が交通規則に違反する方向のとき、カメラ11が撮影した画像に交通規則に関する情報を一時的に重畳して電子ミラー21に表示する。
表示制御部33は、選択部32が選択した電子ミラー21に交通規則に関する情報を表示する。
特定部34は、交通規則情報取得部25が取得した交通規則に基づいて、交通規則に違反する方向が車両10の右方向か左方向かを特定する。特定部34は、取得した交通規則が右折禁止ならば交通規則に違反する方向は右であると特定する。特定部34は、取得した交通規則が左折禁止ならば交通規則に違反する方向は左であると特定する。特定部34は、取得した交通規則がはみ出し禁止であり、はみ出し禁止を示すラインが右側の路面に描かれているならば交通規則に違反する方向は右であると特定する。特定部34は、取得した交通規則がはみ出し禁止であり、はみ出し禁止を示すラインが左側の路面に描かれているならば、交通規則に違反する方向は左であると特定する。取得した交通規則が追い越し禁止、車線変更禁止の場合も同様である。特定部34は、取得した交通規則が駐停車禁止であり、車両の右側に駐停車禁止を示す標識があるならば、交通規則に違反する方向は右であると特定する。特定部34は、取得した交通規則が駐停車禁止であり、車両の左側に駐停車禁止を示す標識があるならば、交通規則に違反する方向は左であると特定する。
特定部34は、特定した方向を交通規則に対応付けて不図示の記憶部へ保存する。
【0023】
違反と表示について具体例を挙げて説明する。
表示制御部33は、車両10を旋回させる操作が交通規則に違反するとき、車両10を旋回させる操作の方向に対応する電子ミラーへ交通規則に関する情報を表示する。すなわち、車両10を旋回させる操作の方向が交通規則に違反する方向であるとき、車両10を旋回させる操作の方向に対応する電子ミラーへ交通規則に関する情報を表示する。
【0024】
一例として、交通規則は右折禁止および/または左折禁止である。
運転者が車両10を移動させる操作が右折禁止および/または左折禁止の交通規則に違反するとき、表示制御部33は選択部32が選択した右電子ミラー21Rまたは左電子ミラー21Lのいずれかに交通規則に関する情報(右折禁止および/または左折禁止)を表示する。
例えば、右折が禁止されている道路において、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の右方向であると記憶する。判定部31は運転者が右へ車両10を旋回させる操作が右折禁止の交通規則に違反すると判断する。この場合、選択部32は右電子ミラー21Rを選択する。これは、右折が禁止されている道路において、運転者が車両10を右方向へ旋回させようとしているためである。
例えば、左折が禁止されている道路において、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の左方向であると記憶する。判定部31は、運転者が車両10を左へ旋回させる操作が左折禁止の交通規則に違反すると判断する。この場合、選択部32は左電子ミラー21Lを選択する。これは、左折が禁止されている道路において、運転者が車両10を左方向へ旋回させようとしているためである。
【0025】
一例として、交通規則ははみ出し禁止である。
運転者が車両10を旋回させる操作がはみ出し禁止の交通規則に違反するとき、表示制御部33は選択部32が選択した右電子ミラー21Rまたは左電子ミラー21Lのいずれかに交通規則に関する情報(はみ出し禁止)を表示する。
例えば、はみ出し禁止を示す路面上のラインが車両の右側に描かれているとき、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の右方向であると記憶する。判定部31は運転者が車両10を右へ旋回させる操作がはみ出し禁止の交通規則に違反すると判断する。この場合、選択部32は右電子ミラー21Rを選択する。
例えば、はみ出し禁止を示す路面上のラインが車両の左側に描かれているとき、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の左方向であると記憶する。判定部31は運転者が車両10を左へ旋回させる操作がはみ出し禁止の交通規則に違反すると判断する。この場合、選択部32は左電子ミラー21Lを選択する。
表示制御部33は、車両10が他車両を追い越すための加速によって速度の規定に違反すると予測するときに、選択部32が選択した電子ミラー21へ交通規則に関する情報(法定速度や制限速度)を表示する。
【0026】
一例として、交通規則は車線変更禁止である。
