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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079232
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】測距装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240604BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20240604BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20240604BHJP
   G02B 6/124 20060101ALI20240604BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240604BHJP
   G02B 6/34 20060101ALI20240604BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240604BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S17/34
H01S5/022
G02B6/124
G02B6/12 301
G02B6/34
G02B6/42
G02B6/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192058
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 雄也
(72)【発明者】
【氏名】安 陽太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】蛯子 芳樹
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5F173
5J084
【Fターム(参考)】
2H137AA14
2H137AB12
2H137BA34
2H137BA48
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB25
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC08
2H137CA12F
2H137CC05
2H137DA39
2H137DB08
2H137DB09
2H137DB16
2H137HA01
2H137HA05
2H147AA02
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB11
2H147AB15
2H147AC01
2H147AC04
2H147BA05
2H147BC03
2H147BC05
2H147BD10
2H147BE01
2H147BE13
2H147BG04
2H147CA08
2H147CA13
2H147CA27
2H147CC02
2H147CC14
2H147CD02
2H147CD12
2H147DA09
2H147DA10
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147FD14
2H147FD15
2H147GA06
2H147GA10
2H147GA19
2H147GA26
5F173AC03
5F173AC13
5F173MA10
5F173MC01
5F173MC12
5F173ME47
5F173MF25
5F173MF27
5F173MF39
5F173MF40
5J084AA05
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5J084AD08
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA48
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5J084BB14
5J084BB34
5J084BB40
5J084CA08
5J084CA33
5J084CA42
5J084CA49
5J084CA69
5J084EA18
(57)【要約】
【課題】発熱等に起因する動作の不安定化を抑制することの可能な測距装置を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係る測距装置は、光信号を出力する光源を有する半導体基板と、PIC基板と、信号処理基板とを備える。信号処理基板上にPIC基板および半導体基板がこの順に積層される。半導体基板と信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を出力する光源を有する半導体基板と、
前記光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、前記チャープ信号を伝送する第1の導波路と、前記チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、前記送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、前記基準信号および前記戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成されたPIC(Photonic Integration Circuit)基板と、
前記ビート信号をAD変換するコンバータと、前記コンバータによって生成されるデジタルの前記ビート信号を処理する信号処理部と、前記光源、前記モデュレータおよび前記信号生成部を制御する制御部とが形成された信号処理基板と
を備え、
前記信号処理基板上に前記PIC基板および前記半導体基板がこの順に積層され、
前記半導体基板と前記信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される
測距装置。
【請求項2】
前記光源と前記制御部とを電気的に接続する第1配線を備え、
前記第1配線は、前記ビアとして、前記半導体基板内に設けられた第1ビアと、前記半導体基板、前記PIC基板および前記信号処理基板内に設けられた第2ビアとを有する
請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記光源と電気的に接続された第1の放熱部材を更に備え、
前記第1の放熱部材は、前記半導体基板内に形成された第3ビアと、前記第3ビアに接続され、前記半導体基板の表面に配置された第1配線層とを有する
請求項1に記載の測距装置。
【請求項4】
前記PIC基板は、前記光源と対向する箇所に、前記光源から出力された前記光信号を前記モデュレータに導く回折格子を有する
請求項1に記載の測距装置。
【請求項5】
前記PIC基板は、前記光源と対向する箇所に第2の放熱部材を有する
請求項1に記載の測距装置。
【請求項6】
光信号を出力する光源チップと、
前記光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、前記チャープ信号を伝送する第1の導波路と、前記チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、前記送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、前記基準信号および前記戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成されたPIC(Photonic Integration Circuit)基板と、
前記ビート信号をAD変換するコンバータと、前記コンバータによって生成されるデジタルの前記ビート信号を処理する信号処理部と、前記光源チップ、前記モデュレータおよび前記信号生成部を制御する制御部とが形成された信号処理基板と
を備え、
前記PIC基板は、前記光源チップを収容する凹部もしくは切り欠き部を有し、
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面には、前記第1の導波路の端部が露出しており、
前記光源チップは、前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面に露出する、前記第1の導波路の端部に前記光信号が入射するように、前記凹部内もしくは前記切り欠き部内に実装され、
前記信号処理基板上に前記PIC基板が積層され、
前記光源チップと前記信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される
測距装置。
【請求項7】
前記光源チップと前記制御部とを電気的に接続する第1配線を備え、
前記第1配線は、前記ビアとして、前記PIC基板および前記信号処理基板内に設けられた第1ビアを有する
請求項6に記載の測距装置。
【請求項8】
前記PIC基板は、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面に設けられた溝部を有し、
前記溝部は、平面視において、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面のうち、少なくとも前記第1の導波路と前記光源チップとの間の領域に設けられる
請求項6に記載の測距装置。
【請求項9】
前記信号処理基板は、前記コンバータ、前記信号処理部および前記制御部が形成されたSi基板と、前記Si基板上に設けられた層間絶縁膜とを有し、
前記PIC基板および前記信号処理基板は、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面に設けられ、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面から前記層間絶縁膜を貫通する深さの溝部を有し、
前記溝部は、平面視において、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面のうち、少なくとも前記第1の導波路と前記光源チップとの間の領域に設けられる
請求項6に記載の測距装置。
【請求項10】
前記凹部もしくは前記切り欠き部および前記溝部を埋め込む樹脂部材を備えた
請求項8に記載の測距装置。
【請求項11】
前記凹部もしくは前記切り欠き部および前記溝部を埋め込む樹脂部材を備えた
請求項9に記載の測距装置。
【請求項12】
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面のうち、前記光信号が入射する面が、前記光源チップの光出射面に対して正対せず、斜めに対向するように設けられる
請求項6に記載の測距装置。
【請求項13】
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面のうち、前記光信号が入射する面を覆う反射防止膜を備えた
請求項6に記載の測距装置。
【請求項14】
光信号を出力する光源チップと、
前記光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、前記チャープ信号を伝送する第1の導波路と、前記チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、前記送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、前記基準信号および前記戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成されたPIC(Photonic Integration Circuit)基板と、
前記ビート信号をAD変換するコンバータと、前記コンバータによって生成されるデジタルの前記ビート信号を処理する信号処理部と、前記光源チップ、前記モデュレータおよび前記信号生成部を制御する制御部とが形成された信号処理基板と
を備え、
前記PIC基板は、前記光源チップを収容する凹部もしくは切り欠き部を有し、
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面には、前記第1の導波路の端部が露出しており、
前記光源チップは、前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面に露出する、前記第1の導波路の端部に前記光信号が入射するように、前記凹部内もしくは前記切り欠き部内に実装され、
前記信号処理基板上に前記PIC基板が積層され、
前記光源チップと前記PIC基板とは、前記信号処理基板と前記PIC基板との間に設けられた銅パッド同士を互いに接合することにより、電気的に接続される
測距装置。
【請求項15】
前記光源チップと前記制御部とを電気的に接続する第2配線を備え、
前記第2配線は、前記銅パッドと、前記光源チップと前記銅パッドとを電気的に接続する接続配線層とを有する
