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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079276
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/19 20190101AFI20240604BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 53/24 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240604BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240604BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/269 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/502 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20240604BHJP
【FI】
B60L58/19
B60L3/00 J
B60L53/24
B60L3/00 S
B60L1/00 L
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H01M50/249
H01M50/583
H01M50/296
H01M50/269
H01M50/502
H01M50/51
H01M50/50 101
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192127
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森井 壮一
(72)【発明者】
【氏名】山田 保雄
(72)【発明者】
【氏名】荻原 泰史
【テーマコード(参考)】
5G503
5H040
5H043
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503FA17
5G503GA19
5H040AA40
5H040AS07
5H040DD05
5H040DD26
5H043AA04
5H043AA13
5H043FA06
5H043FA08
5H043FA22
5H043FA23
5H043GA03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BA02
5H125BB05
5H125BC25
5H125BC28
5H125DD02
5H125EE26
5H125FF16
(57)【要約】
【課題】バッテリを保護しつつ、緊急時にも走行可能な車両を提供する。
【解決手段】三相モータ3と、バッテリ2と、三相モータ3及びバッテリ2を制御する制御部10と、を備える車両100であって、バッテリ2は、第1蓄電部21と、第2蓄電部22と、第1蓄電部21と第2蓄電部22を直列に接続する第1コンタクタS/C_Aと、第1蓄電部21と第2蓄電部22を並列に接続する第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_Cと、第2コンタクタS/C_Bと直列に配置される第1ヒューズF1と、第3コンタクタS/C_Cと直列に配置される第2ヒューズF2と、を備える。制御部10は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタ及び第1ヒューズと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタ及び第2ヒューズと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である、車両。
【請求項2】
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタ及びヒューズと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である、車両。
【請求項3】
請求項1に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも一方が溶断したとき、前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項4】
請求項2に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記ヒューズが溶断したとき、前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第1コンタクタがオフ状態で固着したとき、
前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第2コンタクタ又は前記第3コンタクタがオフ状態で固着したとき、
前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記第1コンタクタがオン状態で固着したとき、
前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記第2コンタクタ又は前記第3コンタクタがオン状態で固着したとき、
前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記駆動源は、3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータであり、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上には、インバータが設けられ、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部には、直流給電回路が接続され、
正極側の前記直流給電回路は、前記中性点に接続される分岐回路を有する、車両。
【請求項10】
請求項9に記載の車両であって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、車両。
【請求項11】
請求項10に記載の車両であって、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、車両。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両であって、
前記駆動源は、3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータであり、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上には、インバータが設けられ、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部には、直流給電回路が接続され、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有する、車両。
【請求項13】
請求項12に記載の車両であって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両であって、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関し、充電スタンド等の充電設備には400V級対応及び800V級対応の2種類が存在する。モビリティが400V級対応の充電設備にしか対応していない場合、800V級対応の充電設備では、800V級対応の充電設備の急速充電性能を享受することができない。
【0004】
モビリティが400V級対応及び800V級対応の充電設備に対応している場合、一般的に、400V級対応の充電設備で充電する際に電圧変換器で800Vに昇圧して充電するか、800V級対応の充電設備で充電する際に電圧変換器で400Vに降圧して充電する。しかしながら、充電時に充電用の電圧変換器を通すと効率が悪化してしまう。
