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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079278
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】バッテリ及び蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240604BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240604BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240604BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20240604BHJP
   H02H 5/10 20060101ALI20240604BHJP
   H01M 50/579 20210101ALI20240604BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20240604BHJP
   B60L 58/19 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 53/24 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240604BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240604BHJP
   B60L 3/04 20060101ALI20240604BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/00 P
H02J7/02 H
H02J7/02 J
H02J1/00 309Q
H02H3/087
H02H5/10
H02J1/00 309T
H01M50/579
H01M50/583
B60L58/19
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/24
B60L1/00 L
B60L3/00 J
B60L3/04 E
H02J7/14 H
H02J1/00 304H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192132
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森井 壮一
(72)【発明者】
【氏名】山田 保雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】荻原 泰史
【テーマコード(参考)】
5G004
5G060
5G165
5G503
5H043
5H125
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004BA01
5G004BA03
5G060AA09
5G060BA08
5G060DB08
5G165AA08
5G165BB08
5G165EA02
5G165GA09
5G165JA05
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA05
5G503BB01
5G503FA06
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA05
5H043EA29
5H043GA02
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125AC24
5H125BB05
5H125BC25
5H125BC28
5H125CD04
5H125DD02
5H125DD08
5H125DD10
5H125EE21
5H125FF16
(57)【要約】
【課題】感電の発生を防止しつつ、コンタクタの数を抑制する。
【解決手段】バッテリ2は、第1蓄電部21と、第2蓄電部22と、第1蓄電部21と第2蓄電部22を直列に接続する第2コンタクタS/C_Aと、第1蓄電部21と第2蓄電部22を並列に接続する第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_Cと、バッテリ2の両端側に設けられる第1コンタクタM/C_A及び制御信号により遮断可能な第3ヒューズF3を備え、制御部10は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記正極側ノードに対し前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部と反対側に設けられる、メインコンタクタ及び制御信号により遮断可能な制御遮断ヒューズのいずれか一方と、
前記負極側ノードに対し前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部と反対側に設けられる、前記メインコンタクタ及び前記制御遮断ヒューズの他方と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1切替コンタクタと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路との第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2切替コンタクタと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路との第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3切替コンタクタと、