請求項14に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバの代わりに、SOI(Silicon on Insulator)基板上にSi導波路等の光学部品を積層したPIC(Photonic Integration Circuit)を用いたLiDAR(Light Detection and Ranging)システムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-121691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムでは、光源であるレーザの発熱等に起因して動作が不安定になることがある。従って、発熱等に起因する動作の不安定化を抑制することの可能な測距装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の側面に係る測距装置は、半導体基板と、PIC基板と、信号処理基板とを備える。半導体基板は、光信号を出力する光源を有する。PIC基板は、光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、チャープ信号を伝送する第1の導波路と、チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、基準信号および戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成された基板である。信号処理基板は、ビート信号をAD変換するコンバータと、コンバータによって生成されるデジタルのビート信号を処理する信号処理部と、光源、モデュレータおよび信号生成部を制御する制御部とが形成された基板である。ここで、信号処理基板上にPIC基板および半導体基板がこの順に積層される。半導体基板と信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される。
【0006】
本開示の第2の側面に係る測距装置は、光信号を出力する光源チップと、PIC基板と、信号処理基板とを備える。PIC基板は、光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、チャープ信号を伝送する第1の導波路と、チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、基準信号および戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成された基板である。信号処理基板は、ビート信号をAD変換するコンバータと、コンバータによって生成されるデジタルのビート信号を処理する信号処理部と、光源チップ、モデュレータおよび信号生成部を制御する制御部とが形成された基板である。ここで、PIC基板は、光源チップを収容する凹部もしくは切り欠き部を有する。凹部もしくは切り欠き部の内面には、第1の導波路の端部が露出している。光源チップは、凹部もしくは切り欠き部の内面に露出する、第1の導波路の端部に光信号が入射するように、凹部内もしくは切り欠き部内に実装される。信号処理基板上にPIC基板が積層される。光源チップと信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される。
【0007】
本開示の第3の側面に係る測距装置は、光信号を出力する光源チップと、PIC基板と、信号処理基板とを備える。PIC基板は、光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、チャープ信号を伝送する第1の導波路と、チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、基準信号および戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成された基板である。信号処理基板は、ビート信号をAD変換するコンバータと、コンバータによって生成されるデジタルのビート信号を処理する信号処理部と、光源チップ、モデュレータおよび信号生成部を制御する制御部とが形成された基板である。ここで、PIC基板は、光源チップを収容する凹部もしくは切り欠き部を有する。凹部もしくは切り欠き部の内面には、第1の導波路の端部が露出している。光源チップは、凹部もしくは切り欠き部の内面に露出する、第1の導波路の端部に光信号が入射するように、凹部内もしくは切り欠き部内に実装される。信号処理基板上にPIC基板が積層される。光源チップとPIC基板とは、信号処理基板とPIC基板との間に設けられた銅パッド同士を互いに接合することにより、電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る測距装置の概略構成例を表す図である。
図2図1の測距装置の平面構成例を表す図である。
図3図2のA-A線での断面構成例を表す図である。
図4図2のB-B線での断面構成例を表す図である。
図5図2のC-C線での断面構成例を表す図である。
図6図1のアンテナの概略構成例を表す図である。
図7図6のA-A線での断面構成例を表す図である。
図8図6のB-B線での断面構成例を表す図である。
図9図1のディテクタの概略構成例を表す図である。
図10図9のディテクタの斜視構成例を表す図である。
図11図1の測距装置の製造方法について説明するための断面図である。
図12図11に続く製造方法について説明するための断面図である。
図13図12に続く製造方法について説明するための断面図である。
図14図13に続く製造方法について説明するための断面図である。
図15図14に続く製造方法について説明するための断面図である。
図16図15に続く製造方法について説明するための断面図である。
図17図16に続く製造方法について説明するための断面図である。
図18図16に続く製造方法について説明するための断面図である。
図19図17に続く製造方法について説明するための断面図である。
図20図18に続く製造方法について説明するための断面図である。
図21図5の断面構成の一変形例を表す図である。
図22図4の断面構成の一変形例を表す図である。
図23図2の平面構成の一変形例を表す図である。
図24図23のA-A線での断面構成例を表す図である。
図25】本開示の第2の実施の形態に係る測距装置の概略構成例を表す図である。
図26図25の測距装置の平面構成例を表す図である。
図27図26のA-A線での断面構成例を表す図である。
図28図26のB-B線での断面構成例を表す図である。
図29図26のC-C線での断面構成例を表す図である。
図30図29の断面構成の一変形例を表す図である。
図31図28の断面構成の一変形例を表す図である。
図32図28の断面構成の一変形例を表す図である。
図33図32図34の溝部の配置の一例を表す図である。
図34図32図34の溝部の配置の一例を表す図である。
図35図32図34の溝部の配置の一例を表す図である。
図36図31の断面構成の一変形例を表す図である。
図37図32の断面構成の一変形例を表す図である。
図38図28の断面構成の一変形例を表す図である。
図39図29の断面構成の一変形例を表す図である。
図40図28の断面構成の一変形例を表す図である。
図41図29の断面構成の一変形例を表す図である。
図42図38図41の凹部に溝部を設けた例を表す図である。
図43図38図41の凹部に溝部を設けた例を表す図である。
図44図38図41の凹部に溝部を設けた例を表す図である。
図45図28の断面構成の一変形例を表す図である。
図46図29の断面構成の一変形例を表す図である。
図47図46の断面構成の一変形例を表す図である。
図48図26の凹部の平面構成の一変形例を表す図である。
図49図28の凹部の断面構成の一変形例を表す図である。
図50図26の凹部およびレーザチップの平面構成の一変形例を表す図である。
図51図28の凹部の断面構成の一変形例を表す図である。
図52図26の凹部の平面構成の一変形例を表す図である。
図53図52のA-A線での断面構成例を表す図である。
図54】(A)図53の凹部およびレーザチップの平面構成例を表す図である。(B)図53の凹部の底面の構成例を表す図である。(C)図53のレーザチップの底面の構成例を表す図である。
図55図28の凹部の断面構成の一変形例を表す図である。
図56図28の第1ダイの断面構成の一変形例を表す図である。
図57図28の第1ダイの断面構成の一変形例を表す図である。
図58図28の第1ダイの断面構成の一変形例を表す図である。
図59】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図60】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(図1図20
レーザ基板、PIC基板および信号処理基板をTCV(Through Chip Via)
接続で積層した例
2.第1の実施の形態の変形例
変形例2-1:レーザダイオードのアノードおよびカソードを
信号処理基板の金属配線に接続した例(図21
変形例2-2:レーザダイオードの直下に放熱構造を設けた例(図22
変形例2-3:レーザダイオードの直上に放熱構造を設けた例(図23図24
3.第2の実施の形態(図25図29
レーザチップをPIC基板上に実装した例
4.第2の実施の形態の変形例
変形例4-1:レーザチップのアノードおよびカソードを
信号処理基板の金属配線に接続した例(図30
変形例4-2:PIC基板の凹部の底面に溝部を設けた例(図31図37
変形例4-3:PIC基板の凹部にビアを設けた例(図38図39
変形例4-4:PIC基板および信号処理基板をCu-Cu接続で
積層した例(図40図44
変形例4-5:信号処理基板とPIC基板とをワイヤボンディングで
接続する例(図45図47
変形例4-6:PIC基板の凹部の光入射面またはレーザチップの光出射端面に
戻り光対策を設けた例(図48図50
変形例4-7:PIC基板の凹部の底面にアライメント構造を
設けた例(図51図54
変形例4-8:PIC基板の凹部の底面にレーザチップの高さ調整部材を
設けた例(図55
変形例4-9:PIC基板に、レーザ光を取り込むための専用の導波路を
設けた例(図56
変形例4-10:PIC基板に、切り欠き部を設けた例(図57図58
5.適用例(図59図60
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る測距装置1000の概略構成例を表したものである。図2は、測距装置1000の平面構成例を表したものである。図3は、図2のA-A線での断面構成例を表したものである。図4は、図2のB-B線での断面構成例を表したものである。図5は、図2のC-C線での断面構成例を表したものである。
【0011】
測距装置1000は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式のLiDARである。FMCW LiDARでは、時間の経過に応じて周波数が直線的に上昇するように変調を行ったレーザ光(送信信号)を連続的に照射し、送信信号と反射光(戻り信号)との周波数差から距離が求められる。
【0012】
測距装置1000は、例えば、図1に示したように、第1ダイ100、第2ダイ200および第3ダイ300を備える。第1ダイ100および第2ダイ200は、第3ダイ300上に積層され、第1ダイ100と第3ダイ300との接合面S1と、第2ダイ200と第3ダイ300との接合面S2とを介して互いに電気的に接続される。第2ダイ200の上面が入出射面S3となっている。
【0013】
(第2ダイ200)
第2ダイ200は、例えば、図1に示したように、レーザ210を有する。第2ダイ200において、レーザ210は半導体基板201に形成される。
【0014】
レーザ210は、光信号を出力する光源である。レーザ210は、垂直共振器型の面発光型半導体レーザ(VCSEL;Vertical Cavity Surface Emitting Laser)であり、後述のコントローラ310による制御に従って、所定の固定波長(例えば、1550nm)のレーザ光L(光信号)を出射する。面発光型半導体レーザは、例えば、活性層と、活性層を厚さ方向から挟み込む一対のDBR(distributed Bragg reflector)層とを含んで構成される。面発光型半導体レーザは、例えば、図3に示したように、一方のDBRとオーミック接続されるコンタクト層211と、他方のDBRとオーミック接続されるコンタクト層212とを有する。面発光型半導体レーザは、コンタクト層212および接合面S2を介して、第1ダイ100(後述のSi層101)に向かってレーザ光Lを出射する。
【0015】
第2ダイ200は、レーザ210と第3ダイ300(信号処理回路)とを電気的に接続する配線を有する。第2ダイ200は、例えば、図2図5に示したように、上記配線として、コンタクト層211に接する配線410と、コンタクト層212に接する配線420とを有する。配線410,420は、本開示の一実施の形態にかかる「第1配線」の一具体例に相当する。配線410,420において、一方の配線がレーザ210のカソードの配線であり、他方の配線がレーザ210のアノードの配線である。以下では、配線410がレーザ210のカソードの配線であり、配線420がレーザ210のアノードの配線であるものとする。なお、レーザ210の構造に応じて、配線410がレーザ210のアノードの配線となってもよいし、配線420がレーザ210のカソードの配線となってもよい。
【0016】
