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▶ 上田 順一の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079296
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】色調採得支援方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/04 20060101AFI20240604BHJP
   G16H 30/20 20180101ALI20240604BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61C19/04 J
G16H30/20
A61B5/00 101A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192154
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】594139746
【氏名又は名称】上田 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】上田 順一
【テーマコード(参考)】
4C052
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052NN05
4C052NN15
4C117XB01
4C117XD08
4C117XE43
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】 歯科用補綴物の製作の依頼元と依頼先の双方で歯科用補綴物の製作作業の効率化を実現する。
【解決手段】 本発明の色調採得支援方法は、歯科用補綴物の製作を依頼する際の色調採得を支援する色調採得支援方法であって、前記歯科用補綴物の製作の依頼元は第1の電子機器を用いて、前記歯科用補綴物を利用する患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像と当該依頼元からの依頼情報を入力可能とし、前記歯科用補綴物製作の依頼先は第2の電子機器を用いて前記画像と前記依頼情報を出力可能とし、前記第1及び第2の電子機器はソーシャルネットワークサービスを利用可能とし、前記第1及び第2の電子機器の間の前記画像と前記依頼情報の通信は前記ソーシャルネットワークサービスを介することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用補綴物の製作を依頼する際の色調採得を支援する色調採得支援方法であって、
前記歯科用補綴物の製作の依頼元は第1の電子機器を用いて、前記歯科用補綴物を利用する患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像と当該依頼元からの依頼情報を入力可能とし、
前記歯科用補綴物製作の依頼先は第2の電子機器を用いて前記画像と前記依頼情報を出力可能とし、
前記第1及び第2の電子機器はソーシャルネットワークサービスを利用可能とし、前記第1及び第2の電子機器の間の前記画像と前記依頼情報の通信は、前記ソーシャルネットワークサービスを介することを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項2】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記依頼情報の一部は、前記ソーシャルネットワークサービスを利用する際に選択される情報であることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項3】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記第1及び第2の電子機器はダウンロードされるアプリケーションを開いて、前記画像と前記依頼情報の通信をなし得ることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項4】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影する際には、前記患者の歯に対する歯の色見本の位置を輪郭線で示すことを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項5】
請求項4記載の色調採得支援方法であって、前記輪郭線に付随して歯の色見本の固有番号の位置も第2の輪郭線で示すことを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項6】
請求項4記載の色調採得支援方法であって、前記患者の歯に対する歯の色見本の位置を示す輪郭線は上顎と下顎で切り替えられることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項7】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影する際には、その画像をフラッシュ有で撮影することを必須としながら、フラッシュなしで撮影することも追加できることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項8】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影する際には、合わせて前記患者の顔貌の写真も追加できることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項9】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、の撮像、および前記患者の顔貌の撮影時には、撮影法についてのチュートリアルを表示できることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項10】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、撮影された前記患者の口腔内の画像には、前記依頼情報が明示されるように取り込まれることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項11】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記依頼先の前記第2の電子機器では、送信された画像の一部をグレー変換処理できることを特徴とする色調採得支援方法。