【0005】
これに対し、バッテリモジュールの接続方式を切り替えることで、充電用の電圧変換器を用いずに、400V級対応の充電設備においても、800V級対応の充電設備においても充電可能なモビリティも知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-080474号公報
【特許文献2】特開2020-150618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなモビリティにおいて、充電時や切替時等において、内部短絡等によりバッテリに過電流が流れる場合がある。バッテリに過電流が流れた場合であっても、バッテリを保護しつつ、自宅やディーラー、修理工場まで走行を可能に構成されることが好ましい。
【0008】
本発明は、バッテリを保護しつつ、緊急時にも走行可能な車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両は、
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタ及び第1ヒューズと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタ及び第2ヒューズと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である。
【0010】
また、本発明の車両は、
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタ及びヒューズと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バッテリを保護しつつ、緊急時にも走行可能な車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による車両100の構成を示す図である。
図2】バッテリ2の第1電圧状態(800V起動)を示す図である。
図3】バッテリ2の第2電圧状態(400V起動)を示す図である。
図4】車両100の走行時の電流の流れを示す図である。
図5】車両100の第1電圧(800V)充電時の電流の流れを示す図である。
図6】車両100の第2電圧(400V)充電時の電流の流れを示す図である。
図7】車両100の走行時の作動シーケンスを示す図である。
図8】車両100の第1電圧(800V)充電時の作動シーケンスを示す図である。
図9】車両100の第2電圧(400V)充電時の作動シーケンスを示す図である。
図10】第1コンタクタS/C_AがOFF状態で固着した場合のバッテリ2内の電流の流れを示す図である。
図11】第2コンタクタS/C_BがOFF状態で固着した場合のバッテリ2内の電流の流れを示す図である。
図12】第1コンタクタS/C_AがON状態で固着した場合のバッテリ2内の電流の流れを示す図である。
図13】第2コンタクタS/C_BがON状態で固着した場合のバッテリ2内の電流の流れを示す図である。
図14】バッテリ切替回路の故障発生時に表示する警告画面G1を示す図である。
図15】バッテリ切替回路の故障発生時に表示する警告画面G2を示す図である。
図16】第1変形例による車両100Bの構成を示す図である。
図17】第2変形例による車両100Cの構成を示す図である。
図18】第3変形例による車両100Dの構成を示す図である。
図19】第4変形例による車両100Eの構成を示す図である。
図20】第5変形例による車両100Fの構成を示す図である。
図21】第6変形例による車両100Gの構成を示す図である。
図22】第7変形例による車両100Hの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の車両の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
車両100は、電気自動車などの電動車両であり、図1に示す構成を備えることで、400V及び800Vの充電電圧でバッテリ2を急速充電できるだけでなく、800Vのベース電圧で三相モータ3及び補機4を効率良く駆動させることができる。
【0015】
具体的に説明すると、車両100は、図1に示すように、バッテリ2、三相モータ3、補機4、インバータ5(PDU)、DC-DCコンバータ6、電力供給回路11P、11N、補機駆動回路12P、12N、直流給電回路13P、13N、分岐回路14、及び制御部10を備える。
【0016】
図1図3に示すように、バッテリ2は、第1蓄電部21、第2蓄電部22、第1~第6コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_C、M/C_A、P/C_A、P/C_B、第1及び第2抵抗R1、R2、電流センサIS、及び第1~第3ヒューズF1~F3を備える。
【0017】
第1蓄電部21及び第2蓄電部22は、それぞれ、400Vの充放電が可能なバッテリモジュールである。
【0018】
第4コンタクタM/C_Aは、バッテリ2の正極側の端部に配置され、バッテリ2の外部(電力供給回路11P)との接続をON/OFFするメインスイッチとして機能する。
【0019】
第1~第3コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cは、第1蓄電部21と第2蓄電部22との接続状態を切り替える。例えば、図2に示すように、第1コンタクタS/C_AをON、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをOFFにすると、バッテリ2は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが直列接続された第1電圧状態(800V起動)となり、800Vでの充放電が可能になる。また、図3に示すように、第1コンタクタS/C_AをOFF、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをONにすると、バッテリ2は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが並列接続された第2電圧状態(400V起動)となり、400Vでの充放電が可能になる。なお、起動とは、車両100の走行時における駆動と、車両100の停車時における充電と、を含む概念である。
【0020】
図2及び図3を用いて具体的に説明すると、バッテリ2は、第1蓄電部21の正極側端子と第2蓄電部22の正極側端子とを並列に接続する正極側ノード23と、第1蓄電部21の負極側端子と第2蓄電部22の負極側端子とを並列に接続する負極側ノード24と、第1蓄電部21の負極側端子と第2蓄電部22の正極側端子とを接続する連結回路25と、を備える。連結回路25は、一端が正極側ノード23と第2蓄電部22の正極側端子とを結ぶ回路に対し第1接続部26で接続され、他端が負極側ノード24と第1蓄電部21の負極側端子とを結ぶ回路に対し第2接続部27で接続される。そして、第1コンタクタS/C_Aは、連結回路25に設けられ、第2コンタクタS/C_Bは、第1接続部26と正極側ノード23との間に設けられ、第3コンタクタS/C_Cは、第2接続部27と負極側ノード24との間に設けられる。
【0021】
第5コンタクタP/C_A及び第1抵抗R1は、直列に配置され、第4コンタクタM/C_Aと並列に配置される。第5コンタクタP/C_Aは、第1電圧状態及び第2電圧状態において、第4コンタクタM/C_AのONに先立ってONされることにより、過剰な突入電流から第4コンタクタM/C_Aを保護する。
【0022】
第6コンタクタP/C_B及び第2抵抗R2は、直列に配置され、第2コンタクタS/C_Bと並列に配置される。第6コンタクタP/C_Bは、第2電圧状態において、第2コンタクタS/C_BのONに先立ってONされることにより、過剰な突入電流から第2コンタクタS/C_Bを保護する。
【0023】
電流センサISは、第4コンタクタM/C_Aと正極側ノード23との間に配置され、電流を測定する。