配線410は、例えば、図2図4に示したように、ビア411、ビア412および配線層413を有する。配線420は、例えば、図2図3図5に示したように、ビア421、ビア422および配線層423を有する。配線410および配線420は、例えばCu(銅)によって構成される。第2ダイ200(レーザ210)は、配線410,420を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。
【0017】
ビア411は、コンタクト層211と配線層413とに接する。ビア411は、半導体基板201内に設けられ、半導体基板201の積層方向に延在する。ビア411は、例えば、半導体基板201に設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。ビア412は、配線層413と後述の層間絶縁膜302内の配線層(例えば、Cu)とに接する。この配線層は、例えば、コントローラ310に電気的に接続される。ビア412は、第1ダイ100、第2ダイ200および第3ダイ300内に設けられ、半導体基板201から層間絶縁膜302に渡って延在する。ビア412は、例えば、半導体基板201から層間絶縁膜302に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層413は、半導体基板201の表面に配置され、ビア411とビア412とに接する。配線層413は、メタル(例えば、Cu)によって構成される。
【0018】
ビア421は、コンタクト層212と配線層423とに接する。ビア421は、半導体基板201内に設けられ、半導体基板201の積層方向に延在する。ビア421は、例えば、半導体基板201に設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。ビア422は、配線層423とSi基板301とに接する。ビア422は、第1ダイ100、第2ダイ200および第3ダイ300内に設けられ、半導体基板201から層間絶縁膜302に渡って延在する。ビア422は、例えば、半導体基板201から層間絶縁膜302に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層423は、半導体基板201の表面に配置され、ビア421とビア422とに接する。配線層423は、メタル(例えば、Cu)によって構成される。
【0019】
第2ダイ200および第1ダイ100は、さらに、例えば、後述のディテクタ160と第3ダイ300(信号処理回路)とを電気的に接続する配線430を有する。配線430は、例えば、図2図4に示したように、ビア431、ビア432および配線層433を有する。配線430は、例えばCuによって構成される。第1ダイ100(ディテクタ160)は、配線430を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。
【0020】
ビア431は、層間絶縁膜302内の配線層(例えば、Cu)と配線層433とに接する。この配線層は、例えば、コントローラ310に電気的に接続される。ビア431は、半導体基板201から層間絶縁膜302に渡って延在する。ビア431は、例えば、半導体基板201から層間絶縁膜302に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。ビア432は、ディテクタ160に電気的に接続された、層間絶縁膜102内の配線層(例えば、Cu)と配線層433とに接する。ビア432は、半導体基板201から層間絶縁膜102に渡って延在する。ビア432は、例えば、半導体基板201から層間絶縁膜102に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層433は、半導体基板201の表面に配置され、ビア431とビア432とに接する。配線層433は、メタル(例えば、Cu)によって構成される。
【0021】
(第1ダイ100)
第1ダイ100は、例えば、図1に示したように、モデュレータ110、スプリッタ120、サーキュレータ130、アンテナ140、カプラ150およびディテクタ160を有する。第1ダイ100において、モデュレータ110、スプリッタ120、サーキュレータ130、アンテナ140、カプラ150およびディテクタ160はPIC基板100A内に形成される。
【0022】
PIC基板100Aは、例えば、図3図5に示したように、Si層101と、Si層101を挟み込む層間絶縁膜102およびBOX(Buried Oxide)層103とを有する。PIC基板100Aは、後述のSOI基板106から後述のSi基板104を除去することにより得られる。BOX層103は、SiO2層によって構成される。層間絶縁膜102は、SOI基板106上に形成された層であり、積層された複数のSiO2層内に、パターニングされた複数の配線層と、配線層同士を接続するビアとが形成された構成となっている。層間絶縁膜102の表面は、第1ダイ100の底面となっている。層間絶縁膜102の表面は、第3ダイ300(層間絶縁膜302)の上面に接している。BOX層103の表面は、第1ダイ100の上面となっている。
【0023】
Si層101には、光導波路WG1,WG2,WG3が設けられる。光導波路WG1は、例えば、レーザ210の直下に対応する部分から、モデュレータ110、スプリッタ120およびサーキュレータ130を介してアンテナ140まで延在する。光導波路WG2は、スプリッタ120において光導波路WG1から分岐した光導波路であり、カプラ150の一方の入力端(後述の光導波路151)に連結される。光導波路WG3は、サーキュレータ130において光導波路WG1から分岐した光導波路であり、カプラ150の他方の入力端(後述の光導波路152)に連結される。
【0024】
光導波路WG1には、レーザ210から出射されたレーザ光Lが入射する。光導波路WG1のうち、レーザ210と対向する箇所(レーザ210の直下に対応する部分)には回折格子105が設けられる。回折格子105は、例えば、複数の溝もしくは貫通孔が数百nmピッチでSi層101に一列に並んで配置された素子である。回折格子105は、レーザ210から出射されたレーザ光Lを光導波路WG1内に導く。光導波路WG1を伝搬するレーザ光Lがモデュレータ110に入力される。つまり、回折格子105は、レーザ210から出射されたレーザ光Lをモデュレータ110に導く。
【0025】
モデュレータ110は、コントローラ310による制御に従って、レーザ光Lを周波数変調する。モデュレータ110は、例えば、時間の経過に応じて周波数が直線的に上昇するようにレーザ光Lを変調し、その後、時間の経過に応じて周波数が直線的に下降するようにレーザ光Lを変調する。モデュレータ110は、例えば、このような周波数の直線的な上昇および下降を周期的に繰り返し、それにより生成された送信信号Stxを、光導波路WG1を介してスプリッタ120に出力する。送信信号Stxは、モデュレータ110によってレーザ光Lが周波数変調されることにより得られたチャープ信号である。光導波路WG1は、チャープ信号を伝送する。モデュレータ110は、例えば、Si層101に形成されている。モデュレータ110は、例えば、Si導波路が2つに分岐したマッハゼンダー干渉計で形成されている。このとき、モデュレータ110は、分岐した一方の導波路に、PN junctionを形成して、そのPN Junctionに交流波形の電圧を印可し、キャリアプラズマ効果により屈折率を変更することによって光の位相を変えた信号を生成する。モデュレータ110は、生成した信号波形と元の信号波形とを干渉計の出口で合派することによって、元の信号に対して位相を変調することができる。
【0026】
スプリッタ120は、送信信号Stxを、ターゲットTGに照射するための送信信号Stx(送信信号Stx1)と、カプラ150で戻り信号Srxと干渉させるための送信信号Stx(送信信号Stx2)とに分割する。送信信号Stx1は、送信信号Stxのエネルギーのほとんどを有する。送信信号Stx2は、送信信号Stx1のエネルギーよりもはるかに小さなエネルギー量であるが、カプラ150で戻り信号Srxと干渉させるには十分なエネルギー量を有する基準信号である。戻り信号Srxは、送信信号Stx1との関係で位相が遅延した信号に相当する。戻り信号Srxは、送信信号StxがターゲットTGで反射されることにより生成される。
【0027】
スプリッタ120は、3ポートを有する素子である。スプリッタ120において、第1のポートおよび第3のポートは、光導波路WG1内に存在している。第2のポートは光導波路WG2内に存在する。光導波路WG2は、光導波路WG1のうち、第1のポートと第3のポートとの間の部分に近接して配置される。これにより、光導波路WG1を伝搬する光信号が光導波路WG2に漏れ出る。光導波路WG1から光導波路WG2に漏れ出た光信号が送信信号Stx2として光導波路WG2を伝搬する。光導波路WG2は、送信信号Stx2を伝送する。
【0028】
サーキュレータ130は、3ポートを有する素子であり、第1のポートから入射した送信信号Stx1を第3のポートへ伝送し、第3のポートから入射した戻り信号Srxを第2のポートへ伝送する。サーキュレータ130において、第1のポートには光導波路WG1が連結されており、第2のポートには光導波路WG2が連結されている。第3のポートには、アンテナ140から延在する光導波路が連結される。サーキュレータ130は、例えば、送信する光信号とSiアンテナ141から受信した光信号を整流する働きをする。サーキュレータ130では、送信信号および受信信号はSiで形成された光導波路が分岐する構造により、それぞれの分岐で50%、50%で信号強度がわかれる。この半分の信号を取り扱うことによって、送信光と受信光を分けることができる。
【0029】
アンテナ140は、駆動部を有しないメカレススキャナである。アンテナ140は、送信信号Stx1を、レンズ220を介してターゲットTGに向けて送信するとともに、戻り信号Srxを、レンズ220を介して受信する。レンズ220は、第2ダイ200の表面のうち、Siアンテナ141と対向する領域(入出射面S3)に貼り合わされる。入出射面S3から送信信号Stx1が出射され、入出射面S3には戻り信号Srxが入射する。入出射面S3には、レンズ220が貼り合わされており、送信信号Stxはアンテナ140からレンズ220および入出射面S3を介して外部に出射され、戻り信号Srxは外部からレンズ220および入出射面S3を介してアンテナ140に入射する。
【0030】
アンテナ140は、例えば、図6に示したように、Siアンテナ141と、Siアンテナ141の両脇に設けられた一対のヒータ142とからなるアンテナ体を複数(例えば4つ)有する。各アンテナ体は、共通の方向に延在しており、複数のアンテナ体は、アンテナ体の延在方向と直交する方向に所定の間隔で並んで配置されている。
【0031】
Siアンテナ141は、Si層101に設けられた回折格子によって構成される。回折格子は、例えば、複数の溝もしくは貫通孔が数百nmピッチでSi層101に一列に並んで配置された素子である。Siアンテナ141は、コントローラ310による制御に従って、回折格子のピッチに応じてある場所にピークを持つ送信信号Stx1をSi層101の表面に対して所定の角度で出射する。ヒータ142は、Siアンテナ141に沿って延在する抵抗素子である。ヒータ142は、コントローラ310からの制御に従って抵抗素子に電流が印可され、それによる抵抗素子の発熱により、Siアンテナ141を加熱する。Siアンテナ141では、ヒータ142による加熱により屈折率が変化し、屈折率の変化に応じた角度で送信信号Stx1が出射される。つまり、Siアンテナ141は、コントローラ310による制御に従って、送信信号Stx1を外部の所定の領域においてスイープする。
【0032】
4つのアンテナ体が設けられている場合に、アンテナ140は、さらに、例えば、図6に示したように、アンテナ体ごとに1つずつ設けられた4つの光スイッチ143と、2つの光スイッチ143ごとに1つずつ設けられた2つの光スイッチ144とを有する。各光スイッチ143は、2つの端子(第1の端子、第2の端子)の間にある光導波路を継断するスイッチである。各光スイッチ144は、2つの端子(第3の端子、第4の端子)の間にある光導波路を継断するスイッチである。アンテナ140は、さらに、例えば、図6に示したように、2つの光スイッチ144に連結された1つの光スイッチ145を有する。各光スイッチ145は、2つの端子(第5の端子、第6の端子)の間にある光導波路を継断するスイッチである。
【0033】
各光スイッチ143において、第1の端子はアンテナ体に連結され、第2の端子は他の光スイッチ143の第2の端子と、光スイッチ144の第3の端子とに連結される。各光スイッチ144において、第3の端子は2つの光スイッチ143の第2の端子に連結され、第4の端子は他の光スイッチ144の第4の端子と、光スイッチ145の第5の端子とに連結される。光スイッチ145において、第5の端子は2つの光スイッチ144の第4の端子に連結されており、第6の端子はサーキュレータ130の第2のポートに連結される。
【0034】
アンテナ体は、例えば、図7図8に示したように、Si層101に設けられた回折格子によって構成される。図7は、図6のアンテナ体のA-A線での断面構成例を表したものである。図8は、図6のアンテナ体のB-B線での断面構成例を表したものである。回折格子は、例えば、図7図8に示したように、複数の溝が数百nmピッチでSi層101に一列に並んで配置された素子である。溝の深さは、例えば、数百nmとなっており、Si層101のうち、回折格子の下地に相当する部分の厚さは、例えば、数百nmとなっている。