【請求項12】
請求項1記載の色調採得支援方法であって、前記依頼先の前記第2の電子機器では、前記歯の色見本の写真の画素の一部を前記患者の歯の写真の画素一部に重ね、若しくは前記患者の歯の写真の画素一部を前記歯の色見本の写真の画素の一部に重ねて、色調の異同を比べることができることを特徴とする色調採得支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯科医師が歯科技工所に対して歯科用補綴物の製作を依頼する際に行う色調採得を支援する色調採得支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科医師から歯科技工所への前装冠等の歯科用補綴物の製作を依頼するに当り、歯科医師は千差万別の患者の歯の色味を歯科技工所に伝達するため、シェードガイドと呼ばれる歯の色見本と、患者の歯の色味とを比較判定する作業を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、色見本の情報だけでは個人差による患者の色調情報を伝達するには不十分であり、実際には、歯科医師はシェードガイドと患者の歯(口腔内)とを同時に撮影した写真を歯科技工所に対し送付することによって、患者の歯の色味を伝達している。この写真撮影による歯の色味の情報化は「色調採得」と呼ばれ、正確な色味を有する歯科用技工物の製作には欠かせない情報となっている。
【0004】
一般的に、歯科医師(歯科医院)から歯科技工所(歯科技工所)への写真の送付は、1)デジタルカメラで撮影して得られた画像データをカメラ本体に装着されたSDカードやUSBメモリ等の可搬性の記録媒体に記録し、その記録媒体を送付する、2)デジタルカメラで撮影した得られた画像データをパーソナルコンピュータで一旦取り込み、記録媒体に転送後送付する、3)デジタルカメラで撮影して得られた画像データをパーソナルコンピュータで一旦取り込み、電子メールに当該画像データを添付して送付する、といったような煩雑な手順で行われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-90223号公報
【特許文献2】特開2020-25612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した写真の送付を伴う色調採得は、少なくとも患者の口腔内の写真を撮る作業と、撮影した写真を電子メールの添付データとして送信することが行われており、その手順の煩雑さによりそれぞれ時間がかかる作業となっている。また、送信する側のカメラ操作も自由度がある分だけ、患者の口腔内の写真の色合いも照明や撮像素子の特性から出上がる歯科用補綴物にもばらつきは生じ易い。さらに患者の口腔にシェードガイドを添えて撮影した場合でも、その写した歯とシェードガイドの位置及び角度などに依存して色調の偏差が生ずることがあり、円滑な歯科用補綴物の製作の妨げとなっていた。
【0007】
そこで本発明は、上述の技術的な課題を解決するため、歯科用補綴物の製作の依頼元と依頼先の双方で歯科用補綴物の製作作業の効率化を実現する色調採得支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明の色調採得支援方法は、歯科用補綴物の製作を依頼する際の色調採得を支援する色調採得支援方法であって、前記歯科用補綴物の製作の依頼元は第1の電子機器を用いて、前記歯科用補綴物を利用する患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像と当該依頼元からの依頼情報を入力可能とし、前記歯科用補綴物製作の依頼先は第2の電子機器を用いて前記画像と前記依頼情報を出力可能とし、前記第1及び第2の電子機器はソーシャルネットワークサービスを利用可能とし、前記第1及び第2の電子機器の間の前記画像と前記依頼情報の通信は、前記ソーシャルネットワークサービスを介することを特徴とする。
【0009】
本発明の色調採得支援方法で利用されるソーシャルネットワークサービスは、特定の通信相手に対してテキストと画像の送信を行うことができる通信サービスであって、いわゆるスマートフォンに代表される携帯電話機やタブレット型端末(以下、これらを併せて「モバイル端末」と称する。)を用いて情報の送受信が可能であり、パーソナルコンピュータで一般的な電子メール用のメーラーを用いずに、テキストと画像の送受信ができるサービスである。このようなソーシャルネットワークサービスとして知られているものは、例えばLINE株式会社のライン(登録商標)、メタ・プラットフォームズ・インコーポレイテッドのメッセンジャー(登録商標)、株式会社カカオのカカオトーク(登録商標)、テンセント ホールディングス リミテッドのウイチャット(登録商標)などが知られており、アプリケーションの立ち上がり(Loading)に短時間で良いものを選択できる。これらのモバイル端末では、ソーシャルネットワークサービスを使用するためのアプリケーションをダウンロード可能としており、現在も多くの人が利用しているサービスである。
【0010】
本発明の色調採得支援方法において、依頼元は、典型的には歯科医師若しくは歯科医院であり、患者に対して歯科用補綴物を提供して歯の治療を行う者である。他方、依頼先は歯科技工所若しくはそれに類する加工技術を有する者である。依頼元は第1の電子機器を使用し、依頼先は第2の電子機器を使用するが、これらはそれぞれモバイル端末である。典型的な本発明の色調採得支援方法においては、専用のアプリケーションをそれぞれ第1及び第2の電子機器でダウンロードすることができ、これらの第1及び第2の電子機器ではダウンロードされたアプリケーションを開いて、画像と依頼情報の通信をすることができる。相手が未だ専用のアプリケーションをインストールしていない場合を想定して、通信情報にはダウンロード用のURLを含めることができる。
