(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079292
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】光検出回路および光検出装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/44 20060101AFI20240604BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20240604BHJP
G01J 1/42 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01J1/44 A
H01L31/10 A
H01L31/10 G
G01J1/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192150
(22)【出願日】2022-11-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム、「海洋マイクロプラスチックの迅速分析を可能にする中赤外レーザー分光顕微鏡装置の開発」、委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智大
(72)【発明者】
【氏名】藁科 禎久
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋夫
【テーマコード(参考)】
2G065
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2G065AB02
2G065AB16
2G065BA09
2G065BA14
2G065BC02
2G065BC03
2G065BC05
2G065BC12
2G065CA12
5F149AA04
5F149AB07
5F149BA30
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5F849LA01
5F849XB01
5F849XB18
5F849XB37
(57)【要約】
【課題】フォトダイオードにおいて生じる暗電流が増大しても、フォトダイオードへの入力光に起因する信号成分を精度良く検出する。
【解決手段】光検出回路3は、InAsSbからなる光吸収層を有するフォトダイオード4と、フォトダイオード4に逆バイアス電圧Vbを印加する第1配線91と、基準電圧Vaが入力される第1入力端子51a、およびフォトダイオード4に接続された第2入力端子51bを有するTIA5と、TIA5の第1入力端子51aまたは第2入力端子51bに接続された第1入力端子6a、およびTIA5の出力端子51cに接続された第2入力端子6bを有し、周波数帯域における最大周波数に相当する周期が、フォトダイオード4に入力される周期的なパルス光のパルス幅よりも大きい誤差増幅器6と、誤差増幅器6からの出力電圧に応じてフォトダイオード4から電流を引き抜く電流引き抜き回路7と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
InAsSbからなる光吸収層を有するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードのカソードに接続され、前記フォトダイオードに逆バイアス電圧を印加する第1配線と、
基準電圧が入力される第1入力端子、および前記フォトダイオードのアノードに接続された第2入力端子を有するトランスインピーダンスアンプと、
前記トランスインピーダンスアンプの前記第1入力端子または前記第2入力端子に接続された第1入力端子、および前記トランスインピーダンスアンプの出力端子に接続された第2入力端子を有し、周波数帯域における最大周波数に相当する周期が、前記フォトダイオードに入力される周期的なパルス光のパルス幅よりも大きい誤差増幅器と、
前記フォトダイオードの前記アノードと前記第1配線よりも低電位の第2配線との間に接続され、前記誤差増幅器からの出力電圧に応じて前記フォトダイオードから電流を引き抜く電流引き抜き回路と、
を備える、光検出回路。
【請求項2】
3.0μm以上の波長に受光感度を有するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードのカソードに接続され、前記フォトダイオードに逆バイアス電圧を印加する第1配線と、
基準電圧が入力される第1入力端子、および前記フォトダイオードのアノードに接続された第2入力端子を有するトランスインピーダンスアンプと、
前記トランスインピーダンスアンプの前記第1入力端子または前記第2入力端子に接続された第1入力端子、および前記トランスインピーダンスアンプの出力端子に接続された第2入力端子を有し、周波数帯域における最大周波数に相当する周期が、前記フォトダイオードに入力される周期的なパルス光のパルス幅よりも大きい誤差増幅器と、