【0035】
Siアンテナ141では、回折格子のピッチに応じてある場所にピークを持つ送信信号Stx1がSi層101の表面に対して所定の角度で出射される。ヒータ142は、Siアンテナ141に沿って延在する抵抗素子である。ヒータ142は、コントローラ310からの制御に従って抵抗素子に電流が印可され、それによる抵抗素子の発熱により、Siアンテナ141を加熱する。Siアンテナ141では、ヒータ142による加熱により屈折率が変化し、屈折率の変化に応じた角度で送信信号Stx1が出射される。
【0036】
アンテナ140は、コントローラ310からの制御に従って、4つの光スイッチ143、2つの光スイッチ144および1つの光スイッチ145のオンオフを行う。それにより、アンテナ140は、各アンテナ体から所定の方向に送信信号Stx1を出射するとともに、外部から入射する戻り信号Srxを受信する。
【0037】
カプラ150は、送信信号Stx2と戻り信号Srxとの干渉により、ビート信号Sbtを生成する素子である。ビート信号Sbtの周波数は、送信信号Stx2と戻り信号Srxとの周波数差に応じて変化する。周波数差は、Siアンテナ141からターゲットTGまでの距離に応じて変化する。従って、ビート信号Sbtの周波数に基づいて、Siアンテナ141からターゲットTGまでの距離が推定され得る。
【0038】
カプラ150は、例えば、図9に示したように、送信信号Stx2を伝搬させるための光導波路151と、戻り信号Srxを伝搬させるための光導波路152とを有する。光導波路151,152は、それぞれ、例えば、リブ型の導波路となっている。光導波路151の一部と光導波路152の一部とが互いに近接して配置されており、これにより、光導波路151を伝搬する送信信号Stx2と、光導波路152を伝搬する戻り信号Srxとが互いに干渉し合い、ビート信号Sbtが生成される。
【0039】
ディテクタ160は、コントローラ310による制御に従って、光導波路151,152から伝搬してきた信号からビート信号Sbtを抽出する素子である。カプラ150およびディテクタ160からなるモジュールが、本開示の一実施の形態に係る「ビート信号を生成する信号生成部」の一具体例に相当する。ディテクタ160は、例えば、図10に示したように、互いに直列に接続されたGePD161,162と、GePD161とGePD162との接続ノードに接続されたトランスインピーダンスアンプ(Transimpedance Amplifier)163とを有する。
【0040】
GePD161は、例えば、図9に示したように、光導波路151に結合されたPINフォトダイオードである。GePD162は、例えば、図9に示したように、光導波路152に結合されたPINフォトダイオードである。GePD161,162は、例えば、光導波路151,152に接続されたSiテラス部61と、Siテラス部61にBをイオン注入することにより形成されたp型Si層62とを有する。Siテラス部61および光導波路151,152は、共通のSi層101に形成されている。
【0041】
GePD161,162は、さらに、例えば、p型Si層62上に形成された島状i型Ge層63および二次元成長i型Ge層64と、二次元成長i型Ge層64にPをイオン注入することにより形成されたn型Ge層65とを有する。p型Si層62、島状i型Ge層63、二次元成長i型Ge層64およびn型Ge層65からなる積層体がPIN型フォトダイオードを構成する。このPIN型フォトダイオードでは、実効的にp型になり空乏層が形成されない島状i型Ge層63の厚さが薄く、厚い二次元成長i型Ge層64が空乏層となるので、感度が向上する。
【0042】
GePD161,162は、例えば、さらに、n型Ge層65に接するn側電極66と、p型Si層62に接するp側電極67とを有する。GePD161のp側電極67と、GePD162のn側電極66とが配線で接続されており、GePD161のp側電極67とGePD162のn側電極66とを接続する配線が、トランスインピーダンスアンプ163の入力端に接続されている。
【0043】
トランスインピーダンスアンプ163は、GePD161,162によって光電変換された電流信号をインピーダンス変換するとともに増幅し、電圧信号としてビート信号Sbtを出力する。
【0044】
(第3ダイ300)
第3ダイ300は、例えば、図1に示したように、コントローラ310、DAC320、ADC330およびFFT(fast Fourier transform)340を有している。FFT340が、本開示の一実施の形態に係る「ビート信号を処理する信号処理部」の一具体例に相当する。
【0045】
コントローラ310は、例えば、レーザ210、モデュレータ110、アンテナ140、ディテクタ160を制御するための制御信号を生成し、DAC320に出力する。コントローラ310は、さらに、例えば、ADC330を制御する制御信号を生成し、ADC330に出力する。DAC320は、コントローラ310から入力された制御信号をDA変換し、アナログの制御信号をレーザ210、モデュレータ110、アンテナ140、ディテクタ160に出力する。ADC330は、ディテクタ160から入力されたビート信号SbtをAD変換し、FFT340に出力する。FFT340は、ADC330から入力されたデジタルのビート信号Sbtに対してFFTを行い、それにより得られたパワースペクトラム密度に基づいて、ビート信号Sbtの周波数を導出する。FFT340は、導出した周波数についての情報(周波数情報)をコントローラ310に出力する。コントローラ310は、外部からの制御に従って、FFT340から入力された周波数情報を外部に出力する。
【0046】
第3ダイ300は、例えば、図3図5に示したように、Si基板301を有する。Si基板301には、例えば、コントローラ310、DAC320、ADC330およびFFT340などの信号処理回路が形成される。Si基板301上には層間絶縁膜302が形成される。層間絶縁膜302は、積層された複数のSiO2層内に、パターニングされた複数の配線層と、配線層同士を接続するビアとが形成された構成となっている。層間絶縁膜302には、信号処理回路内の配線・ビアや、信号処理回路と第1ダイ100および第2ダイ200とを電気的に接続するための配線・ビアなどが形成される。
【0047】
[製造方法]
次に、測距装置1000の製造方法について説明する。
【0048】
図11図20は、測距装置1000の製造過程を説明するための断面図である。まず、SOI基板106を用意する(図11)。SOI基板106は、Si基板104上にBOX層103およびSi層101がこの順に形成された基板である。次に、SOI基板106のSi層101に対して、光導波路WG1,WG2,WG3と、スプリッタ120と、サーキュレータ130と、Siアンテナ141と、カプラ150およびGePD161,162の一部(Siテラス部61,p型Si層62)とを形成する(図11)。次に、SOI基板106上に層間絶縁膜102を形成する(図11)。
【0049】
次に、SOI基板106と第3ダイ300とを、層間絶縁膜102の表面と層間絶縁膜302の表面とを互いに向き合わせて貼り合わせる(図11図12)。次に、SOI基板106におけるSi基板104を除去する(図13)。これにより、第3ダイ300上にPIC基板100Aが形成される。続いて、PIC基板100Aとレーザ基板230とを、BOX層103の表面と半導体基板201の表面とを互いに向き合わせて貼り合わせる(図14図15)。次に、レーザ基板230におけるSi基板202を除去する(図16)。これにより、第1ダイ100上に第2ダイ200が形成される。
【0050】
次に、半導体基板201にビアホールH1~H6を形成する(図17図18)。これにより、ビアホールH1の底面にコンタクト層211が露出し、ビアホールH2の底面にコンタクト層212が露出し、ビアホールH3の底面に層間絶縁膜302内の配線層が露出し、ビアホールH4の底面にSi基板301が露出する。さらに、ビアホールH5の底面に層間絶縁膜302内の配線層が露出し、ビアホールH6の底面にGePD161と電気的に接続された配線層が露出する。
【0051】
次に、ビアホールH1~H6内にメタルを埋め込む(図19図20)。これにより、ビア411,412,421,422,431,432が形成される。続いて、ビア411とビア412とを接続するメタルと、ビア421とビア422とを接続するメタルと、ビア431とビア432とを接続するメタルとを形成する(図19図20)。これにより、配線層413,423,433が形成される。最後に、レンズ220を設置する。このようにして、測距装置1000が製造される。
【0052】
[効果]
次に、測距装置1000の効果について説明する。
【0053】
本実施の形態では、第2ダイ200(レーザ210)が、配線410,420を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。さらに、第1ダイ100(ディテクタ160)が、配線430を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。これにより、レーザ210で発生した熱や、ディテクタ160で発生した熱を、配線410,420,430を介してSi基板301に排出することができる。その結果、レーザ210やディテクタ160の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0054】
本実施の形態では、配線410,420,430の一部がビア411,412,421,422,431,432によって構成される。これにより、パターニングで形成した配線層と比べて、配線410,420,430の断面積を大きくすることができるので、レーザ210で発生した熱や、ディテクタ160で発生した熱を効率良くSi基板301に排出することができる。その結果、レーザ210やディテクタ160の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0055】
本実施の形態では、PIC基板100Aにおいて、光導波路WG1、スプリッタ120、光導波路WG2,WG3、カプラ150およびGePD161,162が共通のSi層101に形成される。また、第3ダイ300(信号処理基板)に、コントローラ310、DAC320、ADC330およびFFT340が形成される。さらに、PIC基板100Aおよび第2ダイ200が第3ダイ300上に積層されており、配線410,420,430を介して第3ダイ300と電気的に接続される。これにより、光ファイバを介して複数のRF部品を結合したモジュールと比べて、小型化が可能である。小型化により、GePD161,162以降の電気信号の経路が短縮され、電気信号に対する外部ノイズの混入を低減することができる。
【0056】
本実施の形態では、送信信号Stx(チャープ信号)を生成するモデュレータ110と、送信信号Stxから分割された送信信号Stx1を外部に出射するとともに、外部からの戻り信号Srxを受信するSiアンテナ141とがSi層101に形成される。これにより、光ファイバを介して複数のRF部品を結合したモジュールと比べて、小型化が可能である。
【0057】
本実施の形態では、レーザ210と対向する箇所(レーザ210の直下)に、レーザ210から出射されたレーザ光Lを光導波路WG1内に導く回折格子105が設けられる。これにより、光ファイバを介して複数のRF部品を結合したモジュールと比べて、小型化が可能である。小型化により、レーザ光Lの伝搬経路が短縮され、レーザ光Lの損失を低減することができる。
【0058】
<2.第1の実施の形態の変形例>
次に、上記実施の形態に係る測距装置1000の変形例について説明する。
【0059】
[変形例2-1]
図21は、変形例に係る測距装置1000の断面構成例を表したものである。図21には、図5に記載の断面構成の一変形例が表される。上記実施の形態において、ビア422は、例えば、図21に示したように、配線層423と層間絶縁膜302内の配線層とに接していてもよい。このようにした場合であっても、レーザ210から発せられた熱を、ビア422を含む配線420を介してSi基板301に排出することができる。その結果、レーザ210の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0060】
[変形例2-2]
図22は、変形例に係る測距装置1000の断面構成例を表したものである。図22には、図5に記載の断面構成の一変形例が表される。上記実施の形態およびその変形例において、PIC基板100Aの層間絶縁膜102において、例えば、図22に示したように、レーザ210と対向する箇所(レーザ210の直下)に放熱部材107が設けられてもよい。放熱部材107は、例えば、メタル(例えば、Cu)によって構成されてもよい。放熱部材107は、例えば、層間絶縁膜102内の他の回路配線と同一層内に、層間絶縁膜102内の他の回路配線と同一材料によって形成されてもよい。放熱部材107は、測距装置1000における回路配線の一部であってもよいし、測距装置1000における回路配線として機能しない構成となっていてもよい。放熱部材107の電位を安定化するために、放熱部材107と定電位配線とを互いに接続する配線が層間絶縁膜102内に設けられてもよい。