【0011】
本発明の色調採得支援方法における依頼情報は、撮影日、患者名、シェードガイドの色調ナンバー、依頼元と依頼先の情報などに亘る情報であり、必要に応じたメモなども含めることが可能である。依頼元は、ソーシャルネットワークサービスを利用する際に依頼先を選択することが可能であり、本発明の実施形態によれば、依頼先の情報については依頼元が履歴から選ぶこともでき、或いは広告から選ぶこともできる。
【0012】
本発明の色調採得支援方法の1つの特徴は、モバイル端末を利用して患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影することを前提としており、そのためのガイド用の輪郭線をカメラのモニターに表示させながら撮影が進めることができる点である。また、そのガイド用の輪郭線に付随して歯の色見本の固有番号の位置も第2の輪郭線で示すことが可能であり、患者の歯に対する歯の色見本の位置を示す輪郭線は上顎と下顎で切り替えられることもできる。さらに患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影する際には、その画像をフラッシュ有で撮影することを必須としながら、フラッシュなしで撮影することも追加できる。また患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影する際には、合わせて前記患者の顔貌の写真も追加できる。
【0013】
本発明の色調採得支援方法では、患者の口腔内の撮像、および前記患者の顔貌の撮影時には、撮影法についてのガイドを表示できる。具体的には、モニター画面内の情報ボタン(チュートリアルボタン)を選択すると、モバイル端末の撮像時の理想的なアングルや、シェードガイドの理想的な位置や向きなどのチュートリアル画面を表示できる。
【0014】
本発明の色調採得支援方法では、撮影された前記患者の口腔内の画像には、前記依頼情報が明示されるように取り込まれるものとすることができる。例えば、撮影した画像の左下若しくは右下の隅に、撮影日、患者名、シェードガイドナンバー、医院名(依頼元)の各文字列を重ねて表示することができる。
【0015】
本発明の色調採得支援方法では、依頼先の前記第2の電子機器では、送信された画像をグレー化処理でき、歯の色見本の写真の画素の一部を患者の歯の写真の画素一部に重ね、若しくは患者の歯の写真の画素一部を歯の色見本の写真の画素の一部に重ねて、色調の異同を比べることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の色調採得支援方法を実現するシステム全体像を模式的に示す図である。
図2】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科医院メニュー画面を示す図である。
図3】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所の登録画面を示す図である。
図4】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所の編集画面を示す図である。
図5】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科医院の登録画面を示す図である。
図6】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科医院の編集画面を示す図である。
図7】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、広告情報の一覧の画面を示す図である。
図8】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、色調採得支援作業の履歴の画面を示す図である。
図9】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、チュートリアル画面を示す図である。
図10】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、他のチュートリアル画面を示す図である。
図11】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、写真撮影画面を示す図である。
図12】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、上顎撮影画面(その1)を示す図である。
図13】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、上顎撮影画面(その2)を示す図である。
図14】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、撮影時画面を示す図である。
図15】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、下顎撮影画面(その1)を示す図である。
図16】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、下顎撮影画面(その2)を示す図である。
図17】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、顔貌撮影画面(その1)を示す図である。
図18】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、顔貌撮影画面(その2)を示す図である。
図19】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、チュートリアル画面(ガイドに合わせて撮影)を示す図である。