前記フォトダイオードの前記アノードと前記第1配線よりも低電位の第2配線との間に接続され、前記誤差増幅器からの出力電圧に応じて前記フォトダイオードから電流を引き抜く電流引き抜き回路と、
を備える、光検出回路。
【請求項3】
前記フォトダイオードは5.0μm以上の波長に受光感度を有する、請求項2に記載の光検出回路。
【請求項4】
前記電流引き抜き回路は、前記誤差増幅器の出力端子に接続された制御端子、前記フォトダイオードの前記アノードに接続された第1電流端子、および前記第2配線に接続された第2電流端子を含む第1トランジスタを有する、請求項1または2に記載の光検出回路。
【請求項5】
前記電流引き抜き回路は、前記第1トランジスタと直列に接続され、電流端子と制御端子とがダイオード接続された第2トランジスタを更に有する、請求項4に記載の光検出回路。
【請求項6】
前記誤差増幅器の出力端子と前記電流引き抜き回路との間のノードに接続された平滑化コンデンサを更に備える、請求項1または2に記載の光検出回路。
【請求項7】
一端が前記ノードに接続され、他端が前記誤差増幅器の出力端子に接続され、前記ノードと前記誤差増幅器の出力端子との接続状態を切り替えるスイッチを更に備える、請求項1または2に記載の光検出回路。
【請求項8】
周期的なパルス光を出力する光源と、
請求項1または2に記載の光検出回路と、
を備え、
前記フォトダイオードには前記光源からの前記パルス光が入力され、
前記誤差増幅器の周波数帯域における最大周波数に相当する周期は、前記パルス光のパルス幅よりも大きい、光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出回路および光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、In及びSbを含むフォトダイオードの電極間をゼロバイアスとすることにより、フォトダイオードにおいて生じる暗電流を抑制する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、フォトダイオードから出力される電流を電圧信号に変換する読出回路として、チャージアンプ方式およびトランスインピーダンスアンプ方式の読出回路が知られている。これらの方式は、主に3.0μm未満の波長に感度を有するフォトダイオード(例えばInGaAs光吸収層を有するもの)に用いられる。3.0μm未満の波長に感度を有するフォトダイオードは、数MΩ以上の並列抵抗を有しており、アンプのゲインを大きくできる。また、数MΩ以上の並列抵抗を有していても、逆バイアスを印加すると暗電流の影響が無視できなくなるので、ゼロバイアスで動作するような回路構成が望ましい。
【0005】
一方、3.0μm以上の波長に感度を有するフォトダイオードとして、例えばInAsSb光吸収層を有するものがある。このような比較的長波長に感度を有するフォトダイオードの並列抵抗は数十Ω~数kΩ程度であり、アンプのゲインを大きくすることが難しい。故に、フォトダイオードの感度自体を高めることが望まれる。例えば、InAsSb光吸収層を有するフォトダイオードに逆バイアスを印加することによって、感度を高めることができる。しかしながら、フォトダイオードに逆バイアスを印加すると、フォトダイオードにおいて生じる暗電流が増大する。暗電流が増大すると、読出回路からの出力電圧に占める、暗電流に起因する定常成分の割合が高くなり、フォトダイオードへの入力光に起因する信号成分を精度良く検出することが難しくなる。
【0006】
本開示は、フォトダイオードにおいて生じる暗電流が増大しても、フォトダイオードへの入力光に起因する信号成分を精度良く検出することができる光検出回路および光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本開示による光検出回路は、InAsSbからなる光吸収層を有するフォトダイオードと、フォトダイオードのカソードに接続され、フォトダイオードに逆バイアス電圧を印加する第1配線と、基準電圧が入力される第1入力端子、およびフォトダイオードのアノードに接続された第2入力端子を有するトランスインピーダンスアンプと、トランスインピーダンスアンプの第1入力端子または第2入力端子に接続された第1入力端子、およびトランスインピーダンスアンプの出力端子に接続された第2入力端子を有し、周波数帯域における最大周波数に相当する周期が、フォトダイオードに入力される周期的なパルス光のパルス幅よりも大きい誤差増幅器と、フォトダイオードのアノードと第1配線よりも低電位の第2配線との間に接続され、誤差増幅器からの出力電圧に応じてフォトダイオードから電流を引き抜く電流引き抜き回路と、を備える。
【0008】