【0061】
本変形例では、PIC基板100Aの層間絶縁膜102において、レーザ210と対向する箇所(レーザ210の直下)に放熱部材107が設けられる。これにより、レーザ210から発せられた熱を、放熱部材107を介してSi基板301に効率良く排出することができる。その結果、レーザ210の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0062】
[変形例2-3]
図23は、変形例に係る測距装置1000の平面構成例を表したものである。図24は、図23のA-A線での断面構成の一例を表したものである。上記実施の形態およびその変形例において、第2ダイ200は、例えば、図23図24に示したように、半導体基板201の表面に放熱部材440を有してもよい。放熱部材440は、配線410,420とは別個に設けられ、例えば、メタル(例えば、Cu)によって構成されてもよい。放熱部材440は、測距装置1000における回路配線の一部であってもよいし、測距装置1000における回路配線として機能しない構成となっていてもよい。図24には、放熱部材440が測距装置1000における回路配線の一部として機能しない構成となっている場合が例示される。
【0063】
放熱部材440は、例えば、ビア441および配線層442を有する。ビア441は、コンタクト層211と配線層442とに接する。ビア441は、半導体基板201内に設けられ、半導体基板201の積層方向に延在する。ビア441は、例えば、半導体基板201に設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層442は、メタル(例えば、Cu)で構成され、半導体基板201の表面に配置され、ビア441に接する。このようにした場合には、レーザ210から発せられた熱を、放熱部材440を介して外部に効率良く排出することができる。その結果、レーザ210の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0064】
<3.第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態に係る測距装置2000について説明する。以下では、上記実施の形態と共通の構成に対しては、共通の符号を付与するとともに、説明を適宜、省略するものとする。
【0065】
[構成]
図25は、本開示の第2の実施の形態に係る測距装置2000の概略構成例を表したものである。図26は、測距装置2000の平面構成例を表したものである。図27は、図26のA-A線での断面構成例を表したものである。図28は、図26のB-B線での断面構成例を表したものである。図29は、図26のC-C線での断面構成例を表したものである。
【0066】
測距装置2000は、FMCW方式のLiDARである。測距装置2000は、例えば、図25に示したように、第1ダイ500、レーザチップ600および第3ダイ300を備える。第1ダイ500は、第3ダイ300上に積層され、第1ダイ500と第3ダイ300との接合面S4を介して互いに電気的に接続される。第1ダイ500の上面が入出射面S5となっている。
【0067】
(レーザチップ600)
レーザチップ600は、光信号を出力する光源チップである。レーザチップ600は、例えば、チップ状の端面発光型半導体レーザであり、コントローラ310による制御に従って、所定の固定波長(例えば、1550nm)のレーザ光Lを活性層601の端面から出射する。レーザチップ600は、レーザ光Lが後述のPIC基板500Aの凹部510の内面(光導波路WG1)に入射するように、凹部510内に実装される。レーザチップ600は、レーザチップ600の光スポット(活性層601の端面に生成される光スポット)がSi層101(光導波路WG1)と同一高さとなるように、凹部510内に実装される。
【0068】
レーザチップ600には、例えば、活性層601と、活性層601を厚さ方向から挟み込む一対のクラッド層と、一方のクラッド層にオーミック接続されたコンタクト層(第1コンタクト層)と、他方のクラッド層にオーミック接続されたコンタクト層(第2コンタクト層)とが設けられる。レーザチップ600には、さらに、例えば、第1コンタクト層に接する電極610と、第2コンタクト層に対してビアを介して電気的に接続された電極620とが設けられる。電極610,620は、例えば、レーザチップ600の共通の面(例えば、レーザチップ600の底面)に配置される。電極610,620は、例えば、Cu(銅)によって構成される。レーザチップ600は、電極610,620および後述の配線710,720を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。
【0069】
(第1ダイ500)
第1ダイ500は、例えば、図25に示したように、モデュレータ110、スプリッタ120、サーキュレータ130、アンテナ140、カプラ150およびディテクタ160を有する。第1ダイ500において、モデュレータ110、スプリッタ120、サーキュレータ130、アンテナ140、カプラ150およびディテクタ160はPIC基板500A内に形成される。
【0070】
PIC基板500Aは、例えば、図27図29に示したように、Si層101と、Si層101を挟み込む層間絶縁膜102およびBOX層103とを有する。PIC基板500Aは、SOI基板106からSi基板104を除去することにより得られる。BOX層103は、SiO2層で構成される。層間絶縁膜102は、SOI基板106上に形成された層であり、積層された複数のSiO2層内に、パターニングされた複数の配線層と、配線層同士を接続するビアとが形成された構成となっている。層間絶縁膜102の表面は、第1ダイ500の底面となっている。層間絶縁膜102の表面は、第1ダイ500の上面となっており、入出射面S5となっている。
【0071】
Si層101には、光導波路WG1,WG2,WG3が設けられる。光導波路WG1は、例えば、後述の凹部510の内面(側面)から、モデュレータ110、スプリッタ120およびサーキュレータ130を介してアンテナ140まで延在する。光導波路WG2は、スプリッタ120において光導波路WG1から分岐した光導波路であり、カプラ150の一方の入力端(光導波路151)に連結される。光導波路WG3は、サーキュレータ130において光導波路WG1から分岐した光導波路であり、カプラ150の他方の入力端(光導波路152)に連結される。
【0072】
レンズ220は、第1ダイ500の表面のうち、Siアンテナ141と対向する領域(入出射面S5)に貼り合わされる。入出射面S5から送信信号Stx1が出射され、入出射面S5には戻り信号Srxが入射する。入出射面S5には、レンズ220が貼り合わされており、送信信号Stxはアンテナ140からレンズ220および入出射面S5を介して外部に出射され、戻り信号Srxは外部からレンズ220および入出射面S5を介してアンテナ140に入射する。
【0073】
PIC基板500Aは、レーザチップ600を収容する凹部510を有する。凹部510の内面(側面)には、光導波路WG1(Si層101)が露出する。凹部510の内面(側面)には、レーザチップ600からの光の反射を防止する反射防止膜などの絶縁膜が設けられてもよい。
【0074】
第1ダイ500は、レーザチップ600と第3ダイ300(信号処理回路)とを電気的に接続する配線を有する。第1ダイ500は、例えば、図26図29に示したように、上記配線として、レーザチップ600の電極610に接する配線710と、レーザチップ600の電極620に接する配線720とを有する。配線710,720は、本開示の一実施の形態にかかる「第1配線」の一具体例に相当する。配線710,720において、一方の配線がレーザチップ600のカソードの配線であり、他方の配線がレーザチップ600のアノードの配線である。以下では、配線710がレーザチップ600のカソードの配線であり、配線720がレーザチップ600のアノードの配線であるものとする。なお、レーザチップ600の構造に応じて、配線710がレーザチップ600のアノードの配線となってもよいし、配線720がレーザチップ600のカソードの配線となってもよい。
【0075】
配線710は、例えば、図26図28に示したように、半田711、ビア712および配線層713を有する。配線720は、例えば、図26図27図29に示したように、半田721、ビア722および配線層723を有する。配線710および配線720は、例えばCuで構成される。レーザチップ600は、配線710,720を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。
【0076】
半田711は、電極610と配線層713とに接する。半田711は、配線層713のうち、凹部510の底面と対向する箇所の表面上に設けられる。ビア712は、配線層713と層間絶縁膜302内の配線層とに接する。ビア712は、第1ダイ500および第3ダイ300内に設けられ、BOX層103から層間絶縁膜302に渡って延在する。ビア712は、例えば、BOX層103から層間絶縁膜302に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層713は、半田711とビア712とに接する。配線層713は、メタル(例えば、Cu)で構成され、凹部510の底面、側面および第1ダイ500の表面に渡って配置される。
【0077】
半田721は、電極620と配線層723とに接する。半田721は、配線層723のうち、凹部510の底面と対向する箇所の表面上に設けられる。ビア722は、配線層723とSi基板301とに接する。ビア722は、第1ダイ500および第3ダイ300内に設けられ、BOX層103から層間絶縁膜302に渡って延在する。ビア722は、例えば、BOX層103から層間絶縁膜302に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層723は、半田711とビア712とに接する。配線層723は、メタル(例えば、Cu)で構成され、凹部510の底面、側面および第1ダイ500の表面に渡って配置される。
【0078】
半田711の代わりに、金バンプが用いられてもよい。また、半田721の代わりに、金バンプが用いられてもよい。
【0079】
第1ダイ500は、さらに、例えば、ディテクタ160と第3ダイ300(信号処理回路)とを電気的に接続する配線430を有する。配線430は、例えば、図26図28に示したように、ビア431、ビア432および配線層433を有する。配線430は、例えばCu(銅)によって構成される。第1ダイ100(ディテクタ160)は、配線430を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。
【0080】
ビア431は、層間絶縁膜302内の配線層(例えば、Cu)と配線層433とに接する。ビア431は、BOX層103から層間絶縁膜302に渡って延在する。ビア431は、例えば、BOX層103から層間絶縁膜302に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。ビア432は、ディテクタ160に電気的に接続された、層間絶縁膜102内の配線層(例えば、Cu)と配線層433とに接する。ビア432は、BOX層103から層間絶縁膜102に渡って延在する。ビア432は、例えば、BOX層103から層間絶縁膜102に渡って設けられたビアホールを埋め込むメタル(例えば、Cu)によって構成される。配線層433は、BOX層103の表面に配置され、ビア431とビア432とに接する。配線層433は、メタル(例えば、Cu)によって構成される。
【0081】
[効果]
次に、測距装置2000の効果について説明する。
【0082】
本実施の形態では、レーザチップ600が、配線710,720を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。さらに、第1ダイ500(ディテクタ160)が、配線430を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続される。これにより、レーザチップ600で発生した熱や、ディテクタ160で発生した熱を、配線710,720,430を介してSi基板301に排出することができる。その結果、レーザチップ600やディテクタ160の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0083】
本実施の形態では、配線710,720,730の一部がビア411,412,421,422,431,432によって構成される。これにより、パターニングで形成した配線層と比べて、配線710,720,730の断面積を大きくすることができるので、レーザチップ600で発生した熱や、ディテクタ160で発生した熱を効率良くSi基板301に排出することができる。その結果、レーザチップ600やディテクタ160の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0084】