図20】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、チュートリアル画面(上顎撮影その1)を示す図である。
図21】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、チュートリアル画面(上顎撮影その2)を示す図である。
図22】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、チュートリアル画面(下顎撮影その1)を示す図である。
図23】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、チュートリアル画面(顔貌撮影)を示す図である。
図24】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、追加撮影画面(その1)を示す図である。
図25】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、追加撮影画面(その2)を示す図である。
図26】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、追加撮影画面(その3)を示す図である。
図27】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、情報入力画面を示す図である。
図28】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、医院側結果確認画面を示す図である。
図29】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、SNS使用画面(送信準備)を示す図である。
図30】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、SNS使用画面(トーク画面)を示す図である。
図31】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、メール送信プロンプト画面を示す図である。
図32】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、メール送信画面を示す図である。
図33】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、写真保存画面を示す図である。
図34】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側メニュー画面を示す図である。
図35】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側の色調確認画面を示す図である。
図36】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側のグレー変換画面を示す図である。
図37】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側の色調確定画面を示す図である。
図38】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側の顔貌写真の編集チュートリアル画面を示す図である。
図39】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側の写真の読み込み画面を示す図である。
図40】前記実施形態の色調採得支援方法における作業の流れを説明するためのモバイル機器の模式的なスクリーンショットであって、歯科技工所側の顔貌写真の編集画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の色調採得支援方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態の色調採得支援方法を実現するシステム全体像を模式的に示す図であり、歯科医院の歯科医師Dが患者Pの歯科用補綴物の製作を歯科技工所の歯科技工士Tに依頼するところを模式的に示している。依頼元である歯科医師Dは第1の電子機器であるモバイル機器M1を使用して、患者Pの口腔内の撮影をして、依頼先の歯科技工士Tの第2の電子機器であるモバイル機器M2に患者Pの口腔内の写真と依頼情報を送るように構成されている。第1,第2の電子機器であるモバイル機器M1、M2は通常市場で入手できる所謂スマートフォンなどの携帯端末若しくはタブレットと呼ばれるタイプの電子端末である。本実施形態の色調採得支援方法は、これらモバイル機器M1、M2に対してアプリの形式でインストールすることが可能なプログラムの実行を介して実現される方法である。これらのモバイル機器M1、M2には、色調採得支援方法の実行のためのプログラムもインストールされるが、同時にラインやメッセンジャーなどのソーシャルネットワークサービスも利用可能とされることが前提とされる。
【0018】
本実施形態の色調採得支援方法を実現するシステムでは、最低でも通信可能な一対の電子機器があれば良く、さらに複数の医院と複数の歯科技工所を相互に接続するシステムにも対応可能である。ソーシャルネットワークサービスについても、本実施形態ではラインを利用する場合を典型例として説明するが、特定の相手に写真とテキストなどの依頼情報を送れる他のソーシャルネットワークサービスを利用することも可能である。モバイル機器M1、M2もカメラ付きであることを前提としているが、モバイル機器M1、M2の代わりにアクセサリーとして別途カメラを接続した装置であったり、撮像したデータを送信できるような装置を使用することもできる。
【0019】
本実施形態の色調採得支援方法を実現するためには、モバイル機器M1、M2には、それぞれのキャリアに応じたダウンロードセンターから、色調採得支援アプリを入手して、当該モバイル機器M1、M2で利用できるようにする。歯科技工所側では、最初にアプリが未だインストールされていない状態であっても、モバイル機器M2に連絡がきた時点でアプリ入手用のURLを送ることができ、そのURLにアクセスしてアプリをダウンロードすることも可能である。
