(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079309
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】コンロバーナ装置
(51)【国際特許分類】
F23N 1/00 20060101AFI20240604BHJP
F23D 14/06 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F23N1/00 102A
F23D14/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192177
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】丹下 雅斗
(72)【発明者】
【氏名】浅井 一浩
(72)【発明者】
【氏名】丸田 さやか
【テーマコード(参考)】
3K017
3K068
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AB02
3K017AD02
3K068FA01
3K068FB02
3K068FB03
3K068FC03
3K068FD06
3K068FD07
3K068HA08
(57)【要約】
【課題】主バーナ部1mと副バーナ部1sとを有するコンロバーナ1と、コンロバーナ用の共通ガス供給路6から分岐された主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sと、共通ガス供給路に介設された第1開閉弁61及びガス量調節弁62と、主バーナ部用ガス供給路に介設された第2開閉弁63と、副バーナ部に点火する点火手段7と、副バーナ部の火炎を検知する火炎検知手段8とを備えるコンロバーナ装置において、ガス供給路が空気で置換されている状態でも、副バーナ部に速やかに点火できると共に、点火時における主バーナ部からの生ガスの放出を抑制できるようにする。
【解決手段】点火操作が行われたときに、先ず、第1開閉弁61を開弁させると共に第2開閉弁63を閉弁させた状態で点火手段7を作動させる。その後、副バーナ部1sに点火されて副バーナ部1sの火炎が火炎検知手段8で検知されたときに、第2開閉弁63を開弁させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主バーナ部と、主バーナ部に隣接し、最大火力が主バーナ部より小さい副バーナ部とを有するコンロバーナと、コンロバーナ用の共通ガス供給路から分岐された、主副の各バーナ部に燃料ガスを供給する主副の各バーナ部用ガス供給路と、共通ガス供給路に介設された第1開閉弁及びガス量調節弁と、主バーナ部用ガス供給路に介設された第2開閉弁と、副バーナ部に点火する点火手段と、副バーナ部の火炎を検知する火炎検知手段と、点火操作部材と、制御手段とを備えるコンロバーナ装置において、
制御手段は、点火操作部材による点火操作が行われたときに、第1開閉弁を開弁させると共に第2開閉弁を閉弁させた状態で点火手段を作動させ、副バーナ部に点火されて副バーナ部の火炎が火炎検知手段で検知されたときに、第2開閉弁を開弁させる時間差点火制御を行うように構成されることを特徴とするコンロバーナ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記時間差点火制御に際し、前記副バーナ部の火炎が前記火炎検知素子で検知されなくても、前記第1開閉弁を開弁させてから所定時間が経過したときは、前記第2開閉弁を開弁させる制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1記載のコンロバーナ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記時間差点火制御に際し、前記ガス量調節弁を前記副バーナ部への供給ガス量が最大になる第1の点火位置にした状態で前記点火手段を作動させ、その後前記第2開閉弁を開弁させる際は、ガス量調節弁を前記主バーナ部への供給ガス量が第1の点火位置に存するときよりも減少する第2の点火位置に切換える制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のコンロバーナ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記主副の各バーナ部