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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079242
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】キャビネットの換気用通風装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240604BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192077
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】生駒 愛理
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
【Fターム(参考)】
4E360AB33
4E360AB64
4E360BD02
4E360BD05
4E360EA21
4E360ED02
4E360GA22
4E360GA25
4E360GA29
4E360GA52
4E360GB99
5E322AB01
5E322BA01
5E322BC02
5E322EA01
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】 風の勢いを削ぐことなくキャビネット内部への雨水の侵入を防止でき、且つ少ない設置スペースで済むキャビネットの換気用通風装置を提供する。
【解決手段】 複数のルーバを備えたルーバ板2を2枚重ねて配置し、ルーバ板2は同一形状の膨出部10が一方の面に列設され、当該膨出部10の下端或いは上端にスリット状の開口部10aを有してルーバを形成している。2枚のルーバ板2のうちの一方の第1ルーバ板2aは、膨出部10が形成された面が露出配置されて換気用通風装置1の前面を構成し、全ての膨出部10の下端を開口してルーバが形成される一方、他方の第2ルーバ板2bは、第1ルーバ板2aの背部に配置されて背面に膨出部が形成され、全ての膨出部10の上端を開口してルーバが形成されている。第1ルーバ板2aと第2ルーバ板2bは、膨出部10の40%~100%が重なるよう互いの膨出部10が配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のルーバを備えたルーバ板を2枚重ねて配置したキャビネットの換気用通風装置であって、
前記ルーバ板は、同一形状の膨出部が一方の面に列設され、当該膨出部の下端或いは上端にスリット状の開口部を有してルーバを形成して成り、
前記2枚のルーバ板のうちの一方の第1ルーバ板は、前記膨出部が形成された面が露出配置されて換気用通風装置の前面を構成し、全ての前記膨出部の下端を開口してルーバが形成される一方、
他方の第2ルーバ板は、前記第1ルーバ板の背部に配置されて背面に前記膨出部が形成され、全ての前記膨出部の上端を開口してルーバが形成され、
且つ前記第1ルーバ板と前記第2ルーバ板は、前後の前記膨出部同士が所定の割合で重なるよう互いの前記膨出部が配置されて成ることを特徴とするキャビネットの換気用通風装置。
【請求項2】
前記第2ルーバ板の背部には、前記第2ルーバ板を覆い、空気を通過させる一方で塵の侵入を防止するフィルタを収容したフィルタ収容枠が配置され、
前記フィルタ収容枠の下枠は、前記第2ルーバ板の下部に至る下り傾斜面を有して形成される一方、
前記下り傾斜面の先端部に対峙する前記第2ルーバ板の下部には、前記下り傾斜面から下方に抜ける水抜き路を形成する切り欠き部を有し、
前記フィルタ収容枠に侵入した水を排出可能としたことを特徴とする請求項1記載のキャビネットの換気用通風装置。
【請求項3】
前記第1ルーバ板、前記第2ルーバ板、及び前記フィルタ収容枠は、互いに重ね合わせ可能な平坦な密着面を周囲に有し、前記密着面を密着させて一体化した状態で前記キャビネットへの取り付けが可能であることを特徴とする請求項2記載のキャビネットの換気用通風装置。
【請求項4】
