(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079272
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】スパチュラ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20240604BHJP
B65D 25/02 20060101ALI20240604BHJP
A45D 34/00 20060101ALI20240604BHJP
A45D 40/26 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65D51/24
B65D25/02 Z
A45D34/00 510Z
A45D40/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192121
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB20
3E062AC02
3E062BA20
3E062BB03
3E062BB09
3E062FA02
3E062FB03
3E062FC03
3E062FC05
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB06
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB12
3E084DB18
3E084DC03
3E084FA03
3E084FB01
3E084GA04
3E084GA06
3E084GB04
3E084GB06
3E084GB17
3E084HA01
3E084HB09
3E084HC03
3E084HD01
3E084JA01
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】容器体と上蓋との間でスパチュラを予め決められた位置に容易に保持できるようにしたスパチュラ付き容器を提供する。
【解決手段】上端側に開口部Оを有する胴周壁4を備える容器体2と、前記開口部О内において前記胴周壁4より内方へ突設された支持枠16と、前記開口部Оを覆う上蓋30と、長手方向Lの両側に備える基端部e1及び先端部e2を前記支持枠16の上に載置させて、前記開口部О内に配備されたスパチュラ40とを具備する。前記基端部e1の下面及び前記支持枠16の上面には、前記スパチュラ40を定位置に配置するように相互に係合する係合凹条D及び係合凸条Cが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側に開口部(О)を有する胴周壁(4)を備える容器体(2)と、
前記開口部(О)内において前記胴周壁(4)より内方へ突設された支持枠(16)と、
前記開口部(О)を覆う上蓋(30)と、
長手方向(L)の両側に備える基端部(e1)及び先端部(e2)を前記支持枠(16)の上に載置させて、前記開口部(О)内に配備されたスパチュラ(40)と、
を具備し、
前記基端部(e1)の下面及び前記支持枠(16)の上面には、前記スパチュラ(40)を定位置に配置するように相互に係合する係合凹条(D)及び係合凸条(C)を形成したことを特徴とする、スパチュラ付き容器。
【請求項2】
前記支持枠(16)は、上方から見て円周状に形成されているとともに、前記胴周壁(4)に外嵌させた装着筒部(12)の内側に配備され、かつ当該装着筒部(12)に連設された高段部(16a)から垂直筒部(16b)を介して低段部(16c)を下内方へ突設してなり、この低段部(16c)の上に前記スパチュラ(40)を載置させたことを特徴とする、請求項1に記載のスパチュラ付き容器。
【請求項3】
前記係合凹条(D)は、前記スパチュラ(40)の幅方向(W)に配向させて前記基端部(e1)の下面を横断するくぼみ部であり、かつ、前記係合凸条(C)は、前記胴周壁(4)の周方向(P)に配向させて前記支持枠(16)の上面に形成されているとともに当該周方向(P)の少なくとも一部である角状部(19)を含んでおり、
前記角状部(19)は、前記係合凹条(D)内に前記胴周壁(4)の径方向(R)への摺動可能に遊嵌されており、前記スパチュラ(40)を前記径方向(R)へ滑り移動させることが可能に形成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のスパチュラ付き容器。
【請求項4】