[2]本開示による別の光検出回路は、3.0μm以上の波長に受光感度を有するフォトダイオードと、フォトダイオードのカソードに接続され、フォトダイオードに逆バイアス電圧を印加する第1配線と、基準電圧が入力される第1入力端子、およびフォトダイオードのアノードに接続された第2入力端子を有するトランスインピーダンスアンプと、トランスインピーダンスアンプの第1入力端子または第2入力端子に接続された第1入力端子、およびトランスインピーダンスアンプの出力端子に接続された第2入力端子を有し、周波数帯域における最大周波数に相当する周期が、フォトダイオードに入力される周期的なパルス光のパルス幅よりも大きい誤差増幅器と、フォトダイオードのアノードと第1配線よりも低電位の第2配線との間に接続され、誤差増幅器からの出力電圧に応じてフォトダイオードから電流を引き抜く電流引き抜き回路と、を備える。
【0009】
上記[1]および[2]の光検出回路のフォトダイオードに周期的なパルス光が入射すると、フォトダイオードにおいて生じた周期的なパルス信号は、トランスインピーダンスアンプに入力され、トランスインピーダンスアンプからの出力電圧のうちの周期的なパルス信号成分に変換される。このパルス信号成分のパルス幅(すなわちフォトダイオードに入力されるパルス光のパルス幅)は、誤差増幅器の周波数帯域における最大周波数に相当する周期よりも小さいので、このパルス信号成分が誤差増幅器によって増幅されることが抑制される。一方、フォトダイオードはInAsSbからなる光吸収層を有するか、または3.0μm以上の波長に受光感度を有するので、第1配線から印加された逆バイアス電圧によってフォトダイオードに大きな暗電流が生じる。その暗電流もまたトランスインピーダンスアンプに入力され、トランスインピーダンスアンプからの出力電圧のうちの定常成分に変換される。この定常成分は、誤差増幅器によって増幅されて電流引き抜き回路に入力される。電流引き抜き回路は、定常成分の大きさに応じた電流、すなわち暗電流をフォトダイオードのアノードから引き抜く。そのような帰還動作の結果、フォトダイオードからトランスインピーダンスアンプへ流れる暗電流は低減される。よって、上記[1]および[2]の光検出回路によれば、フォトダイオードにおいて生じる暗電流が増大しても、フォトダイオードへの入力光に起因するパルス信号成分を精度良く検出することができる。
【0010】
[3]上記[2]の光検出回路において、フォトダイオードは5.0μm以上の波長に受光感度を有してもよい。この場合、逆バイアス電圧の印加による暗電流は更に増大する。よって、上記[2]の光検出回路の構成が更に有効となる。
【0011】
[4]上記[1]~[3]のうちいずれかの光検出回路において、電流引き抜き回路は、誤差増幅器の出力端子に接続された制御端子、フォトダイオードのアノードに接続された第1電流端子、および第2配線に接続された第2電流端子を含む第1トランジスタを有してもよい。その場合、電流引き抜き回路を簡易に構成することができる。
【0012】
[5]上記[4]の光検出回路において、電流引き抜き回路は、第1トランジスタと直列に接続され、電流端子と制御端子とがダイオード接続された第2トランジスタを更に有してもよい。3.0μm未満の波長に感度を有するフォトダイオード(例えばInGaAs光吸収層を有するもの)と比較して、上記[1]~[4]のうちいずれかの光検出回路では、逆バイアス電圧を印加した際のフォトダイオードの暗電流が格段に大きい。本発明者の知見では、InAsSb光吸収層を有するフォトダイオードの暗電流は、InGaAs光吸収層を有するフォトダイオードの暗電流の1000倍以上である。このような大きな電流を、単一の第1トランジスタのみによって引き抜こうとすると、第1トランジスタの寸法が大きくなってしまう。電流端子と制御端子とがダイオード接続された第2トランジスタを第1トランジスタに対して直列に接続することによって、単一の第1トランジスタのみの場合と比べ、トランジスタ回路全体の寸法を小さくすることができる。
【0013】
[6]上記[1]~[5]のうちいずれかの光検出回路は、誤差増幅器の出力端子と電流引き抜き回路との間のノードに接続された平滑化コンデンサを更に備えてもよい。この場合、誤差増幅器からの出力電圧に含まれる周期的な信号成分をより低減して、暗電流のみを精度良く引き抜くことができる。
【0014】
[7]上記[1]~[6]のうちいずれかの光検出回路は、スイッチを更に備えてもよい。スイッチの一端は上記ノードに接続され、スイッチの他端は誤差増幅器の出力端子に接続される。スイッチは、上記ノードと誤差増幅器の出力端子との接続状態を切り替える。スイッチが接続状態であるときには、光検出回路は上記の効果を奏することができる。また、スイッチが接続状態から非接続状態に切り替えられた後においても、平滑化コンデンサが電流引き抜き回路に入力される電圧を維持するか、または電流引き抜き回路を構成するトランジスタのゲート容量によってゲート電圧が維持される等により、電流引き抜き回路はフォトダイオードからの定常成分である暗電流を引き抜き続ける。また、スイッチによって誤差増幅器が電流引き抜き回路から分離されるので、誤差増幅器の周波数帯域における最大周波数に相当する周期よりも大きいパルス幅を有する信号成分がフォトダイオードから出力された場合であっても、電流引き抜き回路がその信号電流をフォトダイオードから引き抜くことなく、その信号電流はトランスインピーダンスアンプによって増幅される。このように、上記[7]の光検出回路によれば、必要に応じてスイッチを切り替えることにより、パルス幅の小さい信号成分に加えてパルス幅の大きい信号成分をも増幅することができる。
