(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079239
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】センサー精度確認システム及びセンサー精度確認方法、並びにセンサー校正システム及びセンサー校正方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G01N1/00 E
G01N1/00 101R
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192073
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 真吉
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AB06
2G052AD22
2G052AD42
2G052CA04
2G052CA35
2G052CA38
2G052DA13
2G052GA23
2G052HC04
2G052HC09
2G052HC24
2G052JA07
2G052JA09
(57)【要約】
【課題】複数の状態に係るセンサーの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム,方法を提供する。
【解決手段】センサー精度確認システム1は、検知対象の濃度を検知するセンサー(被試験器T)に係る精度を確認するシステムであり、被試験器Tを収容可能である試験箱4と、試験箱4に真空弁5を介してつながっており、密閉状態の試験箱4の負圧を調整可能である真空ポンプ7と、窒素ガス中に検知対象を第1所定濃度,第2所定濃度で含む第1の気体,第2の気体の流量を調整して密閉状態の試験箱4の内部へ導入する第1切替弁22,第2切替弁24と、第1切替弁22,第2切替弁24及び真空弁5を制御可能なCO
2確認PC10及び制御PC30と、を備えている。CO
2確認PC10及び制御PC30は、試験箱4の内部を複数の精度確認対象濃度とした状態で、被試験器Tから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号をそれぞれ受信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システムであって、
前記センサーを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱と、
前記試験箱に真空弁を介してつながっており、密閉状態の前記試験箱の負圧を調整可能である真空ポンプと、
媒体中に前記検知対象を所定濃度で含む流体を収めたボンベと、
前記流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記ボンベと前記試験箱との間に設けられた切替弁と、
前記センサーと通信可能であり、前記切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御可能である精度確認制御手段と、
を備えており、
前記精度確認制御手段は、
密閉状態の前記試験箱の内部が第1の精度確認対象濃度である状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信すると共に、
前記切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御して密閉状態の前記試験箱の内部を前記第1の精度確認対象濃度とは異なる第2の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する
ことを特徴とするセンサー精度確認システム。
【請求項2】
検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システムであって、
前記センサーを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱と、
前記試験箱に真空弁を介してつながっており、密閉状態の前記試験箱の負圧を調整可能である真空ポンプと、
媒体中に前記検知対象を第1所定濃度で含む第1の流体を収めた第1ボンベと、
媒体中に前記検知対象を第2所定濃度で含む第2の流体を収めた第2ボンベと、
前記第1の流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記第1ボンベと前記試験箱との間に設けられた第1切替弁と、
前記第2の流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記第2ボンベと前記試験箱との間に設けられた第2切替弁と、
前記センサーと通信可能であり、前記第1切替弁及び前記第2切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御可能である精度確認制御手段と、
を備えており、
前記精度確認制御手段は、
前記第1切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御して密閉状態の前記試験箱の内部を第1の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信すると共に、
前記第2切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御して密閉状態の前記試験箱の内部を第2の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する
ことを特徴とするセンサー精度確認システム。
【請求項3】
前記試験箱の内部に、前記検知対象の濃度を検知する基準器が入っている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項4】
前記精度確認制御手段は、前記基準器と通信可能であり、前記基準器から前記検知対象の濃度に係る信号である基準信号を受信して、前記基準信号に基づき前記試験箱の内部の濃度を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項5】
更に、k=[3]or[3,4]or[3,4,5]or・・・として、
媒体中に前記検知対象を第k所定濃度で含む第kの流体を収めた第kボンベと、
前記第kの流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記第kボンベと前記試験箱との間に設けられた第k切替弁と、
を備えており、
前記精度確認制御手段は、
前記第k切替弁を制御可能であり、
前記第k切替弁を制御して前記試験箱の内部を第kの精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項6】
前記試験箱の内部に、ファンが設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項7】
前記センサーは、複数設けられており、各前記センサーは、前記試験箱に収容されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項8】
前記試験箱は、内部を所定温度に保持可能であり、又は内部を所定温度に保持する恒温槽の内部に入っている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項9】
更に、前記試験箱の内部に配置されたスペーサーを備えている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項10】
前記検知対象はCO2である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項11】
前記センサーは、無線通信可能である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項12】
更に、前記試験箱につながっており、前記試験箱の密閉状態を保持可能であると共に前記試験箱に係る負圧を開放可能である開放弁を備えている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項13】
検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システムであって、
前記センサーを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱と、
前記試験箱に真空弁を介してつながっており、密閉状態の前記試験箱の負圧を調整可能である真空ポンプと、
媒体中に前記検知対象を所定濃度で含む流体を収めたボンベと、
前記流体の流量及び媒体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記ボンベと前記試験箱との間に設けられた分割弁と、
前記センサーと通信可能であり、前記分割弁及び前記真空弁を制御可能である精度確認制御手段と、
を備えており、
前記精度確認制御手段は、
前記分割弁及び前記真空弁を制御して密閉状態の前記試験箱の内部を順次複数の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号をそれぞれの状態において受信する
ことを特徴とするセンサー精度確認システム。
【請求項14】
前記試験箱の内部に、前記検知対象の濃度を検知する基準器が入っている
ことを特徴とする請求項13に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項15】
前記精度確認制御手段は、前記基準器と通信可能であり、前記基準器から前記検知対象の濃度に係る信号である基準信号を受信して、前記基準信号に基づき前記試験箱の内部の濃度を制御する
ことを特徴とする請求項14に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項16】
更に、k=[3]or[3,4]or[3,4,5]or・・・として、
前記精度確認制御手段は、前記分割弁を制御して前記試験箱の内部を第kの精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する
ことを特徴とする請求項13に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項17】
前記分割弁により流量を調整される前記媒体は、外気である
ことを特徴とする請求項13に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項18】
前記試験箱の内部に、ファンが設けられている
ことを特徴とする請求項13に記載のセンサー精度確認システム。
【請求項19】
前記試験箱の内部に入れられた前記検知対象の濃度を検知する基準器から前記検知対象の濃度に係る信号である基準信号が発信される請求項1、請求項2、請求項5及び請求項13から請求項18の何れかに記載のセンサー精度確認システムで取得された、前記センサーにおける前記検知対象の濃度と、前記第1の精度確認対象濃度、前記第2の精度確認対象濃度、及び前記基準器における前記検知対象の濃度の少なくとも何れかと、に基づいて、前記センサーを校正する
ことを特徴とするセンサー校正システム。
【請求項20】