前記上蓋(30)の下面側に、その上蓋(30)の閉蓋時に前記スパチュラ(40)に吸着され、この吸着状態からの開蓋操作により当該スパチュラ(40)を引き上げることが可能な吸着力を有する吸着手段(38)を設けたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のスパチュラ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパチュラ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスパチュラ付き容器として、上端開口で直筒状の胴周壁を有する容器体と、その胴周壁の開口部内に嵌合された中蓋と、この中蓋の上に載置させたスパチュラと、中蓋の上方を覆うように胴周壁の上部に外嵌させた上蓋とを具備し、前記スパチュラは中蓋から上方へ突設した一対の挟持片の間に挟持させたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、スパチュラは、一対の挟持片の間に挟持されているため、スパチュラを収容するときには、これら一対の挟持片の間にスパチュラを嵌め込まねばならず、また、スパチュラを取り外すときには、スパチュラを一対の挟持片の間から引き抜かなければならず、スパチュラの出し入れが面倒である。この不都合を避けるために挟持片を省略すると、中蓋上でのスパチュラの位置が不定となり、スパチュラの一部が中蓋の外にはみ出し、上蓋を閉蓋する際の邪魔になる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、容器体と上蓋との間でスパチュラを予め決められた位置に容易に保持できるようにしたスパチュラ付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、上端側に開口部Оを有する胴周壁4を備える容器体2と、
前記開口部О内において前記胴周壁4より内方へ突設された支持枠16と、
前記開口部Оを覆う上蓋30と、
長手方向Lの両側に備える基端部e1及び先端部e2を前記支持枠16の上に載置させて、前記開口部О内に配備されたスパチュラ40と、
を具備し、
前記基端部e1の下面及び前記支持枠16の上面には、前記スパチュラ40を定位置に配置するように相互に係合する係合凹条D及び係合凸条Cが形成されている。
【0007】
本手段では、
図1に示すように、容器体2の開口部О内において胴周壁4より内方へ突設された支持枠16を具備し、この支持枠16にスパチュラ40の基端部e1及び先端部e2を載置させており、そして、スパチュラ40の基端部e1の下面及び前記支持枠16の上面には、前記スパチュラ40を定位置に配置するように相互に係合する係合凹条D及び係合凸条Cを形成した。
この構造によれば、スパチュラ40を決められた位置に容易に保持することができ、上蓋30を閉めたときに邪魔にならない。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記支持枠16は、上方から見て円周状に形成されているとともに、前記胴周壁4に外嵌させた装着筒部12の内側に配備され、かつ当該装着筒部12に連設された高段部16aから垂直筒部16bを介して低段部16cを下内方へ突設してなり、この低段部16cの上に前記スパチュラ40を載置させた。
【0009】
本手段では、
図1に示す如く、前記装着筒部12に連設された高段部16aから垂直筒部16bを介して低段部16cを下内方へ突設してなり、この低段部16cの上に前記スパチュラ40を載置させている。
この構造によれば、支持枠16の低段部16cに配置されたスパチュラ40の周囲を垂直筒部16bで囲んでおり、
図2(B)に示す開蓋状態で容器を多少傾けても、スパチュラ40が支持枠16から脱落することを防止できる。
また本手段では、前記支持枠16は上方から見て円周状に形成されている。
この構造によれば、
図2(A)に示す如く、支持枠16の中心mから支持枠16の内縁までの距離rは一定であるから、スパチュラ40が不意に支持枠16の低段部16cから容器体2内に不意に脱落することを防止できる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記係合凹条Dは、前記スパチュラ40の幅方向Wに配向させて前記基端部e1の下面を横断するくぼみ部であり、かつ、前記係合凸条Cは、前記胴周壁4の周方向Pに配向させて前記支持枠16の上面に形成されているとともに当該周方向Pの少なくとも一部である角状部19を含んでおり、
前記角状部19は、前記係合凹条D内に前記胴周壁4の径方向Rへの摺動可能に遊嵌されており、前記スパチュラ40を前記径方向Rへ滑り移動させることが可能に形成している。
【0011】
本手段では、