【0024】
第1ヒューズF1は、正極側ノード23と第2コンタクタS/C_Bとの間に設けられ、第2ヒューズF2は、負極側ノード24と第3コンタクタS/C_Cとの間に設けられる。したがって、内部短絡等によりバッテリ2の内部で過電流が発生した場合、第1ヒューズF1及び/又は第2ヒューズF2が溶断することでバッテリ2の内部の電気接続が遮断され、バッテリ2が保護される。また、第3ヒューズF3は、負極側ノード24とバッテリ2の負極側端子との間に設けられる。第3ヒューズF3は、電気信号に応じて意図的な電流遮断が可能なヒューズであることが好ましい。第3ヒューズF3は、例えば、パイロヒューズである。
【0025】
図1に戻って、三相モータ3は、一端側が中性点31で接続される3相のコイル32U、32V、32Wを備えており、インバータ5を介してバッテリ2から供給される電力で回転駆動される。本実施形態の三相モータ3は、コイル32U、32V、32Wの他端側に接続されるU相端子33U、V相端子33V及びW相端子33Wと、中性点31に接続される中性点端子34と、を備える。U相端子33U、V相端子33V及びW相端子33Wは、インバータ5に接続され、中性点端子34は、分岐回路14に接続される。
【0026】
インバータ5は、複数のスイッチング素子の切り替えにより、バッテリ2から供給される直流電力を三相交流電力に変換して三相モータ3を回転駆動させる。また、インバータ5は、分岐回路14から三相モータ3の中性点31に直流電流(400V)が供給されたとき、複数のスイッチング素子の切り替えにより、コイル32U、32V、32Wを利用して直流電流を昇圧(800V)する昇圧回路として機能させることができる。即ち、ステータコアに巻回されたコイル32U、32V、32Wが、トランスとして利用される。
【0027】
補機4は、バッテリ2及び外部電源からの直流電力で駆動可能な高電圧駆動車載機器であり、例えば、エアコン用の電動コンプレッサやヒーターなどが含まれる。補機4は、後述する補機駆動回路12P、12N、第7コンタクタVS/C、及び電力供給回路11P、11Nを介してバッテリ2に接続される。本実施形態の補機4は、ベース電圧の800Vで動作される。
【0028】
DC-DCコンバータ6は、バッテリ2及び外部電源からの直流電力を降圧して低電圧電気機器9(図14参照)に電源供給を行う。DC-DCコンバータ6には、不図示の電流計が設けられる。
【0029】
電力供給回路11P、11Nは、正負一対で構成され、バッテリ2とインバータ5(三相モータ3)を接続する。電力供給回路11P、11Nには、直流給電回路13P、13Nとの接続部111P、111Nが設けられ、接続部111P、111Nよりもインバータ5側には、補機駆動回路12P、12N(補機4)との接続部112P、112Nが設けられている。また、正極側の電力供給回路11Pには、補機駆動回路12Pとの接続部112Pと、直流給電回路13Pの接続部111Pの間で回路をON/OFFする第7コンタクタVS/Cが設けられる。また、電力供給回路11P、11Nのインバータ5側には、第1電圧センサV_PINと第1平滑コンデンサC1が設けられ、さらに、負極側の電力供給回路11Nと分岐回路14との間には、第2平滑コンデンサC2が設けられている。
【0030】
直流給電回路13P、13Nは、正負一対で構成され、一端部には、充電設備などの外部電源を接続可能な充電端子131P、131Nが設けられ、他端部は、接続部111P、111Nを介して電力供給回路11P、11Nに接続されている。直流給電回路13P、13Nには、それぞれの回路をON/OFFする第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが設けられ、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bよりも接続部111P、111N側の位置には、第2電圧センサV_BATが設けられ、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bよりも充電端子131P、131N側の位置には、第3電圧センサV_QCが設けられている。
【0031】
分岐回路14は、正極側の直流給電回路13Pにおいて、第8コンタクタQC/C_Aや第2電圧センサV_BATよりも接続部111P側の位置で分岐され、三相モータ3の中性点31(中性点端子34)に接続される。分岐回路14の中間部には、回路をON/OFFする第10コンタクタQC/C_Cが設けられている。
【0032】
制御部10は、例えば、車両ECUであり、蓄電システム1の駆動及び充電を制御する。より具体的に、制御部10は、第1~第10コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_C、M/C_A、P/C_A、P/C_B、VS/C、QC/C_A、QC/C_B、QC/C_CのON/OFF制御、及びこれらの固着検知(溶着検知)、DC-DCコンバータ6及びインバータ5の制御を行う。
【0033】
つぎに、車両100の動作について、図4図9を参照して説明する。
【0034】
図4は、車両100の走行(800V駆動)時の電流の流れを示す図であり、図7は、車両100の走行(800V駆動)時の作動シーケンスを示す図である。
【0035】
制御部10は、車両100のイグニッションスイッチIGがON操作されると、まず、第5コンタクタP/C_A及び第7コンタクタVS/CをONにし、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が上昇した場合、第1~第3コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CのいずれかがON状態で固着(溶着)していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0036】
制御部10は、第1~第3コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第1コンタクタS/C_AをONにし、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続させる。バッテリ2内の回路が第1電圧状態(800V)に接続されると、第1平滑コンデンサC1及び第2平滑コンデンサC2がプリチャージされ、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が徐々に上昇する。
【0037】
制御部10は、第1平滑コンデンサC1及び第2平滑コンデンサC2のプリチャージが完了するタイミングで第4コンタクタM/C_AをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/C_AをOFFにする。これにより、車両100が走行可能となる。このとき、補機4は、補機駆動回路12P、12を介して電力供給回路11P、11Nに接続され、バッテリ2から供給される第1電圧(800V)で駆動される。
【0038】
一方、制御部10は、イグニッションスイッチIGがOFF操作されると、まず、第4コンタクタM/C_AをOFFにし、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が第1及び第2平滑コンデンサC1、C2のディスチャージによって低下しない場合、第4コンタクタM/C_Aが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0039】
制御部10は、第4コンタクタM/C_Aの溶着なしと判断した場合は、第1及び第2平滑コンデンサC1、C2のディスチャージが完了するタイミングで第7コンタクタVS/CをOFFにする。制御部10は、さらにその後、第5コンタクタP/C_AをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第7コンタクタVS/Cが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0040】
