(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007925
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】フルカラーLEDのHSV色空間に基づく調光制御
(51)【国際特許分類】
H05B 45/20 20200101AFI20240112BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240112BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240112BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240112BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240112BHJP
H05B 45/59 20220101ALI20240112BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/10
H05B47/105
H05B47/165
H05B47/155
H05B45/59
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109349
(22)【出願日】2022-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】710000778
【氏名又は名称】小林 隆利
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆利
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273AA10
3K273BA07
3K273BA12
3K273CA02
3K273CA09
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA14
3K273FA30
3K273FA36
3K273FA40
3K273FA41
3K273GA25
(57)【要約】
【課題】 フルカラーLEDでHSV色空間に基づく調光制御を行い使用上問題となる点の改善を行う。
【解決手段】 複数の単色LEDで構成するフルカラーLEDの調光において、拡散制御を用いることで、2色の単色LEDを排他点灯する色相制御と、すべての単色LEDを排他点灯する彩度制御、およびすべての単色LEDを消灯する明度制御を合成して、フルカラーの発光色を点灯する。それにより人間の感覚に近いHSV色空間に基づく調光制御で、発光色を多彩化すると同時に管理を容易にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルカラーの色を発光させる構造を持ったLED群の調光において、特定の色相を発光するために必要な2色の単色LEDを排他的に点灯させる時系列配列に、彩度を制御するためにすべての単色LEDを排他的に点灯させ白色にする時系列配列を色相を維持するように合成し、さらにその合成後の時系列配列に明度を制御するために単色LEDをすべて消灯する時系列配列を色相と彩度を維持するように合成し、その結果の時系列配列を繰り返し参照してフルカラーの色を発光する調光制御方式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数色の単体LEDで構成されるフルカラーLEDの調光制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明では、フルカラーで色を出力するとき、RGB色空間に基づく加法混色により実施している。色の表現方法では、人間の色感覚を主眼にしたHSV色空間があり、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の各要素を持つ。特許文献1に記載している方式は拡散制御である。特許文献2に記載している方式はHLS色空間に基づいた調光制御である。本願で単色LEDと呼ぶものは、フルカラーの色を発光させる構造を持ったLED群を構成する単色のLEDとする。フリッカー現象とは調光により発光色にちらつきが発生する現象のことで、一般的に好ましい状況ではない。オストワルト表色系は純色に白と黒を回転混合する割合ですべての色を表し、混色系としては例外的にCHM(Color Harmony Manual)と呼ばれる色票を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HLS色空間に基づいた調光の明度拡散制御では、白色と全消灯を双極とした制御をしているので、それぞれを個別に調整できず、発光色に制限が発生する。
【0006】
HLS色空間に基づいた調光の明度拡散制御では、彩度と明度両方の制御を行っていることにより、明度調整の機能が最適化できずフリッカー現象が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
色の表現方法をHLS色空間からHSV色空間に変更することにより、白色を合成する彩度制御と全消灯を合成する明度制御を分離した方式にする。
【0008】
明度制御を色相制御と彩度制御を合成した後に実施し、フリッカー現象が発生しないように制御周期を短くする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1により、フルカラーLEDの調光がHSV色空間に基づく色相・彩度・明度の各要素により調整できる。また、この明示的な各要素の組み合わせは人間の感覚に近く、発光色を多彩化すると同時に管理を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1で本方式の全体構造を示す。フルカラーLEDを構成する単色LEDを駆動する回路を赤LED駆動回路部5、緑LED駆動回路部6、青LED駆動回路部7とし、マイクロチップ部8からの制御信号と接続する。また本願では、マイクロチップとはプログラム構造を定義でき、そのプログラム制御により外部に対しての制御信号を処理できるものを呼ぶ。
【0012】
マイクロチップ部8より出力される制御信号は、それぞれの単色LEDを点灯と消灯の2値で制御する。また本願ではフルカラーLEDを構成するすべての単色LEDが消灯することを全消灯と呼ぶ。
【0013】
マイクロチップ部8のプログラムにより拡散制御で調光を行う。拡散制御とは特許文献1で記載している制御方式で、どの単色LEDを排他的に点灯するか、もしくは全消灯を、一定間隔で変更しながら調光する。このとき使用する時系列に並ぶ制御配列を拡散形式と呼ぶ。
【0014】