検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を、複数の精度確認対象濃度において確認する方法であるセンサー精度確認方法であって、
開閉可能であり閉じた状態で前記センサーを入れた試験箱の内部における前記検知対象の濃度を、順次複数の前記精度確認対象濃度のうちの何れかとして前記センサーの精度をそれぞれ確認する
ことを特徴とするセンサー精度確認方法。
【請求項21】
前記試験箱の内部における前記検知対象の濃度を、まず複数の前記精度確認対象濃度のうち最も小さいものとして前記センサーの精度を確認し、続いて複数の前記精度確認対象濃度のうち順に小さいものとして前記センサーの精度を確認する
ことを特徴とする請求項20に記載のセンサー精度確認方法。
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載のセンサー精度確認方法で確認された、複数の前記精度確認対象濃度における各前記濃度に基づいて、前記センサーを校正する
ことを特徴とするセンサー校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素(CO2)濃度センサーを始めとするセンサーの精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システム、及びセンサーの精度を確認する方法であるセンサー精度確認方法、並びにセンサーを校正するシステムであるセンサー校正システム、及びセンサーを校正する方法であるセンサー校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物構成材料から放散される有害物質の濃度を確認するシステムとして、特開2009-25255号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。
このシステム10は、試料Sが内部に収容されるチャンバー11と、システム外から取り込まれた新鮮空気を清浄する空気清浄装置19と、空気清浄装置19を通過した清浄空気をチャンバー11内に導く給気流路20と、チャンバー11からの排出空気をシステム外に導く排気流路27と、チャンバー11からの排出空気の一部を取り込んで試料Sからの有害物質を捕集する捕集部29と、排気流路27から分岐して給気流路20に繋がる循環流路34と、各流路20,27,34を流れる各空気の流量を制御する制御手段23,31,35とを備えている。システム10では、システム外及び捕集部29に流れる排出空気の総流量が、清浄空気の流量と同一に制御され、清浄空気と排出空気とが所定割合で混合されてチャンバー11内に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造されあるいは校正されたCO2濃度センサーの精度を確認する場合、特許文献1のシステムのようにチャンバーにCO2濃度センサーを入れ、更に複数の大きさの濃度(第1の精度確認対象濃度、第2の精度確認対象濃度、・・・)となるようにそれぞれCO2を入れて、CO2濃度センサーの値を確認する必要がある。
しかし、特許文献1のシステムでは、チャンバー内での濃度の大きさの正確な変更(例えば第1の精度確認対象濃度から第2の精度確認対象濃度への正確な変更)については何ら実現されていない。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、複数の状態に係るセンサーの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム,センサー精度確認方法を提供することである。
又、本発明の別の主な目的は、センサーの校正が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー校正システム,センサー校正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システムであって、前記センサーを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱と、前記試験箱に真空弁を介してつながっており、密閉状態の前記試験箱の負圧を調整可能である真空ポンプと、媒体中に前記検知対象を所定濃度で含む流体を収めたボンベと、前記流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記ボンベと前記試験箱との間に設けられた切替弁と、前記センサーと通信可能であり、前記切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御可能である精度確認制御手段と、を備えており、前記精度確認制御手段は、密閉状態の前記試験箱の内部が第1の精度確認対象濃度である状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信すると共に、前記切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御して密閉状態の前記試験箱の内部を前記第1の精度確認対象濃度とは異なる第2の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システムであって、前記センサーを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱と、前記試験箱に真空弁を介してつながっており、密閉状態の前記試験箱の負圧を調整可能である真空ポンプと、媒体中に前記検知対象を第1所定濃度で含む第1の流体を収めた第1ボンベと、媒体中に前記検知対象を第2所定濃度で含む第2の流体を収めた第2ボンベと、前記第1の流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記第1ボンベと前記試験箱との間に設けられた第1切替弁と、前記第2の流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記第2ボンベと前記試験箱との間に設けられた第2切替弁と、前記センサーと通信可能であり、前記第1切替弁及び前記第2切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御可能である精度確認制御手段と、を備えており、前記精度確認制御手段は、前記第1切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御して密閉状態の前記試験箱の内部を第1の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信すると共に、前記第2切替弁並びに前記真空弁及び前記真空ポンプを制御して密閉状態の前記試験箱の内部を第2の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明にあって、前記試験箱の内部に、前記検知対象の濃度を検知する基準器が入っていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明にあって、前記精度確認制御手段は、前記基準器と通信可能であり、前記基準器から前記検知対象の濃度に係る信号である基準信号を受信して、前記基準信号に基づき前記試験箱の内部の濃度を制御することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明にあって、更に、k=[3]or[3,4]or[3,4,5]or・・・として、媒体中に前記検知対象を第k所定濃度で含む第kの流体を収めた第kボンベと、前記第kの流体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記第kボンベと前記試験箱との間に設けられた第k切替弁と、を備えており、前記精度確認制御手段は、前記第k切替弁を制御可能であり、前記第k切替弁を制御して前記試験箱の内部を第kの精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明にあって、前記試験箱の内部に、ファンが設けられていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明にあって、前記センサーは、複数設けられており、各前記センサーは、前記試験箱に収容されていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明にあって、前記試験箱は、内部を所定温度に保持可能であり、又は内部を所定温度に保持する恒温槽の内部に入っていることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、上記発明にあって、更に、前記試験箱の内部に配置されたスペーサーを備えていることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、上記発明にあって、前記検知対象はCO2であることを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、上記発明にあって、前記センサーは、無線通信可能であることを特徴とするものである。
請求項12に記載の発明は、上記発明にあって、更に、前記試験箱につながっており、前記試験箱の密閉状態を保持可能であると共に前記試験箱に係る負圧を開放可能である開放弁を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項13に記載の発明は、検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を確認するシステムであるセンサー精度確認システムであって、前記センサーが入っている開閉可能な試験箱と、前記試験箱に真空弁を介してつながっており、密閉状態の前記試験箱の負圧を調整可能である真空ポンプと、媒体中に前記検知対象を所定濃度で含む流体を収めたボンベと、前記流体の流量及び媒体の流量を調整して閉じた前記試験箱の内部へ導入する、前記ボンベと前記試験箱との間に設けられた分割弁と、前記センサーと通信可能であり、前記分割弁及び前記真空弁を制御可能である精度確認制御手段と、を備えており、前記精度確認制御手段は、前記分割弁及び前記真空弁を制御して前記試験箱の内部を第1の精度確認対象濃度及び第2の精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号をそれぞれの状態において受信することを特徴とするものである。
請求項14に記載の発明は、上記発明にあって、前記試験箱の内部に、前記検知対象の濃度を検知する基準器が入っていることを特徴とするものである。
請求項15に記載の発明は、上記発明にあって、前記精度確認制御手段は、前記基準器と通信可能であり、前記基準器から前記検知対象の濃度に係る信号である基準信号を受信して、前記基準信号に基づき前記試験箱の内部の濃度を制御することを特徴とするものである。
請求項16に記載の発明は、上記発明にあって、更に、k=[3]or[3,4]or[3,4,5]or・・・として、前記精度確認制御手段は、前記分割弁を制御して前記試験箱の内部を第kの精度確認対象濃度とした状態で、前記センサーから前記検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信することを特徴とするものである。
請求項17に記載の発明は、上記発明にあって、前記分割弁により流量を調整される前記媒体は、外気であることを特徴とするものである。