前記膨出部の頂部は、前記ルーバ板に平行する平坦な面で形成され、且つ前記開口部は前記ルーバ板の面に直交する向きに開口形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のキャビネットの換気用通風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を収納するキャビネットを換気するためのキャビネットの換気用通風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器を収納するキャビネットは、収納されている電気機器により発生する熱を外部に放出するためにルーバ等の換気用通風装置が設けられている。
例えば、特許文献1では、開口部を下に向けたガラリ(ルーバ)を前面に膨出形成したルーバ板と、開口部を上に向けたルーバを前面に膨出形成したルーバ板とを、一定間隔を設けて背面同士を向かい合わせて1つの換気装置を形成し、キャビネットの側面に取り付けている。
特許文献2では、開口部を下に向けたルーバを前面に膨出形成したルーバ板と、開口部を上に向けたルーバを前面に膨出形成したルーバ板とを、同一向きで重ね合わせて1つの換気装置を形成し、キャビネットの側面に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-23704号公報
【特許文献2】特開2021-2560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成の場合、2枚のルーバの間に一定の空間が設けられているため、外側のルーバから侵入した雨水が内側のルーバに更に入り込むのを防止でき、雨水に対して良好な構成であったが、換気口を形成するための広いスペースが必要であったし、外側からルーバに入った風の勢いが内部の空間で弱まり換気能力が低下する問題があった。
一方、特許文献2の構成の場合、外側のルーバと内側のルーバとを近接させて配置することで、外部から侵入した風の勢いを落とすことなく内側のルーバに侵入させることができたが、外側のルーバから入った雨水が内側のルーバを通過してキャビネット内にまで入り込み易い問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、風の勢いを削ぐことなくキャビネット内部への雨水の侵入を防止でき、且つ少ない設置スペースで済むキャビネットの換気用通風装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明は、複数のルーバを備えたルーバ板を2枚重ねて配置したキャビネットの換気用通風装置であって、ルーバ板は、同一形状の膨出部が一方の面に列設され、当該膨出部の下端或いは上端にスリット状の開口部を有してルーバを形成して成り、2枚のルーバ板のうちの一方の第1ルーバ板は、膨出部が形成された面が露出配置されて換気用通風装置の前面を構成し、全ての膨出部の下端を開口してルーバが形成される一方、他方の第2ルーバ板は、第1ルーバ板の背部に配置されて背面に膨出部が形成され、全ての膨出部の上端を開口してルーバが形成され、且つ第1ルーバ板と第2ルーバ板は、前後の膨出部同士が所定の割合で重なるよう互いの膨出部が配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、第1ルーバ板と第2ルーバ板とが重ねて配置されるため、2枚のルーバ板を介しても風の通り道を短くでき、良好な換気を実施できる。そして、2枚のルーバ板を配置しても薄く構成でき、換気用通風装置を省スペースで設置できる。更に、2枚のルーバ板を密着させても、第1ルーバ板の開口部が下向きであるのに対し、第2ルーバ板の開口部は上向であるため、第1ルーバ板に侵入した雨水が第2ルーバ板を通過し難く、キャビネット内に雨水が浸入し難い。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、第2ルーバ板の背部には、第2ルーバ板を覆い、空気を通過させる一方で塵の侵入を防止するフィルタを収容したフィルタ収容枠が配置され、フィルタ収容枠の下枠は、第2ルーバ板の下部に至る下り傾斜面を有して形成される一方、下り傾斜面の先端部に対峙する第2ルーバ板の下部には、下り傾斜面から下方に抜ける水抜き路を形成する切り欠き部を有し、フィルタ収容枠に侵入した水を排出可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、フィルタ収容枠に入り込んだ水を排出する水抜き路を備えるため、フィルタ収容枠に入り込んだ水を排出できる。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、第1ルーバ板、第2ルーバ板、及びフィルタ収容枠は、互いに重ね合わせ可能な平坦な密着面を周囲に有し、密着面を密着させて一体化した状態でキャビネットへの取り付けが可能であることを特徴とする。
