(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079279
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240604BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D47/20 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192134
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉野 慶
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 和樹
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC04
3E014PD30
3E014PE05
3E014PE12
3E014PE14
3E014PE16
3E014PF09
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA26
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HD04
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD07
(57)【要約】
【課題】胴部を手で握った状態でも内容物を吐出させ易い吐出容器を提供することである。
【解決手段】口部11と胴部12とを備えた合成樹脂製の容器本体10と、口部11に装着された吐出キャップ20と、を有し、胴部12が、一対の正面壁部12aと、正面壁部12aよりも幅の狭い一対の側面壁部12bとを有する扁平形状である吐出容器1であって、一方の側面壁部12bに、楕円形状の凹リブ30により区画されるとともに一方の側面壁部12bから外方に突出する膨出部31が一体に設けられていることを特徴とする吐出容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と胴部とを備えた合成樹脂製の容器本体と、
前記口部に装着された吐出キャップと、を有し、
前記胴部が、一対の正面壁部と、前記正面壁部よりも幅の狭い一対の側面壁部とを有する扁平形状である吐出容器であって、
一方の前記側面壁部に、楕円形状の凹リブにより区画されるとともに一方の前記側面壁部から外方に突出する膨出部が一体に設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記膨出部が、正面視において、上端側部分、前記上端側部分に連なる中央側部分及び前記中央側部分に連なる下端側部分を有する湾曲形状であり、
正面視における前記中央側部分の半径が150~250mmであり、正面視における前記上端側部分及び前記下端側部分の半径がそれぞれ15~25mmである、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
他方の前記側面壁部の上下方向中央部よりも上方側に、容器内方に向けて凹む凹部が設けられている、請求項1または2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記容器本体がブロー成形品である、請求項1に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液体洗剤、整髪料などの液体を内容液として収納する容器として、口部と胴部とを備えた合成樹脂製の容器本体と、口部に装着された吐出キャップとを有し、胴部が、一対の正面壁部と、正面壁部よりも幅の狭い一対の側面壁部とを有する扁平形状である吐出容器が知られている(例えば特許文献1、2参照)。このような吐出容器は、比較的幅の広い正面壁部を互いに接近させるように胴部を短手方向にスクイズ(押圧)することで、容器本体に収納されている内容液を吐出キャップの吐出口から外部に吐出させることができるように構成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-123354号公報