運転者が車両10を旋回させる操作の方向が車線変更禁止の交通規則に違反する方向であるとき、表示制御部33は選択部32が選択した右電子ミラー21R左電子ミラー21Lのいずれかに交通規則に関する情報(車線変更禁止)を表示する。例えば、車線変更禁止を示すラインが車両の右側の路面に描かれているとき、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の右方向であると記憶する。判定部31は運転者が車両10を右へ旋回させる操作がはみ出し禁止の交通規則に違反すると判断する。この場合、選択部32は右電子ミラー21Rを選択する。
例えば、車線変更禁止を示すラインが車両の左側の路面に描かれているとき、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の左方向であると記憶する。判定部31は運転者が車両10を左へ旋回させる操作がはみ出し禁止の交通規則に違反すると判断する。この場合、選択部32は左電子ミラー21Lを選択する。
一例として、交通規則は駐停車禁止である。
運転者が車両10を道路の端へ寄せる操作が駐停車禁止の交通規則に違反するとき、表示制御部33は選択部32が選択した右電子ミラー21Rまたは左電子ミラー21Lのいずれかに交通規則に関する情報(駐停車禁止)を表示する。
例えば、駐停車禁止を示す標識が車両の右側にあるとき、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の右方向であると記憶する。判定部31は運転者が車両10を右へ旋回させる操作が駐停車禁止の交通規則に違反すると判断する。選択部32は右電子ミラー21Rを選択する。
例えば、駐停車禁止を示す標識が車両の左側にあるとき、交通規則情報取得部25は、交通規則に違反する方向が車両10の左方向であると記憶する。判定部31は運転者が車両10を左へ旋回させる操作が駐停車禁止の交通規則に違反すると判断する。選択部32は左電子ミラー21Lを選択する。
【0027】
図4は、交通規則の情報提供のフローチャートである。車載情報処理装置20は、次のステップS101~S111の処理を繰り返し実行する。
【0028】
ステップS101: 交通規則情報取得部25は、車両10の位置情報や、車両10の周辺を撮影した画像などを取得し、車両10の周辺に関する情報を取得する。例えば、交通規則情報取得部25は、ナビゲーションユニット14から交通規則を取得する。例えば、交通規則情報取得部25は、車両10が走行している道路の画像からはみ出し禁止区間であることを示す標識や区画線、路面に印刷された文字などを認識する。その後、ステップS102に進む。
ステップS102: 特定部34は、ステップS101で取得した情報に基づいて車両周辺の交通規則を参照し、交通規則に違反する方向が車両10の右方向か左方向かを特定する。その後、ステップS103に進む。
【0029】
ステップS103: 車両情報取得部23は、各種センサからステアリング操作、ウインカー操作に関する情報を取得する。その後、ステップS104に進む。
ステップS104: 判定部31は、ステップS103で取得した情報に基づいてステアリングが所定の値よりも大きい角度に操作されたかどうかを判定する。YesであればステップS106に進み、NoであればステップS105に進む。
【0030】
ステップS105: 判定部31は、ステップS103で取得した情報に基づいてウインカーが操作されたかどうかを判定する。ウインカーが操作されていない場合、処理を終了する。すなわち、車両が走行する道路に交通規則があったとしても、運転者がその規則に違反する操作を行わないならば警告を表示しない。このため、ディスプレイの消費電力を抑えることができる。もしウインカーが操作された場合、ステップS106に進む。
【0031】
ステップS106: 判定部31は、ステップS102で特定した交通規則に違反する方向を読み出して、ステアリングまたはウインカーが操作された方向が交通規則に違反する方向かどうかを判定する。判定結果がNoであれば、処理を終了する。判定結果がYesであればステップS107に進む。
【0032】
ステップS107: 表示制御部33は、該当する違反に応じて表示する警告を決定する。その後、ステップS108に進む。
ステップS108: 判定部31は、ステップS103で取得した車両情報から車両10が制限速度または法定速度を超過する可能性があるかどうかを判定する。判定結果がYesであればステップS109に進む。判定結果がNoであればステップS110に進む。
【0033】
ステップS109: 表示制御部33は、現在の速度の条件(制限速度又は法定速度)を表示するための警告を決定する。その後、ステップS110に進む。
ステップS110: 選択部32は、ステアリングまたはウインカー操作に対応する方向に存在する電子ミラー21を選択する。その後ステップS111に進む。