前記メインコンタクタ及び前記第1~第3切替コンタクタのオンとオフを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1切替コンタクタをオン状態、前記第2切替コンタクタ及び前記第3切替コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1切替コンタクタをオフ状態、前記第2切替コンタクタ及び前記第3切替コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である、バッテリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリであって、
前記制御部は、補助コンタクタ信号がONの場合に、前記バッテリを前記第1電圧状態と前記第2電圧状態とのいずれか一方に制御する、バッテリ。
【請求項3】
請求項1に記載のバッテリであって、
前記制御部は、衝撃の発生に基づいて、
前記メインコンタクタをオフにし、且つ、前記制御遮断ヒューズを遮断する、バッテリ。
【請求項4】
請求項1に記載のバッテリであって、
前記制御部は、短絡の発生に基づいて、
前記メインコンタクタをオフにし、且つ、前記制御遮断ヒューズを遮断する、バッテリ。
【請求項5】
請求項1に記載のバッテリであって、
前記第1接続部と前記正極側ノードとの間には、前記第2切替コンタクタと第1ヒューズが直列に接続され、
前記第2接続部と前記負極側ノードとの間には、前記第3切替コンタクタと第2ヒューズが直列に接続される、バッテリ。
【請求項6】
請求項1に記載のバッテリと、
前記連結回路には、前記第1切替コンタクタとヒューズが直列に接続される、バッテリ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される直流給電回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記中性点に接続される分岐回路を有する、蓄電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電システムであって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、蓄電システム。
【請求項9】
請求項8に記載の蓄電システムであって、
前記制御部は、
前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、蓄電システム。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか1項に記載のバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される直流給電回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有する、蓄電システム。
【請求項11】
請求項10に記載の蓄電システムであって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、蓄電システム。
【請求項12】
請求項11に記載の蓄電システムであって、
前記制御部は、
前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関し、充電スタンド等の充電設備には400V級対応及び800V級対応の2種類が存在する。モビリティが400V級対応の充電設備にしか対応していない場合、800V級対応の充電設備では、800V級対応の充電設備の急速充電性能を享受することができない。
【0004】
モビリティが400V級対応及び800V級対応の充電設備に対応している場合、一般的に、400V級対応の充電設備で充電する際に電圧変換器で800Vに昇圧して充電するか、800V級対応の充電設備で充電する際に電圧変換器で400Vに降圧して充電する。しかしながら、充電時に充電用の電圧変換器を通すと効率が悪化してしまう。
【0005】
これに対し、バッテリモジュールの接続方式を切り替えることで、充電用の電圧変換器を用いずに、400V級対応の充電設備においても、800V級対応の充電設備においても充電可能なモビリティも知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-080474号公報
【特許文献2】特開2020-150618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなモビリティにおいて、衝突時や短絡発生時であっても感電しないシステムを構築すべく、バッテリの正極側端部と負極側端部にメインコンタクタとサブコンタクタを配置している。これにより、衝突時や短絡発生時に、メインコンタクタとサブコンタクタをオフ(開放)にすることでバッテリと他の電気機器との接続を遮断し、感電の発生を回避している。
【0008】
しかしながら、重量や製造コストの点でコンタクタは少ない方が好ましい。
【0009】
本発明は、感電の発生を防止しつつ、コンタクタの数を抑制可能なバッテリ及び蓄電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバッテリは、
第1蓄電部と、
第2蓄電部と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノードと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノードと、
前記正極側ノードに対し前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部と反対側に設けられる、メインコンタクタ及び制御信号により遮断可能な制御遮断ヒューズのいずれか一方と、
前記負極側ノードに対し前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部と反対側に設けられる、前記メインコンタクタ及び前記制御遮断ヒューズの他方と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路と、
前記連結回路に設けられる第1切替コンタクタと、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路との第1接続部と前記正極側ノードとの間に設けられる第2切替コンタクタと、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路との第2接続部と前記負極側ノードとの間に設けられる第3切替コンタクタと、