【0020】
歯科用補綴物の製作を依頼する際には、技工士側で患者の歯の色調を誤差が少なくなるように把握することが重要であり、一般に歯科医院では照明が統一されているものでもないので、患者の歯と歯の色見本(シェードガイド)を共に写すことが重要とされる。歯の色見本(シェードガイド)は、ホワイトニングの際や詰め物・被せ物をする際に使用する歯の色見本で、歯の色味、明るさを一覧にしたもので、それぞれの色調の異なる見本の歯に対して番号が与えられていて、例えばシェードガイドの一例によれば、日本人の場合は、皮膚の色味から見て日本人の多くがAタイプに入り、A3~3.5が標準的であり、Aには3と4の間に3.5があるのが特徴とされる。歯の色見本(シェードガイド)では、見本の各歯に突設された金属片からなる保持部の表面に番号部が設けられているようになっており、患者の口腔内と歯の色見本を共に写す際には、色見本の番号も同時に撮影することが重要とされる。特に本実施形態の色調採得支援方法では、後述するように、そのための有効なチュートリアルの表示と撮影時に輪郭線の表示を行うものとしている。
【0021】
以下、本実施形態の色調採得支援方法についてその流れに沿って図2乃至図40を参照しながら説明する。なお、実施される色調採得支援方法の流れには、初めの手順として依頼元の歯科医院と依頼先の歯科技工所の登録作業がある。そして、これら依頼先及び依頼元の入力に引き続いた作業の流れとすることもでき、或いは別の作業の流れとすることも可能な、依頼元の歯科医院での写真撮影と依頼情報の入力手順があり、次いでその情報データの送信手順があり、依頼先の歯科技工所でのデータ情報の受け取りと利用の手順がある。
【0022】
依頼元の歯科医院と依頼先の歯科技工所の登録作業について説明すると、図2は依頼元の歯科医院でのモバイル機器M1における歯科医院メニュー画面10を示す。歯科医院メニュー画面10では画面トップの位置に、色調採得アシストのアプリ名が表示され、右上コーナーにはチュートリアルにリンクされた?(クエスチョン)ボタン11があり、画面の上端部から中ほどには、歯科医院メニューの表示部12があり、その中にカメラのアイコンと共に「色調採得する」と表示された色調採得ボタン13と、遡及した時計のアイコンと共に「履歴を見る」と表示された履歴表示ボタン14がある。さらにその下部には、歯科医院メニューから歯科技工所メニューに切り替えるための「歯科技工所メニューに切り替える」と表示されたリンク15がある。歯科医院メニューの下部には、依頼元の歯科医院と依頼先の歯科技工所の登録ボタン16と、このアプリについての説明ページにリンクする「このアプリについて」と表示されたボタン17があり、最下部には歯科技工所や歯科医院の広告を表示できる広告欄18がある。
【0023】
図2に示す登録ボタン16をクリック若しくはタッチすると、図3に示す歯科医院・歯科技工所の登録画面が表示される。歯科医院・歯科技工所の登録画面は、画面上側のタブで切り替えできるように歯科医院タブ20と歯科技工所タブ21が配置されている。図3では、すでに登録されている歯科技工所のリスト22が表示される。さらに新規の歯科技工所を追加して登録する場合には、歯科医院メニュー画面10の下部の「新しい歯科技工所を追加」と表示された歯科技工所追加ボタン23をクリック若しくはタッチする。
【0024】
歯科技工所追加ボタン23をクリック若しくはタッチすると、図4に示すような歯科技工所の編集(登録)画面が表示される。歯科医院メニュー画面10の上から順に、歯科技工所名の入力ボックス30、メールアドレスの入力ボックス31、歯科技工士名の入力ボックス32が表示され、これらに入力することで歯科技工所の登録及び編集が可能となる。歯科技工所名の入力は必須とされ、メールアドレスの入力はラインなどのソーシャルネットワークサービスを使用する場合は不要である。下端の登録ボタン33をクリック若しくはタッチすると、これらの歯科技工所の情報を保存できる。
【0025】
次に図3に示す歯科医院・歯科技工所の登録画面で、そのタブを歯科医院タブ20側に切り替えた場合には、図5に示すように、すでに登録されている歯科医院のリスト24が表示される。さらに新規の歯科医院を追加して登録する場合には、歯科医院メニュー画面10の下部の「新しい歯科医院を追加」と表示された歯科医院追加ボタン24をクリック若しくはタッチする。
【0026】
歯科医院追加ボタン24をクリック若しくはタッチすると、図6に示すような歯科医院の編集(登録)画面が表示される。歯科医院メニュー画面10の上から順に、歯科医院名の入力ボックス34、メールアドレスの入力ボックス35、歯科医師名の入力ボックス36が表示され、これらに入力することで歯科医院の登録及び編集が可能となる。歯科医院名の入力は必須とされ、メールアドレスの入力はラインなどのソーシャルネットワークサービスを使用する場合は不要である。下端の登録ボタン37をクリック若しくはタッチすると、これらの歯科医院の情報を保存できる。
【0027】
以上の歯科医院・歯科技工所の登録作業は、実際に送信を開始する前に登録を完了しておくことが前提とされるが、画像情報や依頼情報を送信する直前に設定することも可能であり、また、歯科医院側では送信相手の歯科技工所を複数登録しておくこともでき、歯科技工所側でも取引先の歯科医院を複数登録しておくことができる。
【0028】
また、図2に示した歯科医院メニュー画面10の下端の広告欄18の下には、もっと見ると表示されたボタン19があり、そのボタン19をクリック若しくはタッチすると、図7に示すような広告カード38、39、40が表示され、当該アプリの運営者に広告料を払った業者は歯科医院などの利用が多いことを前提とした広告を入れることが可能とされる。
【0029】