用ガス供給路が空気で置換されていないと判断できる条件下では、前記時間差点火制御を行わずに、前記点火操作部材による点火操作が行われたときに、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁を開弁させると共に点火手段を作動させる同時点火制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1記載のコンロバーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主バーナ部と、主バーナ部に隣接し、最大火力が主バーナ部より小さい副バーナ部とを有するコンロバーナを備えるコンロバーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンロバーナ装置として、コンロバーナ用の共通ガス供給路から分岐された、主副の各バーナ部に燃料ガスを供給する主副の各バーナ部用ガス供給路と、共通ガス供給路に介設された第1開閉弁及びガス量調節弁と、主バーナ部用ガス供給路に介設された第2開閉弁と、副バーナ部に点火する点火手段と、副バーナ部の火炎を検知する火炎検知手段と、点火操作部材と、制御手段とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、点火操作部材による点火操作が行われたときに、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁させると共に点火手段を作動させ、副バーナ部に点火手段の作動で点火して、副バーナ部から主バーナ部に火移り点火させるようにしている。尚、副バーナ部のみに点火したのでは、副バーナ部の火炎が小さいため、使用者が点火に気づきづらい。そこで、主バーナ部にも点火させて大きな火炎を生じさせ、使用者が点火に気づきやすくしている。
【0004】
ところで、最大火力が主バーナ部よりも小さい副バーナ部用のガス供給路は、管路抵抗が主バーナ部用ガス供給路よりも大きい。そのため、点火操作部材による点火操作で第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁させると、管路抵抗が小さな主バーナ部用ガス供給路に多くのガスが流れ、管路抵抗の大きな副バーナ部用ガス供給路にはガスが流れ難くなる。ここで、コンロバーナを消火してからある程度時間が経つと、主副の各バーナ部用ガス供給路が空気で置換される。この状態での点火操作で第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁させると、主バーナ部用ガス供給路内の空気は速やかに排出(エアパージ)されるが、副バーナ部用ガス供給路のエアパージが遅れ、副バーナ部に点火されるまでに時間がかかってしまう。そのため、副バーナ部に点火されるまでに主バーナ部から放出される生ガスの量が多くなり、副バーナ部に点火されたときに主バーナ部に大きな音を立てて火移りし、使用者を驚かせてしまうことがある。更に、副バーナ部への点火の遅れにより主バーナ部に火移りして点火が完了するまでに要する時間も長くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、主副の各バーナ部用ガス供給路が空気で置換されている状態でも、点火時における主バーナ部からの生ガスの放出を抑制できると共に、点火完了までに要する時間を短くできるようにしたコンロバーナ装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、主バーナ部と、主バーナ部に隣接し、最大火力が主バーナ部より小さい副バーナ部とを有するコンロバーナと、コンロバーナ用の共通ガス供給路から分岐された、主副の各バーナ部に燃料ガスを供給する主副の各バーナ部用ガス供給路と、共通ガス供給路に介設された第1開閉弁及びガス量調節弁と、主バーナ部用ガス供給路に介設された第2開閉弁と、副バーナ部に点火する点火手段と、副バーナ部の火炎を検知する火炎検知手段と、点火操作部材と、制御手段とを備えるコンロバーナ装置において、制御手段は、点火操作部材による点火操作が行われたときに、第1開閉弁を開弁させると共に第2開閉弁を閉弁させた状態で点火手段を作動させ、副バーナ部に点火されて副バーナ部の火炎が火炎検知手段で検知されたときに、第2開閉弁を開弁させる時間差点火制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、点火操作が行われたときに、先ず、副バーナ部用ガス供給路のみにガスが供給されるため、主副の各バーナ部用ガス供給路が空気で置換されている状態でも、副バーナ部用ガス供給路のエアパージが速やかに行われて、副バーナ部に速やかに点火される。