【0015】
[8]本開示による光検出装置は、周期的なパルス光を出力する光源と、上記[1]~[7]のうちいずれかの光検出回路と、を備える。フォトダイオードには光源からのパルス光が入力される。誤差増幅器の周波数帯域における最大周波数に相当する周期は、パルス光のパルス幅よりも大きい。この光検出装置によれば、上記[1]~[7]のうちいずれかの光検出回路を備えることによって、フォトダイオードにおいて生じる暗電流が増大しても、フォトダイオードへの入力光に起因する信号成分を精度良く検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、フォトダイオードにおいて生じる暗電流が増大しても、フォトダイオードへの入力光に起因する信号成分を精度良く検出することができる光検出回路および光検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る光検出装置の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図3】
図3は、フォトダイオードの積層構造の例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4の(a)は、逆バイアス電圧の大きさと、
図3に示される構造を有するフォトダイオードの並列抵抗との関係を示すグラフである。
図4の(b)は、逆バイアス電圧の大きさと、
図3に示される構造を有するフォトダイオードの受光感度との関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、電流引き抜き回路の具体的な構成例を含む光検出回路の回路図である。
【
図6】
図6は、従来のチャージアンプ方式の光検出回路を示す回路図である。
【
図7】
図7は、TIA方式の光検出回路を示す回路図である。
【
図8】
図8は、TIA方式の光検出回路においてフォトダイオードに逆バイアス電圧を印加したときの、アンプからの出力電圧波形に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本実施形態の光検出回路を設計および試作し、TIAからの出力電圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、一変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本開示による光検出回路および光検出装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態に係る光検出装置1の構成を概略的に示す図である。
図1に示されるように、本実施形態の光検出装置1は、周期的なパルス光Lを出力する光源2と、パルス光Lを検出する光検出回路3と、を備える。光源2から出力されるパルス光Lは中赤外光である。パルス光Lの波長は、例えば3.0μm以上、5.0μm以上、または7.0μm以上である。また、パルス光Lの波長は、例えば10μm以下である。パルス光Lのパルス幅(半値全幅)は例えば50ナノ秒以上1マイクロ秒以下であり、一実施例では100ナノ秒である。パルス光Lの繰り返し周波数は、例えば10kHz以上1MHz以下であり、一実施例では500kHzである。光検出装置1は、パルス光Lを出力する半導体レーザ素子を有してもよい。
【0020】
図2は、光検出回路3の構成を示す回路図である。
図2に示されるように、光検出回路3は、フォトダイオード4、トランスインピーダンスアンプ(TIA)5、誤差増幅器6、電流引き抜き回路7、平滑化コンデンサ8、第1配線91、および第2配線92を備える。
【0021】
フォトダイオード4は、光源2からのパルス光Lを入力する。フォトダイオード4は、光源2から出力される中赤外光であるパルス光Lの波長に受光感度を有する。すなわち、フォトダイオード4は、例えば3.0μm以上、5.0μm以上、または7.0μm以上の波長に受光感度を有する。また、フォトダイオード4は、例えば10μm以下の波長に受光感度を有する。そのため、フォトダイオード4は、In、AsおよびSbを光吸収層に含む。。フォトダイオード4は、5μm以上の波長に受光感度を有してもよい。フォトダイオード4は、パルス光Lを受けて、パルス光Lの光強度に応じた大きさの信号電流J1を出力する。
【0022】
図3は、フォトダイオード4の積層構造の例を模式的に示す図である。
