(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079293
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】掃除機用吸込具
(51)【国際特許分類】
A47L 5/30 20060101AFI20240604BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20240604BHJP
A47L 9/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A47L5/30 C
A47L9/28 J
A47L9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192151
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
【テーマコード(参考)】
3B057
3B061
【Fターム(参考)】
3B057DA09
3B061AE02
(57)【要約】
【課題】 モータを十分に冷却することができ、モータの発火を防ぎ、メンテナンス頻度を低減することができる掃除機用吸込具を提供する。
【解決手段】 掃除機用吸込具10は、被清掃面の塵埃等を除去する可動清掃体4と、可動清掃体4を可動させるための動力を発生するモータ5と、モータ5が収容されると共に外部の空気を吸気し、掃除機本体内に通気する通気孔7を有するモータ収容室6とを備え、モータ収容室6は、モータ5の加熱状態を感知して、所定の温度に達した場合にモータ5への通電を停止させるサーモスタット8が、モータ収容室6内に流れる通風の下流側であって、モータ5に当接させて配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生する掃除機本体と連通する掃除機用吸込具において、
前記掃除機用吸込具は、被清掃面の塵埃等を除去する可動清掃体と、
前記可動清掃体を可動させるための動力を発生するモータと、
前記モータが収容されると共に外部の空気を吸気し、前記掃除機本体内に通気する通気孔を有するモータ収容室と、を備え、
前記モータ収容室は、前記モータの加熱状態を感知して、所定の温度に達した場合に前記モータへの通電を停止させるサーモスタットが、前記モータ収容室内に流れる通風の下流側であって、前記モータに当接させて配置されていることを特徴とする掃除機用吸込具
【請求項2】
サーモスタットは、モータ収容室の壁面から付勢手段にて、モータに当接させていることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用吸込具
【請求項3】
モータは略円筒形状であって、サースタットをモータの側面側から略軸中心に向けて当接させていることを特徴とする請求項1又は2に記載の掃除機用吸込具
【請求項4】
モータの側面は、平面で形成された平面部と、曲面で形成された曲面部とを有し、サーモスタットは、モータ当接面側に平面で形成された当接面部を有し、前記モータの平面部に前記サーモスタットの当接面部を当接させていることを特徴とする請求項1又は2に記載の掃除機用吸込具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機を構成する掃除機用吸込具であって、可動清掃体と、該可動清掃体を可動させるモータとを有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気掃除機を構成する掃除機用吸込具として、回転清掃体と、該回転清掃体を回転させるモータとを有するものであって、駆動に応じて発熱したモータを冷却するためにモータ収容室に連通する箇所に吸気孔を備えたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の吸込口体は、底に吸込口を有し吸込口から中央に向けて窄まった吸込室を有する本体筐体と、本体筐体の後部に連結され吸込室につながる接続管と、吸込口に配された回転ブラシと、回転ブラシを駆動するためのモータとより構成され、本体筐体は、吸込室を間に挟む左右両側部のうちの一側部にモータ収納室を有し、モータ収納室は、本体筐体の後面に形成された吸気孔を通じて外部に連通するとともに、回転ブラシの回転軸に対して垂直な仕切り壁に形成された排気孔を通じて吸込室に連通する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載の吸込口体は、本体筐体の後面に形成された吸気孔に塵埃が付着、堆積して塞がれた場合にはモータを十分に冷却することができないという課題を有するものであった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、モータを十分に冷却することができ、モータの発火を防ぐことができるため安全性が高く、メンテナンス頻度を低減することができる掃除機用吸込具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、吸引力を発生する掃除機本体と連通する掃除機用吸込具において、前記掃除機用吸込具は、被清掃面の塵埃等を除去する可動清掃体と、前記可動清掃体を可動させるための動力を発生するモータと、前記モータが収容されると共に外部の空気を吸気し、前記掃除機本体内に通気する通気孔を有するモータ収容室とを備え、前記モータ収容室は、前記モータの加熱状態を感知して、所定の温度に達した場合に前記モータへの通電を停止させるサーモスタットが、前記モータ収容室内に流れる通風の下流側であって、前記モータに当接させて配置されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、モータが過剰に熱を帯びた際に、サーモスタットによってモータへの通電を停止させることでモータを十分に冷却することができ、モータの発火を防ぐことができるため安全性が高く、メンテナンス頻度を低減させることができる。