制御部10は、第7コンタクタVS/Cの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C_A及び第1コンタクタS/C_AをOFFにして走行時の作動シーケンスを終了する。
【0041】
図5は、車両100の第1電圧充電(800V充電)時の電流の流れを示す図であり、図8は、車両100の第1電圧充電(800V充電)時の作動シーケンスを示す図である。
【0042】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第1電圧(800V)の場合、まず、第5コンタクタP/C_A及び第7コンタクタVS/CをONにし、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が上昇した場合、第1~第3コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0043】
制御部10は、第1~第3コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第1コンタクタS/C_AをONにし、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続させる。バッテリ2内の回路が第1電圧状態(800V)に接続されると、第1平滑コンデンサC1及び第2平滑コンデンサC2がプリチャージされ、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が徐々に上昇する。
【0044】
制御部10は、第1平滑コンデンサC1及び第2平滑コンデンサC2のプリチャージが完了するタイミングで第4コンタクタM/C_AをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/C_AをOFFにする。これにより、バッテリ2は、第1電圧(800V)による充電が開始可能な状態となる。
【0045】
その後、制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにし、第1電圧(800V)によるバッテリ2の充電を開始させる。このとき、補機4は、補機駆動回路12P、12N及び第7コンタクタVS/Cを介して直流給電回路13P、13Nに接続され、充電設備から供給される第1電圧(800V)で駆動される。
【0046】
一方、制御部10は、充電停止信号の入力を判断すると、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをOFFにし、第3電圧センサV_QCの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第3電圧センサV_QCの検出電圧値が低下しない場合、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0047】
制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bの溶着なしと判断した場合は、第4コンタクタM/C_AをOFFにし、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が第1及び第2平滑コンデンサC1、C2のディスチャージによって低下しない場合、第4コンタクタM/C_Aが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0048】
制御部10は、第4コンタクタM/C_Aの溶着なしと判断した場合は、第1及び第2平滑コンデンサC1、C2のディスチャージが完了するタイミングで第7コンタクタVS/CをOFFにする。制御部10は、さらにその後、第5コンタクタP/C_AをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第7コンタクタVS/Cが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0049】
制御部10は、第7コンタクタVS/Cの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C_A及び第1コンタクタS/C_AをOFFにして第1電圧(800V)充電時の作動シーケンスを終了する。
【0050】
図6は、車両100の第2電圧充電(400V充電)時の電流の流れを示す図であり、図9は、車両100の第2電圧充電(400V充電)時の作動シーケンスを示す図である。
【0051】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第2電圧(400V)の場合、まず、第6コンタクタP/C_BをONにし、第1蓄電部21に搭載された不図示の電圧センサ(CVS)の変化をチェックする。制御部10は、電圧センサ(CVS)が変化した場合、第1コンタクタS/C_Aが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0052】
制御部10は、第1コンタクタS/C_Aの溶着なしと判断した場合、第3コンタクタS/C_CをONにした後、第2コンタクタS/C_BをONにし、バッテリ2内の回路を第2電圧状態(400V)に接続させる。制御部10は、その後、第6コンタクタP/C_BをOFFにするとともに、第5コンタクタP/C_A及び第10コンタクタQC/C_CをONにし、三相モータ3及びインバータ5による昇圧回路を有効にする。つぎに、制御部10は、第4コンタクタM/C_AをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/C_AをOFFにする。これにより、バッテリ2は、第2電圧(400V)による充電が開始可能な状態となる。
【0053】
その後、制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにし、第2電圧(400V)によるバッテリ2の充電を開始させる。このとき、分岐回路14を介して直流給電回路13P、13Nに接続された三相モータ3及びインバータ5は、充電設備から供給される第2電圧(400V)を第1電圧(800V)に昇圧し、補機4を駆動させる。
【0054】
一方、制御部10は、充電停止信号の入力を判断すると、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをOFFにし、第3電圧センサV_QCの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第3電圧センサV_QCの検出電圧値が低下しない場合、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0055】
制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bの溶着なしと判断した場合は、三相モータ3及びインバータ5による昇圧を停止した後、第4コンタクタM/C_AをOFFにし、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PIN及び第2電圧センサV_BATの検出電圧値が第1及び第2平滑コンデンサC1、C2のディスチャージによって低下しない場合、第4コンタクタM/C_Aが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0056】
制御部10は、第4コンタクタM/C_Aの溶着なしと判断した場合は、第1及び第2平滑コンデンサC1、C2のディスチャージが完了するタイミングで第10コンタクタQC/C_CをOFFにする。制御部10は、さらにその後、第5コンタクタP/C_AをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第10コンタクタQC/C_C及び第7コンタクタVS/Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知などの異常時制御を行う。