本実施の形態では、PIC基板500Aにおいて、光導波路WG1、スプリッタ120、光導波路WG2,WG3、カプラ150およびGePD161,162が共通のSi層101に形成される。また、第3ダイ300(信号処理基板)に、コントローラ310、DAC320、ADC330およびFFT340が形成される。さらに、PIC基板500Aが第3ダイ300上に積層されており、配線710,720,730を介して第3ダイ300と電気的に接続される。これにより、光ファイバを介して複数のRF部品を結合したモジュールと比べて、小型化が可能である。小型化により、GePD161,162以降の電気信号の経路が短縮され、電気信号に対する外部ノイズの混入を低減することができる。
【0085】
本実施の形態では、レーザチップ600を収容する凹部510がPIC基板500Aに設けられ、レーザチップ600から出射されたレーザ光Lが凹部510内面(側面)に露出する光導波路WG1(Si層101)の端部から導入される。これにより、光ファイバを介して複数のRF部品を結合したモジュールと比べて、小型化が可能である。小型化により、レーザ光Lの伝搬経路が短縮され、レーザ光Lの損失を低減することができる。
【0086】
<4.第2の実施の形態の変形例>
次に、第2の実施の形態に係る測距装置2000の変形例について説明する。
【0087】
[変形例4-1]
図30は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。図30には、図29に記載の断面構成の一変形例が表される。上記第2の実施の形態において、ビア722は、例えば、図30に示したように、配線層723と層間絶縁膜302内の配線層とに接していてもよい。このようにした場合であっても、レーザチップ600から発せられた熱を、ビア722を含む配線420を介してSi基板301に排出することができる。その結果、レーザチップ600の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0088】
[変形例4-2]
図31図32は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。図31図32には、図28に記載の断面構成の一変形例が表される。上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図31図32に示したように、凹部510の底面に溝部520が設けられてもよい。溝部520は、例えば、図31に示したように、PIC基板500Aを貫通する深さを有してもよい。溝部520は、例えば、図32に示したように、PIC基板500Aだけでなく、層間絶縁膜302も貫通する深さを有してもよい。
【0089】
溝部520は、平面視において、凹部510の底面のうち、少なくとも光導波路WG1とレーザチップ600との間の領域に設けられる。溝部520は、例えば、図33に示したように、平面視において、凹部510の底面のうち、光導波路WG1とレーザチップ600との間の領域を横断する長さを有してもよい。また、溝部520は、例えば、図34図35に示したように、平面視において、レーザチップ600のうち、光出射面を含む3つの側面を囲むように設けられてもよい。このとき、複数の溝部520が、例えば、図34に示したように、レーザチップ600の側面ごとに1つずつ設けられてもよい。また、1つの溝部520が、例えば、図35に示したように、レーザチップ600のうち、光出射面を含む3つの側面を囲むU字形状となっていてもよい。
【0090】
このように、本変形例では、平面視において、凹部510の底面のうち、少なくとも光導波路WG1とレーザチップ600との間の領域に溝部520が設けられる。これにより、レーザチップ600で発生した熱が、溝部520によって光導波路WG1に伝搬し難くなる。その結果、レーザチップ600の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。つまり、本変形例では、溝部520は、レーザチップ600で発生した熱が導波路WG1に伝播するのを阻害する役割を有する。
【0091】
本変形例において、例えば、図36図37に示したように、凹部510および溝部520が樹脂部材530によって埋め込まれてもよい。樹脂部材530は、レーザ光を透過することの可能な樹脂材料(透明な樹脂材料)によって構成され、例えば、エポキシ、アクリル、または、アクリレート等によって構成される。このように、凹部510および溝部520を樹脂部材530によって埋め込むことにより、レーザチップ600が脱落したり、レーザチップ600の位置ずれが生じたりするのを抑制することができる。その結果、レーザチップ600と光導波路WG1との光結合性の低下に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0092】
[変形例4-3]
図38図39は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。図38には、図28に記載の断面構成の一変形例が表される。図39には、図29に記載の断面構成の一変形例が表される。上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図38に示したように、凹部510の底面にビアホール540が設けられてもよい。ビアホール540は、例えば、図38に示したように、PIC基板500Aを貫通し、層間絶縁膜302内の配線層に達する深さを有してもよい。このとき、ビアホール540の底面には、層間絶縁膜302内の配線層が露出する。さらに、上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図39に示したように、凹部510の底面にビアホール550が設けられてもよい。ビアホール550は、例えば、図39に示したように、PIC基板500Aおよび層間絶縁膜302を貫通しSi基板301に達する深さを有してもよい。このとき、ビアホール550の底面には、Si基板301が露出する。
【0093】
本変形例では、レーザチップ600の電極610に接する配線710が、凹部510の底面からビアホール540の側面および底面に沿って延在する。配線710は、ビアホール540を介して層間絶縁膜302内の配線層に接する。なお、配線710のうち、ビアホール540の側面および底面に沿って延在する部分は、ビアに相当する。
【0094】
本変形例では、さらに、レーザチップ600の電極620に接する配線720が、凹部510の底面からビアホール550の側面および底面に沿って延在する。配線720は、ビアホール550を介してSi基板301に接する。なお、配線720のうち、ビアホール550の側面および底面に沿って延在する部分は、ビアに相当する。
【0095】
このように、本変形例では、配線710がビアホール540を介して層間絶縁膜302内の配線層に接するとともに、配線720がビアホール550を介してSi基板301に接する。これにより、配線710,720は、レーザチップ600とコントローラ310とを電気的に接続するだけでなく、レーザチップ600から発せられた熱を、配線710,720を介してSi基板301に排出することができる。その結果、レーザチップ600の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0096】
[変形例4-4]
図40図41は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。図40には、図28に記載の断面構成の一変形例が表される。図41には、図29に記載の断面構成の一変形例が表される。上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図40図41に示したように、第1ダイ500および第3ダイ300が、第1ダイ500(PIC基板500A)に設けたパッド電極561,562,563と、第3ダイ300(層間絶縁膜302)に設けたパッド電極303,304,305とが互いに接合するように貼り合わされてもよい。
【0097】
パッド電極561は、配線710の一部を構成し、配線層713と電気的に接続される。配線層713は、レーザチップ600とパッド電極561とを電気的に接続する。パッド電極562は、例えば、GePD161と電気的に接続される。パッド電極563は、配線720の一部を構成し、配線723と電気的に接続される。配線層723は、レーザチップ600とパッド電極563とを電気的に接続する。パッド電極303,304,305,561,562,563は、メタル(例えば、銅パッド)によって構成される。配線710,720は、レーザチップ600と第3ダイ300(層間絶縁膜302)とを電気的に接続する。配線710,720は、本開示の第1の実施の形態にかかる「第2配線」の一具体例に相当する。
【0098】
配線層713,723は、例えば、図40図41に示したように、凹部510の底面に形成された開口を介して、パッド電極561,563と電気的に接続されてもよい。配線層713,723の一部が、パッド電極303,304,305,561,562,563とは異なるメタル材料によって構成されてもよい。配線層713,723の一部が、例えば、パッド電極303,304,305,561,562,563と比べて放熱性の高い材料(例えば、Al(アルミニウム))によって構成されてもよい。
【0099】
このように、本変形例では、第1ダイ500および第3ダイ300が、パッド電極561,562,563とパッド電極303,304,305とが互いに接触するように貼り合わされる。このようにした場合であっても、レーザチップ600で発生した熱や、ディテクタ160で発生した熱が、配線710,720,パッド電極562,304を介してSi基板301に排出することができる。その結果、レーザチップ600やディテクタ160の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0100】
本変形例において、例えば、図42図43図44に示したように、凹部510の底面に溝部520が設けられてもよい。溝部520は、例えば、PIC基板500Aを貫通する深さを有してもよいし、PIC基板500Aだけでなく、層間絶縁膜302も貫通する深さを有してもよい。
【0101】
溝部520は、平面視において、凹部510の底面のうち、少なくとも光導波路WG1とレーザチップ600との間の領域に設けられる。溝部520は、例えば、図42に示したように、平面視において、凹部510の底面のうち、光導波路WG1とレーザチップ600との間の領域を横断する長さを有してもよい。また、溝部520は、例えば、図43図44に示したように、平面視において、レーザチップ600のうち、光出射面を含む4つの側面を囲むように設けられてもよい。このとき、複数の溝部520が、例えば、図43に示したように、レーザチップ600の側面ごとに1つずつ設けられてもよい。また、1つの溝部520が、例えば、図44に示したように、レーザチップ600を囲む環形状となっていてもよい。
【0102】
このように、本変形例において、平面視において、凹部510の底面のうち、少なくとも光導波路WG1とレーザチップ600との間の領域に溝部520を設けた場合には、レーザチップ600で発生した熱が、溝部520によって光導波路WG1に伝搬し難くなる。その結果、レーザチップ600の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0103】
本変形例において、凹部510および溝部520が樹脂部材530によって埋め込まれてもよい。このように、凹部510および溝部520を樹脂部材530によって埋め込むことにより、レーザチップ600が脱落したり、レーザチップ600の位置ずれが生じたりするのを抑制することができる。その結果、レーザチップ600と光導波路WG1との光結合性の変化に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0104】
[変形例4-5]
図45図46は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。図45には、図28に記載の断面構成の一変形例が表される。図46には、図29に記載の断面構成の一変形例が表される。上記第2の実施の形態およびその変形例において、第1ダイ500が第3ダイ300上に積層されず、第1ダイ500および第3ダイ300のそれぞれが、別個に配置されてもよい。このとき、配線710は、例えば、図45に示したように、ボンディングワイヤ571を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続されてもよい。ボンディングワイヤ571は、例えば、配線層713の表面に接する。配線430は、例えば、図45に示したように、ボンディングワイヤ572を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続されてもよい。ボンディングワイヤ572は、例えば、配線層433の表面に接する。ボンディングワイヤ571,572は、例えば、Au(金)で形成される。
【0105】
本変形例では、PIC基板500Aは、例えば、図45図46に示したように、支持基板580上に積層される。このとき、PIC基板500Aの、層間絶縁膜102側の表面が入出射面S5となっている。また、配線720において、ビア722が支持基板580に接する。なお、配線720において、ビア722が省略され、ボンディングワイヤ572を介して第3ダイ300(信号処理回路)と電気的に接続されてもよい。