図1に示す如く、前記係合凹条Dは、前記スパチュラ40の幅方向Wに配向させて前記基端部e1の下面を横断するくぼみ部であり、また前記係合凸条Cは、前記胴周壁4の周方向Pに配向させて前記支持枠16の上面に形成されているとともに当該周方向Pの少なくとも一部である角状部19を含んでいる。
そして、この角状部19は、前記係合凹条D内に前記胴周壁4の径方向Rへの摺動可能に遊嵌されており、
図3(B)に実線と想像線とで示すように、前記スパチュラ40を前記径方向Rへ滑り移動させることが可能に形成した。
この構造によれば、前記スパチュラ40は、前記滑り移動により、
図3(A)に示すように外部から載置箇所へ収納する際に、決められた位置へ容易に配置させることができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記上蓋30の下面側に、その上蓋30の閉蓋時に前記スパチュラ40に吸着され、この吸着状態からの開蓋操作により当該スパチュラ40を引き上げることが可能な吸着力を有する吸着手段38を設けている。
【0013】
本手段では、前記上蓋30の下面側に、
図4(B)に想像線で示す如く、上蓋30の閉蓋時に前記スパチュラ40に吸着させるための吸着手段38を設けている。この吸着手段38は、前記スパチュラ40との吸着状態からの開蓋操作により、当該スパチュラ40を支持枠16から引き上げることが可能な程度の吸着力を有する。
この構造によれば、開蓋操作により、
図4(B)に実線で示す如く、スパチュラ40を支持枠16側から上蓋30側へ移行させることができるので、スパチュラの取り出しが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器体と上蓋との間でスパチュラを予め決められた位置に容易に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態のスパチュラ付き容器を側方から見た断面図である。
【
図2】
図1の容器の開蓋時の構成を示しており、同図(A)は平面図、同図(B)は側方から見た断面図である。
【
図3】
図1に示す容器の作用説明図であり、同図(A)は、スパチュラの一端を支持枠に当てた傾斜状態から水平向きへ倒す段階を、同図(B)は、スパチュラを水平向きの状態で滑り移動させる段階をそれぞれ示している。
【
図4】本発明の第2実施形態のスパチュラ付き容器の開蓋時の構成を示しており、同図(A)は平面図、同図(B)は側方から見た断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図3は、本発明の第1実施形態に係るスパチュラ付き容器を示している。
この容器は、容器体2と、キャップ本体10と、上蓋30と、スパチュラ40とを具備する。
これら各部材は、例えば合成樹脂材で形成することができる。
【0017】
容器体2は、底部3の周端部から、上端側に開口部Оを有する直筒状(図示例では円筒状)の胴周壁4を立設しており、その上半部4bにオネジ部5を形成している。図示例では、胴周壁4の下半部4aを上半部4bに比べて大外径に形成しているが、その構造は適宜変更できる。
図示例では、
図2(B)に示す如く、胴周壁4の上端に剥離可能なシール材8が付設されている。このシール材は、使用の際には除去する。シール材8には、パッキン等も含まれる。
【0018】
キャップ本体10は、
図1に示す如く、前記胴周壁4の上半部4bに外嵌された部材である。
図示例のキャップ本体10は、装着筒部12の上端から、スパチュラ40を長手方向の2端部(後述の基端部e1及び先端部e2)で支えるための周状(図示例では円周状)の支持枠16を内方へ一体的に突設させてなる。もっとも、これらの構造は、適宜変更することができる。
【0019】
前記装着筒部12は、前記胴周壁4の上半部4bの外面に嵌合されている。
図示例では、前記装着筒部12の内面に前記オネジ部5とかみ合うメネジ部13が形成されている。
装着筒部12を胴周壁4に螺合することにより、
図1に示す如く、前記装着筒部12の内面に形成する後述の下向き段部14と前記胴周壁4の上端面との間に前述のシール材8の外周部を挟持できるように設けている。
なお、前記下向き段部14は、シール材8の除去後に前記胴周壁4の上端面に圧接されるように設けている。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
前記装着筒部12の外面の上端部には、ヒンジ26を介して前記上蓋30が一体的に連結されている。もっとも、この構造は適宜変更することができ、ヒンジ26を省略して、キャップ本体10と上蓋30とを別体に形成してもよい。
図示例では、
図2に示す如く、前記装着筒部12の上部(後述の上方筒部12c)から、後述の上蓋30の蓋周壁34側に連係させるための環状突起20が立設されている。