また、サーモスタットをモータに当接させて配置しているので、モータの加熱状態を正確に把握することができる。また、サーモスタットをモータ収容室内に流れる通風の下流側に配置しているので、外気の雰囲気温度によるサーモスタットへの影響を極力抑えると共に、モータが冷却された際の通電の復帰を早めることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、サーモスタットは、モータ収容室の壁面から付勢手段にて、モータに当接させていることを特徴としている。これにより、使用時に発生するモータの振動や、掃除機用吸込具と被清掃面との衝突による振動により、サーモスタットがモータから外れる事を防止できると共に、サースタットとモータとの接触による破損を軽減でき、モータの加熱状態を一層正確に把握することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、モータは略円筒形状であって、サースタットをモータの側面側から略軸中心に向けて当接させていることを特徴としている。これにより、サーモスタットをモータの側面に確実に当接させることができ、モータの振動による影響を低減させることができると共に、モータの加熱状態を一層正確に把握することができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、モータの側面は、平面で形成された平面部と、曲面で形成された曲面部とを有し、サーモスタットは、モータ当接面側に平面で形成された当接面部を有し、前記モータの平面部に前記サーモスタットの当接面部を当接させていることを特徴としている。これにより、サーモスタットをモータの平面部に確実に当接させることができ、モータの振動による影響を低減させることができると共に、モータの加熱状態を一層正確に把握することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の掃除機用吸込具の発明は、モータを十分に冷却することができ、モータの発火を防ぐことができるため安全性が高く、メンテナンス頻度を低減させることができる。また、モータの加熱状態を正確に把握することができると共に、モータが冷却された際の通電の復帰を早めることができる。
【0013】
請求項2の発明は、サーモスタットがモータから外れる事を防止できると共に、サースタットとモータとの接触による破損を軽減でき、モータの加熱状態を一層正確に把握することができる。また、請求項3及び4の発明は、モータの振動による影響を低減させることができると共に、モータの加熱状態を一層正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る掃除機用吸込具が搭載された電気掃除機を示す斜視図
【
図3】本発明に係る掃除機用吸込具の吸込具本体上カバーを取り外した状態を示す平面図
【
図4】(a)
図3の一部拡大平面図(b)本発明に係る掃除機用吸込具の吸込具本体上カバーを取り外した状態を示す一部拡大斜視図(c)
図4(a)のA-A断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明に係る掃除機用吸込具が搭載された電気掃除機を示す斜視図である。この図を用いて本発明に係る電気掃除機の概要について以下に説明する。
【0016】
電気掃除機50は、塵埃を捕集する集塵室と電動送風機とを備えて吸引力を発生する電気掃除機本体11と、電気掃除機本体11を軸支する車軸12を備えた一対の車輪13、13と、一対の車輪13、13の前方側及び後方側に設けられた補助車輪14a、14bと、電気掃除機本体11の前方側に集塵室と連通するように接続されるホースユニット15と、ホースユニット15に接続される掃除機用吸込具10とを備えている。
【0017】
ホースユニット15は、ホース15aと、ホース15aの他端に設けられたハンドルパイプ15bと、ハンドルパイプ15bに一端が着脱自在に接続される延長管15cとから構成されており、延長管15cの他端に、掃除機用吸込具10が接続されている。また、ハンドルパイプ15bには、電気掃除機本体11の運転を操作する本体スイッチ16が設けられている。
【0018】
上記のように構成された電気掃除機の動作、作用は、以下の通りである。電気掃除機本体11内に収納された電源コード(図示せず)を引き出し、そのプラグ(図示せず)を室内のコンセント(図示せず)に差し込んで、ハンドルパイプ15bに設けた本体スイッチ16を操作すると、電動送風機の運転が開始し、被清掃面上の塵埃が、掃除機用吸込具10から外気と共に吸引され、掃除機用吸込具10を構成する接続管3の一端と接続する延長管15c、ハンドルパイプ15b、ホース15aを経て集塵室に至り、そこで吸引風に含まれた塵埃が捕集され、きれいになった空気は、電気掃除機本体11の後部に設けた排気口(図示せず)から排気される。