請求項18に記載の発明は、上記発明にあって、前記試験箱の内部に、ファンが設けられていることを特徴とするものである。
請求項19に記載の発明は、センサー校正システムであって、上記のセンサー精度確認システムで確認された、前記第1の精度確認対象濃度における前記濃度信号と、前記第2の精度確認対象濃度における前記濃度信号と、に基づいて、前記センサーを校正することを特徴とするものである。
【0008】
請求項20に記載の発明は、検知対象の濃度を検知するセンサーに係る精度を、複数の精度確認対象濃度において確認する方法であるセンサー精度確認方法であって、開閉可能であり閉じた状態で前記センサーを入れた試験箱の内部における前記検知対象の濃度を、順次複数の前記精度確認対象濃度のうちの何れかとして前記センサーの精度をそれぞれ確認することを特徴とするものである。
請求項21に記載の発明は、上記発明において、前記試験箱の内部における前記検知対象の濃度を、まず複数の前記精度確認対象濃度のうち最も小さいものとして前記センサーの精度を確認し、続いて複数の前記精度確認対象濃度のうち順に小さいものとして前記センサーの精度を確認することを特徴とするものである。
請求項22に記載の発明は、センサー校正方法であって、上記センサー精度確認方法で確認された、複数の前記精度確認対象濃度における各前記濃度に基づいて、前記センサーを校正することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の主な効果は、複数の状態に係るセンサーの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム,センサー精度確認方法が提供されることである。
又、本発明の別の主な効果は、センサーの校正が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー校正システム,センサー校正方法が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1形態に係るセンサー精度確認システムのブロック図である。
【
図2】
図1のセンサー精度確認システムの動作例に係るフローチャートである。
【
図3】本発明の第2形態に係るセンサー校正システムのブロック図である。
【
図4】
図3のセンサー校正システムの動作例に係るフローチャートである。
【
図5】本発明の第3形態に係るセンサー精度確認システムのブロック図である。
【
図6】
図5のセンサー精度確認システムの動作例に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
本発明は、当該形態及び変更例に限定されない。
【0012】
[第1形態]
図1は、本発明の第1形態に係るセンサー精度確認システム1のブロック図である。
センサー精度確認システム1は、CO
2濃度センサーの精度を確認するシステムである。CO
2濃度センサーは、検知対象としてのCO
2に係る濃度を検知するセンサーである。尚、センサー精度確認システム1では、CO
2重量センサーの精度が確認されても良いし、CO
2以外の濃度及び重量の少なくとも一方等を検知するセンサーが確認されても良い。
【0013】
センサー精度確認システム1は、恒温槽2と、試験箱4と、真空弁5(減圧弁)と、開放弁6と、真空ポンプ7と、CO2基準器8と、CO2確認PC10(CO2確認パーソナルコンピューター)と、第1ガスボンベ12と、第2ガスボンベ14と、第3ガスボンベ16と、第1切替弁22と、第2切替弁24と、第3切替弁26と、制御PC30(制御パーソナルコンピューター)と、モニター32と、サーバー34(サーバーコンピュータ)と、を有する。CO2確認PC10及び制御PC30が、精度確認制御手段を構成する。
尚、センサー精度確認システム1を構成する部材及び部分の少なくとも一部は、様々に変更されても良い。例えば、第1ガスボンベ12、第2ガスボンベ14、及び第3ガスボンベ16の数、並びに第1切替弁22、第2切替弁24、及び第3切替弁26の数は、それぞれ2つ以下あるいは4つ以上であっても良い。又、CO2確認PC10及び制御PC30は、一体であっても良いし、3台以上に分かれていても良い。精度確認制御手段に、モニター32及びサーバー34の少なくとも一方が加えられても良い。加えて、開放弁6は、省略されても良い。
【0014】
恒温槽2は、開閉可能であり、閉じた内部を所定温度に保持する槽である。所定温度は、ここでは25℃である。尚、所定温度は、25℃以外であっても良い。
恒温槽2の電源は、精度確認動作中、常に投入(オン)されており、精度確認完了後、適宜手動で切られる(オフ)。尚、恒温槽2がCO2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方に電気的に接続されても良く、恒温槽2の電源状態及び所定温度の少なくとも一方等は、CO2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方により制御されても良い。
【0015】
試験箱4は、恒温槽2の内部に入れられている。尚、恒温槽2に代えて、あるいは恒温槽2と共に、試験箱4が内部の温度を保持する機能を有していても良く、即ち試験箱4は内部の温度を保持可能であっても良い。恒温槽2は、省略されても良い。
試験箱4は、試験箱本体40と、ファン42と、圧力センサー48と、を有する。
試験箱本体40は、開閉可能である箱状である。試験箱本体40は、閉塞時、開放弁6が閉じていれば外部との間で気体の流通がない状態となる。即ち、試験箱本体40は、密閉可能である。
ファン42は、試験箱本体40の内部に配置されており、試験箱本体40の内部のエアを撹拌する。
圧力センサー48は、試験箱本体40の内部に入れられており、試験箱4(試験箱本体40)の内部の圧力を検知して、圧力に対応する圧力信号を出力する。圧力センサー48は、制御PC30と電気的に接続されている。
【0016】
真空弁5は、試験箱本体40の壁体とつながる管路に設けられており、試験箱4とつながっている。真空弁5は、真空ポンプ7とつながっており、真空ポンプ7と試験箱4とのつながりの有無及びその度合等の切替を行う。
開放弁6は、試験箱本体40の壁体とつながる管路に設けられており、試験箱4とつながっていて、恒温槽2の内部(試験箱4の外部)との連通状態を、連通状態(開放状態)と非連通状態(閉鎖状態)とで切り替える。開放弁6は、閉鎖状態となると、試験箱4の密閉状態を保持可能である。他方、開放弁6は、開放状態となると、試験箱4に係る負圧を開放可能である。
真空弁5及び開放弁6は、何れも電磁弁である。尚、真空弁5及び開放弁6の少なくとも一方は、電磁弁以外であっても良い。又、真空弁5及び開放弁6の少なくとも一方の切替は、段階(オンオフの2段階を含む、以下同様)的であっても良いし、連続的であっても良い。真空弁5及び開放弁6の少なくとも一方は、試験箱本体40の壁体に設けられても良い。真空弁5及び開放弁6の少なくとも一方は、試験箱4の構成要素と扱われても良い。
【0017】
真空ポンプ7は、作動により、真空弁5を介して、試験箱4(試験箱本体40)の内部の気圧を低下させる。真空ポンプ7の作用の度合は、真空弁5の開度の制御により調整される。
真空ポンプ7の電源は、精度確認動作中、常に投入されており、精度確認完了後、適宜手動で切られる。尚、真空ポンプ7が、真空弁5に代えて、あるいは真空弁5と共に、CO2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方に電気的に接続されても良く、試験箱4内部の気圧(真空度)等は、CO2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方により、真空ポンプ7を介して制御されても良い。
【0018】
CO2基準器8は、CO2濃度センサーであり、周囲のCO2濃度を検知可能であり、又そのCO2濃度に対応した信号である基準濃度信号(基準信号)を発信可能である。
CO2基準器8は、基準濃度信号を、無線構内通信により、モニター32に送信し、モニター32は、基準濃度信号を、CO2確認PC10及び制御PC30に対し、有線構内通信により送信する。尚、CO2基準器8は、基準濃度信号を、無線構内通信以外の無線通信により発信しても良いし、有線通信により発信しても良い。又、CO2基準器8は、表示部を備えていても良く、基準濃度信号の発信に代えて、あるいは基準濃度信号の発信と共に、CO2濃度及び基準濃度信号の内容の少なくとも一方等を表示しても良い。CO2基準器8は、モニター32を介さずに直接CO2確認PC10及び制御PC30に送信しても良い。モニター32とCO2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方との間の通信は、無線通信とされても良い。
CO2基準器8は、試験箱4の内部に入れられている。尚、CO2基準器8は、複数台設けられても良い。この場合、各基準濃度信号が示すCO2濃度の平均値等が、基準濃度として用いられても良い。
【0019】
試験箱4(試験箱本体40)は、その内部において、試験対象(精度確認対象)としてのCO2濃度センサーである被試験器Tを、複数(例えば18台)収容可能である。尚、1台の被試験器Tのみが試験箱4の内部に入れられても良い。
各被試験器Tは、CO2濃度センサーであり、周囲のCO2濃度を検知可能であり、又そのCO2濃度に対応した信号である濃度信号を発信可能である。
各被試験器Tは、濃度信号を、無線構内通信により、モニター32に送信し、モニター32は、濃度信号を、CO2確認PC10に送信する。尚、各被試験器Tは、濃度信号を、CO2確認PC10に代えて、あるいはCO2確認PC10と共に、制御PC30に送っても良い。又、各被試験器Tは、CO2基準器8と同様の変更例を適宜有する。更に、各被試験器Tの精度確認の正確性を向上する観点から、CO2基準器8の精度は、各被試験器Tの精度より高いことが好ましい。
各被試験器Tは、1つ以上のスペーサーSを介して、試験箱4の内部に収容される。スペーサーSは、例えばプラスチック製であり、試験箱4の内部に配置されて、試験箱本体40の内壁と各被試験器Tとの間のスペースの一部を埋めるものである。各被試験器TによるCO2の検知が必要であるため、スペーサーSは、試験箱本体40の内壁と各被試験器Tとの間のスペースの全部を埋めない。尚、CO2基準器8が、各被試験器Tに代えて、あるいは各被試験器Tと共に、スペーサーSに入れられても良い。又、スペーサーSは、省略されても良い。更に、スペーサーSは、高密度発泡スチロール及びゴムブロックの少なくとも一方等の弾性部材あるいは凹凸部材であっても良い。
各被試験器Tは、閉塞(密閉)が解かれて開放された試験箱本体40に対し、適宜新しい各被試験器Tに取り替えたうえで、出し入れすることが可能である。
【0020】
CO2確認PC10は、それぞれ図示されない、入力手段、出力手段、記憶手段、通信手段及び制御手段を有している。入力手段は、ユーザーの入力を受け付ける手段であり、例えばキーボード及びポインティングデバイスの少なくとも一方である。出力手段は、各種の情報を出力する手段であり、例えばモニター及びプリンターの少なくとも一方である。記憶手段は、各種の情報を記憶する手段であり、例えばメモリー及びハードディスクの少なくとも一方である。通信手段は、各種の情報の通信を行う手段であり、例えば通信コントローラである。制御手段は、各種の手段を制御する手段であり、例えばCPU(中央処理装置)である。制御手段は、記憶手段に記憶されたCO2確認PC側センサー精度確認プログラムを読み出して実行することにより、センサーの精度の確認に係る処理を実行する。尚、入力手段兼出力手段としてのタッチパネルのように、複数の手段を兼ねる1つの手段が用いられても良い。