また、図2に示した歯科医院メニュー画面の中ほどの履歴を見ると表示されたボタン14をクリック若しくはタッチすると、図8に示すような過去の色調採得についての履歴データ42がリスト形式で表示され、過去にどのような色調採得を行ったのかを振り返る必要がある場合には、簡単に履歴データ42を見ることができる。なお、図8には表示されていないが、履歴の検索窓を設置して、数多くの履歴データ42がある場合には、検索をかけるようにすることもできる。履歴データ42は、図8に示すように、送信日時、患者の口腔内写真のサムネイルと依頼情報の文字列の組み合わせとすることができるが、さらにメモの一部を抜き出して表示するようにすることもできる。
【0030】
また、本実施形態の色調採得支援方法を実行するアプリでは、図2に示した歯科医院メニュー画面のこのアプリについてのボタン17をクリック若しくはタッチすると、図9図10のようなアプリを説明する画面が現れる。図9は色調採得アシストと称される本アプリの全体的な機能をイラストレーションで説明する画面43であり、ラインや電子メールでの色調採得情報を送りことができることを示す。図10は診療報酬対応について、アプリ内への写真の保存が診療報酬に算定されることを説明する画面44であり、歯科医院に対する十分なメッセージ機能を有している。
【0031】
次に、本実施形態の色調採得支援方法の一例として、撮影から送信までの流れを図11乃至図33を参照しながら説明する。図11は色調採得の写真撮影画面であり、この画面を表示している携帯端末であるモバイル機器M1から3つの撮影を進めることができる。第1の撮影法は、必須のシェードテイキングであり、フラッシュありで撮影する方法であって、大き目で左上に位置する「フラッシュONで撮影する」と表示されたボタン51をクリック若しくはタッチすることで進めることができる。第2の撮影法は、任意のシェードテイキングであり、フラッシュなしで撮影する方法であって、大き目で右上に位置する「フラッシュOFFで撮影する」と表示されたボタン52をクリック若しくはタッチすることで進めることができる。第3の撮影法は、顔貌撮影であり、大き目で左下に位置する、顔貌撮影の文字の下部の「撮影する」と表示されたボタン53をクリック若しくはタッチすることで進めることができる。エリア54には、ラジオボタンが配され、送信設定として、ここ(この画面)に表示されている写真のみを送信と撮影した全ての写真を送信のどちらかを選んで送信できる。なお、上端右側の?(クエスチョン)ボタン49を選択すれば、後述のようなチュートリアル画面が表示される。
【0032】
次に、ボタン51又はボタン52をクリック若しくはタッチすることで撮影モードに入ることができる。撮影に際しては、本実施形態の色調採得支援方法の一例においては、患者の口腔内と歯の色見本を共に写した画像を撮影する際に、患者の歯に対する歯の色見本の位置を輪郭線で示すことができる。図12及び図13は、上顎撮影時に、このような輪郭線を黒色背景で示した例を示す。図12及び図13に示す輪郭線は3種類あり、それらは歯科用補綴物の製作対象となる歯の位置のガイドとなる輪郭線55と、歯の色見本すなわちシェードガイドの歯の型の部分をガイドする輪郭線56と、シェードガイドの番号部分をガイドする輪郭線57である。輪郭線56は3個の横に並んだ歯に相当するシェードガイドの輪郭線であり、輪郭線57もこれら3個分の番手であるため、3つの円を並べた輪郭となる。患者の歯の位置のガイドとなる輪郭線55とシェードガイドの歯の型の部分をガイドする輪郭線56は、白色の線で描かれているが、シェードガイドの番号部分をガイドする輪郭線57は特に重要であり、忘れがちでもあるため例えば赤色の目立つ色を採用している。画面の下部には、上顎と下顎の切り替えボタン58,59があり、シャッターボタン60を例えばマウスオーバーやワンクリックで当該モバイル機器M1に付属するカメラからの映像を重ねることができる。これら輪郭線55、56、57を表示する画面の上端側には、撮影のコツについて短い文章とイラストも表示され、撮影時の失敗をなるべく防ぐ工夫がなされている。図12及び図13の違いは、輪郭線55、56、57についてのそれぞれの説明(グレイ半透明の背景色)がそれぞれの位置で加わるか否かであり、その説明の有無を歯科医師が選択することもでき、所定時間後に説明がフェードアウトするようにすることもできる。なお、送信する写真は静止画であることを基本としているが、写真に代えて患者の口腔内と歯の色見本についての動画を送受信するシステムとすることも可能である。
【0033】
図14は患者の口腔内(上顎)をシェードガイドと共に撮影する場合の画面であり、3つの輪郭線55、56、57に案内される位置に、ガイドされる対象物が写るように撮影者はモバイル機器M1の位置や方向、照明の強度を調整しながら撮影を行う。モバイル機器M1を利用した撮影であることから、何枚か撮り、最良のものを送信することもでき、あるいは複数枚を送信することもできる。
【0034】
図15及び図16は、下顎撮影時に、このような輪郭線を黒色背景で示した例を示す。図15及び図16に示す輪郭線も先に示した上顎撮影時と同様に3種類あり、それらは歯科用補綴物の製作対象となる歯の位置のガイドとなる輪郭線61と、歯の色見本すなわちシェードガイドの歯の型の部分をガイドする輪郭線62と、シェードガイドの番号部分をガイドする輪郭線63である。輪郭線62は3個の横に並んだ歯に相当するシェードガイドの輪郭線であり、輪郭線63もこれら3個分の番手であるため、3つの円を並べた輪郭となる。患者の歯の位置のガイドとなる輪郭線61とシェードガイドの歯の型の部分をガイドする輪郭線62は、白色の線で描かれているが、シェードガイドの番号部分をガイドする輪郭線63は特に重要であり、忘れがちでもあるため例えば赤色の目立つ色を採用している。画面の下部には、上顎と下顎の切り替えボタン58,59があり、シャッターボタン60を例えばマウスオーバーやワンクリックで当該モバイル機器M1に付属するカメラからの映像を重ねることができる。これら輪郭線61、62、63を表示する画面の上端側には、撮影のコツについて短い文章とイラストも表示され、撮影時の失敗をなるべく防ぐ工夫がなされている。図15及び図16の違いは、輪郭線61、62、63についてのそれぞれの説明(グレイ半透明の背景色)がそれぞれの位置で加わるか否かであり、その説明の有無を歯科医師が選択することもでき、所定時間後に説明がフェードアウトするようにすることもできる。