図3に示される例では、フォトダイオード4は、半導体基板41と、バッファ層42と、n型半導体層43と、光吸収層44と、p型半導体層45と、を備える。半導体基板41は例えばGaAs基板である。バッファ層42は、半導体基板41の主面41a上に設けられる。バッファ層42は、例えばn型InSbからなる。n型半導体層43は、バッファ層42上に設けられる。n型半導体層43は、例えばn型InAsSbからなる。光吸収層44は、n型半導体層43上に設けられる。光吸収層44は、例えばアンドープInAsSbからなる。p型半導体層45は、光吸収層44上に設けられる。p型半導体層45は、例えばp型InAsSbからなる。光吸収層44のバンドギャップは、n型半導体層43またはp型半導体層45のバンドギャップよりも小さい。
【0023】
n型半導体層43、光吸収層44、およびp型半導体層45は、メサ構造体46を構成する。平面視におけるメサ構造体46の周囲には、絶縁のためのトレンチ47が形成されている。トレンチ47の深さは、n型半導体層43から半導体基板41に達している。n型半導体層43の露出表面には、カソード電極(不図示)が設けられ、カソード電極はn型半導体層43とオーミック接触する。p型半導体層45の露出表面には、アノード電極(不図示)が設けられ、アノード電極はp型半導体層45とオーミック接触する。
【0024】
再び
図2を参照する。フォトダイオード4のカソードは、第1配線91に接続されている。第1配線91は、フォトダイオード4に逆バイアス電圧Vbを印加する。フォトダイオード4は、逆バイアス電圧Vbに起因して生じる暗電流J2を更に出力する。
図4の(a)は、逆バイアス電圧Vbの大きさと、
図3に示される構造を有するフォトダイオード4の並列抵抗との関係を示すグラフである。
図4の(b)は、逆バイアス電圧Vbの大きさと、
図3に示される構造を有するフォトダイオード4の受光感度(InAsSb相対感度)との関係を示すグラフである。
図4の(a)において、プロットP1は-10℃における並列抵抗、プロットP2は0℃における並列抵抗、プロットP3は23.6℃における並列抵抗を示している。これらの図に示されるように、いずれの温度においても、逆バイアス電圧の絶対値が0Vから大きくなるにしたがって並列抵抗が大きくなり、おおよそ0.1V程度の逆バイアス電圧印加時に並列抵抗が最大となる。フォトダイオード4の温度が23.6℃のとき、逆バイアス電圧0.1Vに対する並列抵抗はほぼ150Ωである。したがって、暗電流J2はJ2=0.1V/150Ω=0.67mAとなる。
【0025】
TIA5は、フォトダイオード4のアノードに接続され、フォトダイオード4から出力された電流を電圧に変換する。TIA5は、アンプ51と、帰還抵抗52とを有する。アンプ51は、第1入力端子51a、第2入力端子51bおよび出力端子51cを有する。一例では、第1入力端子51aは非反転入力端子であり、第2入力端子51bは反転入力端子である。第1入力端子51aには、基準電圧Vaが入力される。第2入力端子51bは、フォトダイオード4のアノードに接続されている。帰還抵抗52は、第2入力端子51bと出力端子51cとの間に接続されている。TIA5は、帰還抵抗52によって定まるゲインにて、第2入力端子51bに入力された電流を電圧に変換する。
【0026】
誤差増幅器6は、非反転入力端子である第1入力端子6a、反転入力端子である第2入力端子6b、および出力端子6cを有する。誤差増幅器6は、第1入力端子6aに入力された電圧と第2入力端子6bに入力された電圧との差電圧を増幅して、増幅後の差電圧を出力端子6cから出力する。第1入力端子6aは、アンプ51の第1入力端子51aまたは第2入力端子51bに接続されている。第2入力端子6bは、アンプ51の出力端子51cに接続されている。なお、
図2には、第1入力端子6aがアンプ51の第2入力端子51bに接続されている例が示されている。誤差増幅器6の周波数帯域における最大周波数に相当する周期は、フォトダイオード4に入力されるパルス光Lのパルス幅よりも大きい。パルス光Lのパルス幅が100ナノ秒である場合、誤差増幅器6の周波数帯域は例えば17kHz以下である。
【0027】
電流引き抜き回路7は、フォトダイオード4のアノードと第2配線92との間に接続されている。第2配線92は、第1配線91よりも低電位の配線であり、例えば光検出回路3の基準電位線(GND線)である。電流引き抜き回路7は、誤差増幅器6の出力端子6cと更に接続されており、誤差増幅器6からの出力電圧に応じてフォトダイオード4から電流を引き抜き、該電流を第2配線92へ流す。電流引き抜き回路7によって引き抜かれる電流の大きさは、フォトダイオード4がInAsSb光吸収層を有し且つ逆バイアス電圧Vbが0.1Vである場合、例えば1mA程度である。
【0028】
図5は、電流引き抜き回路7の具体的な構成例を含む光検出回路3の回路図である。
図5に示される電流引き抜き回路7は、第1トランジスタ71および第2トランジスタ72を有する。第1トランジスタ71は、誤差増幅器6の出力端子6cに接続された制御端子71aと、フォトダイオード4のアノードに接続された第1電流端子71bと、第2配線92に第2トランジスタ72を介して接続された第2電流端子71cと、を含む。
【0029】