ステップS111: 表示制御部33は、ステップS107およびステップS109で選択した電子ミラー21に警告を表示する。
【0034】
図5は、交通規則の情報を運転者へ提供する例である。
図5では、交通規則「はみ出し禁止区間」、「車線変更禁止区画」、「進入禁止」、「右折禁止」、「左折禁止」、「Uターン禁止」、「速度超過」、「駐停車禁止」を例示するが、これに限らず任意の交通規則について情報提供可能である。
【0035】
交通規則が「はみ出し禁止区間」であり、はみ出し禁止区間がある方向への操作「ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は「はみ出し禁止区間」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラーに21に表示する。
交通規則が「はみ出し禁止区間」であり、はみ出し禁止区間がある方向への操作「ステアリング操作」を検知したとき、表示制御部33は「はみ出し禁止区間」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
【0036】
交通規則が「車線変更禁止区間」であり、操作「ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は、「車線変更禁止区間」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
交通規則が「車線変更禁止区間」であり、操作「ステアリング操作」を検知したとき、表示制御部33は、「車線変更禁止区間」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
【0037】
交通規則が「進入禁止」であり、操作「ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は、「進入禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
交通規則が「進入禁止」であり、操作「ステアリング操作」を検知したとき、表示制御部33は、「進入禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
【0038】
交通規則が「右折禁止」であり、操作「ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は、「右折禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。交通規則が左折禁止の場合も同様である。
交通規則が「右折禁止」であり、操作「ステアリング操作」を検知したとき、表示制御部33は、「右折禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。交通規則が左折禁止の場合も同様である。
【0039】
交通規則が「Uターン禁止」であり、操作「ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は、「Uターン禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
交通規則が「Uターン禁止」であり、操作「ステアリング操作」を検知したとき、表示制御部33は、「Uターン禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。
【0040】
交通規則が「速度超過」であり、操作「速度上限近傍+ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は、「速度上限」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。速度上限は、制限速度が設定されていれば制限速度であり、設定されていなければ法定速度である。ウインカー操作によって車両10が他の車両を追い越すことが示唆され、車両10が他の車両を追い越すために加速することで速度超過が予測されるためである。
【0041】
交通規則が「駐停車禁止」であり、操作「歩道側ウインカーON」を検知したとき、表示制御部33は、「駐停車禁止」を示す警告をウインカーが操作された方向の電子ミラー21に表示する。歩道側のウインカーONをトリガーとするこの警告は、選択部32により歩道側の電子ミラー21が選択されるため、歩道側の電子ミラー21に表示される。運転者から遠い助手席側であっても、助手席側の歩道に寄せて駐停車するときは、運転者が助手席側の電子ミラー21を確認する可能性が高いからである。
【0042】