【0057】
制御部10は、溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C_A、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをOFFにして第2電圧(400V)充電時の作動シーケンスを終了する。
【0058】
つぎに、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1ヒューズF1及び/又は第2ヒューズF2の溶断時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時に制御部10が実行する異常時制御について、図10図15を参照して説明する。
【0059】
図10に示すように、制御部10は、第1コンタクタS/C_AがOFF状態で固着した場合は、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V起動)とし、第2電圧状態で三相モータ3を駆動させる。第2電圧状態での三相モータ3の駆動は、車両100を退避走行(リンプホーム)させるためのものであり、運転者に対して図15に示すような警告画面G2を表示することが望ましい。例えば、警告画面G2には、「WARNING バッテリ切替回路故障中」、「バッテリ切替回路が故障したため安全な場所に車両を動かし停止させてください。また、800V充電はしないでください」などの警告メセージが含まれる。
【0060】
図11に示すように、制御部10は、第2コンタクタS/C_BがOFF状態で固着した場合は、第3コンタクタS/C_CをOFF、第1コンタクタS/C_AをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V起動)とし、第1電圧状態で三相モータ3を駆動させる。この場合、車両100は、第1電圧状態による通常走行が可能であるが、運転者に対して図14に示すような警告画面G1を表示することが望ましい。例えば、警告画面G1には、「WARNING バッテリ切替回路故障中」、「バッテリ切替回路が故障したため修理工場へ行くことをお勧めします。また、400V充電はしないでください」などの警告メセージが含まれる。なお、制御部10は、第3コンタクタS/C_CがOFF状態で固着した場合や、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CがOFF状態で固着した場合、第1ヒューズF1及び/又は第2ヒューズF2が溶断した場合も、第2コンタクタS/C_BがOFF状態で固着した場合と同様の異常時制御を行う。
【0061】
図12に示すように、制御部10は、第1コンタクタS/C_AがON状態で固着した場合は、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをOFFにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V起動)とし、第1電圧状態で三相モータ3を駆動させる。この場合、車両100は、第1電圧状態による通常走行が可能であるが、運転者に対して図14に示すような警告画面G1を表示することが望ましい。
【0062】
図13に示すように、制御部10は、第2コンタクタS/C_BがON状態で固着した場合は、第1コンタクタS/C_AをOFF、第3コンタクタS/C_CをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V起動)とし、第2電圧状態で三相モータ3を駆動させる。第2電圧状態での三相モータ3の駆動は、車両100を退避走行(リンプホーム)させるためのものであり、運転者に対して図15に示すような警告画面G2を表示することが望ましい。なお、制御部10は、第3コンタクタS/C_CがON状態で固着した場合や、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CがON状態で固着した場合も、第2コンタクタS/C_BがON状態で固着した場合と同様の異常時制御を行う。
【0063】
つぎに、変形例による車両100B~100Dの構成について、図16図18を参照して説明する。ただし、前述の実施形態と共通の構成については、前述の実施形態と同じ符号を用いることで、前述の実施形態の説明を援用する場合がある。
【0064】
図16は、第1変形例による車両100Bの構成を示す図である。
図16に示すように、第1変形例の車両100Bは、基本的な構成は前述の実施形態の車両100と同様であるが、前述の実施形態の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が前述の実施形態の車両100と相違している。内部短絡等によりバッテリ2の内部で過電流が発生した場合、第4ヒューズF4が溶断することでバッテリ2の内部の電気接続が遮断され、バッテリ2が保護される。また、このような第1変形例の車両100Bによれば、第4ヒューズF4が溶断したとき、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V起動)とし、第2電圧状態で三相モータ3を駆動させることができる。また、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0065】
図17は、第2変形例による車両100Cの構成を示す図である。
前述の実施形態の車両100では、充電用のメインスイッチである第8コンタクタQC/C_Aをバッテリ2のメインスイッチである第4コンタクタM/C_Aに対して直列に接続していたが、第2変形例の車両100Cでは、図17に示すように、第8コンタクタQC/C_Aを第4コンタクタM/C_Aに対して並列に接続している。
【0066】
このような第2変形例の車両100Cであっても、前述の実施形態の車両100と同等の効果が得られる。また、第2変形例の車両100Cでは、第2電圧(400V)の充電において、第2電圧(400V)で充電されるバッテリ2と、三相モータ3及びインバータ5によって昇圧された第1電圧(800V)とを第4コンタクタM/C_Aで切り分けることができるので、前述の実施形態の第7コンタクタVS/Cに相当するスイッチ部品が不要になる。
【0067】
また、第2変形例の車両100Cでは、第8コンタクタQC/C_A、第9コンタクタQC/C_B、第2電圧センサV_BAT、及び第3電圧センサV_QCをバッテリ2内に配置し、分岐回路14をバッテリ2内から引き出すことを想定しているため、バッテリ2内であって分岐回路14の分岐近傍位置よりもインバータ5側に、異常時にバッテリ外部との接続を遮断するための第11コンタクタQC/C_Dが設けられる。
【0068】
このような第2変形例の車両100Cによれば、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1ヒューズF1及び/又は第2ヒューズF2の溶断時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0069】
図18は、第3変形例による車両100Dの構成を示す図である。
図18に示すように、第3変形例の車両100Dは、基本的な構成は第2変形例の車両100Cと同様であるが、第2変形例の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が第2変形例の車両100Cと相違している。このような第3変形例の車両100Dによれば、第4ヒューズF4が溶断したとき、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V起動)とし、第2電圧状態で三相モータ3を駆動させることができる。また、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0070】
図19は、第4変形例による車両100Eの構成を示す図である。