また、この環状突起20の外側に位置させて、前記装着筒部12の上端面には、前記蓋周壁34を載置するための上向き段部15が周設されている。
さらに前記環状突起20には、
図2(B)に示す如く、前記ヒンジ26と反対側の位置に、上蓋30側と係合するための係合リブ22が付設されている。
【0020】
本実施形態では、前記装着筒部12は、
図1に示す如く、大内径の下方筒部12aと中内径の中間筒部12bと小内径の上方筒部12cとで形成されている。そして、この上方筒部12cの内面と中間筒部12bの内面との間に前記下向き段部14を形成するとともに、下方筒部12aの内面に前記メネジ部13を形成している。
【0021】
前記支持枠16は、本実施形態において、
図1に示す如く、前記スパチュラ40の基端部e1及び先端部e2を載せる載置部の役割を有する。このようにすることで、胴周壁4の開口部Оに沿ってスパチュラ40を保持することができ、容器体2の内容物がスパチュラ40の柄部40aなどに付着してしまうリスクを低減することができる。
図示例の支持枠16の平面形状は、前記装着筒部12の上方筒部12cに連設した周状であるが、前述の役割を果たすことができる限り、その形状は適宜変更することができる。
また図示例では、前記支持枠16は、側方から見て、外周側の高段部16aから垂直筒部16bを介して内周側の低段部16cを内方突設した段差形状であるが、その形状は適宜変更することができる。
図示例では、前記低段部16cが前記スパチュラ40を支持する載置部の役割を有し、そして、低段部16cにより支えられたスパチュラ40の周囲は、前記垂直筒部16bで囲まれている。こうすることにより、
図2(B)に示す開蓋状態で容器を多少傾けても、スパチュラ40が支持枠16から脱落することがなく、安定的に支持できる。
また、図示例の支持枠16は上方から見て円周状であるから、
図2(A)に示す如く、その支持枠16の中心mから支持枠16の内縁までの距離rは一定である。図示はしないが、例えば容器体2及び支持枠16の平面形状が四角形であり、支持枠の対向する2辺の中間部同士の間にスパチュラ40の両端部を載置した場合には、当該スパチュラ40が四角形の対角線方向へ向きを変えることにより、容器体2の内部へ脱落する可能性がある。これに対して、図示例では、スパチュラ40が容器体2内に不意に脱落することがない。
本実施形態では、前記支持枠16の低段部16cに、上方へ突出する周状リブ18が周設されている。この周状リブ18は、
図1に示す如く、開口部Оに沿って水平に配備するスパチュラ40を長手方向の両端部側の2点で支持する態様において、その基端部e1及び先端部e2を支える支点としての役割を有する。
この構成によれば、前記シール材8の除去後に、スパチュラ40の柄部40aを指で摘持し易い。
図示例の周状リブ18は、前記低段部16cの内周端に付設されているが、その配置は適宜変更できる。
また実施形態では、容器体2及びキャップ本体10は上方から見て円形であるため、周状の支持枠16の直径方向の2点間の距離は、その直径の向きによらず、一定である。例えば支持枠16の平面形状を四角形とした場合には、スパチュラ40の向き次第では、そのスパチュラ40の一方の端部がキャップ本体10の装着筒部12の外にはみ出し、上蓋30を閉蓋する際にキャップ本体10と上蓋30との間に挟まることにより、閉蓋操作に不意に干渉するおそれもある。本実施形態では、そうした不都合を解消できる。
前記周状リブ18は、
図3(B)に示すように後述の係合凹条Dに遊嵌させるための係合凸条Cを兼ねている。これら係合凸条C及び係合凹条Dは、スパチュラ40の位置を規制する手段であり、後述のように、スパチュラ40が定位置に配置されたときに、相互に係合するように形成されている。そして前記周状リブ18の突出方向の先端側には、断面形状で見て上側に向かって先細となるテーパ状の角状部19が形成されている。
図示例の角状部19は、前記周状リブ18の周方向全体に亘って形成されているが、この配置は適宜変更することができ、周方向の一部のみに形成しても構わない。
「定位置」とは、本明細書において、支持枠16の上でスパチュラ40が容器体を安定的に保持できる位置であり、特に、支持枠16が円周状である場合には支持枠16の直径方向に配向されたスパチュラ40を安定的に支えることができる位置を意味する。例えば、スパチュラ40の一端が支持枠16の内縁から容器体2内へ脱落するおそれがあるときには、安定的な支持とは言えない。
また「係合」とは、本明細書において、スパチュラを安定的に支持できるように、係合凸条及び係合凹条が係り合っていることをいう。係合の具体的な構造としては、図示例に示す「遊嵌」でなくてもよく、例えば「嵌着」でも構わない。