【0035】
次に、顔貌撮影法について説明する。図17は顔貌撮影時における輪郭線65、66を示しており、顔の輪郭線65と口の輪郭線66とからなる。患者の顔貌における口腔内の様子が把握できるように、患者の口を開口させた状態で撮影することが望ましく、顔貌撮影には、患者の口が開口した状態を表した口の輪郭線66も設けられている。図18は黒色背景からカメラに切り替えた場合の画面であり、患者Pの顔を顔の輪郭線65と口の輪郭線66を見ながら調整することができ、良く調整された角度や距離でボタン60をクリック若しくはタッチして撮影することができる。
【0036】
本実施形態の色調採得支援方法においては、図11に示したように、3つの撮影を進めることができ、第1の撮影法はフラッシュありの必須のシェードテイキングであり、第2の撮影法はフラッシュなし任意のシェードテイキングであり、第3の撮影法は、顔貌撮影である。そして、これらの3つの撮影法については、それぞれ図19乃至図23に示すようなイラストレーション付きのチュートリアル画面を表示することができる。
【0037】
図19はシェードテイキングと顔貌撮影のチュートリアル画面であり、図11の色調採得写真撮影の画面から例えば上端右側の?(クエスチョン)ボタン49を選択すれば、イラストレーションや口腔部分の写真を表示して、撮影法を教示する画面を例えばポップアップ若しくはモーダルウインドウ形式で表示する。図20及び図21は上顎の撮影についてのチュートリアル画面であり、図20に示す画面72では正しいシェードガイドの位置をイラストレーションで示しており、それはシェードガイドの番号の正しい位置も示している。図21に示す画面73は撮影時のモバイル機器M1の方向とシェードガイドの端部と上側の歯の端部を合わせて撮影することが正しい撮影であることを示す。図22は下顎の撮影についてのチュートリアル画面であり、図22に示す画面74では撮影時のモバイル機器M1の方向とシェードガイドの端部と下側の歯の端部を合わせて撮影することが正しい撮影であることを示す。なお、下側の歯についての図20のような正しいシェードガイドの位置をイラストレーションで示す画面を設けても良いが、本実施形態では上顎と下顎は同様にため省略している。これら上顎や下顎についてのチュートリアル画面は、例えば図12乃至図16の撮影モード内の画面で画面上側のイラストのサムネイル(左側)と抜粋(右側)のエリア50をタッチすることや、或いは上端右側の?(クエスチョン)ボタン49を選択すれば、ポップアップ若しくはモーダルウインドウ形式で表示することができる。図23は顔貌撮影時のチュートリアル画面75を示し、顔貌撮影時に例えば上端右側の?(クエスチョン)ボタン49を選択すれば、撮影法を教示する画面75を表示する。
【0038】
本実施形態の色調採得支援方法において、必須とされたシェードテイキングの撮影が完了すると、図24に示すように、色調採得の写真撮影画面に戻る。すると、フラッシュONのボタンが表示されていたエリアが撮影された写真81に置き換えられて表示される。また、顔貌撮影も完了している場合には、図25に示すように、色調採得の写真撮影画面に戻ると、フラッシュONのボタンが表示されていたエリアが撮影された写真81に置き換えられて表示されると共に、顔貌撮影のエリアの撮影された顔貌の写真82に置き換えられて表示される。
【0039】
必須とされたシェードテイキングの撮影が完了した場合に、複数の患者の口腔部分の写真がある時では、送信する写真を1つに絞ることもでき、複数の写真の内の何枚かを選択して複数の写真を送信することができる。図26は、患者の口腔部分と色見本を撮影したシェードテイキングが複数枚、当該モバイル機器M1に保存されているところを示しており、1つのセッション内で複数のシェードテイキングの写真を取り扱うことができる。画面では上部側に選択された1つの写真83が表示され、その下部にはサムネイル表示の写真84、85が表示される。送信する写真の選択については、概ねサムネイルの写真を選びながら、画面下端の決定ボタン86をタッチ若しくはクリックすることで送信される写真を決定することができる。
【0040】
送信される写真のデータには、依頼情報が追加される。図27はその追加される依頼情報の入力画面である。入力ボックスの最上部は患者名の入力ボックス91であり、画面下部に表示されるソフトウェアキーボード96を操作して入力できる。その下部には、シェード番号の入力部92となり、プルダウン若しくはその他の簡易入力で、例えば、A 1 , A2 , A 3 , A 3 . 5 , A 4 , B 1 , B 2 , B 3 , B 4 , C 1 , C 2 , C 3 , C 4 , D 2 ,D 3 , D 4 のガイドナンバーを表示させて、選択できるようにすることもできる。その下部には、歯科医院名ボックス93、歯科医師名ボックス94と、歯科技工士名ボックス95が設けられ、これらのボックスの情報を入力することで、依頼情報の追加が可能である。歯科医院名ボックス93、歯科医師名ボックス94と、歯科技工士名ボックス95には、あらかじめ登録されたデータを呼び出して入力が可能であり、前回の履歴などを反映させることもできる。
【0041】
図28は色調採得の結果確認画面を示す。画面上部には、送信される予定のシェードテイキングの写真96と顔貌写真97が並び、その下部には依頼情報として、撮影日、患者名、シェード番号、歯科医院、歯科技工所、送信設定の各項目の情報が表示される確認画面98が位置する。依頼元となる歯科医師は、この画面で情報を確認し、色調採得の結果確認画面の下部の4つのボタンを操作して次の作業を実行する。4つのボタンは、ライン送信ボタン99、メール送信ボタン100、印刷ボタン101、終了ボタン102であり、速やかな送信にはライン送信ボタン99にタッチし、ラインを使用できないなどの理由がある場合には、電子メールなどを代替的に使用することもできる。
【0042】