前記メインコンタクタ及び前記第1~第3切替コンタクタのオンとオフを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1切替コンタクタをオン状態、前記第2切替コンタクタ及び前記第3切替コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1切替コンタクタをオフ状態、前記第2切替コンタクタ及び前記第3切替コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である。
【0011】
また、本発明の蓄電システムは、
上記したバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される直流給電回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記中性点に接続される分岐回路を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、感電の発生を防止しつつ、コンタクタの数を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による蓄電システム1の構成を示す図である。
図2】バッテリ2の第1電圧状態(800V起動)を示す図である。
図3】バッテリ2の第2電圧状態(400V起動)を示す図である。
図4】蓄電システム1が搭載された車両の走行時の電流の流れを示す図である。
図5】蓄電システム1が搭載された車両の第1電圧(800V)充電時の電流の流れを示す図である。
図6】蓄電システム1が搭載された車両の第2電圧(400V)充電時の電流の流れを示す図である。
図7】バッテリ2の制御構成を示す図である。
図8】バッテリ2の制御構成を示す図である。
図9】第1変形例の蓄電システム1Bの構成を示す図である。
図10】第2変形例の蓄電システム1Cの構成を示す図である。
図11】第3変形例の蓄電システム1Dの構成を示す図である。
図12】第4変形例による蓄電システム1Eの構成を示す図である。
図13】第5変形例による蓄電システム1Fの構成を示す図である。
図14】第6変形例による蓄電システム1Gの構成を示す図である。
図15】第7変形例による蓄電システム1Hの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示す蓄電システム1は、電気自動車などの車両に搭載される。蓄電システム1が搭載された車両は、400V級及び800V級の充電設備に対応し、400V及び800Vの充電電圧でバッテリ2を急速充電できるだけでなく、800Vのベース電圧で三相モータ3及び補機4を効率良く駆動させることができる。
【0016】
具体的に説明すると、蓄電システム1は、図1に示すように、バッテリ2、三相モータ3、補機4、インバータ5(PDU)、DC-DCコンバータ6、電力供給回路11P、11N、補機駆動回路12P、12N、直流給電回路13P、13N、分岐回路14、及び制御部10を備える。なお、制御部10は、バッテリ2を制御するバッテリECUと、車両を制御する車両ECUと、を含み、車両ECUは、バッテリECUを介してバッテリ2を制御する。
【0017】
図1図3に示すように、バッテリ2は、第1蓄電部21、第2蓄電部22、第1~第6コンタクタM/C_A、S/C_A、S/C_B、S/C_C、P/C_A、P/C_B、第1及び第2抵抗R1、R2、電流センサIS、第1ヒューズF1、第2ヒューズF2、及び第3ヒューズF3を備える。
【0018】
第1蓄電部21及び第2蓄電部22は、それぞれ、400Vの充放電が可能なバッテリモジュールである。
【0019】
第1コンタクタM/C_Aは、バッテリ2の正極側の端部に配置され、バッテリ2の外部(電力供給回路11P)との接続をON/OFFするメインスイッチとして機能する。
【0020】
第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cは、第1蓄電部21と第2蓄電部22との接続状態を切り替える。例えば、図2に示すように、第2コンタクタS/C_AをON、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにすると、バッテリ2は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが直列接続された第1電圧状態(800V起動)となり、800Vでの充放電が可能になる。また、図3に示すように、第2コンタクタS/C_AをOFF、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをONにすると、バッテリ2は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが並列接続された第2電圧状態(400V起動)となり、400Vでの充放電が可能になる。なお、起動とは、蓄電システム1が搭載された電動車両の走行時における駆動と、電動車両の停車時における充電と、を含む概念である。
【0021】
図2及び図3を用いて具体的に説明すると、バッテリ2は、第1蓄電部21の正極側端子と第2蓄電部22の正極側端子とを並列に接続する正極側ノード23と、第1蓄電部21の負極側端子と第2蓄電部22の負極側端子とを並列に接続する負極側ノード24と、第1蓄電部21の負極側端子と第2蓄電部22の正極側端子とを接続する連結回路25と、を備える。連結回路25は、一端が正極側ノード23と第2蓄電部22の正極側端子とを結ぶ回路に対し第1接続部26で接続され、他端が負極側ノード24と第1蓄電部21の負極側端子とを結ぶ回路に対し第2接続部27で接続される。
【0022】
そして、第2コンタクタS/C_Aは、連結回路25に設けられ、第3コンタクタS/C_Bは、第1接続部26と正極側ノード23との間に設けられ、第4コンタクタS/C_Cは、第2接続部27と負極側ノード24との間に設けられる。したがって、正極側ノード23から負極側ノード24へのいずれの経路にも、1つのコンタクタが介在する。