CO2確認PC10は、制御PC30と電気的に接続されている。CO2確認PC10は、制御PC30と通信可能である。
CO2確認PC10(制御手段)は、通信手段を介して各被試験器Tから受信した濃度信号に対応する情報(濃度情報)を、各被試験器Tを識別するために被試験器T毎に付与される識別情報と対応づけて、記憶手段に記憶する(濃度情報データベース)。
尚、CO2確認PC10(制御手段)は、通信手段を介してCO2基準器8から受信した基準濃度信号に対応する情報(基準濃度情報)を、濃度情報データベースの項目として記憶しても良く、各濃度情報と基準濃度情報との差の算出及び記憶を行っても良い。又、濃度情報は、濃度信号の内容そのものであっても良く、基準濃度情報は、基準濃度信号の内容そのものであっても良い。
【0021】
第1ボンベとしての第1ガスボンベ12は、第1の流体としての第1の気体を収めたボンベである。第1の気体は、所定の媒体(ここでは窒素ガス)中に第1所定濃度(ここでは440ppm(parts per million))のCO2を含むものである。第1の気体は、400ppm(第1の精度確認対象濃度)における被試験器Tの精度を確認するために用いられる。精度確認対象濃度は、被試験器Tの精度の確認を行う対象として設定される検知対象(CO2)の濃度であり、センサー精度確認システム1では複数設定される。尚、所定媒体は、空気等、他のものであっても良い。又、第1所定濃度は、440ppm以外であっても良く、例えば第1の精度確認対象濃度(400ppm)と同じ濃度であっても良い。更に、第1の精度確認対象濃度は、400ppm以外であっても良い。
第2ボンベとしての第2ガスボンベ14は、第2の流体としての第2の気体を収めたボンベである。第2の気体は、窒素ガス中に第2所定濃度(ここでは1100ppm)のCO2を含むものである。第2の気体は、1000ppm(第2の精度確認対象濃度)における被試験器Tの精度を確認するために用いられる。1000ppmのCO2濃度は、店舗及び住宅等の室内の換気が十分であるか否かの境界値の目安とされている。第2の精度確認対象濃度は、第1の精度確認対象濃度より大きい。尚、第2の気体の媒体は、第1の気体の媒体と異なっていても良い。又、第2所定濃度は、1100ppm以外であっても良く、例えば第2の精度確認対象濃度(1000ppm)と同じ濃度であっても良い。更に、第2の精度確認対象濃度は、1000ppm以外であっても良い。
第3ボンベとしての第3ガスボンベ16は、第3の流体としての第3の気体を収めたボンベである。第3の気体は、窒素ガス中に第3所定濃度(ここでは5200ppm)のCO2を含むものである。第3の気体は、5000ppm(第3の精度確認対象濃度)における被試験器Tの精度を確認するために用いられる。第3の精度確認対象濃度は、第2の精度確認対象濃度より大きい。尚、第3の気体の媒体は、第1の気体及び第2の気体の少なくとも一方の媒体と異なっていても良い。又、第3所定濃度は、5200ppm以外であっても良く、例えば第3の精度確認対象濃度(5000ppm)と同じ濃度であっても良い。更に、第3の精度確認対象濃度は、5000ppm以外であっても良い。又更に、精度確認対象濃度の数は、複数であれば、2以上であっても良い。加えて、第1ガスボンベ12、第2ガスボンベ14及び第3ガスボンベ16は、液体ボンベ等であっても良く、第1の気体、第2の気体及び第3の気体は液体等であっても良い。液体ボンベの場合、ボンベからの吹き出し圧力が一般に高いため、吹き出し圧力を減圧するためのレギュレータを備えても良い。
【0022】
第1切替弁22は、第1ガスボンベ12と試験箱4との間に介装されている。第1ガスボンベ12と第1切替弁22とは第1-1流路52で結ばれており、第1切替弁22と試験箱4とは第1-2流路53で結ばれている。第1切替弁22は、制御PC30と電気的に接続されている。第1切替弁22は、その開度に応じ、第1ガスボンベ12から試験箱4への第1の気体の流量を0から所定の最大値まで連続的に調整可能である。尚、第1切替弁22は、第1の気体の流量を段階的に調整可能であっても良い。又、第1切替弁22に、複数の第1ガスボンベ12が接続されていても良く、この場合は、実質的には容量が増した1つの第1ガスボンベ12が接続されたときと同等である。
第2切替弁24は、第2ガスボンベ14と試験箱4との間に介装されている。第2ガスボンベ14と第2切替弁24とは第2-1流路54で結ばれており、第2切替弁24と試験箱4とは第2-2流路55で結ばれている。第2切替弁24は、制御PC30と電気的に接続されている。第2切替弁24は、その開度に応じ、第2ガスボンベ14から試験箱4への第2の気体の流量を0から所定の最大値まで連続的に調整可能である。尚、第2切替弁24は、第2の気体の流量を段階的に調整可能であっても良い。又、第2切替弁24が調整可能な第2の気体の流量の最大値は、第1切替弁22が調整可能な第1の気体の流量の最大値と異なっていても良い。加えて、第2切替弁24に、複数の第2ガスボンベ14が接続されていても良く、この場合は、実質的には容量が増した1つの第2ガスボンベ14が接続されたときと同等である。
第3切替弁26は、第3ガスボンベ16と試験箱4との間に介装されている。第3ガスボンベ16と第3切替弁26とは第3-1流路56で結ばれており、第3切替弁26と試験箱4とは第3-2流路57で結ばれている。第3切替弁26は、制御PC30と電気的に接続されている。第3切替弁26は、その開度に応じ、第3ガスボンベ16から試験箱4への第3の気体の流量を0から所定の最大値まで連続的に調整可能である。尚、第3切替弁26は、第3の気体の流量を段階的に調整可能であっても良い。又、第3切替弁26が調整可能な第3の気体の流量の最大値は、第1切替弁22が調整可能な第1の気体の流量の最大値及び第2切替弁24が調整可能な第2の気体の流量の最大値の少なくとも一方と異なっていても良い。加えて、第3切替弁26に、複数の第3ガスボンベ16が接続されていても良く、この場合は、実質的には容量が増した1つの第3ガスボンベ16が接続されたときと同等である。
第1切替弁22、第2切替弁24、及び第3切替弁26は、何れも電磁弁である。尚、第1切替弁22、第2切替弁24、及び第3切替弁26の少なくとも何れかは、電磁弁以外であっても良い。
【0023】
制御PC30は、CO2確認PC10と同様に、入力手段、出力手段、記憶手段、通信手段及び制御手段を有している。制御PC30の制御手段は、記憶手段に記憶された制御PC側センサー精度確認プログラムを読み出して実行することにより、センサーの精度の確認に係る処理を実行する。
制御PC30(制御手段)は、通信手段を介してCO2基準器8から受信した基準濃度信号に対応する情報(基準濃度情報)を、受信タイミングと対応づけて記憶手段に記憶する(基準濃度情報データベース)。
又、制御PC30は、それぞれ電気的に接続された、第1切替弁22、第2切替弁24、及び第3切替弁26(各開度)をそれぞれ制御して、各気体の流量を制御する。
更に、制御PC30は、それぞれ電気的に接続された、ファン42、真空弁5及び開放弁6をそれぞれ制御して、ファン42の回転状態、真空ポンプ7とのつながりの有無等の切替、及び試験箱本体40の開放閉鎖状態をそれぞれ制御する。
加えて、制御PC30(制御手段)は、通信手段を介して圧力センサー48から受信した圧力信号に対応する情報(圧力情報)を、受信タイミングと対応づけて記憶手段に記憶し(圧力情報データベース)、各種の制御に適宜用いる。
又、制御PC30(制御手段)は、通信手段を介してCO2確認PC10を制御可能である。
CO2確認PC10と制御PC30とが分かれているため、分散処理により処理の効率がより良好になる。特に、CO2確認PC10が主に各被試験器Tの濃度情報の記憶を担当し、制御PC30が主に精度確認に係る各種の制御を担当するため、ユーザーは精度確認中は主に制御PC30を操作しあるいは監視すれば良く、精度確認のためのデータはCO2確認PC10に蓄積されて、多数の被試験器Tの精度確認に更に適した分散処理が行える。
尚、制御PC30(制御手段)は、通信手段を介して各被試験器Tから受信した濃度信号に対応する情報(濃度情報)を、各被試験器Tを識別するために被試験器T毎に付与される識別情報と共に、基準濃度情報データベースの項目として記憶しても良い。又、制御PC30は、ファン42の回転量を連続的に制御しても良いし、段階的に制御しても良い。ファン42のオンオフ及び回転量調整の少なくとも一方は、手動で行われても良い。更に、圧力情報は、圧力信号の内容そのものであっても良い。加えて、圧力情報は、最新の1つあるいは2つ等のみ記憶されても良い。
【0024】
モニター32は、上述の通り、CO2基準器8及び各被試験器Tと、CO2確認PC10及び制御PC30との間に介装され、これらの間の通信の仲立ちをする。
【0025】
サーバー34は、CO2確認PC10と同様に、入力手段、出力手段、記憶手段、通信手段及び制御手段を有している。制御PC30の制御手段は、記憶手段に記憶されたサーバー側センサー精度確認プログラムを読み出して実行することにより、センサーの精度の確認に係る処理を実行する。
サーバー34は、CO2確認PC10と直接通信可能である。尚、サーバー34の設置箇所は、CO2確認PC10等と同じ場所であっても良いし、CO2確認PC10等から離れた場所であっても良い。サーバー34は、CO2確認PC10から離れた場所に接地された場合、インターネット等を介して通信されても良い。又、サーバー34は、制御PC30と直接通信可能であっても良い。
【0026】
次いで、センサー精度確認システム1の動作例が説明される。
図2は、当該動作例に係るフローチャートである。
ユーザーは、恒温槽2の電源を投入して内部を25℃とし(ステップS1)、更に試験箱4にCO
2基準器8をオン状態で入れると共にスペーサーSを介して各被試験器Tをオン状態で収容して試験箱4を密閉可能とし(ステップS2)、恒温槽2に試験箱4を入れて恒温槽2を閉じる。
第1切替弁22、第2切替弁24、及び第3切替弁26、並びに真空弁5は、何れも閉じており、開放弁6は、開放状態とされており、ファン42は、オフとされている。各被試験器Tは、所定タイミング(例えば15秒毎)において、濃度信号を発信する。尚、CO
2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方により、CO
2基準器8及び各被試験器Tの少なくとも何れかのオンオフ状態が制御されても良く、精度確認時のみ等においてCO
2基準器8及び各被試験器Tの少なくとも何れかがオンに制御されても良い。
【0027】
次いで、ユーザーは、制御PC30への所定の入力(例えば開始ボタンへの入力)により、センサー精度確認処理の開始を指令し、まずn=1として、第1の精度確認対象濃度(400ppm)のCO2濃度における精度確認処理を行う(ステップS3,n=1)。
制御PC30は、開放弁6を閉鎖して試験箱4を密閉し、真空弁5を真空ポンプ7とつながる状態として真空ポンプ7を起動し(ステップS3-1)、試験箱4内部の圧力を圧力情報により監視して所定程度以下とし、試験箱4の内部を負圧にする。尚、制御PC30は、圧力情報が所定閾値外の異常値を取った場合等において、圧力異常状態を検出し、センサー精度確認システム1における適宜の部材及び部分の作動を緊急停止しても良い。センサー精度確認システム1は、圧力センサー48とは別に、異常状態検出用のセンサーを有していても良い。