第2トランジスタ72は、第1トランジスタ71と第2配線92との間において、第1トランジスタ71と直列に接続されている。第2トランジスタ72は、制御端子72aと、第1トランジスタ71の第2電流端子71cに接続された第1電流端子72bと、第2配線92に接続された第2電流端子72cと、を含む。制御端子72aは、第1電流端子72bにダイオード接続されている。第1トランジスタ71および第2トランジスタ72は、例えばMOSFETである。
【0030】
平滑化コンデンサ8は、誤差増幅器6の出力端子6cと電流引き抜き回路7との間のノードN1と、第2配線92との間に接続されている。すなわち、平滑化コンデンサ8の一方の電極はノードN1に接続され、他方の電極は第2配線92に接続されている。平滑化コンデンサ8は、誤差増幅器6からの出力電圧の平滑化を行う。
【0031】
以上に説明した、本実施形態の光検出装置1および光検出回路3によって得られる効果について、従来の光検出回路が有する課題と共に説明する。前述したように、3.0μm以上の波長に感度を有するフォトダイオード4の並列抵抗は数十Ω~数kΩ程度であり、アンプのゲインを大きくすることが難しい。故に、フォトダイオード4の感度自体を高めることが望まれる。例えば、フォトダイオード4に逆バイアス電圧Vbを印加することによって、感度を高めることができる。
【0032】
図6は、従来のチャージアンプ方式の光検出回路100Aを示す回路図である。光検出回路100Aでは、フォトダイオード104のカソードにバイアス電圧Vb1が印加されると共に、そのバイアス電圧Vb1がアンプ105の非反転入力端子105aに入力される。そして、フォトダイオード104のアノードから出力される信号電流J3は、アンプ105の反転入力端子105bに入力される。アンプ105の反転入力端子105bと出力端子105cとの間には、コンデンサ106が接続される。更に、コンデンサ106に蓄積した電荷をリセットするためのスイッチ107がコンデンサ106と並列に接続される。
【0033】
このように、チャージアンプ方式では、フォトダイオード104に印加される逆バイアス電圧を最小限に抑えるための回路構成(オートゼロ方式)が採用される。よって、フォトダイオード104に逆バイアス電圧を印加することは、チャージアンプ方式の目的から逸脱しているといえる。また、チャージアンプ方式ではアンプ105のゲインが大きいので、小さい並列抵抗を有するフォトダイオード、例えば近赤外域よりも長い波長に感度を有するフォトダイオードからの信号電流はアンプ105へ流れにくい。従って、小さい並列抵抗を有するフォトダイオードにチャージアンプ方式の光検出回路100Aを用いると、光検出回路100A全体での感度が低下してしまう。
【0034】
図7は、TIA方式の光検出回路100Bを示す回路図である。光検出回路100Bでは、チャージアンプ方式の光検出回路100Aのコンデンサ106およびスイッチ107に代えて、帰還抵抗108が設けられる。TIA方式によれば、チャージアンプ方式と比べてアンプ105のゲインが小さくなる。また、アンプ105のゲインの大きさを、フォトダイオード104の並列抵抗の大きさに応じて設定することができる。これらにより、フォトダイオードからの信号電流を感度良く読み出すことが可能である。しかし、フォトダイオード104の並列抵抗が小さい場合に、光検出回路100Bにおいてフォトダイオード104に逆バイアス電圧を印加すると、フォトダイオード104において生じる暗電流によって、アンプ105からの出力電圧に大きな定常成分(オフセット成分)が含まれてしまう。よって、フォトダイオード104に逆バイアス電圧を印加する場合、従来のTIA方式では信号電流のみを検出することが難しい。
【0035】
図8は、TIA方式の光検出回路100Bにおいてフォトダイオード104に逆バイアス電圧を印加したときの、アンプ105からの出力電圧波形に関するシミュレーション結果を示すグラフである。ここでは、フォトダイオード104の光吸収層としてInAsSbを想定し、フォトダイオード104の並列抵抗を100Ωとし、帰還抵抗108の抵抗値を1kΩとした。
図8には、逆バイアス電圧を0.00VとしたときのグラフG11、逆バイアス電圧を0.01VとしたときのグラフG12、逆バイアス電圧を0.05VとしたときのグラフG13、および逆バイアス電圧を0.1VとしたときのグラフG14が示されている。なお、これらのグラフG11~G14において、パルス波形PLはパルス光Lの入射を想定したパルス波形である。
図8を参照すると、逆バイアス電圧の絶対値が大きくなるほどフォトダイオード104の暗電流が増大し、アンプ105からの出力電圧の定常成分が基準電圧(2.5V)から離れていくことがわかる。逆バイアス0.1V(グラフG14)では、出力電圧の定常成分のみで1.0Vとなり、TIAの飽和電圧VTに近づいている。このような状態だと、パルス波形PLの頂部がTIAの飽和電圧VTを超えてしまい、適切なパルス波形PLが得られない。
【0036】