【0023】
第5コンタクタP/C_A及び第1抵抗R1は、直列に配置され、第1コンタクタM/C_Aと並列に配置される。第5コンタクタP/C_Aは、第1電圧状態及び第2電圧状態において、第1コンタクタM/C_AのONに先立ってONされることにより、過剰な突入電流から第1コンタクタM/C_Aを保護する。
【0024】
第6コンタクタP/C_B及び第2抵抗R2は、直列に配置され、第3コンタクタS/C_Bと並列に配置される。第6コンタクタP/C_Bは、第2電圧状態において、第3コンタクタS/C_BのONに先立ってONされることにより、過剰な突入電流から第3コンタクタS/C_Bを保護する。
【0025】
電流センサISは、第1コンタクタM/C_Aと正極側ノード23との間に配置され、電流を測定する。
【0026】
第1ヒューズF1は、正極側ノード23と第3コンタクタS/C_Bとの間に設けられ、第2ヒューズF2は、負極側ノード24と第4コンタクタS/C_Cとの間に設けられる。第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2は、いずれも、過剰電流による溶断で回路を遮断する溶断ヒューズである。
【0027】
第3ヒューズF3は、バッテリ2の負極側の端部に配置され、異常発生時にバッテリ2の外部(電力供給回路11N)との接続を遮断する。第3ヒューズF3は、電気信号に応じて意図的な電流遮断が可能な制御遮断ヒューズを用いて構成される。制御遮断ヒューズは、例えばパイロヒューズである。つまり、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にする。なお。第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2は、制御遮断ヒューズである必要はない。
【0028】
このようにすると、異常が発生した際、バッテリ2の正負両端側で外部との接続を遮断できるので、異常時における感電の発生を抑制できる。また、第3ヒューズF3を制御遮断ヒューズとすることにより、バッテリ2の負極側の端部に配置される補助コンタクタを不要とし、部品点数及びコストの削減が図れる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0029】
また、本実施形態の制御部10は、図7及び図8に示すように、補助コンタクタ制御部SUB_CNTを備え、補助コンタクタ制御部SUB_CNTの補助コンタクタ制御ピンP1の下流に、コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの切替スイッチ50が設けられている。切替スイッチ50は、補助コンタクタ制御部SUB_CNTの切替ピンP2からの制御信号により、図7に示す第2コンタクタS/C_AをON、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにする第1電圧状態(800V起動)と、図8に示す第2コンタクタS/C_AをOFF、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをONにする第2電圧状態(400V起動)と、を切り替え可能に構成される。したがって、第2コンタクタS/C_AがONである状態で、第3コンタクタS/C_B及び/又は第4コンタクタS/C_CがONになることを防止できる。また、切替スイッチ50は、補助コンタクタ制御ピンP1の下流に設けられているので、補助コンタクタ制御ピンP1からの信号がON信号であることを条件にコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cに制御信号が出力される。補助コンタクタ制御ピンP1のON信号は、例えば、制御部10の第1コンタクタM/C_AへのON信号に連動させることができる。このようにすると、コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cを補助コンタクタとして機能させることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、正極側ノード23に対し第1蓄電部21及び第2蓄電部22と反対側に第1コンタクタM/C_Aを設け、負極側ノード24に対し第1蓄電部21及び第2蓄電部22と反対側に第3ヒューズF3を設けているが、正極側ノード23に対し第1蓄電部21及び第2蓄電部22と反対側に第3ヒューズF3を設け、負極側ノード24に対し第1蓄電部21及び第2蓄電部22と反対側に第1コンタクタM/C_Aを設けてもよい。
【0031】
図1に戻って、三相モータ3は、一端側が中性点31で接続される3相のコイル32U、32V、32Wを備えており、インバータ5を介してバッテリ2から供給される電力で回転駆動される。本実施形態の三相モータ3は、コイル32U、32V、32Wの他端側に接続されるU相端子33U、V相端子33V及びW相端子33Wと、中性点31に接続される中性点端子34と、を備える。U相端子33U、V相端子33V及びW相端子33Wは、インバータ5に接続され、中性点端子34は、分岐回路14に接続される。
【0032】
インバータ5は、複数のスイッチング素子の切り替えにより、バッテリ2から供給される直流電力を三相交流電力に変換して三相モータ3を回転駆動させる。また、インバータ5は、分岐回路14から三相モータ3の中性点31に直流電流(400V)が供給されたとき、複数のスイッチング素子の切り替えにより、コイル32U、32V、32Wを利用して直流電流を昇圧(800V)する昇圧回路として機能させることができる。即ち、ステータコアに巻回されたコイル32U、32V、32Wが、トランスとして利用される。
【0033】
補機4は、バッテリ2及び外部電源からの直流電力で駆動可能な高電圧駆動車載機器であり、例えば、エアコン用の電動コンプレッサやヒーターなどが含まれる。補機4は、後述する補機駆動回路12P、12N、第7コンタクタVS/C、及び電力供給回路11P、11Nを介して第1バッテリ2に接続される。本実施形態の補機4は、ベース電圧の800Vで動作される。