そして、火炎検知素子によって副バーナ部への点火が確認されたときに、第2開閉弁を開弁させて主バーナ部へのガス供給を開始するため、主バーナ部からガスが噴出した時点で主バーナ部に副バーナ部から火移りし、主バーナ部からの生ガスの放出を抑制でき、更に、主バーナ部への火移りで点火が完了するまでに要する時間も短くすることができる。
【0009】
ところで、副バーナ部用ガス供給路の空気置換度合によって、第1開閉弁を開弁させてから副バーナ部用ガス供給路のエアパージが完了して副バーナ部に点火されるまでに要する時間がばらつく。そして、副バーナ部の点火の遅れで主バーナ部の点火も遅れたのでは、使用者に不安感を与えてしまう。
【0010】
そのため、本発明において、制御手段は、時間差点火制御に際し、副バーナ部の火炎が火炎検知素子で検知されなくても、第1開閉弁を開弁させてから所定時間が経過したときは、第2開閉弁を開弁させる制御を行うように構成されることが望ましい。これによれば、主バーナ部の点火が左程遅れることはなく、使用者に不安感を与えずに済む。尚、第1開閉弁の開弁から上記所定時間経過した時点で副バーナ部に点火されていなくても、所定時間経過するまでに副バーナ部用ガス供給路のエアパージがほぼ完了して、所定時間経過してから左程時間を経ずに副バーナ部に点火される。従って、所定時間経過した時点で第2開閉弁を開弁させても、主バーナ部からの生ガス放出の抑制効果を損なうことはない。
【0011】
また、本発明において、制御手段は、時間差点火制御に際し、ガス量調節弁を副バーナ部への供給ガス量が最大になる第1の点火位置にした状態で点火手段を作動させ、その後第2開閉弁を開弁させる際は、ガス量調節弁を主バーナ部への供給ガス量が第1の点火位置に存するときよりも減少する第2の点火位置に切換える制御を行うように構成されることが望ましい。このように、ガス量調節弁を第1の点火位置にして副バーナ部用ガス供給路に流すガス量を多くすることにより、副バーナ部用ガス供給路のエアパージを可及的短時間で行って、副バーナ部に可及的短時間で点火することができる。尚、ガス量調節弁を第1の点火位置にしたまま第2開閉弁を開弁させると、副バーナ部からの火移りで生ずる主バーナ部の火炎が大きくなり過ぎて、使用者を驚かせてしまう。第2開閉弁を開弁させる際に上記の如くガス量調節弁を第2の点火位置に切換えることにより、主バーナ部の火炎が大きくなり過ぎることを回避できる。
【0012】
また、本発明において、制御手段は、主副の各バーナ部用ガス供給路が空気で置換されていないと判断できる条件下では、時間差点火制御を行わずに、点火操作部材による点火操作が行われたときに、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁させると共に点火手段を作動させる同時点火制御を行うように構成されることが望ましい。これによれば、主副の各バーナ部用ガス供給路が空気で置換されていない状態で無駄に時間差点火制御を行わずに済み、合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態のコンロバーナ装置を示す斜視図。
【
図2】
図1のII-II線で切断したコンロバーナの断面図。
【
図3】実施形態のコンロバーナ装置の構成要素であるガス量調節弁による主副の各バーナ部への供給ガス量の変化を示すグラフ。
【
図4】実施形態のコンロバーナ装置の構成要素である制御手段による点火制御の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す本発明の実施形態のコンロバーナ装置の構成要素であるコンロバーナ1は、図示省略したコンロ天板のバーナ用開口に挿通されるバーナボディ2と、バーナボディ2上のバーナヘッド3とを有している。バーナヘッド3の外周面には、主炎口4mとその下側に位置する副炎口4sとが夫々周方向の間隔を存して多数開口している。尚、副炎口4sの総開口面積は、主炎口4mの総開口面積よりも小さい。
【0015】
バーナボディ2は、