この構成によれば、互いの密着面を密着させて、3部材を一体にして取付対象に取り付けでき、簡易な作業で取り付けできる。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、膨出部の頂部は、ルーバ板に平行する平坦な面で形成され、且つ開口部はルーバ板の面に直交する向きに開口形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、膨出部の頂部を形成する面はルーバ板に平行する面、即ち垂直な面で形成されているため、風をルーバからキャビネット内部に入り込み易い状態を維持しつつ、雨水は浸入し辛くできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1ルーバ板と第2ルーバ板とを重ねて配置するため、2枚のルーバ板を介しても風の通り道を短くでき、風を良好に通過させることができる。そして、2枚のルーバ板を配置しても薄く構成でき、換気用通風装置の設置スペースが省スペースで済む。更に、2枚のルーバ板を密着させても、第1ルーバ板の開口部が下向きであるのに対し、第2ルーバ板の開口部は上向であるため、第1ルーバ板に侵入した雨水が第2ルーバ板を通過し難く、キャビネット内に雨水が浸入し難い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るキャビネットの換気用通風装置の一例を示す分解斜視図である。
図2】取付対象に組み付けた状態の正面図である。
図3】A-A線断面図である。
図4】第2ルーバ板の説明図であり、(a)は正面図、(b)は後方から見た斜視図である。
図5】B部拡大図である。
図6】フィルタ収容枠の斜視図である。
図7】他の形態を示す通風用換気装置の正面図である。
図8図7のC-C線断面図である。
図9】通風用換気装置の他の形態を示す縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1~3は本発明に係るキャビネットの換気用通風装置の一例を示し、図1は分解斜視図、図2は正面図、図3はA-A線断面図である。換気用通風装置1は、図1に示すように、2枚のルーバ板2(第1ルーバ板2a、第2ルーバ板2b)、フィルタ5を収容したフィルタ収容枠4により構成されている。これらの部材は重ね合わせられて、取付対象に4隅がネジ止めされて取り付けられる。6はネジ挿通孔である。
第1ルーバ板2aが露出配置されて前面板を構成し、その背部に第2ルーバ板2b、そしてフィルタ収容枠4が配置される。
尚、7は取付対象のキャビネットの側板であり、8は換気用通風装置1をこの側板7に取り付けるための取付穴、9はパッキンである。
【0013】
第1ルーバ板2aは、前面に膨出部10を有し、横長で同一形状の膨出部10が縦横に複数列設形成されている。そして図3に示すように、個々の膨出部10は下端にスリット状の開口部10aを有している。こうして、背部に形成された凹部に連通する隙間が形成され、膨出部10によりルーバを形成している。
また、周囲には第2ルーバ板2bに密着させるための密着面Mを有し、この密着面M内となる4隅にネジ挿通孔6が設けられている。尚、密着面Mは膨出部10の形成面から連続した面で形成されている。
【0014】
開口部10aはルーバ板2の板面に直交するように形成され、下方に向けて開放形成されている。膨出部10の頂部を成す膨出面10bは、ルーバ板2の板面に平行する平坦な面で形成されている。
【0015】
個々の膨出部10は横長に形成され、開口部10aを形成した膨出部10の下端は横方向に直線を成す下辺を有している。膨出部10の左右側部は、直線形成された上辺からアールを設けて形成され、曲面で形成されている。また、上辺はルーバ板2の板面から直交して立ち上がり、膨出面10bに掛けてアールを有して形成され、膨出面10bとは鈍角な角度で連結されている。