【0034】
DC-DCコンバータ6は、バッテリ2及び外部電源からの直流電力を降圧して低電圧駆動車載機器を駆動させる。DC-DCコンバータ6には、不図示の電流計が設けられる。
【0035】
電力供給回路11P、11Nは、正負一対で構成され、バッテリ2とインバータ5(三相モータ3)を接続する。電力供給回路11P、11Nには、直流給電回路13P、13Nとの接続部111P、111Nが設けられ、接続部111P、111Nよりもインバータ5側には、補機駆動回路12P、12N(補機4)との接続部112P、112Nが設けられている。また、正極側の電力供給回路11Pには、補機駆動回路12Pとの接続部112Pと、直流給電回路13Pの接続部111Pの間で回路をON/OFFする第7コンタクタVS/Cが設けられる。また、電力供給回路11P、11Nのインバータ5側には、第1電圧センサV_PINと第1平滑コンデンサC1が設けられ、さらに、負極側の電力供給回路11Nと分岐回路14との間には、第2平滑コンデンサC2が設けられている。
【0036】
直流給電回路13P、13Nは、正負一対で構成され、一端部には、充電設備などの外部電源を接続可能な充電端子131P、131Nが設けられ、他端部は、接続部111P、111Nを介して電力供給回路11P、11Nに接続されている。直流給電回路13P、13Nには、それぞれの回路をON/OFFする第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが設けられ、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bよりも接続部111P、111N側の位置には、第2電圧センサV_BATが設けられ、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bよりも充電端子131P、131N側の位置には、第3電圧センサV_QCが設けられている。
【0037】
分岐回路14は、正極側の直流給電回路13Pにおいて、第8コンタクタQ/C_Aや第2電圧センサV_BATよりも接続部111P、111N側の位置で分岐され、三相モータ3の中性点31(中性点端子34)に接続される。分岐回路14の中間部には、回路をON/OFFする第10コンタクタQC/C_Cが設けられている。
【0038】
制御部10は、第1~第10コンタクタM/C_A、S/C_A、S/C_B、S/C_C、P/C_A、P/C_B、VS/C、QC/C_A、QC/C_B、QC/C_CのON/OFF制御、第3ヒューズF3の遮断制御、及びこれらの溶着検知、DC-DCコンバータ6及びインバータ5の制御を行う。
【0039】
つぎに、蓄電システム1の動作について、図4図6を参照して説明する。
【0040】
図4は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行(800V駆動)時の電流の流れを示す図である。
【0041】
制御部10は、電動車両の走行(800V駆動)時には、第2コンタクタS/C_AをONにし第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにしてバッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続するとともに、第1コンタクタM/C_A及び第7コンタクタVS/CをONにして、バッテリ2からインバータ5への電力供給を許容する。このとき、制御部10は、第10コンタクタQC/C_CをOFFにして、バッテリ2から三相モータ3への電力供給を遮断する。
補機4は、補機駆動回路12P、12Nを介して電力供給回路11P、11Nに接続され、バッテリ2から供給される第1電圧(800V)で駆動される。
【0042】
図5は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧充電(800V充電)時の電流の流れを示す図である。
【0043】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第1電圧(800V)の場合、第2コンタクタS/C_AをONにし第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにして、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続するとともに、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにし、第1電圧(800V)によるバッテリ2の充電を行う。このとき、制御部10は、第7コンタクタVS/CをONにする。これにより、補機4は、補機駆動回路12P、12Nを介して直流給電回路13P、13Nに接続され、充電設備から供給される第1電圧(800V)で駆動される。なお、制御部10は、第10コンタクタQC/C_CをOFFにして、直流給電回路13P、13Nから三相モータ3への電力供給を遮断する。
【0044】
図6は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧充電(400V充電)時の電流の流れを示す図である。
【0045】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第2電圧(400V)の場合、第2コンタクタS/C_AをOFFにし第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをONにして、バッテリ2内の回路を第2電圧状態(400V)に接続するとともに、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにし、第2電圧(400V)によるバッテリ2の充電を行う。このとき、制御部10は、第7コンタクタVS/CをOFFにし第10コンタクタQC/C_CをONにする。これにより、分岐回路14を介して直流給電回路13P、13Nに接続された三相モータ3及びインバータ5は、充電設備から供給される第2電圧(400V)を第1電圧(800V)に昇圧し、補機4を駆動させる。