図19に示すように、第4変形例の車両100Eは、基本的な構成は前述の実施形態の車両100と同様であるが、前述の実施形態の車両100では、分岐回路14が中性点31に接続されていたのに対し、分岐回路14がいずれか1相のコイル32U、32V、32Wに接続されている点で相違する。本変形例では、3相のコイル32U、32V、32Wのうちコイル32Uが、U相端子33Uとインバータ5との間に位置する接続端子35を介して分岐回路14に接続されている。これにより、インバータ5は、第2電圧充電(400V充電)時に、分岐回路14から接続端子35に直流電流(400V)が供給されたとき、複数のスイッチング素子の切り替えにより、他の2相のコイル(本実施形態では、コイル32V、32W)を利用して直流電流を昇圧(800V)する昇圧回路として三相モータ3を機能させることができる。
【0071】
また、このような第4変形例の車両100Eによれば、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1ヒューズF1及び/又は第2ヒューズF2の溶断時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0072】
図20は、第5変形例による車両100Fの構成を示す図である。
図20に示すように、第5変形例の車両100Fは、基本的な構成は第4変形例の車両100Eと同様であるが、第4変形例の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が第4変形例の車両100Eと相違している。内部短絡等によりバッテリ2の内部で過電流が発生した場合、第4ヒューズF4が溶断することでバッテリ2の内部の電気接続が遮断され、バッテリ2が保護される。また、このような第5変形例の車両100Fによれば、第4ヒューズF4が溶断したとき、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V起動)とし、第2電圧状態で三相モータ3を駆動させることができる。また、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0073】
図21は、第6変形例による車両100Gの構成を示す図である。
第4変形例の車両100Eでは、充電用のメインスイッチである第8コンタクタQC/C_Aをバッテリ2のメインスイッチである第4コンタクタM/C_Aに対して直列に接続していたが、第6変形例の車両100Gでは、図21に示すように、第8コンタクタQC/C_Aを第4コンタクタM/C_Aに対して並列に接続している。
【0074】
このような第6変形例の車両100Gであっても、第4変形例の車両100Eと同等の効果が得られる。また、第6変形例の車両100Gでは、第2電圧(400V)の充電において、第2電圧(400V)で充電されるバッテリ2と、三相モータ3及びインバータ5によって昇圧された第1電圧(800V)とを第4コンタクタM/C_Aで切り分けることができるので、前述の実施形態の第7コンタクタVS/Cに相当するスイッチ部品が不要になる。
【0075】
また、第6変形例の車両100Gでは、第8コンタクタQC/C_A、第9コンタクタQC/C_B、第2電圧センサV_BAT、及び第3電圧センサV_QCをバッテリ2内に配置し、分岐回路14をバッテリ2内から引き出すことを想定しているため、バッテリ2内であって分岐回路14の分岐近傍位置よりもインバータ5側に、異常時にバッテリ外部との接続を遮断するための第11コンタクタQC/C_Dが設けられる。
【0076】
このような第6変形例の車両100Gによれば、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1ヒューズF1及び/又は第2ヒューズF2の溶断時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0077】
図22は、第7変形例による車両100Hの構成を示す図である。
図22に示すように、第7変形例の車両100Hは、基本的な構成は第6変形例の車両100Gと同様であるが、第6変形例の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が第6変形例の車両100Gと相違している。このような第7変形例の車両100Hによれば、第4ヒューズF4が溶断したとき、第2コンタクタS/C_B及び第3コンタクタS/C_CをONにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V起動)とし、第2電圧状態で三相モータ3を駆動させることができる。また、第1コンタクタS/C_AのOFF状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのOFF状態での固着時、第1コンタクタS/C_AのON状態での固着時、第2コンタクタS/C_B及び/又は第3コンタクタS/C_CのON状態での固着時においては、前述の実施形態と同様の異常時制御によって、三相モータ3を第1電圧状態、第2電圧状態のいずれかで駆動させることができる。
【0078】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0079】
例えば、上記実施形態では、制御部10は、充電設備との間でCAN通信することを例示したが、通信方式はCAN通信に限らず、任意の通信方式を採用することができる。
【0080】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0081】
(1) 駆動源(三相モータ3)と、前記駆動源に電力を供給するバッテリ(バッテリ2)と、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部(制御部10)と、を備える車両(車両100、100C、100E、100G)であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部(第1蓄電部21)と、
第2蓄電部(第2蓄電部22)と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノード(正極側ノード23)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノード(負極側ノード24)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路(連結回路25)と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタ(第1コンタクタS/C_A)と、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部(第1接続部26)と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタ(第2コンタクタS/C_B)及び第1ヒューズ(第1ヒューズF1)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部(第2接続部27)と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタ(第3コンタクタS/C_C)及び第2ヒューズ(第2ヒューズF2)と、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である、車両。
【0082】
(1)によれば、過電流の発生時は、第1ヒューズ又は第2ヒューズが溶断することでバッテリを保護することができる。また、第1ヒューズ又は第2ヒューズが溶断しても、第1電圧状態で車両を駆動することができる。
【0083】
(2) 駆動源(三相モータ3)と、前記駆動源に電力を供給するバッテリ(バッテリ2)と、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部(制御部10)と、を備える車両(車両100B、100D、100F、100H)であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部(第1蓄電部21)と、