図2に示す如く、外側の筒体21と中間の筒体22と内側の筒体23との内外3重の筒体を有している。バーナヘッド3は、内周にバーナボディ2の中間筒体22に嵌合する筒部31aを垂設した環状の下ヘッド部材31と、下面にバーナボディ2の内側筒体23に嵌合する筒部32aを垂設した上ヘッド部材32とで構成されている。
【0016】
下ヘッド部材31の上面外周部には、上ヘッド部材32が着座する上環状壁33が立設されている。上環状壁33には、その上端面から下方に窪む主炎口4mとなる溝が周方向の間隔を存して多数形成されている。これらの溝の上端が上ヘッド部材32により閉塞されることで、下ヘッド部材31と上ヘッド部材32との間に主炎口4mが画成される。また、主炎口4mは、下ヘッド部材31と上ヘッド部材32とバーナボディ2の中間筒体22と内側筒体23とで囲われる空間に連通している。そして、これら下ヘッド部材31、上ヘッド部材32、中間筒体22及び内側筒体23で主炎口4mを有する主バーナ部1mが構成される。
【0017】
また、下ヘッド部材31の下面外周部には、バーナボディ2の外側筒体21の上端部に着座する下環状壁34が垂設されている。下環状壁34には、その下端面から上方に窪む副炎口4sとなる溝が周方向の間隔を存して多数形成されている。これら溝の下端が外側筒体21の上端部により閉塞されることで、バーナボディ2と下ヘッド部材31との間に副炎口4sが画成される。また、副炎口4sは、下ヘッド部材31とバーナボディ2の外側筒体21と中間筒体22とで囲われる空間に連通している。そして、これら下ヘッド部材31、外側筒体21及び中間筒体22で副炎口4sを有し主バーナ部1mの下側に隣接する副バーナ部1sが構成される。尚、上記の如く副炎口4sの総開口面積は主炎口4mの総開口面積よりも小さいため、副バーナ部1sの最大火力は、主バーナ部1mの最大火力よりも小さい。
【0018】
コンロバーナ1は、更に、バーナボディ2の中間筒体22と内側筒体23との間の空間に連通する主バーナ部用混合管5mと、バーナボディ2の外側筒体21と中間筒体22との間の空間に連通する副バーナ部用混合管5sとを有している。また、コンロバーナ装置は、コンロバーナ用の共通ガス供給路6から分岐された、主副の各バーナ部1m,1sに燃料ガスを供給する主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sを備えている。そして、主バーナ部用ガス供給路6mを介して主バーナ部用混合管5m、即ち、主バーナ部1mに燃料ガスが供給され、副バーナ部用ガス供給路6sを介して副バーナ部用混合管5s、即ち、副バーナ部1sに燃料ガスが供給されるようにしている。尚、副バーナ部1sは、最大火力が主バーナ部1mよりも小さいため、副バーナ部用ガス供給路6sは、管路抵抗が主バーナ部用ガス供給路6mよりも大きくなっている。
【0019】
コンロバーナ装置は、更に、共通ガス供給路6に介設した第1開閉弁61及びガス量調節弁62と、主バーナ用ガス供給路6mに介設した第2開閉弁63と、副バーナ部1sに点火する点火手段7と、副バーナ部1sの火炎を検出する熱電対から成る火炎検知手段8と、制御手段たるマイクコンピュータから成るコントローラ9とを備えている。点火手段7は、副バーナ部1sの周方向一箇所に臨ませた点火電極71と、点火電極71に高電圧を印加するイグナイタ72とで構成される。コントローラ9には、火炎検知手段8からの信号に加えて、電源スイッチ91と、点火操作部材たる点火スイッチ92と、火力指示部93とからの信号が入力される。尚、第1開閉弁61は、後述する如く点火操作時に開弁され、また、点火後に副バーナ部1sの失火で火炎が検知されなくなったときや点火スイッチ92をオフして消火するときに閉弁される。
【0020】
コントローラ9は、火力指示部93で指示されるコンロバーナ1の火力が最小火力から最大火力まで変化した際に、ガス量調節弁62により副バーナ部1sへの供給ガス量を
図3の線sの如く変化させ、主バーナ部1mへの供給ガス量を
図3の線mの如く変化させる。尚、指示火力がある程度以上になるまでは点火時を除き第2開閉弁63が閉弁されて、主バーナ部1mには燃料ガスが供給されない。
【0021】