このように、ルーバ板2の板面から直交して前方に向けて立ち上げ、膨出面10bに掛けてアールを設けることで、外部から入り込む空気の一部をアールを設けた曲面が受け止めて、曲面の下流側に渦流を発生させることができる。結果、風に含まれる水(雨滴)の分離を促進させることができ、キャビネット内に入り込む水を削減できる。
【0016】
図4は第2ルーバ板2bを示し、(a)は正面図、(b)は後方から見た斜視図である。第2ルーバ板2bは、第1ルーバ板2aとは反対面となる背面に複数の膨出部10が列設形成され、前方から見ると複数の凹部が形成された形状となっている。膨出部10の形状及び配置間隔は第1ルーバ板2aと同一であるが、上下反転して形成されている。即ち、開口部10aは膨出部10の上端に形成され、上方に向けて開口されている。
【0017】
但し、図3に示すように、第1ルーバ板2aに重ね合わせた際に、双方の膨出部10が上下方向に僅かにずれるよう配置されている。具体的に、開口部10aに連通した膨出部10の背部に形成された凹部の高さW1に対して、第2ルーバ板2bの凹部の重なり幅W2はW1の約60%であり、上方に僅かにずれた状態で重ねられている。
尚、第2ルーバ板2bも周囲には第1ルーバ板2a及びフィルタ収容枠4に密着させるための密着面Mを有しているし、4隅にネジ挿通孔6が設けられている。
【0018】
また図4に示すように、第2ルーバ板2bの下部には切り欠き部11が設けられ、後述する水抜き路Qが形成されている。切り欠き部11は膨出部10の下部に形成され、膨出部10より広い幅に切り欠いて形成されている。また、側部11aは逆三角形状に傾斜形成され、下端を鋭角にしている。
図5はB部拡大図であり、図5に示すように第2ルーバ板2bに形成された切り欠き部11を設けることで、第2ルーバ板2bを第1ルーバ板2a及びフィルタ収容枠4と重ね合わせた際に下部に隙間ができ、フィルタ収容枠4の底部から第2ルーバ板2bの下部に渡り連通した空間ができる。この空間が水抜き路Qである。
そして、側部11aを逆三角形状にすることで、隣接する膨出部10の間には切り欠きのない広い密着面Mを形成でき、下方からの水の浸入をし辛くしている。
尚、こうして形成した密着面Mにネジ等でパッキンを密着させれば、パッキンが全体を均一に圧接されるため、下方から水の浸入が更に辛くなる。
このように水抜き路Qを幅広に形成することで、開口部10aから侵入した水を、侵入位置に関わらず下方にスムーズに排出できる。また、側部11aを傾斜させて下端を鋭角にすることで、流れ出る水の水切りを実施し易い。
【0019】
図6はフィルタ収容枠4の斜視図である。図6に示すように、フィルタ収容枠4は、周囲に第2ルーバ板2bに密着させる密着面Mを有し、4隅にネジ挿通孔6が設けられている。また下辺4aは、図5に示すように傾斜面を有して形成されている。詳しくは、下辺4aは、外側(前方)に向けて下り傾斜を設けて形成されている。
そして、この下辺4aの先端が、第2ルーバ板2bに設けられた切り欠き部11の途中に位置するよう形成され、水抜き路Qに連通する空間を形成している。こうして、フィルタ収容枠4の下辺4aを前方に向けて下り傾斜させて、水抜き路Qに至るよう形成することで、フィルタ収容枠4に入り込んだ水が水抜き路Qから流れ出易い。
【0020】
ここで、上述したように構成された換気用通風装置1の風(空気)の流れと、水の流れを説明する。図5に示す矢印P1が風の流れ、矢印P2が水の流れを示している。
外部から第1ルーバ板2aの開口部10aに入った風は、矢印P1に示すように、連通するよう配置されている第2ルーバ板2bの開口部10aから抜け、フィルタ5を介してキャビネット内に入って行く。
【0021】
一方、風と共に第1ルーバ板2aの開口部10aに入った雨水等の水は、第2ルーバ板2bの開口部10aに達する前に、大半が第2ルーバ板2bの膨出部10の内壁(膨出面10bの裏側)に当たり、矢印P2に示すように内壁を伝って下方に流れて行くことで、フィルタ5に入り込むのが阻止される。
その後、膨出面10bの裏面を伝って下方に流れた水は、第1ルーバ板2aの開口部10aから外部に流れ出る。
【0022】
また、第2ルーバ板2bの開口部10aを通過してフィルタ5に入り込んだ水があったとしても、フィルタ5に当たって矢印P3に示すように下方に移動する。こうして、やがて水抜き路Qから外部に排出される。
【0023】