「角状部」とは、断面形状において角状の形状を有する部位の意味である。
そして「角状」とは、くぼみ部内を摺動可能な隙間(遊び)を存して遊嵌された形状をいい、
図3(B)に示す如く、角端側に丸み(R)を付した形態を含む。
「遊嵌」とは、スパチュラが略径方向へ配向された状態で、その径方向への滑り移動により角状部がくぼみから離脱できるように係合されていることをいう。
【0022】
上蓋30は、
図1に示す如く、前記胴周壁4の開口部Оを覆うようにキャップ本体10の上部に配備された部材である。
この上蓋30は、天板32の周端から、前記上向き段部15に載置された蓋周壁34を垂設しており、この蓋周壁の側部に前記ヒンジ26を連設している。
図示例では、
図1(A)に示す如く、前記蓋周壁34の他方側部の外面には指掛け部35が付設されており、かつ、当該他方側部の内面には、前記係合リブ22が離脱可能に係止する突起が形成されている。
【0023】
本実施形態では、前記天板32の裏面に、スパチュラ40が前記支持枠16の上に載置された状態を保持するためのスパチュラ押え手段36が付設されている。
閉蓋状態において、スパチュラ40が容器内で水平方向にガタつくことを防止するためである。
図示例のスパチュラ押え手段36は、前記天板32の裏面から、前記蓋周壁34と同心状に垂設された押え筒であり、前記支持枠16の垂直筒部16bの内面に当接又は近接されている。もっともスパチュラ押え手段の構造は適宜変更することができる。
【0024】
スパチュラ40は、
図1に示す如く、前記胴周壁4の開口部О内に沿って水平にかつ横向き姿勢で前記キャップ本体10の内側に組み付けることができる部材である。なお、「横向き姿勢」とは、
図2(A)に示す如くスパチュラ40の幅方向Wを水平方向に向けた姿勢をいう。
前記スパチュラ40は、
図2(A)に示す如く、長手方向Lの一側部(基部40a)を柄部とするとともに、他側部(先部40b)に内容物を掬い取るための掬い部を形成している。そして、基部40a側の端部(基端部e1)及び先部40b側の端部(先端部e2)をそれぞれ前記支持枠16に載置させている。
前記支持枠16の垂直筒部16bとスパチュラ40の先端部e2との間、及び、当該垂直筒部16bとスパチュラ40の基端部e1との間には、
図2(A)に示す如く、それぞれ、スパチュラ40の摺動代である空隙aを取っている。図示例の場合には、この空隙aは、スパチュラ40の各端部と前記垂直筒部16bとの間に前記押え筒36を挿入させるための挿入代を兼ねる(
図1参照)。
【0025】
本発明では、前記スパチュラ40の柄部40aに、前記係合凸条Cを遊嵌させるための係合凹条Dを形成している。
前記係合凹条Dは、
図2(A)に示す如く、本実施形態において、前記柄部40aをスパチュラ40の幅方向Wに横断する溝状のくぼみ部42として形成されている。
このくぼみ部42は、前記基端部e1の近傍に形成されている。図示例では、前記基部40aの上下両面に同一形状のくぼみ部を形成しているが、その片面のみに形成しても構わない。
くぼみ部42は、幅方向Wから見て浅い凹みであり、その幅方向Wの全長に亘って同一の断面形状を有する。図示のくぼみ部42は、
図3(B)に示す如く、くぼみ底fの両側に緩斜面iを有するが、この形状は適宜変更することができる。
なお、前述の係合凸条C及び係合凹条Dの配置は適宜変更することができ、例えば図示はしないが、前記基端部e1の下面に係合凸条Cを、また前記支持枠16の上面に係合凹条Dをそれぞれ形成しても構わない。
【0026】
前記構成において、
図1に示す如く、スパチュラ40は容器体2の開口部Оに沿って、キャップ本体10に組み付けられている。この構成により、後述の内容物の取り出し作業の後に、内容物が先部40bに付着したスパチュラ40の収納場所が確保され、スパチュラ40の紛失を防止する。
本発明の容器を一番最初に使用する際には、
図1の状態から、容器体2の胴周壁4からキャップ本体10を外し、シール材8を取り外し、そして胴周壁4にキャップ本体10を再封して使用する。
スパチュラ40は、キャップ本体10の支持枠16の上に単に載置されており、従来技術のように載置面から突設する一対の挟持片の間に挟持させるというような作業を必要としていない。故に支持枠16の上にスパチュラ40を置く動作をするだけでスパチュラ40が容器体2の開口部О付近に保持される。
また本実施形態では、支持枠16は円周状であるから、その直径方向の任意の2点にスパチュラ40の両端部を載置することにより、スパチュラ40を上蓋30の閉蓋操作に干渉しない位置で保持することができる。
支持枠16の上にスパチュラ40を載置するときには、上蓋30の開蓋状態において、