【0028】
制御PC30は、試験箱4内部の圧力が所定程度以下となったら、真空ポンプ7を停止すると共に(ステップS3-2)、第1切替弁22及び真空弁5を制御して、第1ガスボンベ12から第1の気体を試験箱4の内部に導入して(ステップS3-3)、ファン42を起動する(ステップS3-4)。導入時、真空弁5を介した真空ポンプ7の作用により、第1の気体が試験箱4の内部に吸い込まれる。制御PC30は、第2切替弁24及び第3切替弁26を何れも閉じている。又、ファン42により、第1の気体が試験箱4の内部で撹拌される。更に、第1の気体におけるCO2の濃度(第1所定濃度)は、第1の精度確認対象濃度より僅かに大きいため(第1の精度確認対象濃度の10%に相当する+40ppm)、第1の精度確認対象濃度とする十分な正確性を得た状態で、第1の精度確認対象濃度とするまでの時間を、第1所定濃度が第1の精度確認対象濃度と同じである場合に比べて短縮することができる。
又、制御PC30は、第1の気体の導入開始から所定時間が経過したことを把握すると、第1切替弁22及び真空弁5を制御して、第1ガスボンベ12から密閉状態の試験箱4の内部への第1の気体の導入を停止し(ステップS3-5)、ファン42を停止する(ステップS3-6)。
尚、第1所定濃度の第1の精度確認対象濃度に対する増分は、第1の精度確認対象濃度を超えて第1の精度確認対象濃度の10%未満の何れかの値であっても良い。更に、第1の気体は、負圧による吸い込みに代えて、あるいは負圧による吸い込みと共に、送風機等による送り込み等によって試験箱4の内部に導入されても良い。
【0029】
そして、制御PC30は、濃度の測定に係る基準濃度信号を、モニター32を介して受信し(ステップS3-7)、基準濃度情報を確認して、基準濃度情報が第1の精度確認対象濃度とならないと(ステップS3-8でNo)、n=1のままステップS3-1へ戻って、以降の処理を繰り返す。
かように、制御PC30は、基準濃度情報が第1の精度確認対象濃度となるまで、ステップS3-1~S3-8を繰り返すことで、第1切替弁22及び開放弁6を制御するため、第1の精度確認対象濃度とするための制御が自動化され、第1の精度確認対象濃度に係る試験の精度が向上する。
尚、制御PC30において、ステップS3-6の条件は、基準濃度情報が複数回(例えば3回)連続で第1の精度確認対象濃度となった場合にYesとする等、様々なものに設定されていても良い。
【0030】
他方、制御PC30は、基準濃度情報が第1の精度確認対象濃度となると(ステップS3-8でYes)、次のような各被試験器Tの濃度情報取得処理(ステップS3-9)へ移行する。ステップS3-9において、制御PC30の制御に基づいて、CO2確認PC10は、所定時間(例えば60秒)にわたり、第1の精度確認対象濃度となった密閉状態の試験箱4の内部における各被試験器Tから、モニター32を介して濃度信号を得て、濃度の精度を確認するための各濃度情報を取得し、記憶する。
尚、CO2確認PC10は、各濃度情報(の平均)を第1の精度確認対象濃度と比較しても良いし、あるいは基準濃度信号を得て基準濃度情報と比較しても良いし、又はこれらを併用しても良い。又、CO2確認PC10は、所定時間に代えて、各被試験器Tから所定回数(例えば4回)分の濃度信号が得られるまで等において精度確認を行っても良い。
【0031】
続いて、制御PC30は、第2の精度確認対象濃度(1000ppm)のCO2濃度における精度確認処理を行う(ステップS3の2回目の繰り返し、n=2)。第2の精度確認対象濃度における精度確認処理は、第1の精度確認対象濃度における精度確認処理と同様の変更例を適宜有する。
尚、制御PC30は、第1の精度確認対象濃度での精度確認(ステップS3-7、n=1)後に、試験箱4の開放処理を行っても良い。制御PC30は、開放処理において、開放弁6を所定時間(例えば60秒間)開放して試験箱4の内部圧力を大気圧程度に戻した後、ステップS5と同様に試験箱4の内部を負圧とする。試験箱4の内部圧力の開放により、試験箱4内部の気体が排気され、入れ替えられる。更に、制御PC30は、開放処理において、試験箱4の内部圧力の開放及び負圧化の処理の組を、複数回行っても良い。かような開放処理を行うことにより、精度確認の時間が増加するものの、試験箱4の内部を第2の精度確認対象濃度とする際の正確性がより一層向上する。かような正確性は、圧力の開放及び負圧化の処理の組の回数が増すほど上昇するところ、精度確認の効率性とのバランスをとる観点から、圧力の開放及び負圧化の処理の組の回数は好ましくは1回以上3回以下とされる。加えて、開放弁6を開放する所定時間は、圧力の開放及び負圧化の処理の各組の一部または全部において、互いに同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。
【0032】
即ち、制御PC30は、真空ポンプ7を作動させる(ステップS3-1)。
又、制御PC30は、真空ポンプ7を停止する(ステップS3-2)。
更に、制御PC30は、第2切替弁24を制御して、第2の気体を密閉状態の試験箱4の内部に導入し(ステップS3-3)、ファン42を起動する(ステップS3-3)。制御PC30は、第1切替弁22及び第3切替弁26を何れも閉じている。第2の精度確認対象濃度は、第1の精度確認対象濃度より大きいため、上述の開放処理が行われなかったとしても、第2の精度確認対象濃度に十分に正確に到達することができる。又、開放処理が行われない分、精度確認の効率が良くなる。
第2の気体におけるCO2の濃度(第2所定濃度)は、第2の精度確認対象濃度より僅かに大きいため(第2の精度確認対象濃度の10%に相当する+100ppm)、第2の精度確認対象濃度とする十分な正確性を得た状態で、第2の精度確認対象濃度とするまでの時間を、第2所定濃度が第2の精度確認対象濃度と同じである場合に比べて短縮することができる。尚、第2所定濃度の第2の精度確認対象濃度に対する増分は、第2の精度確認対象濃度を超えて第2の精度確認対象濃度の10%未満の何れかの値であっても良い。
又更に、制御PC30は、第2の気体の試験箱4内への導入を停止し(ステップS3-5)、ファン42を停止して(ステップS3-6)、濃度測定のうえ(ステップS3-7)、基準濃度情報が第2の精度確認対象濃度となった場合に(ステップS3-8でYes)、CO2確認PC10に被試験器Tの精度確認を行わせる(ステップS3-9)。
そして、制御PC30は、基準濃度情報が第2の精度確認対象濃度となるまで、ステップS3-1~S3-8を繰り返すことで、第2切替弁24及び開放弁6を制御するため、第2の精度確認対象濃度とするための制御が自動化され、第2の精度確認対象濃度に係る試験の精度が向上する。
【0033】
続いて、制御PC30は、第3の精度確認対象濃度(5000ppm)のCO2濃度における精度確認処理を行う(ステップS3の3回目の繰り返し、n=3)。第3の精度確認対象濃度における精度確認処理は、第1の精度確認対象濃度及び第2の精度確認対象濃度における精度確認処理と同様の変更例を適宜有する。
尚、制御PC30は、第2の精度確認対象濃度での精度確認(ステップS3-9、n=2)後に、上述した試験箱4の開放処理を行っても良い。第2の精度確認対象濃度での精度確認後の開放処理は、第1の精度確認対象濃度での精度確認後の開放処理と同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、第2の精度確認対象濃度での精度確認後の開放処理における開放に係る所定時間は、第1の精度確認対象濃度での精度確認後の開放処理における開放に係る所定時間と同じであっても良いし、異なっていても良い。又、第2の精度確認対象濃度での精度確認後の開放処理における圧力の開放及び負圧化の処理の組の回数は、第1の精度確認対象濃度での精度確認後の開放処理における圧力の開放及び負圧化の処理の組の回数と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0034】
即ち、制御PC30は、真空ポンプ7を作動させる(ステップS3-1)。
又、制御PC30は、真空ポンプ7を停止する(ステップS3-2)。
更に、制御PC30は、第3切替弁26を制御して、第3の気体を密閉状態の試験箱4の内部に導入し(ステップS3-3)、ファン42を起動する(ステップS3-3)。制御PC30は、第1切替弁22及び第2切替弁24を何れも閉じている。第3の精度確認対象濃度は、第2の精度確認対象濃度より大きいため、上述の開放処理が行われなかったとしても、第3の精度確認対象濃度に十分に正確に到達することができる。又、開放処理が行われない分、精度確認の効率が良くなる。
第3の気体におけるCO2の濃度(第3所定濃度)は、第3の精度確認対象濃度より僅かに大きいため(第3の精度確認対象濃度の4%に相当する+200ppm)、第3の精度確認対象濃度とする十分な正確性を得た状態で、第3の精度確認対象濃度とするまでの時間を、第3所定濃度が第3の精度確認対象濃度と同じである場合に比べて短縮することができる。尚、第3所定濃度の第3の精度確認対象濃度に対する増分は、第3の精度確認対象濃度を超えて第3の精度確認対象濃度の10%以下の何れかの値(200ppmを除く)であっても良いし、第3の精度確認対象濃度の4%未満の何れかの値であっても良い。
又更に、制御PC30は、第3の気体の試験箱4内への導入を停止し(ステップS3-5)、ファン42を停止して(ステップS3-6)、濃度測定のうえ(ステップS3-7)、基準濃度情報が第3の精度確認対象濃度となった場合に(ステップS3-8でYes)、CO2確認PC10に被試験器Tの精度確認を行わせる(ステップS3-9)。
そして、制御PC30は、基準濃度情報が第3の精度確認対象濃度となるまで、ステップS3-1~S3-8を繰り返すことで、第3切替弁26及び開放弁6を制御するため、第3の精度確認対象濃度とするための制御が自動化され、第3の精度確認対象濃度に係る試験の精度が向上する。
尚、制御PC30は、第1~第3の精度確認対象濃度の少なくとも何れかでの被試験器Tの精度確認において、環境誤差の補償に係る演算を行っても良い。例えば、被試験器TであるCO2濃度センサーの測定値は、圧力により変化するために圧力による誤差が発生し得るところ、制御PC30は、かような圧力による誤差を補償するために、圧力センサー48から得た圧力情報に基づいて、被試験器Tの測定値を、標準的な気圧(例えば1気圧)での値に変換しても良い。あるいは、制御PC30は、かような圧力による誤差の補償に代えて、又は当該補償と共に、測定時の温度に基づいて、被試験器Tの測定値を、標準的な温度(例えば25℃)での値に変換しても良い。
【0035】
制御PC30は、目的の3種類の精度確認対象濃度での精度確認が完了すると、開放弁6を開放して試験箱4の内部圧力を大気圧程度に戻す(ステップS4)。尚、ステップS4は、上述の開放処理と、変更例も含め同様に行われても良い。又、制御PC30は、恒温槽2を停止する(ステップS5)
ユーザーは、続けて別の各被試験器Tの精度確認を行う場合、ステップS5を行う前に、ステップS2~S4(各被試験器Tのセット、各精度確認、及び試験箱4の負圧開放)を繰り返すことができる。試験済みの各被試験器Tは、試験箱4の負圧開放後に取り出される。