【特許文献2】特開2021-133983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の吐出容器は、胴部を手で握って使用する際には胴部を短手方向にスクイズし難く、この点で改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、胴部を手で握った状態でも内容物を吐出させ易い吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出容器は、口部と胴部とを備えた合成樹脂製の容器本体と、前記口部に装着された吐出キャップと、を有し、前記胴部が、一対の正面壁部と、前記正面壁部よりも幅の狭い一対の側面壁部とを有する扁平形状である吐出容器であって、一方の前記側面壁部に、楕円形状の凹リブにより区画されるとともに一方の前記側面壁部から外方に突出する膨出部が一体に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の吐出容器は、上記構成において、前記膨出部が、正面視において、上端側部分、前記上端側部分に連なる中央側部分及び前記中央側部分に連なる下端側部分を有する湾曲形状であり、正面視における前記中央側部分の半径が150~250mmであり、正面視における前記上端側部分及び前記下端側部分の半径がそれぞれ15~25mmであるのが好ましい。
【0008】
本発明の吐出容器は、上記構成において、他方の前記側面壁部の上下方向中央部よりも上方側に、容器内方に向けて凹む凹部が設けられているのが好ましい。
【0009】
本発明の吐出容器は、上記構成において、前記容器本体がブロー成形品であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、胴部を手で握った状態でも内容物を吐出させ易い吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の正面視での一部切欠き断面図である。
【
図2】
図1に示す吐出容器の、吐出キャップの部分の断面図である。
【
図4】
図1に示す容器本体の胴部の部分の斜視図である。
【
図5】
図1に示す容器本体の胴部の部分の正面図である。
【
図6】
図1に示す容器本体の胴部の部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出容器について、図面を参照しつつ詳細に例示説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る吐出容器1は、容器本体10と吐出キャップ20とを備えている。
【0014】
容器本体10は、例えば合成樹脂製のブロー成形品であり、口部11と胴部12とを備えた略ボトル形状となっている。本実施形態では、容器本体10は、ポリプロピレン製となっている。
【0015】
口部11は軸線Oを中心とした円筒状となっており、その外周面には雄ねじ11aが一体に設けられている。胴部12は、口部11の下端に一体に連なっている。胴部12は、その内部に、例えば液体洗剤、整髪料などの液体を内容液として収納することができる。
【0016】
なお、特許請求の範囲及び本実施形態においては、上下方向は、
図1に示すように吐出容器1を正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとする。
【0017】
吐出キャップ20は、容器本体10の胴部12がスクイズ(押圧)されたときに胴部12に収納されている内容液を外部に吐出するものである。
【0018】
図2に示すように、吐出キャップ20は、装着筒部21を備えており、装着筒部21の内周面に設けられた雌ねじ21aが口部11の雄ねじ11aにねじ結合することで、口部11に着脱可能に装着されている。吐出キャップ20の天壁部22には、軸線Oに対して側方に向けて延びるノズル23が設けられており、ノズル23の先端は内容液の吐出口23aとなっている。本実施形態では、吐出口23aは開閉可能な蓋24で閉塞されており、内容液を吐出させる際には蓋24を開いて使用される。
【0019】
なお、蓋24は、内容液が吐出される際に当該内容液の吐出圧で自動的に開く構成であってもよい。また、蓋24は設けられなくてもよい。
【0020】
天壁部22の内側には円板状の隔壁部25が嵌合固定されており、隔壁部25の軸心には隔壁部25を上下に貫通する筒状部26が一体に設けられている。筒状部26の上端はノズル23に設けられた導入口23bに連通しており、筒状部26の下端には、容器本体10に収納されている内容液を筒状部26の内部に導入するパイプ27が接続されている。また、筒状部26の内部には、ボール式の逆止弁28が設けられている。逆止弁28は、筒状部26の内周面に設けられた円環状の弁座29に上側から全周に亘って当接することで筒状部26の内部からパイプ27の側への内容液の流れを阻止するとともに、弁座29から上方に離れてパイプ27の側から筒状部26の内部への内容液の流れを許容するように作動する。
【0021】