【0106】
本変形例では、第1ダイ500および第3ダイ00のそれぞれが、別個に配置される。このようにした場合には、レーザチップ600で発生した熱や、ディテクタ160で発生した熱を、配線710,720,430およびボンディングワイヤ571,572を介して外部に排出することができる。その結果、レーザチップ600やディテクタ160の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0107】
本変形例において、配線720は、例えば、図47に示したように、凹部510の底面の開口内に形成された接続配線724を介して支持基板580に接してもよい。このようにした場合には、レーザチップ600で発生した熱を、接続配線724を介して支持基板580に効率良く排出することができる。その結果、レーザチップ600の発熱に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0108】
[変形例4-6]
図48は、変形例に係る測距装置2000におけるレーザチップ600および凹部510の平面構成例を表したものである。図49は、変形例に係る測距装置2000におけるレーザチップ600および凹部510の断面構成例を表したものである。上記第2の実施の形態およびその変形例において、凹部510の内面(側面)のうち、レーザチップ600の光(レーザ光L)が入射する面(側面510a)が、例えば、図48に示したように、平面視においてレーザチップ600の光出射面に対して正対せず、斜めに対向するように設けられてもよい。側面510aは、凹部510の内面(側面)のうち、レーザチップ600の光出射面に隣接する面である。また、上記第2の実施の形態およびその変形例において、凹部510の内面(側面)のうち、レーザチップ600の光出射面に隣接する面(側面510a)が、例えば、図49に示したように、垂直断面視においてレーザチップ600の光出射面に対して正対せず、斜めに対向するように設けられてもよい。
【0109】
また、上記第2の実施の形態およびその変形例において、レーザチップ600からの光の反射を防止する反射防止膜などの絶縁膜590が側面510aを覆ってもよい。活性層601のうち、レーザ発振が生じる導波路602と、光導波路WG1とは、例えば、図48図49に示したように、同一直線上に配置されてもよい。これにより、レーザチップ600から発せられたレーザ光Lの、側面510aでの反射光が戻り光となって活性層601に直接入射するのを防止することができる。その結果、戻り光に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0110】
本変形例において、導波路602および光導波路WG1が、例えば、図50に示したように、側面510aの法線と平行な線分上に配置されてもよい。このようにした場合であっても、レーザチップ600から発せられたレーザ光Lの、側面510aでの反射光が戻り光となって活性層601に直接入射するのを防止することができる。その結果、戻り光に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0111】
[変形例4-7]
図51は、変形例に係る測距装置2000におけるレーザチップ600および凹部510の断面構成例を表したものである。上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図51に示したように、凹部510の底面に、レーザチップ600の位置を規制する凹部591が設けられてもよい。凹部591は、レーザチップ600に設けられた1または複数の凸部630の位置を規制することの可能な構造となっており、例えば、三角溝、もしくはすり鉢状の溝となっている。このように、凹部510の底面に凹部591を設けることにより、レーザチップ600の位置を規制することができる。その結果、レーザチップ600を所望の位置に精度よく配置することができるので、レーザチップ600と光導波路WG1との光結合性の低下に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0112】
図52は、変形例に係る測距装置2000におけるレーザチップ600および凹部510の平面構成例を表したものである。図53は、図52のA-A線での断面構成例を表したものである。図54(A)は、図52において、レーザチップ600を取り除いたときの凹部510の平面構成例を表したものである。図54(B)は、レーザチップ600の裏面の平面構成例を表したものである。
【0113】
本変形例において、例えば、図52図53図54に示したように、凹部510の底面に、レーザチップ600の位置を規制する複数の凹部592が設けられてもよい。凹部592は、例えば、レーザチップ600の四隅の1つと対向する箇所に設けられ、例えば、平面視でL字形状となっている。なお、図52図54には、凹部510の底面に、2つの凹部592が設けられる場合が例示される。
【0114】
本変形例において、さらに、例えば、図52図53図54に示したように、凹部592に隣接する位置にレーザチップ600の高さを規制する凸部593が設けられてもよい。凸部593は、例えば、凹部592の側壁を兼ねており、例えば、平面視でW字形状となっている。なお、図52図54には、凹部510の底面に、2つの凸部593が設けられる場合が例示される。
【0115】
本変形例において、凹部510の底面に2つの凹部592を設けることにより、平面視においてレーザチップ600の回転方向の位置を規制することができる。また、本変形例において、凹部592の側壁を兼ねる凸部593を設けることにより、位置にレーザチップ600の高さを規制することができる。その結果、レーザチップ600を所望の位置に精度よく配置することができるので、レーザチップ600と光導波路WG1との光結合性の低下に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0116】
[変形例4-8]
図55は、変形例に係る測距装置2000におけるレーザチップ600および凹部510の断面構成例を表したものである。上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図55に示したように、凹部510の底面に、レーザチップ600の高さを規制する1または複数の凸部594が設けられてもよい。複数の凸部594は、例えば、配線層713,723に隣接する箇所に配置される。その結果、レーザチップ600を所望の位置に精度よく配置することができるので、レーザチップ600と光導波路WG1との光結合性の低下に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0117】
[変形例4-9]
図56は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。上記第2の実施の形態およびその変形例において、例えば、図56に示したように、PIC基板500Aは、光導波路WG1とは別に光導波路WGaを有してもよい。
【0118】
PIC基板500Aにおいて、光導波路WGaは、例えば、光導波路WG1を含む層とは異なる層(例えばBOX層103)内に設けられる。光導波路WGaは、屈折率がSiO2の屈折率(1.44)以上、Siの屈折率(3.45)以下の材料で構成された層101a内に形成される。光導波路WGaは、例えば、Ta2O5、Nb2O2、ZnO、TeO2、CeO2、Al2O3などの、屈折率が2.0以上、Siの屈折率(3.45)以下の材料で構成された層101a内に形成されてもよい。光導波路WGaがこのような材料で構成された層101a内に形成されることにより、欠陥の少ない良質の光導波路WGaを得ることができる。
【0119】
光導波路WGaには、レーザチップ600から出射されたレーザ光Lが入射する。光導波路WGaのうち、光導波路WG1の回折格子502と対向する箇所(回折格子502の直上に対応する部分)に回折格子501が設けられる。回折格子501は、例えば、複数の溝もしくは貫通孔が数百nmピッチで層101aに一列に並んで配置された素子である。回折格子501は、光導波路WGaを伝播してきたレーザ光Lを回折格子502に向かって出射する。回折格子502は、例えば、複数の溝もしくは貫通孔が数百nmピッチで光導波路WG1に一列に並んで配置された素子である。回折格子502は、光導波路WGaから出射されたレーザ光Lを光導波路WG1内に導く。光導波路WG1を伝搬するレーザ光Lがモデュレータ110に入力される。
【0120】
PIC基板500Aにおいて、回折格子502を間にして回折格子501と対向する箇所(つまり回折格子501の直下)に、反射層503が設けられてもよい。反射層503は、回折格子501から出射されたレーザ光Lのうち、回折格子502に導入されずに回折格子502を透過した光を反射して、回折格子502に戻す役割を有する。反射層503は、例えば、層間絶縁膜102内に設けられる。反射層503は、メタル(例えば、Cu)によって構成される。
【0121】
本変形例では、PIC基板500Aにおいて、光導波路WG1とは別に光導波路WGaが設けられる。これにより、光導波路WGaの材料として、レーザチップ600から出射されたレーザ光Lを取り込むのに適した材料を選択することができる。これにより、欠陥の少ない良質の光導波路WGaを得ることができるので、光導波路WG1において直接レーザ光Lを取り込む場合と比べて、結晶欠陥に起因する動作の不安定化を抑制することができる。
【0122】
[変形例4-10]
図57図58は、変形例に係る測距装置2000の断面構成例を表したものである。上記第2の実施の形態およびその変形例において、凹部510の代わりに、レーザチップ600を収容する切り欠き部511がPIC基板500Aに設けられてもよい。このようにした場合であっても、上記第2の実施の形態およびその変形例と同様の効果を得ることができる。
【0123】
なお、パッド電極303,304,305、配線410、ビア411,412、配線層413配線層、配線420、ビア421,422、配線層423、配線430、ビア431,432、配線層433、放熱部材440、ビア441、配線層442、電極610,620、配線710、ビア712、配線層713、配線720、ビア722、配線層723、および接続配線724は、上述の材料に限定されるものではなく、例えば、W、Al、Cu、Ag、もしくはこれらの合金と、バリアメタル(例えば、TiN、Ti、Ta、TaN)との積層構造となっていてもよい。
【0124】
<5.適用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0125】
図59は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図59に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0126】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図59では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0127】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0128】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0129】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0130】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0131】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0132】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0133】
ここで、図60は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0134】
なお、図60には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0135】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0136】