【0046】
図9は、第1変形例の蓄電システム1Bの構成を示す図である。
図9に示すように、第1変形例の蓄電システム1Bは、基本的な構成は前述の実施形態の蓄電システム1と同様であるが、前述の実施形態の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が前述の実施形態の蓄電システム1と相違している。このような第1変形例の蓄電システム1Bによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0047】
図10は、第2変形例による蓄電システム1Cの構成を示す図である。
前述の実施形態の蓄電システム1では、充電用のメインスイッチである第8コンタクタQC/C_Aをバッテリ2のメインスイッチである第4コンタクタM/C_Aに対して直列に接続していたが、第2変形例の蓄電システム1Cでは、図10に示すように、第8コンタクタQC/C_Aを第4コンタクタM/C_Aに対して並列に接続している。
【0048】
このような第2変形例の蓄電システム1Cであっても、前述の実施形態の蓄電システム1と同等の効果が得られる。また、第2変形例の蓄電システム1Cでは、第2電圧(400V)の充電において、第2電圧(400V)で充電されるバッテリ2と、三相モータ3及びインバータ5によって昇圧された第1電圧(800V)とを第4コンタクタM/C_Aで切り分けることができるので、前述の実施形態の第7コンタクタVS/Cに相当するスイッチ部品が不要になる。
【0049】
また、第2変形例の蓄電システム1Cでは、第8コンタクタQC/C_A、第9コンタクタQC/C_B、第2電圧センサV_BAT、及び第3電圧センサV_QCをバッテリ2内に配置し、分岐回路14をバッテリ2内から引き出すことを想定しているため、バッテリ2内であって分岐回路14の分岐近傍位置よりもインバータ5側に、異常時にバッテリ外部との接続を遮断するための第11コンタクタQC/C_Dが設けられる。
【0050】
このような第2変形例の蓄電システム1Cによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0051】
図11は、第3変形例による蓄電システム1Dの構成を示す図である。
図11に示すように、第3変形例の蓄電システム1Dは、基本的な構成は第2変形例の蓄電システム1Cと同様であるが、第2変形例の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が第2変形例の蓄電システム1Cと相違している。このような第3変形例の蓄電システム1Dによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0052】
図12は、第4変形例による蓄電システム1Eの構成を示す図である。
図12に示すように、第4変形例の蓄電システム1Eは、基本的な構成は前述の実施形態の蓄電システム1と同様であるが、前述の実施形態の蓄電システム1では、分岐回路14が中性点31に接続されていたのに対し、分岐回路14がいずれか1相のコイル32U、32V、32Wに接続されている点で相違する。本変形例では、3相のコイル32U、32V、32Wのうちコイル32Uが、U相端子33Uとインバータ5との間に位置する接続端子35を介して分岐回路14に接続されている。これにより、インバータ5は、第2電圧充電(400V充電)時に、分岐回路14から接続端子35に直流電流(400V)が供給されたとき、複数のスイッチング素子の切り替えにより、他の2相のコイル(本実施形態では、コイル32V、32W)を利用して直流電流を昇圧(800V)する昇圧回路として三相モータ3を機能させることができる。
【0053】
このような第4変形例の蓄電システム1Eによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0054】
図13は、第5変形例による蓄電システム1Fの構成を示す図である。
図13に示すように、第5変形例の蓄電システム1Fは、基本的な構成は第4変形例の蓄電システム1Eと同様であるが、第4変形例の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が第4変形例の蓄電システム1Eと相違している。内部短絡等によりバッテリ2の内部で過電流が発生した場合、第4ヒューズF4が溶断することでバッテリ2の内部の電気接続が遮断され、バッテリ2が保護される。また、このような第5変形例の蓄電システム1Fによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0055】
図14は、第6変形例による蓄電システム1Gの構成を示す図である。
第4変形例の蓄電システム1Eでは、充電用のメインスイッチである第8コンタクタQC/C_Aをバッテリ2のメインスイッチである第4コンタクタM/C_Aに対して直列に接続していたが、第6変形例の蓄電システム1Gでは、図14に示すように、第8コンタクタQC/C_Aを第4コンタクタM/C_Aに対して並列に接続している。
【0056】
このような第6変形例の蓄電システム1Gであっても、第4変形例の蓄電システム1Eと同等の効果が得られる。また、第6変形例の蓄電システム1Gでは、第2電圧(400V)の充電において、第2電圧(400V)で充電されるバッテリ2と、三相モータ3及びインバータ5によって昇圧された第1電圧(800V)とを第4コンタクタM/C_Aで切り分けることができるので、前述の実施形態の第7コンタクタVS/Cに相当するスイッチ部品が不要になる。
【0057】
また、第6変形例の蓄電システム1Gでは、第8コンタクタQC/C_A、第9コンタクタQC/C_B、第2電圧センサV_BAT、及び第3電圧センサV_QCをバッテリ2内に配置し、分岐回路14をバッテリ2内から引き出すことを想定しているため、バッテリ2内であって分岐回路14の分岐近傍位置よりもインバータ5側に、異常時にバッテリ外部との接続を遮断するための第11コンタクタQC/C_Dが設けられる。
【0058】