ノズル23には、導入口23bに対して吐出口23aとは反対側において下方に向けて開口する戻し口23cが設けられている。また、隔壁部25の戻し口23cの下方側部分には、隔壁部25を上下方向に貫通して戻し口23cを容器本体10の内部空間に連通させる貫通孔25aが設けられている。
【0022】
図2、
図3に示すように、筒状部26には、軸線Oを挟んで一対の脚部26aと、一対の脚部26aに一体に連なるドーム状の開閉体26bとが一体に設けられている。開閉体26bは戻し口23cを下方側から閉塞するとともに一対の脚部26aが弾性変形することで下方に向けて移動して戻し口23cを開くことができる。
【0023】
胴部12がスクイズされて胴部12の内部空間が加圧されると、戻し口23cが開閉体26bにより閉じられた状態で逆止弁28が開き、胴部12の内部に収納されている内容液がパイプ27及び筒状部26を通ってノズル23に送られて吐出口23aから外部に吐出される。胴部12のスクイズが解除されると、胴部12の内部空間が減圧されることで開閉体26bが開かれるとともに逆止弁28が閉じられ、外部の空気がノズル23の内部に残った内容液とともに戻し口23cと貫通孔25aとを通って容器本体10の内部に戻される。
【0024】
図4、
図5及び
図6に示すように、本実施形態の吐出容器1では、容器本体10の胴部12は、一対の正面壁部12aと、正面壁部12aよりも幅の狭い一対の側面壁部12bとを有する扁平形状となっている。すなわち、胴部12は、一対の正面壁部12aの間隔(短手方向の間隔)が一対の側面壁部12bの間隔(長手方向の間隔)よりも狭い扁平形状となっている。
【0025】
なお、正面壁部12aの幅は、
図5に示す容器本体10の正面壁部12aの側から見た正面視において、正面壁部12aの左右方向の幅が最も広い部分における幅を意味するものとし、側面壁部12bの幅は、
図6に示す容器本体10の側面壁部12bの側から見た側面視において、側面壁部12bの左右方向の幅が最も広い部分における幅を意味するものとする。
【0026】
図1、
図4、
図5及び
図6に示すように、吐出容器1は、扁平形状である胴部12の一方の側面壁部12bに、楕円形状の凹リブ30により区画されるとともに一方の側面壁部12bから外方に突出する膨出部31を一体に備えている。
【0027】
本実施形態では、凹リブ30及び膨出部31が設けられる一方の側面壁部12bは、上方から下方に向けて徐々に軸線Oから離れるように傾斜した上側傾斜部12cと、上側傾斜部12cの下方に連なるとともに上方から下方に向けて徐々に軸線Oに接近するように傾斜した下側傾斜部12dとを有する形状とされており、凹リブ30及び膨出部31は上側傾斜部12cに一体に設けられている。
【0028】
凹リブ30は、上下方向が長軸となり水平方向(
図6における左右方向)が短軸となる楕円形状となっており、側面壁部12bの上側傾斜部12cに対して容器内方に向けて凹んでいる。
【0029】
膨出部31は、凹リブ30に沿った外形を有する上下方向寸法が左右方向寸法よりも大きい楕円形のドーム状となっており、凹リブ30の内側において側面壁部12bの上側傾斜部12cに対して容器外方に向けて膨出(突出)している。膨出部31は、スクイズ(押圧)されることで、容器内方すなわち扁平形状の胴部12の長手方向(他方の側面壁部12bに接近する方向)に向けて弾性変形することができる。また、膨出部31は、スクイズにより容器内方に弾性変形した状態から、当該弾性力によって元の形状にまで自動的に復元することができる。
【0030】
上記構成を有する吐出容器1では、容器本体10の胴部12を手で握った状態で、手の指(特に、人差し指及び中指)により膨出部31を容易にスクイズすることができる。すなわち、膨出部31は、扁平形状の胴部12を手で握ったときに、指を配置し易い側面壁部12bに設けられているので、容器本体10の胴部12を手で握った状態で手の指により膨出部31を容易にスクイズすることができる。
【0031】
また、上記構成を有する吐出容器1では、膨出部31は、楕円形状の凹リブ30により側面壁部12bに対して区画されているので、膨出部31がスクイズされたときに側面壁部12bが膨出部31とともに弾性変形することを凹リブ30により抑制して、膨出部31のみを効果的且つ容易に弾性変形ないし元の形状に復元させることができる。
【0032】
そして、胴部12を手で握った状態で膨出部31が指でスクイズされ、当該スクイズにより膨出部31が容器内方に向けて弾性変形すると、容器本体10の内部空間の容積が減少し、これにより容器本体10の内部空間が加圧されて、容器本体10の胴部12の内部に収納されている内容液が吐出キャップ20のノズル23の吐出口23aから外部に吐出される。