CO2確認PC10及び制御PC30の少なくとも一方は、かようにして得られた被試験器Tにおける第1~第3の精度確認対象濃度毎の各濃度情報を、被試験器Tの識別情報と共に、サーバー34に送信し、サーバー34は、受信した各濃度情報及び被試験器Tの識別情報の組を記憶する。サーバー34には、各種の被試験器Tの識別情報及びその各濃度情報がそれぞれ対応付けられた濃度情報データベースが記憶される。尚、かようなサーバー34への情報の送信は、省略されても良い。
【0036】
ユーザーは、センサー精度確認システム1により得られた、被試験器Tにおける第1~第3の精度確認対象濃度毎の各濃度情報を、適宜基準濃度情報及び第1~第3の精度確認対象濃度の少なくとも何れかと比較することで、当該被試験器Tの精度を確認することができる。
ユーザーは、適宜、センサー精度確認システム1により得られた被試験器Tの精度に基づいて、被試験器Tの精度証明書を発行したり、より良好な精度となるように校正したりすることができる。校正について、より詳しくは、後述の第2形態が参照可能である。
【0037】
以上のセンサー精度確認システム1は、検知対象(CO2)の濃度を検知するセンサー(被試験器T)に係る精度を確認するシステムである。センサー精度確認システム1は、被試験器Tを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱4と、試験箱4に真空弁5を介してつながっており、密閉状態の試験箱4の負圧を調整可能である真空ポンプ7と、窒素ガス中に検知対象を第1所定濃度で含む第1の気体を収めた第1ガスボンベ12と、窒素ガス中に検知対象を第2所定濃度で含む第2の気体を収めた第2ガスボンベ14と、第1の気体の流量を調整して閉じた試験箱4の内部へ導入する、第1ガスボンベ12と試験箱4との間に設けられた第1切替弁22と、第2の気体の流量を調整して閉じた試験箱4の内部へ導入する、第2ガスボンベ14と試験箱4との間に設けられた第2切替弁24と、被試験器Tと通信可能であり、第1切替弁22及び第2切替弁24並びに真空弁5及び真空ポンプ7を制御可能であるCO2確認PC10及び制御PC30と、を備えている。CO2確認PC10及び制御PC30は、第1切替弁22並びに真空弁5及び真空ポンプ7を制御して密閉状態の試験箱4の内部を第1の精度確認対象濃度(400ppm)とした状態で、被試験器Tから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信すると共に、第2切替弁24並びに真空弁5及び真空ポンプ7を制御して密閉状態の試験箱4の内部を第2の精度確認対象濃度(1000ppm)とした状態で、被試験器Tから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する。
よって、複数の状態(第1,第2の精度確認対象濃度)に係る被試験器Tの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム1が提供される。
【0038】
又、試験箱4の内部に、検知対象の濃度を検知するCO2基準器8が入っている。よって、センサー精度確認システム1では、CO2基準器8からの基準濃度信号に基づき、より正確な動作が実現される。
更に、CO2確認PC10及び制御PC30は、CO2基準器8と通信可能であり、CO2基準器8から検知対象の濃度に係る信号である基準濃度信号を受信して、基準濃度信号に基づき試験箱4の内部の濃度を制御する。
よって、センサー精度確認システム1では、CO2基準器8からの基準濃度信号に基づき、より正確に試験箱4の内部で第1の精度確認対象濃度及び第2の精度確認対象濃度が実現される。
【0039】
更に、k=[3]([]は集合を示す)として、センサー精度確認システム1は、窒素ガス中に検知対象を第3所定濃度で含む第3の気体を収めた第3ガスボンベ16と、第3の気体の流量を調整して閉じた試験箱4の内部へ導入する、第3ガスボンベ16と試験箱4との間に設けられた第3切替弁26と、を備えている。CO2確認PC10及び制御PC30は、第3切替弁26を制御して試験箱4の内部を第3の精度確認対象濃度(5000ppm)とした状態で、被試験器Tから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する。
よって、複数の状態(第1,第2,第3の精度確認対象濃度)に係る被試験器Tの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム1が提供される。
尚、k=[3,4]では、第3の精度確認対象濃度等及び第4の精度確認対象濃度等が設けられる。又、k=[3,4,5]or・・・では、第3の精度確認対象濃度等、第4の精度確認対象濃度等及び第5の精度確認対象濃度等が設けられ、あるいは更に第6・・・の精度確認対象濃度等が設けられる。
【0040】
加えて、試験箱4の内部に、ファン42が設けられている。よって、試験箱4の内部を撹拌可能であり、試験箱4の内部における第1の精度確認対象濃度等がより均一で正確なものとなり、より正確な精度確認が行える。
又、被試験器Tは、複数設けられており、各被試験器Tは、試験箱4に入っている。よって、複数台の被試験器Tの精度をまとめて確認することができ、精度確認の効率がより一層良好になる。
更に、試験箱4は、内部を所定温度に保持する恒温槽2の内部に入っている。よって、センサー精度確認システム1では、所定温度における被試験器Tの精度を確認可能である。
又更に、センサー精度確認システム1は、試験箱4の内部に配置されたスペーサーSを備えている。よって、センサー精度確認システム1では、スペーサーSの分第1の気体等で満たす必要がなくなり、より素早く第1の精度確認対象濃度等とすることができ、一層精度確認の効率が良好になる。
又、検知対象はCO2である。よって、センサー精度確認システム1では、CO2濃度センサーの精度確認がより素早く十分に正確に行える。
更に、被試験器Tは、無線通信可能である。よって、通信線が不要であり、閉じた試験箱4の内部への設置がより簡単で、センサーの精度確認がより簡単に行える。
加えて、センサー精度確認システム1は、試験箱4につながっており、試験箱4の密閉状態を保持可能であると共に試験箱4に係る負圧を開放可能である開放弁6を備えている。よって、密閉された試験箱4内の環境の制御がより一層行い易く、又その制御の精度がより一層良好になる。
【0041】
又、センサー精度確認システム1の動作により実施されるセンサー精度確認方法は、検知対象の濃度を検知するセンサー(被試験器T)に係る精度を、複数の精度確認対象濃度において確認する方法である。そして、センサー精度確認方法では、CO2確認PC10及び制御PC30は、開閉可能であり閉じた状態で被試験器Tを入れた試験箱4の内部におけるCO2濃度を、順次複数の精度確認対象濃度のうちの何れか(第1の精度確認対象濃度、第2の精度確認対象濃度、第3の精度確認対象濃度)として被試験器Tの精度をそれぞれ確認する(ステップS3、n=1~3)。
よって、センサー精度確認方法では、複数の精度確認対象濃度に係る被試験器Tの精度確認が効率よく行える。
【0042】
更に、センサー精度確認方法では、CO2確認PC10及び制御PC30が、試験箱4の内部におけるCO2濃度を、まず、複数の精度確認対象濃度のうち最も小さいもの(第1の精度確認対象濃度、400ppm)として被試験器Tの精度を確認する(ステップS3、n=1)。センサー精度確認方法では、次いで、CO2確認PC10及び制御PC30が、試験箱4の内部におけるCO2濃度を、複数の精度確認対象濃度のうち次に小さいもの(第2の精度確認対象濃度、1000ppm)として被試験器Tの精度を確認する(ステップS3、n=2)。又、センサー精度確認方法では、引き続き、CO2確認PC10及び制御PC30が、試験箱4の内部におけるCO2濃度を、複数の精度確認対象濃度のうちその次に小さいもの(第3の精度確認対象濃度、5000ppm)として被試験器Tの精度を確認する(ステップS3、n=3)。
よって、センサー精度確認方法では、第1の精度確認対象濃度から第2の精度確認対象濃度とする際の試験箱4内部の排気等が省略可能あるいは簡略化可能であり、又更には第2の精度確認対象濃度から第3の精度確認対象濃度とする際の試験箱4内部の排気等が省略可能あるいは簡略化可能であり、その分効率良く被試験器Tの精度確認が行える。
【0043】
尚、第1形態の変更例として、第1ガスボンベ12及び第1切替弁22並びに第3ガスボンベ16及び第3切替弁26を省略し、1つの第2ガスボンベ14、及び1つの第2切替弁24で被試験器Tの精度確認を行うものが挙げられる。
この変更例では、CO2確認PC10及び制御PC30は、まず通常の大気中で(例えばCO2濃度400ppm,第1の精度確認対象濃度)、あるいは試験箱4内を予め所定のCO2濃度に調整した状態で、被試験器Tの精度確認を行い、次いで、第2ガスボンベ14及び第2切替弁24を制御して試験箱4内を第2の精度確認対象濃度(1000ppm)とした状態で、被試験器Tの精度確認を行う。
尚、CO2確認PC10及び制御PC30は、第1ガスボンベ12及び第1切替弁22並びに第2ガスボンベ14及び第2切替弁24を省略し、1つの第3ガスボンベ16、及び1つの第3切替弁26で被試験器Tの精度確認(例えば400ppm及び5000ppm)を行っても良い。
【0044】
かような第1形態の変更例は、検知対象(CO2)の濃度を検知するセンサー(被試験器T)に係る精度を確認するシステムである。このセンサー精度確認システムは、被試験器Tを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱4と、試験箱4に真空弁5を介してつながっており、密閉状態の試験箱4の負圧を調整可能である真空ポンプ7と、窒素ガス中に検知対象を所定濃度で含む第2の気体を収めた第2ガスボンベ14と、第2の気体の流量を調整して閉じた試験箱4の内部へ導入する、第2ガスボンベ14と試験箱4との間に設けられた第2切替弁24と、被試験器Tと通信可能であり、第2切替弁24並びに真空弁5及び真空ポンプ7を制御可能であるCO2確認PC10及び制御PC30と、を備えている。CO2確認PC10及び制御PC30は、
密閉状態の試験箱4の内部が第1の精度確認対象濃度(例えば400ppm)である状態で、被試験器Tから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信すると共に、第2切替弁24並びに真空弁5及び真空ポンプ7を制御して密閉状態の試験箱4の内部を第2の精度確認対象濃度(1000ppm)とした状態で、被試験器Tから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する。
よって、この第1形態の変更例においても、複数の状態(第1,第2の精度確認対象濃度)に係る被試験器Tの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行える。
【0045】
[第2形態]
図3は、本発明の第2形態に係るセンサー校正システム71のブロック図である。
センサー校正システム71は、上述のセンサー精度確認システム1のサーバー34がサーバー74に置き換えられたものである。サーバー74以外の構成は、上述のセンサー精度確認システム1と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