図59に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0137】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0138】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0139】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0140】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0141】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0142】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0143】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0144】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0145】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0146】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0147】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0148】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0149】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図59の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0150】
なお、図59に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0151】
なお、図1図58等を用いて説明した測距装置1000,2000の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0152】
以上説明した車両制御システム7000において、図1図58等を用いて説明した測距装置1000,2000は、例えば,環境センサとしてのLIDARの光源ステアリング部として用いることができる。
【0153】
また、図1図58等を用いて説明した測距装置1000,2000の少なくとも一部の構成要素は、図59に示した統合制御ユニット7600のためのモジュール(例えば、一つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。あるいは、図1図58等を用いて説明した測距装置1000,2000が、図59に示した車両制御システム7000の複数の制御ユニットによって実現されてもよい。
【0154】
また、図1図58等を用いて説明した測距装置1000,2000の少なくとも一部の構成要素は、図59に示した統合制御ユニット7600のためのモジュール(例えば、一つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。あるいは、図1図58等を用いて説明した測距装置1000,2000が、図59に示した車両制御システム7000の複数の制御ユニットによって実現されてもよい。
【0155】
以上、実施の形態およびその変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0156】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
光信号を出力する光源を有する半導体基板と、
前記光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、前記チャープ信号を伝送する第1の導波路と、前記チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、前記送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、前記基準信号および前記戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成されたPIC(Photonic Integration Circuit)基板と、
前記ビート信号をAD変換するコンバータと、前記コンバータによって生成されるデジタルの前記ビート信号を処理する信号処理部と、前記光源、前記モデュレータおよび前記信号生成部を制御する制御部とが形成された信号処理基板と
を備え、
前記信号処理基板上に前記PIC基板および前記半導体基板がこの順に積層され、
前記半導体基板と前記信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される
測距装置。
(2)
前記光源と前記制御部とを電気的に接続する第1配線を備え、
前記第1配線は、前記ビアとして、前記半導体基板内に設けられた第1ビアと、前記半導体基板、前記PIC基板および前記信号処理基板内に設けられた第2ビアとを有する
(1)に記載の測距装置。
(3)
前記光源と電気的に接続された第1の放熱部材を更に備え、
前記第1の放熱部材は、前記半導体基板内に形成された第3ビアと、前記第3ビアに接続され、前記半導体基板の表面に配置された第1配線層とを有する
(1)または(2)に記載の測距装置。
(4)
前記PIC基板は、前記光源と対向する箇所に、前記光源から出力された前記光信号を前記モデュレータに導く回折格子を有する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の測距装置。
(5)
前記PIC基板は、前記光源と対向する箇所に第2の放熱部材を有する
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の測距装置。
(6)
光信号を出力する光源チップと、
前記光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、前記チャープ信号を伝送する第1の導波路と、前記チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、前記送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、前記基準信号および前記戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成されたPIC(Photonic Integration Circuit)基板と、
前記ビート信号をAD変換するコンバータと、前記コンバータによって生成されるデジタルの前記ビート信号を処理する信号処理部と、前記光源チップ、前記モデュレータおよび前記信号生成部を制御する制御部とが形成された信号処理基板と
を備え、
前記PIC基板は、前記光源チップを収容する凹部もしくは切り欠き部を有し、
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面には、前記第1の導波路の端部が露出しており、
前記光源チップは、前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面に露出する、前記第1の導波路の端部に前記光信号が入射するように、前記凹部内もしくは前記切り欠き部内に実装され、
前記信号処理基板上に前記PIC基板が積層され、
前記光源チップと前記信号処理基板とがビアを介して電気的に接続される
測距装置。
(7)
前記光源チップと前記制御部とを電気的に接続する第1配線を備え、
前記第1配線は、前記ビアとして、前記PIC基板および前記信号処理基板内に設けられた第1ビアを有する
(6)に記載の測距装置。
(8)
前記PIC基板は、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面に設けられた溝部を有し、
前記溝部は、平面視において、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面のうち、少なくとも前記第1の導波路と前記光源チップとの間の領域に設けられる
(6)または(7)に記載の測距装置。
(9)
前記信号処理基板は、前記コンバータ、前記信号処理部および前記制御部が形成されたSi基板と、前記Si基板上に設けられた層間絶縁膜とを有し、
前記PIC基板および前記信号処理基板は、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面に設けられ、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面から前記層間絶縁膜を貫通する深さの溝部を有し、
前記溝部は、平面視において、前記凹部もしくは前記切り欠き部の底面のうち、少なくとも前記第1の導波路と前記光源チップとの間の領域に設けられる
(6)または(7)に記載の測距装置。
(10)
前記凹部もしくは前記切り欠き部および前記溝部を埋め込む樹脂部材を備えた
(8)に記載の測距装置。
(11)
前記凹部もしくは前記切り欠き部および前記溝部を埋め込む樹脂部材を備えた
(9)に記載の測距装置。
(12)
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面のうち、前記光信号が入射する面が、前記光源チップの光出射面に対して正対せず、斜めに対向するように設けられる
(6)ないし(11)のいずれか1つに記載の測距装置。
(13)
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面のうち、前記光信号が入射する面を覆う反射防止膜を備えた
(6)ないし(12)のいずれか1つに記載の測距装置。
(14)
光信号を出力する光源チップと、
前記光信号を周波数変調することによりチャープ信号を生成するモデュレータと、前記チャープ信号を伝送する第1の導波路と、前記チャープ信号を送信信号および基準信号に分割するスプリッタと、前記送信信号との関係で位相が遅延した信号に相当する戻り信号を伝送する第2の導波路と、前記基準信号および前記戻り信号に基づいてビート信号を生成する信号生成部とが共通のSi層に形成されたPIC(Photonic Integration Circuit)基板と、
前記ビート信号をAD変換するコンバータと、前記コンバータによって生成されるデジタルの前記ビート信号を処理する信号処理部と、前記光源チップ、前記モデュレータおよび前記信号生成部を制御する制御部とが形成された信号処理基板と
を備え、
前記PIC基板は、前記光源チップを収容する凹部もしくは切り欠き部を有し、
前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面には、前記第1の導波路の端部が露出しており、
前記光源チップは、前記凹部もしくは前記切り欠き部の内面に露出する、前記第1の導波路の端部に前記光信号が入射するように、前記凹部内もしくは前記切り欠き部内に実装され、
前記信号処理基板上に前記PIC基板が積層され、
前記光源チップと前記PIC基板とは、前記信号処理基板と前記PIC基板との間に設けられた銅パッド同士を互いに接合することにより、電気的に接続される
測距装置。
(15)
前記光源チップと前記制御部とを電気的に接続する第2配線を備え、
前記第2配線は、前記銅パッドと、前記光源チップと前記銅パッドとを電気的に接続する接続配線層とを有する
(14)に記載の測距装置。
【符号の説明】
【0157】
61…Siテラス部、62…p型Si層、63…島状i型Ge層、64…二次元成長i型Ge層、65…n型Ge層、66…n側電極、67…p側電極、100…第1ダイ、100A…PIC基板、101…Si層、101a…層、102…層間絶縁膜、103…BOX層、104…Si基板、105…回折格子、106…SOI基板、107…放熱部材、110…モデュレータ、120…スプリッタ、130…サーキュレータ、140…アンテナ、141…Siアンテナ、142…ヒータ、143,144,145…光スイッチ、150…カプラ、151,152…光導波路、160…ディテクタ、161,162…GePD、163…トランスインピーダンスアンプ、200…第2ダイ、201…半導体基板、202…Si基板、210…レーザ、211,212…コンタクト層、220…レンズ、230…レーザ基板、300…第3ダイ、301…Si基板、302…層間絶縁膜、303,304,305…パッド電極、310…コントローラ、320…DAC、330…ADC、340…FFT、410…配線、411,412…ビア、413…配線層、420…配線、421,422…ビア、423…配線層、430…配線、431,432…ビア、433…配線層、440…放熱部材、441…ビア、442…配線層、500…第1ダイ、500A…PIC基板、501,502…回折格子、503…反射層、510…凹部、510a…側面、511…切り欠き部、520…溝部、530…樹脂部材、540,550…ビアホール、561,562,563…パッド電極、571,572…ボンディングワイヤ、580…支持基板、590…絶縁膜、591,592…凹部、593,594…凸部、600…レーザチップ、601…活性層、602…導波路、610,620…電極、630…凸部、710…配線、711…半田、712…ビア、713…配線層、720…配線、721…半田、722…ビア、723…配線層、724…接続配線、1000,2000…測距装置、H1~H6…ビアホール、L…レーザ光、S1,S2…接合面、S3…入出射面、S4…接合面、S5…入出射面、Sbt…ビート信号、Srx…戻り信号、Stx,Stx1,Stx2…送信信号、TG…ターゲット、WG1,WG2,WG3,WGa…光導波路。
図1
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