また、コントローラ9は、点火操作部材による点火操作が行われたとき、即ち、点火スイッチ92がオンされたときに点火制御を行う。ここで、点火制御により、第1開閉弁61及び第2開閉弁63を開弁させると共に点火手段7を作動させ、副バーナ部1sに点火手段7の作動で点火して、副バーナ部1sから主バーナ部1mに火移り点火させると、以下の不具合を生ずる。即ち、副バーナ部用ガス供給路6sは、管路抵抗が主バーナ部用ガス供給路6mよりも大きいため、点火操作部材による点火操作で第1開閉弁61及び第2開閉弁63を開弁させると、管路抵抗が小さな主バーナ部用ガス供給路6mに多くのガスが流れ、管路抵抗の大きな副バーナ部用ガス供給路6sにはガスが流れ難くなる。そのため、副バーナ部用ガス供給路6sのエアパージが遅れ、副バーナ部1sに点火されるまでに時間がかかってしまう。そして、副バーナ部1sに点火されるまでに主バーナ部1mから放出される生ガスの量が多くなり、副バーナ部1sに点火されたときに主バーナ部1mに大きな音を立てて火移りし、使用者を驚かせてしまうことがある。更に、副バーナ部1sへの点火の遅れにより主バーナ部1mに火移りして点火が完了するまでに要する時間も長くなってしまう。
【0022】
そこで、本実施形態では、点火スイッチ92がオンされたときに、
図4に示す点火制御を行うようにしている。この点火制御では、先ず、STEP1において、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていないと判断できる条件下であるか否かを判別する。具体的に説明すれば、コンロバーナ1をしばらく使用しないときに電源スイッチ91がオフされるため、電源スイッチ91をオフからオンに切換えた後、最初に点火スイッチ92をオンした場合は、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていると判断し、それ以外の場合は、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていないと判断できる条件下としている。尚、前回の使用からの経過時間に基づいて、この経過時間が所定時間(例えば1時間)以内であるときに、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていないと判断できる条件下とすることも可能である。
【0023】
電源スイッチ91をオンした後、最初に点火スイッチ92をオンした場合は、STEP1で「NO」と判定されて、STEP2~STEP12の時間差点火制御を行う。具体的には、STEP2で第2開閉弁63を閉弁させると共に、STEP3で第1開閉弁61を開弁させて、副バーナ部用ガス供給路6sのみに燃料ガスを供給する。更に、STEP4でガス量調節弁62を副バーナ部1sへの供給ガス量が最大になる
図3にPI1で示す第1の点火位置にすると共に、STEP5で点火手段を作動、即ち、イグナイタ72をオンして点火電極71でのスパークを開始する。この状態では、主副の各バーナ部用ガス供給管6m,6sが空気で置換されている状態でも、副バーナ部用ガス供給路6sのみに燃料ガスが供給されるため、副バーナ部用ガス供給路6sのエアパージが速やかに行われて、副バーナ部1sに速やかに点火される。特に、ガス量調節弁63を第1の点火位置PI1にして副バーナ部用ガス供給路6sに流すガス量を多くすることにより、副バーナ部用ガス供給路6sのエアパージを可及的短時間で行って、副バーナ部1sに可及的短時間で点火することができる。
【0024】
次に、STEP6で副バーナ部1sの火炎が火炎検知素子8で検知されたか否かを判別する。火炎が検知されたときは、STEP7でイグナイタ72をオフすると共に、STEP8において、ガス量調節弁62を主バーナ部1mへの供給ガス量が第1の点火位置PI1に存するときよりも減少する第2の点火位置PI2に切換える。次に、STEP9で第2開閉弁63を開弁させて、一連の処理を終了する。第2開閉弁63を開弁させると、主バーナ部1mへのガス供給が開始され、主バーナ部1mからガスが噴出した時点で主バーナ部1mに副バーナ部1sから火移りする。そのため、主バーナ部1mからの生ガスの放出を抑制できる。更に、副バーナ部1sに上記の如く可及的短時間で点火できるため、主バーナ部1mに火移りして点火が完了するのに要する時間も短くすることができる。尚、ガス量調節弁62を第1の点火位置PI1にしたまま第2開閉弁63を開弁させると、副バーナ部1sからの火移りで生ずる主バーナ部1mの火炎が大きくなり過ぎて、使用者を驚かせてしまうが、上記の如くガス量調節弁63を第2の点火位置PI2に切換えることにより、主バーナ部1mの火炎が大きくなり過ぎることを回避できる。
【0025】