上記の問題点に対し、本実施形態の光検出回路3では、フォトダイオード4に周期的なパルス光Lが入射すると、フォトダイオード4において生じた周期的な信号電流J1は、TIA5に入力され、TIA5からの出力電圧のうちの周期的な信号成分に変換される。この信号成分の周波数、すなわちフォトダイオード4に入力されるパルス光Lの繰り返し周波数は誤差増幅器6の周波数帯域よりも大きいので、この信号成分が誤差増幅器6によって増幅されることが抑制される。一方、フォトダイオード4はInAsSbからなる光吸収層44を有するか、または3μm以上の波長に受光感度を有するので、第1配線91から印加された逆バイアス電圧Vbによってフォトダイオード4に大きな暗電流J2が生じる。その暗電流J2もまたTIA5に入力され、TIA5からの出力電圧のうちの定常成分に変換される。この定常成分の周波数は誤差増幅器6の周波数帯域に含まれるので、定常成分は、誤差増幅器6によって増幅されて電流引き抜き回路7に入力される。電流引き抜き回路7は、定常成分の大きさに応じた電流、すなわち暗電流J2をフォトダイオード4のアノードから引き抜く。そのような帰還動作の結果、フォトダイオード4からTIA5へ流れる暗電流J2は低減される。よって、本実施形態の光検出回路3によれば、フォトダイオード4において生じる暗電流J2が増大しても、フォトダイオード4へ入力されるパルス光Lに起因する信号成分を精度良く検出することができる。
【0037】
図9は、本実施形態の光検出回路3を設計および試作し、TIA5からの出力電圧を測定した結果を示すグラフである。この試作では、フォトダイオード4としてInAsSb光吸収層を有するものを用い、帰還抵抗52の抵抗値を1kΩとした。
図9には、逆バイアス電圧Vbを0.01VとしたときのグラフG21、逆バイアス電圧Vbを0.10VとしたときのグラフG22、逆バイアス電圧Vbを0.15VとしたときのグラフG23、逆バイアス電圧Vbを0.20VとしたときのグラフG24、および逆バイアス電圧Vbを0.25VとしたときのグラフG25が示されている。図中において、グラフG26はトリガ信号波形を示し、両矢印Wはパルス光Lの照射期間(パルス幅100ナノ秒)を示す。
図9を参照すると、電流引き抜き回路7の作用によって、逆バイアス電圧Vbの大きさにかかわらず、出力電圧の定常成分(パルス光Lが入射していないときの成分)がほぼ2.5Vで一定であることがわかる。また、
図9を参照すると、逆バイアス電圧Vbが大きくなるほど光検出回路3の感度が向上していることがわかる。
【0038】
なお、帰還抵抗52の好適な抵抗値は、フォトダイオード4の並列抵抗の大きさに依存する。本実施形態のフォトダイオード4は3μm以上の波長に受光感度を有する(またはInAsSb光吸収層を有する)。フォトダイオード4の並列抵抗値はPN接合面積(画素サイズ)にも依存するが、そのような受光感度を有するフォトダイオード4の並列抵抗値は、大きくても300Ω程度である(
図4を参照)。シミュレーションにて確認したところ、帰還抵抗52が1kΩ以下であればフォトダイオード4からの信号電流の全てが帰還抵抗52に流れるが、帰還抵抗52が2kΩ以上になると、帰還抵抗52に流れる信号電流が減少する結果となった。よって、フォトダイオード4が3μm以上の波長に受光感度を有する(またはInAsSb光吸収層を有する)場合、帰還抵抗52は2kΩ未満(例えば1kΩ)であるとよい。
【0039】
前述したように、フォトダイオード4は5μm以上の波長に受光感度を有してもよい。この場合、逆バイアス電圧Vbの印加による暗電流J2は更に増大する。よって、本実施形態の光検出回路3の構成が更に有効となる。
【0040】
本実施形態のように、電流引き抜き回路7は、誤差増幅器6の出力端子6cに接続された制御端子71a、フォトダイオード4のアノードに接続された第1電流端子71b、および第2配線92に接続された第2電流端子71cを含む第1トランジスタ71を有してもよい。その場合、電流引き抜き回路7を簡易に構成することができる。
【0041】
本実施形態のように、電流引き抜き回路7は、第1トランジスタ71と直列に接続され、第1電流端子72bと制御端子72aとがダイオード接続された第2トランジスタ72を更に有してもよい。3.0μm未満の波長に感度を有するフォトダイオード(例えばInGaAs光吸収層を有するもの)と比較して、3.0μm以上の波長に感度を有する(またはInAsSb光吸収層を有する)本実施形態のフォトダイオード4では、逆バイアス電圧Vbを印加した際に生じる暗電流J2が格段に大きい。本発明者の知見では、InAsSb光吸収層を有するフォトダイオード4の暗電流J2は、InGaAs光吸収層を有するフォトダイオードの暗電流の1000倍以上である。このような大きな電流を、単一の第1トランジスタ71のみによって引き抜こうとすると、第1トランジスタ71の寸法が大きくなってしまう。第1電流端子72bと制御端子72aとがダイオード接続された第2トランジスタ72を第1トランジスタ71に対して直列に接続することによって、単一の第1トランジスタ71のみの場合と比べ、トランジスタ回路全体の寸法を小さくすることができる。
【0042】