ライン送信ボタン99をタッチして選択すると、図29の示すようなライン送信の送信先設定のモーダルウインドウ103が表示され、既に依頼先の歯科技工所が表示されれば、それを選択することで送信先が簡単に設定される。この時点でまだ送信予定の歯科技工所が設定されていない場合でも、ここで送信先を改めて設定することも可能である。また、後述するようにソーシャルネットワークサービスを利用せずに、代わりに電子メールを利用した送信も可能である。また、ここで作業を一時保留し、ある程度の時間経過後に色調採得の結果を送信することもできる。
【0043】
図30は、依頼元となる歯科医師のモバイル機器M1のライン送信後のライン画面110を示す。依頼情報は文字でラインのトーク画面のメッセージ111として表示され、写真もラインのサービスに従って送信され、相手は自動的に写真を保存することができる。また、ラインのトークの機能に従い、相手が受信してメッセージを開いた場合には、送信元には「既読」の文字が時刻と共に表示される。メッセージ111には、依頼情報に加えて当該アプリのダウンロード用のURL113を入れることができ、広告なども追加可能である。また、送信時には、シェードテイキング写真の例えば右下のコーナーなどに依頼情報の一部(日付・患者名・シェードガイド番号・医院名)を重ね合わせることもでき、依頼情報の一部にリンクしたバーコードなどを追加することもできる。
【0044】
図31は送信先をキャリアメール(例えば携帯会社のメールアドレス)とした場合のプロンプトウインドウ114を示す。この場合、ラインの送受信かPCメールの利用を促すプロンプトを表示するものとなる。また、図32は代替え的に電子メールを使用する場合の電子メールの編集画面115を示す。ラインの場合と同様なメッセージが含まれ、相手がモバイル機器に対応していない場合でも送信可能となる。
【0045】
次に受信側である歯科技工所側での作業を説明する。図33乃至図40は依頼先である歯科技工所側のモバイル機器M2のスクリーンを示す図である。図33はラインのトーク画面120であり、色調採得の結果を受信した画面でもある。受信したメッセージには、依頼情報が含まれ、歯科医師側から送信された写真も受信されていることが示されている。
【0046】
このようなラインでの受信がなされた後、歯科技工所側のモバイル機器M2では色調採得支援アプリを開いて、図34に示す歯科技工所メニュー画面121を表示する。この歯科技工所メニュー画面121は、図2に示した歯科医院メニューから歯科技工所メニューに切り替えるための「歯科技工所メニューに切り替える」と表示されたリンク15を選択した結果の画面でもある。上側に「写真の色調を確認」と表示さえた色調確認ボタン122と、下側に「顔貌写真を編集」と表示された顔貌写真編集ボタン123があり、それぞれ色調確認作業と顔貌写真編集作業に進むことができる。「このアプリについて」と表示されたボタン127は、このアプリについての説明ページにリンクしており、必要に応じて免責事項や著作権などの当該色調採得支援アプリについての説明ページを読むことができる。最下部には広告欄128が配されており、当該アプリの運営者に広告料を払った業者は歯科技工所などの利用が多いことを前提とした広告を入れることが可能とされる。また、「歯科医院メニューに切り替える」と表示されたリンク129をたどって歯科医院メニューに移行することも可能である。
【0047】
図35は歯科技工所側のチュートリアル画面124を示し、歯科技工所メニュー画面121の右上角部の?(クエスチョン)ボタン124をタッチ若しくはクリックすると、歯科技工所側のチュートリアル画面125が表示される。このチュートリアル画面125は、色調確認ボタン122が選択されればモーダルウインドウとして表示されるようにしても良い。
【0048】
歯科技工所側の口腔内写真についての作業としては、1つは図36に示す任意のグレー変換という作業があり、もう1つは図37に示すシェードガイドと実際の患者の歯の写真同士の比較作業である。グレー変換は錯視を予防するための作業でありシェードテイキングの画像131の歯とシェードガイドの周辺をグレーに変化させて、歯とシェードガイドの色を周辺の色に惑わされないようにする事を目的とする。一般に錯視は環境によって実際とは違った見え方をする心理的な現象であるが、歯の色調も周りの歯肉等の影響で実際とは異なって見える。このため歯とシェードガイド周辺のグレー変換により錯視を防ぐことが重要である。もう1つの色の比較作業は、シェードテイキングの画像132から対象となる歯の写真133とシェードガイドの写真134を抽出して、所定の画素を切り取って移植し色の違いについて比較する。この場合、色調採得支援アプリ上で、歯の色見本の写真の画素の一部を患者の歯の写真の画素一部に重ね、若しくは患者の歯の写真の画素一部を歯の色見本の写真の画素の一部に重ねて、色調の異同を比べることができる。もし色に違いがある場合には天然歯の特徴を把握して補綴物の色の調和を図ることができる。
【0049】
また、図34の歯科技工所メニューから顔貌写真編集ボタン123を選択した場合には、一旦、図38に示すような顔貌写真の編集についてのチュートリアル画面141が表示され、その下部の「写真を読み込む」のボタン142を選択することで、図39に示す顔貌写真の読み込む画面140となる。顔貌写真の読み込む画面140から特定の患者の顔貌を選択し、すると図40に示すような顔貌写真編集モードに入る。前歯を補綴するにあたり歯列の傾きは作業模型からは判別し難く、顔貌の分かる写真は対策として有益である。顔貌写真にガイドラインを配置することで直感的に傾きを察知できる。このような顔貌写真編集作業により、顔全体とのバランスが取れた美しい歯科用補綴物を提供できることになる。
【0050】
以上のように、本発明の色調採得支援方法によれば、歯科用補綴物の製作の依頼元と依頼先の双方でソーシャルネットワークサービスを利用しながら歯科用補綴物の製作作業の効率化を実現することができる。
【符号の説明】
【0051】
M1、M2 モバイル機器
P 患者
D 歯科医師
T 歯科技工士
10 歯科医院メニュー画面
55~57 輪郭線
121 歯科技工所メニュー画面
図1
図2
図3
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