上述してきたように、開示の車載情報処理装置20は、車両10が走行する道路の交通規則に関する情報を取得する交通規則情報取得部25と、前記車両10を旋回させる操作に関する情報を取得する車両情報取得部23と、前記操作が前記交通規則に違反するかどうかを判定する判定部31と、複数の電子ミラー21から前記操作に対応する方向の電子ミラー21を選択する選択部32と、前記電子ミラー21に前記交通規則に関する情報を表示するよう制御する表示制御部33と、を備え、前記表示制御部33は、前記操作が前記交通規則に違反するとき、前記交通規則に関する情報を前記選択した電子ミラー21に表示するよう制御する。
このため、車載情報処理装置20は、交通規則に関する情報を効率的に提供し、交通規則違反を抑制できる。運転者が交通規則に違反する動作を行う際に確認する電子ミラーに交通規則を表示することで、運転者にその操作が交通規則に違反する行為であることを効果的に知らせるからである。運転者が見ている電子ミラーを特定するための視線を検出することや、運転者の視線を誘導するために複数の電子ミラーを使うことが不要なため、消費電力を抑えることができる。
【0043】
車載情報処理装置20は、交通規則に関する情報に基づいて、前記交通規則に違反する方向を特定する特定部34を備え、前記選択部32は、前記車両10を旋回させる操作の方向が前記交通規則に違反する方向への操作であるとき、前記車両10を旋回させる操作の方向に対応する電子ミラー21として前記車両の左側に設けられた左電子ミラーまたは前記車両の右側に設けられた右電子ミラーを選択する。このため、交通規則に違反する左右旋回を効率的に抑制できる。
【0044】
前記交通規則は右折禁止および/または左折禁止であり、前記選択部32は、前記車両10を右方向へ旋回させる操作が右折禁止の交通規則に違反する方向であるとき、前記右電子ミラー21Rを選択し、前記車両を左方向へ旋回させる操作が左折禁止の交通規則に違反する方向であるとき、前記左電子ミラー21Lを選択する。このため、運転者が確認する可能性の高い電子ミラー21への情報表示を行い、交通規則違反を効率的に抑制する。
【0045】
前記選択部32は、前記操作がはみ出し禁止の交通規則に違反するとき、前記操作に対応する方向の前記電子ミラー21を選択する。このため、追い越しと速度超過に関する違反を効率的に抑制できる。
【0046】
前記交通規則は車線変更禁止であり、前記選択部32は、前記車両10を右車線に移動させる操作が前記車線変更禁止の交通規則に違反するとき、前記右電子ミラー21Rを選択し、前記車両10を左車線に移動させる操作が前記車線変更禁止の交通規則に違反するとき、前記左電子ミラー21Lを選択する。このため、車線変更に関する違反を効率的に防止できる。
前記交通規則は駐停車禁止であり、前記選択部32は、前記車両10を道路の端へ移動させる操作が前記駐停車禁止の交通規則に違反するとき、前記車両を道路の端へ移動させる操作の方向に対応する電子ミラー21を選択する。このため、駐停車禁止に関する違反を効率的に防止できる。
【0047】
前記車両10の後側方を撮影した画像を取得する画像取得部22をさらに備え、前記表示制御部33は、前記画像を常に前記電子ミラー21に表示させ、前記操作が前記交通規則に違反するとき、前記画像に前記交通規則に関する情報を一時的に重畳して電子ミラー21に表示する。このため、電子ミラー21としての機能を確保しつつ、効率規則違反を抑制できる。
【0048】
前記車両を旋回させる操作に関する情報として、ステアリング操作の情報と、ウインカーランプ操作の情報のうち少なくともいずれかを取得する。このため、車両10が左右に旋回する操作を確実に検知し、左右旋回に関する違反の抑制を実現できる。
【0049】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。例えば、警告や情報提供には、標識の画像、単語、文章、画像内の要素の強調など任意の手法を用いることができる。標識の画像などを重畳する場合には、カメラ11が撮影した画像における重要な情報を損なわない位置に表示することが好適である。例えば、撮影した画像内における自車両の車体部分、路面以外の部分、表示が義務付けられた範囲の外側などを用いればよい。
また、車載情報処理装置20は電子ミラー21を有しなくてもよい。例えば、電子ミラー21は車載情報処理装置20に接続されて、表示制御部33が電子ミラー21を制御してもよい。
10:車両、11:カメラ、13:駆動制御ユニット、ナビゲーションユニット、20:車載情報処理装置、21:電子ミラー、22:画像取得部、23:車両情報取得部、24:制御部、25:交通規則情報取得部、31:判定部、32:選択部、33:表示制御部、34:特定部、41:速度検知部、42:ステアリング角検出部、43:方向指示器状態検出部