このように、第1ルーバ板2aと第2ルーバ板2bとが重ねて配置されるため、2枚のルーバ板2を介しても風の通り道を短くでき、良好な換気を実施できる。そして、2枚のルーバ板2を配置しても薄く構成でき、換気用通風装置1を省スペースで設置できる。更に、2枚のルーバ板2を密着させても、第1ルーバ板2aの開口部10aが下向きであるのに対し、第2ルーバ板2bの開口部10aは上向であるため、第1ルーバ板2aに侵入した雨水が第2ルーバ板2bを通過し難く、キャビネット内に雨水が侵入し難い。
また、第2ルーバ板2bの下部に、フィルタ収容枠4に入り込んだ水を外部に放出する水抜き路Qが形成されているため、フィルタ5をキャビネットの内側に配置しても、フィルタ収容枠4に入り込んだ水を排出できる。
更に、膨出部10の頂部を形成する面はルーバ板2に平行する面、即ち垂直な面で形成されているため、風をルーバ(膨出部)10からキャビネット内部に入り込み易い状態を維持しつつ、雨水は浸入し辛くできる。
加えて、2枚のルーバ板2とフィルタ収容枠4との3部材の密着面Mを密着させることで、3部材を一体にして取付対象に取り付けでき、簡易な作業で取り付けできる。
【0024】
図7,8は換気用通風装置1の他の形態を示し、図7は正面図、図8はC-C線断面図である。図7に示す換気用通風装置1は、第1ルーバ板2aと第2ルーバ板2bとが同一のルーバ板2を使用し、第1ルーバ板2aは上記図4に示す第2ルーバ板2bを上下反転して使用している。そのため、第1ルーバ板2aは上部に第2ルーバ板2bで水抜きとして使用する切り欠き部11が形成されている。
更にこの形態では、図8に示すように双方の膨出部10を一致させて(100%重ね合わせて)、重ね合わせている。
【0025】
このように、第1ルーバ板2aと第2ルーバ板2bを同一形状のものを反転して使用しても良く、この場合部材を削減できる。また、第1ルーバ板2aと第2ルーバ板2bとの膨出部10の位置を合致させて重なり部を100%としても良く、キャビネット内部への雨水の浸入が大きく増加することはない。
【0026】
尚、上記実施形態では、第1ルーバ板2aの膨出部10に対する第2ルーバ板の膨出部10の位置を、上方にずらすか同一位置にして膨出部10同士を70%、或いは100%重ねて配置しているが、この膨出部10の重ねる割合は40%~100%であれば良く、雨水の浸入を充分防ぐことを実験により確認している。
但し、膨出部10の形状によっては、第2ルーバ板2bの膨出部10を第1ルーバ板2aの膨出部10の下側にずらしても良く、図9はこの一例を示している。
図9は、図8と同様の部位の断面図を示しており、第1ルーバ板2aの開口部10aと第2ルーバ板2bの開口部10aとの重ね合わせの割合は、膨出部10の背部に形成された凹部の高さW1に対して、重なり幅W3はW1の約70%となっている。但し、条件として開口部10の奥行きDに対して開口部10同士の重なり幅W3を1.5倍以上(ここでは、1.7倍)としている。
このように、開口部10aの奥行きDと開口部10同士の重なり幅W3の関係が特定の条件を満たせば、第2ルーバ板2bの膨出部10を第1ルーバ板2aの膨出部10より下にずらしても良く、キャビネット内へ水の侵入が少ない状態を維持できる。
【0027】
また、切り欠き部11の形状は、側部を傾斜させた直線として全体を逆三角形の形状としているが、この形状でなくとも良い。例えば、側部を単純に垂直な直線形状としても良いし、上記形態とは反対方向に傾斜させて切り欠き部11全体を台形形状としても良い。
更に、上記実施形態では、フィルタ収容枠4の密着面Mをキャビネットの外部に配置して、フィルタ5をキャビネットの取付穴を介してキャビネットの内側に配置しているが、密着面Mを含めフィルタ収容枠4全体をキャビネットの内側に配置しても良い。
逆に、フィルタ5を取付穴8に挿入せず、フィルタ収容枠4全体をキャビネットの外側に配置しても良い。
【符号の説明】
【0028】
1・・換気用通風装置、2・・ルーバ板、2a・・第1ルーバ板、2b・・第2ルーバ板、4・・フィルタ収容枠、5・・フィルタ、8・・取付穴、10・・膨出部(ルーバ)、10a・・開口部、10b・・膨出面、11・・切り欠き部、M・・密着面、Q・・水抜き路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9