このような第6変形例の蓄電システム1Gによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0059】
図15は、第7変形例による蓄電システム1Hの構成を示す図である。
図15に示すように、第7変形例の蓄電システム1Hは、基本的な構成は第6変形例の蓄電システム1Gと同様であるが、第6変形例の第1ヒューズF1及び第2ヒューズF2の代わりに、連結回路25に設けられた第4ヒューズF4を備える点が第6変形例の蓄電システム1Gと相違している。このような第7変形例の蓄電システム1Hによっても、制御部10は、車両の衝突に伴う衝撃、バッテリ2内の短絡などの異常が発生した場合、第3ヒューズF3を遮断動作させるとともに、第1コンタクタM/C_AをOFF(オープン)にすることで、異常時における感電の発生を抑制できる。また、バッテリ2の各経路には、それぞれコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが配置されているので、異常発生時にこれらのコンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_CもOFFにすれば、第1電圧状態、第2電圧状態のいずれであっても、確実な回路遮断が可能になる。
【0060】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0061】
例えば、上記実施形態では、制御部10は、充電設備との間でCAN通信することを例示したが、通信方式はCAN通信に限らず、任意の通信方式を採用することができる。
【0062】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0063】
(1) 第1蓄電部(第1蓄電部21)と、
第2蓄電部(第2蓄電部22)と、
前記第1蓄電部の正極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを並列に接続する正極側ノード(正極側ノード23)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の負極側端子とを並列に接続する負極側ノード(負極側ノード24)と、
前記正極側ノードに対し前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部と反対側に設けられる、メインコンタクタ(第1コンタクタM/C_A)及び制御信号により遮断可能な制御遮断ヒューズ(第3ヒューズF3)のいずれか一方と、
前記負極側ノードに対し前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部と反対側に設けられる、前記メインコンタクタ及び前記制御遮断ヒューズの他方と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記第2蓄電部の正極側端子とを接続する連結回路(連結回路25)と、
前記連結回路に設けられる第1切替コンタクタ(第2コンタクタS/C_A)と、
前記第2蓄電部の正極側端子と前記連結回路との第1接続部(第1接続部26)と前記正極側ノードとの間に設けられる第2切替コンタクタ(第3コンタクタS/C_B)と、
前記第1蓄電部の負極側端子と前記連結回路との第2接続部(第2接続部27)と前記負極側ノードとの間に設けられる第3切替コンタクタ(第3コンタクタS/C_C)と、
前記メインコンタクタ及び前記第1~第3切替コンタクタのオンとオフを制御する制御部(制御部10)と、を備え、
前記制御部は、
前記第1切替コンタクタをオン状態、前記第2切替コンタクタ及び前記第3切替コンタクタをオフ状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と、
前記第1切替コンタクタをオフ状態、前記第2切替コンタクタ及び前記第3切替コンタクタをオン状態として前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態と、を切り替え可能である、バッテリ。
【0064】
(1)によれば、第1蓄電部及び第2蓄電部に対して正極側端部と負極側端部にメインコンタクタと制御遮断ヒューズが設けられ、各経路に1個ずつ切替コンタクタが配置されているので、第1電圧状態であっても第2電圧状態であってもバッテリを他の電気機器から切り離すことができ、感電の発生を抑制できる。
【0065】
(2) (1)に記載のバッテリであって、
前記制御部は、補助コンタクタ信号がONの場合に、前記バッテリを前記第1電圧状態と前記第2電圧状態とのいずれか一方に制御する、バッテリ。
【0066】
(2)によれば、切替スイッチを補助コンタクトとして扱うことができる。
【0067】
(3) (1)に記載のバッテリであって、
前記制御部は、衝撃の発生に基づいて、
前記メインコンタクタをオフにし、且つ、前記制御遮断ヒューズを遮断する、バッテリ。
【0068】
(3)によれば、バッテリが車両に搭載された場合において、衝突時にメインコンタクタをオフにし、且つ、制御遮断ヒューズを遮断することで、バッテリを他の電気機器から切り離すことができ、感電の発生を抑制できる。
【0069】
(4) (1)に記載のバッテリであって、
前記制御部は、短絡の発生に基づいて、
前記メインコンタクタをオフにし、且つ、前記制御遮断ヒューズを遮断する、バッテリ。
【0070】
(4)によれば、短絡発生時にメインコンタクタをオフにし、且つ、制御遮断ヒューズを遮断することで、バッテリを他の電気機器から切り離すことができ、感電の発生を抑制できる。
【0071】
(5) (1)に記載のバッテリであって、
前記第1接続部と前記正極側ノードとの間には、前記第2切替コンタクタと第1ヒューズ(第1ヒューズF1)が直列に接続され、
前記第2接続部と前記負極側ノードとの間には、前記第3切替コンタクタと第2ヒューズ(第2ヒューズF2)が直列に接続される、バッテリ。
【0072】
(5)によれば、内部短絡時における過電流からバッテリを保護することができる。
【0073】
(6) (1)に記載のバッテリと、
前記連結回路には、前記第1切替コンタクタとヒューズ(第4ヒューズ)が直列に接続される、バッテリ。