又、被試験器Tは、検知部TSと、記憶部TMと、出力部TOと、通信部TNと、これらを制御可能な制御部TCと、を有する。
検知部TSは、CO2濃度を検知して補正前濃度信号を発生する部分である。
記憶部TMは、各種の情報を記憶可能であり、補正値TR、及び被試験器Tの識別情報IDを記憶可能である。
制御部TCは、補正前濃度信号につき補正値TRに基づき補正して濃度信号を得る。ここでは、制御部TCは、補正前濃度信号が示す補正前濃度に補正値TRを加えて補正後の濃度とし、補正後の濃度を示す濃度信号を得る。補正値TRが0である場合、補正前濃度信号が濃度信号となる。
出力部TOは、補正済みの濃度信号を出力する。
通信部TNは、サーバー74(の通信手段)と無線通信可能である。尚、かような通信は、上述の通信と同様の変更例を適宜有する。
【0047】
サーバー74は、被試験器Tから識別情報IDを受信可能であり、又被試験器Tに対し、当該識別情報IDに対応する、各濃度情報に関する情報を送信可能である。
ここでは、サーバー74は、各濃度情報に関する情報として、次のものを送信する。即ち、第1の精度確認対象濃度(400ppm)におけるCO2基準器8の濃度情報を引く数とし、第1の精度確認対象濃度における当該識別情報IDの被試験器Tの濃度情報が示す濃度を引かれる数として演算された値(第1の補正値要素)と、第2の精度確認対象濃度(1000ppm)におけるCO2基準器8の濃度情報を引く数とし、第2の精度確認対象濃度における当該識別情報IDの被試験器Tの濃度情報が示す濃度を引かれる数として演算された値(第2の補正値要素)と、第3の精度確認対象濃度(5000ppm)におけるCO2基準器8の濃度情報を引く数とし、第3の精度確認対象濃度における当該識別情報IDの被試験器Tの濃度情報が示す濃度を引かれる数として演算された値(第3の補正値要素)と、について平均して得られる、これら第1~第3の補正値要素の平均値である。
尚、サーバー74は、各濃度情報に関する情報として、各濃度情報そのものを送信しても良いし、これら第1~第3の補正値要素を示す情報を送信しても良い。又、サーバー74は、各濃度情報に関する情報として、第1~第3の精度確認対象濃度における各濃度情報のうちの一部に基づく情報を送信しても良い。更に、サーバー74は、第1の補正値要素につき、第1の精度確認対象濃度を引く数としても良く、第2の補正値要素につき、第2の精度確認対象濃度を引く数としても良く、第3の補正値要素につき、第3の精度確認対象濃度を引く数としても良い。
【0048】
被試験器Tの制御部TCは、サーバー74から第1~第3の補正値要素の平均値を通信部TNにおいて受信すると、これを当該被試験器Tに係る補正値TRとして記憶部TMに記憶する。
尚、補正値TRは、第1~第3の精度確認対象濃度(400,1000,5000ppm)毎に設けられても良い。又、補正値TRは、第1~第3の精度確認対象濃度から演算される補正値分布(濃度と補正量との関係を示す分布)、あるいは補正値関数(濃度を変数として補正量が得られる関数)とされても良い。
【0049】
次いで、センサー校正システム71の動作の例、及びセンサー校正方法の例が説明される。
図4は、当該動作(方法)の例に係るフローチャートである。
ユーザーは、センサー精度確認システム1で精度の確認を終えた被試験器Tを、サーバー74に接続する(ステップS11)。
被試験器Tは、サーバー74に識別情報IDを送信する(ステップS12)。
サーバー74は、受信した識別情報IDに対応する各濃度情報に関する情報(第1~第3の補正値要素の平均値)を、補正値TRに対応するものとして被試験器Tに送信する(ステップS13)。
被試験器Tは、受信した各濃度情報に関する情報を、補正値TRとして記憶する(ステップS14)。被試験器Tは、かような補正値TRの記憶により校正される。
【0050】
ユーザーは、適宜、順次あるいは同時に、他の被試験器Tの校正処理を行うことができる。
尚、被試験器Tの校正は、センサー精度確認システム1において各濃度情報が得られた後で連続的に行われても良い。
【0051】
以上のセンサー校正システム71は、試験箱4の内部に入れられたCO2濃度を検知するCO2基準器8からCO2濃度に係る信号である基準信号が発信されるセンサー精度確認システム1で取得された、被試験器TにおけるCO2濃度と、CO2基準器8におけるCO2濃度と、に基づいて、被試験器Tを校正する。
よって、センサーが、精度良く校正される。
【0052】
又、センサー校正システム71で実行可能なセンサー校正方法は、上記センサー精度確認方法で確認された、複数(第1~第3)の精度確認対象濃度における各濃度に基づいて、被試験器Tを校正する(ステップS14)。
よって、センサーが、複数の状態に係る濃度に基づいて、精度良く校正される。
【0053】
[第3形態]
図5は、本発明の第3形態に係るセンサー精度確認システム101のブロック図である。
第3形態のセンサー精度確認システム101は、CO
2濃度センサーの精度を確認するシステムである。
第3形態のセンサー精度確認システム101における試験箱4及びその内部の構成、並びに真空弁5、開放弁6及び真空ポンプ7の構成は、第1形態のセンサー精度確認システム1における試験箱4及びその内部の構成、並びに真空弁5、開放弁6及び真空ポンプ7の構成と同様に成る。センサー精度確認システム101において第1形態のセンサー精度確認システム1と同様に成る部材及び部分には、適宜、同じ符号が付されて、説明が省略される。
尚、第3形態のセンサー精度確認システム101は、第1形態のセンサー精度確認システム1の変更例と同様の変更例を、適宜有する。
【0054】
センサー精度確認システム101は、恒温槽102と、試験箱4と、真空弁5(減圧弁)と、開放弁6と、真空ポンプ7と、CO2基準器8と、CO2確認PC10と、ガスボンベ112と、分割弁122と、制御PC130と、モニター32と、サーバー34(サーバーコンピュータ)と、を有する。
制御PC130が、精度確認制御手段を構成する。
【0055】
恒温槽102は、制御PC130による制御が可能であることを除き、第1形態の恒温槽2と同様に成る。恒温槽102は、制御PC130と電気的に接続されている。
恒温槽102により保持される所定温度は、制御PC130の制御及び恒温槽2に設けられた図示されないスイッチの手動切替の少なくとも一方に基づき、所定温度範囲(例えば0℃以上40℃以下)内で変更可能である。尚、第1形態において、第3形態の恒温槽102が用いられても良い。
【0056】
ボンベとしてのガスボンベ112は、流体としての第4の気体を収めたボンベである。第4の気体は、所定の媒体(ここでは窒素ガス)中に第4所定濃度(ここでは8000ppm)のCO2を含むものである。第4所定濃度は、第3所定濃度(5200ppm)あるいは第3の精度確認対象濃度(5000ppm)より大きい。
尚、ガスボンベ112は、第1ガスボンベ12、第2ガスボンベ14及び第3ガスボンベ16の少なくとも何れかと同様の変更例を、適宜有する。又、第4の気体の媒体等は、第1~第3の気体の少なくとも何れかと異なっていても良い。
【0057】
分割弁122は、ガスボンベ112と試験箱4との間に介装されている。ガスボンベ112と分割弁122とは流路152で結ばれており、分割弁122と試験箱4とは流路153で結ばれている。又、分割弁122は、流路154を介して外気Fを導入可能である。外気FのCO2濃度は、十分に換気された室内におけるCO2濃度である400ppm以下である。分割弁122は、CO2確認PC10及び制御PC130と電気的に接続されている。分割弁122は、ガスボンベ112からの第4の気体の流量(流路152に対する開度)、及び外気Fの流量(流路154に対する開度)をそれぞれ調整して、第4の気体と外気Fとを適宜混合のうえ、流路153を介して試験箱4の内部に注入可能である。分割弁122は、外気Fのみ(流路152に対する開度を0として第4の気体に対し全閉)、あるいは第4の気体のみ(流路154に対する開度を0として外気Fに対し全閉)を、試験箱4の内部に導くことができる。それぞれの開度に応じた第4の気体の流量及び外気Fの流量は、0から所定の最大値まで連続的に調整可能である。
分割弁122は、電磁弁である。尚、分割弁122は、電磁弁以外であっても良い。
尚、分割弁122は、第4の気体の流量及び外気Fの流量の少なくとも一方を、段階的に調整可能であっても良い。又、外気Fに代えて、又は外気Fと共に、0ppmを含む400ppm(第1の精度確認対象濃度)以下のCO2濃度の希釈用ガスタンクからの希釈用ガス(希釈用媒体)が、分割弁122を介して、適宜流量調整のうえ、試験箱4の内部に導入されても良い。希釈用ガスの組成は、CO2以外のどのようなものでも良いところ、精度確認への悪影響を抑制する観点から、好ましくはガスボンベ112の媒体あるいは外気Fと同様のものとされる。分割弁122における、第4の気体の流量に係る所定の最大値と、外気Fの流量に係る所定の最大値とは、互いに一致していても良いし、互いに異なっていても良い。
【0058】
制御PC130は、第1形態の制御PC30と同様であり、それぞれ図示されない、入力手段、出力手段、記憶手段、通信手段及び制御手段を有している。
尚、第1~第3形態の少なくとも何れかにおいて、CO2確認PC10及び制御PC30を統合したPCが用いられても良く、あるいは3台以上のコンピューターが用いられても良い。
【0059】
第3形態に係るセンサー精度確認システム101の動作例は、変更例を含め、第1形態のセンサー精度確認システム1の動作例と同様である。
図6は、第3形態に係るセンサー精度確認システム101の動作例に係るフローチャートである。
【0060】
センサー精度確認システム101では、まず、制御PC130により恒温槽102が起動される(ステップS21)。ステップS21等において、制御PC130は、恒温槽102を制御して、恒温槽102が保持する所定温度(恒温槽102の設定温度)を変更することができ、任意の温度における各被試験器Tの精度確認が行える。
そして、ユーザーは、各被試験器Tを試験箱4内にセットして(ステップS22)、試験箱4を恒温槽102内に入れ、制御PC130の入力手段への所定の入力に基づき、センサー精度確認処理の開始を指令する(ステップS23)。すると、制御PC130は、第1の精度確認対象濃度(400ppm、n=1)についてのステップS24に移行する。
【0061】
制御PC130は、ステップS24において、まず真空ポンプ7を起動し(ステップS24-1)、又停止して(ステップS24-2)、試験箱4内を負圧にする。
そして、制御PC130は、第4の気体の試験箱4内への導入を開始して試験箱4内の加圧を開始し(ステップS24-3)、更に分割弁122を制御により調整して、第4の気体、外気F又はそれらの混合気である流路153への気体のCO2濃度が上述の第1の精度確認対象濃度の程度あるいは第1所定濃度の程度となるようにし、又流路153への気体の流量が調整されるようにする(ステップS24-4)。制御PC130は、流路153への気体のCO2濃度を、所定濃度に保持しても良いし、徐々に小さくするあるいは現在の試験箱4内部のCO2濃度に応じたものとする等の態様で変動させても良い。流路153の気体は、試験箱4の内部に導入される。又、このとき、ファン42の起動(ステップS24-5)により、試験箱4内が撹拌される。