第2蓄電部(第2蓄電部22)と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノード(正極側ノード23)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノード(負極側ノード24)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路(連結回路25)と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタ(第1コンタクタS/C_A)及びヒューズ(第4ヒューズF4)と、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部(第1接続部26)と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタ(第2コンタクタS/C_B)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部(第2接続部27)と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタ(第3コンタクタS/C_C)と、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である、車両。
【0084】
(2)によれば、過電流の発生時は、ヒューズが溶断することでバッテリを保護することができる。また、ヒューズが溶断しても、第2電圧状態で車両を駆動することができる。
【0085】
(3) (1)に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも一方が溶断したとき、前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【0086】
(3)によれば、第1ヒューズ又は第2ヒューズが溶断しても車両を駆動することができる。
【0087】
(4) (2)に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記ヒューズが溶断したとき、前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【0088】
(4)によれば、ヒューズが溶断しても車両を駆動することができる。
【0089】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第1コンタクタがオフ状態で固着したとき、
前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【0090】
(5)によれば、第1コンタクタがオフ固着しても、第2電圧状態で車両を駆動できる。
【0091】
(6) (1)から(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第2コンタクタ又は前記第3コンタクタがオフ状態で固着したとき、
前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【0092】
(6)によれば、第2コンタクタ又は第3コンタクタがオフ固着しても、第1電圧状態で車両を駆動できる。
【0093】
(7) (1)から(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記第1コンタクタがオン状態で固着したとき、
前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【0094】
(7)によれば、第1コンタクタがオン固着しても、第1電圧状態で車両を駆動できる。
【0095】
(8) (1)から(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記第2コンタクタ又は前記第3コンタクタがオン状態で固着したとき、
前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【0096】
(8)によれば、第2コンタクタ又は第3コンタクタがオン固着しても、第2電圧状態で車両を駆動できる。
【0097】
(9) (1)から(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記駆動源は、3相のコイル(コイル32U、32V、32W)が中性点(中性点31)で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータ(三相モータ3)であり、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路(電力供給回路11P、11N)上には、インバータ(インバータ5)が設けられ、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部(接続部111P、111N)には、直流給電回路(直流給電回路13P、13N)が接続され、
正極側の前記直流給電回路は、前記中性点に接続される分岐回路(分岐回路14)を有する、車両。
【0098】
(9)によれば、インバータとバッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される正極側の直流給電回路が、三相モータの中性点に接続される分岐回路を有するので、三相モータとインバータを使って電圧変換できる。これにより、充電設備の電圧状態と補機等の動作電圧が異なる場合であっても、専用の電圧変換器を不要にでき、製造コストを抑制できる。
【0099】
(10) (9)に記載の車両であって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機(補機4)と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路(補機駆動回路12P、12N)と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、車両。
【0100】
(10)によれば、走行時及び第1電圧での充電時に電圧変換が不要になる。
【0101】
(11) (10)に記載の車両であって、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、車両。
【0102】
(11)によれば、三相モータとインバータを使って電圧変換できるので、補機用の電圧変換器を不要にできる。
【0103】
(12) (1)から(4)のいずれかに記載の車両であって、
前記駆動源は、3相のコイル(コイル32U、32V、32W)が中性点(中性点31)で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータ(三相モータ3)であり、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路(電力供給回路11P、11N)上には、インバータ(インバータ5)が設けられ、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部(接続部111P、111N)には、直流給電回路(直流給電回路13P、13N)が接続され、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイル(コイル32U)に接続される分岐回路(分岐回路14)を有する、車両。
【0104】
(12)によれば、インバータとバッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される正極側の直流給電回路が、いずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有するので、三相モータとインバータを使って電圧変換できる。これにより、充電設備の電圧状態と補機等の動作電圧が異なる場合であっても、専用の電圧変換器を不要にでき、製造コストを抑制できる。