【0019】
図2は、本発明に係る掃除機用吸込具を示す斜視図であり、
図3は、掃除機用吸込具の吸込具本体上カバーを取り外した状態を示す平面図である。また、
図4(a)は、
図3の一部拡大平面図であり、
図4(b)は、掃除機用吸込具の吸込具本体上カバーを取り外した状態を示す一部拡大斜視図、
図4(c)は、
図4(a)のA-A断面図である。これらの図を用いて本発明に係る掃除機用吸込具の詳細について以下に説明する。
【0020】
掃除機用吸込具10は、被清掃面の塵埃を捕捉するための開口1aを備えた吸込み口体1と、吸込み口体1の後部に連結され開口1aに繋がる連結具2及び接続管3と、吸込み口体1の内部に回転可能に軸支された回転清掃体4と、回転清掃体4を回転させるためのモータ5と、モータ5を収容するモータ収容室6とを有している。尚、本実施形態において、清掃体の可動をモータの動力により回転する回転清掃体としたが、清掃体の可動は、例えば被清掃面に対して平行方向に振動する可動や、垂直方向に振動する可動であってもよく、これも本発明に含まれる。また、連結具2は、吸込み口体1に対して回動可能に連結されている。
【0021】
モータ収容室6は、吸込み口体1に形成された吸気孔7bより、外部の空気をモータ収容室6内に吸気できるものであって、吸気された空気がモータ5のまわりを流れた後、通気孔7aより電気掃除機本体11内に通気されることにより、モータ5が冷却される仕組みとなっている。具体的には電気掃除機本体11の電動送風機を駆動すると、ホースユニット15を通り接続管3を通じて吸込み口体1の開口1aに吸引力が作用し、この吸引力により吸込み口体1の後部周囲の空気が吸気孔7bからモータ収容室6に吸い込まれ、その空気は、矢印に示すように吸込み口体1の内部を通り、通気孔7aより電気掃除機本体11の集塵室へと吸引されていく。
【0022】
そして、
図4(a)~(c)に示すように,モータ収容室6は、モータ5の加熱状態を感知して、所定の温度に達した場合にモータ5への通電を停止させるサーモスタット8が、モータ収容室6内に流れる通風の下流側であって、モータ5に当接させて配置されている。サーモスタット8によってモータ5が過剰に熱を帯びた際に、モータ5への通電を停止させることでモータ5を十分に冷却することができ、モータ5の発火を防ぐことができるため安全性が高く、メンテナンス頻度を低減させることができる。また、サーモスタット8をモータ5に当接させて配置しているので、モータ5の加熱状態を正確に把握することができる。また、サーモスタット8をモータ収容室6内に流れる通風の下流側に配置しているので、モータ5が冷却された際の通電の復帰を早めることができる。
【0023】
尚、サーモスタット8をモータ収容室6内に流れる通風の上流側に配置した場合には、モータ5が外気の雰囲気温度による影響を受けることで、所定の温度よりも低くなる前にサーモスタット8がモータ5への通電を開始することになる可能性があるため、これを避ける意味からも通風の下流側に配置する構成としている。また、サーモスタット8としては、自動復帰型のバイメタル・サーモスタット等を採用することができる。これにより、モータ5の近傍の温度が所定の温度よりも低くなれば自動でモータ5への通電が開始されることから、手動でモータ5への通電を行う手間を省くことができる。
【0024】
また、サーモスタット8は、モータ収容室6の壁面から付勢手段9にて、モータ5に当接させている。これにより、使用時に発生するモータ5の振動や、掃除機用吸込具10と被清掃面との衝突による振動により、サーモスタット8がモータ5から外れる事を防止できると共に、サースタット8とモータ5との接触による破損を軽減でき、モータ5の加熱状態を一層正確に把握することができる。尚、付勢手段9としては、圧縮コイルバネ、皿バネ等を採用することができる。
【0025】
また、モータが略円筒形状の場合は、サースタット8をモータの側面側から略軸中心に向けて当接させるのが好ましい。これにより、サーモスタット8をモータの側面に確実に当接させることができ、モータの振動による影響を低減させることができると共に、モータの加熱状態を一層正確に把握することができる。
【0026】
また、モータ5の側面が平面で形成された平面部5aと、曲面で形成された曲面部5bとを有している場合は、サーモスタット8のモータ当接面側に平面で形成された当接面部8aを有するようにして、モータ5の平面部5aにサーモスタット8の当接面部8aを当接させるのが好ましい。これにより、サーモスタット8をモータ5の平面部5aに確実に当接させることができ、モータ5の振動による影響を低減させることができると共に、モータ5の加熱状態を一層正確に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る掃除機用吸込具は、電気掃除機に搭載されて利用される。
【符号の説明】
【0028】
1 吸込み口体
1a 開口
2 連結具
3 接続管
4 回転清掃体(可動清掃体)
5 モータ
5a 平面部
5b 曲面部
6 モータ収容室
7a 通気孔
7b 吸気孔
8 サーモスタット
8a 当接面部
9 付勢手段
10 掃除機用吸込具
11 電気掃除機本体
12 車軸
13 車輪
14a、14b 補助車輪
15 ホースユニット
15a ホース
15b ハンドルパイプ
15c 延長管
16 本体スイッチ
50 電気掃除機