制御PC130は、特定のタイミング(例えば所定時間毎あるいはCO2基準器8が第1の精度確認対象濃度あるいはこれに基づく所定の値を示した場合等)となると、第4の気体の試験箱4内への導入を停止し(ステップS24-6)、更にファン42を停止させ(ステップS24-7)、CO2基準器8からの基準濃度信号に基づき、試験箱4の内部におけるCO2の濃度を測定する(ステップS24-8)。
そして、制御PC130は、試験箱4内のCO2の濃度が第1の精度確認対象濃度となっているか否かを判断し(ステップS24-9)、試験箱4の内部が第1の精度確認対象濃度となっていなかったら(No)、ステップS24-1に戻って以降のステップを繰り返す。
他方、制御PC130は、試験箱4の内部が第1の精度確認対象濃度となっていれば(ステップS24-9でYes)、第1の精度確認対象濃度における被試験器Tの精度確認を行う(ステップS24-10)。ステップS24-10(n=1)において、CO2確認PC10は、第1の精度確認対象濃度となった試験箱4の内部における各被試験器Tから濃度信号を得て、濃度の精度を確認するための各濃度情報を取得し、記憶する。
【0062】
次いで、制御PC130は、第2の精度確認対象濃度(1000ppm,n=2)についてステップS24を実行する。
そのステップS24(n=2)において、制御PC130は、真空ポンプ7を起動及び停止する(ステップS24-1,S24-2)。
そして、制御PC130による第4の気体の導入(ステップS24-3)及び分割弁122の制御(ステップS24-4)並びにファンの起動(ステップS24-5)に基づき、ステップS24(n=1)と変更例も含めて同様に、流路153への気体のCO2濃度が上述の第2の精度確認対象濃度の程度あるいは第2所定濃度の程度とされ、又流路153への気体の流量が調整されて、第4の気体の導入が停止され(ステップS24-6)、ファン42が停止される(ステップS24-5)。流路153の気体は、試験箱4の内部に導入される。尚、n=1とn=2とで分割弁122の制御が変えられても良い。例えば、n=1では流路153への気体の濃度が所定濃度に保持され、n=2では流路153への気体の濃度が変動されても良い。
制御PC130は、濃度測定(ステップS24-8)により試験箱4の内部が第2の精度確認対象濃度となったことを把握したら(ステップS24-9でYes)、第2の精度確認対象濃度における被試験器Tの精度確認を行う(ステップS24-10)。ステップS24-10(n=2)において、CO2確認PC10は、第2の精度確認対象濃度となった試験箱4の内部における各被試験器Tから濃度信号を得て、濃度の精度を確認するための各濃度情報を取得し、記憶する。
【0063】
続いて、制御PC130は、第3の精度確認対象濃度(5000ppm,n=3)についてステップS24を実行する。
そのステップS24(n=3)において、制御PC130は、真空ポンプ7を起動及び停止する(ステップS24-1,S24-2)。
そして、制御PC130による第4の気体の導入(ステップS24-3)及び分割弁122の制御(ステップS24-4)並びにファンの起動(ステップS24-5)に基づき、ステップS24(n=1)と変更例も含めて同様に、流路153への気体のCO2濃度が上述の第3の精度確認対象濃度の程度あるいは第3所定濃度の程度とされ、又流路153への気体の流量が調整されて、第4の気体の導入が停止され(ステップS24-6)、ファン42が停止される(ステップS24-5)。流路153の気体は、試験箱4の内部に導入される。尚、n=1及びn=2の少なくとも一方とn=3とで分割弁122の制御が変えられても良い。
制御PC130は、濃度測定(ステップS24-8)により試験箱4の内部が第3の精度確認対象濃度となったことを把握したら(ステップS24-9でYes)、第3の精度確認対象濃度における被試験器Tの精度確認を行う(ステップS24-10)。ステップS24-10(n=3)において、CO2確認PC10は、第3の精度確認対象濃度となった試験箱4の内部における各被試験器Tから濃度信号を得て、濃度の精度を確認するための各濃度情報を取得し、記憶する。
【0064】
制御PC130は、目的の3種類の精度確認対象濃度での精度確認が完了すると、開放弁6を開けて試験箱4の内部圧力を大気圧程度に戻す(ステップS25)。
ユーザーは、続けて別の各被試験器Tの精度確認を行う場合、ステップS22から繰り返す。
他方、ユーザーは、各被試験器Tの精度確認を終える場合、恒温槽102をオフとする(ステップS26)。
【0065】
ユーザーは、センサー精度確認システム101により得られた、被試験器Tにおける第1~第3の精度確認対象濃度毎の各濃度情報を、適宜基準濃度情報及び第1~第3の精度確認対象濃度の少なくとも何れかと比較することで、当該被試験器Tの精度を確認することができる。
ユーザーは、適宜、センサー精度確認システム101により得られた被試験器Tの精度に基づいて、被試験器Tの精度証明書を発行したり、より良好な精度となるように校正したりすることができる。校正について、より詳しくは、後述の第4形態が参照可能である。
【0066】
以上のセンサー精度確認システム101は、CO2濃度を検知するセンサー(被試験器T)に係る精度を確認するシステムである。センサー精度確認システム101は、被試験器Tを収容可能であり、且つ開閉可能であって、閉塞時には密閉可能である試験箱4と、試験箱4につながっており、試験箱4の密閉状態を保持可能であると共に試験箱4に係る負圧を開放可能である開放弁6と、窒素ガス中にCO2を所定濃度で含む第4の気体を収めたガスボンベ112と、第4の気体の流量及び媒体(外気F)の流量を調整して閉じた試験箱4の内部へ導入する、ガスボンベ112と試験箱4との間に設けられた分割弁122と、被試験器Tと通信可能であり、分割弁122及び開放弁6を制御可能である制御PC130と、を備えている。CO2確認PC10及び制御PC130は、分割弁122及び開放弁6を制御して試験箱4の内部を順次複数の精度確認対象濃度とした状態で、被試験器TからCO2濃度に係る信号である濃度信号をそれぞれの状態において受信する。
よって、複数の状態(第1,第2の精度確認対象濃度)に係る被試験器Tの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム1が提供される。
【0067】
又、試験箱4の内部に、検知対象の濃度を検知するCO2基準器8が入っている。CO2確認PC10及び制御PC130は、CO2基準器8と通信可能であり、CO2基準器8から検知対象の濃度に係る信号である基準濃度信号を受信して、基準濃度信号に基づき試験箱4の内部の濃度を制御する。
よって、センサー精度確認システム101では、CO2基準器8からの基準濃度信号に基づき、より正確に試験箱4の内部で第1の精度確認対象濃度及び第2の精度確認対象濃度が実現される。
【0068】
更に、k=[3]として、CO2確認PC10及び制御PC130は、分割弁122を制御して試験箱4の内部を第3の精度確認対象濃度とした状態で、センサーから検知対象の濃度に係る信号である濃度信号を受信する。
よって、複数の状態(第1,第2,第3の精度確認対象濃度)に係る被試験器Tの精度の確認が十分に正確な状態で効率良く行えるセンサー精度確認システム101が提供される。
尚、k=[3,4]では、第3の精度確認対象濃度等及び第4の精度確認対象濃度等が設けられる。又、k=[3,4,5]or・・・では、第3の精度確認対象濃度等、第4の精度確認対象濃度等及び第5の精度確認対象濃度等が設けられ、あるいは更に第6・・・の精度確認対象濃度等が設けられる。
【0069】
加えて、分割弁122により流量を調整される媒体は、外気Fである。
よって、別途濃度調整用のボンベが設けられる場合に比べ、より簡単に被試験器Tの精度が確認される。
【0070】
又、センサー精度確認システム101の動作により実施されるセンサー精度確認方法は、検知対象の濃度を検知するセンサー(被試験器T)に係る精度を、複数の精度確認対象濃度において確認する方法である。そして、センサー精度確認方法では、CO2確認PC10及び制御PC30が、開閉可能であり閉じた状態で被試験器Tを入れた試験箱4の内部におけるCO2濃度を、順次複数の精度確認対象濃度のうちの何れか(第1の精度確認対象濃度、第2の精度確認対象濃度、第3の精度確認対象濃度)として被試験器Tの精度をそれぞれ確認する(ステップS24、n=1~3)。
よって、センサー精度確認方法では、複数の精度確認対象濃度に係る被試験器Tの精度確認が効率よく行える。
【0071】
更に、センサー精度確認方法では、CO2確認PC10及び制御PC30が、試験箱4の内部におけるCO2濃度を、まず、複数の精度確認対象濃度のうち最も小さいもの(第1の精度確認対象濃度、400ppm)として被試験器Tの精度を確認する(ステップS24、n=1)。センサー精度確認方法では、次いで、CO2確認PC10及び制御PC30が、試験箱4の内部におけるCO2濃度を、複数の精度確認対象濃度のうち次に小さいもの(第2の精度確認対象濃度、1000ppm)として被試験器Tの精度を確認する(ステップS24、n=2)。又、センサー精度確認方法では、引き続き、CO2確認PC10及び制御PC30が、試験箱4の内部におけるCO2濃度を、複数の精度確認対象濃度のうちその次に小さいもの(第3の精度確認対象濃度、5000ppm)として被試験器Tの精度を確認する(ステップS24、n=3)。
よって、センサー精度確認方法では、第1の精度確認対象濃度から第2の精度確認対象濃度とする際の試験箱4内部の排気等が省略可能あるいは簡略化可能であり、又更には第2の精度確認対象濃度から第3の精度確認対象濃度とする際の試験箱4内部の排気等が省略可能あるいは簡略化可能であり、その分効率良く被試験器Tの精度確認が行える。
【0072】
[第4形態]
本発明の第4形態に係るセンサー校正システムは、第3形態のセンサー精度確認システム101を用いたものである。
第4形態に係るセンサー校正システムは、第2形態に係るセンサー校正システム71と、センサー精度確認システムが第1形態から第3形態に変わったことを除いて同様に成る。
【0073】
第4形態のセンサー校正システムは、試験箱4の内部に入れられたCO2濃度を検知するCO2基準器8からCO2濃度に係る信号である基準信号が発信されるセンサー精度確認システム101で取得された、被試験器TにおけるCO2濃度と、CO2基準器8におけるCO2濃度と、に基づいて、被試験器Tを校正する。
よって、センサーが、精度良く校正される。
【0074】
又、第4形態のセンサー校正システムで実行可能なセンサー校正方法は、上記センサー精度確認方法で確認された、複数(第1~第3)の精度確認対象濃度における各濃度に基づいて、被試験器Tを校正する。
よって、センサーが、複数の状態に係る濃度に基づいて、精度良く校正される。
【符号の説明】
【0075】
1,101・・センサー精度確認システム、2,102・・恒温槽、4・・試験箱、5・・真空弁、6・・開放弁、7・・真空ポンプ、8・・CO2基準器(基準器)、10・・CO2確認PC(精度確認制御手段)、12・・第1ガスボンベ(第1ボンベ)、14・・第2ガスボンベ(第2ボンベ)、16・・第3ガスボンベ(第3ボンベ)、22・・第1切替弁、24・・第2切替弁、26・・第3切替弁、30・・制御PC(精度確認制御手段)、42・・ファン、71・・センサー校正システム、112・・ガスボンベ(ボンベ)、122・・分割弁、130・・PC(精度確認制御手段)、F・・外気(分割弁122により流量を調整される媒体)、S・・スペーサー、S3,S24・・ステップ(精度確認処理)、T・・被試験器(センサー)。