本実施形態のように、光検出回路3は、誤差増幅器6の出力端子6cと電流引き抜き回路7との間のノードN1に接続された平滑化コンデンサ8を更に備えてもよい。この場合、誤差増幅器6からの出力電圧に含まれる周期的な信号成分をより低減して、暗電流J2のみを精度良く引き抜くことができる。
【0043】
[変形例]
図10は、上記実施形態の一変形例に係る光検出回路3Aの構成を示す回路図である。本変形例の光検出回路3Aは、上記実施形態の光検出回路3の構成に加えて、スイッチ10を更に備える。スイッチ10の一端は、ノードN1に接続されている。スイッチ10の他端は、誤差増幅器6の出力端子6cに接続されている。スイッチ10は、ノードN1と誤差増幅器6の出力端子6cとの間の接続状態を切り替える。すなわち、スイッチ10が接続状態であるとき、誤差増幅器6の出力端子6cとノードN1とは電気的に接続される。スイッチ10が非接続状態であるとき、誤差増幅器6の出力端子6cとノードN1とは電気的に分離される。スイッチ10は、電磁リレーなどの機械的スイッチであってもよく、トランジスタなどの半導体スイッチであってもよい。
【0044】
スイッチ10が接続状態であるときには、光検出回路3Aは、上記実施形態の光検出回路3と同じ動作を行い、光検出回路3と同じ作用効果を奏することができる。このとき、平滑化コンデンサ8は誤差増幅器6からの出力電圧によって充電されるので、平滑化コンデンサ8の両端電圧は誤差増幅器6からの出力電圧と等しい。その後、スイッチ10が接続状態から非接続状態に切り替えられる。それ以降、スイッチ10の切り替え時点における誤差増幅器6からの出力電圧と等しい平滑化コンデンサ8の両端電圧が、電流引き抜き回路7に入力され続ける。よって、電流引き抜き回路7は、フォトダイオード4からの定常成分である暗電流J2を引き抜き続ける。なお、平滑化コンデンサ8は必須の要素ではなく、他に電荷をメモリする素子が設けられることによっても同様の動作が可能である。例えば、電流引き抜き回路7を構成するトランジスタ71(
図5を参照)のゲート容量が電荷をメモリすることによってもゲート電圧が維持されるため、スイッチ10が非接続状態であっても、電流引き抜き回路7はフォトダイオード4からの定常成分である暗電流J2を引き抜き続ける。また、スイッチ10によって誤差増幅器6が電流引き抜き回路7から分離されるので、誤差増幅器6の周波数帯域における最大周波数に相当する周期よりも大きいパルス幅を有する信号電流J1がフォトダイオード4から出力された場合であっても、その信号電流J1を電流引き抜き回路7が作用することなく、その信号電流J1はTIA5によって増幅される。このように、本変形例の光検出回路3Aによれば、必要に応じてスイッチ10を切り替えることにより、パルス幅の小さい信号電流J1に加えてパルス幅の大きい信号電流J1をも増幅することができる。
【0045】
本開示による光検出回路および光検出装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態ではInAsSb光吸収層を有するフォトダイオードを例示したが、3.0μm以上の波長に受光感度を有するフォトダイオードの光吸収層はInAsまたはInSbによって構成されてもよい。また、パルス光Lの信号成分が誤差増幅器6において十分に低減される場合には、平滑化コンデンサ8を省くことも可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、電流引き抜き回路として、第1トランジスタ71および第2トランジスタ72を有するものを例示したが、電流引き抜き回路は単一の第1トランジスタ71のみを有してもよい。また、電流引き抜き回路は、誤差増幅器からの出力電圧に応じてフォトダイオードから電流を引き抜く機能を有するものであれば、
図5に示された構成に限らず様々な構成を有することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…光検出装置、2…光源、3,3A…光検出回路、4…フォトダイオード、5…トランスインピーダンスアンプ(TIA)、6…誤差増幅器、6a…第1入力端子、6b…第2入力端子、6c…出力端子、7…電流引き抜き回路、8…平滑化コンデンサ、10…スイッチ、41…半導体基板、42…バッファ層、43…n型半導体層、44…光吸収層、45…p型半導体層、46…メサ構造体、47…トレンチ、51…アンプ、51a…第1入力端子、51b…第2入力端子、51c…出力端子、52…帰還抵抗、71…第1トランジスタ、71a…制御端子、71b…第1電流端子、71c…第2電流端子、72…第2トランジスタ、72a…制御端子、72b…第1電流端子、72c…第2電流端子、91…第1配線、92…第2配線、100A,100B…光検出回路、104…フォトダイオード、105…アンプ、105a…非反転入力端子、105b…反転入力端子、105c…出力端子、106…コンデンサ、107…スイッチ、108…帰還抵抗、J1,J3…信号電流、J2…暗電流、L…パルス光、N1…ノード、PL…パルス波形、Va…基準電圧、Vb…逆バイアス電圧、Vb1…バイアス電圧、VT…飽和電圧。