色相制御部1は目的とする色相を出力するために、必要となる2色の単色LEDの合成比率を考慮して拡散形式を作成する。拡散制御は二つ以上の単色LEDが同時点灯しないので、どのような色相を出力しても輝度の上昇がなく、色相調整機能を適正化する。例として、Rの点灯時間TiRとBの点灯時間TiBを同比率にして、赤と青が50%ずつ配合された拡散形式を作成する。この色相制御部1による拡散形式を
図2に示す。図で示すRGBはそれぞれ赤LED、緑LED、青LEDの点灯を表し、一文字単位で一定の時間間隔とする。
【0015】
彩度制御部2は白色を出力するために必要となるすべての単色LEDを同比率で合成した拡散形式を作成する。拡散制御は複数の単色LEDを回転混色する白色でも輝度の上昇がなく、彩度調整機能を適正化する。例として周期をTiWとした拡散形式を作成する。この彩度制御部2による拡散形式を
図3に示す。
【0016】
中間色制御部3は色相制御部1と彩度制御部2で決定された拡散形式を、目的とする彩度になるように合成した拡散形式を作成する。例として色相制御部1からTiHと彩度制御部2からTiSの時間を同比率で採用し、赤と青を同比率で点灯した色相の彩度を50%下げた拡散形式を作成する。この中間色制御部3による拡散形式を
図4に示す。
【0017】
明度制御部4は色相制御部1で決めた色相と中間制御部3で決めた彩度を維持しながら、中間色制御部3で作成された拡散形式に、目的とする明度になるように全消灯を合成した拡散形式を作成する。合成する制御周期を短くすることで、フリッカー現象をなくし、同時に輝度を下がりにくくすることで発光色が暗い色ではなく濃い色と感じることができ、明度調整機能を適性化する。例として中間制御部3からTiMの時間単位で分割採用し、全消灯の時間TiVを同比率で入れることで、赤と青を同比率で点灯した色相の彩度を50%下げ、さらに50%明度を下げた拡散形式を作成する。この明度制御部4による拡散形式を
図5に示す。図で示すXは全消灯を表す。
【0018】
明度制御部4で作成した拡散形式を繰り返し参照した制御信号をマイクロチップ部8から出力し、赤LED駆動回路部5、緑LED駆動回路部6、青LED駆動回路部7によりフルカラーの発光色を点灯する。
【0019】
発光色の管理において、本方式は純色とする色相に対して彩度調整としての白や明度調整としての黒を回転混合するという観点から、オストワルト表色系と同等に扱うことができる。このことは定量的な数値の組み合わせにより発光色が決まり、その発光色を伝達・共有するために有益である。実際の発光色は単色LEDの波長に影響され、単色LEDの光度差による影響は少ない。また本方式は肉眼の時間残像を一般的な調光方式より長く設定しているので、色の要素を多く反映することで発光色の階調性が高い。さらに点灯変化を一定の時間間隔で繰り返し実施するため、単色LEDの稼働電流が大きくなった時に、過度特性に伴う意図しない発光色の変化が起こりにくい。
【符号の説明】
【0020】
1...色相制御、2...彩度制御、3...中間色制御、4...明度制御、5....赤LED駆動回路、6...緑LED駆動回路、7...青LED駆動回路、8...マイクロチップ
【手続補正書】
【提出日】2022-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
発光色の管理において、本方式は純色とする色相に対して彩度調整としての白や明度調整としての黒を回転混色するという観点から、オストワルト表色系と同等に扱うことができる。このことは定量的な数値の組み合わせにより発光色が決まり、その発光色を伝達・共有するために有益である。実際の発光色は単色LEDの波長に影響され、単色LEDの光度差による影響は少ない。また本方式は肉眼の時間残像を一般的な調光方式より長く設定しているので、色の要素を多く反映することで発光色の階調性が高い。さらに点灯変化を一定の時間間隔で繰り返し実施するため、単色LEDの稼働電流が大きくなった時に、過度特性に伴う意図しない発光色の変化が起こりにくい。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
従来の照明では、フルカラーで色を出力するとき、RGB色空間に基づく加法混色により実施している。色の表現方法では、人間の色感覚を主眼にしたHSV色空間があり、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の各要素を持つ。特許文献1に記載している方式は拡散制御である。特許文献2に記載している方式はHLS色空間に基づいた調光制御である。本願で単色LEDと呼ぶものは、フルカラーの色を発光させる構造を持ったLED群を構成する単色のLEDとする。フリッカー現象とは調光により発光色にちらつきが発生する現象のことで、一般的に好ましい状況ではない。オストワルト表色系は純色に白と黒を回転混色する割合ですべての色を表し、混色系としては例外的にCHM(Color Harmony Manual)と呼ばれる色票を持つ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
フルカラーの色を発光させる構造を持ったLED群の調光において、特定の色相を発光するために必要な2色の単色LEDを合成比率を考慮して排他的に点灯させる時系列配列に、彩度を制御するためにすべての単色LEDを排他的に点灯させ白色にする時系列配列を色相を維持するように合成し、さらにその合成後の時系列配列に明度を制御するために単色LEDをすべて消灯する時系列配列を色相と彩度を維持するように合成し、その結果の時系列配列を繰り返し参照してフルカラーの色を発光する調光制御方式。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
明度制御部4は色相制御部1で決めた色相と中間制御部3で決めた彩度を維持しながら、中間色制御部3で作成された拡散形式に、目的とする明度になるように全消灯を合成した拡散形式を作成する。合成する制御周期を短くすることで、フリッカー現象をなくし、同時に
見た目の明るさを下がりにくくすることで発光色が暗い色ではなく濃い色と感じることができ、明度調整機能を適性化する。例として中間制御部3からTiMの時間単位で分割採用し、全消灯の時間TiVを同比率で入れることで、赤と青を同比率で点灯した色相の彩度を50%下げ、さらに50%明度を下げた拡散形式を作成する。この明度制御部4による拡散形式を
図5に示す。図で示すXは全消灯を表す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
フルカラーの色を発光させる構造を持ったLED群の調光において、特定の色相を発光するために必要な2色の単色LEDを合成比率を考慮して排他的に点灯させる時系列配列に、彩度を制御するためにすべての単色LEDを排他的に点灯させ白色にする時系列配列を色相を維持するように合成し、さらにその合成後の時系列配列に明度を制御するために単色LEDをすべて消灯する時系列配列を色相と彩度を維持するように合成し、その結果の時系列配列を繰り返し参照してフルカラーの色を発光する調光制御方法。