【0074】
(6)によれば、内部短絡時における過電流からバッテリを保護することができる。
【0075】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のバッテリと、
3相のコイル(コイル32U、32V、32W)が中性点(中性点31)で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータ(三相モータ3)と、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータ(インバータ5)と、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部(接続部111P、111N)に接続される直流給電回路(直流給電回路13P、13N)と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記中性点に接続される分岐回路(分岐回路14)を有する、蓄電システム。
【0076】
(7)によれば、インバータとバッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される正極側の直流給電回路が、三相モータの中性点に接続される分岐回路を有するので、三相モータとインバータを使って電圧変換できる。これにより、充電設備の電圧状態と補機等の動作電圧が異なる場合であっても、専用の電圧変換器を不要にでき、製造コストを抑制できる。
【0077】
(8) (7)に記載の蓄電システムであって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機(補機4)と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路(補機駆動回路12P、12N)と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、蓄電システム。
【0078】
(8)によれば、走行時及び第1電圧での充電時に電圧変換が不要になる。
【0079】
(9) (8)に記載の蓄電システムであって、
前記制御部は、
前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、蓄電システム。
【0080】
(9)によれば、三相モータとインバータを使って電圧変換できるので、補機用の電圧変換器を不要にできる。
【0081】
(10) (1)から(6)のいずれかに記載のバッテリと、
3相のコイル(コイル32U、32V、32W)が中性点(中性点31)で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータ(三相モータ3)と、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路(電力供給回路11P、11N)上に接続されるインバータ(インバータ5)と、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部(接続部111P、111N)に接続される直流給電回路(直流給電回路13P、13N)と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイル(コイル32U)に接続される分岐回路(分岐回路14)を有する、蓄電システム。
【0082】
(10)によれば、インバータとバッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される正極側の直流給電回路が、いずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有するので、三相モータとインバータを使って電圧変換できる。これにより、充電設備の電圧状態と補機等の動作電圧が異なる場合であっても、専用の電圧変換器を不要にでき、製造コストを抑制できる。
【0083】
(11) (10)に記載の蓄電システムであって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機(補機4)と、
前記インバータと前記接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路(補機駆動回路12P、12N)と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、蓄電システム。
【0084】
(11)によれば、走行時及び第1電圧での充電時に電圧変換が不要になる。
【0085】
(12) (11)に記載の蓄電システムであって、
前記制御部は、
前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、蓄電システム。
【0086】
(12)によれば、三相モータとインバータを使って電圧変換できるので、補機用の電圧変換器を不要にできる。
【符号の説明】
【0087】
1 蓄電システム
2 バッテリ
21 第1蓄電部
22 第2蓄電部
23 正極側ノード
24 負極側ノード
25 連結回路
26 第1接続部
27 第2接続部
3 三相モータ
31 中性点
32U、32V、32W コイル
4 補機
5 インバータ
10 制御部
111P、111N 接続部
12P、12N 補機駆動回路
13P、13N 直流給電回路
14 分岐回路
M/C_A 第1コンタクタ(メインコンタクタ)
S/C_A 第2コンタクタ(第1切替コンタクタ)
S/C_B 第3コンタクタ(第2切替コンタクタ)
S/C_C 第4コンタクタ(第3切替コンタクタ)
F1 第1ヒューズ
F2 第2ヒューズ
F3 第3ヒューズ(制御遮断ヒューズ)
F4 第4ヒューズ(ヒューズ)
図1
図2
図3
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図5
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図10
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