【0033】
内容液が吐出された後、膨出部31のスクイズが解除されると、膨出部31が元の形状に復元する。このとき、容器本体10の内部に負圧が生じるが、上記の通り、当該負圧により開閉体26bが開かれて外部の空気がノズル23の内部に残った内容液とともに戻し口23cと貫通孔25aとを通って容器本体10の内部に導入されることで当該負圧は解消される。
【0034】
このように、本実施形態の吐出容器1では、扁平形状の胴部12の一方の側面壁部12bに、楕円形状の凹リブ30により区画されるとともに一方の側面壁部12bから外方に突出する膨出部31を一体に設けるようにしたので、胴部12を手で握った状態で膨出部31をスクイズして内容物をノズル23の吐出口23aから外部に向けて容易に吐出させることができる。
【0035】
また、本実施形態の吐出容器1では、膨出部31は、楕円形状の凹リブ30により側面壁部12bに対して区画され、スクイズが解除されたときに迅速に元の形状に復元することができるので、膨出部31のスクイズと復元とを迅速に繰り返すことで、内容液を連続して吐出させることができる。
【0036】
また、側面壁部12bに凹リブ30及び膨出部31を設けることなく側面壁部12b自体をスクイズして内容液を吐出させる構成とした場合には、一対の正面壁部12aの間隔が広がって容器本体10の内部の容積が拡大し、容器本体10の内部が負圧となって内容液の吸い込み現象が生じる虞があるが、本実施形態の吐出容器1では、膨出部31を楕円形状の凹リブ30により側面壁部12bに対して区画して膨出部31のみがスクイズされて側面壁部12bが変形し難い構成としたので、上記した吸い込み現象を抑制することができる。
【0037】
膨出部31は、正面視において、上端側部分31a、上端側部分31aの下端に一体に連なる中央側部分31b及び中央側部分31bの下端に一体に連なる下端側部分31cを有する外形が湾曲形状であるとともに、正面視における中央側部分31bの外形における半径が150~250mmであり、正面視における上端側部分31a及び下端側部分31cの外形における半径がそれぞれ15~25mmであるのが好ましい。
【0038】
このような構成により、膨出部31を、上端側部分31a及び下端側部分31cの剛性が高く、中央側部分31bが弾性変形し構成として、膨出部31のスクイズ解除時の復元性をより高めることができる。
【0039】
吐出容器1は、凹リブ30及び膨出部31が設けられるのとは反対側の他方の側面壁部12bの上下方向中央部よりも上方側に、容器内方に向けて凹む凹部40が設けられた構成とするのが好ましい。この構成により、胴部12を手で握ったときに自然に指が膨出部31に配置されるようにして吐出容器1をより内容液を吐出し易いものとすることができる。
【0040】
膨出部31は、側面壁部12bの面積の50%以上の範囲を占める大きさであるのが好ましい。これにより、スクイズの際に膨出部31に加えられた押圧力が側面壁部12bないし胴部12の基本形状部分に伝達し難くして、吐出性能の低下ないし上記した吸い込み現象を抑制することができる。
【0041】
さらに、本実施形態の吐出容器1では、機械的なトリガー式の吐出具を容器本体10の口部11に装着する構成に比べて、その構成を簡素化して小型、軽量化することができるとともにその製造コストを低減することができる。
【0042】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、本実施形態の吐出容器1では、容器本体10はブロー成型品とされているが、例えば射出成型品など、他の製法で形成されたものであってもよい。
【0044】
また、本実施形態の吐出容器1では、容器本体10をポリプロピレンで形成されたものとしたが、これに限らず、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどの他の合成樹脂材料により形成されたものとすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 吐出容器
10 容器本体
11 口部
11a 雄ねじ
12 胴部
12a 正面壁部
12b 側面壁部
12c 上側傾斜部
12d 下側傾斜部
20 吐出キャップ
21 装着筒部
21a 雌ねじ
22 天壁部
23 ノズル
23a 吐出口
23b 導入口
23c 戻し口
24 蓋
25 隔壁部
25a 貫通孔
26 筒状部
26a 脚部
26b 開閉体
27 パイプ
28 逆止弁
29 弁座
30 凹リブ
31 膨出部
31a 上端側部分
31b 中央側部分
31c 下端側部分
40 凹部
O 軸線