【0105】
(13) (12)に記載の車両であって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機(補機4)と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路(補機駆動回路12P、12N)と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、車両。
【0106】
(13)によれば、走行時及び第1電圧での充電時に電圧変換が不要になる。
【0107】
(14) (13)に記載の車両であって、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、車両。
【0108】
(14)によれば、三相モータとインバータを使って電圧変換できるので、補機用の電圧変換器を不要にできる。
【符号の説明】
【0109】
100~100H 車両
2 バッテリ
21 第1蓄電部
22 第2蓄電部
23 正極側ノード
24 負極側ノード
25 連結回路
26 第1接続部
27 第2接続部
3 三相モータ(駆動源)
10 制御部
31 中性点
32U、32V、32W コイル
4 補機
5 インバータ
111P、111N 接続部
11P、11N 電力供給回路(電力伝達経路)
12P、12N 補機駆動回路
13P、13N 直流給電回路
14 分岐回路
S/C_A 第1コンタクタ
S/C_B 第2コンタクタ
S/C_C 第3コンタクタ
F1 第1ヒューズ
F2 第2ヒューズ
F4 第4ヒューズ(ヒューズ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタ及び第1ヒューズと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタ及び第2ヒューズと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも一方が溶断したとき、前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動し、
運転者に対して所定の警告を促す警告画面を表示する、車両。
【請求項2】
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタ及びヒューズと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記ヒューズが溶断したとき、前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動し、
運転者に対して所定の警告を促す警告画面を表示する、車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第1コンタクタがオフ状態で固着したとき、
前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記制御部は、
前記第2コンタクタ又は前記第3コンタクタがオフ状態で固着したとき、
前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記第1コンタクタがオン状態で固着したとき、
前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記第2コンタクタ又は前記第3コンタクタがオン状態で固着したとき、
前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動する、車両。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記警告画面は、前記車両の退避走行を促す表示である、
車両。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記駆動源は、3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータであり、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上には、インバータが設けられ、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部には、直流給電回路が接続され、
正極側の前記直流給電回路は、前記中性点に接続される分岐回路を有する、車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両であって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、車両。
【請求項10】
請求項9に記載の車両であって、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、車両。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記駆動源は、3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータであり、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上には、インバータが設けられ、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部には、直流給電回路が接続され、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有する、車両。
【請求項12】
請求項11に記載の車両であって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、車両。
【請求項13】
請求項12に記載の車両であって、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の車両は、
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタ及び第1ヒューズと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタ及び第2ヒューズと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも一方が溶断したとき、前記第1電圧状態で前記駆動源を駆動し、
運転者に対して所定の警告を促す警告画面を表示する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本発明の車両は、
駆動源と、前記駆動源に電力を供給するバッテリと、前記駆動源及び前記バッテリを制御する制御部と、を備える車両であって、
前記バッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1コンタクタ及びヒューズと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路とを接続する第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2コンタクタと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路とを接続する第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3コンタクタと、を備え、
前記制御部は、
前記第1コンタクタをオン状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1コンタクタをオフ状態、前記第2コンタクタ及び前記第3コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記ヒューズが溶断したとき、前記第2電圧状態で前記駆動源を駆動し、
運転者に対して所定の警告を促す警告画面を表示する。