図3(A)に示す如く、スパチュラ40の先部40bを下向きにして支持枠16の片側で垂直筒部16bと低段部16cとの間の隅部qに突き当てた後に、矢示の如くスパチュラ40を傾動させて、スパチュラ40の基部40aを支持枠16の反対側へ載置させるとよい。この手順によれば、スパチュラ40の基部40aが支持枠16に載る際に、まず、
図3(B)に実線で示すように、支持枠16の角状部19がスパチュラ40のくぼみ部42内の箇所に入り、次に想像線で示すように、スパチュラ40の滑り移動によって緩斜面iをスライドして、くぼみ部42のくぼみ底f側へ配置される。故に、スパチュラ40は定位置で保持することができる。
内容物を取り出す際には、スパチュラ40の柄部40aを指で摘持して持ち上げればよい。
図1の状態で、開口部Оに沿って組み込まれたスパチュラ40の基端部e1及び先端部e2のみが載置部である周状の支持枠16に載置されているから、指が載置面に触れて柄部40aを摘まむ作業の邪魔になることがない。
そして、指で柄部40aを摘まんだスパチュラ40の先部40bを容器体2内に挿入することにより、内容物を取り出せばよい。
【0027】
前記構成及び作用によれば、スパチュラ40の基端部e1の下面及び支持枠16の上面に相互に係合する係合凹条D及び係合凸条Cが形成したから、スパチュラ40を決められた位置に容易に保持することができる。
またスパチュラ40を載置する支持枠16は、上方から見て円周状であるから、スパチュラ40が容器体2内に不意に脱落しにくい。
係合凸条Cの角状部19がくぼみ部である係合凹条D内に前記胴周壁4の径方向Rへの摺動可能に遊嵌されているから、前記スパチュラ40を、径方向Rへ滑り移動させることにより、決められた位置へ配置することが容易にできる。
上蓋30にスパチュラ押え手段36を設けたから、スパチュラが決められた位置からずれることを防止することができる。
【0028】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0029】
図4は、本発明の第2実施形態を示している。
本実施形態では、前記上蓋30の下面側に、前記スパチュラ40を吸着させるための吸着手段38を配備させている。
この吸着手段38は、前記上蓋30を閉蓋したときに前記スパチュラ40に吸着され、かつ、この吸着状態から上蓋30を再び開蓋させた場合に当該スパチュラ40が前記支持枠16から引き上げることが可能な程度の吸着力を有する。本実施形態では、前記スパチュラ40は単に支持枠16の上に載置されているので、当該スパチュラ40の自重よりも吸着手段38の吸着力が大となるように設計すればよい。
この構成とすることによれば、前記上蓋30の開蓋操作により、前記スパチュラ40が容器体2側から上蓋30側へ移行し、当該上蓋30へ張り付いた状態となる。よって、
図4(A)に示すように、180°反転した上蓋30から、スパチュラ40を取り外すことができる。
図示例の吸着手段38は、中央部に嵌合孔39が開口され、かつ一定の厚みを有する円板状の吸着シートとして形成されている。そして、前記上蓋30の裏面から突設させた保持筒37に、前記嵌合孔39に嵌着させている。
この構成によれば、
図4(B)に示すように、上蓋30側に移行されたスパチュラ40と、当該上蓋30の裏面との間に、少なくとも吸着シート38の厚みに対応した隙間bが生ずる。そして、この隙間bを摘み代として、例えばスパチュラ40の幅方向Wの両辺を2本の指で引き上げることにより、スパチュラ40を取り出すことができる。故に、例えばスパチュラを単に容器の上蓋の上面に載置した構成に比べて、スパチュラ40を摘み易い。なお、前述の吸着シート38は、汚れて粘着性が落ちた場合には、汚れを拭き取ったり、取り外して洗うことで再使用することができる。
【符号の説明】
【0030】
2…容器体 3…底部 4…胴周壁 4a…下半部 4b…上半部 5…オネジ部
8…シール材
10…キャップ本体 12…装着筒部 12a…下方筒部
12b…中間筒部 12c…上方筒部 13…メネジ部 14…下向き段部
15…上向き段部 16…支持枠 16a…高段部 16b…垂直筒部
16c…低段部 18…周状リブ 19…角状部
20…環状突部 22…係合リブ 26…ヒンジ
30…上蓋 32…天板 34…蓋周壁 35…指掛け部
36…スパチュラ押え手段 37…保持筒 38…吸着シート(吸着手段)
39…嵌合孔
40…スパチュラ 40a…基部(柄部) 40b…先部(掬い部)42…くぼみ部
a…空隙(摺動代) b…隙間(つまみ代) C…係合凸条 D…係合凹条
e1…基端部 e2…先端部 f…くぼみ底 i…緩斜面 L…長手方向
m…支持枠の中心 О…開口部 P…周方向 q…隅部 R…径方向 W…幅方向