尚、副バーナ部用ガス供給路6sの空気置換度合によって、第1開閉弁61を開弁させてから副バーナ部用ガス供給路6sのエアパージが完了して副バーナ部1sに点火されるまでに要する時間がばらつく。そして、副バーナ部1sの点火の遅れで主バーナ部1mの点火も遅れたのでは、使用者に不安感を与えてしまう。
【0026】
そこで、STEP6で副バーナ部1sの火炎が検知されなかったときは、STEP10で第1開閉弁61が開弁されてから所定時間経過した否かを判別し、所定時間経過するまではSTEP6に戻ることを繰り返す。この所定時間は、副バーナ部用ガス供給路6sのエアパージに必要な時間に合わせて例えば2秒に設定される。尚、実際には、第1開閉弁61の開弁とほぼ同時にイグナイタ72がオンされるため、STEP10や後述するSTEP19において、イグナイタ72がオンされたときを第1開閉弁61が開弁されたときとして経過時間の判別を行ってもよい。
【0027】
火炎が検知されないまま所定時間経過した場合は、STEP11でガス量調節弁62を第2の点火位置PI2に切換えると共に、STEP12で第2開閉弁63を開弁させる。これによれば、主バーナ部1mの点火が左程遅れることはなく、使用者に不安感を与えずに済む。尚、第1開閉弁61の開弁から所定時間経過した時点で副バーナ部1sに点火されていなくても、所定時間経過するまでに副バーナ部用ガス供給路6sのエアパージがほぼ完了して、所定時間経過してから左程時間を経ずに副バーナ部1sに点火される。従って、所定時間経過した時点で第2開閉弁63を開弁させても、主バーナ部1mからの生ガス放出の抑制効果を損なうことはない。
【0028】
STEP12で第2開閉弁63を開弁させた後は、STEP17~20の点火終了処理を行う。具体的には、STEP17で副バーナ部1sの火炎が火炎検知素子8で検知されたか否かを判別し、火炎を検知したときに、STEP18でイグナイタ72をオフして、一連の処理を終了する。また、STEP17で副バーナ部1sの火炎が検知されなかったときは、STEP19で第1開閉弁61が開弁されてから所定の待ち時間(例えば、8秒)が経過したか否かを判別し、待ち時間経過するまではSTEP17に戻ることを繰り返す。そして、火炎が検知されないまま待ち時間経過した場合は、STEP20でイグナイタ72をオフすると共に第1開閉弁61を閉弁させて、一連の処理を終了する。
【0029】
STEP1において、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていないと判断できる条件下であると判別されたときは、STEP13~16の同時点火制御を行う。具体的には、STEP13で第2開閉弁63を開弁させると共に、STEP14で第1開閉弁61を開弁させて、主バーナ部1mと副バーナ部1sとへのガス供給を同時に開始する。また、STEP15でガス量調節弁62を第2の点火位置PI2にし、STEP16でイグナイタ72をオンする。その後、上述したSTEP17~20の点火終了処理を行う。
【0030】
ここで、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていなければ、主バーナ部1mと副バーナ部1sとへのガス供給を同時に開始しても、副バーナ部1sに速やかに点火され、副バーナ部1sの点火の遅れで主バーナ部1mからの生ガスの放出量が増加するといった不具合は生じない。そして、本実施形態によれば、主副の各バーナ部用ガス供給路6m,6sが空気で置換されていない状態で無駄に時間差点火制御を行わずに済み、合理的である。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、副バーナ部1sが主バーナ部1mの下側に隣接しているが、副バーナ部を環状の主バーナ部の内側に隣接するように配置したコンロバーナを備える装置にも同様に本発明を適用できる。また、上記実施形態では、ガス量調節弁62をコントローラ9で制御されるものとしているが、時間差点火制御でのガス量調節弁62の上述した第1の点火位置PI1から第2の点火位置PI2への切換えを行わなければ、ガス量調節弁を手動式のものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…コンロバーナ、1m…主バーナ部、1s…副バーナ部、6…共通ガス供給路、6m…主バーナ部用ガス供給路、6s…副バーナ部用ガス供給路、61…第1開閉弁、62…ガス量調節弁、63…第2開閉弁、7…点火手段、8…火炎検知手段、9…コントローラ(制御手段)、92…点火スイッチ(点火操作部材)。